内視鏡下手術に最新設備を導入 当院外科では平成4年より近隣の病院にさきがけて内視鏡下手術を導入しその普及に努めてきました。今ま での手術件数は 1000 件を越えようとしています。平成16年よりは、内視鏡下手術の経験豊富な医師の充実 を図っています。内視鏡下手術件数は年間 110 件を越え、全身麻酔手術の約半数が内視鏡下で行われています。 そこで当院では、内視鏡下手術をより安全に確実に行い、当院を利用される方々に最新医療を提供できるよ うにするために、内視鏡下手術関連の最新設備を導入しました。 吊り下げ型大型液晶モニター オペレーションセンターの手術用無影灯更新の機会に、 内視鏡下手術専用室に天井吊り下げ型の液晶モニターが設 置されました。21 インチの高性能モニターが、無影灯操作 用のアームに設置されており、アームの操作で自由に移動 できます。 従来は、TVモニターは光源・気腹装置などの手術関連 機器と一体化されたカートの上に設置されていました。こ のため手術室内の移動には制限があり、また実際の手術の 目標臓器とモニターの方向にズレができるため、円滑に手 導入された吊り下げ型液晶モニター 術を行うにはある程度の慣れが必要でした(下の図)。 従来の内視鏡手術関連機器の配置と手術風景 TVモニターがベッドの 左右にあり、手術操作の 方向と視線にはズレが生 手術風景:モニターは体の真上に置かれている 助手 執刀医 じています 視線→ 操作方向→ 介助看護師 内視鏡操作医 これに対して、吊り下げ型モニターは目標の内臓の上 に移動させることができるため、違和感のない手術がで きるようになりました。また、内視鏡操作担当医も介助 看護師も同じ画面をみて手術の補助ができるようにな り、手術時の連携もスムーズに行えます。大型画面の液 晶モニターのため画面が明るく鮮明になり、画面を近く におけるため、術者のストレスも軽減されました。 手術スタッフが同じ画面を見て手術を行う 先端CCDカメラ方式屈曲型スコープ オリンパス製 LFT TYPE V3 ビデオスコープ 従来の手元カメラ方式ではなく、先端にCCD(小 先端の屈曲性能により 型カメラ)搭載の内視鏡スコープ採用により、より鮮 明な明るい画面が得られるようになりました。 さらに、従来のスコープが棒状であったのに対し、 先端部が屈曲可能となり、従来見にくい場所とされた 内蔵の辺縁や、腹壁・胸壁もよく見えるようになまし た。これにより、腹部や胸部の手術がすみずみまで行 えます。 内臓の奥深い所や壁側も 自由に観察できます 当院外科で行っている内視鏡下手術 の種類と件数を紹介します。 平成17年の内視鏡下手術件数 平成 17 年の内視鏡下手術の件数は 117 件でした。これは 当院外科の年間全身麻酔手術件数 233 件の約 50.2%です。 手術の種類 胆石手術 胆嚢結石症に対する内視鏡下胆嚢摘出術はすでに一般化 手術件数 内視鏡下手術の率 46 82% (うち胆管結石10) されていますが、当院では胆管結石症に対しても積極的に内 肺切除 22 100% 視鏡下手術を行っています。胆石症例での内視鏡下手術の率 胃切除 11 37% 甲状腺腫瘍切除 11 79% 大腸切除 14 45% 膵切除 3 43% は 82%に達しています。 胆嚢摘出術の手術中 癒着剥離 4 潰瘍穿孔修復 3 副腎摘出 1 胆嚢摘出術後の傷(3穴法) 鼠径ヘルニア手術 1 呼吸器外科手術は、金沢医科大学呼吸器外科 縦隔腫瘍切除 1 その他 佐川元保教授(当院非常勤医師)と連携して行 計 117件(50.2%) っています。肺切除手術は全例内視鏡下手術(補 助手術を含む)でした。 またそれ以外に、胃・大腸などの消化管の手 術、甲状腺の手術などは内視鏡下手術に適した 方を選択しながら行っています。 内視鏡下手術は傷が小さく組織の損傷が少な いため、痛みが軽く回復の早い低侵襲手術とい われています。今回の最新設備導入により安全 性がさらに向上し、安心して受けていただける ようになりました。 私たちが内視鏡下外科手術を担当しています 佐久間副院長(左)と吉光外科部長(右) 佐川非常勤医師 (金沢医科大学教授)
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