沿岸海域における吹送流に及ぼす海岸と 海底の影響に関する考察

海洋科学技術センター試験研究報告 第38号 JAMSTECR,
38 (October 1998)
沿岸海域における吹送流に及ぼす海岸と
海底の影響に関する考察
黒山
順 二*1
開放性 の高い沿岸海域において季節風によって駆動さ れる海水流動について,海岸
と海底 の影響を理論 と数値シミュレ ーションの両面 から考察した。
冬季 と夏季 に対する数値シミュレ ーションの結果は,海岸近くに生じる海水流動の
特性は吹 送流理論 によっ て定性的 に理 解される。特 に風の向 きと海岸の向きとの関 係
が重要であること, また水深が浅い場合には海底摩擦 の評価方法 に工夫 が必要であ る
ことが分かった。
キーワ ード:吹 送流,沿岸海域,理論,数値シ ミュレーショ ン
The Study on the Effect of the Coast and Sea Bottom
on the Wind-driven Flows in the Coastal Sea
Junji KUROYAMA*2
The seasonal wind-driven flows in the coast sea area with a large openness were studied
from the both sides,theory and numerical simulation.
The simulation results for winter and summer
could be explained using the wind-driven
current theory qualitatively.It turned out that the relation of wind and coast directions
was especiallyimportant and the estimation method for bottom frictionstressneeded to be
devised for shallow sea areas.
Key Words : Wind-driven flow, Coastal sea, Theory, Numerical simulation
* 1
海洋生態・環境研究部
* 2
Marine Ecosystems and Environment Research Department
117
1 は じ め に
開 放 性 の 高い 沿 岸 海 域 にお け る 海水 流 動 は , 海 岸 ・ 海
底 地 形 , 風 , 密 度 差 , 潮 汐 及 び 地 球 自 転 の影 響 に 加 えて
ただ し,yはCoriolisパ ラ メー タ,がま重 力 加 速 度 ,X は
外 洋 の 海 流 や 波 の 影響 も受 け る。こ れ ら多 くの要 因 に よっ
鉛直 渦動 粘性 係数を表 す 。
て 生 じ る 複 雑 な 海水 流動 の把 握 ・予 測 には数値 シ ミュ レー
連続 の方程式 ;
シ ョ ンが 有 効 で あ り, 我 々 は シ グマ 座 標 系 三 次 元 数 値 モ
デ ル を 用 い て 開口 性 湾 域 及 び そ の外 洋 域 の 海 水 流 動 の 相
互 作 用等 を調べて い る 。こ の 「開口性湾 域 の三次元流動
モ デ ル」 は, Blumberg
& Mellor
(1983)"
境 界条件( 海面と海底 における 摩擦応力 )
;
によっ て 開
発 さ れ た プ リ ン スト ン 海 洋 モ デ ル(POM )を基 本 フレ ー
ム に し て 改 良 ・ 工 夫 を 加 え た も の で あ る 。 代 表 的 開 口性
湾 域 で あ る 仙 台 湾 を 対 象 海 域 と し て 外 洋 域 ま で 含 む広 域
ただし,Z=0は近似的 海面 ( 添え 字S), Z=-H
の 海 水 流 動 シ ミュ レ ー シ ョ ン を 行 い , 主 に 外 洋 域 と の係
底( 添え字 )を表す。 なお,海面における 摩擦 応力 は
わ り にお い て 海 水 の 湾 内 へ 流 入 及 び 湾 内 か ら の 流 出 な ど
風(添え字 W )の海面応力(
は海
)に一致する。
を 調 べ て き た2)
。 そ の 目的 の た め に, 以 前 の 報 告3)で は ,
数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 につ い て 特 に 各 層 に お け る 海
また通常,海底における摩擦応力 は次式の抵抗法則によっ
水 流 動 の水 平 分 布 に 着 目 し て 考 察 を 行 っ た。
て与えら れる。
本 稿 で は湾内 の海 水流動 に及ぼす海 岸 及 び海底 の影響
を 調 べ る こ と を 目 的 と し, 数 値 シ ミュ レ ー シ ョ ン 結 果 に
つ い て 特 に 湾 内 の 海 岸 近 く にお け る 流 速 の 鉛 直 方 向 分 布
ただし,ρは海水密度,ら は海底 にお ける摩擦抵抗係
や 海面 変 位 に着 目 して考 察 を行 う。そ れらの特性 を物理
数である。
的 に 解 釈 す る た め に比 較 的 単純 化 さ れた 吹送流理 論 を 使っ
て 海 岸 及 び 海底 の 影 響 を 考 え , 海 岸 近 く にお け る 水 平 流
速 の鉛直 方向 分布 や海面 変 位の水平 方向 分布 を定性 的 に
理 解 す る こ と を 試 み る 。 まず , 第 2章 で 吹 送 流 理 論 の紹
2.2 海 岸 近 <に お け る 吹 送 流 理 論(
海 底 摩擦 を 考
盧 しな い 場 合)
海 岸 の影響 のない 外 洋 におけ るEkman
吹送 流 と地衡流
介 と 検 討 を 行 い , 次 に 第 3章 で 数 値 シ ミュ レ ー シ ョ ン結
の 関 係 について は, Cushman-Roisin
果 につ い て 考 察 を 行 う 。
(1987)6), (1996)7) 等 に明 確 な説 明 があ る 。 両 者 の関係 は,
(1994 )5)
やPedlosky
境 界層理 論を用い て 海 面及 び海底 におけ る境 界層流 と内
2 開放性 の高い沿岸海域にお ける吹送流理論
2.1 沿岸浅海域にお ける基礎方程式
開放性 の高い 沿岸海域 の場合には空 間スケ ールが大き
部 流 の 関 係 と し て 説 明 で きる 。
とこ ろ が , 沿 岸 海 域 に お け るEkman
吹 送流 と 地 衡 流
の 関 係 に つ い て は, 海 岸 の 影 響 に よ っ て もっ と 複 雑 に な
く地球自転 の効 果が重要であ り,狭い 閉鎖性海域の場 合
る 。Csanady
にしばしば行 われようなCoriolis力 を無視す るこ とはで
と 海 岸 に 平 行 に吹 く場 合 の 海 岸 近 く の 吹 送 流 を 詳 し く調
きないと考えら れる。た だし,簡単化 のために成層効果
べ てい る 。 図1(aXb) に 定 常 状 態 にお け る 流 速 の 鉛 直 分 布
が ない場合を考えるこ とにするo
につ い て 模 式 図 を 示 す 通 り, こ の よ う に 開放 性 の 高い 場
(1982)4) は , 風 が 海 岸 に 垂 直 に 吹 く 場 合
よく混合さ れた 浅海 にお ける 流体 の運 動 は, 以 下 の
合 に も , 閉鎖 性 湾 域 の 場 合 に よ く 見 ら れる と 同 様 に, 上
「浅海方程式系(shallow water equations) 」 によっ て
下 層 で 逆 向 きの 流 れ が 生 じ る こ と が多 い こ と が 分 か る 。
記述 される(Csanady
(1982)4))
。 ただ し, 右手系 の直
た だ し , 風 が 海 岸 に 向 か っ て 吹 く場 合(a)と海 岸 を 左 に し
角座標系 を使用し,経度方向東向 きにX, 緯度 方向北向
て 平 行 に 吹 く場 合(b)で は 吹 送 流 の 鉛 直 分布 に違い があ り,
きに!/,鉛直方向上向 きにz をとり, 各流速成分をU, I
海 岸 に 平 行 に 風 が 吹 く 場 合 に は風 の 方 向 に全 層 同 方 向 の
wとする。 また海面変位を7と表す。
流 れ と な り下 層 に逆 流 が 存 在 し ない 。 こ れ ら の 分 布 特 性
一様密度に対 する線 形化さ れた運動方程式;
は , 図1 (aXb)の 中 に も 示 す 通 り, Ekman
吹 送 流 と地 衡
流 と 補 流 の 関 係 に よ っ て 定 性 的 に 理 解す るこ とがで きる 。
n8
JAMSTECR,
38 (1998)
z
にや
z
y
y
x
X
Ekm
a
nd
r
i
f
t
〈。
u
(
z
)
u
(
z
)
a
d
j
u
s
t
m
e
n
td
r
i
f
t
v
(
z
)
ν(
z
)
,‘~
、
,
、
,v怒
P
ぷ討や
u
ザー
必
図 1 (a)風が海岸に垂直に吹く場合の吹送流
図1 (
b
)風が海岸 に平行に吹く場合の吹送流
F
i
g
.
l(
a
)I
n
t
e
r
i
o
rv
e
l
o
c
i
t
i
e
snearshorecausedbyc
r
o
s
s
shorewind t
ot
h
ec
o
a
s
t
.
F
i
g
.
1 (b) I
n
t
e
r
i
o
rv
e
l
o
c
i
t
i
e
s nearshore caused by
longshorewindalongt
h
ec
o
a
s
t.
)
噌
・
・・
伯
ー
ム
、
、
,
,
‘
よって ,(
1
1
)
式 を 側 式 に 代 入 し て 次 式 を得る。
(
19
9
3
)
9
)に よって,比較的単純化されているが海底摩擦
も考慮された興味深い理論が展開されている (
次節参照)
。
・
無 視 されている 。 こ れ に 関 連 して,宇野木ら(19
90)
8
),
•••••••
τ;=O
,d=ρ C
dvI
vI
ただし ,以 上の Csanadyの理論で、は海底摩擦の影響 が
Z=sgn(τ!)~I r
!I/
ρCd
・・
-(
1
2
)
ただし , sgn( )はカッコ内の値が正,零,負に応じて+
1
,0
,-1を表す 。
2
.
3 直線状海岸の場合における吹送流理論(海底
そこで, (
1
2)式を (
9
)
式へ代入すれば次式を得る。
摩擦を考慮する場合)
生=ー孟一+
~ sgn(τ!).
,
!
I
τ
;│
/
ρC
d
δ z ρgH .g
長 い直線状海岸線 をx=0の u軸方向とし, 一 定 の 風
(海面応力
τ;
: ,d)が長期間吹き続き,摩擦が働いて 定
δ/δt= 0)
になった場合 を 考 え る 。 さ ら に , 十 分 に
常 (
ω式を積分すれば.
したがって ,水 深Hを一定とし て
海面変位として次式を得る。
_~~T ~ sg:刈)~I
長 い 海 岸 を 仮 定 す れ ば y方 向 の 変 化 は 無 視 さ れ る
= {
!
I
/
p
C
}.(
x-L)
dJ
t
ρ'
gH+g
v
.
_'
w
"
'"r
WI
.
r
-U
(
δ
/
勾 =0
)。まず, 鉛直平均 された水平流速を (
u,v
)
と表せ ば,海岸の存在に よって次式を得る 。
u=O
・
・・
(
8
)
さらに, (1)式と (
2
)
式を z=-H
から z=Oまで zに関し
て積分することによって鉛直平均された水平流速を
(
u
.v
) に対する運動方程式から次式を得る 。
ート -d+( τ.~_ r~)/ρH
τ;-d = 0
・
・
0
.
3
)
・
-・
・(
1
4
)
ただし .L
は積分定数であり す= 0となる zの 値 に 相 当
する。
したがって,
ω式によれば,
風が一定ならば,海岸近
くの海面変位(ヮ)は海岸からの距離 (
x) に比例する
8
)
式によれば海岸に垂直な方向の鉛
こととなる。また. (
・
・
・
・(
9
)
・… ぃ(
1
ω
次に,宇野木ら (1990)~ , ( 1993) ~ は,海底における摩
擦応力に抵抗法則を適用し .(
7
)
式における海底境界層直
直平均流速 (
u) は常に零となる のに対して. (
l
ω
式によ
れば海岸に平行な方向の鉛直平均流速 (
v) は 風 応 力 の
海岸に平行な成分 (
τ
!
)の 向 き に 一 致 し て r
!= 0の 場 合
のみv=Oとなる。
u
,v
) の代わりに平均流速 (
u
,v
) を使った。
上 の 流速 (
そこで,この宇野木らの理論を前節の Csanadyの 理 論
すなわち ,彼 らは海底における摩擦を次式の通り仮定し
と比較するために ,風が海岸に垂直に吹く場合と平行に
た
。
吹く 場 合 に分けて考える。例えば,海岸に向かつ て 風が
JAMSTECR, 38(1
9
9
8
)
1
1
9
吹く場合 (
τ
;く 0,r
!=0
) には,海岸に垂直な方向の
0
1
2
)
式から海岸に平行な方向の鉛
鉛直平均流速のみならず(
39 0
0
'
N
直平均流速も零となり,水平流が海岸に垂直な方向にも
平行な方向にも共に下層で逆流を持つことが強く示唆さ
0
れる。さらに, (
1
4)式より海面は海岸から沖へ向かつて低
38 3
0
'
N
くなり,これは海岸に向かつて海水が押し付けられる状
態であるためと解釈できる。 一方,海岸を左に見て平行
に風が吹く場合 (τ.~
=0,r
!>0
) には,
0
(
1
2
)式 よ り 海 岸
38 0
0
'
N
に平行な方向の鉛直平均流速は風と同じ向きとなり,全
層にわたって風の向きに流れ易い傾向になることが示唆
される。さらに, (1母式から海面は海岸から沖へ向かつて
高くなり,これは (
9
)
式から海岸に垂直な方向に地衡流パ
0
37 3
0
'
N
0
140 3
0
'
E
0
1
4
1 0
0
'
E
1
4
10 3
0
'
E
1
4
20 00'
E
0
142_ 3
0
'
E
ラシスになったためであると解釈できる。したがって,
宇野木らの理論は Csanadyの理論と整合性があり,かな
図 2 数値モデルの海岸 ・海底地形(仙台湾近辺)
Fi
g
.
2 C
o
a
s
t
a
landbottomt
opographyo
ft
h
emode
l
.
り道理にかなったものであることが分かる。
また,宇野木ら (
1
9
9
0)
8
)~こ従って,海岸に垂直に吹く
風による海面変位量を ηN' 海岸に平行に吹く風による海
面変位量を η
pと表して,風の強さが閉じときに両者の量
(
1
=37)
を比較する。つまり
I
r~ 1
=
1r
!1
=
τ
・
・
(
1
5
)
(
J
=
2
5
)
と置けば, (
1
4)式より次式を得る。
号--刷会)
ν
2
R三 l
•• '
(
1
6
)
そこで,
(
1=
13)
4
f= 1X 1
0[
I
/
s
J,H = 30[mJ,
Cd = 2x1
03,τ= l
[d
y
n
/
c
n
i
J
として概算すればR
=6.7と な り , 定 常 な 状 態 に 関 し て
は,海岸に平行に吹く風の方が海岸に垂直に吹く風より
(
1
=1
)
(
1
=1
)
(
1
=1
3
)
(
1
=
2
5
)
(
1=
37)
(
1=
49)
も海面変位に及ぼす効果がかなり大きいことが分かる。
この理論は,かなり単純化されてはいるものの,風向き
図 3 数値モデルの水平メッシュと考察場所(丸印及び太実線)
と海岸線の関係を明確に示唆するものであり非常に興味
F
i
g
.
3 Mesheso
ft
h
emode
l
,t
e
s
tp
o
i
n
tandt
e
s
tl
i
n
e
.
深い。
ただし,流れの鉛直構造を考慮しないで鉛直平均のみ
を取扱った点,また海底摩擦を
ω式のように仮定した点
3 開口性湾域の海水流動シミュレーション
3
.
1 数値モデル及び計算方法
に問題を残す。たとえば,これに対する 一案として,海
関 2に示す通り,代表的関口件湾域である仙台湾につ
底 摩 擦 を 抵 抗 法 則(
7
)
式を用いて評価する代わりに海底
いて外洋域まで取り込んだ広域を対象海域として,夏季
Ekman層における Ekmanの 解 を 用 い て 評 価 す る な ど の
と冬季について海水流動の数値シミュレーションを行っ
方法が考えられる。今後
た。この数値シミュレーションでは海水流動の季節特性
これらについて検討する予定
である。
を調べるために,風の海:面応力によって 生 じる吹送流と
1
)
及 び'
(
2
)
式において無
なお,海岸のもっと近くでは, (
水温・塩分の偏差によって生じる密度流を考慮している。
視した移流項や水平渦粘性項も重要になると考えられる。
数値モデル及び計算方法等は前回の報告3) と全く 同様 で
また,海岸・海底地形によっては局地性湧昇などが生じ
あり,差分法を使用している。ただし,経度方向,緯度
る可能性があり,鉛直流速も考慮する必要があると思わ
, J, K
方向,鉛直深さ方向の差分表IJみ点を,それぞれ1
れる。
と表す。図 3に示す通り,水平方向には経度・緯度方向
1
2
0
JAMSTECR,38 (
1
9
9
8
)
ともに 2
.
5分の格子によって対象海域を 4
8X36に分割し
し,その数値シミュレーション結果について特に湾内の
た。また,鉛直方向にはシグマ座標で海面と海底の│笥を
海岸近くにおける流迷の鉛直方向分布や海面変位に着目
20層に分割し.地球自転の効果 (
C
o
r
i
o
l
i
s
効果)は 3面
してみた。
a
)
冬季(1992年 2月)及び(
b
)
夏
近似によって考慮、した o (
季 (1992年 8月)について
それぞれ北東風
(
6m/s)
現象時間で 7日後の計算結果について,図
3に丸印を
3
r55'
0
1=1
5,J=11)点つまり東経 141 0
5
',北緯
付けた (
お よ び 南 東 風 (4m/s
) の季節風を与えて 予報計算に
の地点における水平流速 (u u) の鉛直分布を図 4(
a
)
よる数値シミュレ ー ションを行った。
(
b
)に与えた。この地点は海岸から 20km
程度で近く, しか
も本州の海岸がほぼ南北に直線状に伸びた形状となって
3
.
2 結果及び考察
a)
冬季
いる。また,この地点の水深は 30m程度で、浅い。 (
前回は, 主 に外洋域との係わりにおいて海水の湾内へ
の場合,表層では U, Vの正負が風応力の正負に合致し
流入及び湾内からの流出などを調べる 自的で,数値シミュ
ており.風の向きにほぼ対応した向きに海水流動が生じ
レーション結果について特に各層における海水流動の水
ているが,深度数メートル以深の下層では U, Vともに
平分布に着目して考察を行った九今回は,湾内の海水
正負が逆転し明確な逆流が存在する。 (b)
夏季の場合,表
流動に及ぼす海岸及び海底の影響を調べることを目的と
層では冬季と同様に風の向きに対応、した向きに海水流動
1・ id
eo--
4
,
JJ' o J '
司
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)[cm/sJ
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1
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J
5
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1
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c
m
/
s
J
四 回
V(
c
m
/
s
J
回 一
-3
:
│
遡4 (
a
) 冬季(1
9
9
2
年2月)における(1=15,J=l1)点の水
平流述鉛直方向分布
F
'
i
g.
4(
a
i,
.
匂rticalprofilesofvelocitiesat(
1=15,J=l
1
)
p
o
i
n
ti
nwInter(Fobruary 1
9
9
2
)
.
8(
1
9
9
8
)
JAMSTECR,3
V[
c
m
/
s
J
3
2
図4 (
b
)夏季(19
9
2
年 8月)における(1=15
, J=l1)点の水
;
平i
混迷鉛直方向分布
F
i
g
.
4(
b
)V
e
r
t
i
c
a
lp
r
o
f
i
l
o
so
fv
el
o
c
i
t
i
e
sa
t(
I=1
5、J=l
1
)
pointi
nsummer (August1
9
9
2
)
.
1
2
1
2
0
日(
1
)[
庖
]
自 画面 画 面 画 面 画 面 司
o
E
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A(1)f
c
m
]
品
5
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2
0
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'
9
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I
~40
6
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0
時命時日(
I
)[
m
]
圃・- ~TA (I)
[
c
吋
一1
2
0
1
4
0
図 5 (a) 冬季 (
1
9
9
2
年2
月
〉 における水深および海面変位の経度方向分布 (
J=l
1緯線上)
F
i
g
.
5 (
aiLong
i
t
udi
n
alpr
o
f
i
l
e
so
fdep
t
handseal
e
v
elalong (J=
1
1)l
a
t
i
t
u
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i
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n wi
nt
e
r (Fe
bruary 1
9
9
2
)
.
6
0
4
0
曲・踊 栴
1
3
1
5
1
7
1
9
2
1
23
6
0
8
0
H(I) [
m
)
岬砂
10
0~
I
岨 酔E
T
A(1)[cm]
1
2
0
-!
4
.
0
図5 (
b
)夏季 (
19
9
2
年8
月)にお ける水深お よび海面変位の経度方向分布 (
J=l1緯線上)
Fig.
5
1
2
2
(
b
) Long
i
tudinalpro
f
i
l
e
sofd
e
pt
h and seal
e
v
elal
o
ng (
J=l
1
)l
at
i
t
ude1
inei
nsurnmer (Augus
t1
9
92).
1
9
9
8)
JAMSTECR,38 (
が生じているが, uの値に比べて vの値が非常に大きく
クロージャーサブモデルを組み込んだ三次元数値モデル
なっている。これは南北に伸びた海岸の影響であると思
を利用して,運動方程式の非線形項及び、水平渦粘性項も
われる。また,下層に冬季のような明確な逆流は見られ
考慮、して数値シミュレーションを行うことが有意義であ
ない。これらのことは風が海-岸の平行に吹いた場合の吹
ると考えられる。
送流理論によって定性的に説明できる。特に,図 4(
b
)に
示す夏季の場合における水平流速 vの鉛直方向分布を見
ると,全層にわたって風下の方へ強く流れており,第 2
謝辞
本研究における計算は主に当センタ一所有のコンピュー
章で理論的に考察した模式図(図 1
(
b
)
) にかなり類似し
タを使って行われたものであり,計算機の利用に際し御
た状況にあると推定される。
協力を頂いた当センター情報管理室の関係者各位に感謝
次に,図 3に太実線をヲ│いた (J=l1)線の (
1=11~
の意を表します。
0
2
5
) 範閤つまり北緯 3
75
5
'上 の 湾 内 域 に 相 当 す る 東 経
1
4
05
5
'
1
4
1 3
0
'の範囲について,海面変{立す (ETA)
0
0
及び水深 Hの経度方向(I方向)分布を図 5(
a)
(
b
)に与え
参考文献
1
) Blumberg,A
.F
.andG
.L
.M
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“A
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-
た。水深は経度方向に直線的に増加しており,図 2から
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も分かるように海底地形は沖に向かつて急激に深くなっ
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.
" p 1
1
6
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ている。海面変位は, (
a
)
の冬季の場合に比べて (
b
)の夏季
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lOceanModels,E
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の場合の方が明らかじ大きくなっているが,これは海岸
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. Heaps,2
0
8p
p
.(
1
9
8
7
)
によるせき止め効果として吹送流理論によって定性的に
2) 黒山 }
I
質二・工藤君明・三寺史夫:鉛直シグマ座標
説明できる。
系の三次元数値モデルによる関口性湾域の海水流
動に関する季節特性シミュレーション. 1
9
9
7年度
.
8
8
.(
1
9
9
7
)
日本海洋学会秋季大会講演要旨集, p
4 まとめ
開放性の高い湾域における海水流動の特性を理解する
3) 黒山 }
I
賢二・ 三寺史夫・工藤君明:沿岸海域におけ
ために,代表的関口性湾域である仙台湾及びその外洋域
るシグ、マ座標系三次元数値モデルとそれを用いた
を対象海域とし,乱流クロージャーサブモデルを組み込
開口性湾域の海水流動シミュレーション. 海 洋
んだシグマ座標系三次元数値モデルを用いて,吹送流及
科 学 技 術 セ ン タ ー試験研究報告,
び密度流の季節的海水流動の数値シミュレーションを行っ
(
1
9
9
8
)
3
7, 1
9
31
.
た。本稿ではその結果について,特に海岸近くにおける
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4
) Csanady,G
海水流動の鉛直方向分布に注目し,その特徴を物理的に
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7
9
p
p
.
解釈するために海岸及び海底の影響に関する理論的考察
(
19
8
2
)
を行った。 C
sanadyや宇野木らの比較的単純化された吹
5
) C
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n,B
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o Geophy-
送流理論によって,海岸近くにおける流速の鉛直方向分
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l, I
布や海面変位の水平方向分布を定性的に理解できること
3
2
0
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.(
1
9
9
4
)
6
) P
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が分かつた。
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g,3
1
0
p
p
.(
19
8
7
)
なお今後の課題であるが,本稿で考察した吹送流理論
は一様密度の場合であり
冬季については妥当であろう
7
) P
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.(
19
9
6
)
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V
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l
a
g,3
が特に夏季については成層効果の影響も調べる必要があ
ると思われる。また,本研究で、行った数値シミュレーショ
8
)
ンは吹送流の他に密度流も考慮されたものであり,数値
シミュレーション結果の物理的解釈には沿岸浅海域にお
ける密度流理論も考慮すべきである。逆に,沿岸浅海域
宇野木早苗・斎藤晃・小菅晋:海洋技術者の
ための流れ学,東海大学出版会
9
)
t
3
1
2
p
p
.(
19
9
0
)
宇野木早苗:沿岸の海洋物理学,東海大学出版会,
6
7
2
p
p
.(
19
9
3
)
における各種吹送流理論の妥当性や EkmanPj送流と地
衡流の関係等をもっと明確にするためには,密度を一定
(原稿受理:1
9
9
8
年 7月3
1日)
と仮定し比較的理想化された海域を設定した上で,乱流
jAMS
TECR,3
8(
1
9
9
8
)
1
2
3