なぜ部門間の協力が 進まないのか

なぜ部門間の協力が
進まないのか
周りを巻き込む 3 つの方法
ケース
堀内力也は、エレクトロニクスメーカーの技術マネジャーであ
る。
るけど、この製品だけにそんなに労力をかけることはできないん
だよ。うちは売上で評価されるので、売れる商品により多くの営
“アルファ”と命名された新製品の開発を任されており、3 人
業担当を割り当てなければならないんだよ。例えば、商品“ベー
の部下とともに開発プロジェクトを進めてきた。3 人とも非常に
タ”なんて、かなり前の商品だけど競合他社が手を引いちゃった
優秀であり、このプロジェクトチームは社内で一目置かれる存在
から売れて売れてしょうがないんだよ。あ、もちろんできる限り
だった。もちろん問題がなかったわけではない。アルファの開発
の協力はするよ。それでも、専任の営業担当は 2 人しかアサイン
に没頭するあまりに、既存商品の改良や不具合対応の要望をない
できない。申し訳ない。」
がしろにしてしまうことも多々あった。社内で孤立しかけたもの
の、アルファの成功がすべてを好転させると信じて、開発にまい
進した。そして、開発上の多くの問題を次々と解決していった。
生産部長の坂口も同じだった。「工場は生産性が最重要なので。
その 1 カ月後だったらラインが空くので、それまで待ってくれな
いか。いや 3 週間でいいや。何とか調整するよ。それで我慢して
基本設計レビュー、詳細設計レビュー、試作品評価を無事に通
くれないだろうか。生産性をあげるためには稼働率を平準化しな
過し、次は最後の事業計画レビューである。事業部長をはじめ、
ければならないことは、堀内さんだってわかっているでしょ。」
営業部長、生産部長、品質管理部長をはじめ、それ以外にもすべ
しかし、量産スタートが 3 週間も遅れれば、旬の時期を逃してし
ての関係者が招集された。
まう。売上計画に達しないことが目に見えている。「事業部全体
事業計画を発表するのは、堀内である。製品開発結果や品質問
題だけではなく、市場環境や競争状況、需要予測と売上計画、生
産計画と生産コスト、設備投資と償却計画、そして最終的な収支
予測、さらには想定されるリスクと対応策を説明した。
で承認されたプロジェクトなんですよ。やってもらわなければ困
るんです。やる義務があるんですよ。」そう言う堀内に対して、
「売れなかったらどうするの。投資回収できないじゃないか。リ
スクを負うのはいつも生産部なんだよ。だから、こっちの都合を
最優先してくれないと。」と坂口の怒りを買ってしまった。
説明は完璧だった。もちろん、この段階では詳細までは詰めら
れていないものの、概要レベルは十分に伝わった。事業部長は大
いに満足した。営業部長や生産部長をはじめ、この事業に今後関
わっていくすべての人がわくわくするような内容だった。その場
にいた全員が、この計画通りに進めるべきだと口々に言った。
この会社では、開発プロジェクトのリーダーが、そのまま事業
責任者になる慣わしになっている。開発が終わった今、堀内は事
業責任者としての役割を担うことになった。
堀内は、詳細計画を詰めた。“この製品には、事業部長をはじ
め、すべての部門が前向きになってくれている。方向性は完全に
一致している。”そう思うと、大変な業務の中でも安堵を感じた。
「4 人にしてもらわないと困るんです。そうしてもらわないと、
事業計画レビューで承認された売上計画通りにいかないんですよ。
越本部長だって、計画通りに進めるべきだって言ったじゃないで
すか。」営業部門のフロアで、堀内の声が響いた。越本は営業部
長であり、事業計画レビューにも出席した。堀内が説明した計画
を高く評価し、協力を約束していた。「とはいってもねぇ。うち
はいろんな製品を売っているので。協力する気持ちはもちろんあ
2 ©富士ゼロックス総合教育研究所
なぜうまくいかないのか。何がいけなかったのか。
組織の壁を形成する 5 つの要因
富士ゼロックス総合教育研究所では、1994 年より人材開発問
題の時宜を得たテーマを選択して調査・研究を行い、『人材開
「組織の壁を形成する要因は、○○○○だ。」
発白書』として発刊しています。
2011 年から 4 年間にわたり、「なぜ戦略は実行されないのか」
という問題意識のもと、ミドルマネジャーの役割に焦点を当
この○○○○には、どのような言葉が入るでしょうか。
て、6 種類の定量・定性調査を実施しました。分析結果は、各
各社が置かれている状況は様々です。また、各人はそれぞれ違
年の『人材開発白書』で報告され、また『戦略の実行とミド
った経験をしています。それゆえ、多様な要因が挙がったことと
ルのマネジメント』
(同文舘出版)にまとめられています。
思われます。とはいうものの、それらはいくつかに集約されます。
本コラムは、これらにもとづいて書かれています。なお、『人
企業のミドルマネジャーを対象に、他部門との連携が上手くいか
材開発白書』のバックナンバーは、弊社のホームページ
なかった理由を調査しました(『人材開発白書 2013』)。1,023
(http://www.fxli.co.jp/)よりダウンロードできます。
人の回答データを統計的に分析したところ、以下の 5 つに集約さ
れました。

相互の方針のずれ

相手部門の能力・人手不足

自己の連携構築力不足
ープ、謝礼がもらえるグループ、謝礼が慈善団体に寄付されるグ

部門重視の制度
ループです。結果は、1 番目と 3 番目のグループが 50%を超える

心理的なわだかまり
スウェーデンの経済学者が行った、献血に関する興味深い調査
があります。153 人の女性を 3 つのグループに分けて献血を実施
する割合を調査しました。その 3 つのグループとは、無償のグル
人が献血したのに対し、2 番目は 30%に過ぎませんでした (注
1)。
文化人類学者の小田亮先生は、互いに助け合うのが人間本来の
「相互の方針のずれ」は、相手部門と方針や関心ごとがずれて
姿ではないかといいます。例えば、東日本大震災では被災者同士
いることです。「相手部門の能力・人手不足」は、期待する能力
が助け合い、また多くのボランティアが何の見返りも期待せずに
が相手部門になかったり、あったとしても忙しくて余裕がないこ
被災地に駆け付けました。
とです。「自己の連携構築力不足」だけは自分自身のことで、連
ところが、人間の利己的な行動、つまり自分や自部門のことだ
けを考え、他者や他部門への協力をおろそかにするという行動は、
よく見られることです。これに対して、小田先生は 1 つの可能性
に過ぎないと前置きしたうえで、次のような説明をしています。
携をマネジメントする能力が足りないことです。「部門重視の制
度」とは、評価制度等の各種制度が部分最適を助長するものにな
ってしまっていることです。そして、最後の「心理的なわだかま
り」は、感情面のことです。
「職業や社会的地位、さまざまな社会制度といったものが邪魔
をして、それ(互いに助け合う行動)を十分に発揮できていない
組織の壁を形成する 5 つの要因
のだ、とも考えられる (注 2)。」
この 5 つの影響の大きさは同じではありません。連携構築にと
って大きな障害になるものもあれば、それほどならないものもあ
私たちが働く会社の中にも、組織の壁がたくさんあります。
お互いに協力したいという気持ちはあっても、知らず知らずのう
ちに壁が出来てしまうのです。このような壁は、なぜ生じてしま
うのでしょうか。また、その壁を乗り越えて協力し合うためには、
何をすべきでしょうか。部門を率いるミドルマネジャーに焦点を
当てて考えます。
ります。それを表したのが図表 1 の棒グラフです。
なおこの値は、それぞれ 3∼6 つの具体的な質問の 5 段階評価
を平均したものです。5 に近いほど障害に感じており、1 に近い
ほど障害に感じていません。3 は「障害になっているともなって
いないともいえない」という中立的な回答です。
©富士ゼロックス総合教育研究所 3
最も障害に感じているのが「相互の方針のずれ」です。お互い
の部門の利害や関心ごとが一致していなければ、当然のことなが
ん。どうすればそのようなことができるのでしょうか。その具体
的な方法を 3 つ紹介します。
ら協力を取り付けることは難しくなります。
しかし、それ以外にも理由がありました。「同じ会社・事業部
だから方向性は同じだろう。だから、言えば分かってくれるだろ
う」という安易な気持ちで、連携を進めようとしていたのです。
会社や事業部が同じでも、機能が異なれば必ず利害や優先順位が
異なります。ケースでいえば、技術部門と営業部門あるいは生産
部門とは、大きな方向性では一致していましたが、細部になると
対立点が顕在化しました。こうした現実から目を背け、自分の都
合だけで連携を進めようとする姿勢が問題なのです。
周りを巻き込むために(1)_臆せずに一歩踏み出す
この方法は、利害対立を解決できるものではありません。しか
し、最も基本的なことですので、お伝えします。
ある研究結果を紹介します。2000 年代半ばのことです。組織
行動学者のフランシス・フリンらが「他人がどのくらい頼みに応
じてくれるか」という調査をするために、学生アルバイトを募集
して、大学近くの街角で通行人に実際に頼みごとをしました(注
2 番目の問題は「相手部門の能力・人手不足」です。これは
3)。依頼に応じてくれる人の目標人数を決め、その目標に達す
「相互の方針のずれ」に通じるところがあります。相手部門は、
るために何人に頼む必要があるのかを調べたのです。複数のアル
相手部門の方針や計画の下で人員・工数計画をたて、また人材育
バイトにこの調査をしてもらい、最終的に依頼人数の平均を出し
成をしています。そこに割り込んで入っていこうとするのですか
ました。
ら、人や時間を融通しかねるのは当然のことです。
部門化がなされ、各部門に役割と目標が与えられた瞬間に、必
ずどこかに利害の不一致が生じてしまいます。これは仕方のない
ことです。他の部門と連携しようとしたら、この利害の不一致か
ら目を背けてはいけません。そして、利害が一致しない中でも、
依頼内容と目標人数は以下の 3 つです。
・5-10 分程度の短いアンケートを、5 人に回答してもらう。
・3 人から携帯電話を借りて、電話をさせてもらう。
・1 人に、3 ブロック先の体育館まで連れて行ってもらう。
ミドルマネジャーは何とかして協力を取り付けなければなりませ
図表 1 ミドルマネジャーが感じる部門間連携の障害
因子
質問項目の要約
平均(5段階評価)
2.0
相互の方針のずれ
部門間で方針や関心ごとがず
れていることや、戦略や課題
が共有されていないこと
相手部門の
能力・人手不足
相手部門に期待する能力がな
いことや、協力する余裕がな
いこと
自己の連携構築力
不足
一段上の視点に立って部門間
をうまくまとめていく能力が
十分でないこと
部門重視の制度
他部門への協力や部門間の柔
軟なやり取りを阻害するよう
な制度や風土
心理的な
わだかまり
過去のうまくいかなかった経
験などにより、心理的な抵抗
感があること
2.5
3.0
3.5
4.0
3.6
3.4
3.3
3.0
2.7
出所:富士ゼロックス総合教育研究所『人材開発白書 2013』
4 ©富士ゼロックス総合教育研究所
図表 2 他人がとのくらい頼みに応じてくれるか
調査内容
事前予想
(平均)
実績
(平均)
調査の完遂率
5‐10分程度の
短いアンケート
への回答
5人に答えてもら
うために、何人に
頼む必要があるか
20.5人
10.0人
81%
携帯電話を借り
て、電話をさせ
てもらう
3人から借りるま
でに、何人に頼む
必要があるか
10.1人
6.2人
3ブロック先の
体育館まで連れ
て行ってもらう
1人に連れて行っ
てもらうまでに、
何人に頼む必要が
あるか
7.2人
依頼事項
果たして目標人数に達するまでに、何人に頼まなければならな
かったかでしょうか。結果は図表 2 の通りでした。思ったよりも
70‐75%
2.3人
に頼んでも上手くいきません。頼み方の工夫が必要です。どのよ
うに頼むべきなのかを、別の調査データを使って考えます。
はるかに少なかったことでしょう。もちろん、国民性の違いもあ
ります。大学周辺という立地状況も影響したことでしょう。しか
し、研究グループの事前予想人数よりも大きく下回っています。
このことからいえることは、“人は、相手は頼みに応じてくれな
いと考える傾向にある”、あるいは“思ったよりも、人は頼みに応
じてくれる”ということです。
周りを巻き込むために(2)_相手のメリットを訴える
他部門を巻き込んで成果を上げている優秀なマネジャーを 1 人
思い浮かべてもらい、各項目がどの程度当てはまるかを 5 段階で
回答してもらいました。その回答結果が、図表 3 の赤紫色の棒グ
さらに興味深いことがあります。調査の完遂率です。このよう
ラフ(上側)です。この棒グラフが長い順に並び替えています。
な調査の完遂率は、通常は 100%です。しかし、アルバイト内容
上位に挙がっている項目が巻き込み力のあるマネジャーの特徴
の説明を聞いた後に拒否したり、あるいは何人かの通行人に断ら
だと考えるのは、少し早合点です。普通のマネジャーも頻繁にと
れてしまったことで気持ちがなえてしまい、途中で止めてしまう
っている行動かもしれないからです。
人が続出したといいます。この事実から言えることは、“人は頼
むことが嫌いだ”ということです。
そこで、この棒グラフの下に別の棒グラフ(青色)を重ねます。
これは、自部門の力だけで成果を上げている優秀なマネジャーを
では、なぜ頼むのが嫌なのでしょうか。堂々巡りになってし
一人思い浮かべていただき、同じ質問に回答してもらった結果で
まいますが、相手が頼みに応じてくれないと思い込んでいるから
す。図表右側の棒グラフ(薄紫色)はギャップの大きさを表して
です。しかし、調査結果からも分かるように、人は思ったよりも
います。このギャップが大きい項目こそが、巻き込み力のあるマ
頼みに応じてくれます。この堂々巡りを断ち切るためには、まず
ネジャーの特徴的な行動です。
は思い切って頼んでみることが大切です。
まず、2 番目にギャップが大きかった「⑫すべての関係者が
さて、ケースの堀内マネジャーは、営業部長や生産部長に対し
Win-Win になる方法を考えている」に着目します。組織の壁は利
て臆することなく、協力を依頼しに行きました。しかし、上手く
害の不一致がもとで形成されることが多いことを思い出せば、こ
いきませんでした。臆せずに頼みにいくことは大切ですが、闇雲
の項目の重要性が理解できるでしょう。利害が一致していない場
©富士ゼロックス総合教育研究所 5
周りを巻き込むために(3)_信頼残高を増やす
合は、自分のメリットや思いをいくら熱く語っても意味がありま
せん。相手にとってのメリットを訴えなければ首を縦に振っても
ところがどんなに相手のメリットを訴えても、なかなか納得し
らえないのです。
てもらえないこともあります。依頼する前に勝負が付いているこ
とはいうものの、そもそも利害が対立しているのに、相手のメ
ともあるのです。
リットを考えることは容易ではありません。そこでヒントを 1 つ
相手が協力依頼に応じるかどうかは、依頼内容だけでなく、依
だけ紹介します。範囲を広げてみてください。時間的にも空間的
頼する人でも判断します。実際、私どもが実施したインタビュー
にも狭い範囲で考えている限りは、アイデアも限定されてしまい
調査では、「よくわからないけど、この人が言っているのなら間
ます。
違いないだろう」とか、逆に「言っていることは正しいかもしれ
ケースを題材に例を示します。営業部の越本部長は、確実に売
ないけど、何かありそうだなぁ」という意見が散見されました。
上が見込める旧商品のベータに営業リソースを割く方針を立て、
ここでもう一度、図表 3 に戻ります。最もギャップが大きい項
堀内マネジャーが開発した新商品アルファには多くのリソースを
目は、「⑤他部門からの依頼に積極的に応えている」でした。
割こうとしませんでした。短期的にはその方針は正しいかもしれ
“信頼残高”(注 4)という言葉があります。銀行の預金残高をメ
ませんが、中期的にはそうともいえません。それであれば「成熟
タファーにした言葉であり、信頼に足りる行動をすれば残高は増
商品のベータはいずれ売上が減少します。将来にわたって売上を
え、裏切れば減ってしまいます。図表 3 は、いざというときに協
維持できるように、いまからアルファという次の商品を一緒に育
力を取り付けられるよう、日ごろから信頼残高を増やす努力が必
てましょう」と訴える方法もあるでしょう。また、投資回収のリ
要だということを示唆しているのです。
スクを気にする生産部の坂口部長に対しては、外注工場の活用を
提案するのもよいでしょう。生産ラインを無理やり空ける必要も
ケースの堀内マネジャーはどうだったでしょうか。新商品アル
なく、かつリスクも抑えられます。
ファの開発に没頭するあまりに、既存商品の改良や不具合対応を
図表 3 他部門を巻き込んで成果をあげている課長の特徴的な行動
当てはまる程度を5段階で回答
他部門を巻き込んで成果をあげている課長の特徴
自部門の力で成果をあげている課長の特徴
n=1023
3
3.5
4
4.5
両者の差
‐0.5
+0.5
①分かりやすい表現で自分の考えを伝えている
②他者に対して誠実に対応している
③全体最適を考えて優先順位を付けている
④相手の状況を把握することに努めている
⑤他部門からの依頼に積極的に応えている
⑥誰に対しても明るく、親しみやすく振る舞っている
⑦困難に直面しても最後まであきらめずにやり抜いている
⑧幅広い知識・スキルに精通している
⑨業務やプロジェクトの進捗管理を適切に行っている
⑩既存の枠にとらわれずに発想している
⑪ときには強引な交渉をする
⑫すべての関係者がWin‐Winになる方法を考えている
⑬失敗を恐れず行動している
⑭専門的知識・スキルを持っている
出所:富士ゼロックス総合教育研究所『人材開発白書 2013』
6 ©富士ゼロックス総合教育研究所
先送りしてしまっていたのです。こうした行動は信頼残高を減少
させます。他の部門からの依頼をないがしろにしてきたにもかか
【お問い合わせ先】
わらず、他の部門に協力を求めることは、少し虫が良すぎます。
富士ゼロックス総合教育研究所では、このような組織課題に
対応した研修・コンサルティングサービスを多数用意してお
ります。貴社の課題にあった提案をさせていただきますの
で、ぜひ、ご相談ください。
他の部門の人は「いざというときに梯子をはずされるかもしれな
い」と感じることでしょう。堀内マネジャーが普段から信頼残高
を増やすための努力をしていれば、営業部長と生産部長も前向き
に知恵を絞ってくれたかもしれません。
株式会社富士ゼロックス総合教育研究所
マーケティング部
注 1:Mellström, C. and Johannesson, M.(2008) Crowding Out in Blood
Donation: Was Titmuss Right?, Journal of European Economic Association, Vol.
Tel :03-5574-1701
Email:[email protected]
6, No. 4, pp. 845-863.
注 2:小田亮(2011)『利他学』,新潮社。カッコ内は著者による追記。
注 3:Flynn, F. J. and Vanessa, K. B. L. (2008), If you need help, just ask:
underestimating compliance with direct requests for help, Journal of
Personality and Social Psychology, Vol. 95: 128-143.
注 4:社会心理学者の Edwin. P. Hollander が 1970 年代に提唱した信頼蓄
積理論を起源にする。また、信頼に関する世界的権威の山岸俊男も、相
手に信頼してもらうためには信頼に値する行動をとり続けなければなら
ないと述べている(山岸俊男(1998)『信頼の構造: こころと社会の進化ゲ
ーム』、東京大学出版会)。

富士ゼロックス総合教育研究所とは
1989 年に富士ゼロックスの教育事業部が独立してできた会社
です。富士ゼロックスや、そのグループ企業 2 万 3 千人を超
える人材の教育や人事制度改革を手がけるなど豊富な経験に
より、単なる理論研究やコンサルティング業務だけでは得ら
れない貴重なノウハウを蓄積してきました。こうした長年の
経験に裏付けられた各種プログラムや組織の仕組みづくりに
関する方法論を駆使して、
「人と組織のマネジメント」全般に
わたるコンサルティングサービスを提供。現在では、自動
車、医薬品、情報サービス、電機、通信、金融、官公庁など
800 社を超えるお客さまへ、
”戦略を成果へと導く確かなソリ
ューション”をご提供しています。
http://www.fxli.co.jp/
【著者】
坂本
雅明(さかもと まさあき)
富士ゼロックス総合教育研究所 研究室長/
首都大学東京大学院ビジネススクール 非常勤
講師
1969 生まれ。1992 年に NEC 入社。NEC 総研を経て 2006 年より
現職。戦略策定・実行プロセスの研究に従事。また、戦略策定の
研修・コンサルティング、戦略策定合宿の企画・ファシリテーシ
ョンを担当。一部上場企業の顧問として中計策定や新事業開発、
子会社の経営支援にも携わる。首都大学東京では社会人学生向け
に戦略策定コースを担当。一橋大学大学院修了(MBA)、東京工
業大学大学院博士後期過程修了(博士(技術経営))。
主要著書に『戦略の実行とミドルのマネジメント』(同文舘出
版、2015)『事業戦略策定ガイドブック:理論と事例で学ぶ戦略
策定の技術』(同文舘出版、2016)
©富士ゼロックス総合教育研究所 7
8 ©富士ゼロックス総合教育研究所
Xerox、Xerox ロゴ、および Fuji Xerox ロゴは、米国ゼロックス社の登録商標または商標です。