(遊学マップ除く)(14.6MB)

「遊学アイランド九州」形成に向けた
産業資源連携方策策定調査
報告書
平 成 18 年 3 月
財団法人九州地域産業活性化センター
は
じ
め
に
この報告書は、財団法人九州地域産業活性化センターが平成 17 年度調査研究事業として実施し、
九州において、先人の知恵や技術、文化を楽しみながら学ぶ旅である“遊学”を振興することの
必要性や振興の基本方向、具体的な方策に関して調査研究した成果を取りまとめたものである。
“遊学”とは「故郷を出て、他の土地や国に行って学問をすること。留学。」(広辞苑)とされ
るが、九州では江戸時代に唯一の海外貿易窓口であった長崎に国内各地から多くの青年が遊学し
た歴史がある。当時は、蘭学、医学、兵学、本草学、科学、美術等の様々な分野を学ぶ場が長崎
に生まれ、東洋と西洋の文化が伝わる中で人的交流が活発に行われた。
本調査では、この姿を現在の観光交流に置き換えた“遊学”が九州の新しい観光戦略に活用さ
れることを期待し、楽しみながら学ぶ観光形態として「遊学アイランド九州」の形成を提唱した。
また、観光交流施設の現状と課題の把握や九州らしいテーマの検討に際してアンケート調査を行
なった。さらに、具体的な方策の検討では、九州が誇る天然資源で、わが国の殖産興業に寄与し、
産業遺構が現在でも多数残っている石炭資源をテーマとし、石炭産業の遺構や炭鉱文化の残る大
牟田・荒尾地域を調査対象として事例研究を行った。九州では、当地域以外に長崎県の端島(軍
艦島)や福岡県の田川、志免等で石炭資源の保存活用に向けた取組みがみられ、こうした地域の
広域連携から九州らしいインパクトのある観光交流に発展していくことが望まれる。そして、九
州新幹線鹿児島ルートが全線開通する 2010 年度までに、先人の英知にふれる人材育成の場の形成
や国内外からの集客・交流の促進がより具体化され、地域経済の浮揚が果たされることを期待し
たい。
本調査報告書が九州観光振興にご活用いただき、お役立ていただければ幸いである。
なお、本調査の実施にあたって、学識経験者、有識者、九州経済産業局、九州運輸局、九州観光推
進機構から構成する「遊学アイランド九州形成に向けた産業資源連携方策策定調査委員会」を設
置してご審議、ご指導を賜った。さらに、観光、産業遺産関係者、九州各地の市民グループの方々
からも多くの貴重なご意見をいただいた。また、専門的立場から株式会社鹿児島地域経済研究所
に取りまとめのご協力をいただいた。
ここに関係各位のご尽力に対し、深く感謝申し上げる次第である。
平成 18 年3月
財団法人九州地域産業活性化センター
会
長
大
野
茂
目
次
調査概要
1.調査の背景と目的 ··························································· (1)
2.調査フロー ································································· (2)
3.遊学アイランド九州形成に向けた産業資源連携方策策定調査の概要 ··············· (3)
第1章
九州観光の現状と環境変化 .................................................1
1.九州における観光の現状 .....................................................1
2.九州観光を取り巻く環境変化 .................................................7
第2章
九州観光における“遊学”の考え方 .........................................13
1.今後重視される観光ニーズ ...................................................13
2.九州の観光交流施設の現状と課題 .............................................18
3.「遊学」の基本的な考え方 ....................................................28
第3章
「遊学アイランド九州」の目指すべき姿 .....................................31
1.「遊学アイランド九州」のイメージ ............................................31
2.顧客ターゲットの考え方 .....................................................33
3.「遊学アイランド九州」の目指すべき姿 ........................................35
第4章
「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策 .......................55
1.「遊学アイランド九州」構成要素の再編集 ......................................56
2.“人材”と“資金”による観光資源の磨き上げと事業性の創出 ....................58
3.九州らしいテーマによる地域連携の仕組みづくり ...............................60
4.広域連携を促進する「遊学アイランド九州ネットワーク」の構築 .................61
第5章
観光資源にみる九州らしいテーマ ...........................................63
1.既存の観光資源からみたテーマの抽出と分類 ...................................63
2.九州の特色である“産業”の変遷と産業遺産 ...................................81
第6章
「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業 .............................87
1.石炭資源と九州における産炭地の概要 .........................................89
2.モデル地域の選定 ...........................................................97
3.モデル地域の概要と遊学要素の再編集 .........................................98
4.遊学推進に向けた課題の整理 .................................................110
5.モデル事業の検討 ...........................................................115
第7章
「遊学アイランド九州」の形成に向けて .....................................139
1.“遊び”と“学び”による地域資源の磨き上げ ..................................141
2.地域自ら演じる受け地主導型観光の推進 .......................................142
3.“九州はひとつ”に向けた地域間連携の促進 ....................................143
資料編
1 .遊学 アイ ランド 九州 のモデ ル事 業検討 のた めの先 進事 例研究 ・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2 .“「 遊 学 ア イ ラ ン ド 九 州 」 形 成 に お け る NPO の 役 割 を 考 え る ” 座 談 会 の 概 要 ・・・・・・・ 13
3.観光と教育・学習についてのアンケート調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
4.九州における産業テーマとその変遷 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
5.委員名簿・委員会開催等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
調査概要
1.調査の背景と目的
低迷する日本経済の浮揚策として観光への期待が高まっており、政府は 2004 年 11 月
「観光立国推進戦略会議」において、観光立国推進に向けての4つの課題と国、自治体、
産業界などに対する 55 の提言を行った。
こうした中、九州においては、2005 年4月「九州はひとつ」の理念のもとに官民一体
となって、県境を越えた観光地づくりと観光誘致の実行機関として「九州観光推進機構」
が設立されている。また、九州新幹線鹿児島ルート部分開業(2004 年3月)や東九州軸
基盤整備など、交通インフラの整備の進展により、九州の東西・南北の移動時間短縮の
条件整備が進展しつつあり、広域的な観光行動を誘引しやすくなってきている。
最近の観光動向をみると、名所旧跡、食べ物、特産品などを楽しむ従来型の観光形態
以外に、自然環境学習や農漁村での交流・体験を取り入れた新しい観光形態、ものづく
りの現場や産業の成り立ちを「学び」ながら、見学や体験を通して楽しむ観光が注目さ
れつつある。このような学びとしての観光資源を九州に探せば、農漁村地帯が多く残っ
ている他、日本近代化の発祥の地であったことから、鉱山・工場・利水構造物・橋・鉄
道・建築物等の歴史的に大変すばらしい産業遺産が存在している。しかし、これらの多
くは歴史的意義が省みられることもなく、忘れ去られようとしている。また、観光客が
多く訪れる現在の名所旧跡においても、語られることのない歴史的な物語がたくさんあ
る。一方、現代においても、ICや自動車産業などの先端技術の工場が集積しているな
ど、九州には、学べる観光資源が多く存在している。
以上の背景を踏まえ、本調査では、産業遺産・現代産業等を楽しみながら学ぶ「遊学」
の視点から、九州にある観光資源をテーマやストーリーで再構築し、活用する観光形態
を「遊学アイランド九州」として提唱し、先人の英知にふれる人材育成の場が形成され、
国内外からの集客や交流が促進されることによって地域経済の活性化が図られることを
目的とする。
( 1 )
2.調査フロー
本調査のフローは以下の通りとなっている。
第1章
九州観光の現状と環境変化
○九州における観光の現状と取り巻く環境変化を把握
第2章
九州観光における“遊学”の考え方
観 光 と 教 育・学 習
についての
○今後重視 さ れる観光ニ ー ズ、九州の観光交流施設における
アンケート調査
現状把握より、「遊学」の基本的な考え方を検討
第3章
<資料編3>
「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
○「遊学アイランド九州」のイメージ、顧客ターゲットの考
先進事例研究
(愛媛県新居浜市)
え方を、目指すべき姿を検討
第4章
<資料編1>
「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
○「遊学アイランド九州」形成のための具体的方策の検討
第5章
観光資源にみる九州らしいテーマ
○アンケート調査より8つのテーマを選定
○九州産業の変遷と産業遺産の現状を把握
第6章
観 光 と 教 育・学 習
についての
アンケート調査
<資料編3>
「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
○石炭資源と産炭地の動向を踏まえ、モデル事業を検討
モデルテーマ:燃ゆる石が語る九州の“炭鉱文化”を遊学する
モデル地域
: 大 牟 田 ( 福 岡 県 )・ 荒 尾 ( 熊 本 県 )
広域連携による
遊学マップ作成
第7章
「遊学アイランド九州」の形成に向けて
○以上の調査結果を踏まえ、
「目指すべき姿」の実現に向けて、
九州がひとつとなり取組むことが望まれる事項を提言
“「 遊 学 ア イ ラ ン
ド九州」形成にお
け る NPO の 役 割 を
考える”座談会
<資料編2>
( 2 )
3.「遊学アイランド九州」形成に向けた産業資源連携方策策定調査の概要
第1章 九州観光の現状と環境変化
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
石炭鉱業
を例として
[九州観光の現状]
○伸び悩む宿泊客と観光消費額
[遊学アイランド九州のイメージ]
○九州観光を支えてきたテーマパークの苦戦
○「遊学アイランド九州」とは、遊び(従来の観
教育・学習
(学びの要素が強い)
従来の観光
(遊びの要素が強い)
○突出した魅力が少ない九州観光
光)と学び(教育・学習)の2つの要素が融合
九州の豊富な
遊びの資源
九州の豊富な
学びの資源
○九州観光は“人”と“人が創り上げてきた観光素材(祭
九州の新たな
観光形態(例示)
し、この要素を強め合い、かつ補完し合う形態
テーマパーク
産業観光
博物館
名所旧跡
グリーンツ
ーリズム
りやイベント、歴史や文化)”が魅力
[九州観光推進の課題]
と捉える
温泉
○主な顧客ターゲットはテーマごとに多様な客
○滞在型観光への取組み
層を視野に入れ、「九州に存在するテーマに興
○地域連携によるテーマパークの再活性化
味を持つ観光客」とする
○インパクトのあるイメージづくり
○九州の“人”や“人が創り上げてきた観光素材”を生
遊学@九州の
目指すべき姿
長期的に九州が“遊学”に特化していく姿をイ
地域滞在・拠点交流の場の創出
「九州らしい」テーマの構築
最終目標
○両市には三井三池鉱山の産業遺産が県境を越えて数多く点在している
○三井グリーンランドなど集客力のある大型集客施設が存在する
《地域経済の活性化》
●先人の英知にふれる
人材育成の場の形成
●国内外からの集客や交流
の促進
○観光に欠かせない「食」の発掘と「泊」との連携
観光資源が「遊び」「学び」の要素をそれぞれに高め、より
魅力ある受入態勢が整備されている
九州全域の目指すべき姿
補完する仕組み
段階的に推進
○官民一体となった「九州はひとつ」に向けた九州観光
地域の目指すべき姿
地域横断的な九州らしい多様なテーマにより、遊学に取り組
資源の目指すべき姿
む地域が有機的に結びついている
主なターゲット「域内外の小、中、高校生など若年層」
○事業性創出につながる継続可能なイベントの実施
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
○集客交流の核となるビジターセンター機能の付加
②“人材”と“資金”による観光資源の磨き上げ
○「遊学アイランド九州」形成に必要な要素
○語り部・ガイドの養成(養成カリキュラムの構築)
○整備資金の調達(ファンド、トラスト制度等の検討)
九州らしい多様な
テーマ・ストーリー
○事業性の創出(文化的価値→経済的価値の仕組み)
+
テーマ性
②体験・交流によるツアーメニューの検討
○柱となるツアーメニューの体系化
○人材育成と交流の場「炭都遊学塾(仮称)」の設立
○炭都の再発見につながる遊学マップの作成
○ツアーメニューに応じたモデルコースの作成
遊学要素(=観光資源)
③地域一体となった推進体制の構築
「九州らしい」テーマ
の構築
③九州らしいテーマによる地域連携の仕組みづくり
○豊富な教育・学習テーマの存在
美しい自然
○「マネジメント機関・議論の場」構築へのニーズ
交流
(工芸・農業・漁業等) (コミュニティ・人情)
教育の場である
博物館・資料館
○古来よりアジアの玄関口である“九州”
食
④広域連携を促進する「遊学アイランド九州ネット
ワーク」の構築
泊
3つのニーズを満たす旅行形態
ワーク組織の設立
身も心も安らぐ温泉
○資金調達の仕組みの検討
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて (提言)
○「受け地主導」の観光地づくりに向けた広域連携ネット
①“遊び”と“学び”による地域資源の磨き上げ
○九州らしいテーマに応じ、市民グループが主体となった
新鮮な食材の宝庫
○地域連携を促進する「三池コールマイン協議会(仮称)
」の設立
○積極的なプロモーション活動の実施
○地域の強みと弱みを整理するフレームワークの活用
学
体験
豊富なレジャー施設
○地域連携による遊学要素の補完
“本物”が残る産業遺産
遊
○九州国立博物館開館など「学ぶ」環境の整備
“遊学”の提唱
「先人の知恵や技術、文化を楽しみながら学ぶ旅」
[モデル事業の検討]
○万田坑、宮原坑の保存整備方策の検討
①「遊学アイランド九州」構成要素の再編集
○体験、交流を通して遊び学ぶニーズの高まり
○求められる企業の協力と行政の支援
①炭鉱文化を体感できる“炭都空間”の創出
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
地域滞在・拠点交流
の場の創出
○県境や行政部署間を越えた施設連携の促進
○学ぶ要素の強い炭鉱遺産の整備促進
地元住民が参画し、地域滞在・拠点交流の場が創出され、地
域内の観光資源が連携している
戦略の策定
滞在・交流
[モデル地域における遊学推進に向けた課題]
○地域住民の「炭鉱遺産=観光資源」意識の醸成
[「遊学アイランド九州」の目指すべき姿]
○ハイモビリティ社会の到来と交流人口の増加
遊びながら学べる
観光の推進
○1時間圏内に阿蘇や島原などの観光地があり、広域的な集客が期待できる
○炭鉱の歴史を“遊びながら学べる”受入体制の充実
○少子高齢化の進展とリタイア期を迎える団塊世代
学び
大牟田市(福岡県)荒尾市(熊本県)
○市民グループの活動が活発で、旧三井港倶楽部の買取・保存が実現している
○九州全域に“遊学”のコンセプトが網羅され、
○大交流時代における観光のグローバル化の進展
[今後重視される3つのニーズ]
○石炭鉱業の足跡が地域社会に現存しており、栄枯盛衰のドラマがある
[モデル地域の選定と概要]
教育施設
[九州観光を取り巻く環境変化]
○九州新幹線の全線開通による新たな旅行需要の創出
○石炭は九州を代表する天然資源である
研究機関
メージする
かした交流の促進
資料館
自然景観
燃える石が語る九州の“炭鉱文化”を遊学する
○石炭は現代・未来へつながる産業技術の原点で、遊学の多様な可能性がある
産業資源
エコツー
リズム
食
[モデル事業のテーマ]
地域の連携
○地域資源の文化的な価値に地域自ら気づく仕掛けづくり
○経済的な価値を引き出し、事業性を高める受入体制の整備
過去の姿を現代に置き換えた九州らしい旅
<“九州遊学”の史実>
て学問をすること。留学。」
(広辞苑)
○鎖国時代から開国時にかけて、長崎を中心と
した九州は中国、ポルトガル、オランダなど
異国の先進的な文化・技術をいち早く習得し
ていた。
○全国諸藩から多くの人々が訪れ、長期滞在し
游学の標(長崎市)
<具体的なテーマに絞り込んだ
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
○遊学とは「故郷を出て、他の土地や国に行っ
学び、日本の近代化を担う人材に育った。
[観光資源からみた九州らしいテーマの抽出と分類]
①九州の豊富な“自然”を遊学する
②地域独自の発展をみせる“フードアイランド”を遊学する
③世界に誇れる“先端産業技術”を遊学する
④九州経済を牽引してきた“近代化産業”を遊学する
⑤地域に根付く“伝統芸能・工芸”を遊学する
⑥九州産業を支えた“交通”の歴史を遊学する
⑦循環型社会を目指す“環境・リサイクル”を遊学する
⑧地域固有の“歴史・文化”を遊学する
産業に着目
モデル事業の検討>
②地域自ら演じる受け地主導型観光の推進
○市民グループが主役となった“手づくり”旅行商品の企画・開発
○観光客と市民の相互交流による人材育成の促進
[九州の特色である“産業”の変遷と産業遺産]
○IC、自動車、食品関連産業に特色がある現在の
九州産業
○日本近代化の礎を築いた九州の歴史
○九州各地に点在する産業遺産
○産業遺産の保存活用には目的の明確化が必要
( 3 )
③“九州はひとつ”に向けた地域間連携の促進
○“感動がある。物語がある。九州”に向けた“遊学”ムーブメントの創出
○外国人観光客の受入に向けた観光基盤づくり
○遊学アイランド九州ネットワーク(仮称)の構築
第1章 九州観光の現状と環境変化
第1章
九州観光の現状と環境変化
1.九州における観光の現状
近年の九州観光の現状を各種文献からみると、日帰り客数は概ね増加し、県境を越え
て広域的な人的交流は活発化しているが、宿泊客数は全体として減少傾向にある。また、
これまで九州観光を支えてきたテーマパークも苦戦するなど、厳しい状況がみられる。
(1)伸び悩む宿泊客数と観光消費額
各県の観光統計によると、九州全体の入込客数は年々増加し 2003 年は 1998 年比 11.7%
増となっているが、2004 年は上陸が相次いだ台風の影響があり、2003 年比 0.8%減とな
っている。
また、宿泊客数は伸び悩んでおり、2004 年は 1998 年比 6.4%減となっている。
図表 1-1
日帰り、宿泊別入込客数の推移
(百万人)
300
250
200
150
日帰り客数
100
50
0
1998
宿泊客数
99
2000
01
注)宮崎県は宿泊客統計無く省略
02
03
04
鹿 児 島 県 は 2001 年 ま で 県 外 宿 泊 客 の み の 為 省 略
資料)各県観光統計
図表 1-2
九州各県の入込客数(2004 年)
注)各県により推計方法は異なる
資料)各県観光統計
- 1 -
第1章 九州観光の現状と環境変化
また、この間の宿泊客数の県別推移を、1998 年を 100 とする指数でみた場合、2004 年
では、福岡県が 2.2 ポイントとわずかに増加しているが、その他の県は減少している。
図表 1-3
県別宿泊客数の推移
(1998 年=100)
110
105
福岡県
100
大分県
鹿児島県
熊本県
95
90
長崎県
85
佐賀県
80
1998
99
2000
01
02
03
04
資料)各県観光統計(除く宮崎県)
同様に、観光消費額の推移をみると、宿泊客数の減少や旅行に対する安近短志向から、
九州全体では伸び悩んでいる。各県別にみると、福岡県、大分県で増加しているが、そ
の他の県は減少している。また、2004 年を前年比でみると、福岡県が 9.1 ポイント、鹿
児島県が 3.9 ポイント増加している。
図表 1-4
観光消費額の推移
(1998 年=100)
125
福岡県
120
115
110
105
大分県
100
九州全体
鹿児島県
95
90
長崎県
熊本県
佐賀県
85
80
宮崎県
75
1998
99
2000
注)鹿児島県は宿泊者のみ
資料)各県観光統計
- 2 -
01
02
03
04
第1章 九州観光の現状と環境変化
(2)九州観光を支えてきたテーマパークの苦戦
主要観光地の入込客数をみると、1980 年には古くからの温泉地である別府が 1,200 万
人を超えて最も多く、次いで福岡、鹿児島が上位となっていた。しかし、1995 年になる
と福岡にキャナルシティ博多や岩田屋 Z-SIDE など大規模商業施設が相次いでオープン
し、同市の入込客数は 1,500 万人を超え最も多くなっている。その後 2004 年では、そ
れまで順調に増加傾向にあった阿蘇地域が 1,600 万人を超え、最も多くなった。これは、
阿蘇ファームランドや阿蘇ミルク牧場など地域産業を生かしたファームパークの存在
が要因とみられる。
佐世保は 1992 年に滞在型テーマパークのハウステンボス、玉名・荒尾は 1998 年に大
型商業施設であるセキアヒルズが開業し何れも増加していたが、大型施設の集客力低下
に伴い、2000 年以降低迷している。また、鹿児島は 2004 年 3 月の九州新幹線鹿児島ル
ートの部分開業により、2004 年では前年比 6.2%増加している。一方、古くからの温泉
地である別府や指宿、従来の観光都市であった長崎、宮崎などは伸び悩んでいる。
このように、これまで九州観光地の入込客増加には、商業施設やテーマパークなど大
規模集客施設の立地が大きく影響し、九州観光を支えてきたと考えられる。
図表 1-5
主要観光地別にみる入込客数の推移
(万人)
2000
福岡
1500
別府
北部九州
大宰府
1000
佐世保
長崎
湯布院
500
佐賀
0
(万人)
1980
85
90
95
2000
04
2000
阿蘇
1500
南部九州
鹿児島
玉名・荒尾
1000
熊本
宮崎
500
指宿
0
1980
85
90
95
2000
資 料 ) 九 州 経 済 調 査 協 会 「 図 説 九 州 経 済 」、 各 市 町 統 計 等
- 3 -
04
第1章 九州観光の現状と環境変化
九州における年間 50 万人以上の集客力を持つ主要なテーマパークの動向をみると、
2004 年度は台風上陸、猛暑などによる悪天候が影響し、入場者数が減少している施設が
多い。そのなかで、“自然体験”をテーマとした阿蘇ファームランドは毎年着実に増加
し、プロ野球の入込客を含んでいるホークスタウンを除くと最も多い 422 万人を集客し
ている。同施設は、宿泊施設の利用が浸透していることに加え、九州・沖縄の本格焼酎
3 千種類を集めた焼酎蔵を新設するなど、客のニーズや時流に合わせたリニューアルが
リピーターを呼び込んでいるとみられる。
また、明治・大正の街並みに加え、海峡ドラマシップや九州鉄道記念館が開館した門
司港レトロ地区は 2003 年度比 20.6%増、有田焼、伊万里焼をメインテーマに観光酒蔵
「のんのこの郷」を併設している有田ポーセリンパークが同 15.0%増となり、地域産業
やその変遷をテーマに取り入れた施設が高い伸びを示している。
一方で、九州を代表してきたシーガイアやハウステンボス、スペースワールド等の大
型テーマパークでは利用客の低迷、過大な初期投資の返済負担から経営が破たんし、民
事再生法の適用を受け、再生に向けた取組みがなされている。
図表 1-6
主要テーマパークの年間入場者数の推移
施設名
所在地
スペースワールド
2002 年 度
福岡県北九州市
184.0
2003 年 度
単位:万人
前年増減率
2004 年 度
165.0
増減率は%
前年増減率
180.0
▲ 2.2
▲ 8.3
204.7
211.5
3.3
255.0
20.6
1,905.0
2010.0
5.5
1904.0
▲ 5.3
門司港レトロ地区
福岡県北九州市
ホークスタウン
福岡県福岡市
吉野ヶ里歴史公園
佐賀県三田川町他
59.2
47.1
▲ 20.4
41.5
▲ 11.9
有田ポーセリンパーク
佐賀県有田町
30.0
42.8
42.6
49.2
15.0
ハウステンボス
長崎県佐世保市
279.0
215.0
▲ 22.9
202.0
▲ 6.0
西海パール・シー・リゾート
長崎県佐世保市
114.5
120.7
5.4
121.4
0.6
アフリカンサファリ
大分県宇佐市
52.8
45.0
▲ 14.8
48.4
7.6
城島後楽園ゆうえんち
大分県別府市
71.3
64.0
▲ 10.2
57.4
▲ 10.3
三井グリーンランド
熊本県荒尾市
116.6
110.0
▲ 5.7
108.4
▲ 1.5
阿蘇ファームランド
熊本県南阿蘇村
392.0
405.0
3.3
422.0
4.2
みやざき綾・酒泉の杜
宮崎県綾町
92.2
91.0
▲ 1.3
89.1
▲ 2.1
資 料 ) 財 界 九 州 社 「 月 刊 財 界 九 州 」( 2005 年 7 月 )
図表 1-7
施設名
スペースワールド
主要テーマパークの再建への動き
事業主体
加森観光(札幌市)
概要
2005 年 5 月 に 民 事 再 生 法 申 請 し 、8 月 に 加 森 観 光 へ 経 営 譲 渡 。
2006 年 春 に 新 ア ト ラ ク シ ョ ン を 導 入 す る 予 定 。
福岡ヤフージャパン
コロニー・キャピタル
ドーム
ハウステンボス
長崎オランダ村
2004 年 3 月 、 福 岡 ド ー ム 球 場 が 親 会 社 の ダ イ エ ー か ら 米 投 資
会社コロニー・キャピタルに売却、名称変更。
野 村 プ リ ン シ パ ル・フ ァ
2004 年 6 月 ハ ウ ス テ ン ボ ス の 更 生 計 画 が 東 京 地 裁 か ら 認 可 。
イナンス
温浴施設を新設し、宿泊客増加を目指す。
CAS ジ ャ パ ン
2001 年 に 閉 鎖 し た 長 崎 オ ラ ン ダ 村 跡 地 を 利 用 し 、2005 年 3 月
観 光 施 設「 CAS ビ レ ッ ジ 」を 開 業 す る も 、10 月 自 己 破 産 申 請 。
シーガイア
リ ッ プ ル ウ ッ ド・ホ ー ル
2001 年 買 収 。 ス タ ー ウ ッ ド 、 リ ッ プ ル ウ ッ ド 、 ト ゥ ル ー ン ゴ
ディングス
ル フ の 3 社 体 制 で 運 営 。 35 億 円 を 投 じ 温 泉 施 設 を 建 設 。
注 ) 2005 年 10 月 現 在
資料)新聞記事等
- 4 -
第1章 九州観光の現状と環境変化
(3)突出した魅力が少ない九州観光
九州・山口経済連合会が実施した「九州観光に関するアンケート調査 1 」によると、九
州への旅行意向については、「ぜひ行きたい」(34.2%)、「行きたい」(41.6%)の回答
を合わせると 7 割以上が「行きたい」という意向を持っている。
一方、九州の魅力については「面白い祭りやイベントがある」
(60.3%)が最も多く、
次 い で 「 歴 史 や 文 化 が 魅 力 が あ る 」( 56.8% )「 魅 力 的 な テ ー マ パ ー ク や 施 設 が あ る 」
(54.9%)となっている。しかし、北海道で 8 割以上の人があげる「自然や風景が美し
い」(96.0%)「おいしい食べ物がありそう」(88.6%)といった強烈な魅力が無い。
図表 1-8
九州旅行の意向
あまり行
きたくない
3.2%
どちらとも
言えない
19.7%
行きたくな
い
1.2%
ぜひ行き
たい
34.2%
行きたい
41.6%
(N=894)
資 料 ) 九 州 ・ 山 口 経 済 連 合 会 「 九 州 観 光 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 」( 2003 年 )
図表 1-9
各地域の魅力に思うところ(九州・北海道・沖縄の比較)
(% )
100
( N = 894・ 複 数 回 答 )
80
九州
60
北海道
40
沖縄
20
資 料 ) 九 州 ・ 山 口 経 済 連 合 会 「 九 州 観 光 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 」( 2003 年 )
1
東 京 、 大 阪 に 住 む 45 歳 ~ 69 歳 女 性 を 対 象 に 、 2003 年 実 施 し た ア ン ケ ー ト 調 査 。 サ ン プ ル 数 894 件 。
- 5 -
非日 常な とき を過 ごせ
そう
リゾ ート とし て魅力 が
ある
のん びり 癒さ れそ う
感動 があ りそ う
遊び に 行 った ら元 気に
な りそ う
お買い 物 が楽 しめ そう
人 と の出 会い やふ れあ
い がありそう
自然 や風 景 が 美しい
好み にあ う旅 館や ホテ
ル があ る
活気 があ る
街歩きや 都市 散策 が楽
し そ う
おい しい 食べ 物があり
そう
魅力 的 なテ ー マパ ーク
や 施設 がある
歴史 や文 化 が 魅力 があ
る
面白 い 祭 りや イベ ント
があ る
0
第1章 九州観光の現状と環境変化
また、「感動がありそう」(25.4%)、「のんびり癒されそう」(22.8%)、「非日常なと
きを過ごせそう」(15.8%)などの旅の動機を左右する項目に弱さがみられる。
したがって、九州観光には7割以上の潜在的な旅行意向があるものの、突出した魅力
が無いため、旅行動機を創出するインパクトに乏しいものと考えられる。九州観光の強
烈なイメージづくりが今後の課題である。
(4)九州観光の魅力は“人”と“人が創り上げてきた観光素材”
同調査にある「九州のイメージワード」として最も多い回答が「元気・健康的」
(47.4%)
で、次いで「人情」(42.1%)「おいしそう」(32.4%)となっており、“人”や“食”に
対するイメージが強いことがうかがえる。
また、前項の調査において、北海道は「自然や風景」、沖縄は「リゾート」が高い 数
値でトップであり、何れも“自然”を活かして魅力を創出しているに対し、九州は「祭
りやイベント」「歴史や文化」など“人”が創り上げてきた観光素材に魅力を感じてい
ることが特徴的である。
このように、九州の魅力である“人”を生かし、観光客に地元の人々とのふれあいや
交流を促す以外にも、“人”の創り上げてきた生活や文化、歴史を感じ、体験できる仕
組みづくりが求められる。
図表 1-10
九州のイメージワード
元気・健康的
47.4
人情
42.1
おいしそう
32.4
楽しい
30.4
のんびり
27.6
綺麗な・美しい
26.1
ロマン
23.7
迫力
20.2
ゆったりした
19.5
癒し
18.9
広々とした
18.8
おだやか
18.6
自由
15.1
さわやか
( N = 894)
4.8
0
10
20
30
40
(%)
資 料 ) 九 州 ・ 山 口 経 済 連 合 会 「 九 州 観 光 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 」( 2003 年 )
- 6 -
50
第1章 九州観光の現状と環境変化
2.九州観光を取り巻く環境変化
これからの九州観光に影響を及ぼす環境の変化として、観光のグローバル化や少子高齢
化の進展、シニアを迎える団塊の世代、ハイモビリティ社会の到来、「九州はひとつ」に
向けた動きなどがあげられる。
(1)大交流時代における観光のグローバル化の進展
地球規模での交流が本格化するなかで、急速に経済成長している近隣の東アジア諸国
との大交流時代が到来し、観光においてもグローバル化が一層進展すると予想される。
九州においても、2004 年の入国外国人数は約 56 万人、そのうち韓国、中国、香港、
台湾からが約 48 万人で 85.8%を占める。この 4 ヵ国からの入国外国人数は、1998 年を
100 とする指数でみた場合、2004 年では 172.4 と増加傾向にあり、なかでも韓国からは
この 5 年間で約 3.5 倍、中国は約 2.2 倍に増加している。さらに、2005 年 9 月、中国
に対する観光ビザの発給対象地域の拡大により、現在の 1 億人から約 3 億 6 千万人の日
本行き観光ビザ申請が可能となったことから、今後も増加傾向は続くと思われる。
しかし、アジア観光客誘致に取組む一方で、主に近代化以降におけるアジア諸国との
歴史認識の違いから様々な課題を抱えている。こうしたジレンマの解決に向けて、日本
が主としてアジア諸地域との交流によって、固有の文化を育んできたという歴史を再認
識し、あるいはアジアの視点から捉え直すことで、アジア諸国との相互理解を深める時
を迎えている。
九州は、古来よりアジア交流の窓口であり、地理的にも近接していることから、その
役割を先んじて担うことが望まれるが、2005 年 9 月に当センターが実施したアンケー
ト調査によると、対海外観光客への取組みに対して、九州内観光交流施設の約半数が「特
に何もしていない」と回答しており、グローバル化に対する観光施設の受入体制整備は
遅れていると考えられる。
図表 1-11
九州への入国外国人数の推移
(1998 年=100)
400
韓国
350
300
250
中国
200
合計
150
香港
100
台湾
50
0
1998
99
2000
01
資料)法務省「入国管理統計年報」
- 7 -
02
03
04
第1章 九州観光の現状と環境変化
(2)少子高齢化の進展とリタイア期を迎える団塊世代
日本の人口は 2006 年頃をピークに減少に転じるとともに、少子高齢化も一段と進行
するとされている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2030 年の九州の
人口は 2000 年を 100 とする指数でみた場合、65 歳以上の高齢者が 140.7 と増加し、14
歳以下が 71.9、15 歳から 64 歳が 80.3 と減少するとされている。また、九州の年齢別
人口構成をみると、2005 年は 50~59 歳が約 102 万人で最も多い。これに含まれる「団
塊の世代」(1947 年~1949 年生まれ)は 2007 年から 60 歳に到達し定年を迎える。
したがって、このような顕著な人口構造の変化が観光に及ぼす影響を把握しながら、
観光戦略を検討していく必要がある。なかでも「団塊の世代」は、戦後のわが国の経済
発展を支え、多様な価値観をもつ高学歴化した年齢層で、新しい観光スタイルを先導す
る需要者であるとともに、地域においては観光需要を支える担い手になると予想される。
つまり、この世代の人々は旅行者であると同時に、観光の受入側において多様な観光
サービスの提供者として活躍するとみられる。
図表 1-12
九州の年齢 3 区分の将来人口(2000 年=100)
142.0
140.2
140.7
131.8
118.3
110.4
65歳以上
150
15~64歳
89.3
95.9
90.7
86.2
83.0
80.3
100
93.4
89.6
86.2
82.0
77.1
50
0
2000年
71.9
0~14歳
05
10
15
20
25
30
資料)国立社会保障・人口問題研究所推計
図表 1-13
九州の年齢別人口構成(2005 年)
(千人)
1200
1000
団塊ジュニア世代
(31歳~34歳)
団塊の世代
(56歳~58歳)
800
男性
600
400
女性
200
0~
4
5~ 歳
1 0 9歳
~
1 5 1 4歳
~
1
2 0 9歳
~
2 5 2 4歳
~
2
3 0 9歳
~
3 5 3 4歳
~
3
4 0 9歳
~
4 5 4 4歳
~
5 0 4 9歳
~
5
5 5 4歳
~
6 0 5 9歳
~
6
6 5 4歳
~
7 0 6 9歳
~
7
7 5 4歳
~
8 0 7 9歳
歳
以
上
0
資 料 ) 住 民 基 本 台 帳 人 口 動 態 調 査 ( 2005 年 3 月 )
- 8 -
第1章 九州観光の現状と環境変化
(3)ハイモビリティ社会の到来と交流人口の増加
九州の交通体系では、九州縦貫自動車道で北九州と鹿児島・宮崎が結ばれ、九州横断
自動車道では長崎と大分が結ばれており、今後、東九州自動車道や熊本県御船と宮崎県
延岡を結ぶ九州横断自動車道などが整備される予定となっている。
鉄道網でも 2004 年 3 月に九州新幹線鹿児島ルートの新八代駅~鹿児島中央駅間が部
分開業し、所要時間が最速で 1 時間 30 分短縮された。全線開通すると博多駅~鹿児島
中央駅間がさらに 50 分短縮され、1 時間 20 分で結ばれることとなる。
さらに、2006 年 3 月には新北九州空港の開港や、九州新幹線長崎ルートの整備も予定
されており、これらの交通インフラの整備によって、九州の南北、東西を近づけ、九州
をひとつの行動圏域として捉えることができる。
図表 1-14
九州の交通体系
九州新幹線による時間短縮効果
~ 2004 年 3 月 特 急 つ ば め
所要時間
3 時 間 40 分 ( 最 短 )
8,270 円 ( 通 常 )
片道料金
4,500 円
(4 枚切符 1 枚当り)
運行本数
1 日 30 本 ( 15 往 復 )
2004 年 3 月 ~ 新 幹 線 部 分 開 通
所要時間
2 時 間 11 分 ( 最 短 )
9,420 円 ( 通 常 )
片道料金
7,800 円
(2 枚切符 1 枚当り)
1 日 61 本
運行本数
( 上 り 31・ 下 り 30)
※運行本数は鹿児島中央駅~博多駅間のみ
2010 年 度( 予 定 )~ 新 幹 線 全 線 開 通
所要時間
1 時 間 20 分 ( 予 定 )
注 ) 片 道 料 金 の 上 段 は 通 常 料 金 。 下 段 は 最 安 料 金 。 2005 年 6 月 現 在 。
- 9 -
第1章 九州観光の現状と環境変化
(4)九州新幹線の全線開通による新たな旅行需要の創出
2010 年度に予定されている九州新幹線鹿児島ルートの全線開通は広域的な人の交 流
を促進する。2004 年度に鹿児島県観光課が実施した「九州新幹線開業関連観光動向調査」
によると、九州新幹線全線開業後の鹿児島までの主な交通手段としては「航空機」が
39.9%と最も多いが、その割合は現状より 4.8 ポイント低い。一方、
「新幹線」は 34.4%
と 2 番目に多く、その割合は現状より 17.5 ポイント高くなっている。
居住地別にみると、九州地区と中国地区で「新幹線」利用が最も多く、中国地区では
6 割以上を占めている。また、関西地区でも 29.8%、東海地区でも 24.3%と現状より割
合がかなり高くなっている。
こうしたことから、九州新幹線鹿児島ルートが全線開業すると、新幹線の利用エリア
が拡大し、新たな旅行需要の創出が期待される。
図表 1-15
全線開業時の利用交通手段
44.7
航空機
39.9
自家用車
新幹線
貸切バス
鉄道(新幹線以外)
レンタカー
路線バス
その他
タクシー
0
34.4
6.0
1.9
2.5
0.8
1.3
0.9
1.3
0.7
1.0
0.6
1.0
0.9
0.1
0.1
船舶
25.2
19.8
16.9
今回調査時(N=32,364)
全線開通時(N=36,339)
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
(%)
資 料 : 鹿 児 島 県 観 光 課 「 九 州 新 幹 線 開 業 関 連 観 光 動 向 調 査 」( 2004 年 )
図表 1-16
九州地区
現在
居住地別にみた全線開業時の利用交通手段
中国地区
全線開通時
現在
関西地区
全線開通時
現在
単位)%
東海地区
全線開通時
現在
関東地区
全線開通時
現在
全線開通時
新幹線
27.0
48.3
37.7
61.4
10.4
29.8
7.3
24.3
5.1
15.8
航空機
5.3
2.6
17.7
12.6
64.6
56.9
74.0
65.7
84.6
79.0
自家用車
50.7
41.6
28.6
20.1
11.4
7.2
7.4
4.8
3.5
2.1
貸切バス
10.1
3.2
10.7
4.2
1.6
0.5
4.1
1.0
1.5
0.4
路線バス
1.7
1.0
0.6
0.2
1.3
0.6
0.3
0.1
0.3
0.2
船舶
1.0
0.1
1.6
0.3
7.1
3.0
4.1
1.8
1.6
0.4
資 料 ) 鹿 児 島 県 観 光 課 「 九 州 新 幹 線 開 業 関 連 観 光 動 向 調 査 」( 2004 年 )
- 10 -
第1章 九州観光の現状と環境変化
図表 1-17
九州新幹線が全線開通した場合の新幹線の利用意向
利用者割合 10%未満
利用者割合 10%~30%未満
利用者割合 30%~50%未満
利用者割合 50%以上
今回の利用者割合
全線開通した場合の利用者
注)鹿児島県を訪れた県外客を対象とした利用意向
資 料 ) 鹿 児 島 県 観 光 課 「 九 州 新 幹 線 開 業 関 連 観 光 動 向 調 査 」( 2004 年 )
- 11 -
第1章 九州観光の現状と環境変化
(5)「九州はひとつ」に向けた九州観光戦略の策定
近年、官民が一体となって「九州はひとつ」という理念を掲げ、地域の自立的かつ一
体的な発展に向けて、具体的な施策を検討し、実践していく動きが出てきている。
観光分野においても、九州地方知事会と九州・山口経済連合会などによって 2003 年
10 月に設立された「九州地域戦略会議」の下に、
「九州観光戦略委員会」が 2004 年 1 月
に設置され、
「九州観光戦略~九州が一体となって取組むべき施策~」を策定、4 本の柱
を掲げている。
さらに、その戦略を実行する中核組織をとして、2005 年 4 月には、九州全体を対象と
する既存の 3 つの機関を統合し、
「九州観光推進機構」を設立している。この機構は、官
民一体で九州観光推進に取組むことを目指し、事業費(予算)の年間 5 億円は九州 7 県
と民間がそれぞれ負担し、機構の職員 20 人も官民から出向しており、「資金と人」を出
し合う画期的な試みとして注目されている。キャッチフレーズを「感動がある。物語が
ある。九州」とし、九州の旅の「自然」「温泉」「食」「歴史・文化」「人情」といった多
彩な魅力を「感動」という言葉で表現し、
「物語」という言葉で九州の奥深さや「何かあ
る」という期待感を表現している。
同機構は以下の戦略に基づき、九州全域の観光ルートづくりやアジアの修学旅行生の
誘致など着実に動き出している。今後、九州観光の推進母体として地域のマネジメント
機関としての役割が期待される一方で、各地域からも様々な提案を行い、官民協働と地
域協働の九州観光推進が期待されている。
図表 1-18
戦略Ⅰ
九州観光戦略
4 本の柱
旅行先としての九州を磨く戦略
~九州への観光客に満足してもらい、リピーター化、サポーター化するための受け皿づくり~
九州においては、それぞれの地域の個性を尊重しながら、住んでいる人も、訪れる人も、皆
が心地よく、楽しめるような地域づくり、質の高い観光の受け皿づくりを推進する。
戦略Ⅱ
国内大都市圏から九州に人を呼び込む戦略
~国内の巨大市場をターゲットに九州への入込を増大~
国内の観光客、とりわけ近年減少傾向にある大都市圏からの観光客に対しては、九州が旅行
目的地として選択されるために効果的な事業を展開して、九州への集客を拡大する。
戦略Ⅲ
東アジアから九州に人を呼び込む戦略
~東アジアでの九州の認知度を高めて入込を増大~
海外の観光客、とりわけ九州に隣接する東アジアの観光客に対しては、まず九州の認知度を
高めるとともに、対象地域の旅行ニーズに応じた諸事業を展開して集客を拡大する。
戦略Ⅳ
九州観光戦略を進める体制づくり
~戦略実行の中核組織「九州観光推進機構」の設立と関係部門間の連携~
強力なリーダーシップを持つ、官民一体、九州一体の推進組織を新たに設立し、行政、観光
連盟、観光事業者、住民などの多様な主体が連携しつつ本戦略を効果的かつ着実に推進する。
資 料 ) 九 州 観 光 戦 略 委 員 会 「 九 州 観 光 戦 略 」( 2004 年 10 月 )
- 12 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
第2章
九州観光における“遊学”の考え方
ここでは、全国的な旅行ニーズの動向と九州の観光施設の現状と課題を整理した上で、
本調査で提案する“遊学”の基本的な考え方を示した。
1.今後重視される観光ニーズ
近年の観光形態の動向から、今後重視される観光ニーズのキーワードを整理す ると、
「テーマ性」「滞在・交流」「学び」の 3 つがあげられる。
(1)地域に根ざした多様なテーマ志向
社会経済生産性本部のレジャー白書(2004 年)アンケート調査 2 によると、旅の訪問
先を「自分の関心や興味を基準に選ぶ」「有名な観光名所や施設を中心に選ぶ」の 2 つ
に分け比べてみると、7 割(73.2%)が「自分の興味や関心」を重視している。これは
個人の関心や興味があるテーマを基準に訪問先を選択するといった「テーマ型観光」へ
の動きにつながるものとして注目される。旅行の同伴者も家族や友人・知人の小グルー
プ化が進んでおり、個人で旅の情報を収集し、目的・テーマを明確にした旅行が今後、
一層増えるものと予想される。
2005 年に設立された九州観光推進機構では、こうした個人旅行のニーズに応えようと、
九州全域を対象としたテーマツアーのモデルルートである「歴史・文化を掘り下げる
うんちく
蘊蓄 の旅」を策定している。2005 年 6 月には 17 ルートを先行提案し、2008 年までの 3
年間で 150 ルートの作成を予定している。九州の特徴である歴史と文化を中心に温泉、
食、人情などテーマに基づき、物語化することで九州を広域に周遊させることを目的と
している。
このように個人客が自分の関心や興味を九州に感じることができる動機付けと して、
九州の特性に応じた多様なテーマの構築が求められる。
図表 2-1
旅の訪問先の選び方
A
B
旅の訪問先は自分
旅の訪問先は有名
36.2
37.0
0.3
19.1
7.3
の関心や興味を基
な観光名所や施設
準に選ぶ
を中心に選ぶ
0%
20%
Aに近い
40%
ややAに近い
60%
無回答
80%
ややBに近い
100%
Bに近い
資 料 ) 社 会 経 済 生 産 性 本 部 「 レ ジ ャ ー 白 書 」( 2004 年 )
2
2004 年 1 月 実 施 。調 査 対 象 を 全 国 15 歳 以 上 男 女 3,000 人( 人 口 5 万 人 以 上 の 都 市 部 )と し 有 効 回 答 数 は 2,450( 回 収 率 81.7% )。
- 13 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
(2)旅先で求められる地元の人々との交流・滞在
団体での移動が多かった従来の観光では「仲間うちで楽しむ」ことが多かったが、最
近では少人数の旅行ニーズが増加したこともあって、地元の人々との交流を求める旅行
者が増えてきている。社会経済生産性本部のレジャー白書(2004 年)によると、「土地
の人との会話や交流を楽しみたい」とする回答が 57.6%と約 6 割となっている。名所旧
跡など観光施設を短期間でまわる従来の見る旅ではなく、その地域内で滞在し、地元の
人々との会話や交流、体験を通して、地域の生活を味わうといった旅を求める傾向が強
まりつつある。こうしたニーズに則した新たな観光形態が体験型観光やグリーンツーリ
ズム 3 である。近年の修学旅行の動向においても、「総合的な学習の時間」との連携によ
り、中学校・高校ともに体験学習の実施率は増加している(図表 2-3)。社会や自然の
生きた知識を身に付けてもらいたいと考えている親や学校が増えており、旅行会社も修
学旅行の体験型企画を取り揃えてきている。
九州各地においても、大分県安心院町の農村民泊に代表されるように、農山漁村に滞
在し体験を通じて、地元の人々と交流し、その生活体験を味わう観光が人気となってい
る。交流を深めることで滞在日数を増加させ、地域への経済効果を向上させるとともに、
観光とは無縁であった農山漁村地域の人々に生きがいや誇りが芽生えている。
また、先にみたように、九州のイメージワードとして「元気・健康的」「人情」が 高
い割合を占めており、九州“人”に対して強いイメージを感じている。九州の強みであ
る“人”が大きく関与する観光交流をより促進し、滞在型観光へシフトしていくことで、
九州の魅力を増進させる必要がある。
図表 2-2
土地の人との交流
A
B
旅先ではなるべく土地
17.4
40.2
0.4
30.3
11.8
旅先ではなるべく仲
の人との会話や交流を
間うちだけで楽しみ
楽しみたい
たい
0%
20%
Aに近い
40%
ややAに近い
60%
無回答
80%
ややBに近い
100%
Bに近い
資 料 ) 社 会 経 済 生 産 性 本 部 「 レ ジ ャ ー 白 書 」( 2004 年 )
3
緑豊かな地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動(農林水産省)
- 14 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
図表 2-3
修学旅行における体験学習実施割合の推移
(%)
70
60
50
中学校
40
30
高校
20
10
0
2001
03
05
資料)日本修学旅行協会「修学旅行のすべて」
- 15 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
(3)知的好奇心を刺激する「学び」の旅への意向増加
社会経済生産性本部のレジャー白書(2004 年)によると、自由時間の意識として、現
状では「休養やくつろぎのための時間」(65.4%)「気晴らしやストレス解消のための時
間」(46.2%)「趣味やスポーツを楽しむ時間」(38.8%)といった「遊び」や「癒し」
を求める傾向にあり、余暇利用に占める割合が高い観光においても同様であると考えら
れる。
しかし、今後の意向(今後-現在)をみると、先述の上位 2 項目は約 14 ポイント減
少するのに対して、「自分の能力向上や学習のための時間」が 9.6 ポイントと最も増加
している。このような「能力向上」「学習」といった“学び”へのニーズの高まりは、
応募者が毎回定員を超える維新ふるさと館(鹿児島市)歴史講座などにも表れている。
こうした背景には、人々が「モノの豊かさ」から「心の豊かさ」に目を向けるように
なり、商品など「物欲」に代わって歴史や生活の知恵といった「知欲」を成長させたい
と感じるようになったこと、それに応じて知的財産など「知」がカネになる時代となっ
たこと、また多様化する現代社会のなかでアイデンティティの確立を求めるようになり、
「自分らしさ」「居住地域への誇り」が芽生えつつあることが考えられる。
現在、“学び”の観光形態として、全国的に注目されているのが産業観光 4 である。産
業観光とは製造業が盛んな中京圏から広がりつつある観光形態で、企業博物館や企業見
学等を通して「ものづくり産業」の心に触れるといった観光である。九州においても、
全国産業観光フォーラムが 2003 年に鹿児島市、2006 年に長崎市で開かれるなど、
“学び”
の観光への注目度は高まっている。
図表 2-4
自由時間意識の「今」と「今後」の比較
(今後-現在)
65.4
休養やくつろぎのための時間
気晴らしやストレス解消のための時間
50.7
46.2
32.1
-14.7
-14.1
38.8
趣味やスポーツを楽しむ時間
9.2
48
12.2
16.6
自然に親しむための時間
4.4
42.9
41.8
家族と過ごすための時間
-1.1
32.8
30.7
友人・知人と過ごすための時間
-2.1
17.8
健康の維持や増進のための時間
9.4
27.2
11.6
自分の能力向上や学習のための時間
5.7
8.9
地域活動やボランティアのための時間
0
10
20
30
9.6
現在
今後
21.2
40
50
60
3.2
70
(% )
資 料 ) 社 会 経 済 生 産 性 本 部 「 レ ジ ャ ー 白 書 」( 2004 年 )
4
歴 史 的 ・ 文 化 的 価 値 の あ る 産 業 文 化 財 ( 古 い 機 械 器 具 、 工 場 遺 構 な ど の い わ ゆ る 産 業 遺 産 )、 生 産 現 場 ( 工 場 、 工 房 等 ) 及 び 産
業 製 品 を 観 光 資 源 と し 、そ れ ら を 通 じ て も の づ く り の 心 に 触 れ る と と も に 、人 的 交 流 を 促 進 す る 観 光 活 動 ( 須 田 寬「 産 業 観 光 読 本 」)
- 16 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
また、2005 年 10 月、108 年ぶりの国立博物館として「九州国立博物館」が福岡県太
宰府市に開館した。明治期に相次いで建てられた東京、奈良、京都に続く 4 館目となる。
同館の来館者数は、開館記念特別展「美の国日本」(開催期間 43 日)で延べ約 62 万 8
千人に上り、開館半年で 17 万人としていた当初予想を約 1 カ月半で大幅に上回ったこ
とになる。このまま順調に推移すると、東京国立博物館の入館者数、約 152 万人(2004
年度)をも超える勢いである。開館景気があるとは言え、土日祝日では 2 万人を超すこ
ともあり、周辺道路の渋滞が深刻化するなど、その爆発的な人気は受入側も想定外であ
った。また、同館が開館する前後 1 カ月の間に、九州では博物館の開館、リニューアル
が相次いだ。2005 年 10 月、尚古集成館(鹿児島市)がリニューアルオープン、11 月に
長崎歴史文化博物館(長崎市)が開館し、何れも入館者の出足は好調であるという。今
後も出島、熊本城の復元整備、北九州産業技術博物館の開館などが予定されている。
こうした博物館・資料館以外にも、九州には明治維新及びその後の殖産興業の大きな
原動力となった過去から、先端産業に至る現在までを物語る産業遺産が多く存在する。
この産業遺産には先人が創り上げてきた知恵や技術が集約されており、未来に向けた人
材育成の視点からもその背景や成り立ちを学ぶ意義は大きく、近年、石炭鉱業が生んだ
軍艦島(長崎市)や三池炭鉱万田坑(熊本県荒尾市)などが注目を浴びている。
このように、九州における“学び”の環境は変化してきており、高まりつつある“学
び”の旅行ニーズに対応できる素材を十分有していると考えられる。
図表 2-5
開館日
九州各県で開館する博物館・資料館
施設名
所在地
テーマ等
2004 年 4 月
西都原考古博物館
西都市(宮崎県)
旧石器時代と縄文時代
2004 年 8 月
佐賀城本丸歴史館
佐賀市
幕末維新期の佐賀
2005 年 10 月
尚古集成館(リニューアル)
鹿児島市
海洋国家薩摩と集成館事業
2005 年 10 月
九州国立博物館
太宰府市
アジアとの文化交流
2005 年 11 月
長崎歴史文化博物館
長崎市
近世長崎の海外交流史
2006 年 4 月
出島和蘭商館跡(復元整備)
長崎市
出島復元の短中期計画の一環
2006 年 11 月( 予 定 ) 北 九 州 産 業 技 術 博 物 館
北九州市
産業技術と先人の知恵の伝承
2007 年 ( 予 定 )
熊本市
築 城 400 年 に 向 け て 本 丸 復 元
熊本城(復元整備)
注)出島和蘭商館跡はカピタン部屋、乙名部屋、拝礼筆者蘭人部屋、三番蔵、水門の 5 棟
資料)新聞記事等
九州国立博物館
長崎歴史文化博物館
- 17 -
尚古集成館(反射炉模型)
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
2.九州の観光交流施設の現状と課題
~「観光と教育・学習についてのアンケート調査」結果
これまでみたように、「テーマ性」「滞在・交流」「学び」の旅行ニーズが重視されつ
つあるが、一方で、受入側である九州の観光交流施設はどのように対応しているのであ
ろうか。現状と課題の把握を目的として、アンケート調査を行い、以下の3つについて
みてみた。
①施設利用者の居住地分布と今後のターゲット
②教育・学習テーマ分野と展示・体験内容
③地域における連携の現状と問題点
なお、九州の観光交流施設について、テーマパーク、リゾート施設、動物園など集客を
目的とした「観光集客施設」、ものづくりの現場を見学できる体制が整っている工場や、体
験を目的とした「工場見学・体験施設」、文化財等の保存や教育・学習への活用を目的とし
た「資料館・博物館」の3つに分類し、それぞれについての分析も加えている。
図表 2-6
現状と課題のまとめ
①施設利用者の居住地分布と今後のターゲット
○九州の域内交流割合が約7割を超え高くなっており、なかでも「工場見学・体験施設」
「博物館・資料館」の来訪者についてはその傾向が顕著である。
○今後想定する主なターゲット層は「学生」と「ファミリー層」が多い。「工場見学・
体験施設」については会社関係団体の割合も比較的高くなっている。
○海外観光客に対し「特に何もしていない」とする回答が約5割あり、対応の遅れが目
立ち、この傾向は施設特性別でも大きな差はみられない。
○海外観光客集客のポイントは「日本らしいテーマ」
「交流の歴史」
「先端技術」である。
②教育・学習のテーマと展示・体験内容
○教育・学習のテーマは「歴史・産業変遷」が最も多く、次いで「自然体験」「伝統芸
能・工芸」が多く、各施設が何らかのテーマを有していることがうかがえる。
○テーマの伝達手段は「人による交流・解説」を約 6 割、
「体験メニューの提供」を約 4
割の施設が行っている。
③地域における連携の現状と問題点
○地域の連携先は「行政・公的団体」が最も多いが約 4 割にとどまっており、「市民団
体・NPO」との連携が最も低く、連携が進んでいない現状がうかがえる。
○地域連携における問題点は「マネジメント機関の不在」「議論の場が無い」が多く、
施設特性別でも大きな差はみられない。連携促進に向けては「マネジメント機関」と
「議論の場」の形成がまず求められる。
- 18 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
図表 2-7
「観光と教育・学習についてのアンケート調査」概要
①調査の目的
“遊学”の方向性検討の材料とするため、観光交流施設としてリストアップされた施
設を対象に、施設利用者の居住地分布と今後のターゲット、教育・学習テーマ分野と展
示・体験内容、地域における連携の現状と問題点等を把握することを目的として実施し
た。
②調査対象
九州・山口経済連合会「見体験九州」、日本観光協会「観光情報データベース」、各県
観光関係資料をもとに、対象地域の九州7県内観光交流施設 419 ヵ所を施設特性別に抽
出し、これを対象とした。このため、本アンケート調査の対象は、原則として一般の利
用・見学を実施している施設であり、観光客や見学者の利用に対する体制が一定に整っ
ているものと考えられる。
注)観光交流施設=観光集客施設+工場見学・体験施設+博物館・資料館
< 調 査 対 象 ( 観 光 交 流 施 設 419 ヵ 所 ) 内 訳 >
施設特性区分
観光集客施設
特性
発送数
テ ー マ パ ー ク 、リ ゾ ー ト 施 設 、動 物 園 な ど 集 客 を
98
目的とした施設
工場見学・体験施設
ものづくりの現場を見学できる体制が整ってい
173
る工場や、体験を目的とした施設
博物館・資料館
文 化 財 等 の 保 存 や 教 育・学 習 へ の 活 用 を 目 的 と し
148
た施設
③調査方法
郵送による調査票配布・回収
④調査実施期間
2005 年 9 月 12 日(月)~2005 年 9 月 26 日(月)
⑤回収数・回収率
有効回答数 261 ヵ所(回収率 62.3%)
<県別・施設特性別内訳>
施設特性区分
観光集客施設
福岡
佐賀
長崎
大分
熊本
宮崎
鹿児島
計
15
5
13
7
10
7
16
73
27
10
5
11
19
9
15
96
博 物 館・資 料 館
18
19
12
4
13
7
19
92
計
60
34
30
22
42
23
50
261
工場見学・
体験施設
※本調査の調査票、回答先一覧は資料編に掲載している
- 19 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
(1)来訪者の現状と今後のターゲット
①高い九州の域内交流割合
施設利用者の居住地については、県内、九州(県内を除く九州地域)、国内(九州 地
域を除く国内)、海外の 4 項目の割合を聞いた。この割合に 2004 年度の入場者数をかけ
て概算で算出した。
これによると、全体では県内が 39.9%と最も多く、次いで県内を除く九州内が 29.2%、
九州を除く国内が 23.7%、海外が 7.3%となっており、約 70%の利用者が県内、九州内
から訪れていることがわかる。
また、施設特性区分別にみると、観光集客施設では全体の割合と比べて、県内の割合
が小さく(32.6%)、それ以外からの利用者割合は大きくなっている。一方、工場見学・
体験施設では県内、九州内の割合が高く、約 9 割を占めている。また、博物館・資料館
では全体の割合と比べて、県内の割合は 5 割を超えて高いものの、県内を除く九州内の
割合は 24.5%と低い。
こうした結果から、九州内の観光交流施設では九州内での交流割合が高く、なかでも
工場見学・体験施設、博物館・資料館ではその傾向がより強いことがうかがえる。
図表 2-8
県内
全体
施設利用者の居住地
九州内(県内を除く)
39.9
観光集客施設
( N = 216)
国内(九州を除く)
29.2
32.6
23.7
30.7
工場見学・体験施設
20
9.5
26.2
52.7
0
7.3
27.2
65.6
博物館・資料館
海外
24.5
40
60
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 20 -
6.4
1.8
21.2
80
1.6
100
(% )
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
②今後の主なターゲットは「学生」と「ファミリー層」
九州の観光交流施設が今後集客する際に、主なターゲットとして重視している客層は、
「学生(小、中、高、大学)」が 74.2%で最も多く、次いで「子供連れのファミリー層」
(57.0%)、「会社関係団体(視察・レク研修含む)」(30.9%)となっている。一方で、
「海外の観光客」は 12.9%と最も低くなっている。
施設特性区分別にみると、観光集客施設では「学生(小、中、高、大学)」(68.5%)
と「子供連れのファミリー層」(68.5%)が同順位で最も多くなっているのに対し、工
場見学・体験施設では「会社関係団体(視察・レク研修含む)」(43.8%)が「子供連れ
のファミリー層」(42.7%)よりも高くなっている。また、資料館・博物館では約 9 割
が「学生(小、中、高、大学)」をターゲットとしている。
こうした結果から、九州内の観光交流施設が今後の主なターゲットとして想定してい
る客層は「学生」「ファミリー層」とする傾向が強いことがうかがえる。
図表 2-9
今後想定する主なターゲット ( 複 数 回 答 : N = 261)
74.2
学生(小、中、高、大学)
子供連れのファミリー層
57.0
30.9
会社関係団体(視察・レク研修を含む)
65歳以上の高齢者
25.8
リタイア期を迎える団塊の世代
25.8
22.3
20代、30代の独身男女
12.9
海外の観光客
0
10
20
30
40
50
60
70
80
(%)
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
図表 2-10
施設特性区分
施設特性別にみた主なターゲット ( 複 数 回 答 : N = 261)
1位
2位
3位
4位
5位
リタイア期を迎
観光集客施設
( N = 73)
学 生( 小 、中 、高 、
子供連れの
大学)
ファミリー層
(68.5% )
(68.5% )
65 歳 以 上 の
海外の観光客
高 齢 者 (27.4% )
(24.7% )
える団塊の世代
(23.3% )
20代 、30代 の 独 身
男 女 (23.3% )
工場見学・体験施設
( N = 96)
博物館・資料館
( N = 92)
学 生( 小 、中 、高 、会 社 関 係 団 体( 視
大学)
察・レ ク 研 修 を 含
子供連れの
ファミリー層
(58.3% )
む ) (43.8% )
(42.7% )
学 生( 小 、中 、高 、
子供連れの
リタイア期を迎
大学)
ファミリー層
える団塊の世代
(91.3% )
(59.8% )
(27.2% )
注)観光集客施設の 1 位、2 位は同率、上位3位までを色付きで表示
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 21 -
20代 、30代 の 独 身
男 女 (26.0% )
65歳 以 上 の
高 齢 者 (26.1% )
リタイア期を迎
える団塊の世代
(25.0% )
会 社 関 係 団 体( 視
察・レ ク 研 修 を 含
む ) (22.8% )
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
③海外観光客の対応の遅れ
先にみたように、現状では来場者数に占める海外観光客の割合は低く、観光交流施設
においても今後のターゲットとしての位置付けは低い。本調査で海外観光客への対応内
容を聞いた項目でも、50.8%の施設が「特に何もしていない」と回答しており、観光の
グローバル化への九州の観光交流施設の対応は遅れていると考えられる。
海 外 観 光 客 へ の 対 応 と し て は 、「 多 言 語 表 示 の パ ン フ レ ッ ト を 作 成 し て い る 」 が
35.7%で最も多く、多言語の「案内表示」「展示パネル」「ホームページ」「多言語が話
せるガイドの設置」については 20%未満となっている。
図表 2-11
海外観光客への対応状況 ( 複 数 回 答 : N = 261)
35.7
多言語表示のパンフレットを作成している
16.3
施設内に多言語の案内表示をしている
14.3
多言語表示の展示パネルを作成している
8.5
多言語表示のホームページを開設している
7.8
多言語が話せるガイドを配置している
50.8
特に何もしていない
0
10
20
30
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 22 -
40
50
60
(%)
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
④海外客集客のポイントは「日本らしさ」「交流の歴史」「先端技術」
来 訪 者 数 に 占 め る 海 外 観 光 客 の 割 合 を み る と 、「 長 崎 県 立 対 馬 歴 史 民 俗 資 料 館 」
(50.0%)が最も多く、次いで「アサヒビール㈱博多工場」
(40.0%)、
「阿蘇お猿の里・
猿まわし劇場」(30.0%)、「太宰府天満宮」(25.0%)となっている。
これらの施設の特徴をみると、「長崎県立対馬歴史民俗資料館」は“日韓交流の歴史”
をテーマとしており、韓国と地理的にも近接することから韓国観光客を中心に訪れてい
るものと考えられる。また、食品加工の現場を見せる「アサヒビール㈱博多工場」では、
“先端技術”に興味を持つ海外観光客の割合が高まってきており、一方、「阿蘇お猿の
里・猿まわし劇場」では日本列島に続いた“日本らしい”伝統芸能である猿まわしをテ
ーマに海外営業を行っている。
このように海外観光客の割合が高い施設の特徴をみると、「日本らしさ」や「交流 の
歴史」、「先端技術」が海外観光客の集客ポイントとなると考えられる。
図表 2-12
順位
海外観光客の割合ランキング上位 10
海外観光客
施設名
の 割 合( % )
所在地
総入場者数
(人)
1
50.0
長崎県立対馬歴史民俗資料館
長崎県対馬市
23,605
2
40.0
アサヒビール㈱博多工場
福岡県福岡市
111,000
3
30.0
阿蘇お猿の里、猿まわし劇場
熊本県南阿蘇村
270,000
4
25.0
太宰府天満宮
福岡県太宰府市
6,000,000
5
15.0
水前寺成趣園
熊本県熊本市
6
12.0
ハウステンボス
長崎県佐世保市
桜島ビジターセンター
8
10.0
555,000
2,020,000
鹿児島県鹿児島市
63,612
知覧武家屋敷庭園
鹿児島市知覧町
305,688
屋久島世界遺産センター
鹿児島県屋久町
10,448
長崎県長崎市
10,368
三菱重工業株式会社
長崎造船所史料館
注)各施設の回答結果をもとに作成
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
図表 2-13
海外観光客の割合が高い施設の特徴
○宗家文庫史料を中心とする古文書や遺跡など対馬に残る歴史的文化遺産の保存
長崎県立対馬歴史民
俗資料館
を目的に建設され、対馬の歴史を紹介する資料館である。
○1階展示室では、日韓交流の歴史を中心に、朝鮮国信使絵巻や草染倭館絵図な
ど時代ごとにわかりやすく紹介している。
○猿まわしは、日本列島に千年続いた伝統芸能であり、猿の調教法を科学的に解
明・確 立 し 広 く 社 会 に 公 開 し 、
「 人 間 の 進 化 の 解 明 」の 共 同 研 究 等 に も 協 力 、
「笑
阿蘇お猿の里・猿ま
わし劇場
いと感動」をテーマに自然界の共生を目指している。
○ 熊 本 県 内 300 の 観 光 施 設 、 宿 泊 施 設 等 に タ イ ア ッ プ 割 引 券 等 を 設 置 し て い る 。
熊本県外国人誘致連絡協に入会し、海外営業等に参加している。
注)各施設の回答結果をもとに作成
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 23 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
(2)教育・学習のテーマと展示・体験内容
①教育・学習テーマは「歴史・産業変遷」「自然体験」「伝統芸能・工芸」が多い
観光交流施設における教育・学習テーマは「歴史・産業変遷」が 34.2%、次いで「自
然体験」(22.3%)、「伝統芸能・工芸(陶磁器・織物等)」(21.9%)となっている。一
方、「教育・学習に関わるテーマは特に無い」とした割合は 5.4%にとどまっている。
施設特性別にみると、観光集客施設では「自然体験」(47.9%)が最も多く、次いで
「歴史・産業変遷」(34.2%)、「伝統芸能・工芸(陶磁器・織物等)」(21.9%)となっ
ている。また、見学工場・体験施設では、「食品加工」(30.2%)が最も多く、「環境・
リサイクル」(25.0%)、「先端産業技術」(22.9%)となっており、“産業”に関連する
テーマが多いことが特徴である。博物館・資料館では、「歴史・産業変遷」(53.3%)が
最も多く、次いで「伝統芸能・工芸(陶磁器・織物等)」(20.7%)となっており、地域
に密着した歴史や文化を紹介する施設が多いことがうかがえる。
図表 2-14
教育・学習のテーマ ( 複 数 回 答 : N = 261)
歴史・産業変遷
34.2
自然体験
22.3
伝統芸能・工芸(陶磁器・織物等)
21.9
環境・リサイクル
16.2
食品加工
13.8
先端産業技術
5.0
交通(鉄道・港湾等)
3.1
文学
2.7
宇宙
2.3
教育・学習に関わるテーマは特に無い
5.4
0
5
10
15
20
25
30
35
40
(%)
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
図表 2-15
施設特性区分
施設特性別にみた教育・学習のテーマ ( 複 数 回 答 : N = 261)
1位
2位
3位
4位
5位
伝統芸能・工芸
観光集客施設
自然体験
歴史・産業変遷
( N = 73)
( 47.9% )
( 34.2% )
( 陶 磁 器 ・ 織 物 環 境・リ サ イ ク ル
等)
( 13.7% )
食品加工
( 9.6% )
( 21.9% )
伝統芸能・工芸
工場見学・体験施設
食品加工
( N = 96)
( 30.2% )
環 境・リ サ イ ク ル ( 陶 磁 器 ・ 織 物
( 25.0% )
等)
自然体験
歴史・産業変遷
( 10.4% )
( 15.6% )
先端産業技術
( 22.9% )
( 10.4% )
伝統芸能・工芸
博物館・資料館
歴史・産業変遷
(陶磁器・織物
自然体験
環 境・リ サ イ ク ル
宇宙
( N = 92)
( 53.3% )
等)
( 14.1% )
( 8.7% )
( 6.5% )
( 20.7% )
注)上位3位までを色付きで表示
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 24 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
②伝える手段として多い「人による交流・解説」「体験メニューの提供」
教育・学習テーマを伝える展示や体験の内容としては、「ガイドや解説員など、人 と
の交流による解説を行っている」が 65.0%で最も多く、次いで「触れる、試すことがで
きる体験メニューを提供している」(45.3%)、「展示物のストーリー紹介映像やアーカ
イブ映像などを提供している」(32.7%)となっている。
これを施設特性別にみると、工場見学・体験施設では「ガイドや解説員など、人との
交流による解説を行っている」が 70.8%と最も多くなっている。また、博物館・資料館
では「テーマに関連するイベントや講座、研究会を定期的に開催している」が 45.7%、
観光集客施設で「訪問の事前事後学習が出来るように、インターネット上で解説を行っ
ている」が 30.1%と他の施設区分と比べて多いことが特徴である。
図表 2-16
展示・体験の内容 ( 複 数 回 答 : N = 261)
ガイドや解説員など、人との交流による解説を行っている
65.0
触れる、試すことができる体験メニューを提供している
45.3
展示物のストーリー紹介映像やアーカイブ映像などを提供
している
32.7
テーマに関連するイベントや講座、研究会を定期的に開催
している
29.5
パソコン等記録媒体を設置し、音声や静止画像を通して説
明している
26.4
訪問の事前事後学習が出来るように、インターネット上で解
説を行っている
25.2
新たな展示・体験を検討したいが、コスト面や人材不足等か
ら行うことができない
16.9
0
10
20
30
40
50
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
図表 2-17
施設特性区分
( N = 73)
1位
2位
が で き る 体 験 メ な ど 、人 と の 交 流
ニューを提供し
による解説を行
ている
っている
(54.8% )
(53.4% )
3位
訪問の事前事後
学習が出来るよ
う に 、イ ン タ ー ネ
ット上で解説を
行っている
( N = 96)
な ど 、人 と の 交 流 が で き る 体 験 メ
( N = 92)
5位
展示物のストー
テーマに関連す
リー紹介映像や
るイベントや講
ア ー カ イ ブ 映 像 座 、研 究 会 を 定 期
などを提供して
的に開催してい
い る (26.0% )
る (26.0% )
パソコン等記録
テーマに関連す
リ ー 紹 介 映 像 や 媒 体 を 設 置 し 、音 る イ ベ ン ト や 講
による解説を行
ニューを提供し
アーカイブ映像
声 や 静 止 画 像 を 座 、研 究 会 を 定 期
っている
ている
などを提供して
通して説明して
(70.8% )
(35.4% )
い る (27.1% )
い る (15.6% )
ガイドや解説員
博物館・資料館
4位
(30.1% )
ガ イ ド や 解 説 員 触 れ る 、試 す こ と 展 示 物 の ス ト ー
工場見学・体験施設
70
(%)
施設特性別にみた展示・体験の内容 ( 複 数 回 答 : N = 261)
触 れ る 、試 す こ と ガ イ ド や 解 説 員
観光集客施設
60
テ ー マ に 関 連 す 触 れ る 、試 す こ と 展 示 物 の ス ト ー
な ど 、人 と の 交 流 る イ ベ ン ト や 講
ができる体験メ
に よ る 解 説 を 行 座 、研 究 会 を 定 期 ニ ュ ー を 提 供 し
っている
(63.0% )
的に開催してい
る (14.6% )
パソコン等記録
リ ー 紹 介 映 像 や 媒 体 を 設 置 し 、音
アーカイブ映像
声や静止画像を
的に開催してい
ている
などを提供して
通して説明して
る (45.7% )
(44.6% )
い る (41.3% )
い る (41.3% )
注)観光集客施設、及び博物館・資料館の 4 位、5 位は同率、上位3位までを色付きで表示
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 25 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
(3)地域における連携の現状と問題点
①市民団体・NPOと連携が取れていない現状
地域における連携先としては、「行政・公的団体」が 43.8%で最も多く、次いで「教
育機関(学校、博物館、図書館など)」
「近隣の観光施設」
(36.7%)、
「観光業界団体(観
光連盟・協会など)」「旅行会社」が 32.0%で続いている。一方、「市民団体、NPO」
は 12.9%と最も低く、連携が取れていない状況がうかがえる。また、「特に何もしてい
ない」と回答した施設が 19.5%となっている。
施設特性別にみると、観光集客施設においては、「近隣の観光施設」が 56.2%で最も
多く、次いで「宿泊施設(ホテル、旅館など)」(52.1%)「行政、公的団体」(45.2%)
となっている。見学工場・体験施設では「行政・公的団体」が 40.6%で最も多い一方、
「特に何もしていない」とする回答も 30.2%と比較的高い。また、博物館・資料館では
「教育機関(学校、博物館、図書館など)」が 48.9%で最も多く、次いで「行政・公的
団体」(43.5%)となっている。
図表 2-18
近隣の観光関連施設との連携状況 ( 複 数 回 答 : N = 261)
行政、公的団体
43.8
教育機関(学校、博物館、図書館など)
36.7
近隣の観光施設
36.7
観光業界団体(観光連盟・協会など)
32.0
旅行会社
32.0
宿泊施設(ホテル、旅館など)
29.7
交通機関(電車、バス、船、航空機など)
23.0
市民団体、NPO
12.9
特に何もしていない
19.5
0
10
20
30
40
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
図表 2-19
施設特性区分
施設特性別にみた近隣の観光関連施設との連携状況 ( 複 数 回 答 : N = 261)
1位
2位
3位
宿泊施設
観光集客施設
( N = 73)
近 隣 の 観 光 施 設 ( ホ テ ル 、旅 館 な
(56.2% )
ど)
工場見学・体験施設
行政、公的団体
( N = 96)
(40.6% )
特に何もしてい
ない
( 30.2% )
行 政 、 公 的 団 体 ( 観 光 連 盟・協 会
(45.2% )
など)
旅行会社
(42.5% )
教育機関
旅行会社
(29.2% )
(学校、博物館、 近隣の観光施設
図書館など)
(21.9% )
(22.9% )
観光業界団体
(学校、博物館、 行政、公的団体
図書館など)
5位
(43.8% )
教育機関
( N = 92)
4位
観光業界団体
(52.1% )
博物館・資料館
50
(%)
(43.5% )
近 隣 の 観 光 施 設 ( 観 光 連 盟・協 会
(34.8% )
(48.9% )
など)
(33.7% )
注)上位3位までを色付きで表示
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 26 -
旅行会社
(25.0% )
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
②地域連携における問題点は「マネジメント機関の不在」「議論の場が無い」
近隣の観光関連施設や他の団体との連携に関する問題点として、「連携をマネジメ ン
トする地域機関が無い」とする回答が 31.4%で最も多く、次いで「連携を議論する場や
きっかけが無い」(30.0%)、「当施設に対応する人材が不足している」(25.1%)となっ
ている。一方で、「特に必要性を感じない」も 13.5%となっている。
施設特性別にみると、観光集客施設と資料館・博物館では「連携をマネジメントする
地域機関が無い」が最も多く、工場見学・体験施設においては「連携を議論する場やき
っかけが無い」が最も多い。何れの施設ジャンルにおいてもこの二項目が 1 位、2位と
なっており、「マネジメント機関」と「議論の場」を設けることが地域連携における課
題となっていることがうかがえる。
図表 2-20
近隣の観光施設や他の団体と連携に向けた問題点 ( 複 数 回 答 : N = 261)
31.4
連携をマネージメントする地域機関が無い
30.0
連携を議論する場やきっかけが無い
25.1
当施設に対応する人材が不足している
18.4
経済的なメリットが薄い
15.9
他の施設、団体と利害が一致しない
7.2
近隣の施設や団体活動の内容がわからない
13.5
特に必要性を感じない
0
10
20
30
40
(%)
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
図表 2-21
施設特性別にみた近隣の観光施設や他の団体と連携に向けた問題点 ( 複 数 回 答 : N = 261)
施設特性区分
1位
2位
3位
連携をマネジメ
連携を議論する
当施設に対応す
観光集客施設
ントする地域機
場やきっかけが
る人材が不足し
( N = 73)
関が無い
無い
ている
( 27.4% )
( 23.3% )
( 17.8% )
連携を議論する
連携をマネジメ
当施設に対応す
工場見学・体験施設
場やきっかけが
ントする地域機
る人材が不足し
( N = 96)
無い
関が無い
ている
( 25.0% )
( 20.8% )
( 19.8% )
連携をマネジメ
連携を議論する
当施設に対応す
ントする地域機
場やきっかけが
る人材が不足し
博物館・資料館
( N = 92)
関が無い
無い
ている
( 27.2% )
( 22.8% )
( 21.7% )
注)上位3位までを色付きで表示
資料)九州地域産業活性化センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
- 27 -
4位
経済的なメリッ
トが薄い
( 16.4% )
特に必要性を感
5位
他の施設、団体
と利害が一致し
ない
( 15.1% )
経済的なメリッ
じない
トが薄い
( 18.8% )
( 14.6% )
経済的なメリッ
トが薄い
( 13.0% )
他の施設、団体
と利害が一致し
ない
( 10.9% )
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
3.「遊学」の基本的な考え方
九州観光の現状や課題、環境変化、また今後重視される旅行ニーズからみると、これ
からの九州における観光振興の一つの方策として、
「先人の知恵や技術、文化を楽しみな
がら(遊びながら)学ぶ旅」=“遊学”を推進していくことを提案したい。
図表 2-22
“遊学”の基本的な考え方
九州観光推進の課題
九州観光の現状
・滞在型観光への取組み
・伸び悩む宿泊客と観光消費額
・地域連携によるテーマパークの再活性化
・九州観光を支えてきたテーマパークの苦戦
・インパクトのあるイメージづくり
・突出した魅力が少ない九州観光
・九州“人”や“人が創り上げてきた観光素
・九州観光の魅力である“人”と“人が創り
材”を生かした交流の促進
上げてきた観光素材”
九州観光を取り巻く環境変化
・大交流時代における観光のグローバル化の進展
・少子高齢化の進展とリタイア期を迎える団塊世代
・ハイモビリティ社会の到来と交流人口の増加
・九州新幹線の全線開通による新たな旅行需要の創出
・官民一体となった「九州はひとつ」に向けた九州観光戦略の策定
<“九州遊学”の史実>
<今後重視される3つのニーズ>
学び
遊びながら学べる
観光の推進
滞在・交流
地 域 滞 在 ・拠 点 交 流
の場 の創 出
游学の標
(長崎市)
テーマ性
「九州らしい」テーマ
の構築
○ 遊 学 と は「 故 郷 を 出 て 、他 の 土 地 や 国 に 行 っ
て 学 問 す る こ と 。 留 学 。」( 広 辞 苑 )
○ 鎖 国 時 代 か ら 開 国 時 に か け て 、長 崎 を 中 心 と
○豊富な教育・学習テーマの存在
し た 九 州 は 中 国 、ポ ル ト ガ ル 、オ ラ ン ダ な ど
○九州国立博物館開館など「学ぶ」環境の整備
異 国 の 先 進 的 な 文 化・技 術 を い ち 早 く 習 得 し
○「マネジメント機関・議論の場」構築へのニーズ
ていた。
○体験、交流を通して遊び学ぶニーズの高まり
○古来よりアジアの玄関口である“九州”
○ 全 国 諸 藩 か ら 多 く の 人 々 が 訪 れ 、長 期 滞 在 し
学び、日本の近代化を担う人材に育った。
過去の姿を現代に置き換える
3つのニーズを満たす旅行形態
九州らしい旅
“遊学”の提唱
「先人の知恵や技術、文化を楽しみながら学ぶ旅」
- 28 -
第2章 九州観光における“遊学”の考え方
本来、「遊学」とは、広辞苑によると、「故郷を出て、他の土地や国に行って学問をす
ること。留学。」とされている。歴史を振り返ると、鎖国時代から開国時にかけて、長
崎を中心とした九州は中国、ポルトガル、オランダなど異国の先進的な文化・技術をい
ち早く習得していた地域であり、それを「学ぶ」ために全国諸藩から多くの人々が訪れ
た。本調査では、この過去の姿を現在の観光交流に置き換え、九州の特性を生かした観
光振興策を“遊学”とネーミングした。
一方、現在の旅行ニーズから「学び」「テーマ性」「滞在・交流」をキーワードとして
重視し、九州観光の魅力である“人”や、先人の知恵や技術、文化など“人が創り上げ
てきた観光素材”を“九州らしいテーマ”で再編集し、“楽しみ”“遊び”を加えながら
“学び”に活用することが望まれる。こうした要素を満たす“遊学”を既存の観光資源
と組み合わせつつ、多方面から推進することで、これまで突出したイメージが不足して
いる九州観光にインパクトを与えるものと期待される。
- 29 -
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
第3章
「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
1.「遊学アイランド九州」のイメージ
前章では九州観光の現状と課題、今後重視される観光ニーズから「遊学」の基本的な
考え方を検討した。本章では、こうした考え方を受け地側主導のもと、九州全域に展開
した姿=「遊学アイランド九州」のイメージを検討する。
ここで改めて「遊学」を構成する「遊び」「学び」に着目すると、従来の九州観光 は
これまでみたように、テーマパークや自然景観、温泉を楽しむといった「遊び」や「見
る」要素が強いと考えられる。一方で、教育・学習に活用される博物館や資料館などは
「学び」の要素が強いと考えられる。「遊学」とはこの2つの要素が融合した形態と捉
えることが可能で、現在注目されている産業観光やグリーンツーリズムなども含まれる。
こうした2つの要素をより強め、補完し合うことで、従来の観光資源には新たな魅力
が生まれる一方で、従来観光資源と捉えることが少なかった教育・学習施設の活用が考
えられ、地域一体となった推進が可能となる。また、産業観光やグリーンツーリズムな
ど新たな観光形態も活用し、地域に観光客が滞在可能な受入態勢や、九州らしい学ぶテ
ーマを構築することで、九州全域に人材育成の場が形成され、国内外からの集客や交流
を促進する。
このように、「遊学アイランド九州」を形成することは、「観光」「教育・学習」の両
面から地域経済の活性化に大きく貢献すると考えられる。
図表 3-1
遊学アイランド九州の全体イメージ
教育・学習
(学びの要素が強い)
従来の観光
(遊びの要素が強い)
九州の豊富な
九州の新たな
九州の豊富な
遊びの資源
観 光 形 態( 例 示 )
学びの資源
テーマパーク
産業観光
博物館
名所旧跡
グリーンツ
資料館
温泉
食
ーリズム
産業資源
エコツーリ
教育施設
ズム
自然景観
研究機関
遊学@九州の
目指すべき姿
《地域経済の活性化》
●先人の英知にふれる
人材育成の場の形成
●国内外からの集客や交流
の促進
地域滞在・拠点交流の場の創出
「九州らしい」テーマの構築
最終目標
- 31 -
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
さらに、前頁の平面的なイメージ図を縦軸に「学びの要素」、横軸に「遊びの要素 」
をとり図式化してみると、以下の図のように示される。
これまでみたように、観光客のニーズは個人の関心や興味があるテーマを基準に訪問
先を決定するテーマ型観光へ、見る観光から体験や人との交流を重視した「学ぶ」観光
へと変化してきている。また、2003 年に策定された観光立国行動計画においても、「見
るだけでなく、人々と近づき、新しい経験を積み、生活文化の新たな創造を助け、生き
る知恵と楽しさを広げる観光創造」への取組みが提言されている。こうした変化に応じ
て、九州にしかない多様なテーマを学びながら九州各地に滞在し、地元の人との交流や
体験が可能な受入体制を整備することで、観光客に発見や感動といった付加価値を高め
るとともに、九州観光に厚みを持たせることにつながる。
一方、従来地域の顔として、あるいは地域の教育を担う役割を果たしてきた博物館・
資料館等の教育・学習施設は、従来の学習機能に加え、人と知識の交流を育む場として
の役割がさらに重要視されてきている。この交流をさらに促進する手段として、「遊び
心」を満たす体験メニューや語り部とのふれあいなどを通じ、親しみやすい「学び」の
提供が必要であると考える。2005 年 10 月に開館した九州国立博物館でも「遊び」の要
素を取り入れ、親子で楽しむ参加体験型の展示やワークショップを設けている。
このように「遊学アイランド九州」の形成過程においては、「観光」と「教育・学習」
の概念を融合するだけではなく、それぞれの既存枠を拡張していく仕組みを持たせるこ
とが必要と考える。
図表 3-2
「学び」「遊び」の要素からみた遊学アイランド九州のイメージ
強
体 験 メ ニ ュ ー や 語 り 部 を 通 じ て 、親 し み
や す い「 学 び 」を 提 供 し 交 流 を 促 進 す る
教育・学習
学びの要素
既存枠の拡張
学 ぶ テ ー マ を 設 け 、人 と の 交 流 や 体 験 を
通じて観光客に発見や感動を与える
従来の観光
「見る」だけでは感動
弱
弱
遊びの要素
- 32 -
強
が少ない
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
2.顧客ターゲットの考え方
「遊学アイランド九州」における顧客ターゲットは、テーマ型観光へのニーズが高ま
っていることから、学生からファミリー層、高齢者、海外観光客など多様に捉え、その
なかから“九州に存在するテーマに興味を持つ観光客”をまずは主なターゲットとする
展開が望まれる。例えば、食品加工の現場を見せるアサヒビール博多工場では、食品加
工の先端技術に興味を持つ海外観光客の割合が高まってきており、今後は海外への情報
発信を重視するなど、テーマに基づいた顧客ターゲットへの仕掛けづくりが始まってい
る。
図表 3-3
多様なテーマごとの顧客ターゲット
ターゲット例
テーマ⑤…
テーマ④
小・中・高校生
テーマ③
ファミリー層
テーマ②
団塊の世代
海外観光客
九州らしい
テーマ①
会社関係団体
(視察・レク研修)
多様なテーマの構築
その上で、テーマに関する地域を訪れた観光客が「その地域にしかないもの」「そ の
地域でしかできないもの」を発見し、より深く学ぶことで「感動」を呼ぶ仕組みが必要
となる。九州観光推進機構も「感動がある。物語がある。九州」をキャッチフレーズと
しており、今後の観光ニーズに応えるためには、いかに観光客に「感動」を与えること
ができるかが鍵となると考える。
図表 3-4
「感動」による九州サポーターの創出
九州サポーター
その地域を好きになる
感動
遊びの要素を付加する
深く学ぶことで感動を呼ぶ
学び
遊び
その地域をより深く学ぶ
発見
その地域にしなかいものを知る
その地域でしかできないものを発見する
九州らしいテーマに
関心を持つ九州内外の観光客
口コミによるターゲットの拡大
- 33 -
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
また、観光客の旅行目的として上位にあげられるレジャーなどの「遊び」の要素や、
九州観光の強みである温泉、自然景観、郷土食と結びつけることで、地域への愛着が一
層深まり、満足度の向上につながる。
こうした顧客ターゲットの考え方は短期的な観光客の増加に直結するものではない
が、多様な個性を持つ地域そのものへの理解を深めてもらうことで、九州観光の評価を
高め、“九州サポーター”が増加すると考える。
- 34 -
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
3.
「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
本調査で提案する「遊学アイランド九州」とは最終的にどのような姿なのか、複数の
事例を踏まえ、検討してみた。
現在、九州に特化した産業を表現する場合、「○○アイランド九州」という言葉が よ
く使用されている。半導体の生産シェアが全国の 3 割弱を占める「シリコンアイランド
九州」、近年大手自動車メーカーの積極的な工場進出により完成車の生産台数が増加し
つつある「カーアイランド九州」、盛んな農林水産業を背景にした食糧供給基地として
の「フードアイランド九州」である。これらは全て現時点で既に九州地域に特化してい
る産業群を表象しており、九州のある一地方を表現したものではなく九州全域をイメー
ジできるものである。本調査の「遊学アイランド九州」においても同様に、九州全域に
「遊学」のコンセプトが網羅され、九州全域が遊学に特化したイメージを醸し出すもの
であることが望ましい。
こうした姿は短期間に構築し得るものではなく、九州各地が主体的に取組み、その取
組みを九州全域に増加させ有機的に結びつけるといった長期的な戦略が必要となる。
したがって、目指すべき姿の構築に向けては、領域別に区分した以下のポイントを段
階的に推進し、“資源”段階で解決できない課題を“地域”段階、あるいは“地域”段
階まで含めた課題を“九州全域”で補完していくことで、最終的に遊学アイランド九州
の目指すべき姿に近づくものと考えられる。
次頁より、各領域における目指すべき姿について具体的な検討を行う。
図表 3-5
各領域における目指すべき姿のポイント
観光資源が「遊び」
「学び」の要素をそれぞれに高め、より魅力ある
①資源の目指すべき姿
受入態勢が整備されている
地元住民が参画し、地域滞在・拠点交流の場が創出され、地域内の
②地域の目指すべき姿
観光資源が連携している
③九州全域の目指すべき姿
地域横断的な九州らしい多様なテーマにより、遊学に取り組む地域
が有機的に結びついている
図表 3-6
「遊学アイランド九州」の構成イメージ
九州全域の目指すべき姿
補完する仕組み
段階的に推進
地域の目指すべき姿
資源の目指すべき姿
- 35 -
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
(1)資源の目指すべき姿
遊学の対象となる資源の目指すべき姿の形成に向けては、「遊び」「学び」の両要素を
高める“観光資源の磨き上げ”作業が必要となる。
まず、観光資源について、第Ⅱ章(2)で示した観光交流施設の分類(観光集客施設、
工場見学・体験施設、博物館・資料館)の3つに、産業遺産や歴史遺産など“未活用の
資源”を加えた4つに区分し、
「遊び」
「学び」の要素からみた特徴を示した(図表 3-7)。
また、縦軸に「学びの要素」、横軸に「遊びの要素」をとり図式化し、資源の目指 す
べき姿を示した(図表 3-8)。
事例研究にみるように、
「遊び」が強い観光集客施設は“学ぶテーマ”の設定や交流、
体験を組み込むなどの取組み、一方、「学び」が強い博物館・資料館はエンターテイメ
ント性のある“親しみやすい学び”を提供する取組みが求められる。
また、両要素を兼ね備える見学工場・体験施設は企業が経営している製造現場を見学
可能なスペースを設けているケースが多く、企業秘密に関わる点や案内人不足など受入
体制の充実が課題となっており、両要素をより高める取組みが求められる。同様に、未
活用の資源である産業遺産や歴史遺産、さらに先人の生活文化を伝える文化遺産につい
ても受入体制を整備する必要がある。
このように資源の目指すべき姿に向けては、観光資源を分類、体系化し、「遊」「学」
の視点から磨き上げる取組みが求められる。
図表 3-7
施設特性でみた観光資源の分類
観光集客施設
特徴
例
「遊び」の要素が比較的強い施設
三井グリーンランド遊園地、旭山動物園、ハウステンボス
見学工場・体験施設
特徴
例
「遊び」「学び」の要素を持つ施設
薩摩金山蔵、アサヒビール博多工場(ものづくりの現場を見学、体験できる施設)
博物館・資料館
特徴
例
「学び」の要素が比較的強い施設
九州国立博物館、西都原考古資料館、長崎歴史文化博物館
未活用の資源
特徴
例
潜在的な「学び」の要素がある未活用の資源
産業遺産、歴史遺産、文化遺産
- 36 -
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
図表 3-8
資源の目指すべき姿のイメージ
遊びの要素を高
強
める (事 例 3、4)
目指すべき姿
博物館・
資料館
学びの要素
遊 学 の要 素 をより
高 める (事 例 5)
学びの要素を高
める (事 例 1、2)
見学工場・
体験施設
未活用の
観光集客
資源
施設
弱
弱
図表 3-9
事例 No
強
遊びの要素
事例研究(遊学の要素を高めている観光集客施設)
地域例
ポイント
・太陽光発電、風力発電を用いたエネトピア事業の導入
事例1
三井グリーンランド遊園地
・エネルギー問題や環境問題の教材を提供
(熊本県荒尾市)
・周辺の施設と連携した体験・学習型メニューの構築
・地域の観光資源を周遊する長期滞在型プランの策定
・遊び見るだけではない「旭山方式」と呼ばれる行動展
示を導入
事例2
旭山動物園(北海道旭川市)
・講座やガイドを設けるイベントの積極的な実施
・もぐもぐタイムの実施などによる教育的効果の模索
・学校に出向く出張授業の実施
・従来の常設展示に対して新たな「常新展示」の導入
事例3
西都原考古資料館
・知的好奇心をかき立て見る人を飽きさせない工夫
(宮崎県西都市)
・館内と展示を案内する音声ガイドジャケットの導入
・展示物に直に触れることができるハンズオン展示
・一方的な順路を設けず、来館者が好きな時代や展示品
を自由に見て回り次第にテーマの大枠を学べる仕組み
事例4
九州国立博物館
(福岡県太宰府市)
・参加型体験展示「アジア交流文化体験ゾーン(あじっ
ぱ)」の導入
・遊びながら学べる「知のアミューズメントパーク」
・複製品や実物の感触や匂いまで体感できる展示手法
濵田酒造株式会社
事例5
薩摩金山蔵
(鹿児島県いちき串木野市)
・焼酎の歴史文化を時系列に発信できる3つの蔵の整備
・「本格焼酎」と薩摩の歴史を築いた「金山」との融合
・坑道を利用し江戸時代の「どんぶり仕込み」の再現
・顧客満足度を高める情報発信基地としての機能付加
- 37 -
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
事例1
三井グリーンランド遊園地(熊本県荒尾市)
同施設はゴルフ場、ホテルを併設した九州を代表するアミューズメントパークである。入場者数
は年間 108 万人(2004 年度)で、周辺施設を入れると年間 300 万人の集客がある。その居住別にみ
ると、福岡からの観光客が 5 割、熊本 3 割で、最近では新幹線開業の影響で鹿児島からの観光客が
増えてきている。九州内テーマパークの入場者数が減少しているなか、同施設はほぼ横ばいで推移
しており、その要因の 1 つとして修学旅行生の誘致がある。
修学旅行向けのパンフレット「五感で学ぶ!」を作成し、太陽光発電、風力発電を用いた「エネ
トピア」事業を紹介している。この事業により発電されたエネルギーを一部の遊戯施設の運転に実
用化しており、来園した子供達のエネルギー問題や環境問題に対する教育素材として活用してい
る。また、周辺地域の施設と連携した体験・学習型オプションメニューを設けて、自然環境(地引
き 網 体 験 , カ ヌ ー 体 験 , 阿 蘇 自 然 体 験 ),歴史(石 炭 の歴史とエ ネ ルギーを考 え る,小代焼 体 験)
など学べるコースを設定している。
一方、今後増加する団塊の世代など富裕層対策として、2 週間~1 ヵ月の長期滞在型のプランや 1
泊 2 食ペアで約 14 万円という高額商品を考えており、焼物体験や柳川、熊本など他の地域を周遊
するメニューも加えていく予定としている。
参考資料
事例2
新聞記事、ヒアリング等
旭山動物園(北海道旭川市)
日本の動物園はこれまで、子供向けのレクリエーション施設の 1 つと見なされ、少子化の進展と
ともに入園数も減少してきている。こうしたなか、旭山動物園は日本最北の動物園として 1967 年
に開園し、現在「旭山方式」と呼ばれる「行動展示」が評判になっている。動物にとって快適な環
境を作り、本来の能力や習性を最大限に引き出し、動物観察の楽しさを教えてくれる展示の工夫が
随所に見られるのが特徴である。例えば、水中トンネルで空を飛んでいるように泳ぎ回るペンギン
や、円柱水槽で上下に行き来するアザラシをあらゆる角度から観察でき、入園者は生き生きとした
動物の姿に感動するとともに動物が持っている人間以上の能力を知り理解を深める。
また、動物園 の役割の一つ である「教育 ・学習」に積極的に取り組み、ワンポイントガイドや親子動
物教室、サマ ースクールな ど、園内で様 々な行事を実施している。入園者の相当数を占めると考えら
れるレクリエ ーション目的 の一般来園者 に対しても、何らかの教育的な効果を期待して、動物の食べ
る姿を観察で きる「もぐも ぐタイム」の 実施や、職員が制作した看板の設置などを積極的に行ってい
る。さらに、 保育園や幼稚 園、小中学校 などの団体に対しては、事前の申し込みによるガイドや動物
園職員が学校に出向く出張授業をおこなっている。こうした取組みから 2004 年 7、8 月には月間入園
者数が東京の上野動物園を超えて日本一に輝き、年間では 1996 年の入園者数の 5 倍以上となる 145
万人にまで増え、その魅力が多くのメディアで紹介されている。
参考資料
新聞記事、ヒアリング等
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
事例3
西都原考古資料館(宮崎県西都市)
同館は特別史跡西都原古墳群全体を野外博物館として捉え、その核施設として 2004 年に建設さ
れ た も の で あ る 。「 常 に 新 し い 情 報 を 展 示する」と い う造語とし て 「常新展示 」 という新た な 概念
を取り入れている。この展示には、資料館にある多面的な情報を最大限引き出し、知的好奇心をか
き立て、見る人を飽きさせない工夫がある。それは、人気 TV 番組プロジェクトⅩのドラマのよう
なストーリー性を持たせることで、疑問がまたさらに疑問を呼び、人が自分で何かを発見すること
ができるように導く展示でもある。
歴史を語り継ぐ「語り部」として、学芸員はもとよりボランティアの参加を得た館内展示や屋外
整備古墳等の解説、声は歩く速さにあわせて館内と展示を案内する音声ガイドジャケット、土器や
古墳の模型など展示室に置かれた資料に触ることができるハンズオン展示など画期的な取組みと
して注目されている。また、古代生活体験館では、様々な体験プログラムを通して、自然との共存、
古代人の知恵と工夫、道具の利活用や能力などを学び、文化財愛護の精神と生きる力を身につける
ことができる。
神秘的な空間
参考資料
事例4
音声ガイドジャケット
ハンズオン展示
ヒアリング、宮崎県立西都原考古資料館ホームページ
九州国立博物館(福岡県太宰府市)
同 館 は 「 古 来 よ り 海 外 と の 交 流 の 窓 口で あった九 州」 を切り口 とし て、「日 本文 化の形成 をア ジ
ア史的観点から捉える」を基本理念に据えている。常設展示にあたる文化交流展示「海の道、アジ
アの路」では 5 つのテーマを設け、旧石器時代から江戸末期の開国までを取り上げた。
同館は 19 世紀から 21 世紀にわたる長い時空を経て開館へと至った。1899 年に明治美術の父と称
さ れ た 岡 倉 天 心 が 福 岡 を 訪 れ 、 古 代 か ら 対外交渉の 要 であった九 州 の歴史的な 特 性を指摘。「 九 州
博物館設立」の必要性を提唱した。その後、文化庁が 1996 年、福岡県太宰府市に候補地を決定、
そして 2005 年 10 月の開館へと至っており、九州人が 100 年以上待ち望んだ博物館である。
他の国立博物館と比べ、独自で所有する収蔵品は少ないものの、その特徴的な展示手法で来訪者
を魅了している。まず、館内を自由に歩いてもらうよう「順路」を設けていない。これは、一方的
に決められた順路を単に巡るだけではなく、来館者が好きな時代や展示品を自由に見て回ること
で、次第に展示テーマの大枠を学べるようにしたものである。
もうひとつの特徴は国立博物館では初めての参加型体験展示「アジア交流文化体験ゾーン」であ
る。アジアの原っぱをイメージした造語「あじっぱ」を愛称とし、中国やタイ、インドネシアなど
7 カ国の食器や衣服、楽器を屋台のように並べられ、
「おもちゃ感覚」で手に取り、遊びながら学ぶ
ことができる「知のアミューズメントパーク」と称される。また、唐に運んだとされる「和同開珎
銀銭」の複製品や、日本に持ち込まれた薬物や香料の実物などを展示し、その感触や匂いまでも体
感できる「学校より面白く、教科書より分かりやすい」見せ方を目指している。
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
エントランスホール
九州国立博物館
参考資料
事例5
あじっぱ
ヒアリング、九州国立博物館(写真提供)
濵田酒造株式会社
薩摩金山蔵(鹿児島県いちき串木野市)
濵田酒造は明治元年創業と歴史のある焼酎メーカーで、2000 年 5 月、創業の地である旧市来町か
ら現在の旧串木野市(現 いちき串木野市)に本社工場を移転した。2003 年 3 月にはサントリーと
業務提携を行い、西薩中核工業団地の工場を増設するなど積極的な戦略や設備投資を展開し、県内
第 2 位、国内でも 10 位の売上高を誇る規模へと成長している。
そうしたなか、同社の設備投資が生産量の拡大目的だけに向けられず、
「焼酎の歴史」
「薩摩の文
化」の発信基地としての役割も担っていることに注目したい。
現在、同社には傳蔵院(でんぞういん)蔵、薩洲濵田屋伝兵衛、薩摩金山蔵という 3 つの蔵があり、
そ れ ぞ れ コ ン セ プ ト が 異 な る 。「 傳 蔵 院 蔵」は串木 野 市の西薩中 核 工業団地に 立 地し、主に 麦 を原
料 と し た 焼 酎 を 造 る 「 壱 の 蔵 」、 主 に 芋 を原料とし た 焼酎を造る 「 弐の蔵」が あ り、良品適 価 を目
指 し た 最 新 鋭 の 工 場 で あ る 。 ま た 、「 薩 洲濵田屋伝 兵 衛」は創業 の 地である市 来 町にあり、 明 治元
年の創業以来、伝統技法による手造りの焼酎にこだわっている。
3 つ目が 2005 年 4 月に開業した「薩摩金山蔵」である。実際に採掘場として使用されていた金山
跡地のテーマパーク「ゴールドパーク串木野」閉園後を引継ぎ、総工費約 6 億円をかけ建設したも
ので、創業以前となる江戸時代の焼酎づくりを再現している。
このように、焼酎の製造工程にこだわり、その歴史、文化を時系列に発信できる 3 つの蔵が整備
されているのである。
濵 田 酒 造 の三 つの蔵とコンセプト
傳蔵院蔵
皆様が飲みたい時にすぐ飲め
るような手に取りやすい価格
でおいしい焼酎づくり
濵田酒造
焼酎蔵
薩洲濵田屋伝兵衛
薩摩金山蔵
本格焼酎の本場、薩摩
の歴史をひもとき皆様
が楽しめる焼酎文化蔵
明治元年創業以降、
手づくりにこだわり
続ける焼酎蔵
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
この 3 つの蔵のなかでも、薩摩金山蔵は本格焼酎と薩摩の歴史を築いてきた金山を融合した体験
型施設であり、観光資源としてのポテンシャルも高い。串木野金山の坑道跡には焼酎の仕込み蔵や
熟成するための貯蔵庫を設け、年間を通じて平均気温が 20 度前後という特性を利用し、麹とサツ
マイモを甕に同時に入れて発酵させる江戸時代の「どんぶり仕込み」と呼ばれる伝統技法でもろみ
を醸造している。このもろみを電熱器で煮て醸造する方法で、年間 1.8ℓ瓶 1 万本を造る。また、貯
蔵庫では注文を受けた焼酎を最長 5 年間保存して熟成させる。
見学者は案内人による鹿児島弁での説明を受けながら、トロッコに乗って地下約 50mまで移動し
た後、仕込み蔵や貯蔵庫を見学できる約 300mのコースを歩く。また、350 年の歴史を持つ串木野
金山はかつて薩摩藩の財政を支え、明治維新の原動力となった。こうした金山の歴史もゴールドパ
ーク時代に展示していた金山労働者の作業風景を再現した人形、地上部の資料館によって学ぶこと
ができる。
また、地上部には物産館「蔵乃仲見世」、レストラン「ほたる庵」、坑道から湧き出す鉱泉水を利
用した温浴施設「杜氏の湯」など、見学者がゆったりくつろげる空間を形成している。
同施設は開業直後の大型連休には 3 万人が訪れ、年間 25 万人の来場者を見込んでいる。坑道見
学は入場料を設定しているが、観光収入よりも情報発信基地としての役割を重視し、焼酎や金山の
歴史、文化を体験し学んでもらい、結果的に「濵田の焼酎」ファンの増加を目指している。また、
傳蔵院蔵、薩洲濵田屋伝兵衛においても工場見学が可能であり、何れもコンセプトが異なることか
ら 3 つの蔵を併せて巡る観光客も多いという。
食品メーカーは従来、新聞や雑誌の紙媒体やテレビコマーシャルなど不特定多数の顧客へ売り込
む戦略が主流であったが、現在では、ものづくりの現場へ足を運んでもらい、その製造工程や歴史、
地域の文化までも肌で感じてもらえる限られた顧客をターゲットとしつつある。九州でも既に 4 大
ビール工場などでは積極的に見学を受け入れている。また、受入側では限られた顧客への満足度向
上に重点が置かれ、濵田酒造でも受入規模は一度に 40~50 人が限界であるとしている。
入坑を待つ見学者の列
参考資料
坑道内の試飲施設
ヒアリング、濵田酒造パンフレット等
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金採掘の作業風景の再現
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
(2)地域の目指すべき姿
「遊学アイランド九州」の形成に向けた地域の役割として、遊学の視点から磨き上げ
た観光資源を連携していく仕組みを構築することが求められる。
従来の国内旅行は観光施設を短時間の滞在で足早に巡り、その行程のほとんどをバス
や電車内で過ごし、夕方宿泊施設に到着して翌朝あわただしく出発するような周遊型が
主流であった。しかし、今後は宿泊地を基点にして多様な資源を活かす地域滞在、拠点
交流を促進する必要がある。同じ地域に長く滞在し地域住民との交流機会を増やす多彩
なメニューを提供することで、地域文化や歴史に対するより深い理解につながり「学び」
の要素が高まると同時に、滞在時間の増加により地域への経済効果も高まると考える。
本調査では、「博物館都市構想 5 」の概念を活用し、既存の観光資源を含めた地域資源
をまるごと「遊学空間」として捉える。また、宿泊施設や博物館、資料館などを「学び
の中核」として整備し、そこを拠点として観光資源を巡ることができる地域滞在・拠点
交流型ソフト・ハード事業の構築を目指すものである。
また、これまで観光地における受け皿の役割は主に旅行会社や鉄道、航空等交通機関
が担ってきたが、「遊学空間」をマネジメントする担い手は“市民グループ”を主体と
したい。観光資源に対する目利きや現場の実状を把握している実動部隊として、受け地
主導型観光地づくりの主役になり得ると考えられる。しかし、マンパワーや資金面など
活動における課題は多く、行政や企業、交通機関等との連携が不可欠であり、地域一体
となった取組みが求められる。
図表 3-10
観光客
「学び」を中核とする地域滞在・拠点交流型イメージ
遊学空間
観光客
自然景観
歴史遺産
「遊学アイランド九州」のイメージ
博物館・
資料館
観光資源
温泉
大学等
研究機関
工場見学・
体験施設
一過性の旅
5
遊学空間に滞在する旅
リ ピ ー タ
ー・口コミ
による集客
名所旧跡
食
積極的な参画
観光資源を巡る
テーマパーク
学びの中核
宿泊施設
観光資源
宿泊施設
市民グループ
(地域住民)
九州
サポーター
地域に存在する環境、地域における人々の暮らし、地域で繰り広げられる人と人との出遭い、人とモノとの出会いをミュージ
ア ム と 捉 え 、 そ れ を 編 成 し 直 す こ と で 、 地 域 づ く り に 活 か す も の 。( 博 物 館 概 論
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学文社)
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
図表 3-11
事例 No
事例研究(資源連携の仕組みが構築されている地域の取組み)
地域例
ポイント
・廃墟から博物館都市、そして世界遺産へ発展した町
・アクセスの不利条件を克服した観光地
事例6
アイアンブリッジ渓谷ミュー
・産業遺産を元々存在した場所でそのまま保存
ジアム(イギリス)
・ビジターセンター、キオスク、シアターの設置
・地域資源を結ぶパスポート制度
・副読本作成など教育資源としての活用
・遺産を切り口とした知の博物館都市構想
事例7
新居浜市の博物館都市構想
・ハードは行政、ソフトは市民という役割分担
(愛媛県新居浜市)
・市民グループによる多様なソフト事業の実施
・強力なプロデューサーの存在
事例8
六日町農業体験大学校
(新潟県南魚沼市)
・宿泊施設がマネジメントした体験型観光
・地域の手づくりによるメニューの構築
・多様なメニューの構築と明確な料金体系
・游学の歴史を踏まえたネーミング
事例9
長崎游学塾(長崎県長崎市)
・講座を組み合わせたパッケージ商品の提供
・游学塾修了証の授与によるリピーターの創出
事例10
NPO主体の産官学連携事業
・講座とまち歩きを組み合せた継続的な取組み
(鹿児島県鹿児島市)
・行政と大学、一般企業との連携
事例6
アイアンブリッジ渓谷ミュージアム(イギリス)
~世界産業革命発祥の地~
イギリス中部工業都市バーミンガムから 1 時間、ショロプシヤー州を東西に流れるセバン川を挟
み 15.5km に細長く広がる小さな渓谷の町がアイアンブリッジである。かつてコールブルックデー
ルと呼ばれたこの谷は人類の生活を変えた産業革命発祥の地でもあるとされている。1709 年、クエ
ーカー教徒、アブラハム・ダービーが世界で初めて木炭ではなくコークスを使って鉄をこの谷で生
産した。18 世紀のシリコンバレーでは、鉄の橋、鉄の船など、近代製鉄技術により、新しい発明が
次々と誕生したが、250 年たった 1960 年、イギリス政府の専門家が足を踏み入れた時には谷は廃虚
と化していたという。
1967 年、イギリス政府のニュータウン構想「文化と教育観光のまちづくり」によりこの谷の再生
が 始 ま っ た 。「 ア イ ア ン ブ リ ッ ジ 渓 谷 博 物館信託」 と いう財団が 誕 生し、産業 遺 産を中心と し た博
物館都市として生まれ変わり、1987 年、ユネスコの世界遺産にも指定された。現在では産業遺産と
いう学問の発信基地になっている。
しかし、アイアンブリッジの立地条件やアクセスは悪い。川沿いを走る道路は大型バスが十分に
通るような広い道路ではなく、渓谷を挟んで両側に広がる土地は傾斜もきつく有効利用面積は決し
て広くない。こうした不利な条件を克服し観光地として世界的に名を馳せるようになった理由を探
ると以下が挙げられる。
~地域をひとつの博物館に~
この町のコンセプトは産業遺産を 1 カ所に集めて展示するのではなく、機能や役割を本来の姿で
伝えるために元々あった場所で保存して見せることである。
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
アイアンブリッジ渓谷には 10 の博物館や遺産が 15km にわたって点在している。川の博物館、コ
ールブルックデール鉄の博物館とデービーハウス、ブリスツヒル野外博物館、コ-ルポート陶器博
物館、クールトンネル、ジャックフィールドタイル博物館、アイアンブリッジ料金所、ブローズリ
ー煙草パイプ博物館、そして 2002 年にオープンしたエンジニア博物館などがあるが、規模的にみ
ると 1 つの博物館は決して大きくない。
例えば、ブリスツヒル野外博物館という全長 1.6kmのヘリテージテーマパークがある。ここでは
ヴィクトリア時代のコールブルックデールの生活を紹介している。町には蒸気自動車が走り、作業
所、養豚農家の生活、ロイズ銀行、役人の生活、商店の商いや暮らしぶりなど市民の生活が見える。
ヴィクトリア時代の衣装を着用し、当時の言葉で話すボランティアにより町のさまざまな顔をリア
ルに再現している。また野外博物館にある GR モートン錬鉄工場では、世界で唯一当時の方法で錬
鉄を生産している。日本の産業博物館がどちらかというと機械の静かな展示に終始しているのに比
べ、ここでは、生きて動く産業遺産が見られる。同時に、産業が成り立つための社会的な背景をリ
アルに紹介している。よって、技術の知識がない人にとっても親しみやすく、楽しめるように設計
されている。
また、渓谷では人類の歴史を塗り変えた近代製鉄とは別に、この地域を支えていたそれ以外の代
表的な産業も紹介している。歴史を変えてきた鉄のストーリーと同じように、谷を支えてきた 1 つ
1 つの産業のストーリーを大切に保存している。陶器やタイルなどの産業の遺産を数珠のように点
から線、そして面にしてつなげ、もう 1 つの大きなストーリーを語っている。
~地域資源を結ぶ仕組みづくり~
旅行者のためのセンターであるビジターセンターがあり、ここでは施設や資源の紹介の他、キオ
スクやシアターを設けて歴史文化の理解を促進している。キオスクはタッチパネルの画像を設け、
多言語で歴史、文化、土壌、生態について表記しており、旅行者の興味に応じて町全体を学ぶこと
ができる。30~50 人ぐらいが入れるシアターでは 10~15 分ぐらいの映画が上映される。こうして、
知識を身につけた上で地図とパスポートを手に、実際に自分のペースで点在する遺産を回る。
パスポートには 1 つの博物館に入場する度にスタンプが押され、埋まるには 3 日はかかる。野外
博物館では当時の服装をした人々の行進、演奏や、ジョージ王朝時代のイベントを行うなど、産業
文明にかかわった人々の仕事、生活までも観光資源としている。他にもその時代にこの地域に住み、
産業を背後から支えていた人々の生活、富める者から貧しい者までをいろいろな面から紹介してい
ることが特徴である。
~教育資源としての活用と人材育成への取組み~
この谷を運営するアイアンブリッジ渓谷博物館信託は教育を目的とした財団である。したがっ
て、産業遺産を観光資源としてだけではなく、教育資源として活用している。
例えば、学校の先生用の教育副読本が数多くミュージアムショップで販売されている。歴史、経
済など社会科だけでなく、科学、美術などさまざまな教科に対応した副読本が、小、中、高校など
各レベルに対応して準備されている。イギリスでは、社会科の授業で、父母の生きた歴史を学ぶこ
とが重要視されているが、それ以外にも美術や科学などの授業でも産業遺産が活用されている。イ
ギリスで教育観光マーケットは安定した観光市場なのである。よってアイアンブリッジではこのマ
ーケットを意識し、学校の先生が指導しやすいように、さまざまな教育補助教材を準備している。
子どもたちの Q&A に答える指導教本に加え、子どもたちの自主学習のための教材など、教育観光
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
向けのマーケティングツールやインフラ整備が整っている。そうしたことからも、この渓谷が通常
の観光地とは異なつたコンセプトの元に誕生したことがうかがわれる。
また、アイアンブリッジでは人材を育成するために高等教育機関を運営している。アイアンブリ
ッジでは博物館都市構想のなかで、産業遺産を研究する教育機関を谷に誘致した。近隣のバーミン
ガム大学と共同で産業考古学を研究する大学院「アイアンブリッジインスティテユート」である。
現在もこの博物館都市から産業考古学を研究する優秀な人材を世に輩出している。
~経済波及効果を増す仕組みの構築~
アイアンブリッジには現在、年間 75 万人の入込客があり、約 2,000 人の雇用機会を創り出して
いると言われている。
また 、イ ギ リ ス の 場 合 は B & B ( Bed and Breakfast)が 盛ん で、 宿泊 施設 では 素泊 まり と朝 食
だけを提供し、夕食は町のレストランで食べてもらう。また、環境面にも配慮したパークアンドラ
イドを導入し、地域を歩かせる仕組みを構築している。そうすることで、地域への波及効果を創出
することになる一方、町全体に滞在し楽しめるまちづくりが必要となる。地域住民が歴史文化遺産
を誇りに感じて保存活用への意識が高まることで、景観の保全につながっているのである。
アイアンブリッジ
ダービー製鉄所跡
ブリスツヒル野外博物館
(コークス製造実演)
参考資料
事例7
日 本 観 光 協 会 「 月 刊 観 光 」( 2004 年 11 月 )、 ヒ ア リ ン グ 、 永 吉 守 氏 ( 写 真 提 供 )
新居浜市の博物館都市構想(愛媛県新居浜市)
~別子銅山による豊富な産業遺産~
新居浜市は北四国中央部、瀬戸内海に面した古くからの工業都市である。1691 年に発見された鋼
の露頭(歓喜抗)からスタートした別子銅山の開抗により、明治以降は機械、化学、建設、電力、
林業などの産業を次々と派生・発展させてきた。住友財閥発展の基礎を築いた地として、標高 1,000
mを超える山間部の旧別子エリアから、新居浜から 20km 離れた洋上の四阪島(公害問題で移転)
に至る広大なエリアに、310 年間にわたる産業遺産が蓄積されている。近世から明治・大 正・昭和・
平成にいたる「産業の近代化」の全プロセスを残された産業遺産を素材にリアルに体感・学習する
ことができる。
これら産業遺産観光の拠点施設は、観光坑道やトロッコ電車などが体験できる楽しめるマイント
ピア別子端出場地区の他、別子銅山記念館、廣瀬歴史記念館など多数あり、相互の連携体制がつく
ら れ て い る 。 そ の ほ か 、 地 域 に 古 く か ら ある「塩田 関 連」「農 業土 木関連」遺 産 の集積も豊 富 であ
る。また、江戸から明治時代にかけて別子銅山採鉱の中心地だった旧別子地区には、学校、劇場、
病 院 跡 の 石 垣 や 坑 道 口 跡 な ど が 残 さ れ て いる。「 住友 のインカ」 と も呼ばれる よ うに、古代 遺 跡の
ような景観が山中に浮かび上がる。
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
~市民参画型のまちづくりと豊富な人材の存在~
新居浜のまちづくりでは、まず企業・行政中心にハード先行型の事業展開が行われてきた。住友
企業が別子銅山閉山後のメモリアル拠点として別子銅山記念館、住友化学歴史資料館を建設、整備
し、市では住友鉄道跡の自転車・歩行者専用道としての整備、旧採鉱本部跡(端出場)を活かした
観光拠点であるマイントピア別子の整備を行っている。
マイントピア別子端出場は総事業費 48 億円をかけて平成 3 年にオープンし、道の駅にも指定さ
れている。延床面積 5000 ㎡、赤レンガ造りで銅板屋根葺の明治調の荘厳な建物である。観光坑道
では江戸時代の別子銅山の過酷な採鉱シーンが人形模型を使って再現されており、未来ゾーン・体
験コーナーなど別子銅山を楽しく学べる。他にも、観光坑道まで案内する日本初の山岳鉱山鉄道時
の蒸気機関車、砂金採り体験などができる。
こうした施設整備を背景に、市民運動が活発化し、ソフト資源の掘り起こしや多様なイベントが
実施されてきた。1986 年に新居浜青年会議所が作成したまちづくりプランに産業遺産活用が提言さ
れ、その後 1993 年には市民グループにより「銅を活かしたまちづくり研究会」の活動が開始され、
推進団体「銅夢物語・市民会議」が設立された。そこでは産業遺産の掘り起こしやイベントなどが
展開された。さらに、1999 年に結成された「マイントピアを楽しく育てる会」ではボランティアガ
イド及び学習講座実施などのイベントに取組み、
「銅製品の生活利用」
「生涯技術ふれあいタウン 88
ヶ所めぐり」など市民が積極的に活動に参画するソフト事業が進められている。
その後、市行政も次第にソフト重視への政策転換を図ってきた。1996 年に「近代産業遺産活用調
査」を実施し、翌年には「産業遺産のロマンに息づくまちづくり」をテーマに産業遺産活用の取組
みを始めた。また、2000 年に新居浜市で開催された「近代化遺産活用全国フォーラム」は近代化遺
産をテーマとする初の全国フォーラムとして 2,200 人の出席者を集め、その後の「全国産業観光フ
ォーラム」のさきがけとなった。このフォーラムは市民団体が運営主体として参加しており、山岳
コースをはじめ地域視察はすべてボランティアが引き受けたということである。
こうした市民活動の中心的存在が市職員でもある森賀盾雄氏である。市民・行政双方に対して積
極的に関与し、継続的な取組みで全国に注目される町にした仕掛け人として観光カリスマに選定さ
れている。他にも主婦や会社員など強力な人材が市民グループとして活躍している。
~知の博物館都市づくりの提唱~
最近では観光施設だけではなく、自然散策を兼ねて江戸・明治期遺産がある旧別子への登山や、
ボランティアガイドと共に産業遺産を訪ね歩く「銅の道・健康ウォーク」も人気となっている。新
居浜市はこうした遺産を切り口に知識を学び、交流することによって新たな地域の受入側がビジタ
ーとのコミュニケーションを通じて共に「知の増殖」が図れるような「知の博物館都市」づくりを
目指している。
マイントピア別子端出場全景
参考資料
市民参画型のイベント
東平地区の貯鉱庫跡
社 会 経 済 生 産 性 本 部 ・ 日 本 観 光 協 会 「 産 業 観 光 モ デ ル 事 例 」、 ヒ ア リ ン グ 等
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
事例8
六日町農業体験大学校(新潟県南魚沼市)
~宿泊施設を核とした農業体験~
南魚沼市、南魚沼市観光協会、JA魚沼みなみの所管である六日町地域においては、地域と共に
農山村の振興を図ることを目的に 1994 年から首都圏のファミリー層や体験型の観光客を対象とし
て農業体験を組み込んだ体験型の観光に取組んでいる。JA魚沼みなみの出資により設立した八海
山パークホテルが事務局としてとりまとめを行っており、春の「山菜採り」から「冬の雪国体験」
まで一年間で宿泊型 9 コース、日帰り型 7 コースのプログラムを提供している。
~地域の手づくりによるメニューの構築~
現地におけるプログラムの初めから終わりまで地元のスタッフが同行しながら、体験メニューを進
めていく地元スタッフ密着型である。参加者は豊かな自然や環境のなかで、田植えや農作物の収穫
といった農業体験ができる。また、六日町産のコシヒカリや清酒八海山等の地場産品を旅行にセッ
トしており、参加者の満足度は高い。取組みにあたっては旅行代理店や観光協会、温泉旅館組合を
宣伝窓口としてJA魚沼みなみによる体験メニュー等のソフト支援を得た。また、現地指導には山
菜部門、稲作部門では地元の愛護組合や生産組合の支援を受け、畑作部門では大月、上出浦地区の
支援を受けるなど、地域一体となった手づくりによる受入体制を構築している。
組織体制と地域との連携
体験メニュー等ソフト支援
宣伝窓口
・新潟県農林公社
・南魚沼農業改良普及センター
・六日町役場農林課
・JA魚沼みなみ
・六日町地域内ネットワーク
青葉会、魚野川楽校 ほか
・
(財)都市農村漁村交流活性化機構
・コープトラベル
・日本リロケーション
・埼玉ドゥコープ
・南魚沼市観光協会
・六日町温泉旅館組合
六日町農業体験大学校
宿泊受入施設及び事務局補助
(事務局:八海山パークホテル)
八海山地区ペンション・民宿(体験協会加盟登録施設)
体験施設の管理運営及び現地指導
<山菜学部>
城内国有林愛護組合
八海山スキー場
<畑作学部>
大月開発研究会
上出浦管理組合
<稲作学部>
上出浦管理組合
コシヒカリ共和国
その他の体験プログラム
星空観察、魚のつかみどり・魚釣り、川遊び、野外キャンプ、わら細
工教室、八海山登山、餅つき、そば打ち体験、野菜の収穫体験、豆腐
づくり、笹団子づくり
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
豊富な体験型メニュー
体験メニュー例:稲刈り教室[体験日指定 -1 泊 3 食- ]
本格的にカマを使っての稲刈り体験を行う。はざ掛けも体験でき、美味しい天日干しのお米が出来
るまでを目で見て学習できる。その後、収穫を感謝し地元住民と夕食を一緒にとる。大人には新米
コシヒカリを後日発送する特典付である。
料金体系(稲刈り教室)
大人料金(中学生以上)
子供料金(小学生)
幼児料金
八海山パークホテル
12,500 円
8,800 円
6,600 円
民宿・ペンション
11,500 円
8,000 円
6,000 円
3,500 円
1,600 円
1,200 円
日帰りの部
参考資料
事例9
南魚沼市資料、ヒアリング
長崎游学塾(長崎県長崎市)
~游学の歴史を踏まえたネーミング「游学塾」~
長崎市では、2002 年度に経済産業省「市民活動活性化モデル事業」の一つとして、「滞在型学習
観光・長崎遊学塾開講準備事業」が実施されている。大学教授、市民団体理事長、郷土史家、県の
観光連盟職員など 6 名で構成された「長崎遊学塾研究会」を実施主体とし、地域在住の知識人、シ
ニアの知見を活用して、地域に残る歴史文化を題材とした講座を組み合わせた観光・交流のパッケ
ージ商品を提供する仕組みを構築し、モニターツアー等を行っている。
長崎は江戸時代の唯一の海外貿易窓口であったため、蘭学、医学、兵学、本草学、科学、美術等
の知識を習得するため、数多くの青年たちが長崎へ遊学している。平賀源内、福沢諭吉、勝海舟、
坂本龍馬、伊藤博文、大隈重信、高杉晋作などである。彼らは以後日本近代化の先鋒となって活躍
した。その偉業を顕彰するため、「游学の評」を長崎港に建立している。
~講座を組み合わせた観光・交流のパッケージ商品の提供~
長崎游学塾では、全国のシニア世代や子育てを終えた女性を対象にして、
「自分発見」
「生きがい
探し」そして「ゆとりある充実した人生」のきっかけとなる「心の観光」を基本理念に、長崎の歴
史、文化、長崎にゆかりのある人物等に関する講座と観光を組み合わせたツアーを実施した。また、
郷土史家、大学教授、協会神父、神社宮司等地元の人が講師にあたるとともに、講座を講座内容に
ちなんだ場所で講座を実施する等、地元でなくてはつくり得ないツアーとした。ツアー実施等の情
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
報発信手段として IT を活用し、ツアーの顧客の中心はシニア層と女性と想定している。2003 年 2
月には、関東、関西地区から 14 名の参加者を集め、モニターツアーを実施した。モニターへのア
ンケートでは講座内容、運営方法、日数、費用等の顧客満足度は概ね高いものであった。
今後は NPO の法人格を取得し、地元の講師陣や地域住民の協力により、NPO 法人ならではのツア
ーを企画する。この際、講座内容の充実と高付加価値化を図り、旅行代理店が企画するツアーとの
違いをさらに明確にする。
長崎游学塾の仕組み
顧客層:全国のシニア世代や子育てを終えた女性
※不特定多数の顧客層の他、シニアネット関係団体、女性団体、
郷土史家グループを含め、趣味や旅のサークル
インターネットで発信
メルマガ発行
シニア向け雑誌等で発信
会報発行
塾開講
情報発信
[講師スタッフ]
郷土史家、大学教授、教会神父、神社
宮司、まちの達人、原爆語り部 など
NPO法人(予定)
長崎游学塾
連携
連携
観光
ボランティア
グループ
会員
会員
地元企業・
団体
会員
お土産等
地元業者
宿泊施設
地元マスコミ
(出版・新聞)
情報発信支援
○ 東 京・大 阪 等 の シ ニ ア 支 援 団 体・活 動 団 体
○シニア向け雑誌出版社 など
参考資料
旅行代理店
会員
ヒアリング、経済産業省ホームページ
- 49 -
長崎游学
倶楽部
情報発信支援
東京などに在住する
長崎出身者のサークル
第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
事例10
NPO主体の産官学連携事業(鹿児島県鹿児島市)
~「官」「学」「民」と連携した講座・まち歩きイベントの実施~
NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会は、地理や歴史、自然を学び、これか
らの鹿児島のまちづくりについて考えることをテーマに、生涯学習・調査研究に取組んでいる。継
続的な活動として、街角に残る「歴史的遺産」を対象に月1回ペースでウォークラリーを実施し、
小学生から 80 歳代までの幅広い年代が参加している。2005 年度には、鹿児島県の共生・協働の地
域社会づくり助成事業である「鹿児島の近代化産業遺産を活用したネットワーク事業」にも取組ん
でいる。これは、下表にみるように様々な切り口から産業遺産をテーマとし、鹿児島大学教授や尚
古集成館(株式会社島津興業)の学芸員による講義に加え、まち歩きや現地を巡るバスツアーが組
み込まれている。参加者は、ランチを楽しみながら、本NPOの東川専務理事がユーモアある語り
口で紹介する産業遺産の裏側にあるストーリーを聞き、地域への関心を深めている。さらに、2006
年 2 月には各テーマを総括したフォーラムを行い、参加した市民と一緒に産業遺産の価値や今後の
活用策を考え、次年度以降の活動に生かそうとしている。
こうした活動は、NPO法人が主体となりつつ、尚古集成館(「産」)や事業支援をした県(「官」)、
鹿児島大学(「学」)の協力・連携によるもので、地域一体となった取組みに発展している。
講座・まち歩きイベント一覧
イベント名
主な内容
実施日
こんにちは新しい集成館&素敵なラ
リニューアルした尚古集成館の案内
2005 年 10 月 22 日
ンチ
と磯くわはら館のランチを楽しむ
産業遺産を支える“石”のおはなし
産業遺産の生まれた“時代”のおは
なし
鹿児島大学総合研究博物館館長によ
2005 年 10 月 23 日
る溶結凝灰石についての講義
鹿児島大学生涯学習教育研究センタ
2005 年 11 月 7 日
ー長による産業遺産が生み出された
時代についての講義
薩摩の文化にふれる
男性と女性の視点から見る“薩摩”
~薩摩武士と薩摩おこじょ~
の違いや薩摩琵琶、文学の講義
近代化産業遺産をめぐるバスツアー
製鉄所跡が発掘された知覧や温泉地
~指宿・知覧編~
指宿の意外な産業遺産の紹介
産業遺産を支えた鹿児島の技術力・
尚古集成館学芸員による薩摩藩の高
地域力
度な技術などの講義
近代化産業遺産をめぐるバスツアー
嘉例川駅や大隅横川駅、曽木発電所
~山ヶ野金山・大口編~
遺構、山ヶ野鉱山を巡るツアー
かごしま産業遺産のこれからを考え
これまで講座・まち歩きを踏まえ、
るフォーラム
産業遺産の魅力と活用策を探る
有識者による講座
参考資料
まち歩きイベント
2005 年 11 月 12 日
2005 年 12 月 3 日
2005 年 12 月 18 日
2006 年 1 月 18 日
2006 年 2 月 19 日
フォーラムの開催
ヒアリング、NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
(3)九州全域の目指すべき姿
「遊学アイランド九州」は最終的に、
“地域横断的な九州らしい多様なテーマにより、
遊学に取組む地域が有機的に結びついている姿”が目指すべき姿である。その際には、
テーマに基づいたストーリーを発掘し、その関連する地域が連携可能なソフト事業が必
要とされる。
うんちく
2005 年 11 月には九州観光推進機構が「歴史・文化を掘り下げる蘊蓄 の旅」として、
九州らしいテーマを提案している。九州では全国に先駆けてこうしたモデルルートが造
成されパンフレットも作成されていることから、今後はテーマに沿った地域の市民グル
ープなどヒトの連携と育成、それに伴う技術、知識の交流、モノの流通を図ることで“地
域の総合力”を高め、
“九州はひとつ”に向けた大きな原動力とすることが求められる。
そうした九州らしい多様なテーマと、九州地域内の交流促進により、国内観光客や海
外観光客が広域的に九州を移動する土台となるとともに、
「九州はひとつ」として愛し、
多方面から支援する観光客“九州サポーター”が増加するものと想定される。
図表 3-12
最終的な遊学アイランド九州の目指すべき姿のイメージ
国内観光客
海外観光客
遊学に取組む
地域
遊学に取組む
地域
九州らしい多様な
テーマ
遊学に取組む
地域
ヒト( 地 域 住 民 、観 光 客 )の交流
広域交流の実現
モノの流通
知識、ストーリーの交流
技術、ノウハウの交流
遊学に取組む
地域
遊学に取組む
地域
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
図表 3-13
事例 No
事例研究(広域連携に向けた新たな取組み)
地域例
ポイント
歴 史 ・ 文 化 を 掘 り 下 げ る 蘊 蓄 の ・体系化した「九州らしいテーマ」の構築
事例11
旅(九州観光推進機構)
・テーマで結ばれた地域の広域連携の芽生え
産業技術ネットワークミュージ
事例12
アム(中部経済産業局)
の開発(長崎県長崎市)
事例11
・中部地域の特徴である技術革新 5 テーマを選定
・事前学習が可能なストーリー化したコンテンツ
交泊分離・受け地主導型ツアー
事例13
・デジタルコンテンツの充実によるテーマの紹介
・ネットを活用した一括予約・手配サイトの構築
・プロガイドとの連携が不可欠
・受け地主導型の観光地に向けたきっかけづくり
うんちく
歴史・文化を掘り下げる蘊蓄 の旅(九州観光推進機構)
~九州らしいテーマによる広域連携の取組み~
九州観光推進機構では九州内の県境を越えた広域観光モデルルートづくりに取り組んでおり、
2005 年 11 月、「歴史・文化を掘り下げる蘊蓄を深める旅」として 60 のテーマを作成した。大都市
圏の旅行会社を対象にした「ウェルカム九州キャンペーン」の目玉として展開されている。
このなかにある「雛の里・ヒナの里」と関連する九州 7 県 12 地区と共同で「九州のひなまつり
広域振興協議会」を結成し、
「ひなの国九州」を合言葉にひな祭り行事の売込みに力を入れている。
本協議会の事務局は各地域の持ち回りとしているが、九州観光推進機構も積極的に協力している。
他にも、旧長崎街道の別称である「シュガーロード」を共通資源とする長崎、佐賀、福岡の 3 県
と沿線市町村、民間団体が県境を越えて地域づくりに取り組んでいる。旧長崎街道の別称である「シ
ュガーロード」は江戸時代、砂糖や西洋の菓子を江戸へ運ぶルートであった。現在、南蛮菓子とし
て代表的なカステラ(長崎市)、おこし(諫早市)、マルボーロ(佐賀市)など沿線の歴史ある銘菓
が誕生している。こうしたテーマ、ストーリーで九州を結びつける動きが見られつつある。
九州観光推進機構が提案している蘊蓄の旅(抜粋)
テーマ
神話・伝説
古代ロマン
ストーリー
主な対象地域
2 つの天孫降臨の地を学ぶ
宮崎県高千穂町、鹿児島県霧島町
平家落人伝説
福岡県北九州市、宮崎県椎葉村
九州国立博物館と装飾古墳
福岡県太宰府市、熊本県玉名市
九州国立博物館と国営吉野ヶ里歴史公園
福岡県太宰府市、長崎県壱岐市
歴史
西南戦争(鹿児島~熊本)
鹿児島県鹿児島市、熊本県玉名市
仏教・神道
千年浪漫
大分県宇佐市、豊後高田市
豊後の国に仏教文化を訪ねる
風 土・習 慣( 民 俗 学 ) 柳 田 国 男 「 後 狩 詞 記 」 を ひ も と き な が ら
熊本県阿蘇市、宮崎県椎葉村
歴史遺産(石橋)
石の文化(石橋)
熊本県東陽村、大分県宇佐市
キリシタン
西海の天主と御堂巡礼
九州の諸街道
長崎街道の旅Ⅱ(シュガーロード)
長崎県長崎市、福岡県飯塚市
九州やきもの紀行
西九州編
熊本県天草町、佐賀県有田町
九州やきもの紀行
南九州編
鹿児島県日置市、加治木町
陶磁器
文学
詩歌・俳句
産業遺産
祭り・イベント
参考資料
そのⅠ
長崎県長崎市、熊本県天草町
九州の万葉の故地を歩く
福 岡 県 太 宰 府 市、鹿 児 島 県 薩 摩 川 内 市
“恋の華”柳原白蓮と“炭鉱王”伊藤伝
福 岡 県 飯 塚 市、大 分 県 日 田 市、熊 本 県
右衛門
荒尾市
近代産業遺構(主として建物巡り)
長崎県長崎市、佐賀県武雄市
雛の里・ヒナの里
福岡県八女市、熊本県人吉市
冬の九州灯りの祭典
福岡県北九州市、長崎県長崎市
九 州 観 光 推 進 機 構 「 歴 史 ・ 文 化 を 掘 り 下 げ る 蘊 蓄 の 旅 」( 2005 年 )
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第3章 「遊学アイランド九州」の目指すべき姿
事例12
産業技術ネットワークミュージアム(中部経済産業局)
~デジタルコンテンツの充実~
中部経済産業局が開設している「産業技術ネットワークミュージアム」は当地域に数多く存在す
る産業技術に関する資源をソフト面で結びつけている。明治以降における技術革新を中心に、特徴
的な 5 種類(自動車、航空宇宙、工作機械、繊維、窯業)を取り上げ、産業技術の発展過程で展開
された創意工夫等を体系的に整理し、ストーリー化したコンテンツである。
インターネット上で訪問前にこのコンテンツを見て、興味のあるテーマに沿った企業博物館や見
学工場を巡るという、中部地域全体がテーマ性のある産業技術博物館のように機能することを目指
している。
中部地域らしい産業の選別
参考資料
事例13
テーマごとに分かりやすく紹介
中部経済産業局ホームページ
交泊分離・受け地主導型ツアーの開発(長崎県長崎市)
~直前一括予約・手配サイトの構築~
国土交通省では、観光立国推進戦略会議報告書の「国際競争力のある観光地づくり」に関する提
言を受けて、観光地づくりの提案「観光みらいプロジェクト」を募集したところ、全国から 126 件
の提案があり 5 件を選定した。
そ の な か に 、( 社 ) 長 崎 県 観 光 連 盟 が 提 案した交 泊分 離・受け 地主 導型ツア ー「 長崎方式 受け 地
主導型ツアー実践ビジネスモデル構築事業」が採択されている。その一環としてインターネットを
活用した体験型観光コース直前一括予約・手配サイトの構築が進められ、2005 年 9 月にサイトが開
設されている。なかでも、「こだわる(Local Tour)」として長崎発着型の手軽に地元のこだわりが
体験できる旅を「大村キリシタン巡礼」
「佐世保黒島体験ツアー」など 10 の体験型コースが提供さ
れており、参加者がネット上で地元ガイドやバス、タクシーなど交通手段の一括予約が可能である。
ボランティアガイドではなくプロガイドとの連携が必要となるため、その人材養成と確保が今後
の課題となっている。
参考資料
ヒアリング等
- 53 -
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
第4章
「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
前章までは、「遊学アイランド九州」形成の必要性、考え方を整理した上で、“目指すべ
き姿”を述べてきた。本章以降はその最終的な姿に到達させるべく、観光振興につながる
具体的な方策をモデル事業によって検討する。
その際、
「遊学アイランド九州」を新たな旅行商品として提案するために、
“持続可能性”
を備えたビジネスモデルとしての方策が必要となる。
そこで、本章ではこうした考え方を踏まえた観光資源連携方策の柱について以下の4つ
を提案した。
1.「遊学アイランド九州」構成要素の再編集
「遊学アイランド九州」の構成要素として、九州らしい多様なテーマやストーリーで編
集した「遊」
「学」の要素に加え、旅行商品として欠かせない「食(食提供施設)」
「泊(宿
泊 施 設 )」 の 4つ が 重要 で ある 。 し た が っ て 、 従 来 か ら の 主 要 な 観 光 コ ー ス に こ れ ら の 要
素が組み込まれることで観光交流が促進されると考える。
2.“人材”と“資金”による観光資源の磨き上げと事業性の創出
「遊 び 」「学 び」 の 両 要素 を高 め る “ 磨 き 上 げ ” が 必 要 で あ る が 、 そ の た め に は 、 既 存
の観光資源について、主にインタープリテーション(資源の見せ方)の強化が必要であり、
語り部やガイドの設置や体験メニューの提供など“人”によるソフト面の強化が求められ
よう。一方、産業遺産や歴史遺産など未活用の資源は“人”による発掘作業に加え、ハー
ド面の整備に要するある程度の“資金”が必要となると考えられる。
さらに、事業性を高めるためには地域資源の文化的価値を再評価し、観光客にその価値
を認識してもらい、経済的価値を創出し、継続的な活動につなげていくことが必要である。
3.九州らしいテーマによる地域連携の仕組みづくり
遊学要素が地域内で揃わない場合は他地域と連携して要素を互いに補完していく連携
の仕組みが必要となる。その連携の大きなポイントとなるのが“テーマ”であり、そこに
“ストーリー”を付加することで、観光客の知的好奇心を刺激し、広域的に周遊させる動
機となる。
4.広域連携を促進する「遊学アイランド九州ネットワーク」の構築
これまでの観光は、主に旅行会社や鉄道、航空等交通機関が観光地における受け皿の役
割を担ってきたが、今後は各地域で活動している市民グループが主役となった“受け地主
導”の観光地づくりを目指したい。その上で、九州らしいテーマに応じた地域連携の促進
に向けて、「遊学アイランド九州ネットワーク」の設立を提案する。
- 55 -
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
1.「遊学アイランド九州」構成要素の再編集
社会経済生産性本部「レジャー白書」(2005 年)によると、余暇活動の参加希望率で
は、「避暑・避寒・温泉などの国内観光旅行」が最も多く、次いで「外食」となってい
る。また、旅行会社の団体周遊ルートをマップ化すると、福岡、鹿児島などの空港を基
点に、湯布院、黒川、阿蘇、霧島、指宿地域など温泉宿泊地が多く組み込まれているこ
とがわかる(図表 4-2)。これらの地域は旅行雑誌「じゃらん」の 2005 年度人気観光地
ランキングでも上位に位置しており、個人客についてもほぼ同様の傾向がうかがえる。
このように、九州観光の現状をみると、観光客は「食」や「泊(宿・温泉)」を求 め
て旅をし、これを提供できる観光資源が存在しなければ集客力が低下すると考えられる。
そこで、「遊学アイランド九州」の構成要素(以下遊学要素という)として、九州 ら
しい多様なテーマやストーリーで編集した「遊」「学」の要素に加え、旅行商品として
欠かせない「食(食提供施設)」、「泊(宿泊施設)」の4つであると考える。
「遊学アイランド九州」はこれらの“遊学要素”が揃うことで形成されると考える。
図表 4-1
遊学アイランド九州の構成要素イメージ
九州らしい多様な
テーマ・ストーリー
+
遊学要素 ( = 観 光 資 源 )
“本物”が残る産業遺産
美しい自然
遊
学
体験
豊富なレジャー施設
交流
(工芸・農業・漁業等)(コミュニティ・人情)
教育の場である
博物館・資料館
食
泊
身も心も安らぐ温泉
新鮮な食材の宝庫
- 56 -
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
図表 4-2
旅行会社における主な九州観光ルート
注 ) 東 京 ~ 九 州 発 着 で 添 乗 員 付 の コ ー ス を 抽 出 、 2005 年 7 月 現 在
資料)JTBホームページ
- 57 -
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
2.“人材”と“資金”による観光資源の磨き上げと事業性の創出
「資源の目指すべき姿」(第3章)で検討したように、「遊学アイランド九州」の土台
をなす観光資源に対し、「遊び」「学び」の両要素を高める“磨き上げ”が必要である。
具体的には既存の観光資源について、主にインタープリテーション(資源の見せ方)
の強化が必要である。先にみたように、九州観光の魅力として「元気・健康的」「人情」
という項目があげられていることから、こうした“人”の魅力を生かした語り部やガイ
ドの設置、体験メニューの提供など、ソフト面の強化が求められよう。一方、産業遺産
や歴史遺産など未活用の資源は“人”による発掘作業に加え、ハード面の整備に要する
ある程度の“資金”が必要となると考えられる。
まず、インタープリターとしての語り部やガイドの役割には、観光ルートや見学ポイ
ント等を案内できる情報、知識の提供以外にも、“感動”ストーリーを伝えるエンター
ティナーの要素や地域住民との交流を促す能力も求められる。観光資源に対する目利き
や現場の実状を把握している市民グループを核として、テーマに基づいた養成カリキュ
ラムを構築し、ボランティアではなく、有償でも通用する人材を育成する必要がある。
一方、ハード面の整備については、行政や企業などと連携した資金調達の仕組みを構
築する必要がある。例えば、ナショナルトラスト運動の発祥の地であるイギリスでは、
アイアンブリッジ渓谷博物館信託という公益財団法人を立ち上げ、寄付や補助金、税金
免除等により産業遺産の整備、活用を行っている事例があり、日本においても市民型や
事業型の地域ファンドの導入事例がみられつつある。九州においても、一般市民の寄付
や出資により、嘉穂劇場の復興や大牟田の旧三井港倶楽部の買い取りが実現している。
こうした資金を用いてハード整備を行うことにより、学ぶ要素の強い“本物”を観光客
に提供し、“感動”を呼ぶ資源に変える取組みが求められる。
図表 4-3
観光資源の磨き上げ
発展方向
テーマに応じた養成
カリキュラムの構築
語り部・ガイドの養成
遊学要素からみた
磨き上げ
評価・発掘・整備
整備資金の調達
既存の観光資源
フ ァ ン ド 、ト ラ ス ト
「文化的価値」⇒
制度等の検討
「 経 済 的 価 値 」に 至
る仕組みの検討
○観光集客施設
○工場見学・体験施設
○博物館・資料館
事業性の創出
光が当っていない
○産業遺産
未活用の資源
○歴史遺産
- 58 -
など
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
また、磨き上げにおける大きなポイントとして、継続可能な仕組みを構築できるかと
いう視点が重要である。つまり、その観光資源の活用は事業性の確保につながるか否か、
を検討する必要がある。
図表 4-4 は北海道地域振興機構「空知地域振興計画策定調査報告書」
(2005 年)に示
されている考え方である。地域資源に「文化的価値」
「経済的価値」があるとした上で、
文化的価値が無ければ、市民の賛同を得て地域資源を活用できず、経済的な価値を生み
出せない。また、経済的な価値が認められないと一部の市民活動にとどまり、地域資源
の保存、活用が難しい状況となることを示している。
つまり、事業性を高めるためには地域資源の文化的価値を再評価し、観光客にその価
値を認識してもらうことで、「正しい価値のある情報やサービスには対価を払う」とい
った経済的価値を創出することが必要となる。その結果として、情報の提供者である語
り部やガイド、施設など受け地側に収入が発生し、人材や運営資金の確保が可能となる
ことから、継続的な活動につながるものと考えられる。
図表 4-4
事業性創出に向けた考え方
●現在の構造
経済的価値につながらない
地域
地域資源
低い地域内
での評価
文化的価値
地域内の人の
関心を喚起
できない
経済的価値
乏しい
現実感
文化的価値が理解されない
地域外の理解者・支援者は確実に存在(手がかり)
地域内の人の
参加契機が増加
文化的価値
地域資源
●目指すべき構造
残っているから・・・使える
地域
経済的価値
使っているから・・・残せる
地域外の理解者・支援者の増加(巻き込み)
資 料 ) 財 団 法 人 北 海 道 地 域 振 興 機 構 「 空 知 地 域 振 興 計 画 策 定 調 査 報 告 書 」( 2005 年 )
- 59 -
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
3.九州らしいテーマによる地域連携の仕組みづくり
先に示した4つの遊学要素が地域内で揃わない場合は他地域と連携して要素を互い
に補完していく連携の仕組みが必要となる。その連携の大きなポイントとなるのが“テ
ーマ”であり、そこに“ストーリー”を付加することで、観光客の知的好奇心を刺激し、
広域的に周遊させる動機となる。
その連携の仕組みを例示したのが図表 4-5 である。「遊」の要素が比較的強い観光地
Aは比較的弱い「学」の要素が強い観光地Bや観光地Cと連携し、観光客を周遊させる
ルートを形成することで、不足している「学」の要素を高めることができる。また、地
域内に「食」「泊」が無い、あるいは弱い場合にも他地域と連携し、補完していくこと
で観光客の満足度を高め、滞在時間を増加させることにつながる。
なお、図表 4-6 のフレームワークは遊学要素における地域の強みや弱みを明らかに
し、「遊学アイランド九州」形成に向けた仕組みを構築する手法として、例示したもの
である。
図表 4-5
九州らしいテーマによる地域連携の仕組み(例示)
テーマ・ストーリー
観光資源A
観光資源B
学
観光資源C
学
遊
遊
遊
学
泊
食
泊
食
観光地B
図表 4-6
食
泊
観光地C
観光地A
「遊学アイランド九州」フレームワーク例(上記観光地Aの場合)
観光地A
観光資源A
観光地B
観光地C
テーマ・ストーリー
○
○
○
○
遊
◎(資源A)
◎
△
△
学
△
△
◎(資源B)
○(資源C)
食
△
×
○
○
泊
○
×
△
△
※◎:要素が強い、○:要素が比較的強い、△:要素が比較的弱い、×:要素が無い
- 60 -
第4章 「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策
4.広域連携を促進する「遊学アイランド九州ネットワーク」の構築
これまでの観光は、主に旅行会社や鉄道、航空等交通機関が観光地における受け皿の
役割を担ってきたが、今後は各地域で活動している市民グループが主役となった“受け
地主導”の観光地づくりを目指したい。その上で、九州らしいテーマに応じた地域連携
の促進に向けて、「遊学アイランド九州ネットワーク」の設立を提案する。
具体的には、ガイド機能を持つ市民グループが主体となり、各地域のデータベースの
共有化や資源発掘、ストーリー構成、観光ルート設定などについて、地域情報だけに止
まらず、所有するノウハウや技術なども相互に提供し合い共有する仕組みが必要である。
また、そうした各地域の市民グループをマネジメントする事務局を設け、観光客に対
し情報発信を行い、相談や受入の窓口となるとともに、旅行ルートを旅行会社や交通機
関に提案を行う。また、大学等教育機関や研究機関、行政や業界団体、企業などと連携
を取りながら、観光客を受け入れる環境を整備する。
図表 4-7
遊学アイランド九州ネットワークの仕組み
九州内外の観光客
商品提供
情報発信
(ネット、
旅行会社・交通機関
メルマガ)
ルート提案
受入
窓口
遊学アイランドネットワーク
業界
団体
行政
遊学ネット事務局
連携
大学
橋渡し
連携
橋渡し
連携
市民グループ
企業
橋渡し
市民グループ
連携
市民グループ
(NPO、ボラン
ティア団体)
資源
資源
資源
資源
資源
観光地A
観光地B
資源
観光地C
<遊学ネット事務局の役割>
①各地域のデータベースの共有化
②観光客の受入窓口
③デジタルコンテンツによるテーマ・ストーリーの発信
④各地域の連携マネジメント(ストーリー構成、資源発掘、観光ルート設定アドバイス)
⑤情報発信(旅行エージェント等へのルート提案)
- 61 -
など
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
第5章
観光資源にみる九州らしいテーマ
1.既存の観光資源からみたテーマの抽出と分類
これまでみたように、「遊学アイランド九州」形成に向けて“九州らしさ”を表す
共通テーマの整理が不可欠である。そのテーマを観光客に伝えるには、“そのテーマ
を表わすモノ”がその地域に存在することが望ましい。こうしたことから、今既にあ
る観光資源をどう生かすか、が大きなポイントとなると考える。
そこで、本章では、2005 年 9 月に実施した「観光と教育・学習についてのアンケー
ト調査」において設問項目とした「教育・学習のテーマ」の回答結果を中心に、以下
の8つのテーマに観光交流施設を大別し、それぞれに概略とマップを示した。
図表 5-1
九州らしいテーマ一覧
九州の豊富な“自然”を遊学する
1
主なキーワード
自然、農業、水産業、火山災害、動植物
地域独自の発展をみせる“フードアイランド”を遊学する
2
主なキーワード
焼酎、ビール、味噌、醤油など食品加工
世界に誇れる“先端産業技術”を遊学する
3
主なキーワード
半導体、自動車、航空宇宙、電力、化学
九州経済を牽引してきた“近代化産業”を遊学する
4
主なキーワード
石炭、鉄鋼、造船、鉄道、金、ゴム
地域に根付く“伝統芸能・工芸”を遊学する
5
主なキーワード
陶磁器、木工・竹細工、織物・染物、和紙、ガラス工芸、美術
九州産業を支えた“交通”の歴史を遊学する
6
主なキーワード
鉄道、船舶、車、石橋、港
循環型社会を目指す“環境・リサイクル”を遊学する
7
主なキーワード
環境、リサイクル、公害、水
地域固有の“歴史・文化”を遊学する
8
主なキーワード
地域文化・歴史、文学、神話、キリシタン、海外交流、商業
※ 「 テ ー マ の 抽 出 ・ 分 類 上 の ポ イ ン ト 」 を 図 表 5- 18 に 示 し て い る 。
- 63 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(1)九州の豊富な“自然”を遊学する
九州の変化に富んだ、美しく豊かな自然は、温暖な気候と黒潮の恵みによるもので
あ る 。 九 州 山 麓 や 周 囲 の 海 な ど 多 様 な 自 然 環 境 に 恵 ま れ 、 生 命 の 営 み を 学 ぶ に 適し た
素材が九州にはある。
世界遺産に指定された屋久島の自然を学べる屋久島世界遺産センター、豊かな海の
恵 み を 満 喫 で き る マ リ ン ワ ー ル ド 海 の 中 道 や 、 大 分 マ リ ー ン パ レ ス 水 族 館 う み たま ご
な ど が あ る 。 ま た 、 動 物 と の ふ れ あ い や 娯 楽 性 に 富 ん だ 動 物 園 、 観 光 牧 場 と し て、 カ
ド リ ー ・ ド ミ ニ オ ン や 宮 崎 市 フ ェ ニ ッ ク ス 自 然 動 物 園 な ど が あ り 、 美 し い 花 々 と共 に
私達を癒してくれる。
一方、九州は豊富な温泉地である反面、過去には火山災害も多くその脅威や教訓を
伝える雲仙岳災害記念館や、桜島国際火山砂防センターなどがある。
図表 5-2
施設名
北九州市立いのち
のたび博物館
特徴ある主な施設(例示)
所在地
福岡県
北九州市
概要
「いのちのたび」をコンセプトとして、生命の進化の道筋を
自然と人の両面から展示解説するとともに、未来に向けて私
たちの生き方を考える博物館である。
近海を流れる「対馬暖流」を展示テーマとした水族館であ
マリンワールド海
福岡県
り 、 熱 帯 か ら 温 帯 、 寒 帯 の 海 に す む 代 表 的 な 生 物 た ち 350 種
の中道
福岡市
20000 点を見られるほか、イルカやアシカのショーが人気とな
っている。
三瀬ルベール牧場
佐賀県
どんぐり村
佐賀市
酪農・農業を中心にした観光牧場である。農園での収穫体
験、自然・動物とのふれあいを中心として環境・福祉・食を
テーマに村づくりを進めている。
見て、触れて、学んで、遊べる学習遊園地である。干拓の歴
諫早ゆうゆうラン
長崎県
史が学べる干拓資料館、有明海のむつごろうを展示している
ド干拓の里
諫早市
水族館、諫早市文化財の床屋屋敷がある。また、自転車やボ
ート、ポニー乗馬、ローラースケート等がある。
雲仙岳災害記念館
長崎県
雲仙普賢岳噴火災害の脅威や教訓を伝承する体験型学習施設
島原市
である。
カドリー・ドミニ
熊本県
オン
阿蘇市
動物とのふれあいをテーマにしたテーマパークで、クマ、
犬、牛、ブタ等 10 種類とふれあえる。また、申し込みによる
団体の動物飼育体験等も受付ける。
ア ジ ア ゾ ウ 、 チ ン パ ン ジ ー 、 フ ラ ミ ン ゴ 、 キ リ ン 他 125 種 約
宮崎市フェニック
宮崎県
1400 点 を 飼 育 す る 動 物 園 。 サ マ ー ス ク ー ル 、 移 動 動 物 園 な ど
ス自然動物園
宮崎市
を実施。動物とのふれあいを通し、動物、自然について学習
できる。
地域住民・観光客等を対象とした、火山現象や土石流、砂防
桜島国際火山砂防
鹿児島県
事業に関する展示、体験シミュレーションを行うとともに、
センター
鹿児島市
内外の研究者、研修生に情報提供も行う。また火山活動時や
土石流発生時などは、緊急時の避難場所となる。
屋久島世界遺産セ
ンター
鹿児島県
屋久町
屋久島の遺産登録について、世界の自然遺産の分布などを知
ることができる。国立公園のことを分かり易く説明している
施設である。
- 64 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-3
「九州の豊富な“自然”を遊学する」資源マップ
- 65 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(2)地域独自の発展をみせる“フードアイランド”を遊学する
九州は温暖な気候と自然環境に恵まれた地域性を生かし、1 次産品を活用した食品製
造業が盛んで、我が国の食料供給基地として位置付けられている。
九州シンクタンク六社会が 2005 年に実施した「食と観光に関する意識調査」におい
て 、 ち ゃ ん ぽ ん ・ 皿 う ど ん ( 長 崎 県 ) 、 馬 刺 し ( 熊 本 県 ) 、 さ つ ま あ げ 、 焼 酎 (鹿 児
島県)などが認知度で上位となっており、多彩な「九州の食文化」を形成している。
本テーマの特徴として、製造工場を見学できる施設が多いことがあげられる。アサ
ヒビール博多工場やサントリー九州熊本工場など、大手ビール会社 4 工場も見学者受
入体制があり、製造過程を見せることで「食の安全」をPRする場としている。ま
た 、 見 学 の 最 後 に 試 食 、 試 飲 と い う 形 で 「 食 す る 」 こ と が で き る と い っ た 付 加 価値 の
存在も見学理由となっている。
また、九州は「焼酎アイランド」と称してもよい程、豊富、かつ多様な焼酎が存在
す る 。 米 焼 酎 で は 熊 本 県 球 磨 地 方 の 球 磨 焼 酎 、 麦 焼 酎 の 発 祥 の 地 で あ る 壱 岐 、 芋焼 酎
の発祥の地である鹿児島など地域の農産物を使った焼酎が多く製造されている。ま
た 、 宮 崎 県 綾 町 で は そ ば 焼 酎 、 む ぎ 焼 酎 、 奄 美 大 島 等 で は 黒 糖 焼 酎 が 造 ら れ て いる 。
こうした焼酎造りの現場が見学できる蔵も南九州を中心に数多く存在している。
図表 5-4
特徴ある主な施設(例示)
施設名
所在地
概要
生湯葉の専門製造
福岡県
日本食の伝統食品である生ゆばの製造工程を学び、実際に体
工場ゆば屋はな花
八女市
験できる。また、食の安全性への取組みと大切さを学べる。
原次郎左衛門の味
大分県
噌醤油蔵
日田市
三和酒類安心院葡
大分県
ン醸造場、貯蔵庫、ブドウ畑、試飲ショップなど見学、体験
萄酒工房
宇佐市
ができる施設を設け、ブドウ産地を活かしたワイン文化の形
味噌、醤油、ラムネの製造工程が見学でき、ラムネ工場で見
学できるのは全国で同社のみである。併設している九州郷土
玩具館では、所蔵 1 万点の郷土玩具の内約 1 千点を展示。
杜の中のワイナリーをイメージした緑あふれる園内に、ワイ
成を紹介する。
サントリー九州熊
熊本県
本工場
嘉島町
みやざき「水の
宮崎県
郷・綾」酒泉の杜
綾町
ビール、発泡酒に加えて清涼飲料水も生産する業界初のハイ
ブリッド工場である。水源函養活動等、環境への取り組みも
紹介している。
清酒、焼酎、地ビール、ワイン、リキュールなど酒造りの製
造工程や伝統工芸製作体験、有機農業、自然林等の学習を含
めた産業観光のテーマパークである。
焼酎造りの技術集団「黒瀬杜氏」として知られる黒瀬集落。
杜氏の里笠沙
鹿児島県
南さつま市
その伝統技術、昔ながらの手造り甕壺仕込みを継承していく
ための施設である。展示館では焼酎造りの工程を立体映像で
解説し、昔の焼酎造りの道具等を展示。8 月末から 12 月まで
は焼酎仕込みの様子を見ることができる。
坂元醸造くろず情
報館阿萬屋
鹿児島県
霧島市
約 200 年 前 か ら 伝 わ る 伝 統 的 な 製 法 を 守 り 続 け て 造 っ て い る
純米つぼ酢である「坂元のくろず」。その歴史、製法を無料
で学べる工場見学や関連商品の購入ができる施設である。
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-5
「地域独自の発展をみせる“フードアイランド”を遊学する」資源マップ
サントリー九州熊本工場
薩摩酒造
明治蔵
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(3)世界に誇れる“先端産業技術”を遊学する
九州には半導体関連や自動車関連産業の集積が進みつつあり、我が国唯一の宇宙セ
ンターなど、世界に誇れる先端産業技術が存在している。
また、その技術を見学できる施設として、半導体関連産業では京セラセラミック
館、自動車関連産業でトヨタ自動車九州の企業博物館であるウィング 21 などがあげら
れる。また、食品製造業でもコカ・コーラウエストジャパンプロダクツ鳥栖工場では、
世 界 に 3 ラ イ ン し か な い 缶 無 菌 充 填 ラ イ ン の 見 学 や 廃 棄 物 リ サ イ ク ル の 現 状 な どが 見
学可能である。
図表 5-6
施設名
特徴ある主な施設(例示)
所在地
概要
工場見学のほかに、創立 10 周年を記念して建設した「ウイン
トヨタ自動車九州
福岡県
宮若市
グ 21 ・ P R 館 」 を 一 般 公 開 し て い る 。 P R 館 に は 「 環 境 」
「安全」に対する取組みを中心として、未来を見すえたトヨ
タのクルマづくりや先進技術、生産工程をパネルや映像で紹
介している。
三菱化学黒崎事業
所
福岡県
北九州市
コークス、染料等の大量生産型の製品から半導体関連製品、
医薬品等のより付加価値の高い製品への構造転換や、環境・
安全等に十分留意した事業活動などを中心に紹介している。
腰掛便器、洗面器など衛生陶器の製造工程を見学できる。清
東陶機器小倉第一
工場
福岡県
潔で整理整頓された工場で世界をリードする最新技術によっ
北九州市
て成形し、乾燥・施釉後、トンネル窯で焼成すると美しい衛
生陶器ができあがる。
コ カ・コ ー ラ ウ エ
ストジャパンプロ
ダクツ鳥栖工場
世 界 に 3 ラ イ ン し か な い 缶 無 菌 充 填 ラ イ ン を 案 内 し 、 コ カ ・コ
佐賀県
ーラ工場の概要を説明する。また、製造ラインを中心とした
鳥栖市
ビデオの上映や“ゴミゼロ工場”として廃棄物リサイクルの
説明も行う。
宇宙から地球まで科学を総合的に展示し、佐賀の自然科学も
佐賀県立宇宙科学
佐賀県
展示している九州最大規模の科学館で、最新式の機器を備え
館
武雄市
たプラネタリウムや天文台を備える。参加体験を重視した体
験施設である。
西日本電線
大分県
電線や光ファイバーケーブルの使用方法とその製造方法につ
大分市
いて、ショールームや製造工程の見学ができる。
熊本県テクノポリ
熊本県
スセンター
益城町
京セラ鹿児島ファ
鹿児島県
インセラミック館
霧島市
半導体製造工程展示やパソコンライブラリー(プラネタリウ
ム、折り紙、歴史等)がある。機械産業記念事業財団所有の
科学技術関連ビデオの視聴、理科実験もできる。
創業時のファインセラミック商品から最先端商品に至るまで
を年代を追いながら展示し、当社の歴史と製品、今後の展
開、また創業者の企業哲学を紹介している。
館内は宇宙と宇宙開発尽くしの壮大な空間が広がり、日本の
種子島宇宙センタ
ー
宇宙科学技術館
鹿児島県
南種子町
宇宙開発の推移がわかる展示を行っている。また、子どもか
ら大人まで楽しめる様々なシミュレーションゲーム、ロケッ
トの打ち上げを体感できるシアターやジオラマ模型など楽し
みながら宇宙開発への理解を深めることができる。
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-7
「世界に誇れる“先端産業技術”を遊学する」資源マップ
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(4)九州経済を牽引してきた“近代化産業”を遊学する
九州には石炭、鉱業、鉄鋼業、造船業、化学産業といった我が国の近代化産業のル
ー ツ が 多 く 存 在 し 、 そ れ を 伝 え る 資 源 と し て 、 多 く の 近 代 化 遺 産 、 産 業 遺 産 と して 各
地 に 存 在 し て い る 。 ま た 、 こ う し た 産 業 遺 産 を テ ー マ と し た 施 設 が あ る 一 方 で 、今 な
お九州経済を牽引している工場が存在し見学者を受け入れている。
いち早く西洋式の産業や技術の導入に取り組んだ薩摩藩の集成館事業は明治維新の
原 動 力 と な っ た 。 ま た 、 日 本 の 近 代 化 と 戦 後 復 興 を 支 え た 石 炭 に お い て は 明 治 以降 、
近 代 化 の 主 力 エ ネ ル ギ ー で あ り 、 筑 豊 や 三 池 、 高 島 と い っ た 日 本 で も 有 数 の 炭 鉱が 存
在 し た 。 さ ら に 三 池 港 周 辺 ( 大 牟 田 市 ) に は わ が 国 初 の 石 炭 関 連 化 学 コ ン ビ ナ ート が
今なお活躍している。
ここ九州では、日本の近代化の火を新日本製鐵八幡製鐵所の鉄鉱石を溶かす高炉に
見 つ つ 、 そ の 原 動 力 と な っ た 石 炭 産 業 の 歴 史 を 大 牟 田 市 石 炭 産 業 科 学 館 や 直 方 市石 炭
記 念 館 で 学 ぶ 。 ま た 、 尚 古 集 成 館 で 明 治 前 後 の 技 術 者 の 情 熱 に 思 い を 馳 せ 、 世 界一 の
造船技術のルーツを三菱重工業長崎造船所史料館で学ぶことができる。
図表 5-8
特徴ある主な施設(例示)
施設名
所在地
概要
新日本製鐵八幡製
福岡県
鉄鉱石を溶かして鉄を作る高炉工場、鋼を薄く延ばして製品
鐵所
北九州市
を作る熱延工場が見学できる。
制服制帽を着用して、SL運転席へ試乗できる。100 年前の救
直方市石炭記念館
福岡県
命器や 2t ある日本一の石炭塊、石炭の木であるメタセコイヤ
直方市
が 3 本あり触れることもできる。石炭産業 100 年の歴史を学
べる施設である。
大牟田市石炭産業
科学館
福岡県
大牟田市
模擬坑道や坑内機械を展示し、三池炭鉱の技術とエネルギー
について学ぶことができる。また、三池炭鉱の歴史や文化、
出来事を映画で紹介している。
江戸歌舞伎様式の芝居小屋体験である。2003 年 7 月の大水害
嘉穂劇場
福岡県
からファンの力によって復興を遂げた。公演がない時には、
飯塚市
客席から舞台にいたるまで見学ができ、長い年月を生き抜い
た劇場の姿を見てとることができる。
長崎造船所の創業当時(江戸末期)からの歴史資料を展示し
三菱重工業長崎造
長崎県
ている。当造船所が日本の近代化に果たした役割を後世に伝
船所史料館
長崎市
えるため、明治 31 年に建設されたレンガ造りの工場を転用し
て作られた企業博物館である。
軍艦島資料館
長崎県
端島炭鉱で働く人々とその家族の暮らし振りや、閉山後の荒
長崎市
廃と現状など、写真や模型を通じて学ぶことができる。
鎌 倉 時 代 か ら 約 700 年 間 、 南 九 州 を 統 治 し て き た 島 津 氏 に 伝
来する資料を保存展示する博物館で、大正 12 年に開館し、現
尚古集成館
鹿児島県
鹿児島市
在に至っている。幕末、欧米諸国の植民地政策に対抗するた
めに取り組んだ集成館事業、また日本や薩摩藩を取り巻く状
況を明らかにしつつ、薩摩が海と関わりながら長い時間をか
けて育んできた歴史と文化を学び、幕末から明治にかけて薩
摩が大きな役割を果たしたことを体感できる施設である。
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-9
「九州経済を牽引してきた“近代化産業”を遊学する」資源マップ
三菱造船所史料館
尚古集成館
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(5)地域に根付く“伝統芸能・工芸”を遊学する
九州は外来文化の影響をいち早く受けた地域である。その影響は国産品に応用、改
良 が 加 え ら れ 、 日 本 の 伝 統 技 術 に 中 国 や 韓 国 、 欧 州 の 要 素 を 加 味 し た も の で 、 現在 で
も伝統芸能や工芸が数多く存在する。
代表的な伝統工芸として陶磁器があげられる。有田・伊万里焼、三川内焼、波佐見
焼 、 薩 摩 焼 な ど の 磁 器 、 上 野 焼 、 唐 津 焼 、 小 石 原 焼 な ど の 陶 器 で あ る 。 こ う し た九 州
の陶磁器の発祥は 16 世紀末の朝鮮の役の際、連れてきた李朝の陶工によって九州に伝
え ら れ 、 藩 の 保 護 ・ 奨 励 を 受 け 発 展 し て き た 。 な か で も 有 田 町 は 日 本 の 磁 器 発 祥の 地
と し て 世 界 的 な 磁 器 の メ ッ カ と さ れ 、 九 州 陶 磁 文 化 館 で は そ の 歴 史 と 文 化 、 美 しさ を
学ぶことができる。また、南九州にも薩摩焼の歴史を学べる美山陶遊館が存在する。
また、陶磁器以外にも、博多織や博多人形、八女福島仏壇(福岡県)、別府竹細工
( 大 分 県 ) 、 都 城 大 弓 ( 宮 崎 県 ) 、 本 場 大 島 紬 や 川 辺 仏 壇 ( 鹿 児 島 県 ) な ど は 経済 産
業大臣指定伝統的工芸品に指定されており、体験可能な施設も数多く存在している。
図表 5-10
特徴ある主な施設(例示)
施設名
所在地
概要
「博多町家」ふる
福岡県
博多織の体験ができる施設である。また、明治・大正の時代
さと館
福岡市
を中心とした博多の暮らしと文化を紹介している。
八女伝統工芸館
福岡県
八女市
八女手すき和紙、八女福島仏壇の実演をはじめ、竹細工等の
職人の実演が見学できる。また、手すき和紙の体験コーナー
も通年実施している。
佐賀県立九州陶磁
佐賀県
佐賀県をはじめ九州各地で誕生した陶磁器の歴史とその美し
文化館
有田町
さを、作品鑑賞を通して学べる施設である。
鍋野手漉和紙工房
佐賀県
嬉野市
別府市竹細工伝統
大分県
産業会館
別府市
途絶えた塩田の伝統産業「手漉和紙」を復活させ、体験・実
演を通じて、西洋紙にみられない 1000 年以上持つ保存性、強
く美しく環境に優しい和紙のすばらしさを伝える。
別府竹細工の名工による作品を展示して、歴史や技術を紹介
するとともに、竹鈴製作の体験学習を通じて、別府竹細工へ
の理解を深める施設である。
明治に住民の手で建設され、一時廃家となるも住民運動によ
八千代座
熊本県
り復興した。明治からの文化芸能史、建物の変遷、我が町の
山鹿市
ため住民達が行った活動の歴史と現代におけるまちづくりへ
の意識を表す施設である。
人吉クラフトパー
熊本県
地域の特産工芸を見学、体験でき、球磨焼酎の展示館や茶
ク石野公園
人吉市
室、遊具もあり子供から御年配の方まで楽しめる。
清和文楽館
薩摩ガラス工芸
大島紬村
熊本県
山都村
鹿児島県
鹿児島市
鹿児島県
龍郷町
清和文楽の劇場と資料館であり、農村文化を紹介した村おこ
しの拠点でもある。文楽とは人形浄瑠璃の郷土芸能であり、
江戸時代の末期から農家の間で代々と受け継がれてきた。
島津斉彬のもと、集成館では色ガラスの研究を始め、薩摩切
子が誕生したが、わずか数十年でその姿を消した。現在、復
元された薩摩切子の製造工程を見学できる施設である。
奄美大島の伝統産業である大島紬を、奄美の雄大な自然環境
で生産工程の全ての体験をすることが可能である。
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-11
「地域に根付く“伝統芸能・工芸”を遊学する」資源マップ
- 73 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(6)九州産業を支えた“交通”の歴史を遊学する
九州には鉄道資産、遺構が集積し、地域の営みと鉄道の歴史を一体的に学ぶことが
で き る 。 な か で も 八 代 駅 ( 熊 本 県 ) か ら 隼 人 駅 ( 鹿 児 島 県 ) を 結 ぶ 肥 薩 線 で は 、九 州
新 幹 線 の 部 分 開 業 に 伴 っ て 新 設 さ れ た 観 光 列 車 の い さ ぶ ろ う 号 、 し ん ぺ い 号 が 人気 と
な っ て い る 。 沿 線 上 に は 嘉 例 川 駅 、 大 隅 横 川 駅 な ど 歴 史 あ る 駅 舎 や ス イ ッ チ バ ック や
ル ー プ が あ る な ど 、 九 州 新 幹 線 の ス ピ ー ド に 対 し 、 在 来 線 の ス ロ ー な 旅 を 楽 し みな が
ら 、 鉄 道 の 歴 史 を 在 来 線 の 学 ぶ こ と が で き る 。 ま た 、 門 司 港 に あ る 九 州 鉄 道 記 念館 は
九州全域の鉄道の歴史を紹介している。
また、九州には多くの個性的で美しい橋がある。構造物の材料に適した凝灰岩が手
に 入 り や す い こ と も あ り 、 多 く の 石 橋 が 建 て ら れ 、 石 橋 文 化 を 紹 介 す る 施 設 も 存在 し
ている。なお、九州産業・生活遺産調査委員会「九州遺産近現代遺産編 101」にも多く
の橋梁が掲載されている。
図表 5-12
施設名
九州鉄道記念館
九州旅客鉄道小倉
工場
特徴ある主な施設(例示)
所在地
福岡県
北九州市
福岡県
北九州市
概要
九州の鉄道の歴史を五感で感じることができる施設。懐かし
い鉄道車両の展示や運転シミュレーション、ミニ鉄道公園な
ど、学んで遊んで、鉄道のすばらしさを体感できる。
九州新幹線を除く九州内を走る列車の定期検査風景を見学で
きる。
最新鋭の生産技術を結集し、働きやすい職場環境の工場を案
日産自動車九州工
福岡県
場ゲストホール
苅田町
内する。平板鉄板(圧造)から車体塗接、塗装、部品組付後
車両検査工程など“車ができるまで”の様子を専用の見学者
コースから順番に見ることができる。また組立工場からは日
産専用埠頭も見え、車づくりの全てが分かる。
博多港ベイサイド
福岡県
港、船、海をテーマにした海事博物館である。博多港の歴史
ミュージアム
福岡市
や役割について紹介している。
長崎電気軌道電車
長崎県
長崎の路面電車の歴史を体験できる施設である。
資料室
長崎市
河とともに発展した郷土をテーマに、船運・港にこだわって
玉名市立歴史博物
熊本県
資料収集と研究をしている。古墳時代の舟形石棺や中世の中
館
玉名市
国貿易船の模型と交流品、江戸時代の和船模型などを展示し
ている。
通潤橋史料館
JR九州嘉例川駅
熊本県
「潤された大地と心」を展示テーマに、空を渡る水の石橋通
山都町
潤橋の歴史と構造が楽しく学べる史料館である。
鹿児島県
霧島市
開業当時の木造建築で鹿児島県内では大隅横川駅のものと並
び最古のもの。旧隼人町が駅舎を保護のため買い取った。
1993 年 8 月 6 日の鹿児島集中豪雨による洪水で、5 石橋のう
鹿児島県立石橋記
鹿児島県
ち新上橋、武之橋が流失、他の3橋も河川改修に合わせて移
念公園
鹿児島市
設・保存されることになり、2000 年 4 月移設復元するととも
に、五石橋の歴史や技術を伝える石橋記念館である。
加世田南薩鉄道資
料館
鹿児島県
南さつま市
南薩鉄道時代の加世田駅にあった石造倉庫を利用した南薩鉄
道の資料館。南薩鉄道の車両部品や切符,運賃表を展示。
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-13
「九州産業を支えた“交通”の歴史を遊学する」資源マップ
小菅修船場
嘉例川駅
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(7)循環型社会を目指す“環境・リサイクル”を遊学する
九州はかつての環境汚染、公害病といった影の部分を克服し、環境先進地域として
新 し い 時 代 に 歩 み 出 し て い る 。 エ コ タ ウ ン 事 業 が 承 認 さ れ た 地 域 と し て 、 北 九 州市 、
大牟田市、水俣市の 3 ヵ所があり、最近の環境問題への意識の高まりとともに環境・
リ サ イ ク ル を テ ー マ と す る 施 設 へ の 見 学 、 視 察 者 が 増 加 し て い る 。 そ こ で は ゼ ロ・ エ
ミッション構想や循環型社会の重要性を学ぶことができる。
なかでも、水俣市では環境学習に対する関心が高く、湯の児スペイン村・福田農場
で は 食 を メ イ ン テ ー マ と し な が ら 廃 材 を 利 用 し た 施 設 整 備 を 行 い 、 修 学 旅 行 生 や観 光
客 に 対 し 環 境 体 験 学 習 を 提 供 し て い る 。 他 に も 、 水 俣 病 資 料 館 、 水 俣 市 環 境 ク リー ン
センター、田中商店水俣営業所などがある。また、2001 年にはNPO法人水俣教育プ
ランニングが設立され修学旅行生のアテンドなどを行っている。
図表 5-14
施設名
特徴ある主な施設(例示)
所在地
概要
来館者には紙すきや裂き織りの体験や、生ごみリサイクルを
臨海リサイクルプ
福岡県
直に見られるサンプル、畑にもコンポストを設置している。
ラザ
福岡市
ごみ減量とリサイクルに関する展示、教室講座開催、講師派
遣も実施している。
飯塚市リサイクル
プラザ工房棟(エ
コ工房)
北九州市エコタウ
ンセンター
環境保全に関する情報、リサイクル意識の高揚、学習体験等
福岡県
の場である。食用廃油からの石けん作りや、身近な川に生息
飯塚市
している生物の調査など身の回りのことから環境について学
べる施設である。
福岡県
北九州市
北九州エコタウン事業の紹介やエコタウンにあるリサイクル
工場・研究施設の見学案内を行う。環境、リサイクルに関す
る技術、製品の展示やパネルによる事業の紹介もしている。
人と自然の調和を育む環境づくりを目指し、環境に最大限配
ハウステンボス
長崎県
慮したハイテクノロジーを駆使したシステムと、エコシティ
佐世保市
としての側面を「テクニカルツアー」として専任スタッフが
案内する。
熊本市水の科学館
日本製紙八代工場
熊本県
熊本市
熊本県
八代市
上水道と地下水を中心に、暮らしに欠かすことのできない水
について、理解と関心を持ってもらうための学習と体験がで
きる施設である。
古紙リサイクル、杉の廃材リサイクルを紹介し、紙ができる
過程を学習できる。また、環境への取組や社会貢献活動など
も紹介する。
戦後未曾有の被害を出した水俣病事件を教訓に、このような
水俣病資料館
熊本県
悲惨な公害が二度とおきないようにとの思いで、写真、模
水俣市
型、モニターの展示、資料の閲覧また水俣病の被害を受けた
方による「語り部講話」を実施している。
食をメインテーマとしながら廃材を利用した施設整備を行
湯の児スペイン村
熊本県
福田農場
水俣市
い、修学旅行生や観光客に対し環境体験学習を提供してい
る。ガラスびん、リサイクル、リユース、リメイク(工芸
品)事業が見学できる。なお、ガラス工芸品ついては、体験
学習になっており、作品を持ち帰ることができる。
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第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-15
「循環型社会を目指す“環境・リサイクル”を遊学する」資源マップ
湯の児スペイン村福田農場
- 77 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
(8)地域固有の“歴史・文化”を遊学する
九州には地域固有の歴史・文化があり、日本の歴史・文化の形成過程で起源ともな
る も の も 多 い 。 九 州 は 四 方 を 海 で 囲 ま れ 大 陸 に 近 隣 し て い る こ と か ら 、 古 来 よ り漢 委
奴国王の金印の存在や邪馬台国九州起源説、神武天皇東遷説等の伝承もある。
2005 年 10 月に開館した九州国立博物館は我が国 4 館目となる国立博物館で、九州の
特徴である“海外交流”をテーマとしている。同時期に開館した長崎歴史文化博物
館 、 リ ニ ュ ー ア ル し た 尚 古 集 成 館 な ど “ 海 外 交 流 ” を テ ー マ と す る 博 物 館 ・ 資 料館 は
多 く 、 こ れ ら を 巡 る と 、 旧 石 器 時 代 か ら 近 代 化 に 至 る 時 間 軸 で つ な が り 、 地 域 独自 の
文 化 に ア ジ ア や 西 洋 の 文 化 を 融 合 さ せ な が ら 、 常 に 日 本 を 先 導 し て き た 九 州 の 全体 像
が浮かび上がる。他にも、九州固有の歴史を体感できる施設が多く存在している。
また、地域産業と密接に関わる文化や文学としては、筑豊炭田を舞台とした小説の
青春の門や炭鉱での労働歌である炭鉱節、石炭積み出し人夫をモデルとした花と龍
(火野葦平作)などの炭鉱文化が色濃く残っている。
図表 5-16
施設名
特徴ある主な施設(例示)
所在地
概要
九州国立博物館は「古来より海外との交流の窓口であった九
九州国立博物館
福岡県
太宰府市
州」を切り口とし、文化交流展示「海の道、アジアの路」で
は5つのテーマを設け、旧石器時代から江戸末期の開国まで
を取り上げた。また、隣にある太宰府天満宮では学問の神と
崇められている、天神様をお祀りしている。
関門海峡にまつわる歴史を音と光と映像で表現した海峡アト
海峡ドラマシップ
福岡県
リューム、人形の名匠たちが、海峡の歴史ドラマを再現した
北九州市
歴史回廊、海峡の船や潮流ウォッチングするリアルタイム関
門海峡など、海峡をテーマにドラマチックな感動を与える。
中冨記念くすり博
佐賀県
国 内 ・外 の く す り に 関 す る 知 識 を 学 べ る 施 設 で あ る 。 当 施 設 の
物館
鳥栖市
建つ地域で発祥した売業文化(田代売薬)を紹介している。
佐賀城本丸歴史館
佐賀県
佐賀市
天保期に建てられた佐賀城本丸歴史館の一部を忠実に復元し
ており、佐賀城の変遷と本丸、幕末・維新期の佐賀、明治維
新と佐賀の群像というテーマをわかりやすく紹介している。
2005 年 11 月に開館した同館は、かつて長崎奉行所立山役所が
長崎歴史文化博物
長崎県
置かれた長崎市諏訪の森に、奉行所の一部を復元する形で設
館
長崎市
立され、発掘調査で発見された江戸時代のものをそのまま利
用し、当時の史料を元に忠実に再現されている。
1945 年 8 月 9 日に投下された原子爆弾がもたらした惨状を当
長崎原爆資料館
長崎県
時の被災資料、写真パネル、映像等を通して紹介し、原子爆
長崎市
弾のおそろしさを伝えるとともに、核兵器廃絶と世界恒久平
和を訴えている。
出島和蘭商館跡
上野原縄文の森
長崎県
鎖国時代に西欧と唯一の交流窓口だった出島が日本の近代化
長崎市
に果たした役割を紹介している。
鹿児島県
霧島市
基 本 的 に は 9,500 年 前 の 集 落 遺 跡 で あ る 上 野 原 遺 跡 を 中 心 と
した考古博物館であり、古代体験を中心にしたアミューズメ
ント施設を目指している。
- 78 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-17
「地域固有の“歴史・文化”を遊学する」資源マップ
- 79 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-18
テーマの抽出・分類上のポイント
○ 「 観 光 と 教 育 ・ 学 習 に つ い て の ア ン ケ ー ト 調 査 」 ( 第 Ⅱ 章 (2 )) の 回 答 結 果 を 中 心 に 、
九州・山口経済連合会「見体験九州」、各施設のパンフレット、九州運輸局監修「九州
遺産近現代遺産編 101」などから一部補足して作成した。
○アンケート調査の結果において、テーマを複数回答した施設はそれぞれのマップに重複
して掲載している。
九州の観光集客施設における教育・学習のテーマ(再掲)
歴史・産業変遷
34.2
自然体験
22.3
伝統芸能・工芸(陶磁器・織物等)
21.9
環境・リサイクル
16.2
食品加工
13.8
先端産業技術
5.0
交通(鉄道・港湾等)
3.1
文学
2.7
宇宙
2.3
教育・学習に関わるテーマは特に無い
5.4
0
5
10
15
資料)当センター「観光と教育・学習についてのアンケート調査」
20
25
30
35
40
(%)
○「特徴ある主な施設」はアンケート調査回答先とその回答内容を中心に、例示として掲
載している。
○マップの表示は「観光と教育・学習についてのアンケート調査」における施設特性別の
分類(観光集客施設、見学工場・体験施設、博物館・資料館)の3項目で表示してい
る。なお、「近代化産業」「交通」については「産業遺産」という区分を別途設け、4
項目で表示を行っている。
- 80 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
2.九州の特色である“産業”の変遷と産業遺産
これまでみたように、既存の観光資源で学べるテーマとして、自然や歴史、文化に
加え、食品加工、伝統芸能・工芸、先端技術など「産業」に関するものが多い。
そこで、ここでは九州の「産業」に着目し、その“現在”と“過去”をまとめてみた。
①現在の産業構造と産業観光への機運の高まり
九州の産業構造は 2002 年度のGDP比で、第 1 次産業 2.8%、第 2 次産業 23.6%、
第 3 次 産 業 74.6% と な っ て お り 、 全 国 ( 第 1 次 1.3% 、 第 2 次 28.7% 、 第 3 次
70.0%)と比較して、第 1 次、第 3 次産業の比率が高い。
温暖な気候と自然環境に恵まれた地域性を生かし、鹿児島や宮崎県で畜産業、長崎県
で水産業が盛んである。こうした 1 次産品を利用した食品産業も発達し、わが国の食料
供給基地として位置付けられている。また、製造業では重厚長大型の鉄鋼や造船に加え、
近年では北部九州の自動車関連産業や、九州全域で半導体関連産業の立地が進んでいる。
さらに、こうした先端産業、地場産業の集積を観光面に活用する“産業観光”が注目
されてきており、全国産業観光フォーラムが 2003 年 10 月に鹿児島市、2006 年 2 月に
長崎市で開催され、九州全域における産業観光推進への気運が高まってきている。
図表 5-19
活用が考えられる産業集積
資 料 ) 九 州 経 済 調 査 協 会 「 図 説 九 州 経 済 」 ( 2005 年 )
- 81 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
②日本近代化の礎を築いた九州の歴史
九州は古くから中国、韓国の技術や文化・文明などが伝わるルートにあり、陶磁器
等の産業が生まれ、発展してきた。また、江戸時代には長崎港が唯一の海外交流の窓
口となり、近代西洋文明や技術がいち早く導入され、長崎の警備に当たっていた鍋島
藩では 1850 年にわが国最初の製鉄所を完成させ、1853 年にはアームストロング砲と呼
ばれた鉄製大砲を完成させるとともに、造船所を設け蒸気船を進水させた。一方、琉
球 王 国 を 通 じ て 中 国 な ど と 交 易 の あ っ た 薩 摩 藩 で は 、 1854 年 に 日 本 初 の 高 炉 ( 溶 鉱
炉)を建造し、大砲の鋳造を行うとともに、集成館事業としてガラス、陶磁器、繊維
等を製造し、近代的なコンビナートの原型をみることができる。
明治になると、このような「製鉄技術」と「造船技術」が発端となり、近代造船業
が長崎で発達した。さらに、豊富に埋蔵していた石炭資源が本格的に採掘され、鉄鋼
業や化学工業の発展につながり、重厚長大型の産業が集積した。
このような産業の集積が九州の産業技術の継承や新たな産業の萌芽に繋がり、日本
の産業発展史上に輝いている。
図表 5-20
九州の産業と技術の発生と変遷
資 料 ) 九 州 通 商 産 業 局 「 九 州 の 産 業 技 術 の 発 生 と 発 展 の 歴 史 」 ( 1994 年 )
- 82 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
③“本物”として現存する産業遺産
輝かしい九州の産業変遷を最も強烈に伝える“本物”の観光資源が“産業遺産”で
ある。その現状と最近の動向を整理した。
文化庁では、近代の産業文化財(=近代化遺産)について、1990 年度から国庫補 助
事業として、江戸時代末期から第二次世界大戦終了までに造られた産業・交通・土木
などに関する建造物を対象に「日本近代化遺産総合調査」を開始した。図表 5-21 は
1993 年に実施した福岡県以降、九州各県の教育委員会がそれぞれ実施した調査結果を
集計したものである。
これによると、橋梁やトンネル、駅舎などが含まれる「交通・通信」は各県で最も
多いが、福岡県では「鉱業」と「造船・工業」、長崎県で砲台や要塞などの「軍事施
設」と「造船・工業」、また、大分県、熊本県、鹿児島県では用水路や棚田など「農
業」分野が比較的多くなっているなど、各県別に特徴がみえてくる。
また、これらの遺産についてはこれまで土木・建築の各分野で調査・研究がなされ
てきたが、その多くは文化財としての保護措置も講じられていない状況にある。さら
に、急激な技術革新や産業構造の変化のなかで貴重な文化的遺産として顧みられるこ
ともなく、その姿を消すことが多い。
図表 5-21
総数
農業
林業
水産業
鉱業
産業
窯業
醸造業
造船・工業
商業
その他
交通・通信 交通・通信
上下水道
電力・ガス
土木
河川・海岸
その他
軍事
軍事施設
宗教
建築物
教育
その他
福岡県
113
佐賀県
700
0
0
0
17.7
0
1.8
22.1
3.5
0
28.3
0
0
1.8
0
0.9
0.9
16.8
6.2
7.4
0.1
0.4
5.9
4.4
8.0
1.3
8.6
2.3
26.4
0.7
1.6
5.4
0
1.9
6.6
3.6
15.4
近代化遺産の分布状況
長崎県
511
構成比(%)
3.3
0.2
0.6
2.5
1.0
1.8
8.0
1.8
0.8
31.5
2.2
1.4
0
0
15.7
9.0
4.5
15.9
大分県
70
熊本県
259
14.3
1.4
2.9
7.1
0
2.9
1.4
14.3
4.3
21.4
1.4
5.7
0
0
5.7
0
5.7
11.4
12.4
0
0.4
0.8
0
0
5.4
3.9
0
52.9
0.8
11.2
0
0.4
0.8
1.5
5.4
4.2
鹿児島県 分類別合計
859
2,512
9.2
0.3
1.5
2.4
0.1
1.0
0.3
1.5
0.1
57.0
0.9
2.7
1.7
0.3
5.5
2.4
3.5
9.2
7.6
0.2
0.9
4.1
1.5
3.1
3.7
4.2
1.0
40.6
1.1
2.9
2.2
0.2
5.9
4.7
4.6
11.7
注)宮崎県は未作成。各県で抽出基準が異なり実数での比較はできない。また、分類基準も異なることから長崎県の分類を
基に当センターで作成し内訳比率で表示したもの。各県上位 3 位までを色付きで表示。
資料)各県教育委員会「近代化遺産」
- 83 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
こうしたなか、近年、九州の産業遺産を保存活用しようとする動きが各地で芽生えて
きている。行政や学会、NPOが主催するシンポジウムの開催、九州運輸局監修「九
州遺産近現代遺産編 101」の発刊、旧三井港倶楽部(福岡県大牟田市)や志免炭鉱竪坑
櫓(福岡県志免町)の保存運動など、産業遺産の価値は今ようやく見直されつつある。
図表 5-22
実施年月
2005 年 6 月
2005 年 6 月
2005 年 7 月
2005 年 7 月
2005 年 8 月
2005 年 9 月
2005 年 12 月
2006 年 2 月
2006 年 2 月
九州の産業遺産の保存活用に向けた動き
内容
主催・後援等
「九州遺産近現代遺産編 101」発刊
九州産業・生活遺産調査委員会
(九州運輸局監修)
「 日 本 産 業 技 術 史 学 会 第 21 回 年 会 講 演 会
日本産業技術史学会、志免町教育
(志免大会)」開催(福岡県志免町)
委員会
「九州産炭地フォーラム」開催
NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のま
(福岡県大牟田市)
ちファンクラブ
「九州近代化産業遺産シンポジウム」開催
鹿児島県、長崎県、佐賀県
他
他
(鹿児島市)
「九州の伝承遺産シンポジウム 2005 長崎」
NPO法人軍艦島を世界遺産にす
開催(長崎市)
る会
リレーシンポジウム「近代を開いた江戸の
佐賀市
他
モノづくり」(佐賀市)
「九州近代化産業遺産研究委員会」発足
鹿児島県
「“今長崎から始まる”産業観光フォーラ
フォーラム実行委員会、長崎商工
ム」開催(長崎市)
会議所
「かごしま産業遺産のこれからを考えるフ
NPO法人まちづくり地域フォー
ォーラム」開催(鹿児島市)
ラム・かごしま探検の会
他
資料)新聞記事等
④産業遺産の保存活用に対する目的の明確化が必要
これまで産業遺産の保存活用が進展しなかった理由は、“産業遺産をなぜ保存する
のか”という明確な目的が市民の理解を得ていないことが最も大きな要因と考える。
産業遺産は鉄や金属類が使われているものが多く、その保存や維持管理には多額の
費用と労力が必要となる。よって、産業遺産を所有している場合が多い企業サイドも
保存するよりも取り壊しを選択せざるを得ない状況となっている。
つまり、“保存活用に対するメリット”をどう導き出すか、がポイントとなる。例
えば、アイアンブリッジの事例にみられるように(第3章)、産業遺産の教育効果が
広く認知され、その「文化的価値」が市民権を得ることができれば、教育資源、さら
に観光資源として活用が図られ、「経済的価値」が創出される。観光と教育・学習両
面から地域活性化の原動力となり得るのである。
こうした理由から、産業遺産は観光と教育・学習の融合を目指す“遊学”推進にお
いて、重要な地域資源となると考える。
- 84 -
第5章 観光資源にみる九州らしいテーマ
図表 5-23
主な産業遺産
治水利水建造物・発電所
01
白水溜池・堰堤(大分県竹田市)
02
河内貯水池堰堤・南河内橋(福岡県北九州市)
03
沈堕ダム・沈堕発電所(大分県豊後大野市)
04
筑後川デレーケ導流堤(福岡県大川市、柳川市)
05
上椎葉ダム(宮崎県椎葉村)
06
曽木発電所(鹿児島県大口市)
農業施設・用水路等
07
音無井路十二号分水(大分県竹田市)
08
明正井路一号幹線一号橋(大分県竹田市)
09
若宮井路笹無田石拱橋・鏡石拱橋
(大分県竹田市)
10
通潤橋(熊本県山都町)
11
旧郡築新地甲号樋門・郡築二番町樋門
(熊本県八代市)
12
坂元の棚田(宮崎県日南市)
交通運輸建造物
13
筑後川昇開橋(福岡県大川市)
14
幸野川橋梁(熊本県小国町)
15
耶馬溪橋(大分県中津市)
16
出島橋(長崎県長崎市)
17
尾鈴橋(宮崎県木城町)
18
霊台橋(熊本県美里町)
19
轟橋・出合橋(大分県豊後大野市)
鉄道車輌・船舶
20
西海橋(長崎県佐世保市)
21
潮見橋(鹿児島県鹿児島市)
22
九州鉄道茶屋町橋梁・尾倉橋梁(福岡県北九州市)
23
平成筑豊鉄道内田三連橋梁(福岡県赤村)
42
三井三池鉄道電気機関車(福岡県大牟田市)
43
26 号 蒸 気 機 関 車 ( 大 分 県 宇 佐 市 )
44
8620 型 蒸 気 機 関 車
(JR九州豊肥本線熊本駅~宮地駅間)
45
大川鉄道蒸気機関車(福岡県久留米市)
46
長 崎 電 気 軌 道 路 面 電 車 168 号 ( 長 崎 県 長 崎 市 )
47
クレーン船大金剛丸(福岡県大牟田市)
24
JR九州第一球磨川橋梁(熊本県坂本村)
25
鹿本鉄道菊池川橋梁(熊本県山鹿市)
26
南阿蘇鉄道立野橋梁(熊本県南阿蘇村)
27
南阿蘇鉄道第一白川橋梁(熊本県南阿蘇村)
28
48
三池炭鉱(福岡県大牟田市)
JR九州熊本機関車庫2号・他(熊本県熊本市)
29
49
三池港閘門・三池式快速石炭船積機3号機
JR九州人吉機関車庫(熊本県人吉市)
30
JR九州豊後森円形機関車庫(大分県玖珠町)
31
50
鯛生金山(大分県日田市)
JR九州小倉工場(福岡県北九州市)
32
51
見立鉱山倶楽部(宮崎県日之影町)
水ノ子島灯台・吏員退息所(大分県佐伯市)
33
52
三井田川炭鉱大煙突・他(福岡県田川市)
関埼灯台(大分県大分市)
34
53
天草炭鉱魚貫坑・烏帽子坑(熊本県牛深市)
部埼灯台(福岡県北九州市)
54
端島炭坑(長崎県長崎市)
鉱山・炭坑施設
(福岡県大牟田市)
35
都井岬灯台(宮崎県串間市)
36
戸馳島灯台(熊本県宇城市)
工場・関連施設
37
口之津灯台(長崎県口之津町)
55
集成館・集成館関連遺跡(鹿児島県鹿児島市)
38
三角西港(熊本県宇城市)
56
官営八幡製鉄所東田第1高炉(福岡県北九州市)
39
JR九州門司港駅舎(福岡県北九州市)
57
新日本製鐵㈱八幡製鐵所施設群(福岡県北九州市)
40
JR九州肥薩線
58
佐世保重工業㈱ドック・建物群(長崎県佐世保市)
59
三菱重工業㈱長崎造船所(長崎県長崎市)
60
小菅修船場(長崎県長崎市)
61
カザレー式アンモニア製造装置(宮崎県延岡市)
62
智恵治登窯(長崎県波佐見町)
駅舎群など
(JR九州肥薩線人吉駅~隼人駅間)
41
旧西日本鉄道筑紫駅待合所(福岡県筑紫野市)
注)産業遺産のみ抽出
資 料 ) 九 州 産 業 ・ 生 活 遺 産 調 査 委 員 会 「 九 州 遺 産 近 現 代 遺 産 編 101」 ( 九 州 運 輸 局 監 修 )
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第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
第6章
「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
本章では、第5章(「遊学アイランド九州」形成に向けた観光資源連携方策)に基づい
て、九州において一体的に取組むことが望まれる具体的なテーマとして“石炭”を取り上
げ、活用の基本方向を検討した。また、
「遊学アイランド九州」を具現化するため、石炭鉱
業を基礎に一大工業地帯を形成し、現在も産業都市として発展している大牟田(福岡県)・
荒尾(熊本県)地区を選定して、想定されるモデル事業を検討した。
図表 6-1
モデル事業におけるテーマ分野の考え方
<第5章で検討した九州らしいテーマ一覧>
1.九州の豊富な“自然”を遊学する
2.地域独自の発展をみせる“フードアイランド”を遊学する
3.世界に誇れる“先端産業技術”を遊学する
4.九州経済を牽引してきた“近代化産業”を遊学する
5.地域に根付く“伝統芸能・工芸”を遊学する
6.九州産業を支えた“交通”の歴史を遊学する
7.循環型社会を目指す“環境・リサイクル”を遊学する
8.地域固有の“歴史・文化”を遊学する
具体的なテーマを“石炭”にしぼる
モデル事業のテーマ
燃ゆる石が語る九州の“炭鉱文化”を遊学する
<選定理由>
①石炭は九州を代表する天然資源である
石炭は九州に今なお眠る天然資源であり、わが国の産業の急速な近代化と著しい経済発
展を支えた歴史がある。
②石炭鉱業には栄枯盛衰のドラマがある
石炭は“黒いダイヤ”と呼ばれ、九州の産炭地では資本と労働力が集中的に投入され、
昭和 40 年代後半まで地域経済社会の基盤を形成した。しかし、海外から輸入された石
油、石炭への依存が高まるにつれてその役割を終え、急速に衰退した経緯がある。その
過程で、様々な栄枯盛衰のドラマがそれぞれの地域に隠されている。
③石炭鉱業の足跡が地域社会に現存している
産炭地には炭鉱閉山後、石炭記念館・資料館が多数存在し、また炭鉱があった姿を残す
本物の資源が九州内に点在している。さらに、炭鉱従事者やその家族等の関係者が生存
し、体験を語り継ぐ人材がいる。
④石炭は現代・未来産業へつながる産業技術の原点で、遊学の多様な可能性がある
石炭鉱業から派生して九州に集積した産業分野は多く、石炭に由来する九州の産業と技
術を多方面から観光資源として活用することにより、「先人の英知にふれる人材育成の
場の形成」「国内外からの集客や交流の促進」が図られる可能性がある。
- 87 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
図表 6-2
“石炭テーマ”における観光資源の活用イメージ(ストーリー)
テーマ
燃ゆる石が語る九州の“炭鉱文化”を遊学する
“炭鉱文化”
石炭鉱業やそこから派生した産業の成り立ち、日本近代化を築いた役割、そこ
に住んでいた人々の暮らし等から脈々と地域に流れる姿を表象するもの
“黒ダイヤ”が輝いた
時代を探検する
○炭鉱遺産巡り
○採掘現場を模擬体験
トランスポーテーショ
ンを体験する
「クリーン・コールテ
クノロジー」を学ぶ
○ 輸 送・運 搬( 鉄 道・船 舶・
○最先端の科学技術から
九州に眠る“燃ゆる石”
(石炭)との出会い
石炭を解析
運河)の現場体験
博物館・歴史資料館を基点とし
た“遊学空間”に滞在する旅
石炭町の暮らし・文化
に触れる
富の足跡を辿る
○炭鉱主の生活
○芝居小屋
○社交倶楽部の活用
○炭坑節
○開発にかけた人間ドラマ
○長屋のドラマ
○文学
+
観光として欠かせない要素の付加
食
泊
○炭鉱マンが食べ
○炭鉱企業が保養所と
ていたお菓子
していた温泉地
○旧三井港倶楽部
○炭鉱社宅の復元によ
での優雅な食事
る宿泊施設化
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第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
1.石炭資源と九州における産炭地の概要
(1)石炭資源の概要
①天然資源としての「燃ゆる石」発見
日本の石炭の起源は約 6 千万年前に繁茂したスギ科など裸子植物などで、そのうち“メ
タセコイア”は現存している植物であり、「生きた化石(遺存種)」と呼ばれている。
直方石炭資料館によると、1469 年に伝治左衛門が三池郡稲荷村にて石炭を発見してお
り、15 世紀には石炭が“燃ゆる石”として発見されていたことがわかる。これに続いて、
1478 年の遠賀郡埴生村、1587 年の田川郡伊田(何れも福岡県)、1624 年の松島(長崎県)
とあるように、江戸時代には石炭が北部・中部九州の各地で発見され、鍛冶、家庭用燃
料とともに、主に瀬戸内地域での製塩用燃料として移出されていた。
また、江戸末期には九州諸藩が本格的に石炭の活用に取り組み始め、溶鉱炉や汽船に
利用される。また、官営化後に筑豊御三家と呼ばれた貝島、麻生、安川・松本などの地
元資本に加え、三菱、三井など中央資本が進出し、石炭は重要なエネルギー源として日
本の近代化の原動力となった。
図表 6-3
明治初頭までの石炭の歴史
西暦
日本の年号
主な事柄
1469
文明元
伝治左衛門、三池郡稲荷村にて「燃ゆる石」を発見(三池炭田)
1478
文明 10
遠賀郡埴生村にて五郎太夫が「燃ゆる石」を発見(筑豊炭田)
1587
天正 15
田川郡伊田にて村上義信が炊事して黒い石が燃えるのを発見
1624
宝永年間
1695
元禄 5
1716
享保年間
1760
宝歴 10
赤池、鯰田、新入、二瀬にて石炭採掘が盛んに行われ、製塩に使用
1850
嘉永 3
黒田藩(現福岡県)の松本平内が焚石仕組法を藩に献策
1853
嘉永 6
島津藩(現鹿児島県)、溶鉱炉に石炭を使用
1868
明治元
鍋島藩(現佐賀県)、英商グラバーと高島炭鉱を経営
松島にて石炭発見(松島炭坑)
五平太が高島の海岸にて魚を焼き石炭を発見(高島炭鉱)
唐津炭田の発見
参考)直方市石炭記念館
「燃ゆる石」の発見の地“三池(現大牟田・荒尾地域)”
この写真は加藤丹丘氏が描いた「三池石炭発見伝説図」である。
文明元年、稲荷村の農夫伝治左衛門が、稲荷山に薪を取りに行き、
焚き火をしているうちに、そばの黒い石に火が燃え移ったのを見
つ け た こ と が 、「 燃 ゆ る 石 」 の 発 見 伝 説 と 言 わ れ 、 そ の ま ま 三 池
炭山の起源とされている。その後、約 250 年は里人が随時採掘し
た自由採掘時代とされている。
資料)大牟田市
- 89 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
②日本近代化と戦後復興を支えた石炭鉱業の足跡
明治政府の管理下で行われてきた石炭鉱業は、1881 年、高島炭鉱が三菱に、1889 年、
三池炭鉱が三井にそれぞれ払い下げられ、さらなる近代化が進む。そして、1901 年に官
営八幡製鉄所が操業され、殖産興業や富国強兵下で鉄鋼需要の急増とともに石炭の需要
も拡大している。日本国内の産炭地は全国に点在しているが、なかでも九州と北海道は
日本近代化のエネルギー供給基地として位置づけられていた。全国の出炭量の推移をみ
ると、1900 年代から急増し、1940 年には 5,700 万トンと過去最高を記録したが、同年
の九州の出炭量は 3,300 万トンで、全国の 57.9%を占めていた。戦後も日本経済建て
直しの柱として、1950 年代半ばまでは一次エネルギー供給源として使用され、1960 年
には 5,260 万トン(九州は 2,614 万トン、全国比 49.7%)まで回復した。しかし、高度
経済成長に伴う産業高度化が進むなかで、石炭から石油へのエネルギー革命や国内炭か
ら海外炭へのシフトもあって急速に減少し、炭鉱閉山が相次ぐようになった。
石炭鉱業が残した産業技術は日本の近代化を大きく支えた。石炭鉱業の機械技術は金
属加工技術、鋳造鍛錬技術などに発展し、石炭の加工品であるコークスを利用したカー
バイドや石炭窒素、アンモニアなどを製造する石炭化学工業は 20 世紀初頭に大牟田市、
北九州で発生した。また、北九州を中心とする鉄鋼業の発展にも大きく寄与している。
図表 6-4
炭鉱名
国内の主な産炭地の概要
九州内
所在地
操業期間
三井鉱山
福岡県大牟田市・
1889 年~
三池鉱業所
熊本県荒尾市
1997 年
三井鉱山
福岡県田川市
1900 年~
田川鉱業所
三菱鉱業
1964 年
長崎県長崎市
1881 年~
長崎県長崎市
1959 年~
高島鉱業所
松島炭鉱
1986 年
池島鉱業所
北炭幌内炭鉱
2001 年
北海道三笠市
1889 年~
1989 年
太平洋炭鉱
北海道釧路市
1920 年~
九州外国内
釧路鉱業所
三井鉱山
2002 年
北海道芦別市
1938 年~
芦別鉱業所
1992 年
常盤炭鉱
福島県
1944 年~
常磐鉱業所
いわき市
山陽無煙鉱業所
山口県美弥市
1944 年~
宇部鉱業所
山口県宇部市
1956 年~
1976 年
1976 年
1967 年
資料)田川市石炭・歴史博物館
- 90 -
出炭量
480 万t
稼動人員
約 3,800 人
(S56 年度) (S56 年)
137 万t
約 8,000 人
(S36 年度) (S35 年)
68 万t
1,022 人
(S57 年度) (S57 年)
140 万t
1,450 人
(S57 年度) (S57 年)
120 万t
1,397 人
(S56 年度) (S56 年)
244 万t
2,151 人
(S57 年度) (S57 年)
92 万t
1,232 人
(S57 年度) (S57 年)
192 万t
4,702 人
(S45 年度) (S45 年)
86 万t
2,960 人
(S40 年度) (S33 年)
72 万t
約 2,000 人
(S40 年度) (S40 年)
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
③現在でも身近に活用されている石炭
石炭は埋蔵量が豊富で、賦存地域も先進国を中心に広範囲に分布しており、供給安定
性が高く、また経済性においても優れている。現在、日本の一次エネルギー供給に占め
る石炭の割合は、2000 年度で 17.9%である。しかしながら、2001 年 7 月の長期エネル
ギー見通しでは、2010 年度に国内の一次エネルギー供給に占める割合は約 19%となる
見通しであり、今後も主要なエネルギー源として位置づけられている。
国内炭鉱における採炭箇所の深部化・奥部化の進展等の要因により、国内炭の採炭コ
ストは他の海外炭鉱と比較して、相対的に割高になっている。その結果、約 3 倍程度の
価格差が定常化している。そのため、2000 年の国内石炭供給に占める海外炭の比率は
98.1%で国内炭の比率は 1.9%程度にとどまり(図表 6-5)、国内における一次エネル
ギー総供給に占める国内炭の比率も 0.3%程度に過ぎない。
2002 年 1 月末をもって国内の炭鉱は全て閉山しているが、現在でも日本は世界最大の
石炭輸入国である。化学工業製品分野を中心に多様な用途開発が進み、工業原料として
増加するとともに、最近では石油価格の高騰によりその使用量はさらに増加していると
されている。また、地球環境問題にも対応した効率的な石炭の利用技術として、クリー
ン・コール・テクノロジーの開発が重要な課題とされ、進められている。
図表 6-5
国内石炭供給に占める海外炭比率の推移
(%)
100
98.1
84.2
90.9
76.5
80
95.1
96.3
95
97
77.9
60
57.3
40
24.6
20
19.7
0
1963
65
70
75
80
85
90
2000
資料)資源エネルギー庁
■石炭の用途
~
石炭は燃料のほかに、百数十種にものぼる化学製品がつくられる
石炭ガス
石炭
コークス
重油
軽油
コールタール
・カーバイド、合成ゴム、樹脂、人工石油、アンモニア
・硫黄、メタン、水素、硫安、エチレン、スチロール樹脂
・アスファルト、防水塗料、煉炭、電線塗料、電極
・石炭酸、ナフタリン、香料、防虫剤、ナイロン、フェノール樹脂
・ベンゼン、ポリエステル樹脂、解熱剤、染料
・蛍光染料、火薬、合成繊維
資料)直方市石炭記念館
- 91 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
④炭鉱遺産の観光資源への活用の課題
炭鉱の閉山に伴って、産炭地では人口が減少し、往時のにぎわいに陰りが目立つ地域
が多くなっている。例えば、福岡県田川市では炭鉱最盛期の人口が 10 万 2 千人に達し
ていたものが、三井鉱山撤退後では約半分まで落ち込んでいる。
その旧産炭地の振興を目的とした石炭六法も 2002 年に失効し、現在では 3 つの産炭
地振興組織 6 が設立され、主に環境リサイクル産業などの企業誘致や、まちづくり基盤整
備などに対し助成を行っている。しかし、観光や教育資源への活用を目的に、助成金を
炭鉱遺産の整備に当てているケースは少ないのが現状である。要因として、行政や市民
を含め、地域において産業遺産の活用メリットが認識されていないことや、「石炭」が
主にエネルギー源という用途であり目に触れにくく、現在生活に密着していないことか
ら、観光や教育資源としての活用に“とっつきにくさ”を感じていると考えられる。
国内で石炭をテーマとした施設はほとんどが博物館・資料館であるが、唯一「石炭の
歴史村」が観光集客施設として設立されている(図表 6-6)。北海道夕張地域はかつて
赤平炭鉱や夕張炭鉱で栄え、現在でも炭鉱遺産が数多く残されていることから、北海道
空知支所が中心となり、
「そらち・炭鉱の記憶推進事業(2002 年~)」として、炭鉱資源
の再評価やストーリー性の向上、市民活動のサポートなど積極的な事業を実施している。
また、海外事例として、ロンダ炭坑ヘリテージパークやビーミッシュ博物館(いずれ
もイギリス)などがあるが、これらの地域は産業を支える人々の生活文化に焦点を当て、
ビジターの生の体験を重視するなど“当時の生活文化を体感できる”野外博物館を目指
している点が特徴である。
図表 6-6
施設名
石炭の歴史村
石炭をテーマとした主な施設
所在地
概要
北海道夕張市
擬似坑道を再現した石炭博物館などのテーマ
館を複数備えた石炭テーマパーク
釧路市炭鉱展示館
北海道釧路市
研修による採掘を行っている太平洋炭鉱の歴
史や採掘の様子を紹介
いわき市石炭・化石館
福島県いわき市
化石と常磐炭田の歴史を併せて紹介
宇部市石炭記念館
山口県宇部市
ときわ湖畔に設立され、採炭場を再現した炭坑
も備えた日本で初めての石炭記念館
直方市石炭記念館
福岡県直方市
筑豊で最も歴史がある石炭資料館
田川市石炭歴史博物館
福岡県田川市
炭鉱住宅、炭鉱節など炭鉱文化を紹介
宮田町石炭資料館
福岡県宮田町
廃校を利用した貝島炭鉱の記念館
大牟田市石炭産業科学
福岡県大牟田市
擬似坑道で採掘現場を復元し、炭鉱マンの声を
館
荒尾市万田炭鉱館
収録した映像も流す体験型施設
熊本県荒尾市
万田坑の学習施設として産炭地振興資金で設
立された資料館
資料)財団法人石炭エネルギーセンター、ヒアリング
6
財団法人福岡県産炭地振興センター、財団法人長崎県産炭地振興財団、財団法人荒尾産炭地振興センターの 3 組織
- 92 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
(2)九州の主な産炭地の現状
ここで九州に特化した炭鉱の分布をみると、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県の一定
地域に集中し、これらの地域の地下には現在も石炭資源が賦存している(図表 6-7)。
これらの炭鉱は全てその役割を終えているが、唯一、松島池島炭鉱(長崎市)が海外の
炭鉱職員向けの研修施設として活用されている。
九州の産炭地においても、既に石炭鉱業関連遺産を観光や教育の柱として活用してい
る地域がある(図表 6-8)。例えば、三菱高島炭坑(長崎市)の軍艦島(端島)は、そ
のネーミングとその由来となった特徴ある島影により、島を周遊するクルーズが近年人
気となっている。三井三池炭鉱遺産である万田坑、宮原坑が炭鉱関連遺産で初めて国の
文化財指定を受けるなど、少しずつその価値が見直されつつある。
図表 6-7
九州の産炭地
筑豊炭田
唐津炭田
・三菱相知炭鉱(佐賀県唐津市)
・三井田川炭鉱(福岡県田川市)
・三菱古賀山炭鉱(佐賀県多久市)
・麻生鋼分炭鉱(福岡県庄内町)
・大日立炭鉱(佐賀県伊万里市)
・三菱新入炭鉱(福岡県直方市)
・杵島炭鉱(佐賀県北方町~大町町)
・貝島大之浦炭鉱(福岡県宮田町)
・住友忠隈炭鉱(福岡県穂波町)
ほか
佐世保炭田
・上田飛鳥炭鉱(長崎県福島町)
・中島福島炭鉱(長崎県福島町)
・飯野松浦炭鉱(長崎県世知原町)
福岡・粕屋炭田
・国鉱志免炭鉱(福岡県志免町)
・三菱勝田炭鉱(福岡県宇美町)
・明治高田炭鉱(福岡県篠栗町)
三池炭田
・三井三池炭鉱
(福岡県大牟田市~熊本県荒尾市)
天草炭田
長崎・西彼杵炭田
・魚貫炭鉱(牛深市)
・松島炭鉱(長崎県大瀬戸町)
・烏帽子坑(牛深市)
・松島池島炭鉱(長崎県外海町)
・松島大島炭鉱(長崎県大島町)
・三菱高島炭鉱(長崎県長崎市)
・日鉄伊王島炭鉱(長崎県長崎市)
資料)田川市石炭・歴史博物館
- 93 -
ほか
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
図表 6-8
三池炭田
九州内の主な産炭地の現状
三井三池炭鉱(福岡県~熊本県)
・三池炭鉱は 1873 年以降官営となり、1876 年には英国人ポッターの指導で
炭田全体の整備と近代化が始まった。排水を汲み上げるポンプや蒸気機関
による曳揚機で機械化を図った。1889 年、三井に払い下げられた三池炭
鉱は団琢磨の指導の下に、次々と有望な坑口を開削、三池港の開発により
石炭の輸送経路も確保し、遂に日本最大の炭鉱として君臨することになっ
た。
・こうした三池炭鉱関連遺産が現在でも数多く存在するとともに、石炭鉱業
万田坑
をテーマとした資料館があるが、観光や教育などへの本格的な活用は進ん
でいない状況にある。
・最近では、九州運輸局監修「九州遺産近現代遺産編 101」発刊をきっかけ
に万田坑が旅行会社のツアールートに組み込まれ、また閉館していた旧三
井港倶楽部が地元経済界や市民グループの声かけにより寄付金等を募り
再開されるなど、炭鉱関連遺産を巡る動きが見られつつある。
福岡・粕屋炭田
旧三井港倶楽部
国鉱志免炭鉱(福岡県)
・志免炭鉱は 1889 年に海軍の炭鉱として開坑し、終戦後は旧国鉄に移管さ
れた。年産 50 万トンの出炭量を誇り、機関車の燃料として日本の経済復
興を支え、1906 年に閉山した。
・石炭資本経営の民間炭鉱と異なり、世界的にも珍しい唯一の国営炭鉱であ
り、かつ軍事炭鉱でもあった。
・現在では NEDO が所有する竪坑櫓が残っており、その周辺は整備されてい
る。NEDO は倒壊の危険性から竪坑櫓の解体方針に対し、地元の強い保存
保存が決定した
志免炭坑竪坑櫓
意向があり議論が続いていたが、2005 年 11 月、町が無償譲渡を受け当面
手を加えず見守り保存する方針を決定した。
筑豊炭田
三井田川炭鉱(福岡県)
・筑豊炭田は明治中期以降、それまでの小規模坑から鉱区選定による大規模
経営へと転換し、田川地区には三井や安川、直方地区の貝島、飯塚地区の
麻 生 な ど が 進 出 し た 。 大 正 末 期 に は 三 井 田 川 炭 鉱 伊 田 坑 の 出 炭 量 が 100
万トンの大台を越え、1964 年の閉山まで、地域産業へ石炭エネルギーを
供給し続けた。
・石炭の採掘技術の進歩に伴い出炭量が急増すると、川船に代わる輸送機関
伊田竪坑櫓
として鉄道建設が進められ、筑豊一帯が鉄道網でカバーされた。
・筑豊地方には伊田坑跡地にある田川石炭歴史博物館や宮田町石炭記念館、
直方市石炭資料館など資料館が整備されている。また、炭鉱全盛期の大衆
演劇の殿堂である嘉穂劇場、無形文化財の炭坑節、炭鉱マンが食したとさ
れる菓子文化などが残されている。
嘉穂劇場
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第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
長崎・西彼杵炭田
三菱高島炭鉱(長崎県)
・長崎市内から高速船で 30 分、人口約 800 人の高島は約 20 年前まで炭鉱の
島として栄え、人口も約 1 万 8 千人であった。しかし、現在では炭鉱施設
をほとんど壊し、海釣公園や海水浴場、海水温浴施設などが整備され、レ
ジャーと癒しの島として生まれ変わろうとしている。また、風力発電事業
にも取り組んでいる。
・高島炭鉱は、グラバー商会と佐賀藩の経営から始まり、端島炭鉱とともに
軍艦島の模型
三菱に経営が移管された。トーマス・グラバーは高島炭坑開発のため、1868
年に洋式邸宅を建て移住している。現在でも別邸跡が残っている。
・地元高島の有志で構成する高島活性協議会では軍艦島のツアーを企画して
いる。稲佐山観光ホテルと連携したパックツアーも好調であり、2005 年 1
月から 7 月の累計で延べ 700 人が参加している。高島にある石炭資料館な
観光客との交流
どで、三菱高島炭鉱の背景や成り立ちを学んでもらった後、地元の船会社
を利用した軍艦島クルーズ、高島の名産ヒラメの昼食などを楽しむツアー
となっている。
・同協議会は、同じ旧高島町(現在長崎市)である「軍艦島」を活用して船
会社だけでなく、地域に経済効果を創出し、持続的な市民活動を目指して
いる。
地元の手作りツアー
<軍艦島(端島)を巡る動向>
・端島は戦艦に似た島影から「軍艦島」と呼ばれており、長崎港の南西約
19kmの沖合に浮かぶ周囲 1.2kmの島である。1890 年から三菱高島炭鉱
の経営によって主として八幡製鉄所向けに製鉄用原料炭を供給してきた
海底炭鉱である。1916 年以降、炭鉱の開発と並んで従業員のための住宅
の建設が盛んに行われ、最盛期には 5,000 人を越える人口を擁した日本初
の高層鉄筋アパートが島内に林立した。土地の有効利用のために地下に浴
軍艦島と呼ばれる島影
場やパチンコ店があり、当時、人口密度は日本一だったと言われているが、
1974 年の閉山以降 3 ヶ月で無人島となっている。また、現在では本格的
な修復も行われず、廃墟と化しており、危険性が高いため、所有する長崎
市は上陸を禁止している。
・最近では、そのネーミングと独特の島影から全国放送にも取り上げられ反
響を呼ぶなど注目度は高まってきており、4 社が運航する軍艦島クルーズ
日本初の鉄筋アパート群
も人気となっている。こうした動きを受け、長崎市では保存活用に向け、
大学教授を中心に「保存活用技術検討委員会」を設立し、補修費用の検討
を行い 15~140 億円と試算した。
・民間においても、NPO 法人軍艦島を世界遺産にする会が、軍艦島の修復の
必要性や観光振興への活用を訴え、積極的にイベント等を開催し地域活性
化に向けた方策を模索している。
軍艦島(航空写真)
- 95 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
長崎・西彼杵炭田
松島池島炭鉱(長崎県)
・松島は、長 崎県西彼杵半島にある外海町の西7kmの海上、角力灘に浮か
ぶ、面積約 0.9 平方kmの小さな島である。
・松島池島炭鉱の営業出炭開始は 1959 年と、国内では最も新しい炭鉱であ
る。石炭産業が、エネルギー革命の波にのまれ斜陽になっていくなか、池
島炭鉱はその流れに逆らうように急速に成長した。人口も炭鉱ができる以
動いている炭鉱施設
前の 1951 年頃には 350 人程度だったが、1971 年には人口が 7,500 名以上
に膨れ上がった。しかし、2001 年 11 月に閉山した後は人口流出が相次ぎ、
現在人口は約 500 名である。島内には依然として、生活感溢れる住宅跡や
商店跡などの街並みが残っている。
・現在、炭坑 は 5 カ年計画に基づき、三井松島リソーシス株式会社が主に東
南アジアの研修生を受け入れ、研修センターとして生まれ変わっている。
高層アパート群
しかし、数年後には研修も終了することから島の人口はより減少するもの
と予想されている。
・また、同社 は学生を対象に炭坑内見学ツアーの受入を行っている。最近で
は、長崎市や観光連盟などが働きかけ、一般市民を対象にモニターツアー
などの取組みもみられつつあり、2006 年に行われる長崎の大イベント「さ
るく博」でもメニューとして組み込まれる予定である。
唐津炭田
商店街跡
杵島炭鉱(佐賀県)
・高取伊好によって、1918 年に設立された高取鉱業は地元資本による代表的な炭鉱会社であった。そ
の後を継いだ杵島炭鉱は機械化を進めて発展したが、1969 年、戦後のエネルギー革命により閉山に
至った。
・炭鉱の跡地 一帯は新たな 企業が進出し 、杵島炭鉱に関連する現存遺産は少ない。一方、三菱古賀山
炭鉱では竪坑跡や石炭積み込み場などが残されている。
資料)ヒアリング、NPO法人軍艦島を世界遺産にする会(写真提供)
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第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
2.モデル地域の選定
九州の産炭地の現状をみると、鉱山跡の現存度合から、①三池炭鉱により発展し現在
でもその技術が伝承され工業都市を形成している大牟田市・荒尾市の「工業都市型」、
②石炭鉱業の終焉後人口が大幅に減少している長崎県の高島、池島などの「産業衰退型」、
③長崎市の端島(軍艦島)のように石炭鉱業の終焉後無人化し、コミュニティが失われ
た地域の「遺産型」の3つに類型化する(図表6-9)。
その上で、本調査ではモデル地域として、遺産の活用可能性、地域の動向等を勘案し、
「工業都市型」の“大牟田(福岡県)・荒尾(熊本県)地域”を選定し、モデル事業を
検討した。
図表 6-9
類型
産炭地の類型化
典型地域
現状
九州内
○石 炭 鉱業 に より 発 展し 現在でもその技術
工業都市型
国内・海外
三井三池炭鉱
別子銅山
が伝 承 さ れ、 工業 都 市 を形成している地
(福岡県大牟田市~
(愛媛県新居浜市)
域
熊本県荒尾市)
○ 現 在で も 域 内 に 鉱山 跡が形を留め、点在
している地域
○ 石炭 鉱 業 の 終 焉後 、 人口が大幅に減少し
産業衰退型
コミュニティが失われつつある地域
○現在でも鉱山跡が形を留めている地域
三菱高島炭鉱
アイアンブリッジ
(長崎県長崎市)
(イギリス)
松島池島炭鉱
(長崎県長崎市)
○ 石炭 鉱 業 が 終 焉し た 後、コミュニティが
遺産型
(三菱高島炭鉱端
ている地域
島)
○ 鉱山 跡 が 一 部 現存 、 あるいは全く残って
その他
軍艦島
完 全に 失 わ れ 、 鉱山 跡が遺産として残っ
いない地域
国鉱志免炭鉱
(福岡県志免町)
○ 石炭 鉱 業 が 終 焉後 、 関連しない別の産業
が芽生えている地域
日鉄伊王島炭鉱
(長崎県長崎市)
注)国内・海外事例は産炭地に限らない
図表 6-10
大牟田・荒尾地域(三井三池炭鉱)の選定理由
○両市には三井三池鉱山の産業遺産が数多く存在し、石炭鉱業の歴史を学べる資料館がある。
○九州運輸局監修「九州遺産」発刊後、万田坑が旅行会社のツアールートに組み込まれ、行政と
市民グループが連携し対応するなど、観光客誘致の動きがみられる。
○閉館していた旧三井港倶楽部を地元経済団体や市民グループが中心となり、買い取りに向けた
署名活動や募金活動を行い、2005年11月再開に至った。現在、活用方策を模索中である。
○三井グリーンランドやセキアヒルズ等の宿泊機能をもった大型集客施設があり、連携すること
で修学旅行生や家族連れ、中高齢者等の幅広い層からの集客が見込まれる。
○1時間圏内に阿蘇や島原などの観光地があり、九州新幹線が開通すると停車駅となり、広域的
な集客・交流が期待される。
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第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
3.モデル地域の概要と遊学要素の再編集
①大牟田市・荒尾市の概要
大牟田市と荒尾市は九州の中部に位置し、福岡県の南部筑後平野の南端、熊本県の西
北端にある。西は雲仙岳・多良岳を望み、有明海を隔てて長崎県・佐賀県に面している。
東は三池山(海抜 388m)の連峰をもって熊本県南関町、玉名市に相対し、北は甘木丘
陵を経て三池郡高田町と接している。また、南は玉名郡岱明町・長洲町に接している。
その面積は 81.55km²( 大牟田市)、57.15km²( 荒尾市)、人口は大牟田市が 134,549 人(2005
年 4 月現在)、荒尾市で 57,218 人(2005 年 5 月現在)である。
また、同地域はJRの他、西鉄大牟田線、九州縦貫自動車道により、九州各県主要都
市と3時間圏内で結ばれ、交通ネットワークに恵まれている。今後も九州新幹線鹿児島
ルートの全線開通による新大牟田駅の新設、有明海沿岸道路、三池港の整備計画などが
予定されており、人・物・情報の陸と海の交通拠点として位置付けられている。
図表 6-11
モデル地域の位置
九州新幹線大牟田駅
( 2011 年 開 業 予 定 )
所要時間
目的地
交通
所要時間
福岡市
道路
JR・西鉄
70分
46分
北九州市
佐賀市
道路
道路
110分
43分
長崎市
熊本市
大分市
道路
道路
道路
97分
22分
124分
宮崎市
鹿児島市
道路
道路
156分
152分
注 ) 2005 年 9 月 現 在
資料)大牟田市
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第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
②大牟田市・荒尾市における観光の現状
これまで大牟田市は石炭鉱業の影響が強く残り、現在でも関連産業が発展しているこ
とから、工業都市、エコタウンとしての色彩が強く観光地としてのイメージが希薄であ
る。旅行会社の主要な観光ルートにも組み込まれておらず、九州の観光動線から外れて
いる現状にある。
石炭鉱業の終息という危機感のなかで取り組んだ、テーマパーク「ネイブルランド事
業」も 1998 年に閉館し入込客数も減少した。しかし、2001 年には道の駅「花ぷらす館」
が開館し約 34 万人増加、2003 年にも同館が積極的にイベント等を実施した結果、さら
に約 28 万人増加させ、市全体の入込客数増加に大きく寄与している。しかし、高速道
路南関インターチェンジ近くにあり市中心部とは距離があるため、地域への波及効果は
少なく、他の観光交流施設への入場者数は横ばい、あるいは減少傾向にある。
同市は 2000 年に「メタセコイア・イノベーション」というコンセプトのもと、
「石炭」
をテーマとした観光基本計画を策定しているものの、現状では一大イベントである夏祭
り「大蛇山」の運営が主な取組みであり、炭鉱遺産については散策ツアーなどイベント
事業に取組んでいるNPO法人が中心となっている。
一方、荒尾市については三井グリーンランドを核としたレジャー施設、温泉施設、ゴ
ルフ場などで構成するグリーンランドリゾートがその入込客数のほとんどを占め、この
動向により大きく左右されてきたが、2001 年以降、減少傾向にある。修学旅行生の海外
へのシフト等により、グリーンランドリゾートの入込客が大幅に減少したことが要因と
してあげられる。これは、同リゾートのウルトラマンランド、わんわん王国の大幅な減
少によるもので、わんわん王国は 2005 年 6 月に閉鎖されている。同市はグリーンラン
ドリゾートの集客力を再び強めるためにも、万田坑など炭鉱遺産との連携をはじめ、地
域の特産物である梨などの農業体験、伝統的工芸品に指定を受けた小代焼の焼物体験、
宮崎兄弟資料館の活用など、新たな取組みも芽生えつつあるがまだ本格化していない。
このように、両市はともに観光客誘致対策に難しさがみられ、現状打開に向けた具体
策や両市協働の取組みなどは進展していない。
図表 6-12
大牟田市入込客数の推移
図表 6-13
荒尾市入込客数の推移
(千人)
(千人)
3500
道の駅「花ぷらす館」
開業
3000
グリーンランド
リゾート入込客減少
3000
2500
2500
2000
2000
1500
日帰客
1500
1000
1000
500
宿泊客
500
0
0
1999
2000
01
02
03
1999
04
2000
01
資料)荒尾市商工観光課
資料)大牟田市商業観光課
- 99 -
02
03
04
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
③遊学要素の検討と観光資源の再編集
ここでは、モデル事業を検討する上で必要とされる「遊学アイランド九州構成要素の
再編集」について、モデル地域の観光資源における「ストーリー(=炭鉱文化)」「遊」
「学」「食」「泊」の要素を検討しながら整理した。
なお、図表 6-14 は、モデル事業検討の際に活用することを目的として、テーマに関
する資源を核にしたエリアを設定した地域イメージである。
また、主な観光集客施設の入込客数を示しているが、グリーンランドリゾート、郊外
にある道の駅「花ぷらす館」に比べて、三池炭鉱鉄道廃線跡が取り囲む大牟田市内中心
部の集客力が乏しいことがわかる。
図表 6-14
698 千 人
モデル地域の入込客数とエリア設定
大牟田駅前エリア
宮原坑エリア
大牟田駅に比較的近く、商業施設に混
じり、宮浦石炭記念公園や三井化学工
場群などが集積している。
宮原坑の敷地内には整備されながら
未活用の社宅がある。囚人使役の歴史
から近くに集治館跡がある。
道の駅花ぷらす館
三池炭鉱鉄道
廃線跡
1,924 千 人
宮原坑
グリーンランド
リゾート
三井化学工場群
宮浦石炭記念公園
(宮浦坑)
18 千 人
集治館跡
万田炭鉱館
万田坑
6 千人
大牟田市
エコタウン
大牟田駅
145 千 人
三池カルタ
記念館
大牟田市動物園
6 千人
旧三川電鉄変電所
14 千 人
石炭産業科学館
宮崎兄弟
資料館・生家
旧三井港倶楽部
三川坑
福岡県
三池港閘門
大牟田市
県境
熊本県
荒尾市
三池港エリア
万田坑エリア
大牟田駅、石炭産業科学館の徒歩圏
内で食事ができる旧三井港倶楽部や
稼動中の遺産などが集積している。
万田坑の 200M程近くに万田炭鉱館が
あり、周辺の炭鉱社宅は取り壊され、
現在荒地となっている。
注)グリーンランドリゾートは三井グリーンランド、弥生の湯、九州わんわん王国、ウルトラマンランドの合計
資 料 ) 大 牟 田 市 観 光 課 ・ 荒 尾 市 観 光 課 ( 2004 年 入 込 客 数 )、 ヒ ア リ ン グ
- 100 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
図表 6-15
遊学要素からみた観光資源の整理
九州に眠る“燃ゆる石”(石炭)との出会い
当地域には「石炭」をテーマにした資料館が存在し、石炭の歴史を全体的に学ぶことが可能
であり、ビジターセンターとしての活用が考えられる。また、露天で石炭層をみることができ
るスポットもあることから、石炭が過去のものではなく、まだ利用可能なエネルギー源である
ことを体感することが可能である。
資料館・博物館
エリア
大牟田市石炭産業科学館
-
要素
遊 (体験施設有) ○
学
○
○長い間大牟田の象徴でもあった石炭をテーマに、人間のエネルギーそして
地球環境を考える科学館である。模擬坑道やエネルギー体験遊具など遊び
感覚で楽しく学べる他、旧炭鉱マンの生の声を収録した記録映画「こえの
博物館」を作成し、定期的に上映している。
○総事業費が約 28 億円で 1995 年 7 月に開館している。同時に開園したテー
マパーク「ネイブルランド」は 1998 年に入場者数が減少し閉園している。
○炭都再発見バス見学会などイベントも行っているが、入館者数は 2004 年
で 1 万 4 千人と、2003 年(1 万 8 千人)と比べ減少しており、新たな仕掛
けを模索している。
資料館・博物館
エリア
荒尾市万田炭鉱館
万田坑エリア
要素
学
○
○産炭地振興基金により建設された地域産業交流支援施設として 2000 年に
建設され、炭鉱で使用されていた機械や道具類の展示や、炭鉱町の暮らし
の映像などを見学することができる。
○シルバー人材センターから派遣されたガイドが常時待機しており、熱心な
解説を行っている。しかし、管轄は荒尾市くらしいきいき課で、近くにあ
る万田坑の管理は教育委員会であることから十分な連携が取れていない
状況にある。
景観
エリア
石炭露頭「米の山のアパッチ砦」
-
要素
○大牟田記念病院の南側にある台地には砂岩質の岩がそびえ立っており、昔
の子供たちはアメリカ北部の採集狩猟民の映画からイメージして、「アパ
ッチ砦」と呼んでいたという。この砦の西側には石炭の地層が見られる。
石炭層に触れ、太古の森に思いを馳せる場所として住民に親しまれてきた
場所である。子供の目に映るむき出しの石炭層は「石炭」により自分の街
が育ったということ、そしてその過去は現在まで続いていることを教えて
くれる。
- 101 -
学
○
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
“黒ダイヤ”が輝いた時代を探検する
当地域には石炭鉱業の面影を残している産業遺産が数多く存在する。なかには、四山坑のよ
うに全て取り壊しているものもあるが、宮浦石炭記念公園のように整備されている遺産もある。
市民公園
エリア
宮浦石炭記念公園(三池炭鉱宮浦坑跡)
大牟田駅前エリア
学
○
要素
○1887 年開坑の三池炭坑の主力坑の一つ。現存する煙突
は 1888 年建造、高さ 31.2m。国の登録文化財。1968
過去
現在
年閉坑。
○特に 1923 年に開設された大斜坑は、わが国で初めてベ
ルトコンベアによる連続揚炭を実用化した坑口として
知られている。宮浦坑の回りには、三池染料工業所、三
池製錬所など、石炭を原料とする化学コンビナートが
形成された。このコンビナートは、日本最古のものと
言われている。
○現在は宮浦石炭記念公園として整備されている。
産業遺産
エリア
三池炭鉱宮原坑跡
宮原坑エリア
学
○
要素
○1898 年開坑。年間 40~50 万トンの出炭を維持した明治、
大正期の主力坑。国の重要文化財・史跡。1931 年閉坑。
過去
○第一立坑と第二立坑、そして当時世界でも最新鋭の排
現在
水ポンプであったデービーポンプを備えていた。明
治・大正期では年間 40 万~50 万トンを出炭。宮原坑の
第一立坑では、1930 年まで多くの囚人労働者が使役さ
れていた。
○2001 年度には保存整備事業の一環として、櫓の塗料の
塗り替えが行われている。
産業遺産
エリア
三池炭鉱万田坑跡
万田坑エリア
学
○
要素
○1902 年開坑の大正・昭和初期の主力坑。当時わが国
最大規模の立坑。国の重要文化財・史跡。
○1951 年閉坑。三井鉱山が炭鉱業界の模範となるよう
な坑口施設を造るため、総力を挙げて建設したもの
で、明治時代に造られた炭鉱施設としては、我が国
最大の規模を誇った。2 万平方メートルにも及ぶ広い
敷地は、大牟田市と荒尾市にまたがり主要な施設は
すべて荒尾市側にある。
- 102 -
過去
現在
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
産業遺産
エリア
三池炭鉱三川坑跡
三池港エリア
要素
学
○
○1940 年開坑。2 本の斜坑と東洋一の選炭場を持つ戦後の最主力坑。1997
年閉坑。炭鉱史研究の貴重な史跡。
○規模の大きさから特に「大斜坑」と呼ばれ、深度 350 メートルのレベルを
基準坑底として、最深部の坑道は海面下 520mにあった。また三池争議の
主要な舞台となり、戦後最大の炭鉱災害となった炭じん爆発事故の不幸な
事実もある。
○現在、第一斜坑は閉坑され更地になっており、第二斜坑が斜坑口から約
20m進んだところで閉塞されている。
産業遺産
エリア
三池炭鉱七浦坑跡
-
要素
学
○
○1883 年開坑。第 1・第 2 立坑と第 3 斜坑があり大正~昭和初期に閉坑。官営期に近代的な活躍を始
めた主力坑。
トランスポーテーションを体験する
石炭を採掘した後、鉄道・船舶・運河を利用して輸送・運搬を行っているが、その施設や器
具が現在でも、まだ現役で動いているものがある。
産業遺産
エリア
三池港閘門
三池港エリア
要素
○遠浅で干満差が 5.5m と大きい有明海に大型船が入れるよう築港。2 枚の
学
○
過去
イギリス製の鋼鉄製門扉がドック内の水位を保つ。築港工事は、1902 年、
潮止めのための堤防構築工事から始まり、1904 年に防波堤工事完成、1905
年に閘門工事開始、1908 年に渠内に入水して竣工し、工事費 375 万 6900
円、延べ人員 262 万人が工事に携わった大事業で、工事の指揮を執ったの
は三池炭砿事務長の團琢磨であった。
○1902 年の築港から 100 年以上が経つが、閘門は現在も動いており、三池
港は全国唯一の閘門を持つ港として、歴史的にも重要な港である。
- 103 -
現在
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
産業遺産
エリア
クレーン船「大金剛丸」
三池港エリア
学
○
要素
○三池港に停泊して活躍するイギリス製浮クレーン。石炭を燃料に最大 15
トンを吊り上げている三池港の築港を開始して 3 年目の 1905 年に中古と
して大阪より購入された。クレーンの歯車に刻印があることから、英国製
とわかる。
○クレーンの吊り上げ能力は最大 15 トンで、今も動力源は石炭である。普
段は、三池港ドック南側バースに停泊しており、浮標チェーン点検取り替
え作業等のため月に 1~2 回程度稼動している。浮起重機とも呼ばれ、明
治 30 年代のクレーン船が残っているのは極めてまれである。
産業遺産
エリア
電気機関車(旧三池炭鉱専用鉄道)
大牟田駅前エリア
学
○
要素
○1909 年、アメリカから輸入の第 1 号が三池炭坑専用鉄道を走った。その
後ドイツから輸入した凸型とそのコピーである国産が主流に。最盛期 20
台以上が稼動していた。
○電気機関車のことを、市民は親しみを込めて「炭鉱電車」と呼び、大牟田
市の中心部から万田坑、三池港まで、採炭された石炭や機材類、従業員な
どを運搬していた。電気機関車が走る三池専用鉄道は、1878 年の大浦坑
から大牟田川河口までを結ぶ馬車鉄道が始まりである。三池炭鉱が三井に
払い下げられた後、1890 年から新たな鉄道線路が敷かれ蒸気機関車が走
り出した。その後、1905 年までに全線が開通し、1923 年までに全線電化
が行われた。
産業遺産
エリア
三池港構内を走った「ガメ電車」
三池港エリア
学
○
要素
○三池炭鉱専用鉄道や旧国鉄(現 JR)と同じ 1067 ミリの線路幅を持つもの
として、三池港の構内で使われていた重量 15 トンのアメリカ・ゼネラル
エレクトリック社製 (GE)が 10 台と三池製作所製が 2 台導入されていた。
全体が扁平な印象と速度が遅いことから「ガメ(亀)電車」と呼ばれてい
た。
産業遺産
エリア
泉橋
三池港エリア
要素
学
○
○1919 年竣工の大牟田市 内初のコンク リート橋(二連続剛節橋)。三池炭鉱の医局への通路として利
用された。
- 104 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
富の足跡を辿る
炭鉱主の生活は当時華やかなものであった。その生活や社交倶楽部、開発にかけた偉人「団
琢磨」の人間ドラマなど当時の面影を残している施設や遺産は数多く存在している。
結婚式場・食事
エリア
旧三井港倶楽部
三井港エリア
要素
学 ○
食
○
○1908 年竣工。三池港を訪れる上級船員用の宿泊施設、船員の休憩所や政
過去
財界の社交場として活躍した木造 2 階建瓦葺木骨様式の洋館。当時は、和
洋館並立形式で建設されたが、現在は洋館のみが往時の姿を伝えている。
明治時代の西洋館として九州を代表するハーフチンバー・スタイル(木骨
様式)の建築物である。1 階には応接間、談話室、食堂、球技室(ビリヤ
ード)、2 階には広間、3 つの寝室、談話室があり、屋根裏はボーイ部屋が
あった。
現在
○1986 年に改修工事が行われ、結婚披露宴等パーティ会場やレストランと
し て 活 用 さ れ て き た が 、 所 有 し て い る 三 井 鉱 山 の 経 営 悪 化 に よ り 、 2004
年 12 月に閉館していた。
○域外資本が買収する可能性があるため、NPOを中心に約 3 万人の署名活
動を行ったものの無償譲渡には応じず、行政も財政難で買収が厳しいとい
う回答であった。そこで、経済倶楽部の一部が中心となり株式会社三井港
倶楽部保存会を設立し、買収交渉を継続、7 千万円で落ち着いた。既に出
資予定者説明会を開いており、47 社の株主に出資承諾を得て約 1 億円が
集まった。これは、NPOの署名活動を始め、市民の声が無ければ実現し
なかったものである。
○今後も従来と同じ運営を行うが、積極的な営業活動や市民の協力を得なが
ら進めてきたいとしている。他の団体との連携は今考えていないが、今後
観光ルートに旧三井港倶楽部を生かすという考えは持っている。
偉人
エリア
三池炭鉱育ての親「團琢磨」
-
要素
○團琢磨は「三池炭鉱育ての親」と言われた人である。琢磨は 1858 年 8 月
1 日福岡藩士の四男として生まれた。1870 年福岡藩主團尚静の養子に迎え
られ、その1年後明治新政府の留学生として岩倉使節団に同行しアメリカ
に渡る。1875 年、マサチューセッツ工科大学に合格し鉱山学を学び、1878
年、学士号を得て同年日本へ帰国した。
○帰国後、琢磨は留学で学んだことが生かせず、大阪や東京で教師として働
いた。帰国から 6 年後の 1884 年、ついに国の工部省鉱山課に採用され、
同年 5 月に三池鉱山局勤務を命じられ三池に赴任する。琢磨は次の主力坑
として期待される勝立坑、三池港の開発責任者として能力を発揮する。
- 105 -
学
○
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
石炭町の暮らし・文化に触れる
炭鉱主の華やかな生活に比べると、石炭町における鉱夫の暮らしは決して恵まれたものでは
なかった。こうした石炭町の暮らし・文化を物語る資源はまだ現存している。
アーカイブ映像
エリア
こえの博物館
-
要素
学
○
○大牟田市では 2001 年、2002 年度の 2 か年事業として「こえの博物館」事業に取り組み、石炭産業
の歴史を映像記録として後世に伝えている。32 か所の近代化遺産の施設と 72 人の炭鉱に関わった
人々の証言をもとに、4 種類 6 作品が完成し、大牟田独自の歴史的な出来事や、炭鉱に生きた人た
ちの暮らしを紹介できる貴重な映像記録である。
○現在、大牟田市石炭産業科学館で定期的に放映されている。
フィルムコミッション
エリア
ドラマ「青春の門」
-
要素
遊 ○
学
○
○2005 年に放映された TBS テレビドラマの「青春の門」
(五木寛之作)の
ロ ケ に 万 田 坑 が 使 用 さ れ た 。 実 際 の 舞台 は 筑 豊 で あ る が 、 当 時 の 面 影
を 残 し て い る こ の 地 が 選 ば れ た 。 ま た、 エ キ ス ト ラ で 地 元 住 民 が 多 数
参加した。
○他にも、2005 年より公開されている映画「ひだるか」は三池争議を題
材にした作品で、収録は大牟田・荒尾地域で行っている。
撮影風景
○本地域には正式なフィルムコミッション組織は無い。
事務所
エリア
旧長崎税関三池支署(三井鉱山物流(株)渠内事務所)
三井港エリア
要素
学
○
○三池港の開港と同時に、1908 年、長崎税関三池支署として開庁した。
長崎税関は 1873 年 1 月長崎運上所を、「長崎税関」と改称したのに始
ま る 。 木 造 瓦 葺 き 平 屋 建 、 屋 根 は 一 見入 母 屋 風 。 内 ・ 外 装 と も 明 治 の
面影が残る。この建物は開庁以来、57 年間同支署として使用され、石
炭貿易の中核行政機関として活躍した。
○1965 年、三池港湾合同庁舎が完成し、機能はすべて移転した。
事務所
エリア
旧三川電鉄変電所(㈱サンデンの本社屋兼倉庫)
三井港エリア
要素
○1909 年に当時の三井鉱山が取得した切妻平屋煉瓦造の優雅な建物。隣
接 地 に あ っ た 発 電 所 で 起 こ し た 電 力 を、 鉄 道 用 に 変 電 す る 施 設 と し て
建てられた、れんが造りの建築物で、1909 年以前に建設され、赤れん
が を イ ギ リ ス 積 み に し て 建 築 さ れ 、 窓や 出 入 り 口 な ど の 開 口 部 は す べ
て上部をアーチ型に組んでおり、しゃれた意匠となっている。
○ 旧 三 川 電 鉄 変 電 所は 現 所 有 者 の強 い 意 向 で 保 存 が な さ れ た も の で 、 現
- 106 -
学
○
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
在は㈱サンデンの本社屋兼倉庫となっている。2000 年 12 月、国の登録
文化財となった。
高等学校
旧三池集治監外塀(県立三池工業高等学校外塀)
エリア
宮原坑エリア
学
○
要素
○1883 年開庁の石炭採掘を主な目的とした囚人収監施設。高さ 5~6m、
現存長 600mのレンガ造。県指定有形文化財。1931 年閉庁。囚人労働
は、三池炭鉱が三井に払い下げられた後も引き継がれ、1931 年に停止
されるまで継続した。集治監の収容定員は 2,000 名であり、1884 年末
で 666 名、以後増加し、1897 年には最高の 2,166 名となった。
○三池集治監は、1906 年に三池監獄、1908 年に三池刑務所と改称した。
集 治 監 の 跡 に は 、 私 立 の 三 井 工 業 学 校が 移 転 し て き た の ち 、 現 在 は 福
岡 県 立 三 池 工 業 高 校 が 設 置 さ れ て い る。 炭 坑 労 働 の 厳 し さ を 知 る 遺 構
として重要である。
祭り
エリア
大蛇山(大牟田夏祭り)と炭坑節
-
要素
遊 ○
学
○
○大蛇山は 200 年以上の歴史を持つ大牟田を代表する夏祭りで、毎年 7
月下旬に行われる。各地区から繰り出された長さ 10m以上もある大蛇
山 が 火 煙 を 吐 き な が ら 街 を 練 り 歩 く 姿は 圧 巻 で あ る 。 そ も そ も 、 こ の
祭 り は 大 蛇 山 祇 園 祭 、 炭 都 祭 り 、 港 祭り の 三 つ の 祭 り が 統 合 し 、 市 民
一体となって楽しめる場を作ろうとできたものである。
○ 大 蛇 山 祇 園 祭 は 石炭 産 業 の 発 展に よ り 町 が 発 展 す る に 伴 い 大 牟 田 市 全
域 に 広 が っ た 祭 り で 、 炭 都 祭 り と 港 祭り は と も に 石 炭 産 業 の 発 生 に 由
来 し そ の 発 展 と と も に 大 き く 育 っ て いっ た 。 こ の よ う に 大 蛇 山 は 石 炭
と は 切 っ て も 切 れ な い 関 係 に あ り 、 祭り の ひ と つ で あ る 総 踊 り で は 炭
鉱 マ ン の 格 好 を し て 炭 坑 節 を 踊 る な ど、 地 域 文 化 を 伝 え る 貴 重 な 伝 統
行事である。
産業遺産
エリア
山の神社跡
大牟田駅前エリア
要素
○ 坑 夫 は 坑 内 に 下 がる 前 に 山 の 神に 向 か っ て 拝 礼 し 安 全 祈 願 を 行 っ て い
た。1905 年建立の三池炭鉱の氏神鉱山の神として祭られていた。祭り
神 は 愛 媛 県 大 山 祇 大 神 で あ る 。 大 鳥 居 は 一 般 坑 夫 の 寄 付 金 等 で 、 1916
年建立された。
○勝立の鳥居が建立された 1916 年 9 月には、万田坑夫の間で山の神祠堂
建 設 が 持 ち 上 が り 、 長 屋 や 外 来 坑 夫 の寄 付 金 二 百 数 十 円 と 会 社 の 補 助
金 九 十 円 に よ り 祠 堂 が 新 設 さ れ 、 宮 浦坑 、 四 山 坑 な ど に も 建 立 さ れ て
いる。しかし、1997 年の三池炭鉱閉山後、管理は行われていない。
- 107 -
学
○
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
「クリーン・コール・テクノロジー」を学ぶ
石炭鉱業は当地域に最先端の技術を残し、化学工業や環境リサイクル産業に発展、現在の産
業都市を形成している。また、レジャー施設である三井グリーンランドも太陽光発電、風力発
電などに取組み、子供たちに環境学習の場を提供している。
工場
エリア
旧労務館(三井化学大牟田工場講堂)
大牟田駅前エリア
要素
学
○
○1932 年竣工。初期の鉄筋コンクリート製の事務所建設。部分的なアー
ルや壁面の一見タイル風のレンガがお洒落である。
○ 当 時 、 市 内 に こ のよ う な 施 設 はな く 、 社 内 行 事 に 限 ら ず 映 画 上 映 な ど
の 催 し に も 利 用 さ れ て い た 。 設 計 は 三井 鉱 山 株 式 会 社 三 池 製 作 所 で 、
鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造 陸 屋 根 、 一 部 木 造、 レ ン ガ 造 。 壁 面 に は 一 見 タ イ
ル 風 の レ ン ガ が 張 ら れ て い る 。 水 平 線を 強 調 し な が ら も 部 分 的 に ア ー
ル を 取 り 入 れ る 工 夫 が 見 ら れ 、 初 期 の鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造 の 事 務 所 建
築として貴重な建物である。
○旧労務館が建っている三井化学は、三井鉱山が 1892 年 10 月に、コー
ク ス ( 焦 媒 ) の 生 産 試 験 の た め 、 三 池横 須 浜 に ビ ー ハ イ ブ 式 コ ー ク ス
炉 4 基を新設したことに始まる。1897 年に、コークス製造時の副産物
を利用して硫安の生産を開始し、1915 年には染料工場も竣工し、日本
初の合成染料アリザリンレッドの生産も開始した。1918 年 8 月 15 日、
三井鉱山株式会社の管理組織の改正により三池染料工業所となった。
工場
エリア
J工場(三井化学大牟田工場)
大牟田駅前エリア
要素
○この J 工場は、1938 年に建てられ、当時「東洋一」の高さを誇り大牟
田 の シ ン ボ ル と も い わ れ た 。 高 さ 4 7メ ー ト ル 、 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 造
陸 屋 根 7 階 建 で 、 ド イ ツ な ど の 染 料 工場 、 化 学 工 場 を 視 察 し て 建 て ら
れ た も の で あ る 。 上 の 階 か ら 順 次 原 材料 を 落 と し て い く こ と に よ り 、
動 力 な し で 次 の 化 学 反 応 の 工 程 へ 進 める と い う 合 理 性 ・ 経 済 性 を 持 っ
ていて、1934 年から 1938 年までの足かけ 5 年をかけて建設された。現
在 の オ ー プ ン ス ペ - ス に プ ラ ン ト を 配置 す る 方 式 と 対 照 的 な 建 物 は 、
化学工業技術史上、貴重なものといえる。
○最近では、工場見学として、ドライアイス製造工程の見学や液体酸素・
窒 素 実 験 、 製 造 し て い る タ ウ リ ン 含 有の リ ポ ビ タ ン D の 試 飲 な ど が 可
能である。
- 108 -
学
○
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
レジャー施設
エリア
三井グリーンランド
-
要素
遊 ○
学 ○
食 ○
泊
○
○70 種類を超えるアトラクションや年間を通して楽しめるイベントがあ
り 、 子 供 か ら 大 人 ま で 楽 し め る 。 リ ピー タ ー を 増 や す た め に イ ベ ン ト
を 中 心 と し て い る 。 他 に 無 い ユ ニ ー クな シ ョ ー を 行 い 、 差 別 化 を 行 っ
ている。
○ 「 遊 ん で 学 べ る 」と 題 し た パ ンフ を 修 学 旅 行 生 向 け に 作 成 し て い る 。
風 力 発 電 、 太 陽 光 発 電 を 導 入 し 、 環 境学 習 を 取 り 入 れ て い る 。 ま た 、
体 験 型 の ツ ア ー が 人 気 で あ る こ と か ら、 大 牟 田 の 石 炭 科 学 館 と の オ プ
シ ョ ン コ ー ス 化 も 行 っ て い る 。 な か でも 、 地 引 網 や 焼 物 体 験 が 人 気 で
ある。
○将来的には高齢者対策として、2 週間~1 ヵ月の長期滞在型のプランを
考えている。また、1 泊 2 食ペアで 14 万円という高額商品を考えてお
り 、 ハ イ ヤ ー で 、 焼 物 体 験 、 柳 川 、 熊本 な ど 他 の 地 域 を 周 遊 す る プ ラ
ンを現在企画中である。
○隣接のホテルは 108 室、多くて 300 人の収容能力であり、規模の大き
い 都 市 圏 の 修 学 旅 行 は 受 け 入 れ る こ とが で き な い こ と か ら 、 タ ー ゲ ッ
トは沖縄の修学旅行を中心とし、プロモーション活動を行っている。
○ 他 の 観 光 施 設 や 産業 遺 産 、 市 民グ ル ー プ な ど と の 連 携 に 向 け て は 前 向
きな意向がある。
エコタウン
エリア
大牟田市エコサンクセンター
-
要素
遊 ○
学
○
○ 三 池 炭 坑 閉 山 後 の新 た な 産 業 振興 と ダ イ オ キ シ ン 類 対 策 を は じ め と す
る 広 域 的 な 環 境 の 保 全 を 目 的 と し て 、環 境 ・ リ サ イ ク ル 産 業 の 創 出 に
よる環境にやさしい、美しい、住みよいまちづくりの一環として 1998
年 7 月に全国で 5 番目のエコタウン地域として承認を受け、エコタウ
ンへ取り組んでいる。
○可燃ごみを適正処理し、RDF(ごみ固形燃料)とする事業を近隣 28
市町村と 7 団体の協力のもと、積極的に推進している。
○ エ コ サ ン ク セ ン ター は 環 境 学 習・ リ サ イ ク ル の 実 践 な ど 環 境 に 関 す る
啓 発 を 目 的 と し た 市 民 交 流 ・ 学 習 セ ンタ ー と 、 環 境 関 連 技 術 の 開 発 及
び 企 業 化 の 支 援 を 、 目 的 と し た 環 境 技術 研 究 セ ン タ ー が 一 体 と な っ た
施設である。
資 料 ) 大 牟 田 市 主 査 ・ 主 任 会 「 大 牟 田 の 宝 も の 100 選 」、 大 牟 田 市 石 炭 産 業 科 学 館 ホ ー ム ペ ー ジ 、 及 び ヒ ア リ ン グ 等
- 109 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
4.遊学推進に向けた課題の整理
ここでは、大牟田・荒尾地域における遊学推進に向けたモデル事業を検討する上で想定
される課題を整理した。
①炭鉱の歴史を“遊びながら学べる”受入体制の充実
本地域には、「学び」の要素はあるものの受入体制が整っておらず、「遊び」の要素に
乏しいものが多い。
この要素を付加するためには語り部にエンターティメント性を持たせた解説が必要
となる。炭鉱遺産に限ると、炭鉱作業に従事した方の高齢化が進んでおり、万田坑ファ
ンクラブでは既に 12 人のガイドで活動にとどまっている。なかでも、万田坑は 2005 年
に旅行会社の観光ルートにも組み込まれ、以降観光客が倍増するなど、近年注目度が増
してきていることから、語り部やガイドの養成に向けた対策が急がれる。
現在、NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブでもガイド育成講座を行って
いるが行政等との連携は弱く、情報発信力が弱いこともあり、参加者が少ない状況にあ
る。
②地域住民の「炭鉱遺産=観光資源」意識の醸成
両市が「石炭」をテーマとする観光を推進する意向があるものの、進展しない理由に
地域住民の意識の低さが関係している。日本近代史において三井三池炭鉱の功績は光り
輝いているが、一方、地域住民にとっては強制労働や炭塵爆発、三池争議など暗く悲し
い“負の遺産”としての認識が依然残っており、これまで積極的に伝えることが無かっ
た史実もある。したがって、炭鉱遺産が地域住民に観光資源と認識されていないといっ
た実情がある。
しかし、これらの暗く悲しい歴史の裏側には、今の日本を形作った先人の英知と努力
が凝縮され、近代化を推し進めた原動力となった確かな事実がある。石炭鉱業が本地域
で隆盛を誇った、後世に語り継ぐ必要性をまず地域住民が感じ、“地域への誇り”を芽
生えさせていくことが求められる。
③観光に欠かせない「食」の発掘と「泊」との連携
本地域の「食」には有明海の珍味や荒尾に広がる梨などの果樹、大牟田ラーメンなど
があるが観光客誘致につながるブランド化までには至っていない。しかし、「石炭」に
関連した食では、旧三井港倶楽部での“優雅な食事”、炭鉱マンの疲れを癒し、口に合
うように開発された“かすてら饅頭”などが挙げられ、こうしたテーマ型「食」の発掘
と話題づくりが求められる。
また、本地域の「泊」はビジネスホテルが大部分であり、観光客向けの温泉旅館など
は無く、三井グリーンランドに併設したホテル、あるいはセキアヒルズとなる。そこで、
- 110 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
「石炭」をテーマとした観光コースの提案において周辺地域の温泉旅館等を含め検討す
る必要がある。例えば、三池炭鉱の保養所「尚玄山荘」が玉名温泉にありストーリーで
つなぐことが可能となる。
④県境や行政部署間を越えた施設連携の促進
本地域の観光資源はそれぞれ近い距離にありながら、県境をまたいで点在して おり、
その活用については課題が多い。例えば、文化財に指定されている万田坑や宮原坑の敷
地内を見学する際には、両市教育委員会へそれぞれ事前申込みが必要となっている。ま
た、旅行会社等が万田坑と万田炭鉱館を旅行コースに入れるために事前予約をする際に
は、荒尾市役所内における担当部署が違うため、こちらもそれぞれ申込みをする必要が
ある(図表 6-16)。
また、この 3 つの施設では主なガイド組織も異なっている。例えば、万田坑と近隣に
ある万田炭鉱館を巡る予定であっても、それぞれ別々のガイドから説明を受けるために、
説明内容や時間配分が共有されず結果としてどちらか一方のみの訪問となるケースも
あるという。こうしたことから、本地域では施設間の連携が不十分であると言える。
「観光と教育・学習についてのアンケート調査」によると、地域連携の課題と して、
「連携をマネジメントする地域機関が無い」とする回答が最も多くなっているが、本地
域の施設における回答も同様の結果となっている。こうした課題解決に向けては行政区
域を越えたマネジメント機関を設け、見学希望者や旅行会社の問合せ、ガイド対応に関
する窓口を一本化するなどの方策が求められる。
なお、2006 年 4 月より、NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブが指定管理
者として万田炭鉱館を運営することが決まっている。そこでは万田坑と万田炭鉱館のガ
イドを万田坑ファン倶楽部へ委託する方針を検討中であり、市民グループのマネジメン
トによる地域連携の可能性が期待される。
図表 6-16
三池炭鉱に関する施設連携の課題(例示)
見学希望者・旅行会社等
それぞれ申込をする必要がある
連携が弱い
万田坑
宮原坑
○管理
大牟田市教育委員会
○主なガイド
NPO法人大牟田・荒尾
炭鉱のまちファンクラブ
○管理
連携が弱い
荒尾市教育委員会
○主なガイド
万田坑ファン倶楽部
(元炭鉱マン)
資料)ヒアリング
- 111 -
万田炭鉱館
○管理
荒尾市くらし生き生き課
○主なガイド
シルバー人材センター
派遣(元炭鉱マン)
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
図表 6-17
市民グループの概要
グループ名
活動内容
・産業遺産の保存と地域社会の再活性化を目指し、2001 年に設立。
NPO法人大牟田・荒
・炭都を巡るツアーとして「TantoTanto ウォーク」を年 2 回開催、また 2005
年 7 月には「九州産炭地フォーラム」を開催するなど活動を活発に行って
尾炭鉱のまちファン
クラブ
いる。
・しかし、地域一体となった活動までには至っておらず今後の新たな展開を
模索中である。
・2000 年に発足した市民団体で、約 80 人の会員が清掃活動や万田坑を使っ
たイベントなどで活動している。不定期に「ファン倶楽部通信」も発行。
万田坑ファン倶楽部
・荒尾市教育委員会と連携し、見学申込者には本倶楽部のメンバー(炭鉱マ
ンOB)が案内役を務める。
・炭鉱マンOBの高齢化に伴い、語り部の数が減少している。
資料)ヒアリング
⑤学ぶ要素が強い炭鉱遺産の整備促進
万田坑(荒尾市)や宮原坑(大牟田市)は国の重要文化財、その敷地は史跡に指定さ
れており、両市教育委員会により保存整備計画書が策定されている。また、万田坑につ
いては荒尾市教育委員会により「万田坑跡基本構想報告書」が策定されている。
この計画に従い、宮原坑の竪坑櫓は補修工事が終了している。宮浦坑大煙突の周辺は
宮浦石炭記念公園(大牟田市)として整備され、斜坑跡や坑内に鉱夫を運んだ人車が保
存、展示されている。
しかし、多額の費用を要する竪坑櫓や巻揚機、事務所などの補修工事の進みは 遅く、
ほとんどの坑口は閉ざされ、櫓や巻揚機など付随する施設も取り壊されている状況にあ
る。なかでも腐食が著しく、倒壊の恐れもある万田坑の竪坑櫓の補修は急がれる。また、
その敷地内も仮説トイレが一カ所あるのみで、水道や照明、ベンチ、大型バスが駐車で
きるスペースも無く、観光客を受け入れるには不十分な整備状況である。
こうした現状は市行政も十分把握しているものの厳しい財政事情と、産業遺産の所有
者が三井グループなど民間企業であることから、手が付けられてない。
図表 6-18
遺産名
文化財指定されている三池炭鉱遺産の状況
文化財形態
保存状況
万田坑
国指定重要文化財、国指定史跡
本格的な補修工事は未済
宮原坑
国指定重要文化財、国指定史跡
竪坑櫓のみ補修工事済
巻揚機室、及び敷地は整備未済
宮浦坑大煙突
登録有形文化財
周囲を石炭公園として整備
旧三川電鉄変電所
登録有形文化財
民間企業が事務所として活用
三池集治館外壁
県指定重要文化財
高校の外壁として機能
資料)大牟田市、荒尾市
- 112 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
図表 6-19
巻揚機(巻揚機室
万田坑構内の現状
扇風機室(事務所)
A内)
腐食が進む第二竪坑櫓
B
E
構内に巡らされたレール
資料)NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ
図表 6-20
宮原坑構内の現状
巻揚機室
補修された第二竪坑櫓
C
A
資料)NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ
- 113 -
整備された旧白坑社宅
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
⑥求められる企業の協力と行政の支援
産業遺産は企業所有であることが多いことから、その保存活用に対しては企業の協力
が不可欠である。しかし、企業側も経営効率化を進めるためには、保存や維持管理費が
かかる産業遺産もその対象となる。当地域でも、2004 年 11 月に石炭積み出しのマシン
である「ダンクロローダー」が解体された。團琢磨と技術主任の黒田恒馬が開発したこ
とから名付けられ、近代化の切り札とも言うべき遺産であった。
こうしたなか、三井鉱山は閉館した旧三井港倶楽部の売却に応じ、売却金額は 7 千万
円で、当初の見積りより減額となったという。それを可能としたのは、経済倶楽部の有
志やNPOなどによる約 3 万人の署名活動や粘り強い買収交渉によるものと、何よりも
三井鉱山側が市民の強い愛着や熱意に理解を示した結果である。
また、大牟田市では「見える工場設置奨励金制度 7 」により、見学可能な工場を増やす
支援を行っているが、企業秘密の保持や人材確保が課題となっていた。しかし、最近、
三井化学大牟田工場が広大な敷地内をバスで周遊し、実験体験ができるツアーを実施し、
好評を博している。
このような動きにみられるように、市民と行政、企業がそれぞれ働きかけを行い、地
域の特徴的な資源である“産業”の文化的価値を認識し、同じ方向性を共有化できれば、
それが地域一体となった“地域力”につながり、結果として経済的な価値も創出される
と考えられる。
図表 6-21
見学可能な工場
企業名
内容
オーム乳業株式会社
牛乳などの製造工程見学
松谷海苔株式会社九州工場
海苔製品の製造工程見学
昭和アルミニウム缶株式会社大牟田工場
アルミニウム缶等の製造工程見学
ヤヨイ食品株式会社九州工場
冷凍食品の製造工程見学
三井化学株式会社大牟田工場
工場敷地内見学、ドライアイス等の実験体験
資料)大牟田市産業活性化推進協議会
7
全 国 で も 初 め て の 制 度 。企 業 が 工 場 見 学 施 設 を 整 備 す れ ば 、新 た に 助 成 金 を 出 す も の 。固 定 資 産 税 相 当 額 ( 家 屋 ) を 3 年 間 助 成
す る ( 限 度 額 : 年 間 300 万 円 )。
- 114 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
5.モデル事業の検討
ここでは、第5章で検討した観光資源連携方策を柱として、大牟田・荒尾地域において
“炭鉱文化”をテーマとしたモデル事業を検討した(図表 6-22)。
その際、本テーマの主なターゲットを「域内外の小、中、高校生など若年層」とした。
今後の少子化の進展によりマーケットの縮小が予想されるが、
「炭鉱文化」という“とっつ
きにくい”テーマに、幼い頃から触れる仕組みを構築し、約 10 年後には、アクティブシニ
アとして注目されている団塊の世代、また団塊ジュニア世代まで巻き込んだ「3世代マー
ケット」とした広がりを長期的に期待したい。また、受入側においても「観光と教育・学
習についてのアンケート調査」に表れているように、総合学習の時間や修学旅行と連携す
ることで、安定した来訪者の確保につながることから、今後の主なターゲットとして想定
している。
図表 6-22
主なターゲット
モデル事業の全体概要
域内外の小、中、高校生など若年層
当 初 は 若 年 層 を“ と っ か か り ”と し て 、モ デ ル 事 業 を 進 め 、最 終 的 に は 団 塊 の
世代を含め幅広い層から集客を図る
1
炭鉱文化を体感できる“炭都空間”の創出
(1)周辺を含めた万田坑、宮原坑の保存整備方策の検討
(2)事業性創出につながる継続可能なイベントの実施
(3)集客交流の核となるビジターセンター機能の付加
2
体験・交流によるツアーメニューの検討
(1)柱となるツアーメニューの体系化
(2)人材育成と交流の場「炭都遊学塾(仮称)」の設立
(3)炭都の再発見につながる遊学マップの作成
(4)ツアーメニューに応じたモデルコースの検討
3
地域一体となった推進体制の構築
(1)地域連携を促進する「三池コールマイン協議会(仮称)」の設立
(2)積極的なプロモーション活動の実施
(3)資金調達の仕組みの検討
- 115 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
炭都空間イメージ
遊びながら学べる
万田コールマイン野外博物館
元炭鉱マンの語り部とのふれあい
炭鉱電車やボンネットバスでの移動
- 116 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
旧三井港倶楽部での優雅な食事
石炭とのふれあい(燃焼体験)
復元した長屋での
生活文化体験
- 117 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
1
炭鉱文化を体感できる“炭都空間”の創出
「遊学アイランド九州」が目指す地域滞在・拠点交流型の観光地づくりの考え方に沿っ
て、“炭鉱文化”をテーマとした観光交流の場“炭都空間”を創出することを提案する。
その過程においては、建物や機器がフルセットで当時のまま“本物”が現存している「万
田坑」
「宮原坑」を核とした三池炭鉱遺産群の磨き上げの考え方(=保存整備方策)をモデ
ルで示し、既存の博物館・資料館や観光集客施設、工場見学・体験施設と連携し、かつ地
域住民との交流を促進しながら“炭鉱文化”を体感できる空間づくりを目指すといった、
ハード、ソフト両面からの事業が求められる。
1
周辺を含めた万田坑、宮原坑の保存整備方策の検討
産業遺産の保存整備については交流人口の増加や学習・教育面への活用を考慮すると、
一つの文化財、すなわち“点”の保存だけではなく、周辺を含めた一定のエリア“面”
で検討する必要がある。そこで、検討した4つのエリアを重視し、保存整備方策につい
ても、3つに大別して進めることが望まれる(図表 6-23)。
次頁より、建物や機器がフルセットで現存している万田坑エリア、宮原坑エリアを中
心とした保存整備方策のモデルを示した。そのため、大牟田駅前エリアと三池港エリア
については何れも「静態保存」としている。
図表 6-23
ハード整備の考え方
保存整備方策
内容
当時の状態にまで復元する。
動態保存
○当時の建物等の姿を復元し、集客施設等とする。
○記録等はあるものの既に滅失した産業遺産を再構築する。
事例
アイアンブリッジ渓谷博物館(イギリス)
産業技術記念館(愛知県名古屋市)
旧工場建物などの外観を残し、事務所などの別の用途に転用する。
○産業遺産をそのままの状態で、集客施設や商業施設等に転用する
転用活用
○行政等がまちの象徴として、集会場や公園などの地域交流施設、地域
活動拠点などに転用する。
○企業等が産業遺産をそのまま現役の工場等として活用し、自社のアイ
デンティティの象徴として保存する。
事例
静態保存
事例
旧三川電鉄変電所、尚古集成館(鹿児島市)
残っている建物、構造物、機器などをそのまま保存する。
○現状維持のため補修するのみにとどめる。
三池集治監外壁、宮浦石炭記念公園、伊田竪坑櫓(福岡県田川市)
- 118 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
動態保存モデル
産業遺産をテーマとしている国内の博物館はそのほとんどが機械の静かな展示に終
始しているが、本来の状態に復元、稼動させ“生きて動く展示(=動態保存)”を行っ
ているものに、産業技術記念館(愛知県)が挙げられる。当館は旧豊田紡績本社工場を
活用し設立されており、紡績の人力織機、自動織機が実際に運転される様子はまるで当
時の工場内の雰囲気を感じさせる。このように、学ぶ要素を強く持つ産業遺産をより「本
物」として見せることで観光客にその機能や役割、当時の生活を本来の姿で伝え“感動”
を与えるものと考える。
しかし、朽ち果てている機械類を1ヵ所に移設するには莫大な費用が必要になること
から、アイアンブリッジ渓谷博物館など海外事例にみられるように、元々あった場所で
保存して見せることがポイントとなる。一見、莫大な費用が必要と思われる動態保存も
ソフト面での地域連携を図り、地域資源をまるごと活用することで、ハードに要する費
用も最小限にとどめることが可能となる。
この動態保存モデルでは、見学者が急増していることから安全面からも早急な保存方
策の検討が求められている万田坑を「万田コールマイン野外博物館(仮称)」として、
当時の稼動状態に復元し、学習・教育施設、及び観光集客施設として活用する方策を提
案する。
図表 6-24
動態保存モデル
保存活用例
エリア
方策
具体例
万田坑エリア
動態保存
○巻揚げ機室の機器を動いていた状態に復元(動態保存)し、稼
動する姿を観光客に見せる。
○事務所跡を整備し、博物館の事務所、あるいは展示室として活
用する。
○坑口が塞がれていない第一坑道を復元し、あるいは模擬坑道を
造り、採炭状況の見学と体験ができるようにする。また、石炭
に触れ、コークス製造の体験を可能とする。
○炭鉱社宅を復元し、当時の服装を着て、当時の食事や生活文化
を体験する。
○炭鉱電車や、石炭を運ぶゲージを構内で走らせる。また、三池
炭鉱鉄道廃線跡にレールを轢き、炭鉱列車を走らせ、観光資源
周遊の足や市民の交通として活用する。
宮原坑エリア
動態保存
○巻揚げ機を整備し稼動状態とする。
○NPO、有明高専により既に整備されている旧白坑炭鉱社宅に
水道、電気も通し、宿泊施設として活用する。
大牟田駅前エリア
静態保存
○現状どおり散策ルートとして活用する。
三池港エリア
静態保存
○三川坑に現存する施設を整備し散策可能とする。
- 119 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
図表 6-25
万田コールマイン野外博物館(仮称)イメージ
○竪坑櫓(写真左上)が補修され、倒壊の恐れは無くなった。
○巻揚げ機も動態保存され当時の状況がよみがえり、事務所
はなるべく手を加えず展示室となっている。
○周辺では石炭を運ぶゲージ(写真右下)が動き、実際に石
炭に触れ、コークス製造の体験ができる。
○復元された炭鉱住宅(写真左)では当時の服装を着て、当
時の食事や生活文化を体感できる。
○休憩所やトイレ(写真右端)なども整備され、観光客受入
体制が整っている。
現状
<先進事例にみる整備のポイント>
炭鉱住宅の復元
動態保存
コークス製造実演
( 田 川 市 石 炭・歴 史 博 物 館 )
(産業技術記念館)
(アイアンブリッジ)
資料)産業技術記念館、永吉守氏(写真提供)
- 120 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
転用活用モデル
本地域にある旧三川電鉄変電所は、地元の民間企業が自社のアイデンティティの象徴
として買い取り事務所として活用しており、転用活用に当てはまる。他の事例として、
尚古集成館(鹿児島市)のように外観を残し、企業博物館として利用するケースや、芸
術のアトリエとして企業を誘致している海外事例がある。
図表 6-26
転用活用モデル
保存活用例
エリア
方策
具体例
万田坑エリア
転用活用
○巻揚げ機など機器室は静態保存し展示室とする。また、事
務所建物を会社事務所、ショップ等に活用する。
○産業博物館として展示、観光客に開放する。
○現代芸術のアトリエとして企業を誘致し貸与する。
宮原坑エリア
転用活用
○竪坑櫓、巻揚げ室などの外観は残し、建屋を会社事務所、
ショップ等に活用する。
大牟田駅前エリア
静態保存
○現状どおり散策ルートとして活用する。
三池港エリア
静態保存
○三川坑に現存する施設を整備し散策可能とする。
サンデン事務所
サンデン事務所内部
(旧三川電鉄変電所)
工場跡を活用した企業博物館
(尚古集成館・鹿児島市)
静態保存モデル
全てのエリアを静態保存とするものである。本地域の事例として、宮浦坑を整備した
宮浦石炭記念公園や、三池工業高校の外壁としてそのまま使用した三池集治監外壁が当
てはまる。また、田川市の伊田竪坑櫓と煙突は「過去と現在をつなぐ市民の交流のシン
ボル」であり、福岡県の景観大賞に選ばれている。このように、地域のシンボルタワー
として補修し、そのまま“見守り”保存する方策も考えられる。
炭鉱節にも歌われた大煙突
三池集治監外壁
福岡県景観大賞に選ばれた
(宮浦石炭記念公園)
(三池工業高校の外壁)
伊田竪坑櫓(福岡県田川市)
- 121 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
2
事業性創出につながる継続可能なイベントの実施
本調査で目指す“炭都空間”づくりはハード整備と併せて、イベント等のソフト事業
により観光客が地域住民と交流し、炭鉱文化を体感できる仕組みが求められる。
その際には、イベントが一過性のものではなく、市民グループを主体として継続可能
で、食の提供や物販などにより事業性を創出できるものとする必要がある。
図表 6-27
事業性創出につながる持続可能なソフト事業イメージ
炭都“遊学”キャンペーン
○観光施設に加え、炭鉱遺産、見学工場などを開放する
○大蛇山と連携した短期間イベントとして集客、PRする
+
連携
○主催:市民グループ(NPO、ボランティア団体)
○協力:大牟田市・荒尾市、観光協会、企業など
夏の大イベント“大蛇山”
( 約 46 万 人 の 集 客 )
復元長屋での生活体験
旧三井港倶楽部での食事
7 月 第 4 土・日 曜
8月~翌年2月
継続
翌年3月
炭都フォーラム
まち歩き、体験型イベント
○ 毎 月 1、 2 回 実 施
○毎年1回3月に実施
○主催:市民グループ
○主催:市民グループ
○まち歩きや体験を重視したイベント
○これまでのイベントを踏まえた内容
石炭路頭巡りイベント
(立て看板の設置)
フォーラムの開催
石炭燃焼体験
炭鉱節サミットの開催
+
食・土産
+
工芸品「石炭人形」
炭鉱に関連する食の開発
炭鉱関連商品の開発
( 昭 和 30 年 代 に 考 案 )
(カステラ饅頭)
(炭鉱カルタ)
資料)NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ、大牟田市
- 122 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
例えば、炭鉱文化と結び付きがあり、かつ地域を代表する夏祭り「大蛇山」は毎年
7 月第4土・日曜に開催され、約 46 万人の人出があることから、全国に本地域の“炭鉱
文化”をアピールできる絶好の機会となる。そこで、同期間中に「炭都“遊学”キャン
ペーン(仮称)」として、主に地域住民を対象にした多様なイベントを開催する。行政
や企業と連携しながら、炭鉱遺産や見学工場を開放し、語り部や案内人を常時配置する。
また、主に小・中学生を対象にして、旧三井港倶楽部や炭鉱遺産周辺を舞台に当時の服
装を着せ、当時の食事や生活文化を体験できるイベントを実施する。また、その後、毎
月 1、2 回の頻度で石炭露頭や炭鉱遺産などを巡る「まち歩きイベント」や石炭燃焼実
験、コークス作りなど「体験型イベント」を実施し、それまでのイベントの結果を総括
する場として「炭都フォーラム(仮称)」を年1回開催する。例えば、鹿児島の産業遺
産活用に取組むNPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会では、このよ
うな体系化したイベントを継続的に実施しており、“学び”に興味を持つリピーターを
着実に増加させている。
本地域でも、夏の大イベント「大蛇山」をきっかけとして、行政や企業と連携した通
年型のイベントを継続的に実施する体制が望まれる。なお、イベントでは情報提供料と
して参加費を徴収し、炭鉱文化と関連した「食」「工芸品」などを販売することで、事
業性を創出していく必要がある。
3
集客交流の核となるビジターセンター機能の付加
ここでは、本地域の集客交流の核となるビジターセンターの機能を大牟田市石炭産業
科学館に付加していくことを提案する。行政部署間、市民グループとの連携を図りなが
ら、地域にある観光資源に関する情報を集約し、受入窓口を一本化していく。
また、交流人口を増加させるために、ファミリー層が多く、集客力のある三井グリー
ンランドや大牟田駅、高速道路に近い道の駅「花ぷらす館」からビジターセンターへ、
さらに各エリアへと観光客の流れを促進する。
このように、特徴ある各エリアをネットワーク化することで、重層的な炭鉱文化にお
ける物語性を体感しながら学ぶリピーターの増加につながると考えられる。
図表 6-28
石炭産業科学館をビジターセンターとした事業例
○当該エリアの炭鉱遺産訪問に係る窓口の一本化
○観光施設まで含めた情報の集約(観光マップ、案内体制の整備等)
○当館を起点にして各エリアをつなぐ周遊バスの導入
○交流人口が多い観光施設、交通機関への積極的なプロモーション
○各エリアで使用できるスタンプラリー、パスポートの発行
- 123 -
など
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
図表 6-29
石炭産業科学館を核としたエリア周遊イメージ
大牟田駅
乗 降 者 数 約 17 千 人 ( 日 )
三井グリーンランド
入 込 客 数 1,924 千 人 ( 年 )
宮原坑エリア
道の駅花ぷらす館
入 込 客 数 698 千 人 ( 年 )
万田坑エリア
観光客の流れを
促進させる
過酷な炭鉱労働を体感する
万田坑の炭鉱技術を体感する
ビジターセンター
(石 炭 産 業 科 学 館)
炭鉱から派生した産業
を体感する
三池港の役割と優雅な生活を体感する
大牟田駅前エリア
三池港エリア
資 料 ) 大 牟 田 市 、 荒 尾 市 、 ヒ ア リ ン グ ( 2004 年 入 込 客 数 ・ 乗 降 者 数 )
- 124 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
体験・交流によるツアーメニューの検討
2
ここでは、整備された炭都空間に観光客を受け入れる仕組みとして、ツアーメニューを
検討した。ターゲットとする小、中、高校生の旅行形態は修学旅行、ファミリー旅行など
が考えられるが、多様なニーズに応えるべくツアーメニューを体系化し、そこに組み込む
テーマ型の講座や地域内外の観光資源と連携したモデルコースなどを検討する。
1
柱となるツアーメニューの体系化
ターゲットとしている学生層は「学び」を主軸としていても、その「遊び」「学び 」
に要する時間配分や興味を持つ分野など、ニーズは様々である。2006 年に開催されるま
ち歩きイベント“長崎さるく博 8 ”では、特性マップを片手に自由に歩く「長崎遊さるく」、
長崎名物・さるくガイドとともに歩く「長崎通さるく」、専門家による講座とガイドツ
アーがセットになった「長崎学さるく」というメニューを設けている。
こうした事例を参考に、ツアーメニューを3つの段階に区分し(図表 6-30)、顧客に
選択してもらう仕組みを体系化することで、わかりやすく商品化を図るものである。
図表 6-30
メニュー名
観光客のニーズに則したツアーメニュー
少し学びを加え
バランス良く遊
て、遊びたい!
び学びたい!
遊 ・炭都
遊学 ・炭都
深く学びたい!
学 ・炭都
80%
80%
50%
遊
20%
学
項目
内容
語り部
学
20%
遊
学
遊
レジャー施設での遊びを中
ビジターセンターと産業遺
ビジターセンターでの講義
心に、ビジターセンター、
産巡りを数ヶ所組み合わ
(炭都遊学塾)を受講後、
あるいは産業遺産巡り 1 ヵ
せ、レジャー施設での遊び
産業遺産巡りや体験メニュ
所を組み込んだツアー
も加えたツアー
ーを組み合わせたツアー
無
有
(遊学マップを配布)
体験
無
無
食
幅広く案内
炭鉱に関連する食を案内
泊
8
50%
幅広く案内
幅広く案内
有
有
(石炭燃焼体験など)
石炭に関連する食を案内
三池炭鉱の旧保養所、復元
した炭鉱住宅などを案内
ま ち 歩 き 42 コ ー ス 、 講 座 74 テ ー マ を 設 け て い る 。「 さ る く 」 と は ま ち を ぶ ら ぶ ら 歩 く と い う 意 味 の 長 崎 弁
- 125 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
2
人材育成と交流の場「炭都遊学塾(仮称)」の設立
小、中、高校生や観光客向けの「炭都はじめて講座(仮称)」と地域住民向けの「 炭
都マイスター養成講座(仮称)」からなる「炭都遊学塾(仮称)」の設立を提案したい(図
表 6-31)。なお、それぞれの講座は相互に補完しあうもので、元炭鉱労働者や有識者で
構成するサポートチームを組織化して推進することが望まれる。また、現在、元炭鉱労
働者は高齢化が進んでおり、その経験や知識を後世に受け継ぐためにも知恵と技術の伝
承の場としていきたい。
「炭都はじめて講座」は小、中、高校生、あるいは石炭テーマに関心を持つ域外の観
光客をターゲットとし、いきなり炭鉱に関する現場を巡ってはその成り立ちや生活文化
を感じることが難しいことから、事前に講座を受講し知識やイメージを膨らませ、より
大きな感動を与えることを目的とする。例えば、みんなの集成館プロジェクト(尚古集
成館)では市民を対象にした研究会や、夏休み時期の小学生を対象としたワークショッ
プを開催するなど、市民が自ら研究し自ら気づく“市民研究”を促進している。その結
果として作成された小学生のレポートは新たな視点が盛り込まれていることも多いと
いう。こうした活動は産業遺産に興味を持つ人材の育成につながるだけではなく、市民
の柔軟な発想で地域を捉えなおす大きなヒントにもなっている(図表 6-32)。
図表 6-31
炭都遊学塾(仮称)の仕組み
ターゲット
小、中、高校生、
石炭テーマに関心を持つ観光客
石炭テーマに関心を持つ地域住民、
ガイド希望者、教職員 など
等
受講
受講
炭都マイスター認定証の発行
修了証の発行
炭都はじめて講座
炭都マイスター養成講座
テーマ例
テーマ例
○はじめて大牟田・荒尾探検隊
○三池炭鉱の救世主“団琢磨”の生涯
○石炭の不思議
○九州の産炭地とのつながり
○炭鉱マンの生活の秘密
○クリーン・コール・テクノロジー
語り部として
登録
炭都遊学塾サポートチーム
大学教授
市民グループ
郷土史家
元炭鉱労働者
塾講師間での講習会、カリキュラム検討会を継続して実施
- 126 -
新規ガイド
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
一方、「炭都マイスター養成講座」では石炭テーマに関心を持つ地域住民、子供と接
する機会の多い教職員を対象とし、比較的レベルの高いカリキュラムを提供し、満足度
を高める。また、語り部希望者に対するカリキュラムも設け、修了した者には「炭都マ
イスター認定証(仮称)」を授与し、語り部として登録するとともに、「炭都はじめて講
座」において観光客への講師として、参加可能とする。講座で学んだ知識を観光客に伝
え、交流を促進することで、さらに経験が増し実践的な語り部が育成されるものと考え
る。
こうした取組みから地域づくりを担う市民グループが育成され、より多くの地域住民
の参加意欲につながるような働きかけを行い、それに伴ってターゲットとする小、中、
高校生の参加が増加するような仕組みを構築する。また、他の坑口での元労働者は 50
歳代もいることから、万田坑の元労働者で構成している「万田坑ファン倶楽部」のよう
なガイドの組織化を促進していく。
図表 6-33
炭都遊学塾「炭都はじめて講座(仮称)」参考事例
~みんなの集成館プロジェクト(尚古集成館・鹿児島市)~
2002 年からトヨタ財団の助成を受け、「島津斉彬と集成館事業」を
テ ー マ と し 、 研 究 者 に よ る 研 究 の み ならず、地域の住民たちが自らの
手 で 調 べ 、 地 域 の 歴 史 を 再 確 認 す る ために“楽しく学ぶ市民研究”の
促進を目的としているプロジェクトである。
○ボクらのまちの探検隊
鹿児島大学工学部と連携して実施したイ
ベントである。主に夏休み時期の小学生を対
象として、鹿児島の近代化に関係する凝結溶
解岩の写真をデジタルカメラで撮影して周
り、マップを作成する。完成したマップをも
とに、その石の果たした役割や歴史背景など
を自ら学び、発表してもらうというもの。
資料)尚古集成館
- 127 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
3
炭都の再発見につながる遊学マップの作成
本調査の過程において、モデルとして作成した“遊学マップ”が次頁に示したもので
ある。ポイントとしては、本調査で検討した遊学要素である遊・学・食・泊を重視し、
炭鉱遺産だけでなく、観光交流施設やテーマに関連する食や宿泊施設を掲載した。また、
県境を意識せず、両市にわたる観光資源や特産品を含め紹介したものである。
本マップは観光客の自由なまち歩きや、ツアーメニュー“遊・炭都”への活用も視野
に入れていることから、今後はこのマップに応じて、ポイントへの統一した立て看板の
設置などが求められる。
なお、作成に当たっては、NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブに所属す
る数人のスタッフが主体となり、地域資源の発掘と再評価を目的に 2 日間の現場調査を
実施した。また、アドバイザーとして、NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごし
ま探検の会が協力しており、大牟田・荒尾と鹿児島という“九州ネットワーク”による
成果物である。
こうした地域外で活動するまちづくり団体の外部評価
により、新たな発見が生まれるとともに、観光客の目線
に合わせたコースづくりにつながるなどの効果が期待さ
れ、市民グループを主体とした広域交流をさらに推進し
ていくことが求められよう。
図表 6-31
遊学マップ作成作業の様子
“遊学マップ”作成のポイント
○産業遺産だけではなく、遊・学・食・泊を提供できる施設を掲載している
○史実をストーリー化し、「大牟田・荒尾炭鉱物語」として整理している
○九州ネットワークを意識し、他の産炭地も紹介している
○大牟田市、荒尾市の行政区域を越えた資源、特産物を紹介している
○炭鉱遺産のシンボルカラー(レンガ色)を使用しイメージを醸し出している
○域内だけでなく外部の視点から地域資源を再評価している
- 128 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
遊学マップ~大牟田・荒尾編~(表)
- 129 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
遊学マップ~大牟田・荒尾編~(裏)
- 130 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
4
ツアーメニューに応じたモデルコースの検討
ここでは、旅行商品化を念頭に置き、遊びの要素の強い「遊・炭都」、遊びと学び の
要素が同程度の「遊学・炭都」、学びの要素が強い「学・炭都」の3つのツアーメニュ
ーに応じて、旅行期間別、テーマ別のモデルコースを複数検討した(図表 6-34)。
何れも本地域を基点としており、組合せによって長期滞在が可能となる。また「学・
炭都」メニューについては、原則「炭都遊学塾(仮称)」の受講を念頭に置いている。
なお、本モデルコースは小・中・高校生をメインターゲットにしており、修学 旅行、
あるいは大人も含めたファミリー旅行にも活用できるよう検討したものである。
図表 6-34
遊 ・炭都コース
モデルコースの検討
(遊びの要素が強い)
三井グリーンランドと万田坑(1日コース)
陶芸と梨狩りで荒尾を満喫(1日コース)
午 前 中 、 三井 グリ ー ン ラン ドで 遊 び 、午 後 か
午前中、荒尾の名産であるジャンボ梨狩り、国指
らは万田坑及び万田炭鉱館で石炭鉱業の歴史を
定伝統的工芸品である小岱焼の工芸館で陶芸教
学ぶコースである。オプションメニューとして、
室を受講、陶芸体験もできる。その後、荒尾市街
三井グリーンランドでは風力発電、太陽光発電
で食事をし、午後は近隣にある三井グリーンラン
などエネルギーについても学ぶことができる。
ドで遊ぶコースである。
食事
食事
(荒尾市内)
大牟田駅
三井グリー
ンランド
小岱工芸館
梨狩り
大牟田駅
大牟田駅
万田坑跡
万田炭鉱館
三井グリー
ンランド
大牟田駅
三井港倶楽部と三井グリーンランド(1泊2日コース)
1日目は道の駅「花ぷらす館」に寄り、石炭産業科学館で石炭鉱業を学び、旧三井港倶楽部で優雅な
食事。その後 、福岡県 南部 では唯一 の大 牟田市動物園を満喫し、三井グリーンランドにあるホテルで宿
泊する。2日目は終日、三井グリーンランドで遊ぶコースである。
宿泊
温泉(弥生の湯)
三井グリー
ンランド
大牟田市
動物園
旧三井港
倶楽部
石炭産業
科学館
南関IC
1日目
道の駅
花ぷらす館
食事
旧三井港倶楽部名物カレー
食事
南関IC
三井グリー
ンランド
2日目
凡例
比較的「遊び」の要素が強い施設
比較的「学び」の要素が強い施設
- 131 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
遊学 ・炭都コース
(遊びと学びの要素が同程度)
石油関連化学コンビナートを体感(1日コース)
石炭産業科学館を基点として、石炭関連化学コンビナート発展の歴史を学んだ後、三井化学工場内の
見学や体験を する。そ の後 、大牟田 市街 で有明海の幸を堪能し、九州で3つしかないエコタウンのエコ
サンクセンタ ーで先端 技術 に触れ、 全国 大会も開催される三井三池オートスポーツランドでサーキット
場を見学する 。石炭鉱 業と そこから 派生 した現在の産業に触れあい、当時の日本を担った先人たちの汗
と涙を体感できるコースである。
食事
(有明海の幸)
大牟田駅
三井三池オート
スポーツランド
エコサンク
センター
大牟田市街
三井化学工場見学
石炭産業科学館
大牟田駅
三井化学工場
(J工場)
炭鉱マンの生活を体験(1泊2日コース)
主に炭鉱遺産 を巡る旅 であ る。かつ て三 井鉱山の保養所であったとされる玉名温泉「尚玄山荘」を宿
泊地としてい る。尚玄 山荘 はその庭 が徳 永尚玄の生家あとにあるつつじの庭とそっくりなので、尚玄山
荘の名がつけられとされ、現在の建物は 1993 年に造られ、熊本アートポリス事業・推進賞を受賞した意
欲作である。また、食事は炭鉱マンが食していたとされるダゴ(お好み焼き)や 10 円焼き鳥がある。
なお、当地域のダゴ(お好み焼き)は九州で人口あたりの店舗数が最も多いとされている。
食事
尚玄山荘
大牟田駅
宮原坑跡
集治監跡
三池港閘門
旧三井港倶楽部
大牟田駅
1日目
石炭産業科学館
宿泊
熊本県
玉名市
大牟田駅
万田坑跡
万田炭鉱館
有明高専ダゴ
大牟田市動物園
大牟田駅
尚玄山荘
2日目
三池カルタ記念館
食事
カルタ発祥の地
「大牟田」
NPOが作成した
炭鉱カルタ
- 132 -
炭鉱マンが食していたとされるダゴ
( お 好 み 焼 き・左 )と 10 円 焼 き 鳥( 右 )
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
学 ・炭都コース
(学びの要素が強い)
孫文が訪ねた路(1日コース)
孫文が訪ねた路を巡る旅である。1913 年、日本各地を表敬訪問中の孫文は 3 月 19 日、福岡より大牟
田に到着、終 日各所を 訪問 したとさ れる 。三井炭鉱発電所、石炭を積み込んでいる移動式船積機、三池
港閘門を見学 後、港倶 楽部 で休憩し 、宮 崎滔天の案内で宮崎家に向かい、その後、万田坑、七浦坑など
を見学している。また、2006 年は孫文誕生 140 周年であり、中国のマスコミから注目されている。
大牟田駅
七浦坑跡
万田坑跡
宮崎兄弟資料館
旧三井港倶楽部
三池港閘門
受講
大牟田駅
炭都遊学塾
食事
宮崎生家
九州は炭都、炭都、そして炭都(2泊3日コース)
大牟田・荒尾 地域を基 点と して、九 州の 産炭地を巡る旅である。筑豊の三井田川炭鉱、志免炭鉱、唐
津炭鉱、軍艦 島周遊ツ アー が注目さ れて いる高島炭鉱、また薩摩藩が建設した小菅修船場などを3日で
周遊する。産 炭地でも 、そ の成り立 ちや 現状は様々な違いがあり、炭都遊学塾の講座で学んだ後に訪問
することで、石炭資源が九州地域に果たした役割を体感することができる。
大分県
日田市
飯塚市街
宿泊
長崎市街
旧唐津銀行本店
嘉穂劇場
佐賀県
唐津市
長崎空港
軍艦島観光ツアー
高島散策
長崎歴史文化
博物館
長崎市街
3日目
小菅修船場
長崎県
長崎市
唐津市散策
志免炭鉱
福岡県
志免町
宿泊
嘉穂劇場
旧伊藤伝右衛門邸
日田市散策
宮崎兄弟資料館
食事
田川市石炭・歴史
博物館
三井田川炭鉱
飯塚駅
2日目
ソロバン
ドック
石炭産業科学館
炭都遊学塾
受講
熊本空港
1日目
福岡県
田川市
福岡県
飯塚市
食事
小菅修船場
軍艦島
- 133 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
団琢磨の活躍の地(1泊2日コース)
三井三池炭鉱 、三井田 川炭 鉱におけ る近 代化の立役者である團琢磨の足跡を追うコースである。成功
の裏に隠され た挫折と 苦労 、挑戦が あっ た團の精神を育んだ故郷福岡と、在籍していた三井企業が経営
していた三池 、筑豊の 炭鉱 を巡る旅 であ る。なかでも、大牟田、北九州に現在でも残っている2つの三
井系社交倶楽 部は文化 的価 値が高い 。な お、福岡市は團琢磨の生誕の地であり、母校の藩校修猷館(現
福岡県立修猷館高校)がある。
食事
福岡市内
九州国立博物館
旧三井港倶楽部
三池港閘門
炭都遊学塾
受講
大牟田駅
1日目
旧三井港倶楽部
福岡県
太宰府市
福岡県
直方市
食事
門司港駅
旧門司三井倶楽部
門司港レトロ
直方市石炭記念館
博多駅
2日目
田川市石炭・歴史
博物館
福岡県
田川市
宿泊
旧門司三井倶楽部
福岡県
北九州市
九州国立博物館
コールロード
~石炭の通った路~
(1泊2日コース)
三池港が開港 する以前 、口 之津港( 長崎 県)は三井三池炭鉱の石炭積出の主要港であり、ここから海
外に輸出され ていた。 三角 西港(熊 本県 )も石炭積出港であった。また、近代化の先駆けとなった尚古
集成館事業で使われていた石炭は天草炭鉱から移出されたとされている。
長崎県
口之津町
食事
宿泊
下田温泉
口之津灯台
口之津町歴史民俗
資料館
旧三井港倶楽部
三池港閘門
受講
炭都遊学塾
大牟田駅
1日目
熊本県
天草町
明 治 32 年 建 築
洋風建物
食事
鹿児島中央駅
尚古集成館
仙巌園
熊本駅
三角西港レトロ地区
天草海洋レジャー
ランド
下田温泉
2日目
熊本県
本渡市
三池港閘門
鹿児島県
鹿児島市
熊本県
宇城市
尚 古 集 成 館( 反 射 炉 模 型 )
- 134 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
3
地域一体となった推進体制の構築
1
地域連携を促進する「三池コールマイン協議会(仮称)」の設立
地域が一体となって効率的に事業を検討し、産官学民一体となって“遊学”を推進す
る母体として、「三池コールマイン協議会(仮称)」の設立を提案する。なかでも、産業
遺産を保有している三井グループ企業と懇談の場を設けることは遺産の活用面におい
ても重要となる。
協議会の下部組織として3つのワーキンググループを設け、炭都遊学塾の運営やプロ
モーション活動、資金調達に関する検討を継続的に行うものとする(図表 6-35)。
設立に向けては、観光協会、商工会議所、市民グループなどが主体となり準備活動組
織を立ち上げ、県境を越えた組織であることから九州観光推進機構などが調整役となる
ことも考えられる。将来的には独立した組織として事務局を置き、九州内の産炭地と連
携しながら事業を推進していくことが求められる。
こうしたマネジメント機関を設けることで、地域における様々な課題が共有化 され、
地域一体となったビジョン作成と常業の取組みが可能となると考える。また、九州内に
は石炭を調査研究している九州大学、あるいは国際観光学科を擁する長崎国際大学等の
研究機関が存在しており、これらを連携させ、九州を訪れた観光客の“学び舎”として
自由に参加、公聴できるカリキュラムを構築するなどの取組みが必要である。
図表 6-35
民
三池コールマイン協議会(仮称)の仕組み
学
産炭地(長崎・志免・田川等)
(市民グループ)
(教育・研究機関)
連携
○NPO大牟田・荒尾炭
○地域内の小、中、高校
鉱のまちファンクラブ
○九州内外の大学
○万田坑ファン倶楽部
(石炭や観光の研究室)
○ボランティア団体
○九州産業考古学会等
三池コールマイン協議会(仮称)
など
官
学術研究機関
産
(行政)
(企業・経済団体)
○福岡県
○三井グループ企業
○熊本県
○ 両 市 商 工 会 議 所 、青 年 会 議 所
○大牟田市
○両市経済倶楽部
○荒尾市
○両市観光協会
プロモーション検討WG
など
○三井港倶楽部保存会
など
など
炭都遊学塾運営WG
- 135 -
資金調達検討WG
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
2
積極的なプロモーション活動の実施
ターゲットとする小・中・高校生に向けては、修学旅行や総合学習など学校行事に対
し、副読本や定期的な情報誌、ホームページやDVDなどデジタル媒体での情報発信を
積極的に実施する必要がある。環境学習への取組みを推進している熊本県水俣市では水
俣病の歴史を熊本県内の小学生に義務教育として学ばせるカリキュラムを設けており、
関連の施設においては安定した来訪者の確保につながっている。
本地域においても、今後地域の貴重な風土として認識が深まり、多くの子供たちに学
んでもらえるカリキュラムを教育機関に対して提案したい。また、子供たちに普段から
接する機会が多い教職員に対しても“炭鉱遺産”の認識を深めてもらう働きかけが重要
なポイントとなる。
また、一般旅行者に対する旅行雑誌、テレビ、新聞などマスコミの影響力は最近、マ
スコミで取り上げられ利用者が急増した軍艦島ツアーの例でも立証済みであり、話題性
を高める積極的なプロモーション活動が必要である。例えば、炭鉱をテーマにした文学
作品に、小説「青春の門」や 2006 年に公開された映画「ひだるか」、演劇「ひびきの石」、
また炭鉱の歴史には「團琢磨」など全国的に知られていない偉人が存在することから、
公式なフイルムコミッション組織を発足させ、行政や観光協会などと連携したマスコミ、
映画業界などへの働きかけも求められよう。
3
資金調達の仕組みの検討
これまで繰り返し述べてきたように、万田坑、宮原坑など産業遺産の整備には多額の
費用が必要とされ、その財源確保が大きな課題である。例えば、田川市石炭・歴史博物
館の炭鉱住宅復元には約8千万円、竪坑櫓の補修には約4千万円の費用が必要とされた。
同様に、腐食が進んでいる万田坑の補修にも億単位の費用が必要とされ、本調査で提案
した「万田コールマイン野外博物館(仮称)」の整備費用は当然ながらそれ以上である
と考えられる。
その解決に向けては財政難に悩む行政に対して、早急な資金的支援を望むことは難し
いことから、市民、企業、経済団体などから資金を募る仕組みを検討したい。例えば、
一般市民の寄付により復元・再生した嘉穂劇場や熊本城、あるいは、地元経済界の買収
により保存された旧三井港倶楽部などのように、地域ネットワークで財源を確保する事
例が見られている(図表 6-36)。
こうした事例は地域の市民が、その資源に“誇り”“地域らしさ”を感じ、文化的 価
値を認識していると考えられる。同地域では旧三井港倶楽部に対する寄付活動から営業
再開が実現しており、万田坑をはじめとする炭鉱遺産についても、教育資源や観光資源
として活用され、地域活性化や人材育成につながるという共通認識を持つ必要があろう。
- 136 -
第6章 「遊学アイランド九州」を具現化するモデル事業
また、ガイドが炭鉱遺産を案内する際には従来、無償で行っていたケースが多い。し
かし、今後は観光客にその文化的価値を認識してもらい、情報の提供者であるガイドや
語り部、施設など受け地側に対し、情報提供料として対価をもらうといった事業性を配
慮した仕組みづくりも必要となろう。
図表 6-36
一般市民や企業の寄付により復興・再生した事例
事例
内容
○日本三名城の一つである熊本城復元事業に際し、熊本市が広く国内外に
熊本城復元募金
(熊本市)
対し、15 億円集める予定。2005 年 3 月で約 8 億 5 千万円が集まった。
○寄付すると全員が「永代帳」に記載される。また、一万円以上の寄付を
行うと「城主」とされ「城主証」が渡され、「城主芳名板」に記載、天
守閣に掲示する。築城 400 年となる 2007 年の完成を目指している。
○2003 年、 旧産炭地の芝居小屋「嘉穂劇場」は水害で壊滅的な被害を 受
け、経営主体を民間企業からNPO法人とし、行政や企業から財政支援
嘉穂劇場の復興
(福岡県飯塚市)
を受けやすくした。
○ゆかりの芸人や芸能人が復興を呼びかけ、業界団体や市民から総額 1
億 3 千万円の寄付が集まり、復興を遂げ、2005 年 8 月にはサントリー
地域文化賞を受賞している。
旧三井港倶楽部の
買収・営業再開
(大牟田市)
○所有している三井鉱山の経営悪化により 2004 年 12 月に閉館。
○域外資本が買収防止のために、経済倶楽部の一部が中心となり株式会社
三井港倶楽部保存会を設立し、47 社の株主に出資承諾を得て約 1 億円
が集まった。交渉の結果、2005 年 11 月に買収、営業を再開している。
資料)新聞記事、ヒアリング等
図表 6-37
モデル事業の展開イメージ
- 137 -
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
第7章
「遊学アイランド九州」の形成に向けて
本調査では、“先人の知恵や技術、文化を楽しみながら学ぶ旅=遊学”が九州観光振興
のひとつの方策になると考え、第1章から第4章では九州観光の現状、九州観光における
遊学の考え方、
「遊学アイランド九州」の目指すべき姿とその形成に向けた方策について述
べた。また、第5章で九州らしいテーマを8つ取り上げ、そのなかで“産業”に着目した。
さらに、第6章において「遊学アイランド九州」を具現化したイメージを膨らますため、
石炭鉱業の遺産や炭鉱文化を色濃く残す大牟田・荒尾地区をモデルに推進方策を検討した。
最終章である本章においては、これまでの調査結果を踏まえ、「遊学アイランド九州」
の形成に向けて、
「目指すべき姿」の実現を意識しながら、九州がひとつとなって早急に取
り組むことが望まれる事項を提言として述べる。そして、九州新幹線鹿児島ルートが全線
開通する 2010 年度を目標に、先人の英知にふれる人材育成の場の形成や国内外からの集
客・交流の促進がより具体化され、地域経済の浮揚が果たされることを期待したい。
図表 7-1
「遊学アイランド九州」の目指すべき姿のポイント ( 再 掲
第3章)
①資源の目指すべき姿
観光資源が「遊び」「学び」の要素をそれぞれに高め、より魅力
ある受入態勢が整備されている
②地域の目指すべき姿
地元住民が参画し、地域滞在・拠点交流の場が創出され、地域内
の観光資源が連携している
③九州全域の目指すべき姿
地域横断的な九州らしい多様なテーマにより、遊学に取り組む地
域が有機的に結びついている
図表 7-2
「遊学アイランド九州」の形成に向けて
(1)“遊び”と“学び”による地域資源の磨き上げ
¾
¾
地域資源の文化的な価値に地域自ら気づく仕掛けづくり
経済的な価値を引き出し、事業性を高める受入体制の整備
(2)地域自ら演じる受け地主導型観光の推進
¾
¾
市民グループが主役となった“手づくり”旅行商品の企画・開発
観光客と市民の相互交流による人材育成の促進
(3)“九州はひとつ”に向けた地域間連携の促進
¾
¾
¾
“感動がある。物語がある。九州”に向けた“遊学”ムーブメントの創出
外国人観光客の受入に向けた観光基盤づくり
遊学アイランド九州ネットワーク(仮称)の構築
- 139 -
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
図表 7-3
提言の概要と行動主体
行動主体
提言の概要
(主体=●
準主体=◎
支援=○)
(1)“遊び”と“学び”による地域資源の磨き上げ
○地域資源の文化的な価値に地域自ら気づく仕掛けづくり
●市民グループ
●観光交流施設
●遺産所有者(企業等)
九州には先 人 の英知や知 恵 、文化を伝える“学び”の資源が多く存在し
ており、そ の 資源の文化 的 価値に地域 自ら気づく仕掛けが求められる。そ
の際には、 市 民グループ が 中心となり 、域内外教育機関や行政、企業、域
◎教育機関
○ 行 政( 教 育、観 光 部 署 )
○旅行業者
外の市民グ ル ープ、国内 外 の有識者の 理解や協力を得て、地域資源を再評
価していくことが望まれる。
○経済的な価値を引き出し、事業性を高める受入体制の整備
地域資源の 文 化的価値に 対 する市民の認識が高まると、観光客の価値認
識につながり、
「正しい価値のある情報、サービスには対価を払う」といっ
た経済的価 値 が創出され る 。情報の提 供者である語り部やガイド、施設な
ど受け地側に収入が発生し、人材や運営資金の確保が可能となることから、
事業性の向上や継続的な活動の基盤が形成されていくものと考えられる。
(2)地域自ら演じる受け地主導型観光の推進
○市民グループが主役となった“手づくり”旅行商品の企画・開発
●市民グループ
●教育機関
◎遺産所有者(企業等)
これまで、 主 に旅行会社 や 交通機関が旅行商品の企画開発における役割
を担ってき た が、今後は 市 民が案内役 となり、自らマネジメントした旅行
商品を提供 で きるといっ た 受け地主導 型観光を地域全体で目指していくこ
とが求められる。
◎観光交流施設
◎宿泊施設
◎交通機関
◎農林水産業者
○観光客と市民の相互交流による人材育成の促進
訪問先の人 々 との会話や 交 流、その生活体験を楽しむ旅が人気となって
◎特産品製造業者
◎旅行業者
いることか ら 、観光客に 対 しエンター ティナーとして楽しく語り伝え、魅
○ 行 政( 教 育、観 光 部 署 )
力あるメニ ュ ーを提供で き る人材の育 成や、教育・研究機関や企業との連
○マスコミ
携による“本物”志向、教育カリキュラムへの組込みが必要である。
(3)“九州はひとつ”に向けた地域間連携の促進
○“感動がある。物語がある。九州”に向けた“遊学”ムーブメントの創出
●市民グループ
●九州観光推進機構
◎旅行業者
九 州 観 光 の 現 状 を み る と “ 遊 学 ” の 旅行 動機が弱く、 今後の九州観 光に
おけるムーブメントとするためには、九州観光推進機構の協力を得ながら、
地 域 の 小 さ な 動 き を 九 州 全 体 で 見 渡 し束 ねていく作業 が必要である 。その
上 で 、 観 光 関 係 の 機 関 が 旅 行 商 品 の オプ ションとして “遊学”フレ ーズを
共通に使用するなど認知度を高めていくことが望まれる。
○外国人観光客の受入に向けた観光基盤づくり
中 国 や 韓 国 な ど 東 ア ジ ア か ら 九 州 を 訪れ る観光客は年 々増加傾向に ある
◎業界団体
◎行政(国、県)
◎教育機関
◎交通機関
◎マスコミ
○広域事業者
(九州電力等)
が 、 九 州の 観 光 交 流 施 設 に お け る 外 国人 観光客への対 応は遅れてい る。九
○学識経験者
州 国 立 博物 館 の 観 光 ル ー ト 化 や 、 留 学生 や在日外国人 の協力、国際 大学な
○有識者
ど教育機関との連携より、受入側の早急な基盤整備が求められる。
○遊学アイランド九州ネットワーク(仮称)の構築
遊 学 に 関 連 す る 活 動 に 取 り 組 む 市 民 グル ープの広域連 携組織「遊学 アイ
ランド九州ネットワーク(仮称)」の構築を提案する。しかし、人的、資金
的 限 界 が あ る こ と か ら 、 事 務 局 運 営 には 九州観光推進 機構が協力し 、行政
や教育・研究機関、広域事業者などの積極的な活動支援が求められる。
- 140 -
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
1.“遊び”と“学び”による地域資源の磨き上げ
(1)地域資源の文化的な価値に地域自ら気づく仕掛けづくり
九州には先人の英知や知恵、文化を伝える“学び”の資源は多く存在しており、
「遊
学アイランド九州」の形成に向けては、その文化的価値に光をあて、保存活用を進め
る取組みが急がれる。例えば、一般市民の寄付により復興した嘉穂劇場や地元経済界
の買収により保存された旧三井港倶楽部、観光客が急増している軍艦島周遊ツアーな
どの実現は、地域の市民がその資源に“誇り”
“地域らしさ”を感じ、その輪が拡がっ
て多くの人々の支援を得てきたことが大きな要因と考えられる。
したがって、地域資源の磨き上げの過程においては、まず、その資源の文化的価値
に地域自ら気づく仕掛けづくりが求められる。その上で、九州らしいテーマ性の付加、
観光客との交流促進による“遊び”
“学び”の両要素を高める取組みがより効果的であ
る。本調査のモデル事業では、市民グループが九州レベルで連携を図り“遊学マップ
大牟田・荒尾編”を作成し、外部評価による新たな発見、気づきが生まれた。このよ
うに観光資源や観光客に接する機会の多い市民グループが中心となり、域内の教育機
関や行政、企業の理解、また域外の市民グループ、国内外の有識者の協力を得ながら、
地域資源を再評価していくことが望まれる。
(2)経済的な価値を引き出し、事業性を高める受入体制の整備
地域資源の文化的価値に対する市民の認識が高まると経済的価値が創出される可能
性は十分にある。つまり、地域資源を学校教育カリキュラムや修学旅行の学習素材な
どの教育資源として活用し、あるいは“学び”の観光資源として集客・交流の促進に
活用することにより、地域への経済波及効果がもたらされると考えられる。
本調査のモデル事業では“点”の産業遺産を移設し、従来の博物館のように 1 ヵ所
に集めるのではなく、元々あった場所で保存し一定のエリア(面)での活用を目指す
「三池コールマイン野外博物館(仮称)」を提案した。これは観光客に地域文化の薫る
“本物”の姿を正確に伝えるとともに、ハード整備にかかる費用を抑える効果が期待
される。その上で、動態保存や転用活用、静態保存を上手く織り交ぜ、語り部による
産業遺産の裏に隠されたストーリーや楽しく学べる体験メニューの提供など“遊び”
“学び”の付加価値を高める受入体制の整備が求められる。
観光客がその資源の文化的価値を認識し、
「正しい価値のある情報・サービスには対
価を払う」といった経済的価値の創出に取組むことで、語り部やガイド、施設など受
け地側に収入がもたらされ、事業性の向上や継続的な活動の基盤が形成されていくも
のと考えられる。
- 141 -
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
2.地域自ら演じる受け地主導型観光の推進
(1)市民グループが主役となった“手づくり”旅行商品の企画・開発
これまで、主に旅行会社や交通機関が旅行商品の企画開発における役割を担ってき
たが、今後は市民が案内役となり、自らマネジメントした旅行商品を提供できるとい
った受け地主導型観光を地域全体で目指していくことが求められる。
これには既存の観光資源に加え、人々の暮らしや文化、体験を含めた地域資源をま
るごと「遊学空間」として捉えながら、地域資源に対する目利きや現場の実状を把握
している市民グループがその地域のテーマや特性に応じた観光資源を発掘し、“遊び”
“学び”の視点から体系化していく作業が必要となる。その上で、旅行業者や交通機
関、観光集客施設、宿泊施設、飲食店・土産品関連といった観光に直接携わる業者に
加え、博物館・資料館、工場見学・体験施設、産業遺産などの幅広い分野の関係者と
連携を図りながら、地域発のオリジナルな旅行商品を企画・開発していくことが求め
られよう。こうした“手づくり”による旅行商品の提供は、訪れた観光客が「その地
域にしかないもの」
「その地域でしかできないもの」を発見し、より深く学ぶことで“感
動”を呼び、リピーターの増加につながると考えられる。
(2)観光客と市民の相互交流による人材育成の促進
受け地主導型観光の主役は“人”である。本調査でみたように、九州観光の特徴と
される自然景観や豊富な食以外に、訪問先の人々との会話や交流、その生活体験を楽
しむ旅が人気となっている。つまり、こうしたニーズを強く持つ観光客に対し、エン
ターティナーとして楽しく語り伝え、魅力あるメニューを提供できる人材を育成でき
るかが成功の鍵となろう。
モデル事業において「炭都遊学塾(仮称)」の提案を行っているが、ここでは市民が
地域資源を調査研究し、その研究成果を観光客や地域内の学生に楽しく教え、学びあ
う関係を構築することで、市民意識の共有化、学習意欲向上を目的としている。この
相互交流が円滑になされると、観光客と市民とのコミュニケーションがさらに深まり、
さらにはその良さが口コミで広がり、域内外からの交流拡大につながるという好循環
が期待される。
その体制づくりの大きなポイントは、教育・研究機関や企業との連携と、
“本物”志
向であると考える。大学教授や研究所に属する有識者、また産業の現場を経験してい
る労働者やそのOBなど講師として迎え、小、中、高校生など若年層や普段から学生
と接する教職員を対象とした講座を継続して実施する。また、産業遺産やものづくり
の現場(=“本物”)を巡るツアーを組み合わせながら、最終的には学校教育カリキュ
ラムへの組込みや修学旅行の学習素材として提供していくことが求められよう。
- 142 -
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
3.“九州はひとつ”に向けた地域間連携の促進
(1)“感動がある。物語がある。九州”に向けた“遊学”ムーブメントの創出
九州観光の現状をみると、
“学び”の観光ニーズは少しずつ高まっているものの、九
州の強みである温泉や自然景観、郷土食、あるいはテーマパークやレジャー施設など
での“遊び”が圧倒的な旅行動機となっている。モデル事業として検討した「燃ゆる
石が語る九州の“炭鉱文化”を遊学する」というテーマも旅行動機としては弱く、現
状では観光客の誘引に直結するものではない。また、
“燃ゆる石”や“遊学”という言
葉は一般化されたものではなく、旅のワクワクする動機や楽しみをイメージとして伝
えるには難しい側面がある。
しかしながら、本調査のモデル事業として「石炭」
「炭鉱文化」を取り上げた理由に
は、これらが“九州らしさ”を表象するユニークなテーマであり関連資源が現存する
ことや、わが国の経済発展の過程を学びながら旅する新たな観光形態に発展する可能
性があること、さらに、炭鉱遺産に今一度光を当てようと一生懸命に取り組む人々の
誇りや熱意ある活動が旧産炭地で継続されていることがあった。
実際、NPO法人軍艦島を世界遺産にする会の長年に渡る保存活用に向けた取組み
が今、実を結び、軍艦島はマスコミにも注目される観光資源となった。また、旧三井
港倶楽部の営業再開も市民の熱意が企業の方針を変えた事例である。こうした動きは
まだ小さな芽ではあるが、その小さな芽が息吹をあげ、少しずつ着実に伸びようとし
ている。
そこで、
「感動がある。物語がある。九州」をキャッチフレーズとして、県境を越え
た旅行商品の発掘・提案に取組んでいる九州観光推進機構の協力を得ながら、“遊学”
のコンセプトに沿った地域の動きを九州全体で見渡し束ねていく作業が必要である。
その上で、観光関係の機関が旅行商品のオプションとして“遊学”というフレーズを
共通に使用し、その提供するサービス内容、学びの意外性や隠れた秘密を競うコース
設定、あるいは温泉や自然景観、郷土食などを加えた観光ルート化により、
“遊学”の
認知度を高めていくことが望まれる。
さらに、九州新幹線鹿児島ルートが全線開通する 2010 年度を目標に、本調査で検討
した大牟田・荒尾地域のモデル事業が何らかのきっかけとなり、九州内に多様な「遊
学商品」が生まれ、その協働と競争により広域的な交流が活発化することを期待した
い。また、本調査のモデル事業ではターゲットを「小、中、高校生など若年層」に絞
った。10 年、20 年後はこうした世代が旅行主体となると予想され、団塊の世代、ある
いは団塊ジュニア世代まで巻き込んだ、長期的な視点に立ったムーブメントの創出を
期待したい。
- 143 -
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
(2)外国人観光客の受入に向けた観光基盤づくり
九州は地理的近接性からアジアとの貿易取引、人的交流、研究交流、都市間交流な
どの様々な交流が日本の中で最も盛んな圏域となる可能性が高く、現在、アジアビジ
ネス日本一を目指す「アジア一番圏」として発展していくための方策が検討されてい
る。また、観光分野でも九州観光推進機構や九州運輸局において、中国の修学旅行団
の誘致や江蘇省旅遊局との友好提携など戦略的な取組みが進んでいる。
こうしたなか、2005 年 10 月に開館した九州国立博物館は「アジアとの文化交流」
をテーマとし、これまで地域固有の文化にアジアや西洋の文化を融合させながら、常
に日本を先導してきた九州の歴史や文化を紹介している。したがって、同館を核とし
てアジア交流をテーマとした広域観光ルートを形成し、九州の歴史や産業技術が東ア
ジアとの交流のなかで育まれてきたという史実を伝える取組みが必要である。
一方、中国や韓国から九州への観光客は増加傾向にあるが、本調査で実施した九州
内観光交流施設へのアンケート調査によると、その半数が未対応としている。加えて、
「日本らしさ」「交流の歴史」「先端技術」などをテーマにした外国人を魅了する観光
コースの開発は必ずしも十分ではない。そこで、海外からの留学生や在住の外国人に
対してガイド育成や情報発信などで協力を得るとともに、立命館アジア太平洋大学や
長崎国際大学などの教育機関と連携し、観光資源の磨き上げや外国人受入の早急な基
盤整備に取り組む必要がある。
(3)遊学アイランド九州ネットワーク(仮称)の構築
「九州内で遊学に取り組む地域が有機的に結びついている姿」を実現していくため
に、九州らしさを表象するテーマに関連する地域が連携していく取組みが必要である。
本調査研究の過程では、九州内で産業遺産を対象にそれぞれ異なる切り口で活動する
4つの市民グループが一堂に会する懇談会を開催し、遊学アイランド九州の形成にお
ける市民の役割を確認した。そこでは、受け地主導型観光を推進していく上で市民グ
ループの広域連携が必要であることや、各グループの強み(技術、ノウハウ、アイデ
ア)や弱み(課題、悩み)を共有化し、九州一体となった総合力を高めることなどが
確認されている。
こうしたことから、
“遊学”に関連する活動に取り組んでいる市民グループの広域連
携組織「遊学アイランド九州ネットワーク(仮称)」を構築することが求められる。こ
のネットワークを生かし、モデル事業で実施した“遊学マップ”の共同作成や、九州
各地でのリレーシンポジウムの開催、共通ガイド券や割引切符の創設などが考えられ
る。しかし、市民グループの活動には人的、資金的限界があることから、事務局運営
には九州観光推進機構が協力し、行政や教育・研究機関、広域事業者などの積極的な
活動支援が求められよう。また、将来的には様々な共通テーマから複数のネットワー
クが生まれ、さらにそれぞれが重層的に連携するといった広がりを期待したい。
- 144 -
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
図表 7-4
遊学アイランド九州ネットワーク(仮称)のイメージ
九州内外の観光客
商品提供
情報発信
(ネット、
旅行会社・交通機関
受入
ルート提案
メルマガ)
窓口
遊学アイランドネットワーク ( 略 称 : 遊 学 ネ ッ ト )
業界
団体
行政
遊学ネット事務局
連携
連携
各市民グループ代表
九州観光推進機構
連携
大学
橋渡し
企業
橋渡し
連携
市民グループ
橋渡し
市民グループ
連携
市民グループ
(NPO、ボラン
ティア団体)
資源
資源
資源
資源
資源
観光地A
観光地B
資源
観光地C
<遊学ネット事務局の役割>
①各地域のデータベースの共有化
②観光客の受入窓口
③デジタルコンテンツによるテーマ・ストーリーの発信
④各地域の連携マネジメント(ストーリー構成、資源発掘、観光ルート設定アドバイス)
⑤情報発信(旅行エージェント等へのルート提案)
- 145 -
など
第7章 「遊学アイランド九州」の形成に向けて
<具現化しつつある「遊学アイランド九州ネットワーク」>
本調査で 2005 年 11 月に実施した“「遊学アイランド九州」形成におけるNPOの役割
を考える”座談会では市民グループの広域連携に向けた議論が交わされ、ネットワーク構
築の準備会が発足した。また、12 月には座談会に参加した複数のNPOにより、“遊学マ
ップ大牟田・荒尾編”が作成されるなど、広域連携の動きが強まった。
そして、2006 年 2 月に、NPO法人軍艦島を世界遺産にする会が中心となり、九州内9
つの市民グループが主体となった「九州伝承遺産ネットワーク協議会(仮称)」が設立さ
れた。各地域の埋もれた遺産の発掘と再評価、地域連携によるテーマ型観光の推進などの
活動により、遺産の効果的な保存と活用策を検討していく予定である。
また、オブザーバーとして九州観光推進機構や九州産業考古学会、大学教授などが参加
し、支援体制も充実されており、今後、九州一体となった活動が期待される。
遊学ネットワークの設立が検討さ
九州NPOの連携により作成された“遊学
れた座談会の様子
マップ大牟田・荒尾編”と作業風景
( 大 牟 田 市 ・ 2005 年 11 月 )
( 大 牟 田 市 ・ 2005 年 12 月 )
九 州 伝 承 遺 産 ネ ッ ト ワ ー ク 協 議 会 ( 仮 称 ) 設 立 総 会 の 様 子 ( 長 崎 市 ・ 2006 年 2 月 )
設立総会参加者 ( 敬 称 略 )
<市民グループ>
<オブザーバー>
○NPO法人軍艦島を世界遺産にする会
○九州観光推進機構
○NPO法人北九州COSMOSクラブ
○九州産業考古学会
○NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ
○熊本産業遺産研究会
○NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま
○片岡
力(長崎国際大学教授)
○後藤惠之輔(長崎大学教授)
探検の会
○志免立坑櫓を活かす住民の会
○幸田亮一(熊本学園大学教授)
○門司赤煉瓦倶楽部
○三藤利雄(シーボルト大学教授)
○長崎居留地ネットワーク
○財団法人九州地域産業活性化センター
○高島活性協議会
○株式会社鹿児島地域経済研究所
○NPO法人桜島ミュージアム
- 146 -
資料編
目
次
1 . 遊 学 ア イ ラ ン ド 九 州 の モ デ ル 事 業 検 討 の た め の 先 進 事 例 研 究 ・・・・・・・・・・・・ 1
2 .“「 遊 学 ア イ ラ ン ド 九 州 」 形 成 に お け る NP O の 役 割 を 考 え る ” 座 談 会 の 概 要
3.観光と教育・学習についてのアンケート調査
4.九州における産業テーマとその変遷
5.委員名簿・委員会開催等
・・・ 13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
1.遊学アイランド九州のモデル事業検討のための先進事例研究
1.視察日
平成 17 年 10 月 31 日(月)
2.視察参加者
10 名
~
~
新居浜市
11 月 1 日(火)
・委員会委員6名及び事務局員4名
3.視察内容
①マイントピア別子
④職員社宅
②発電所跡
⑤別子銅山記念館
③住友化学歴史資料館
⑥広瀬歴史記念館
4.対応者
新居浜市企画部 産業遺産活用室 室長 坪井利一郎 氏
新居浜市経済部 総括次長 森賀盾雄 氏(観光カリスマ)
5.新居浜市役所での全体説明のポイント
<産業遺産をまちづくりに活用しようとしたきっかけ・・・地域博物館の考え>
新居浜市は別子銅山という世界に誇れる産業遺産があり、また、昭和 12 年には工業都市の
原型が全国に先駆けてできあがり、その時々の最先端の技術が住友グループの産業活動によ
って継続されてきた。かつての瀬戸内海に面したきれいな砂浜は失われたが、こうした工業
都市・産業都市として発展するなかで、1973 年頃から、過去の遺物や生きている工場を地域
全体で博物館としてまちづくりに活用する動きが生まれる。なお、1990年頃に当時経済
企画庁の星野進保事務次官が新居浜市を訪問した時に新居浜市の航空写真を見て「地球がか
なり痛んでいる。もっとまち中に緑を植えたら。20世紀の日本の技術のシンボルは地方の
工場地帯だから、生きた工場公園にしたらどうか」と提案されたことが、地域全体を博物館
にしていこうとの確信につながった、と森賀氏は回想している。
<産業遺産の活用に向けた取組み
市民先行で展開され、ハードは企業・行政が整備>
1973 年に別子銅山が閉山し、住友グループでは 1975 年に別子銅山記念館をつくり、これ
で区切りをつけたつもりであった。しかし、別子開坑 300 年を記念して 1992 年に別子銅山記
念図書館を住友グループが建設し、市へ寄贈している。また同じく、記念式典・宿泊施設の
確保のためにリーガロイヤルホテル新居浜が建設された。また、住友林業の聖地として別子
山地区にフォーレストハウスが住友林業により建設されている。一方、新居浜市は 1983 年に
住友鉄道跡を自転車・歩行者専用道中央環状線路として整備した。現在も整備延伸中である。
こうした中で、1986 年に新居浜青年会議所は「銅(憧)憬のまちづくり」と「生涯技術ふれ
あいタウン」を提案し、1989 年には新居浜市生活文化若者塾が「銅(憧)憬のまちづくり」
を提案するなど、市民団体が先行して産業遺産を活用する動きがはじまる。
2000 年には、
「近代化産業遺産活用全国フォーラム」を開催し、全国から延べ 2200 名の参
加があった。このフォーラムで初めて「ヘリテージツーリズム」の概念を打ち出され、その
後、
「全国産業観光フォーラム」として、名古屋、浜松、鹿児島、北海道、八戸、長崎と全国
で開催されている。こうした産業遺産活用の全国展開をはかり、ネットワーク・サポーター
- 1 -
を増やし、国内外の産業遺産の保存活用に携わる人のネットワークが形成されてきている。
特色ある活動
・2001 年
産業遺産のウォーキングが始まる
・2002 年
産業遺産の俳句の本を出版する
・2003 年 英国のスチワートスミスさんを招いてフォーラムを開催する
・2004 年
産業遺産の朗読・画像とN響コンサートマスターとのコラボレ
ーション開催、市の組織として「産業遺産活用室」新設
・2005 年
「受け地主導型の産業観光」のシステムづくりを始める
<バブル期と重なった施設整備展開>
産業遺産を活用した市の施設整備は 1988 年銅山の里自然の家、1991 年マイントピア別子
端出場地区、1994 年マイントピア別子東平地区、1997 年広瀬歴史記念館などがある。投資額
は、広瀬歴史記念館の整備に 13.5 億、マイントピア別子端出場エリアで 48 億円、東平地区
で 14 億円と多額に及び、これらはいずれも地域総合整備事業債の起債である。この投資額に
ついては、アイアンブリッジを手がけたスチュワートスミスさんが訪問した際に、
「わからな
い、おまえらはクレージーだ」と言ったそうであるが、大変お金をかけて、産業遺産の一部
を破壊しながら、テーマパークを整備したことがその理由とみられる。なお、アイアンブリ
ッジの整備費は、1 箇所平均 5000 万円で、6箇所を整備しているので、3 億円とのことであ
る。このように新居浜市の産業遺産の整備は、金をかけたもので、バブルの名残、バブルの
所産である。
観光カリスマとなっている森賀氏は、時間をかけながらじっくりと逐次展開的に整備をす
べきであると反対したが、結果としてあのような姿になったと無念さが感じられた。同氏は、
産業遺産を全て保存するということではなく、価値を考えながら部分的に残したり、消した
りする必要があると述べている。
<別子銅山の閉山に続く産業の存在>
別子銅山は、既に大正時代から資源の枯渇や海外からの輸入銅への転換(買鉱製錬)でい
ずれその役割を終えることが想定されていた。したがって、銅山鉱業から派生する様々な産
業分野への取組みがなされ(山から浜への展開)
、重化学工業や林業などの企業群が生まれて
いる。それらの企業には、住友化学や住友林業、住友電力、住友建設などがあげられ、この
なかで、住友化学は銅の製錬で発生する亜硫酸ガスを中和して硫酸アンモニウムに変える公
害克服の技術から化学肥料分野へ参入した経緯がある。
このように別子銅山の閉山を見据えた企業展開が早くから行われ、経済界にとって閉山の
影響は、精神的には大きなショックではあったが、経済的にはあまりなかったとされている。
全国的には、基幹産業の衰退で地域自体の経済力が急速に低下する地域があるが、そうした
地域と異なり、住友の聖地とされるだけに産業基盤は持続されている。
<別子銅山と九州>
別子銅山と九州の関係をみると、江戸時代に長崎から御用銅が輸出され、明治 10 年には製
- 2 -
錬に使う燃料としてコークスもしくは石炭を九州からもってきている(筑豊炭、高島炭鉱)
。
また、住友金属鉱山の菱刈から金鉱石を船で新居浜に運び、最終製錬を行っているなど、九
州との関係は深い。
<産業遺産の活用は、生涯学習 or 産業観光>
「地域を愛する人間が地域を愛してそれを誇りに思う」ということで産業遺産に関心を持
つのであれば生涯学習の要素が強く、産業観光のような域内外の人の交流促進やビジネス的
な展開と異なる。それをパサッと産業観光を推進するとしてやると、生涯学習の皆さんが疲
れ果てる。相互の緩やかな連帯をゆっくりと方向性を見極めながら検討していくことが求め
られる。産業観光の仕組みは仕組みとして開発し、受け地主導のガイダンスなどは、それな
りに生涯学習のフォローに任せるのではなくビジネス専門的に準備をしながら生涯学習の進
展と融合化させるべきである。また、産業観光の商品の洗練化・ブランド化は四国内でのネ
ットワークではなく、全国・世界的なネットワークを見据えて推進しなければならない、と
森賀氏は語っている。
<お金がかかり、容易でない産業遺産の保存・活用>
産業遺産はそのままにすれば必ず傷んでくる。端出場の水力発電所には変電装置があり、
それを移設して市で活用するにも移設に 2、3 千万円がかかる。壁も傷んでいる。とりあえず
は、腐食を防いで掃除をしている。自治体は金がないのでどうするかということが課題。
<学び、教えることでプロガイドを養成>
産業遺産に触れ、学ぶことは、普通に日本史を学ぶことと異なり、自分の興味を引き付け
る世界に出会える楽しみがあり、そういうものが産業遺産にはある。また、ガイドをすると
自分で調べて相手に伝えることや相手が関心を示すことにいわゆる教える快感を覚える。そ
して、それが学習意欲に跳ね返ってくる。特に新居浜市のガイド講座では、案内役(先生)
になったり学ぶ側(生徒)になったりすることで、教えあう関係を作っている。専門家を遠
いところから呼ぶ必要性はなく、皆が学ぶ意欲を持ち、学んでいく素地を作ることが重要で
ある。ただし、本格的な観光学芸員の養成を行う全国的な仕組みが必要である。それは、京
都検定などというものでなく、ツアー客との対応のための心理学や観光ビジネス学をちゃん
と身につけた学芸員である、と語っている。
<産業遺産はじわーっとロングセラーのように続くもの>
これが産業遺産だといって突き進むと、研究者にはいいが一般の市民には機械、建物、コ
ンクリートの橋等の産業遺産は重たい分野である。やはり、さりげなく生活空間の中で時間、
空間を切り取って、色々なことをやってたまたまそこに産業遺産があるというように、少し
引いた進め方の方が一般には受け入れられやすい。
例えば、産業遺産に月見草や高山植物が似合う、そういう感覚を見ていただいたほうがい
い。また、コンサートを開くのもいい。N響の方は、産業遺産にはブラームスの曲が似合う
といっている。さらに、写真と俳句でつづる別子銅山のように違うものとコラボレーション
- 3 -
するとそれなりに楽しいものである。
産業遺産はすごい地域の資源であるが、一般の人はなかなか入り込みにくい領域。したが
って、学習遺産や学習資源はそうしたことに慣れていない人は難しい。慣れている人はぐっ
とはいってきて、一旦入り込むと足向けできない魅力がある。
したがって、皆が一斉に入ってくるものではなく、じわーっとロングベストセラーのよう
に続くものである。だれでもかれでもきてもらっても困る。皆さんが理解を進めながらきて
いただくものである。
<育っているグループ活動、市民活動>
産業遺産に関連して動いているボランティアは 300 人ぐらい。ただ、これだけの活動にな
り社会的なニーズからは足りないのが現状。また、仕事をもっている人もいるので、施設間
の連絡協議会を通じてお互いに頼みやすい関係を築いている。また、庁内での横の連携は出
来ており、何か案内が必要な場合は、対応できるようにしている。あの人がいなかったので
つまらなかったというようなことはなく、そうした人材が 20 年の活動の中から育っている。
また、数年前から産業観光のネットワークもあり、産業マップ等も充実している。
<世界遺産登録への動きは後世へ伝えることが目的>
市役所のトップが世界遺産を目指すと言い出し、検討している。しかし、産業遺産が広く
分布しており、世界遺産の登録には課題が多い。比較的狭い地域を指定した石見銀山でも苦
労している。新居浜の場合は、鉄道、港湾等の運輸、トランスポーテーションや職員社宅等
も検討の余地がある。イタリアの職員住宅、社宅が世界遺産になっているケースがある。
世界遺産への取組みは 20 年の活動のなかで、行政として 2 年前から始まったもので、世界
遺産になるのが目的でなく、別子銅山の遺産や町の動き、現在活動しているものを後世に伝
えることが目的としている。(森賀氏は「世界知産都市をめざす」と言っている。
)
<観光入りこみ客は減少したが、登山やトッレッキング、散策は増加>
マイントピアの入りこみ客は、68 万人に減ってきたが、小グループや夫婦、友人、家族の
個人単位では増えている。市町村合併で旧別子地区が入り、登山や四季の花々を楽しむ人や、
旧村の施設活用する人は増えてきた。マイントピアも温泉施設を新たにつくり、集客に力を
いれている。ビジネスホテルとの連携や連絡バスを運行している。
<四国での連携の動き>
十数年前から産業遺産、公開工場などを紹介するなどの連携の動きはある。近年は、産業
観光の動きがある。それから、四国歴史街道の動きがあり、産業遺産をプロットした観光パ
ンフレットを作成している。全体には、色々な取組みをオーバーラップしながらやっている。
<受け地主導型の集客システム構築>
観光客を送客する側が主導する送り込み型ではなくて、受け地主導型の集客システムを地
域でつくる取組みをおこなっている。これは、地域で責任をもって人を受入れて、それも一
- 4 -
括受注をして、この地域で楽しんでもらうもので、ガイドも希望の方には付けることになる。
この 5 月に地域に儲けさせる仕組み、ツーリズムのビジターに対するビジネス会社・旅行
業の会社を興した。これにより、交通機関、宿泊施設、飲食店、観光施設等が連携し、プラ
ットホームな会社による受け地主導型の観光地づくりを目指している。
„ 海・山・浜に点在する産業遺産群の各種コースメニューの整備
„ フィールド・オペレーターの養成拡大
„ 地域全体の観光資源を活かした「受け地主導型」観光地づくりのためのプラットホー
ム会社「株式会社まち協ネットワーク」を設立し、まちづくり運動との連動と全国ネ
ットによる「フィールド・オペレーション・システム」の構築をめざす。
<社宅の活用が課題>
別子銅山時代からの社宅のうち、山の社宅は壊れたが管理職が住んだ市街地の古い社宅は
残っている、生活文化のにおいのする地域である。どのように活用するかわからないが、1
戸建木造で 250 戸ほどまとまり、地割、生垣があり、ヒエラルヒーもはっきりしており、日
本で唯一残っている遺産群である。また、総支配人の広瀬邸宅もあり、これだけ揃っている
のは珍しく、映画のロケ地にもなった。
6.事例研究のまとめ
①産業遺産は“学び”の多様性を持つ地域資源である
別子銅山の産業遺産を切り口に学習を進めると、歴史学、地質学、土木学、経済学、化学、
建築学、林学、社会学、地理学、環境学、治水学、都市学、機械工学、冶金学等と幅広い分野
に及ぶ。また、その学習分野を専門的に深めたいという研究者から、地域を知り、後世に伝え
たいという地元住民、現地を見たい・体験したいという一般客、通りすがりの客等、それぞれ
の目的に応じた学びのレベルがある。したがって、産業遺産は“学び”の多様性を持ち、取組
み如何では地域性を色濃く出すことが可能な地域資源とみることができる。
②産業観光にはロングセラーのような持続性が必要である
産業遺産は、研究者にはいいが一般の市民には機械、建物、コンクリートの橋等の産業遺産
は重たい分野である。つまり、産業遺産はすごい地域の資源であるが、一般の人はなかなか入
り込みにくい領域。やはり、さりげなく生活空間の中で時間、空間を切り取って、色々なこと
をやってたまたまそこに産業遺産があるというように、少し引いた進め方の方が一般には受け
入れられやすい。また産業観光は、来訪者が理解を進めながら楽しみ、人の流れが絶え間なく
続くようなもので、ロングセラーのような持続性が必要である。
③産業遺産を中心した街づくりには「知の博物館都市構想」のような取組みがマッチする
産業遺産は、そのままの状態では保存が難しく、活用があってはじめて保存が可能となる。
新居浜市の場合は、活用の方向性として、オープンミュージアムの考え方を一歩進め、学び、
交流することによって地域の受入側がビジターとのコミュニケーションを通じて共に「知の増
殖」が図れるような「知の博物館都市」づくりという大きな目標をもって取組んでいる。
- 5 -
③産業遺産の所有者(企業)の協力が不可欠である
産業遺産の所有者はほとんどが企業である。新居浜市の場合、住友グループが大半を所有し、
自ら博物館や図書館を建設するなど、いち早く地域と融合した動きをみせている。また、マイ
ントピア等の土地利用にも協力している。企業は一般的に産業活動を終えるとスクラップ&ビ
ルドにより新たな展開を図り、地域と疎遠になりがちであるが、新居浜市のように所有者であ
る企業の協力が産業遺産の活用には不可欠である。
④産業遺産への関心を持った地域リーダーの存在とその組織づくりが重要である
新居浜市の場合は、行政に観光カリスマやそれに続く人材がいる他、市民参画型の展開によ
り熱心に取組む人材が育っている。また、教え・学び会う中でプロのボランティアガイドの養
成も行われている。産業遺産の保存・活用はこのような市民活動が根付いていくことが望まれ
る。
⑤産業遺産を観光資源として活用するには“本物志向”と“来訪者の自由な行動”を創出する仕
組みが必要である
産業遺産が観光資源として活用されるには、興味をそそるような物語があり、それを本物志
向の整備で伝えることが重要である。訪問者がその姿に触れ、それに思いを馳せるときに感動
が伝わると考えられる。また、本物志向の整備は、アイアンブリッジのように多額の投資をし
なくても可能である。
また、来訪者は必ずしも産業遺産に関心を持つとは限らない。自然散策、山登り、温泉、コ
ンサート等の切り口から、自然に地域の成り立ち、産業遺産への関心を持つように導くことが
大切である。一度関心を持ったなら、地域のよき理解者となる可能性が高い。
したがって、新居浜市が取組み始めた「受け地主導型の集客システム構築」のように、受け
入れる地域が主導となって来訪者が自然に受け入れられる仕掛け・企画づくりが必要である。
⑦産業遺産の保存活用には、ソフト面を重視した国内外のネットワークづくりが必要である
産業遺産の保存活用はソフト面(教材提供、情報発信、人材育成)が重要で、そうしたこと
を先進的に取組んでいる地域、人とのネットワークの中で見出していく取組みが望まれる。
- 6 -
産業観光における学び交流の拡大イメージ
学び・交流の拡大
・受け入れ側がビジターとのコミュニケ
ーションを通じて知の増殖が図られる)
・産業遺産のさりげない演出
・他の資源とのコラボレーション
・本物志向
国内外のネットワーク拡充と交
流活発化のための事業推進
学 びの 多様性 を持 つ産
業遺産の多面的活用
受け地主導型の集客システム構築
(宿泊・交通等、様々な地域産業の連携)
・地域リーダーを中心とする地域の推進組織づくり
(市民グループ、産業遺産を所有する企業、産業界、行政)
・地域資源の再編集・磨き上げ
地域の誘客力(現状)
地域の誘客力(将来)
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参考資料
1.地域の概要
新居浜市は、北四国中央部、瀬戸内海に面した古
くからの工業都市である。1691 年に発見された鋼の
露頭からスタートした別子銅山をもとに、明治以降
は機械、化学、建設、電力、林業などの産業を次々
と派生・発展させてきた。戦後においては、瀬戸内
海随一の石油化学コンビナートとして発展したが、
オイルショックを機に従来型素材部門を残しながら
も、ファインケミカル、ニューマテリアル、電子機
器関連などの高付加価値部門への転進を図っている。近年は観光面にも力を入れ、近代化産業
遺産を活用した「知の博物館都市構想」を積極的に推進している。
2.銅鉱山にはじまる産業遺産が集積する“新居浜”
新居浜市の産業遺産は、1691 年に開坑し、1972 年に休山した別子銅山(実質的な閉山、以下
は閉山という)に関わる遺産と、別子銅山から派生した化学、重機械、林業、電力、鉄道、港
湾、などの遺産があり、その数・量とも膨大、種類は多彩、しかむ東西 5km、南北 20km にわた
る分布状況は広大である。また、その中には道路・学校・病院・社宅等の生活していくうえで
必要な社会資本が含まれる。
別子銅山の歴史をみると、1691 年(元祿 4)、新居浜市の南方、標高 1200mの四国山地(旧
別子山村)で銅鉱石の露頭発見により開坑されたことに始まる。その後 283 年間、住友一社で
掘り続けた坑道の総延長は約 700km に達し、総出鉱石量 3000 万トン、産鋼量 65 万トンという
膨大な量の鋼を産出した。特に明治から昭和初期にかけては、産業革命と技術革新が進展し、
火力・水力発電の開発、鉄道敷設、港湾整備、採掘や精錬技術の向上等から産銅高は急増し、
1926 年(大正 15・昭和元年)の出鉱高は 44 万 8 千トン余りで 1912 年(明治 45)の2倍に達
した。しかし、1943 年(昭和 18)をピークに急激に減少し、第二次世界大戦後の 3 年間はピー
ク時の 20%の水準に減少した。
敗戦により住友は財閥解体の対象となったため、1943 年(昭和 22)別子銅山は独自の復興計
画案を策定し、GHQ の承認を得た後、別子銅山復興起業に着手した。その結果、1955 年(昭和
30)には、出粗鉱量が戦前の水準まで回復したが、鉱量の枯渇は顕著となっていた。加えて、
深部での開発は地熱と地圧の上昇による山ハネや山鳴
り現象を伴い、作業環境が極めて危険な状態になった
ことやオイルショックの影響、輸入銅への依存等から
労使合意により、1972 年(昭和 47)に別子銅山は閉山
した。
新居浜市での産業遺産の保存活用は、この別子銅山
の閉山が出発点となっている。
- 8 -
資料)新居浜市
- 9 -
産業観光資源マップ
資料)新居浜市
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3.産業遺産を通じて語り継がれる企業と地域の物語
新居浜市には、住友グループが別子銅山の閉山後の 1975 年に建設した別子銅山記念館や 1990
年に旧住友銀行新居浜支店の建物を活用した住友化学歴史資料館(2000 年、登録有形文化財)
、
住友林業が建設した「住友の森・フォーレスターハウス」がある。また、別子銅山の開鉱 300
年を記念して、1992 年には同グループが別子銅山記念図書館を建設し、それを市へ寄付してい
る。
一方、行政が整備した博物館・資料館としては、新居浜市が採鉱本部跡などでのテーマパー
ク「マイントピア別子端出場」を 1991 年に建設している。また 1994 年には、海抜 700 メート
ルの鉱山集落跡のある東平地区で資料館・自然の家からなる「マイントピア別子東平地区」を
建設し、いずれも学習・交流施設として活用している。さらに、1997 年には別子銅山支配人邸
宅を活かした広瀬歴史記念館を建設している。この他、愛媛県が 1994 年に総合科学博物館を建
設し、自然や科学技術、地域産業に関する資料展示と生涯学習の場として利用されている。
新居浜市にはこのように博物館・資料館が集積し、その展示内容をみると 283 年間の銅山の
歴史と時代背景、さらにはそこに住む人々の様々な営みと苦難の道のりを学ぶことが出来る。
特に近代化の進展に伴う生産規模拡大とそれに伴う亜硫酸ガスの公害の発生と対策、採掘や精
錬技術から派生する重機械工業や化学工業の発達など、住友グループが新居浜市を四国屈指の
工業都市に育て、別子銅山の休山後も地域経済を牽引する産業群を集積させた経緯を知ること
ができる。
また、
『別子銅山と近代化産業遺産』
(平成 12 年発行、近代化産業遺産全国ファーラム実行委員
会)
『別子銅山のあゆみ』
(平成 16 年発行、マイントピアを楽しく育てる会)等、別子銅山に関
する資料も、このような企業と地域の関わりを人物の功績や出来事等を示しつつわかりやすく
まとめられている。
新居浜市では、豊富に存在する産業遺産とそれを紹介する博物館等を中心に、市民・行政・
企業の多様な主体によるオープンミュージアム活動が展開されている。
4.観光振興方策の概要
新居浜市の「新居浜市第 4 次長期総合計画」では、観光振興において「近代化産業ロマンの
息づくまちづくり」をテーマに、300 年にわたる近代産業発展の歴史を活かし、世界に誇れる
近代化産業遺産保存及び活用のモデル都市への取り組みを行うことによって、生きた博物館都
市の形成を図ることを目指している。そして、別子銅山や町中に残る膨大な産業遺産の活用を
もとに、わが国さらには世界における産業遺産の保存・活用を基本とした新たな観光交流と、
知識社会に相応しい都市づくりを目標としている。
①観光的な視点からの留意点・効果
新居浜市は鉱業を基点に発展した都市であることから、「ジオ・ミュージアム都市」(多摩大
学・望月照彦教授が発案)として、遺産を切り口に知識を学び、交流することによって新たな
「知を創造する」都市づくりが提唱されている。地域の受け入れ側がビジターとのコミュニケ
ーションを通じて共に「知の増殖」が図れるような「知の博物館都市」づくりである。
最近では観光施設だけではなく、自然散策を兼ねて江戸・明治期遺産がある旧別子への登山
- 11 -
や、ボランティアガイドと共に産業遺産を訪ね歩く「銅の道・健康ウォーク」も人気となって
いる。新居浜市はこうした遺産を切り口に知識を学び、交流することによって地域の受入側が
ビジターとのコミュニケーションを通じて共に「知の増殖」が図れるような「知の博物館都市」
づくりを目指している。
②市民参画型のまちづくりと豊富な人材の存在
新居浜のまちづくりでは、まず企業・行政中心にハード先行型の事業展開が行われてきた。
そして、こうした施設整備に伴い市民運動が活発化し、ソフト資源の掘り起こしや多様なイベ
ントが実施されてきた。
具体的には、1986 年に新居浜青年会議所が作成したまちづくりプランに産業遺産活用が提言
され、その後 1993 年には市民グループにより「銅を活かしたまちづくり研究会」の活動が開
始され、推進団体「銅夢物語・市民会議」が設立された。そこでは産業遺産の掘り起こしやイ
ベントなどが展開された。さらに、1999 年に結成された「マイントピアを楽しく育てる会」で
はボランティアガイド及び学習講座実施などのイベントに取組み、
「銅製品の生活利用」
「生涯
技術ふれあいタウン 88 ヶ所めぐり」など市民が積極的に活動に参画するソフト事業が進めら
れている。
その後、市行政も次第にソフト重視への政策転換を図ってきた。1996 年に「近代産業遺産活
用調査」を実施し、翌年には「産業遺産のロマンに息づくまちづくり」をテーマに産業遺産活
用の取組みを始めた。また、2000 年に新居浜市で開催された「近代化遺産活用全国フォーラム」
は近代化遺産をテーマとする初の全国フォーラムとして 2,200 人の出席者を集め、その後の「全
国産業観光フォーラム」の基礎を築いている。この際、市民団体が運営主体として参加してお
り、山岳コースをはじめ地域視察はすべてボランティアが引き受けたということである。
こうした市民活動の中心的存在が市職員でもある森賀盾雄氏である。市民・行政双方に対し
て積極的に関与し、継続的な取組みで全国に注目される町にした仕掛け人として観光カリスマ
に選定されている。他にも主婦や会社員など強力な人材が市民グループとして活躍している。
- 12 -
2.“「遊学アイランド九州」形成におけるNPOの役割を考える”座談会の概要
1.日
時
平成17年11月10日(木)
2.場
所
旧三井港倶楽部
11:00
~
14:00
(福岡県大牟田市西港町)
3.出席者
○NPO関係者(産業遺産の保存・活用に関連する活動を行っている4団体)
市原猛志
NPO法人 北九州COSMOSクラブ(北九州市)
坂本道徳
NPO法人 軍艦島を世界遺産にする会(長崎市) 理事長
中野浩志
NPO法人 大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ(大牟田市)理事長
永吉
守
東川隆太郎
事務員
〃
元理事長
NPO法人 まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会(鹿児島市)専務理事
○事務局
原田泰宏
財団法人九州地域産業活性化センター
開発部長
上加世田俊
株式会社鹿児島地域経済研究所
経営開発部長
濵田
豪
〃
経営開発部研究員
4.内容
(1)開催趣旨
遊学アイランド九州形成に向けた具体的な方策の検討において、「日本近代化を築いた九
州」をケーススタディとして、これに関連するNPO団体の活動の現状、役割と課題、広域
連携による共同事業の可能性などを把握する目的で実施した。
(2)主な討論事項
○産業遺産を楽しく学ぶ観光資源とする工夫・アイデアについて
○プロモーションの重要性について
○まち歩きマップの活用について
○NPO団体の連携・ネットワーク活動について
○広域連携のテーマ・ストーリーについて
○広域連携・ネットワークで行えること
○NPOネットワーク発足について
座談会の様子
座談会を開催した旧三井港倶楽部
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(3)NPO団体の概要
座談会に出席したNPOの概要、活動の現状等について以下にまとめた。
①NPO法人
北九州COSMOSクラブ
・建築CADソフトの勉強会として発足した。勉強会の対象として、地域に貢献できるものを対象と
することを目的として、未だ図面化されていない北九州市若松区の南海岸通りにある近代建築の
図面実測を行い、そのCAD化を実施するという主旨で始まった団体である。
・麻生鉱業ビルや石炭会館、小倉北区の櫓山荘、JR九州小倉工場、門司にある料亭の三宜楼、また
錦町公民館や大分銀行門司支店などといった近代建築の図面化ほぼ完了した。その他にも、旧小
倉警察署の図面化などを行っている。
・現在、会員相互の能力向上に向けて、建築CADを中心としたソフトウエアの研修を行っている。
そのなかで、近代建築の調査を行い、図面化し勉強するという活動から派生し、若松南海岸や門
司港レトロ地区以外の門司の魅力を探るために、街づくりに関する研究調査、提案を行っている。
また、応急補修が必要な場所に関しては設計施工管理まで活動が及んでいる。
・他の都市との連携も図る方針がある。現在では筑豊の飯塚、田川、直方との交流活動を行おうとし
ており、平成17年度末から平成18年度までの事業目標としている。
設立の目的
(市原猛志氏の発言より)
市民のまちづくり活動の一環として歴史的・伝統的な建造物や文化遺産を次世代へ継承するため保
存・再生及び活用に関する調査・研究とそれに携わる建築技術者の育成活動、建築関連団体や福祉関
連団体が行う地域貢献活動への積極的な支援活動を実施することによりまちづくりの推進と地域文化
の向上および福祉の充実に寄与することを目的とする。
活動の分野
まちづくりの推進/学術、文化、芸術、スポーツの振興/情報化社会の発展/職業能力の開発
主な活動内容
○歴史的建造物(近代建築)の調査、活用の提案
建物の歴史的経緯を踏まえ、実測調査を行う。
調査で得られたデータを元に図面を作成、記録保存を行うことで地域に遺る貴重な資産を将来に伝
えていく。
図面から将来への活用方法を探り、提案する。
○まちづくりに関する研究・調査・提案(設計・施工・管理)
歴史・実測調査の成果を踏まえた上で、まちづくりに必要な知識を蓄え、生かしていく。
観光やまちづくりに生かせるようなデータを収集、成果物を公表して地域に資する。
○IT支援事業(建築CADを中心としたソフトウェア研修)
Jw-cad や excel を用いた研修事業。各会員の能力を高め、実際の仕事に生かしていく。
CAD講座を開講し、建築文化のさらなる向上に寄与する。
今後の展望
若松のまちづくり事業から石炭産業を通じた飯塚・田川・直方との交流、広域連携を模索している。
また近代化遺産のまちづくりへの活用、認知を目的として出版企画を進行中。
収入内訳
会費収入
35
%
(年会費 12000 円)
事業収入
50
%
(受託調査等:今年度は旧大分銀行門司支店)
基金・寄付等
15
%
代表者氏名
西村
事務所所在地
北九州市小倉北区京町一丁目6-24
博道
設立日
平成14年6月
会員数
45名(平成 17 年 10 月現在)
会員構成
一級・二級建築士、歴史計画・設計・施工の専門家
ホームページ
http://www.cosmos-club.jp/
- 14 -
②NPO法人
軍艦島を世界遺産にする会
・「自分の故郷を守ろう」という思いだけで始めたのが当団体である。「軍艦島(端島)」が高島町
に譲渡された際、この島の保存に関して不安感にかられた。そこで、「軍艦島を世界遺産に」と
ネット上で呼びかけた。団体名にある「世界遺産」という言葉は私が出したのではなく、産業遺
産研究家である加藤康子さんに「世界遺産の価値がある」というお話を聞き、ネーミングにも使
用している。
・最初は私、たった一人の故郷への思いが、今NPOとして発展してきた。「軍艦島を世界遺産にし
たい」「軍艦島を守りたい」という気持ちだけで今まで走ってきた。私が、6年前に動かなけれ
ば、軍艦島は無くなっていたかもしれない。しかし、「世界遺産」は単なる手段であり、本来の
目的は「伝えていくこと」であると考えている。
設立の目的
(理事長
坂本道徳氏の発言より)
端島およびその周辺地域における石炭産業の歴史的建造物の維持保存に向けた取り組みをすること
で、戦後における日本の復興を牽引した産業としての石炭の役割を後世に残し、その文化的資産に対
する啓蒙活動をするとともに、世界遺産への登録活動を通じて国際交流の振興に寄与することを目的
とする。
活動の分野
主な活動内容
①
産業遺産の保全、歴史に関する広報、講演、出版及び啓蒙活動
②
産業遺産の有形無形の歴史的遺産についての調査、研究事業
③
関連施設を有効利用した観光やイベントによる地域経済活動の活性化を図る事業
④
産業遺産の周辺地域における歴史的遺産の保存啓蒙のための施設の創設と運営事業
⑤
端島およびその周辺地域における建物の風化、崩壊を防止する保存事業
⑥
世界各国と連携した端島を含む産業遺産の世界文化遺産への登録活動
2001年04月
OFF 会などにて現地の様子を調査
2001年10月
三菱マテリアルより高島へ譲渡を機に「軍艦島を世界遺産に」と WEB 上で提案
2002年10月
具体的な「世界遺産の会」準備会発足
2002年12月
事務局にて端島写真展開催(約 130 名)
2003年03月
「軍艦島を世界遺産にする会」設立総会開催(約 100 名出席)メンバー:長崎大
2003年03月
写真集「軍艦島」失われた時を求めて。自費出版
野母崎町にて端島写真展開催
学教授、九州大学教授、ビューホテル常務、その他軍艦島関係者
2003年05月
端島会30周年の集いに参加(約200名の参加)
2003年07月
ピースミュージーアムにて軍艦島(端島)写真展開催
2003年08月
特定非営利活動法人軍艦島を世界遺産にする会 NPO 認証
2003年08月
「軍艦島フォーラム2003夏」開催(150名の参加)
2003年09月
北海道赤平「国際鉱山会議」のオプショナルツアーとして長崎への受け入れ
ドイツのユネスコ代表委員のビジッタ・リングベック氏が軍艦島をメインに長崎
の産業遺産をグループ化しての世界遺産への登録を目指すことを提案
今後の展望
2003年11月
「軍艦島急接近ツアー」開催 参加 150 名
2004年06月
軍艦島ガイド養成講座に協力
2004年10月
「軍艦島」シンポジウム
2005年04月
「軍艦島の遺産」発刊
2005年08月
九州の伝承遺産シンポジウム主催
高島にて開催
長崎大学後藤恵之輔教授との共著にて新書刊行
①軍艦島のみならず九州各地の産業遺産および伝承遺産の保存活用を目的とする方々との連携により
一部地域だけにとどまらない活動を目指す。
②NPO としてのミッションとともに社会自立を目指す。(社会起業家)
収入内訳
会費収入
10
%(年会費
事業収入
90
%(内訳:物品販売
6000円)
60%
イベント
40%)
代表者氏名
坂本
道德(理事長)
事務所所在地
長崎県西彼杵郡長与町嬉里郷 456 番地 11 下田ビル2階
設立日
平成15年8月
会員数
正会員、賛助会員、サポーター含め120名(平成 17 年 10 月現在)
会員構成
NPO 関係者、長崎大学教授、シーボルト大学教授、九州大学名誉教授建築家、軍艦島研究家、早稲田大
学院生、長崎大学院生、九州大学院生、端島(軍艦島)元島民、ホテル関係、地域活性化委員
ホームページ
http://www.gunkanjima-wh.com/
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③NPO法人
大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ
・大牟田・荒尾地域は過去に三池炭鉱で栄えたが、平成9年に三池鉱山が閉山し、以来、「炭鉱のま
ち」として特徴的な町並みが無くなっているという危機感がある。同時に、炭鉱時代の貴重な産
業遺産が壊されていっている現状がある。
・こうした背景から、産業遺産を活用した街づくりをすることを目的として活動している。とかく
「炭鉱」は暗いイメージが先行しがちである。しかし、歴史的な事実そのものや、炭鉱で生きた
人の誇りも正確に伝えていくべきであると考えている。
・昨年の12月に閉鎖された旧三井港倶楽部の保存にも積極的に関与し、当初所有していた三井鉱山か
らの買取りに係る署名3万人のうち、一割は当団体が集めたものである。その結果、この価値あ
る施設が11月初めに再開され、今こうして会議に活用されていることは大変うれしく感じている。
(理事長
設立の目的
中野浩志氏の発言より)
大牟田市、荒尾市を中心に福岡県、熊本県内外において、日本の近代化を支えた炭鉱のまちについ
て、炭鉱のまちの様々な地域資源を活かしたまちづくり活動を展開する事業を行い、地域の活性化へ
寄与することで、炭鉱のまちの風景と心象が次世代に継承されていくことを目的とする。
活動の分野
社会教育の推進/まちづくりの推進/文化芸術の振興/子供の健全育成/観光の振興/学術研究の推
進
主な活動内容
○Tanto Tanto ウォーク、ガイドツアー
炭鉱のまち(=炭都)を案内し、その魅力と産業遺産の価値を伝えるウォーキングイベントやガイド
ツアー
○ボランティアガイド養成講座
ガイドツアーやウォークを案内するガイドの養成
○子どもたちへの体験ツアー
石炭を知らない世代にも、石炭層や化石地層を見せ、石炭を燃やし、大牟田・荒尾に炭鉱があった
という歴史を伝えるツアー
○産業遺産・近代化遺産のトラスト運動、保存活用
シンポジウム開催、署名運動、草刈、慰霊イベントなど
○各種グッズ販売
オリジナル弁当「炭都物語」、オリジナルカルタ「石炭今昔三池かるた」(現在絶版)、オリジナル
ポストカードなどの販売
○各種講演会・勉強会・他地域・他業種 NPO との交流・連携
当該地域の地道な PR 活動はもとより、他地域の取り組みとの連携や他業種との連携により、さらな
る活動の活発化をはかる
○万田坑ファン倶楽部および大牟田市石炭産業科学館、万田炭鉱館との連携
○学術活動
今後の展望
産業遺産のさらなる保存活用、ガイドツアーの活性化、他地域との交流の活発化、地域および全国へ
の更なる PR 活動、
収入内訳
会費収入
10%
(年会費
事業収入
86%
(受託調査等)
代表者氏名
中野
事務所所在地
大牟田市不知火町2-8-4
設立日
平成15年3月
会員数
119 名(平成 17 年 10 月現在)
会員構成
正会員 30 人
ホームページ
http://www.omuta-arao.net/
正会員 6000 円、賛助会員 3000 円)
浩志(理事長)
賛助会員 65 人
2階
サポーター会員 24 人
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④NPO法人
まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会
・当団体は、街のなかにある面白い物を探検することを目的に、地理や歴史をキーワードとして、地
域資産を探検するのが活動の中心である。「鹿児島の近代化遺産を知る」と題して、「座学」と
「まち歩き」の両方を組み合わせた講座、ツアーを積極的に実施している。また、産業遺産を様々
な角度から眺めてみようと、尚古集成館や宿泊施設、鹿児島大学等と連携しながら進めているとこ
ろである。
・鹿児島県全体が博物館であるという考え方として「鹿児島まるごと博物館」構想を活動の基本とし
ている。エコミュージアムの考え方を取り入れ、地域全体を博物館、言わばまるごと博物館とし
て活用することで、鹿児島をさらに面白くすることを目標にして活動している。
(専務理事
設立の目的
東川隆太郎氏の発言より)
鹿児島県民をはじめ,鹿児島に関心を抱く人々に対して,歴史学・地理学およびその関連諸科学的な
立場から,今後の鹿児島の発展に貢献すると思われる事業を行い,不特定かつ多数のものの利益に寄
与することを目的とする。
活動の分野
社会教育の推進を図る活動/まちづくりの推進を図る活動/環境の保全を図る活動/子どもの健全育
成を図る活動/
主な活動内容
鹿児島を面白くするために、また他県の人々にも鹿児島を知ってもらうために、下の三つの活動を柱
に事業を展開している。
○知ること・調べること~地域の資産(自然・歴史・人など)の発見・再認識~
<事業>商業地可能性調査/商店街空き店舗現況調査/地域インフラ施設に関する意識調査/文化財悉皆
調査○考えること・まとめること
~地域資源活用に向けての提言~
<事業>歴史的保存地域活用のコンサルティング/
公共施設のソフト事業企画運営/特定地域の観光マップ、文化財読本の作成/
地域資産マップの作成○つなぐこと・広げること
~地域資産または地域の魅力の情報発信、地域間
の資産・経済力・人を連携させる事業運営~
<事業>月2~3回の定期的イベント開催(宿泊ツアーも含む)/
作製マップを活用したモニターツアーの開催/
道を活用した暮らしのネットワーク事業(まちの駅の展開)
今後の展望
○鹿児島まるごと博物館構想
これまで見過ごされてきたもの(地域資産)の価値や魅力を再発見し、なるべく現地で本物を見てもら
う仕組みの確立。また、それらを地域の観光・教育・産業といった分野において活用していくことも
重要課題としている。
(現在特に注目しているのは「産業遺産」「温泉遺産」「僕道」「食景」など)
収入内訳
会費収入
5%
(年会費
3,000 円)
事業収入
11%
(自主事業)
40%
(助成事業)
44%
(委託事業)
代表者氏名
深見
事務所所在地
鹿児島市易居町 1 番2号-6階18号室
聡(理事長)
(市役所みなと大通り別館内「ソーホーかごしま」)
設立日
平成13年12月
会員数
153名(平成 17 年 10 月現在)
会員構成
男性 64 名
女性 89 名
ホームページ
http://tankennokai.cool.ne.jp/
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(4)討論内容
----------------------------------------------
NPO法人北九州COSMOSクラブ
<産業遺産を楽しく学ぶ観光資源とする工
夫・アイデアについて>
市原猛志氏
事務局
・「遊学アイランド九州」において“本物”で学べ
る「産業遺産」は貴重な観光資源となる。しかし、
観光客が産業遺産で学ぶとなると非常に敷居が高
く重たいものとなるように感じる。こうした「学
び」と「産業遺産」に関して、皆様の実際の活動
・興味、関心を持ってもらうための方策として、
のなかで感じていることなどお話いただきたい。
「物語性」は重要かつ効果的な要素である。今ま
----------------------------------------------
でNPOで古い建物の保存に関して活動してきた
が、一番考えなくてはならないことは、その「建
NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探
物」独自の「物語」が、一つ一つの「建物」にあ
検の会
るということである。単に汚い家が残っているだ
東川隆太郎氏
けではなく、その建物の「物語」を話すと、そん
な価値のある建物かという感動に変わる。その建
物がどういう「物語」を持っているか、この建物
はどういったもので、「産業遺産」としてどうい
った価値があるか、などを模索していくことが一
番大事だと思う。
・地元で生活している人にとっては、産業遺産は普
段通る景色の一部として存在している。「産業遺
・「学び」を考えた場合、一般の人に、どのように
して興味、関心を持ってもらうかが重要なポイン
産」が身近にあるが故に認識されないということ
も多いのではないか。
トとなる。そうした意味では、「産業遺産」は難
しいテーマであり、産業遺産だけでツアーをする
NPO法人
といってもなかなか敷居が高いと感じている。そ
中野浩志氏
大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ
こで、「ランチ」をつけることで、敷居を下げる
といった工夫をしている。例えば、尚古集成館を
見学するツアーに見学以外にも、「ランチ」をセ
ットしたら、思った以上に反響が大きく応募者が
殺到した。参加者には主婦層が多かった。
・このように、一般の人が抵抗無く、すんなりと入
り込め、さらに興味を持ってもらうためには、産
・活動しているなかで、そもそも「学び」というも
業資産だけでなく、別のキーワードが必要ではな
のにニーズがあるのか疑問であった。子供を対象
いか。ランチのような楽しめ切り口を持ってくる
にイベントをやっているが、なかなか集まらない。
ことで、最後に「知らなかった」や「こんなに面
内容が固いのではないか、もう少し楽しみを持た
白いのですね」といったご意見を頂けるようにな
せることはできないか、というのが悩みである。
る。
先程、東川さんの話で、「ランチ」とセットにし
・産業遺産に関心のある人が興味を持つのは当然で
あるので、関心の無い人に興味を持ってもらうた
めに、「食」などを付加することで、「学び」の
部分に柔らかさが出てくる。
て人が集まったといったケースは大変参考になっ
た。
・私達は産業遺産を調べていて楽しいが、これをど
うやって、相手に楽しく伝えるかという部分がか
なり欠けていると感じる。ウォーキングなどを通
- 18 -
して、感動される方も多い。面白く伝えることが
NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ
できれば、より関心を持つ人が増えるかもしれな
永吉守氏
い。
NPO法人
軍艦島を世界遺産にする会
坂本道徳氏
・伝達手段として、本物を見せることが最も必要で
あると感じている。先月のイベントでは、子供た
ちに石炭産業科学館に来てもらい、産業遺産を案
内した後に、実際に石炭を燃やした。確かに子供
・我々にとって産業遺産をテーマに活動しているこ
たちは現物をほとんど見たことがない。次回のイ
とは楽しく、面白く、興味深い。また、価値があ
ベントでは、コークスを作ろうと考えている。
ると感じて活動している。しかし、例えば「石
「この黒い石は燃えるんだ」という現実に感動が
炭」の歴史を子供たちに教えようとすると、なか
ある。また、石炭が地層の中に埋まっていること
なか寄ってこない。産業遺産に価値や興味を見出
も子供たちは知らない。こうした新たな発見を見
してもらい、また「産業遺産」としての価値を伝
出していきたい。
えるためには、努力や工夫が必要である。
・実際に産業遺産を見ても、鉄とコンクリートで出
・東川さんからあった食事とのセットだが、産業遺
来ている、という認識しか与えられない。石炭と
産を見たいという訳でなく、食事をしたいという
いった現物を見て、掘られていた現場としての産
理由で集まっていると思う。例えば、長崎市の高
業遺産の認識に結びつき、結果、伝えることがで
島でキャンプを実施し、キャンプファイヤーで石
きるように思う。
炭を燃やすイベントを行った。来訪者のほとんど
・伝えるとともに、自ら発見してもらうことも重要
はキャンプをするために来ている訳だが、「こん
である。子供たちと一緒にウォーキングを行い、
な黒い石が燃えるの」という疑問が沸いてくる。
発見したものを白地図に落とし込んでいくイベン
そこで初めて、実際に石炭を燃やして見せ、理解
トを行った。子供達たちが作った模造紙4枚のマ
を深めてもらうのである。最初から「石炭」とい
ップを見てみると、我々が現地視察で作成したマ
う切り口でイベントをやる「石炭なんか分からな
ップと大差が無く、子供たちの発見力に驚いた。
い」という話になってくる。
・余談だが、このキャンプファイヤーの後、子供た
----------------------------------------------
ちに「炭鉱ってわかる?」と聞くと、「高校と短
<プロモーションの重要性>
大の間でしょ」といった答えが返ってきた。こう
事務局
いう答えを聞くと、いかに石炭鉱業が忘れられて
・九州内の産業遺産において、特に「軍艦島」は最
きているかがわかる。この現状を知らなくてはな
近マスコミに取り上げられ、クルーズは参加者が
らない。
増加するなど脚光を浴びている。この仕掛け人で
ある坂本さんに、重要な伝達手段であるプロモー
ションの重要性についてお聞きしたい。
---------------------------------------------坂本道徳氏
・伝達手段については、例えばマスコミといった、
外部の力を利用することも、一つの方法である。
「軍艦島」に関して言えば、長崎よりも、他県か
らの注目度は大きいと感じている。
・2005 年 8 月 23 日、軍艦島を保有している長崎市
- 19 -
が初めてメディアだけを軍艦島に上陸させた。そ
活用に向けては、「本物」が現地に保存されてい
の上陸後、長崎の民放では全てその日にニュース
ることが条件である。保存されるためには、地域
を流し、1週間後、我々のNPOにも取材が来て
の方に「自分たちの町にこんないいものがある」
いる。しかし長崎では、注目度は高まっていない
「自分たちの地域は面白い」と気づいてもらうこ
ため、我々のホームページアクセスは 3 件程度で
とが最初の段階であると思う。
しかなかった。
・これまでマップを作成した4地域において、地域
・ところが、TBS「ニュース23」で報道される
の人に「ここ何かありますか」と聞くと、「うち
と、ホームページに一日半で 1500 件を超えるア
には何も無い」と答えることが多い。今後、地域
クセスがあった。様々なブログなどを見ていても
の人が「こんなにある」言えるようにしたい。そ
「軍艦島」の話が増加している。ある検索サイト
のきっかけづくりとして、地域の方に域外から来
では、放送後、深夜 1 時半~2 時半までの単位時
た人にマップを渡してもらうことも重要である。
間内における検索キーワードの件数において、上
・このマップは市役所や観光案内所に置いている。
位を占めたと聞いている。それだけこの2日間は
それだけでは情報発信できないので、地元の郷土
全国から注目されたのである。「軍艦島」のネー
史会等のツアーや我々のまち歩きツアーでも活用
ムバリューによるものも大きい。
している。また、老人会や敬老会には、行政に協
・こうした事実からも、地域から全国へ情報発信に
力してももらい配っている。
おいて、メディアとの協力体制は重要である。
・子供たちとマップを作成するワークショップもあ
我々は、常にアンテナ張っているつもりである。
り、白地図を持って一緒に歩いてもらい、発見し
皆のアンテナをつなげながら、メディアを動かし
たものを書き込んでもらっている。観光の発信は、
て欲しい。「ニュース23」で、次にこのような
観光ボランティアだけでなく、子供たちでもでき
NPO活動を取り上げてもらえるよう話をしたと
る範囲があると思う。道案内もちょっとした工夫
ころである。
で、地元の人が知ったことを一言、話してもらう
・最近脚光を浴びている「軍艦島クルーズ」を大き
な船で行っている業者もいるが、高島活性協議会
だけで全然も違うのではないか。そういう輪を少
しずつ広げていきたいと思う。
のように、15 人しか乗れない船で、ミニツアーを
・ワークショップで作成したマップは、作ってくれ
行っている団体もある。旅行会社を通していない
た子供たちや参加した人に渡し、自分から話して
ためパックではできないが、その都度お金を払っ
もらう。自分の言葉で、見つけた者の感動を伝え
てもらっている。ホームページで情報発信を行い、
てもらう。我々もある程度勉強しているが、鹿児
年間 3,000 人程度来ている。大きな船より安上が
島には優秀な研究者が多くいる。その方の知識を
りで済んでいる。
生かすのも自分たちの役割であると思う。
----------------------------------------------
坂本道徳氏
<まち歩きマップの活用方法について>
・長崎では来年、“さるく博”があるが考え方が似
事務局
ている部分があり、面白い取組みではないかと思
・東川さんは遊び心のある「まち歩きマップ」を作
う。
成しているが、その活用状況をお話いただきたい。
---------------------------------------------東川隆太郎氏
・地方自治体などの観光マップなどを、地球環境事
業等助成金等で受託し作成している。今3種類の
マップの依頼がある。温泉マップ2種、食のマッ
プ1種である。情報を見つけるのは普段からやっ
ているので楽しく新しいノウハウが得られる。
・これらのマップは、「地域の方に知ってもらいた
い」という想いで作成したものである。産業遺産
- 20 -
かごしま探検の会が作成しているマップ
永吉守氏
が、九州内で連携していくことで、解決の手段、
・我々のマップは知識のある専門家やマニアに見せ
手法まで共有化できる。
るには十分であるが、そのように楽しめる、やわ
らかいマップが無い。作りたいのだが難しく感じ
市原猛志氏
てしまう。
・ネットワーク化について、全く賛成としか言いよ
うがない。その際には、何か一つ、連携する際に
坂本道徳氏
具体的なミッションを設定する必要がある。
・お互いにNPO団体であるので、マップ作成のポ
・スチュアート・スミス先生が言っている「九州を
イントを情報交換していけばいいのではないか。
一塊にして世界遺産にする」というような目標で
お互いに助け合いながら、結果としてNPOの連
もよい。もしくは「個々のNPOの発展」でもよ
携になるように思う。
い。具体的に話し合う際に、まず目標を定めて、
最終的に九州全体を盛り上げる方向に持っていく
----------------------------------------------
のが望ましい。ミッションを重視にすれば、ネッ
<NPO団体の連携・ネットワーク活動につい
て>
トワークは成功するのではないか。
事務局
中野浩志氏
・NPOの連携の話が出たが、我々が提案する
・一番分かりやすい目標は、スミス先生の「九州を
「遊学アイランド九州」の考え方でも、九州全
一塊にして世界遺産にする」ではないか。世界資
域におけるNPOなど市民グループのネットワ
産はそれ自身が目標ではないが、遺産を目指すと
ーク化が必要と考えている。
いうことを目標として、地元の人に、地元の産業
・このネットワーク化を進める上で、必要なこと
遺産を理解してもらうなどの活動が必要となって
やその手法について、それぞれ考えるところを
くるように思う。
お話願いたい。
----------------------------------------------
坂本道徳氏
・例えば、軍艦島だけ、大牟田だけということでは
坂本道徳氏
なく、人と人の連携をやっていくのが目的である。
・NPOは行政や企業との関わりが大きいが、生
そのなかで、「九州を一つとして世界遺産にす
き残るための経済支援は無い。そういう意味で、
る」というミッションを持ってもいいと思う。確
NPOの連合を作り、経済支援をできるような
かに、世界遺産が目的ではなく、そうなって欲し
大きなもの、行政に頼らなくて良いものを作る
いという願いが高まった結果、世界遺産が生まれ
必要がある。
るのではないか。
・ここに集まった皆はミッションが異なっても、
方向性は同じであろうと思う。「何かを残そ
東川隆太郎氏
う」「何かをやろう」という目的でやっている。
・最終的な目標は世界遺産ということにして、当面
九州内の商工会議所も同様に、商売に携わる
の目標を「九州まるごと博物館」でもよいのでは
人々が集まって組織されている。
ないか。世界遺産への段階として緩やかに始める
・先に進むために、まず、我々4つのNPOが手
ことができる。
をつなぐということを早めにやってはどうだろ
・例えば、「九州まるごと博物館」という構想で進
うか。そうすることで、いろいろな知恵を貸し
めると、間口が広がり他の団体が加盟できるよう
て欲しい。お互いの知恵を出し合える団体をま
になる。世界遺産まではなれないが、エコミュー
ず作り、そこから広げていくことによって、九
ジアム的に「まるごと博物館」を行っている地域
州の大きな連携につながり、大分、宮崎、佐賀
は構九州内にもある。こうした地域や団体とのネ
も加えていきたいと考えている。
ットワークも重要であり、産業遺産だけでつなが
・お互いのNPOの悩みを解決できるのは、やは
っているとその情報しか得られないのではないか。
り苦労をわかっているNPOだと思う。その解
・最終目標として世界遺産があれば、大きな核とな
決策を今まで自分達のNPOだけで考えてきた
れる。その前段階として、「まるごと博物館」の
- 21 -
コンセプトに関連した団体を集めることができれ
の産業革命が西洋に並ぶという、「九州は一つの
ば、自分達も情報交換ができる。皆が同じことを
実験場所」であったことをキーワードにすれば、
していると、それだけしか情報が得られないよう
うまく広域連携できるように思う。
に思う。
坂本道徳氏
坂本道徳氏
・長崎と鹿児島に関して言うと、長崎は商売で開け
・以前から、私は「伝承遺産」という言葉を考えて
た町であり、鹿児島は技術の町である。九州は歴
いた。なぜ、伝承遺産かというと、産業遺産だけ
史的に新しいものが入ってきているが、地域によ
でなく、九州は様々な分野で一体となって歴史や
って違う。長崎は商売が上手な人が多く入ってき
文化を伝承してきている過去があり、窓口が広が
たから、商業で発展をしてきた。鹿児島は技術的
るのではないか、と考えた。そのなかに、区切り
な移入が大きいために、強い薩摩となった。その
といった意味「チャプター(章)」を作る。例え
なかにお互いの交流があったのである。
ば、長崎チャプター、鹿児島チャプター、大牟田
チャプターとして、各地域で進められないか。そ
・こうした商人の歴史、技術の歴史など、切り口を
分かりやすい言葉で表現するといいのではないか。
れの一つの実験として8月に「九州伝承遺産シン
ポジウム」というイベントを行っている。
永吉守氏
・ここに集まった方々は産業遺産の活用という部分
・「日本の近代化は九州から始まった」というスト
でつながっている訳だが、この部分だけで立ち上
ーリーが最も分かりやすく、連携できるものでは
げると、産業に関わらない他の「伝承遺産」が入
ないだろうか。「九州が発祥」と呼ばれるものは
ってこない。
他にもある。
・今回のテーマである「遊学アイランド九州」とい
うコンセプトに、産業遺産や伝承遺産などをチャ
市原猛志氏
プターとして柱を何本か作っていくのも一つの方
・九州には地域が関連できるような隠れた銘菓があ
法かと思う。
る。筑豊や北九州などは、炭鉱に関連した「成金
饅頭」「ひよこ」がある。
永吉守氏
・長崎から砂糖を運んだとされる長崎街道は、シュ
・そういう意味では、「遊学アイランド九州」、あ
るいは「九州まるごと博物館」のどちらかをキャ
ッチフレーズにするのもいいのではないか。
----------------------------------------------
<広域連携のテーマ・ストーリーについて>
事務局
・この九州ネットワークを生かすためには、やは
り、“テーマ”やそれに基づく“ストーリー”
で結び必要があろうかと思う。九州らしいテー
マやストーリーについてお話いただきたい。
---------------------------------------------市原猛志氏
・キーワードになるのは、九州は「日本の産業革命
を支えた」という点である。一緒に仕事をしてい
る、九州国際大学の清水先生曰く、もし九州の産
業遺産で結ぶのであれば、尚古集成館で始まり、
近代に輸入された技術が、大牟田や長崎で徐々に
実験をくり返され、最終的には八幡製鉄所で日本
- 22 -
ガーロードと呼ばれている。これもストーリーの
一つであろう。
----------------------------------------------
牟田に関連するテーマで結ばれる地域にも興味を
<ネットワークの中で行えること>
持つ。そうすると、大牟田についてもより関心が
事務局
深まる。こういう仕組みを互いに持ち合い、つな
・NPOの九州ネットワークを図る上で、そのネッ
がりができることはすばらしいことである。
トワークで可能な部分、また行政、企業を含めた
・そのために、情報の共有化が必要と思う。活動を
連携における課題などについて、一言お願いした
していて、情報発信の範囲がかなり狭いと感じて
い。
いる。
---------------------------------------------永吉守氏
市原猛志氏
・情報を共有化し、九州内以外にも、九州外に売り
・広域連携においては情報共有化が最も必要である。
込む必要がある。情報の共有化が図られれば、ホ
他人の団体の内容が分かれば、自分のNPOとの
ームページでもお互いのページをリンクが可能と
違いが分かる。他を知り、自分たちをより詳しく
なる。
知るための情報共有が求められている。
・「遊学アイランド九州」というテーマで全体をま
・駅にある観光案内所をNPOに委託してもらい、
NPOが窓口となって地域を案内する。また、駅
から離れる際に九州の他の地域を案内し、その地
とめたパンフレットを作ってもいい。具体的にで
きるところから進めていきたい。
・行政や企業との連携については、それぞれの活動
域のNPOを紹介する形があれば理想ではないか、
地域も違うし、団体の性格も違うため、それぞれ
と思う。
の実状に沿った形で進めることが必要である。行
政は歩みが遅いというところがあるので、自分達
永吉守氏
で先に動くことが、前進につながるように思う。
・ホームページ上で情報を共有し、連携を図ること
は可能に思われる。
・理解がある企業もあるが、大牟田地域だと、まだ
まだ理解してくれない企業があるのが現状である。
労働者を二分した三池争議などを経験している市
東川隆太郎氏
民も同様である。しかし、今まで蓋をしてきて抑
・確かに我々もツアーを行った後、県を越えて案内
えてきた歴史をもう一回掘り起こす時期に来てい
することはあまり無いのが現状である。こうした
る。確かに様々な感情が出てくるとは思うが、そ
動きが出てくれば、JRや空港など交通機関も、
うした感情も含めて伝えていくことが必要と思っ
本数や便を増やすなど、利便性を良くしようとい
ている。新しい時代に一歩踏み出した、あるいは
う動きにもつながるようにも思う。波及効果が出
踏み出そうとしている現在を考える上で、「近代、
てくると思われる。
明治以降の歴史は何だったのか」を改めて問うこ
・例えば、今、鹿児島と長崎を結ぶ船の便が止まっ
とは必要であるように思う。
ているが、もし交流人口が増えれば、もう一度船
を出すということにもなるのではないか。
東川隆太郎氏
・この懇談会に出席して、各地域で面白いことをや
坂本道徳氏
られていることを知り、面白いお話も聞くことが
・その船便は長崎から串木野まで 90 分と近かった
できた。こうした会議は大変刺激になる。他地域
が、利用者が少ないという理由で廃止になった。
の情報を知ることで、そのアイデアが自分の地域
交流人口の増加も我々は目的として持っている。
で応用できないか、を考えるヒントになる。やは
それによって経済的に成り立てば、行政、企業も
り、つながりは必要であると痛感した次第である。
動く。軍艦島クルーズも企業が行っているが、採
算が合うから積極的に実施しているのである。
・「遊学」のコンセプトにもあるように、三井グリ
ーンランドなど観光施設は、「遊び」の要素が強
いが、それに「学び」の要素が強い我々の活動と
中野浩志氏
も結びつけていく仕組みが必要であろう。集客力
・「次のNPOを案内する」という仕組みづくりに
のある観光地とも結びつけていかないといけない。
は賛成である。例えば、大牟田に興味を持ち、大
例えば、我々がツアー等で観光客を連れてきた際、
- 23 -
必然と宿泊施設との協力体制が必要となる。つな
いい」と思っている。しかし、もう一歩進んで、
がりによって、経済的な効果も出てくる。
「やるぞ」という行動まで移さなければならない。
・例えば、我々のイベントの際には、指宿の「白水
館」など大きな旅館と協力している。今まで、ホ
----------------------------------------------
テル側もNPOと協力したことが無く、NPOと
<NPOネットワーク設立について>
連携して何かをするなど考えてなかった。しかし、
事務局
現在では、地域住民に知ってもらうためにも連携
・最後に、これまで皆様から提案のあったNPOネ
の重要さを思い始めている。こうした意味でも今
ットワーク発足の話を坂本さんからしていただき
後、「遊学」という考え方が九州で大きくなって
たい。
いき、自分たちNPOにも、資金的な面など様々
----------------------------------------------
な協力をもらえる面も出てくると思う。
・この会議の大きなテーマである「九州のNPOネ
坂本道徳氏
ットワーク」は大変重要だと考えている。本日、
・来年(平成 18 年)2 月には、全国産業観光フォー
参加できなかった市民グループにも面白い活動を
ラムが長崎市で開催される。九州全域の人々が一
積極的にされている方がいる。今後多方面に、声
ヵ所に集まれる時期にやりたい。こうした理由か
をかけ、少しでも広げていきたい。最初は間口を
ら、発足会は長崎市で行いたいのですが、よろし
広げず自分たち知っている団体を入れた方がいい
いですか。このネットワークの準備会は本日この
と思う。市民グループも様々な団体が存在してお
会議をもって立ち上げとしたいのですが。
り、間口を広げすぎることで前に進まなくなる恐
(出席者全員賛成)
れもある。少しずつ自分たちの人脈で広げていく
・今後、長崎国際大学の片岡先生に顧問として入っ
ことが前進の第一歩で、確固たる基盤ができた時
てもらいたいと考えている。まずは、私がとりま
に間口を広げていく必要がある。
とめを行いながら、発足会をセッティングしたい
と思う。その際に、皆様と一緒に、より具体的な
坂本道徳氏
方向性を決めていきたい。
・我々の活動も、最初は友達を紹介していくことか
ら始まった。お互い信頼した者同士で進めていか
永吉守氏
ないと、何でも受け入れては進めないものもある。
・準備会のネーミングは、「遊学アイランド九州ネ
気心知れた者を紹介するなかで間口を広げていく
ットワーク準備会」としてはいかがだろうか。
というのは重要であろう。
・お互いのNPOで、行政との付き合い方のノウハ
ウも情報交換できる。「ここはダメだ」「あれは
市原猛志氏
・愛称「遊学ネット」としてよいのではないか。
ダメだ」と言われ、「行政は頭が固い」で終わっ
てしまう。「こういう付き合い方をすれば、お互
坂本道徳氏
いメリットが出てくる」事例があるはずである。
・現在長崎では、「九州伝承遺産機構」を立ち上げ
九州観光推進機構に対しても、NPOが一体とな
るという話が出ている。こうした動きと連携しな
って声を出せるようになれば、連携していける可
がら進めていきたい。ネーミングはどうなるかは
能性がある。行政とNPOがお互いに違う道を走
分からないが、ここでの議論を踏まえていきたい
るだけでなく、どこかで接点を作っていく意味で
と考えている。
も、ネットワークが不可欠である。
・長崎県の知事は九州知事会の会長であり、道州制
を考えられている。NPOの道州制も早めに作り
上げ、はっきりと打ち出し、「九州は一つ」の先
駆者になる必要がある。道州制も突然出てきた構
想ではなく、様々な人々の「こうしたものがあっ
たらいい」という考えから出てきたものである。
今の我々も同じで、「こうしたものがつくれたら
- 24 -
3.観光と教育・学習についてのアンケート調査(調査票及び回答先一覧)
①アンケート調査票
平成 17 年9月 12 日
各 位
(財)九州地域産業活性化センター
アンケート調査ご協力のお願い
拝啓 初秋の候、ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し
上げます。
さてこの度、当センターでは、九州の観光振興による地域経済の活性化を目的として、景勝地・温泉・
名物料理といった従来型「観光」に、地域の先人の英知やこれまで培ってきた郷土が誇る文化(産業・農
業等の遺産や現在の産業等)に楽しみながらふれる「教育・学習」の要素を組み合わせた九州地域の新た
な観光形態を提唱するため、委員会を立ち上げ、
「遊学アイランド九州」というコンセプトを創出し、調
査研究を実施しております。
今回、今後の調査研究の基礎資料とすることを目的といたしまして、観光地における「教育・学習」の
要素等を把握するため、本アンケート調査を実施することになりました。今回の調査研究結果は、御活用
していただくよう自治体、観光関係者等に配布する予定です。
つきましては、お忙しい中、誠に恐縮ですが、本調査の趣旨をご理解いただき、下記により調査にご協
力いただきますようよろしくお願い申し上げます。
ご回答いただいた内容はすべて統計的に処理し、個票の公表は一切行いません。
なお、本アンケートは、
(株)鹿児島地域経済研究所に委託し実施するものです。
敬 具
記
1 調査内容
別紙アンケート用紙のとおり
2 調査対象箇所
九州の観光交流施設 419 箇所
3 ご回答締め切り及び返送方法
平成17年9月26日(月)までに、同封の返信用封筒(切手不要)にてご返送ください。
4 ご記入上のお願い
・ 本調査票は貴施設の経営者の観点から、ご回答いただきますようお願いいたします。
・ 該当する項目の番号に○を付けるか、または該当する内容をご記入ください。なお、
( )
の付いた「その他」を選択された時には、お手数ですが、その内容について具体的にご記
入ください。
5 問い合わせ先
・ アンケートの趣旨に関するもの
財団法人 九州地域産業活性化センター TEL 092-713-6735 担当:原田、橋本
※当財団の概要につきましてはホームページをご覧ください。
URL http://www.kiac.or.jp
・ アンケートの内容に関するもの
株式会社 鹿児島地域経済研究所
TEL 099-225-7491 担当:濵田、上加世田
(参考)委員会のメンバー
長崎国際大学、九州経済産業局、九州運輸局、九州観光推進機構、九州産業考古学会、(株)JTB、
(株)マインド。 、(株)島津興業、(株)福田農場ワイナリー、(財)九州地域産業活性化センター
以上
- 25 -
○貴施設の概要についてお聞きします。
施
設
名
所
在
地
〒
TEL
開
設
年
(西暦)
(
)
FAX
(
)
年
従 業 員 数
人
入場者数(平成 16 年)
人
問1.貴施設の利用者の居住地について、次の項目ごとにおおよその割合をご記入ください。
1
県内
%
2
九州地域(1を除く)
%
3
九州地域を除く国内
%
4
海外
%
計
100%
※合計が 100%となりますようご記入ください。
問2.貴施設の教育・学習のテーマ分野を最も表わすものを選び、○印をお付けください(複数回答可)。
また、その具体的なテーマ内容をご記入ください。
1.自然体験
2.食品加工
3.歴史・産業変遷
5.環境・リサイクル
6.伝統芸能・工芸(陶磁器・織物等)
8.文学
9.宇宙
4.先端産業技術
7.交通(鉄道・港湾等)
10.その他(
)
11.教育・学習に関わるテーマは特に無い
<具体的なテーマ内容>
例:風力発電、太陽光発電など環境学習を取り入れたアミューズメントパークである
模擬坑道などを体験してもらい、石炭産業の歴史と技術の変遷を紹介している
ビールの製造工程を見学してもらい、その成り立ちや技術を学べる施設である
問3.貴施設のテーマをよりわかりやすく伝えるために、どのような展示、体験を行っていますか?次の中
から該当するものをいくつでも選び、○印をお付けください。
1.パソコン等記録媒体を設置し、音声や静止画像を通して説明している
2.展示物のストーリー紹介映像やアーカイブ映像などを提供している
3.ガイドや解説員など、人との交流による解説を行っている
4.触れる、試すことができる体験メニューを提供している
5.テーマに関連するイベントや講座、研究会を定期的に開催している
6.訪問の事前事後学習ができるように、インターネット上で解説を行っている
7.新たな展示・体験を検討したいが、コスト面や人材不足等から行うことができない
8.その他(
)
- 26 -
*裏面に続きます
問4.貴施設では、今後の主なターゲットとして、どのような客層のお客様を呼び込もうと考えていますか。
次の中から重視するものを3つまで選び、○印をお付けください。
1.学生(小、中、高、大学)
2.20 代、30 代の独身男女
3.子供連れのファミリー層
4.リタイア期を迎える団塊の世代
5.65 歳以上の高齢者
6.海外の観光客
7.会社関係団体(視察・レク研修含む)
8.その他(
)
問5.貴施設における海外のお客様への対応についてお聞きします。次の中から該当するものをいくつでも
選び、○印をお付けください。
1.多言語表示のパンフレットを作成している
2.多言語が話せるガイドを配置している
3.多言語表示の展示パネルを作成している
4.施設内に多言語の案内表示をしている
5.多言語表示のホームページを開設している
6.その他(
)
7.特に何もしていない
問6.貴施設では近隣の観光関連施設や他の団体と連携を図っていますか? 次の中から該当するものをい
くつでも選び、○印をお付けください。また、その具体的な内容をご記入ください。
1.近隣の観光施設
2.宿泊施設(ホテル、旅館など)
3.交通機関(電車、バス、船、航空機など)
4.教育機関(学校、博物館、図書館など)
5.市民団体、NPO
6.旅行会社
7.行政、公的団体
8.観光業界団体(観光連盟・協会など)
9.その他(
)
<具体的な連携内容>
10.特に何もしていない
※関連するパンフレット等を添付して頂いても構いません
例:交通機関と連携し、割引切符を発売している
市民団体の協力を得て、ボランティアガイドを配置している
宿泊施設とタイアップし、独自のセットプランを開発している
問7.近隣の観光施設や他の団体と連携に向けた問題点としてどのようなものがありますか? 次の中から
最も当てはまるものをいくつでも選び、○印をお付けください。
1.近隣の施設や団体活動の内容がわからない
2.経済的なメリットが薄い
3.連携をマネージメントする地域機関が無い
4.他の施設、団体と利害が一致しない
5.当施設に対応する人材が不足している
6.連携を議論する場やきっかけが無い
7.特に必要性を感じない
8.その他(
問8.展示、体験方法、地域の連携などについて感じることをご自由にご記入ください。
ご協力ありがとうございました。同封の返信用封筒(切手不要)にてご返送ください。
よろしければ、貴施設のパンフレット等も併せて郵送して頂きたく存じます。
- 27 -
)
②
アンケート回答先一覧
※住所は 2005 年 9 月現在
施設名
アサヒビール博多工場
あまぎ水の文化村
飯塚市リサイクルプラザ工房棟(エコ工房)
ウエルネス・ストリート
大牟田市エコサンクセンター
大牟田市石炭産業科学館
オーム乳業
御花史料館
海峡ドラマシップ
嘉穂劇場
北九州市エコタウンセンター
北九州市環境局皇后崎工場
北九州市立いのちのたび博物館
北原白秋生家・記念館
九州エネルギー館
九州鉄道記念館
九州民芸村
九州旅客鉄道小倉工場
九州歴史資料館
久留米市鳥類センター
小石原焼伝統産業会館
古賀政男記念館
幸姫酒造
三池カルタ記念館
生湯葉の専門製造工場ゆば屋はな花
上陽町ふるさとわらべ館
昭和アルミニウム缶大牟田工場
新日本製鐵八幡製鐵所
田川市石炭資料館
太宰府園
太宰府天満宮
立花ワイン
立花バンブー
筑後川昇開橋観光財団
茶の文化館
月星化成工場・つきほし歴史館
東陶機器小倉第一工場
東陶機器小倉第二工場
トヨタ自動車九州
ニコニコのり九州工場
西鉄香椎花園
日産自動車九州工場ゲストホール
直方市石炭記念館
のこのしまアイランドパーク
博多港ベイサイドミュージアム
「博多町家」ふるさと館
花畑園芸公園
平尾台自然の郷
福岡アジア美術館
福岡県立美術館
古陶星野焼展示館
紅乙女酒造
松谷海苔九州工場
住所
福岡県福岡市博多区竹下3-1-1
福岡県甘木市大字矢野竹831
福岡県飯塚市大字吉北118番地の2
福岡県福岡市中央区舞鶴2丁目5番1号
福岡県大牟田市健老町461
福岡県大牟田市岬町6-23
福岡県大牟田市新勝立町1-38-1
福岡県柳川市新外町1
福岡県北九州市門司区西海岸1丁目3-3
福岡県飯塚市飯塚5-23
福岡県北九州市向洋町10-20
福岡県北九州市八幡西区夕原町2番1号
福岡県北九州市八幡東区東田2丁目4番1号
福岡県柳川市沖端町55番地1
福岡県福岡市中央区薬院4丁目13-55
福岡県北九州市門司港清滝2-3-29
福岡県北九州市八幡東区河内3-4-16
福岡県北九州市小倉北区金田3丁目1番1号
福岡県太宰府市石坂4丁目7番1号
福岡県久留米市東櫛原町中央公園内
福岡県朝倉郡東峰村小石原730-9
福岡県大川市大字三丸844
福岡県鹿島市古枝甲599
福岡県大牟田市宝坂町2-2-3
福岡県八女市大字馬場601-1
福岡県八女郡上陽町大字下横山4838
福岡県大牟田市岬町1番16
福岡県北九州市戸畑区飛幡町1-1
福岡県田川市大字伊田2734番地の1
福岡県太宰府市宰府4-78
福岡県太宰府市大宰府4-7-1
福岡県八女郡立花町大字兼松726
福岡県八女郡立花町大字兼松752-1
福岡県大川市大字小保614-6
福岡県八女郡星野村10816番地の5
福岡県久留米市白山町60番地
福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号
福岡県北九州市小倉南区朽網東5-1-1
福岡県鞍手郡宮田町大字上有木字平山1番
福岡県三池郡高田町大字下楠田2143-1
福岡県福岡市東区香住ヶ丘7丁目2番1号
福岡県京都郡苅田町新浜1-3
福岡県直方市大字直方692-4
福岡県福岡市西区能古島
福岡県福岡市博多区築港本町13-6
福岡県福岡市博多区冷泉町6-10
福岡県福岡市南区柏原7丁目571-1
福岡県北九州市小倉南区平尾台1丁目1番1号
福岡県福岡市博多区下川端町3番1号
福岡県福岡市中央区天神5丁目2-1
福岡県八女郡星野村6991
福岡県久留米市田主丸町益生田210-1
福岡県大牟田市新勝立町1-38-3
- 28 -
施設名
マリンワールド海の中道
三菱化学黒崎事業所
宮田町石炭記念館
名門大洋フェリー新門司港支店
八女伝統工芸館
リサイクルテック
臨海リサイクルプラザ
TNCスタジオツアーズ
有田ポーセリンパーク・のんのこの郷
有田町歴史民俗資料館
今右衛門古陶磁器美術館
伊万里・有田焼伝統産業会館
伊万里市陶器商家資料館
唐津市末盧館
唐津城
河村美術館
九州電力天山揚水発電所展示館
黒澤明記念館サテライトスタジオ
玄海エネルギーパーク
コカ・コーラウエストジャパンプロダクツ鳥栖工場
コカ・コーラウエストジャパンプロダクツ基山工場
小城市立中林梧竹記念館
佐賀県立宇宙科学館
佐賀県立九州陶磁文化館
佐賀県立名護屋城博物館
佐賀県立博物館
佐賀県立美術館
佐賀城本丸歴史館
三瀬ルベール牧場どんぐり村
志田焼の里博物館
職人館つるや
体験工房「赤絵座」
大平庵酒蔵資料館
武雄市図書館・歴史資料館
チャイナ・オン・ザ・パーク
東亜工機
中冨記念くすり博物館
鍋野手漉和紙工房
水車の里遊学館
メルヘン村
祐徳博物館
壱岐市アワビ種苗センター
諫早ゆうゆうランド干拓の里
裏見の滝自然花苑
雲仙岳災害記念館
雲仙ビードロ美術館/雲仙スパハウス
旧楠本正隆屋敷
旧香港上海銀行長崎支店記念館
グラバー園
国宝大浦天主堂
コスモス花宇宙館
琴平スカイパーク
山茶花高原ピクニックパーク・ハーブ園
佐世保市亜熱帯動植物園
さんご資料館
住所
福岡県福岡市東区西戸崎18番28号
福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号
福岡県鞍手郡宮田町大字上大隈573
福岡県北九州市門司区新門司1丁目6
福岡県八女市大字本町2番地の123の2
福岡県北九州市若松区響町1-62-13
福岡県福岡市東区箱崎ふ頭4-35
福岡県福岡市早良区百道浜2-3-2
佐賀県西松浦郡有田町中部乙340-28
佐賀県西松浦郡有田町泉山1-4-1
佐賀県西松浦郡有田町赤絵町2丁目1番11号
佐賀県伊万里市大川内町丙221-2
佐賀県伊万里市伊万里町甲555番地1
佐賀県唐津市菜畑3359番地2
佐賀県唐津市東城内8-1
佐賀県唐津市北城内6-5
佐賀県唐津市厳木町天川1327
佐賀県伊万里市伊万里町甲358
佐賀県東松浦郡玄海町大字今村字浅湖4112-1
佐賀県鳥栖市轟木町字ニ本松1670-2
佐賀県三養基山町大字長野380-16
佐賀県小城市小城町158-4
佐賀県武雄市武雄町永島16351
佐賀県西松浦郡有田町中部乙3100-1
佐賀県唐津市鎮西町名護屋1931番3
佐賀県佐賀市城内1丁目15番23号
佐賀県佐賀市城内1丁目15番23号
佐賀県佐賀市城内2-18-1
佐賀県佐賀市三瀬村2234-67
佐賀県藤津郡塩田町大字久間乙3073番地
佐賀県藤津郡塩田町馬場下甲669-1
佐賀県西松浦郡有田町赤絵町1丁目2-18
佐賀県多久市東多久町4650
佐賀県武雄市武雄町大字武雄5304番地1
佐賀県西松浦郡西有田町曲川乙111
佐賀県鹿島市大字山浦丁1430番地30
佐賀県鳥栖市神辺町288-1
佐賀県藤津郡塩田町馬場下乙2176-1
佐賀県神埼郡神埼町大字的1073-1
佐賀県武雄市西川登大字神六20040番地
佐賀県鹿島市古枝乙1855
長崎県壱岐市郷ノ浦町大島1168
長崎県諫早市小野島町2232番地
長崎県大村市立福寺町20番地
長崎県島原市平成町1-1
長崎県雲仙市小浜町雲仙320
長崎県大村市玖島2丁目291-4
長崎県長崎市松が枝町4-27
長崎県長崎市南山手町8-1
長崎県長崎市南山手町5番3号
長崎県諫早市白木峰町828-1
長崎県大村市原町967-1
長崎県諫早市小長井町遠竹2867-7
長崎県佐世保市船越町2172番地
長崎県五島市富江町松尾662-1
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施設名
島原城
鷹島モンゴル村
出島和蘭商館跡
堂崎天主堂キリシタン資料館
長崎原爆資料館
長崎県窯業技術センター
長崎県立対馬歴史民俗資料館
長崎孔子廟中国歴代博物館
長崎市科学館
長崎市べっ甲工芸館
長崎電気軌道電車資料室
長崎バイオパーク
日本二十六聖人記念館
野岳湖公園
ハウステンボス
東山手十二番館
三井楽ステンドグラス工房
三菱重工業長崎造船所史料館
大分県マリンカルチャーセンター
大分県立歴史博物館
きつき城下町資料館
九州自動車歴史館
九州電力八丁原発電所展示館
九州乳業本社工場
くじゅう花公園
玖珠町立わらべの館
九重町農業バイオセンター
国立公園高崎山自然動物園
サッポロビール新九州工場
三和酒類安心院葡萄酒工房
城島後楽園ゆうえんち
大分醤油協業組合
大分マリーンパレス水族館「うみたまご」
地底博物館鯛生金山
西日本電線
原次郎左衛門の味噌醤油蔵
舟来蔵(ふなこぐら八鹿酒造場内)
豊後・大山 ひびきの郷
フンドーキン醤油
別府市竹細工伝統産業会館
道の駅水辺の郷おおやま
阿蘇お猿の里・猿まわし劇場
カドリー・ドミニオン
天草いるかワールド
天草町立天草ロザリオ館
植木町田原坂資料館
ガンジーハウス
北里栄三郎記念館
九州電力大平(揚水式)発電所
球泉洞・森林館エジソンミュージアム
熊本県テクノポリスセンター
熊本県伝統工芸館
くまもと工芸会館
熊本市環境総合センター
熊本市水の科学館
住所
長崎県島原市城内1丁目1183-1
長崎県北松浦郡鷹島町阿翁免1646-1
長崎県長崎市出島町9-15
長崎県五島市奥浦町2019
長崎県長崎市平野町7-8
長崎県東彼杵郡波佐見町稗木場郷605-2
長崎県対馬市厳原町今屋敷668-1
長崎県長崎市大浦町10-36
長崎県長崎市油木町7番2号
長崎県長崎市松が枝町4-33
長崎県長崎市大橋町4-5
長崎県西海市西彼町中山郷2291番地1
長崎県長崎市西坂町7-8
長崎県大村市東野岳町1097-1
長崎県佐世保市ハウステンボス町1番地1
長崎県長崎市東山手町3-7
長崎県五島市三井楽町浜ノ畔806
長崎県長崎市飽の浦町1番1号
大分県佐伯市蒲江大字竹野浦河内1834番地2
大分県宇佐市大字高森字京塚
大分県杵築市大字南杵築193-1
大分県湯布院町大字川上字無田1539-1
大分県玖珠郡九重町大字湯坪字八丁原
大分県大分市大字廻栖野3231
大分県久住高原850
大分県玖珠郡玖珠町大字森868番地の2
大分県玖珠郡九重町大字湯坪1585-11
大分県大分市大字神崎3078番地の20
大分県日田市大字高瀬6979
大分県宇佐市安心院町下毛798
大分県別府市東山123の1
大分県臼杵市大字望月1500番地
大分県大分市大字神崎字ウト3078番地の22
大分県日田市中津江村合瀬3750
大分県大分市大字駄原2899
大分県日田市中本町5-4
大分県玖珠郡九重町大字右田3364
大分県日田市大山町西大山4587
大分県臼杵市大字臼杵501番地
大分県別府市東荘園町8丁目3組
大分県日田市大山町西大山4106
熊本県阿蘇郡南阿蘇村下野1796
熊本県阿蘇市黒川2163番地
熊本県本渡市本渡町広瀬996
熊本県天草郡天草町大江1749
熊本県鹿本郡植木町大字豊岡858-1
熊本県竹田市久住町大字久住4004-56
熊本県阿蘇郡小国町北里3199
熊本県八代市坂本町鮎帰1196番地2
熊本県球磨郡球磨村大字大瀬字平野
熊本県上益城郡益城町田原2081-10
熊本県熊本市千葉城町3番35号
熊本県熊本市川尻1丁目3-58
熊本県熊本市画図町所島404-1
熊本県熊本市八景水谷1丁目11-1
- 30 -
施設名
熊本城
熊本市リサイクル情報プラザ
熊本市立熊本博物館
熊本ソフトウェア
熊本洋学校教師ジェーンズ邸
サントリー九州熊本工場
水前寺成趣園
ソルト・ファーム
高橋酒造
田中商店水俣営業所(エコボ水俣)
玉名市立歴史博物館
通潤橋史料館
東陽石匠館
日本製紙八代工場
人吉クラフトパーク石野公園
フードパル熊本
本田技研工業熊本製作所
みそ・しょうゆ蔵(釜田醸造所)
三井グリーンランド遊園地
水俣市環境クリーンセンター
水俣病資料館
御船町恐竜博物館
ヤクルト本社熊本工場
八千代座
八代市立博物館未来の森ミュージアム
山内本店味噌醤油資料館
湯の児スペイン村・福田農場
らくのうマザーズ阿蘇ミルク牧場
リデル・ライト両女史記念館
竜門ダムミュウじあむ
綾町堆肥生産処理施設
北きりしまリゾート牧場
九州電力一ツ瀬発電所資料館
霧島ファクトリーガーデン
こどものくに
櫻の郷醸造ミニブルワリー焼酎道場
佐土原城跡歴史資料館「鶴松館」
椎葉民俗芸能博物館
高千穂コミュニティセンター
都農ワイナリー
ハーメックのじり
はまぐり碁石の里
ひでじビール醸造所
日向神話館
フェニックスリゾート
本部はにわ製作所
みやざき「水の郷・綾」酒泉の杜
宮崎科学技術館
宮崎県栽培漁業協会
宮崎県総合農業試験場亜熱帯作物支場
宮崎県総合博物館
宮崎県農業科学公園「ルピナスパーク」
宮崎県埋蔵文化財センター分館
宮崎県立西都原考古博物館
宮崎市フェニックス自然動物園
住所
熊本県熊本市本丸1番
熊本県熊本市戸島町2570番地
熊本県熊本市古京町3-2
熊本県上益城郡益城町大字田原2081-28
熊本県熊本市水前寺公園22-16
熊本県上益城郡嘉島町大字北甘木字八幡水478
熊本県熊本市水前寺公園8番1号
熊本県熊本市中唐人町29
熊本県人吉市合ノ原町498
熊本県水俣市浜松町5番8号
熊本県玉名市岩崎117
熊本県上益城郡山都町下市182-2
熊本県八代市東陽町北98-2
熊本県八代市十条町1-1
熊本県人吉市赤池原町1425-1
熊本県熊本市貢町581-2
熊本県菊池郡大津町平川1500
熊本県人吉市鍛治屋町16番地
熊本県荒尾市下井手1616番地
熊本県水俣市築地9-40
熊本県水俣市明神町53
熊本県上益城郡御船町大字御船995-3
熊本県熊本市上熊本3丁目24番1号
熊本県山鹿市山鹿1499
熊本県八代市西松江城町12番35
熊本県菊池郡菊陽町原水5548
熊本県水俣市陳内2525番地
熊本県阿蘇郡西原村大字河原3944ー1
熊本県熊本市黒髪5-23-1
熊本県菊池市龍門870番地
宮崎県東諸県郡綾町大字北俣4905
宮崎県小林市大字細野5740番地1310
宮崎県西都市中尾的場509-12
宮崎県都城市志比田町5480
宮崎県宮崎市大字加江田7275-1
宮崎県南那珂郡北郷町郷之原甲888番地
宮崎県宮崎郡佐土原町大字上田島8227-1
宮崎県東臼杵郡椎葉村大字下福良1822-4
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1515
宮崎県児湯郡都農町大字川北14609番地20
宮崎県西諸県郡野尻町東麓5160
宮崎県日向市大字平岩8491番地
宮崎県延岡市行縢町747-56
宮崎県宮崎市青島2丁目13-1 青島神社内
宮崎県宮崎市大字塩路浜山3083番地
宮崎県宮崎市西池町6-2
宮崎県東諸県郡綾町大字南俣1800-19
宮崎県宮崎市宮崎駅東一丁目二番地二
宮崎県延岡市熊野江町2453-11
宮崎県南那阿郡南郷町大字贄波3236-3
宮崎県宮崎市神宮2丁目4番4号
宮崎県児湯郡高鍋町持田5732
宮崎県宮崎市神宮2丁目4-4
宮崎県西都市大字三宅字西都原西5670番
宮崎県宮崎市大字塩路字浜山3083番地42
- 31 -
施設名
はまぐり碁石の里
奄美アイランド
奄美海洋展示館
奄美の里
奄美パーク
有明町農業歴史資料館
上野原縄文の森
大島紬村
かごしま近代文学館・メルヘン館
鹿児島県立石橋記念公園
鹿児島県立博物館
鹿児島県歴史資料センター黎明館
鹿児島市平川動物公園
鹿児島市立西郷南州顕影館
かごしま水族館
鹿児島市立美術館
鹿屋航空基地史料館
輝北天球館
九州電力川内原子力発電所展示館
九州電力山川発電所展示室
霧島アートの森
串木野国家石油備蓄基地 ちかび展示館
黒潮の森マングローブパーク
坂元醸造くろず情報館阿萬屋
桜島国際火山砂防センター
桜島ビジターセンター
薩摩金山蔵
薩摩酒造明治蔵
さつま町ガラス工芸館
尚古集成館
焼酎蔵薩州濵田屋伝兵衛
森林体験交流センター美山陶遊館
せんだい宇宙館
川内戦国村
知覧特攻平和会館
知覧武家屋敷庭園
ツル博物館クレインパークいずみ
田苑酒造焼酎資料館
杜氏の里笠沙
長崎鼻パーキングガーデン
長島美術館
野間岬ウィンドパーク展示館
濵田酒造傳蔵院蔵
フラワーパークかごしま
ふるさと考古歴史館
本場奄美大島紬会館
本場奄美大島泥染公園
本場大島紬「手織り機の里」
本坊酒造鹿児島工場
枕崎市かつお公社
宮之城伝統工芸センター
屋久島環境文化村センター
屋久島世界遺産センター
屋久町立屋久杉自然館
住所
宮崎県日南市飫肥10丁目1番2号
鹿児島県大島郡住用村山間811-1
鹿児島県名瀬市小宿字大浜701-1
鹿児島県鹿児島市南栄1-8
鹿児島県大島郡笠利町節田1834
鹿児島県曽於郡有明町野井倉1510
鹿児島県国分市川内1376-1
鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945
鹿児島県鹿児島市城山町5番1号
鹿児島県鹿児島市浜町1-3
鹿児島県鹿児島市城山町1番1号
鹿児島県鹿児島市城山町7番2号
鹿児島県鹿児島市平川町5669-1
鹿児島県鹿児島市上竜尾町2-1南洲公園内
鹿児島県鹿児島市本港新町3番地1
鹿児島県鹿児島市城山町4番36号
鹿児島県鹿屋市西原3丁目11-2
鹿児島県曽於郡輝北町市成1660-3
鹿児島県薩摩川内市久身崎町字小平1758番の1
鹿児島県揖宿郡山川町大字小川字赤伏目2303番地
鹿児島県姶良郡湧水町木場6340番地220
鹿児島県串木野市下名21803
鹿児島県大島郡住用村石原478番地
鹿児島県姶良郡福山町福山3072-1
鹿児島県鹿児島市野尻町203-1
鹿児島県鹿児島市桜島横山町1722-29
鹿児島県いちき串木野市下名13665
鹿児島県枕崎市立神本町26
鹿児島県薩摩郡さつま町永野5665番地5
鹿児島県鹿児島市吉野町9698番地1
鹿児島県いちき串木野市湊町3030
鹿児島県日置市東市来町美山1051番地
鹿児島県薩摩川内市永利町2133-6
鹿児島県薩摩川内市湯島町字竹島3535-7
鹿児島県川辺郡知覧町郡17881
鹿児島県川辺郡知覧町郡6204
鹿児島県出水市文化町1000
鹿児島県薩摩川内市樋脇町塔之原11356番地1
鹿児島県川辺郡笠沙町赤生木6762番地
鹿児島県揖宿郡山川町岡児ヶ水長崎
鹿児島県鹿児島市武3丁目42番18号
鹿児島県川辺郡笠沙町字野間池
鹿児島県いちき串木野市西薩町17-7
鹿児島県揖宿郡山川町岡児ヶ水1611番地
鹿児島県鹿児島市下福元町3763-1
鹿児島県那瀬市港町15-1
鹿児島県名瀬市伊津部勝字城田727
鹿児島県鹿児島市新栄町18-6
鹿児島県鹿児島市南栄3丁目27番
鹿児島県枕崎市立神本町347
鹿児島県薩摩郡さつま町虎居2638-1
鹿児島県熊毛郡上屋久町宮之浦823番地1
鹿児島県熊毛郡屋久町安房前岳2739-343
鹿児島県熊毛郡屋久町安房2739-343
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4.九州における産業テーマとその変遷
①地域資源
資源名
変遷
・近代の石炭鉱業は 1881 年に明治政府から、高島炭鉱が三菱に、1889 年には三池炭鉱
が三井に払い下げられたことに始まる
・筑豊炭田では、明治鉱業(安川・松本)
、貝島、麻生等の地場資本と、三井、三菱な
どの財閥系資本に次第に収斂されていった
・しかし、戦後のエネルギー革命により、石炭鉱山は次々に閉鎖され、2002 年北海道
太平洋炭鉱の閉山をもって終焉した
石炭産業
・石炭鉱業の機械技術を受け継いでいる安川電機、西部電機、三井三池製作所などは独
自の技術力を有し、金属加工技術、鋳造鍛錬技術などに発展している
・石炭と石炭の加工品であるコークスを利用したカーバイトや石灰窒素、アンモニアな
どを製造する石炭化学工業が 20 世紀初頭に大牟田市や、北九州市で発生し、その後
の化学工業の礎を築いた
・国内の石炭鉱業は終焉したものの、その残した産業技術は日本の近代化を大きく支え、
石炭をエネルギー源として鉄鋼業の発生などにも大きく寄与している
関連産業
化学工業、鉄鋼業、セメント工業
関連地域
高島、北松浦(長崎県)、唐津(佐賀県)、筑豊、三池、粕屋(福岡県)
・セメント工業は原料の石灰石とエネルギー源である石炭を使って発生している
石灰石
・石灰石は鉄鋼業や化学工業の原材料として、北九州をはじめとする重化学工業の発展
に寄与してきた
関連産業
化学工業、鉄鋼業、セメント工業
関連地域
北九州市、津久見市
・大口市曽木などの水力発電所は、水俣市や延岡市に電気化学産業を発生させた
・延岡市の化学技術は合成アンモニアを生産し、化学繊維を中心に発展してきている
・戦後では、特に大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県のテクノポリス地域を中心として
水
立地したIC工場の立地要因の一つに、九州に豊富な水(清流)があったことが関係
している
・最近ではサントリー九州工場が阿蘇に立地し、豊富な水資源をビールなど飲料に利用
しているなど、九州の豊富な水資源は多くの産業を育てている
関連産業
化学工業、電気機械工業
関連地域
水俣市、大口市、延岡市
・日田市や都城市を代表地とする九州の木材資源は、筑後川上流の日田市や下流の大川
木材
市に全国でも有数の家具産地を形成するとともに、鹿児島県川辺町や福岡県八女市の
仏壇製造業を発展させた
・脚物技術は主に、大川市の家具業者が移り住んだ佐賀県諸富町に集積している
関連産業
家具製造業、仏壇製造業
関連地域
大川市、日田市、佐賀県諸富町、鹿児島県川辺町、福岡県八女市
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②産業分野
テーマ
変遷
・1851 年に、鍋島藩が日本初の反射炉を完成させた
・1853 年、薩摩藩が反射炉、1854 年に日本初の高炉を築造し、全国に先駆けて、銅鋳
造から鉄鋳造の時代へと移っていった
鉄鋼業
・1857 年徳川幕府が長崎鎔鉄所を創設し、船舶用の鋳造部品を生産している
・こうした造船から発生した鉄の「鋳造技術」を基盤として、石炭資源と結びついて発
展した結果、1901 年に官営八幡製鉄所(北九州市)の創業を迎え、近代製鉄業の発祥
の地となった
関連地域・施設
八幡製鉄所(北九州市)、尚古集成館(鹿児島市)、佐賀城本丸歴史資料館(佐賀市)
・九州は海で囲まれ、中国・韓国との玄関口であり、木造船が製造されていた
・1855 年、鍋島藩で日本初の蒸気船を進水
・1855 年、薩摩藩で日本初の国産蒸気機関を搭載した蒸気船が完成
造船業
・明治になると佐賀、薩摩藩では造船の機械設備が官収され衰退
・1857 年、長崎鎔鉄所が創設し、造船業が芽生える
・1860 年長崎製鉄所に改称し、1887 年には日本初の鉄製汽船が竣工
・1871 年、官営長崎造船所に改められ、1893 年に三菱合資会社三菱造船所(現在の三
菱重工業長崎造船所)に引き継がれた
三菱重工業史料館・小菅修船場(長崎市)、尚古集成館(鹿児島市)、佐賀城本丸歴史資
関連地域・施設
料館(佐賀市)
【水俣・延岡】
・1908 年、野口遵が水俣市に日本窒素(現在のチッソ)を設立
・1923 年、延岡市に日本窒素肥料(現在の旭化成)を設立し、合成アンモニアから科学
繊維を中心に発展している
・1993 年には旭化成LSI工場を設立し、半導体への展開を図っている
・何れも豊富な水を利用した水力発電と密接に結びついて、九州に化学工業が芽生えた
・一方で、チッソの排水は水俣病の原因となり、その後環境リサイクル産業へ発展して
いる
化学工業
【北九州】
・1917 年、旭硝子がソーダ灰を製造、1934 年には三菱鉱業と合同出資し、日本タール
工業を設立(現在の三菱化学)
・このように北九州市の三菱は苛性ソーダから発生し、石炭と結びつき、鉄鋼関連産業
の需要を得て発展した
【大牟田市】
・1915 年、石炭コークスと三井鉱山の余剰電力を利用し、硫安の生産を開始
・綿工業に利用された合成染料は三井鉱山三井染料工業所で初めて国産化されている
・このように大牟田市の三井は電力と石炭が結びついて発展した
関連地域・施設
曽木発電所遺構(鹿児島県大口市)、水俣病関連施設、三井化学工場(大牟田市)
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・九州のゴムの歴史は久留米市の志まやたび(現在のアサヒコーポレーション)と、つ
ちやたび(現在の月星化成)によるゴム底たび、ゴム底運動靴の生産から発生してい
る
タイヤ製造業
・こうしたゴム成形技術の基盤を背景に、日本足袋会社(志まやたび店)の二代目の石
橋正二郎が、1931 年にブリヂストンタイヤ(現在のブリヂストン)を設立した
・1976 年には、宮崎県都城市に日紡(現在のユニチカ)を親会社とするオーツタイヤが
立地した
関連地域・施設
㈱ブリヂストン(久留米市・甘木市)、月星化成(久留米市)
・良質な石灰石とエネルギーとしての石炭資源が豊富にあった田川郡香春町に、1894
年に浅野セメント(現在の日本セメント)が創業し、九州におけるセメント工業が興
った
・良質な石灰石があった大分県津久見市では、江戸時代より藩の直轄事業として、戸高
セメント工業
鉱業を始めとした石灰製造業が盛んに行われており、1917 年には小野田セメントの前
身である桜セメント、1926 年には佐伯市に佐伯セメントが創業した
・1934 年には、炭鉱を経営していた麻生セメントが田川市でセメントの製造を開始
・1963 年には、田川市に三井鉱山がセメント工場を設立、同年苅田町に三菱マテリアル、
翌年麻生セメントが苅田工場を操業開始した
・1966 年、佐賀エレクトロニクスがシリコンダイオードの生産を開始、1967 年に三菱
電機が熊本市でICの本格的な大量生産を開始した
・三菱電機は自然環境、豊富な水と労働力を契機として立地したものであり、その後の
九州への半導体の立地の契機となった
電気機械工業
・熊本市には 1969 年NEC九州工場、大分県には 1970 年代以降、NEC大分、大分キ
ャノン、宮崎県では、宮崎松下、宮崎沖電気、九州コマツ電子、九州富士通エレクト
ロニクス、鹿児島県でもソニー国分、京セラ、九州富士通、鹿児島松下電子などIC
一貫生産工場が立地し、九州はシリコンアイランド九州と呼ばれるまでに集積が進ん
でいる。
関連地域・施設
松下電池工業(福岡県)
・九州は鉄鋼の加工から発生した鋳造鍛造技術、加工技術などが蓄積しており、技術力
の高さが自動車工業の発展を促した。
・1976 年に、本田技研工業が熊本県大津市に量産型の二輪車、軽自動車用のエンジンの
生産を開始した
自動車工業
・同年、苅田町に日産自動車九州工場を設立して四輪車の生産を開始し、日産の主力工
場にまで発展した
・1993 年には、トヨタ自動車九州が福岡県宮田町に、2004 年にはダイハツ工業が大分
県中津市に新工場を稼動させており、関連産業の蓄積もあって、カーアイランド九州
と呼ばれるまでに発展してきている
トヨタ自動車九州(福岡県宮田町)、ダイハツ工業(大分県中津市)
関連地域・施設
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・米焼酎では熊本県球磨地方の球磨焼酎、麦焼酎の発祥の地である壱岐、芋焼酎の発祥
の地である鹿児島など地域の農産物を使った焼酎が多く製造されている
焼酎製造業
・宮崎県綾町ではそば焼酎、むぎ焼酎が造られている
・芋焼酎の歴史は 1578 年に琉球王からの献上品に米製の焼酎が見られることが最初で、
明治末になると焼酎の小売が始まり、第二次世界大戦時には芋が栽培され、それまで
の米焼酎から芋焼酎造りが盛んに行われた
関連地域・施設
薩摩金山蔵(鹿児島県串木野市)、繊月酒造(熊本県人吉市)
・九州は有田焼、伊万里焼、三川内焼、波佐見焼、薩摩焼(当初)などの磁器、薩摩焼、
上野焼、唐津焼、小石原焼などの陶器をはじめ、陶磁器産業が集積する全国でも有数
の陶磁器産地である
・こうした九州の陶磁器の発祥は 16 世紀末の朝鮮の役の際、連れてきた李朝の陶工に
よって九州に伝えられ、藩の保護・奨励を受け発展してきた
・1616 年、李朝の陶工である李参平が陶石を発見し、開窯したのが、磁器生産の最初と
陶磁器
言われている
・有田町は日本の磁器発祥の地として、世界的な磁器のメッカとされている
・1879 年には、有田の深川栄左衛門が香蘭合名会社(現在の香蘭社)を設立し、1970
年以降、伝統的な鋳入成形技術をファインセラミックに応用し、先駆者として発展し
ている
・薩摩焼は陶土を原料とする陶器で、白薩摩と黒薩摩がある
・衛生陶器は、1917 年に北九州小倉に東洋陶器(現在の東陶機器)が生産を始めた
九州陶磁文化館、伊万里・有田焼伝統産業館(佐賀県)、錦江陶芸(鹿児島県)、東陶機
関連地域・施設
器(福岡県)
家具製造業
・九州の家具製造業は大川市、佐賀県諸富町を中心に製材メーカー、合板メーカーなど
が集積し、一大家具産地を形成している
・日本に紙すき方法が伝わったのは 610 年ごろと言われ、九州では福岡県八女地方を中
紙・パルプ工業
心に手すき和紙として現在に至っている
・日南市の王子製紙、八代市の十条製紙、薩摩川内市の中越パルプなど、大手企業が立
地している
資料)九州通商産業局「九州の産業技術の発生と発展の歴史」(1994 年)
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5.委員名簿・委員会開催等
①「遊学アイランド九州」形成に向けた産業資源連携方策策定調査委員会
氏名
会社・団体名
委員名簿
役職名
市原
猛志
九州産業考古学会
蝦名
邦晴
国土交通省九州運輸局
企画振興部長
甲斐
和郎
九州観光推進機構国内誘致推進部
部長
長崎国際大学人間社会学部国際観光学科
教授
◎片岡 力
熊野
潤一
株式会社ジェイティービー地域活性化事業推進室
室長
末吉
駿一
株式会社マインド。
代表取締役社長
谷
直樹
経済産業省九州経済産業局
総務企画部長
田村
省三
株式会社島津興業
執行役員
福田
興次
株式会社福田農場ワイナリー
代表取締役
清水
正行
財団法人九州地域産業活性化センター
常務理事
(五十音順、敬称略、◎は委員長を示す)
②委員会審議経過
第1回委員会
平成17年7月26日
財団法人九州地域産業活性化センター702会議室
・委員会運営要領(案)について
・委員長選出について
・企画書(案)について
第2回委員会
平成17年9月27日
財団法人九州地域産業活性化センター702会議室
・調査の中間審議
・ヒアリング調査の中間報告
第3回委員会
平成17年11月28日
財団法人九州地域産業活性化センター702会議室
・先進地視察調査の報告
・アンケート調査の結果・分析
・調査のとりまとめに向けた審議(報告書素案の検討)
第4回委員会
平成18年1月30日
財団法人九州地域産業活性化センター702会議室
・調査の最終審議(報告書案の検討)
・閉会
③委員会視察調査
先進地視察調査(愛媛県新居浜市)
平成17年10月31日 ~
11月1日
・マイントピア別子、発電所跡
・住友化学歴史資料館
・別子銅山記念館
・広瀬歴史記念館
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