H24 糖尿病ケアチーム通信 第4号 糖尿病と認知症 糖尿病患者は認知症になりやすい 最近、糖尿病性認知症という言葉をよく耳にします。 それは糖尿病の患者さんに認知症が多く、糖尿病がある と認知症になりやすいという成績がいくつかの調査研究 によって報告されたからにほかなりません。たとえば、 わが国で行われている世界的に有名な久山町研究(福岡 県久山町)によりますと、2型糖尿病が近年急激に増え てきていることと、2型糖尿病があると糖尿病のない方 に比べて3倍も認知症になりやすいというものです。し たがいまして今後ますますわが国では糖尿病による認知 症、糖尿病性認知症の増加が見込まれます。 しかし、糖尿病性認知症の治療を考えますと、現在決 定的な治療法がないうえに、治療の不遵守による合併症 が起こりやすい点で、糖尿病や認知症の予防と早期発見が きわめて重要となります。 糖尿病性認知症の治療 生活習慣から生じる糖尿病の予防や治療は、生活習慣の修正から始めるのが基本です。と くに糖尿病に合併する高血圧、脂質異常症については、中年期の治療が老年期の認知症発症 を予防する鍵と考えられています。2型糖尿病そのものについては糖尿病治療薬が認知症発 症を予防できるかどうか、目下研究中ですが、わずかにインスリン抵抗性改善薬が早期アル ツハイマー病を合併した糖尿病患者さんに用いられ、脳保護作用が認められています。研究 期間が短く少数例での研究ですが、糖尿病性認知症を治療する際に一度と試みてもよい治療 法と考えられています。また、運動 (毎日の散歩や屋内歩行など)やレ ジャー活動、ゲームや読書、野菜(ホ ウレンソー、ブロッコリーなどの緑 色葉野菜)や魚料理も認知症の発症 予防に有用であったと報告されてお ります。糖尿病では運動療法や食事 療法が不可欠ですが運動やレジャー 活動はゲームや読書と同じように神 経回路網を増やし、脳を強化して認 知症の発症を抑えている可能性があ ります。 次回の糖尿病チーム勉強会は、11月12日(月)当院本館3階大会議室にて、17時15 分から「血糖降下薬」について行います。 勉強会、糖尿病教室の詳細や糖尿病ケア通信についてのお問い合せは、糖尿病外来担当(福 文責 理学療法士 目時 沢)までご連絡下さい(23-5121)。
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