北陸の眼科医をつなぐ情報マガジン vol.8 特別号 FREE PAPER 眼科医療の 地域向上を目指して 対談 金沢大学医薬保健学域 医学系視覚科学(眼科)教授 杉山和久 金沢医科大学眼科学講座主任教授 佐々木 洋 福井大学医学部眼科学教室教授 稲谷 大 大学医局最前線 富山大学医学薬学研究部 眼科学講座教授 高比良雅之/小林 顕 林 篤志 金沢大学附属病院眼科 富山大学附属病院眼科 上田朋子/中村友子 北陸は、人口300 万人圏内に 四つの医学系大学がひしめき合う全国的にも特殊な地域である。 今年、金沢大学教授就任10 周年を迎えた杉山和久教授の呼びかけで、 金沢医科大学・佐々木洋教授、福井大学・稲谷大教授、 富山大学・林篤志教授が一堂に介した。 出席者:順不同 林 篤志 金沢医科大学眼科学講座主任教授 福井大学医学部眼科学教授 富山大学医学薬学研究部眼科学講座教授 杉山 和久 稲谷 大 「教育」から始まる、 大学眼科の魅力 杉 山 ● 実は、私が金沢 大 学の教 授に 就任いたしまして今年でちょうど 周 演会などで 人が顔を合わせることは た杉山先生に感謝を申し上げます。講 林●このような機会を作ってくださっ いい機会になればと考えております。 て北陸の眼科医の皆様にお伝えできる に考えておられるか、同門会誌を使っ いいか。それぞれの先生方がどのよう 眼科医療をこれからどうしていったら 教授の顔ぶれも変わりまして、北陸の 年を迎えました。その間に、各大学の 10 会で 人の先生方が集まることは多い 生、ありがとうございます。いろんな ような機会を設けていただいて杉山先 佐々木●ほんとにそう思います。この 非常に大きな意味があると思います。 なかなかありません。そういう意味で していったらいいかを話しあう機会は あっても、これからの眼科医療をどう 4 たので、こういう機会を得て実際どう はわたしが着任して初めて交流ができ はいましたが、林先生、佐々木先生と したりしていますのでお互いわかって 上 げ たい。緑 内 障 学 会 などでお 会い 稲 谷 ● 私 も ま ず 杉 山 先 生に 感 謝 申 し が飛び出すか楽しみにしております。 なかありませんので、今日はどんな話 めに北陸の眼科医療を語ることはなか しゃるようにこうしてゆっくり、まじ ですけれども、実際には林先生がおっ 4 佐々木 洋 金沢大学医薬保健学域医学系視覚科学教授 いうことを考えておられるかがわかっ て、とても有難いと感じております。 杉山●さて、最初に「大学眼科の魅力 づくり」についてわたしから口火を切 らせていた だ き ま す。 私 は、 教 授 に なって第一に診療や研究の業績をあげ してそれぞれの領域で専門家を育てる ること、論文を書くこと、専門分化を ことに重点を置いてきました。しかし 年間やってきて今、反省しているの ど うい う 教 育 を 提 供 で き る の か を 示 います。それは私たち指導する側が、 育を受けられるか非常に関心を持って て、今の医学部の学生は、どういう教 私たちが眼科に入局したころとは違っ 林●私も教育に重点を置いています。 視して今、力を入れているところです。 教育、入局後の若手教育。これを重要 傾 向 があります。学 生 教 育、研 修 医 かり教育したところに入局者が増える て皆さん困っていると思いますが、 しっ す。臨床研修医制度で入局者が少なく 徹底し、若手の育成に力を入れていま りました。今は、マンツーマン教育を 一の使命ではないかと考えるようにな が、まずは良い医師を育てることが第 大事で、臨床のための研究は重要です す。それには良い医師を育てることが 療は 結 局、患 者 さんのためにあ り ま て、教育して良い医療を提供する。医 でいます。若い医師に入局してもらっ 年くらいから教育に重点的に取り組ん いかということです。それで 2010 は、教育が少し疎かになったのではな 10 年生、 年生の臨床実習の機会に、 手術の助手などに入ってもらって眼科 さないと学生が興味を持ってくれない ことを意味しています。まずは、学生 医 療 を 体 験 させています。 結 局、実 分で 検 査ができ ないことには面 白 さ が求めるものを提示して、私たちはこ 佐々 木 ●たしかに今、眼 科は入 局 者 はなかなかわかってもらえない。でき 際 にやってみないと 眼 科 に 興 味 や 魅 を 集 めるのが 大 変 に なってきていま るだけ患者さんを学生に診てもらい、 ういう教育ができると言うことを見せ す。学生にアピールはしていますが、 手 術 だったら手 術 顕 微 鏡 を 横でのぞ 力 を 感じてもらえません。眼 底 を 見 実 際の入 局にはなかなかつながり ま かせて、手 を 動 かして 簡 単 な 糸 切 り たり、顕 微 鏡 を 使ったり、実 際 に 自 せん。そんななかで、私たちは学生の だと思います。 6 る。そこからスタートすることが大事 5 から全 身へと言 う 医 学の流 れを 実 感 んどん入ってもらって今、言われた目 ういう 意 味でも 眼 科に優 秀 な人にど としてたくさんの研究者がいます。そ くに 網 膜、視 神 経は脳の研 究モデル 外 科と眼 科に優 秀 な人が集 まる。と 杉山●いいお話です。アメリカは、脳 思います。 ことがかなり密接につながっていると ど れ だ け 実 習 できるかと 眼 科 を 選 ぶ などをさせてみる。学生からすると、 てもらうかを工夫しています。 年生 に、学生実習の時にいかに興味を持っ 実践的にやらせてみる。私も同じよう 科の手術を体験させるというように、 佐 々木 先 生のように 助 手 につけて眼 生のように写真を撮らせて教えたり、 学 生 実 習 が重 要になり ます。杉 山 先 かで 眼 科 に 興 味 を もっても ら う には 研修に来るチャンスが少ない。そのな 林 ● 今の初 期 研 修 制 度では、眼 科に 動することが大事だと思います。 生に 見せると 感 動します。やはり 感 り、これが眼 底の視 神 経 乳 頭 だと 学 ています。実 際 に 眼 底 写 真 を 撮った 方などを、私 自 身が直 接 学 生に教え ので、私のところでも実習で眼底の見 学、経 験の 積み 重ねが大 きい学 問 な だと思います。臨 床 医 学は体 験の医 た学 生 実 習で体 験させることも重 要 してほしい。佐々木先生がおっしゃっ かはこちらの出方にかかっています。 らないので、いかにその魅力を伝える 書いてきます。学生は眼科のことを知 白い診療科であることが分かった」と トをつくっているけど、実習をして面 なかった。実際にはメガネやコンタク はこれまで何をしているか良くわから らうのですが、学生は「眼科というの で臨 床 実 習の最 後 に 感 想 を 書いても 5 後期研修医、 臨床を一通り経験し専門の道へ 佐々木●皆さん実地教育を重視してお いし二つ。一つだけだとなかなか地方大 マイティにできたところで専門を一つな 学では究めるのは難しい。一つの専門分 野とサブの専門分野をやるように、後 すぐに治療や医療を受けられる国は少 つだと思います。実際に日本のように ころに学生を一緒に連れて行くのも一 民のいるアジアや中国とかいろんなと 外にも出かけますが、たとえば貧困農 たちは疫学研究にも取り組んでいて海 があればと考えているところです。私 やすいので、もう少しプラスアルファ ます。そういう人たちが入局者になり て外科ですね」と言う反応が返ってき ことをさせてあげると意外に「眼科っ いと考えていて、できる限りいろんな 年生が将来の入局者になる可能性が高 ういう意味では、臨床を一通り 勉 強し に求められていることだと思います。そ い眼科医に育てるか。それが教育機関 だと思う。実際の入局者を、いかに良 それが今、杉山先生がおっしゃったこと とする医師はとても重要な人たちです。 眼科に入っている、これから入局しよう で考えなくてはいけない。ですから今、 は入局者が少ないぶん減るという前提 ました。これからを考えると、眼 科医 大変だという印象を植え付けられてき 少ない科があって、そういう 診 療 科が 小児科、麻酔科、産婦人科など人手が 林●初期研修が導入されて、内科とか 期研修医に言っています。 ない。目の疾患で失明して QOL が落 てもらって、なお且つ自分の専門分野を られるので安心しました。私たちは そういうところを見て、眼科は活躍で ちている人は世界にたくさんいます。 要だと思います。 深めてもらう教育スタイルは絶対に必 す。網膜、緑内障、角膜、白内障、斜視・ を勉強することが大切だと考えていま 教育するか。私は最初の段階ですべて 門医を取るまでの後期研修医をいかに す。入局してきた若手医師の教育、専 人口は北陸三県で 300 万人くらいで 後 には 新 幹 線の 開 業 も 控 えていま す。 などで交通面の移動がしやすく、二年 面積的には狭いですし、北陸自動車道 携 も 重 要 で す。 北 陸 は 特 殊 な 地 域 で、 杉山●これからは大学間、地域間の連 これからの交流 大学間連携への始まり きる場がいっぱいあることを知っても らいたいと思っています。 杉山●教育に対する皆さんの思いは共 通だと思います。私自身は今、入局し 弱視、腫瘍、神経眼科そういうものを 国的に見ても人口の割に大学の数が多 すが、医 学 系の大 学が4つもある。全 特別座談会 てからの教育が大事だと痛感していま 専門分野を決めていく。全体がオール くまなく、最初の段階で勉強してから 未来の北陸の眼科医療を考える 6 いま す。 具 体 的 には、関 連 病 院での が連携できたらすごい力になると思い れぞ れ 独 自 に研 究 をしている。そ れ 人の教授がいて、その下に医局員がそ 受 け 入 れるとか、共 同 研 究 をするの から研 究 ができますし、大 学 院 生を れるような気がします。いろんな角度 ることでより 研 究 面の業 績 も 上 げら 大学では少ないので、お互いに協力す 目は研究の連携です。症例数は一つの とは可能ではないかと考えます。 つ 他の分野でもそういう連携を進めるこ いうエリアに、つくりあげていけたら 生のリーダーシップのもとでぜひそう 画 期 的な試みだと思います。杉 山 先 大学にはないシステムなので、非常に いという話だと思います。まだ日本の の交流とか研究の交流をやっていきた て北 陸 を 考 えて4大 学で連 携 し、人 療でもありという具合に、エリアとし リアだけどアカデミックでもあり、医 いと思います。 つの大学があって 協力があります。もう一つは専門分野。 もいい。そのためには私たち 人はも が専門です。お互いの弱い面で患者さ 網 膜、佐々木 先 生は白 内 障、視 機 能 交流もしていけたらいいのではないか わかる関係を築いて、医局員レベルの ちろん、医局員もお互いに名前と顔が います。 流できる場をつくるのもいいと私も思 知らないと思いますので、医局員が交 いいですね。医局員同士もたぶん全然 教 授 の 良い 関 係 も で き て んを紹介しあったり、連携したり、将 と考えています。 佐 々 木 ● す ば ら し い ア イ デ ア で す。 普 段 から ます。実際にそれが可能な地域です。 私と 稲 谷 先 生は緑 内 障で、林 先 生は 来的には人的交流にもつなげたい。一 林● TPP みたいなもので、一つのエ 4 4 部、 斜視で林先生と協力していますが、 そ れ ぞ れの 大 学 で 得 意 な 分 野 と そ う じゃない分野は必ずありますので、苦 陸の中で研 究の交 流ができれ ば時 間 の大学まで勉強しに行かなくても、北 ていけたらいいですね。わざわざ東京 ていますので、できれば医局員に広げ 者を紹介していますし、福井済生会病 ンク事務局のある福井済生会病院へ患 皮移植については福井大学からアイバ 情 報の互 換 性 をもたせたり、角 膜 内 進んでいます。関連病院との間で診療 療情報の互換性をもたせるために、福 的にも、コスト的にもメリットがあり 院の 棚 橋 先 生や 新 田 先 生 と も 学 術 講 手な分野をレベルアップできるのは魅 ます。医局員同士も、年に一回くらい 演会のあとに一緒に飲みに行ったりし 力です。今は、 杉山先生のリーダーシッ 集まって交流できる場があるといいと て親睦を深めていて、福井県では他大 幅に変 更しました。大 学 間の連 携 は 思います。 学の関連病院との交流も進んできてい 井 大 学の眼 底スケッチ記 載 方 法を大 稲 谷 ● 福 井 県 には 福 井 大 学 だ け で な ると思います。 プのもとで非常に良い関係ができてき く 京 都 大 学 や 金 沢 大 学の 関 連 病 院 も 杉山● 大 学 の 大 学 間 連 携 は 十 分、 あります。率直に言ってこれまで交流 の関連病院とも交流を始めました。金 から京 大の関 連 病 院とも、金沢 大 学 が少なかったんですが、私が赴任して 常に建設的な話ができました。本日は ひ協力し合って前に進めましょう。非 全国モデルになり得ると思います。ぜ 4 どうもありがとうございました。 特別座談会 3 沢 大 学や京 大の関 連 病 院との間で診 未来の北陸の眼科医療を考える 4 4 produced by いま、ホームページをお考えの方に レンタル ホームページ 開始! 100 名様 先着 新 発 想 ホームページの レンタルシステム誕生! まずは、 ご連絡ください お問合せ NPO法人プロジェクト医心 ホームページ開設チーム 月額レンタル料 6,000 円 デザイン制作費など、初期費用は一切不要! ホームページをすでにお持ちの方も ぜひご参加ください。 TEL.0120-326-926 E-mail: info@isn-hp.com FRONT LINE 富山大学大学院医学薬学研究部眼科学講座 大学医局最前線 国内初のオキシマップ AOカメラで網膜疾患の 病態解明を急ぐ。 富山大学附属病院眼科では、網膜疾患に関する 酸素飽和度を測定する最新機器「オキシマップ」を、 2012 年夏に国内で初めて導入した。 オキシマップに先駆けて採用した視細胞を調べるAOカメラとともに、 世界有数の最新機器で網膜疾患の 早期発見、早期治療を行っている。 近年増えている滲出型加齢黄斑変性の 新たな管理方法にも取り組み、良好な治療成績を上げている。 富山大学附属病院眼科 中村 友子 助教 富山大学附属病院眼科 上田 朋子 助教 網膜の酸素化を探る最新機器 血管酸素飽和度と血管径を測定することに よって網膜が、どれだけ酸素化されているか ら、より精度の高い病態解明や経過観察に ことが病 気の進行や予防につながることか り、目の健康状態を定期的に把握しておく 院眼科では網膜疾患の診断、治療はもとよ が疾病予防の重要な要素。富山大学附属病 ものが大半を占める。早期発見・早期治療 データの蓄積を続けながら、ゆくゆくは新 や、新 しい治 療 法の開 発 につながり ます。 膜の酸素化の程度が分かれば、予後の改善 の量が少ない患者さんはより重症です。網 「同じ疾患の患者さんでも、網膜の酸素化 の程度によって重症度が異なります。酸素 を手軽に測定できる。 オキシマップは、患者への負担が少ない非 侵襲的な検査機器。静脈や動脈の中の酸素 を探ることができます」 力を入れてきた。 眼病疾患による視力低下や視覚障害、失 明の原因は、糖尿病網膜症、緑内障による 年夏に網膜の血管の なかでも、 酸 素 飽 和 度 を測 定する「オキシ を調べる機械がオキシマップで、 の中の酸 素 がどうなっているか 知られています。そうした血管 膜の血管が細くなる病気として ています。網膜色素変性症も網 流障害が関係していると言われ 病網膜症をはじめ、緑内障も血 閉塞症、網膜動脈閉塞症、糖尿 「眼循環が障害されるといろん な疾患が起こります。網膜静脈 が説明する。 特 徴などについて上田朋子助 教 一号 として採 用された。機 械の 山大学附属病院眼科が納入先第 の林篤志教授と直接交渉し、富 駆けて開発、同国の業者が眼科 スランドのメーカーが世界に先 れている。オキシマップは、アイ を探る手がかりになると期待さ や、病気の進行度、重症度など 膜疾患の原因とされる血流障害 マップ」を国内で初めて導入、網 2 0 1 2 と考えています」 たな治療につなげられるようにしていきたい など網 膜の微 細 構 経 線 維、網膜血管 のではありませんが、視細胞を断面で撮影 度がわかってもなかなか治 療に結 びつくも 実態にあっていないことがわかった。 引くなどのケースも多く、必ずしも患者の ています」 とセットで使いながら検討し 検査機器。 富山大学附属病院眼科では、オキシマッ などの検査機器を プと カメラ、 こうしたことから、初期治療後半年から で治療し、その後、再発が 1年間は できる カメラ 造の観 察が可 能な 補償光学を応用した 細 胞レベルでの 視細胞の形態変化 少 ない場 合 は を 継 続 し、治 療 に 抵 な病態解明や新たな治療法の検討に役立て 相互に生かしながら、網膜疾患のより詳細 を行うスタイルに変更した。富山大学附属 経過から予測される再発の時期の前に治療 抗、再発が多くみられるケースについては、 を生体眼で観 察で る方針だ。 る。 富 山 大 学 附 属 病 院 では、抗 斑変性(AMD)が、日本でも増えてきてい 薬の出 現で滲 出 型 加 齢 黄 斑 変 性の医 療成績は飛躍的に改善されたが、一 患者が何度も通院するなどマイナス面も多 方で注射の回数が多い、経過観察のために かった。 ) 、初期治療終了後、診察のたびに & で、裂孔原性網膜剥離の手術後、中 注 射 す る( )で、 富 山 大 学 Extend で行ってきた。 は、現 在一般 的に広くに行われている滲 出 ではこれまで Treat 胞が回復してくる様子なども観察で 心 性 漿 液 性 網 脈 絡 膜 症 など、視 細 「 視 細 胞の状 態が詳 細にわかって 正確な診断が下せますので、患者さ きる。 療結果を振り返ると、再発が多い症例では 合に注射を施す方法。しかしこれまでの治 型 加 齢 黄 斑 変 性 の 管 理 法 で、 視 力 低 下、 で 網 膜 下 液 などの活 動 性 がある 場 んに病気の説明をより正確にお話で である。 に通した管理方法を採用して治療する方針 ては患者ごとに経過を検討し、個々の症例 病院では今後、滲出型加齢黄斑変性につい きることから、従来 の管理 の 眼 底 写 真 では わ できるよう 経過に基づいた滲出型 カメラは、オキシマップに先駆けて 年 3 した眼 底カメラで、生体眼での視 細 胞、神 になった。 で、詳細な画像判定が必要な疾患に 薬の様々な投与計画について検討している。 中途失明原因のトップとなっている加 齢 黄 もう一つ、欧 米 型のライフスタイルの浸 透 や 高 齢 化 社 会 を 背 景 に、既 に 欧 米では 有効です。網膜色素変性では病気に 抗 「視細胞や神経線維がある場所と ない場所を調べることができますの 視細胞の数を調べて、進行の程度や なった患者さんの視細胞と健常者の 経過観察に利用しています。進行性 の病気の場合は画像を撮った時と 年後の視細胞の推移を調べられるの で、病状進行の程度などをより正確 薬 の 投 与 計 画 につい て は、 か 月 毎 に 投 与 す る、 必 要 時 に 治 療 す る 種 類 ある。毎 月 投 与 する、 そう 強 調 するのは 中 村 友 子 助 教 だ。病 状 進 行の程 度 だけではなく、 ( に解析できます」 抗 現 在 主に 治 療 後の回 復 過 程の 評 価 に も 有 効 2 再発のたびに視力が低下したり、治療が長 2008年 富山大学医学部医学科卒業 2008年 富山大学附属病院初期臨床研修医 2010年 富山大学眼科に入局 2011年 高岡市民病院医員 2012年 富山大学眼科助教 2005年 大阪大学医学部医学科卒業 2005年 大阪医療センター初期研修医 2007年 大阪大学附属病院後期研修医 2008年 住友病院後期研修医 2010年 住友病院眼科医師 2011年 富山大学眼科診療助手 2013年 富山大学眼科助教 V E G F P R N 中村 友子 A M D きます。網膜色素変性症などは進行 PROFILE 状 態を詳細に検査 からなかった網膜の 一方、網 膜の微 細構造を観 察する眼 底カ メ ラ で あ る「 A O( Adaptive Optics ) 」も、 様々な疾 患のイメージングに応用されてい A O 月に導入した補償光学を応用 O C T P R N なかむら・ともこ 上田 朋子 うえだ・ともこ P R N O C T る。 P R P N R N O C T A O V E G F V E 4 G F 1 2 0 1 A 1 O 角膜研究グループ 2014年4月、東京開催の 「WOC(国際眼科学会) 」 で 金沢発の角膜内皮移植術に 世界が注目! 小林顕臨床准教授は、杉山和久教授の知 人で角膜内皮移植術にアメリカで初めて成功 したマーク・テリー医師と直接、コンタクト 年当 年がかりで、傷ついた角膜の内皮のみ 週間ほどですみ、拒絶反応が起き ブル グライドテクニック( 通 称:小 林テク なりつつあります」 発し、当院の眼科ではスタンダードな手術に ( 人以 World ニック) 」と呼 ばれる術式を開発、現在、ス )国 際 眼 科 学 Ophthalmology Congress 会 」が開 催される。金沢 大 学眼 科の角 膜 グ 月に東京で「 形により目のフィルムにあたる網膜に像が結べ 湾、韓国への普及に努めている。小林准教授 タンダードな手術として国内はもとより台 年 なくなった場合に行われる。移植手術は、こ ループは、この学会でシンポジウムを二つ招 2 0 1 4 4 どさまざまなリスクが伴う。こうした欠点を 性や、縫合糸に関連した感染症、拒絶反応な り、また角膜全層切開に起因する眼球の脆弱 皮をはく離除去せずに、角膜内皮ドナーを 具も独自に開発しました。ホストの角膜内 つにも選ばれている。 「 DSAEK とダブルグラ イドテクニックを安全に行うために、手術器 機会なので北陸の眼 科の先生方にもぜひ参 かれるのは 名な先生が集まる学会( )が日本で開 補完するために近年、傷害された部分だけを 准教授は座長兼発表をする予定。 「世界の著 致、うち世界の角膜内皮移植術者を れまで角膜全層を交換する角膜全層移植術が は、より薄いドナーの内皮を移植する新技 年以上の には角膜を構成する上皮・実質・内皮のいず 歴史をもつ優れた手術とされているが、実際 唯一の治療法とされてきた。 上招いて行われるシンポジウムで、小林臨床 小林准教授は、さらにドナーの内皮を挿 入する時の角膜内皮傷害を最小限にする「ダ 的な回復ぶりを示しています」 に入った患者さんが、歩いて帰れるくらい劇 に見えるようになります。車椅子で手術室 たが、この移植手術では1ヶ月ぐらいで鮮明 では視力が出るまでに1年近くかかりまし もきわめて良好です。従来の角膜全層移植 はもちろん、乱視が生じないなど術後の経過 にくく、縫合感染も生じません。視力回復 期間が 使わずに空気で接着させる術式です。入院 「 は、角 膜の全層を切開せず、ド DSAEK ナーの内皮のみをホスト角膜の裏側に、糸を アジアで初めて成功させた。 を交換する「角膜内皮移植手術( DSAEK ) 」を して 時から角膜パーツ移植に取り組んできた。そ をとり、杉山教授主導のもと 2 0 0 3 直接、ホスト角膜の裏面に接着させる non ( ‐ DSAEK )という術式も新たに開 DSAEK れかに傷害を受けている場合がほとんどであ W O C 8 1 0 0 年に一度くらい。めったにない W O C を世界へ。その準備は着々である。 加をお願いしたい」金沢発の角膜内皮移植術 30 金沢大学附属病院眼科 高比良 雅之 講師 金沢大学附属病院眼科 小林 顕 臨床准教授 金沢大学附属病院眼科では、小林顕臨床准教授が 2006 年に国内で初めて成功したとされる角膜内皮移術が注目を集めている。 失明していた患者の視力を 1.0 にまで回復、 術後管理も問題なく、年平均でほぼ 40 症例を積み重ねる。 一方、眼腫瘍・眼瞼・眼窩疾患研究グループの高比良雅之講師は、 免疫系疾患である IgG4 関連疾患の診断と治療、研究に力を注ぐ。 それぞれの最新の動きをクローズアップしよう。 3 1 術「 DMEK 」にもアジアで初めて成 功、この 技術で金沢大学は世界多施設共同研究の一 角膜移植は、角膜が外傷や感染症、遺伝的 疾患などにより透明性を失ったり、変性や変 年がかりで角膜内皮移植術に成功 3 移植する、 角膜パーツ移植が主流になっている。 - FRONT LINE 金沢大学医薬保健学域医学系視覚科学(眼科) 大学医局最前線 n 眼腫瘍・眼瞼・眼窩疾患グループ 大学病院の強みを生かした 診療で、IgG4関連疾患の 解明に取り組む。 ミクリッツ病が代表的な疾患 関 金沢大学の眼腫瘍・眼窩疾患研究グルー プが、最新のトピックとして注目しているの は、免疫系疾患の一つとされる「 の きたと考えられている。 たり、原因不明の疾患として取り扱われて 患の認知度が低く、既存の疾患と混同され を特徴とする本疾患が存在する。しかし疾 陽 性 形 質 細 胞の組 織 浸 潤 または腫 瘤 形 成 いる。 男女別などの統計を取り、研究に生かして の人数と期間、診断の内訳、各軍の年齢と 診断で、対象となる眼窩リンパ増殖性疾患 発覚する症例が増える可能性はあると思い はありませんが、認 知 度の高 まりと供に、 「ある種の免 疫異 常 疾 患ですから生活習 慣病のように今後、爆発的に増える疾患で 「 眼 科 領 域では、ミクリッツ病 と言う涙 腺が腫れる疾患が代表的です。 の 値が高くなると涙腺が腫れて、まぶたが重 くなり、垂れ下がる症状が見られます。涙 用になっていますので、まぶたが重い、腫 年くらい前から保険適 初めて日本の研究者が報告した。これ以後、 腺だけではなく目の周りの眼窩組織や血管 ます。血液検査が 関連疾 患の報告が相次ぎ、 開業医さんを通して相談していただければ れてきたと思うようなケースがあればぜひ 国 内で が 分の も 腫 れてき ます。金 沢 大 学 病 院の 統 計で 関連疾患であるという結果が出て いますので比較的、頻度の高い疾患と言え ると思います」 関連疾患は、目下のところステ ロイド治療で劇的な改善が認められるとさ と思います」 は、眼 窩 リンパ増 殖 疾 患の 約 たという。 間質性腎炎などとして診断されてきた症例 高値と 身の諸臓器と腫瘤を形成する疾患であるこ れている。しかし、眼 科領 域はもとより全 とから、高比良 雅之講師は「適切な診断と 治療方針の確立が重要」だと指摘する。 関連疾患は 「当院では呼吸器や腎臓、放射線科 病理 など関連診療科と連携して治療にあたる体 制がとられています。 別が重要です。治療法が異なるので、まず たかひら・まさゆき 眼 窩病変においては、悪性リンパ腫との鑑 こばやし・あきら 高比良 雅之 1992年 滋賀医科大学 卒業 1992年 金沢大学眼科学教室 医員 1996年 マイアミ大学眼科(Bascom Palmer Eye Institute) 分子遺伝学教室 研究員 1998年 金沢大学医学部 助手 2003年 金沢大学大学院医学系研究科内文部科 学教官講師(視覚科学) 2010年 金沢大学附属病院眼科 病院臨床准教授 1988年 金沢大学医学部卒業 同眼科入局 1993年 アメリカミシガン大学眼科研究員 1996年 金沢大学眼科助手 2005年 金沢大学眼科講師 現在に至る はしっかりとした診断をつける必要があり ます。病理検査や遺伝子検査で判別します。 という抗体が関与 した疾患なので内科や他の診療科と連携し いずれにしても て治療を進めることが大切です」 高比羅良講師の研究グループでは、悪性 リンパ腫との判別をつけるため、 関 連 眼 窩 疾 患 の 疫 学 調 査 を 行っている。 免 疫 染 色による関 連 疾 患の 病 理 PROFILE 1 I g G 4 小林 顕 海外でもようやく研 究が始まり、一昨 年あ 年に I g G 4 4 I g G 4 I g G 4 もともとは、シェーグレン症候 群、悪性 リンパ腫、自己免疫性膵炎、硬化性胆管炎、 の な か に、 血 清 I g G 4 I g G 4 たりから国 際学会も開催されるようになっ が見られる疾 患群のことで、 値が上昇してくると臓器が腫れたり、腫瘤 連 疾 患 」である。これは、血清 I I g g G G 4 4 2 0 0 1 3 I g G 4 I g G 4 I g G 4 I g G 4 〒933-8550 富山県高岡市宝町 4 番1号 TEL.0766-23-0204 高岡市民病院 ― か硝子体手術が適応になる患者をよく診ます。 な疾患の患者さんが来ますが高齢者が多いです 眼科スタッフ様のご紹介― 医師は眼科主任部長の加藤と 月に富山大学 から赴任された矢合都子先生です。常勤の視能 外来に来る患者さんの総数は少ない方ですが、 人の患者さんにかかる時間が長くなり、シビ ね。特に手術になる患者さんが多く、白内障と 訓練士は 名( 名は育休中) 、パートの視能訓 練士が2名来て頂いています。 アな患者さんが多いです。 ― アピールポイントは?― 績等について― 月1回富山大学林教授による加齢黄斑変性外 来( 外 来 )があり、別に月 回 硝 子 体 手 現 在の 診 療 実 績( 外 来 数 ) 、治 療( 手 術 )実 外来数は日によりバラバラですが、実績は昨 年度延べ約1 , 人でした。 ― 4 斜視外来もあり、富山大学による専門外来が多 の手術をして頂いております。三原先生による 術にも来てもらっており、黄斑前膜や黄斑浮腫 件 昨年度の手術件数については全体で (硝子体注射約 件含む)です。件数の内訳 として位置付けられております。 く組み込まれており、大学サポートの厚い施設 件で、富山大学の林教 件程度、あとは翼状片、眼瞼手術、 授も来られ手術を行って頂きました。白内障手術 は、硝子体手術が 単独で 緑内障手術等になります。 網膜剥離、糖尿病網膜症、緑内障、角膜疾患、 また私(加藤)は「すべての疾患の患者さんを 診 る 」を 基 本 姿 勢 に 考 えており ます。白 内 障、 神経眼科、ぶどう膜炎の他、開業医さんからわ ご 来 院 さ れ る 患 者 さ んの 様 子 や 特 徴( 地 域 性など)について ― 病院に送られて来ますので地域のよろず相談所 からない患者さんがいると、とにかく高岡市民 ― 私(加藤)は紹介患者さんを中心に診ており、矢 思 い 出 の あ るエ ピ ソ ー ド、 記 念 す べ のような役割だと思っています。 合先生は紹介状のない患者さんを診ています。 再 診 患 者 さんは 各々で 対 応 していま す。 様々 ― き事柄等は?― 多 忙ですが単 調 な日々が多いです ね・・・・そういえ ば昔ここにテレビ番 組の取材が来た時があります。俳優さん ですが、松岡修造さん(テニスプレイヤー) と食いしん坊万歳の村野武範さん、太陽 ジテレビ 系 の 番 組 だった と 思い ま す が、 月に矢合隆昭先生とご結婚されま かとう・つよし にほえろの山下真治さんが来ました。フ 全国でオンエアーされました。松岡さん と山下さんは八等身でテレビで見るより 年の [認定資格] 日本眼科学会専門医 [専門分野] 眼科全般を広く浅く 1 かっこ良かったです。 それから矢合先生 はついこの間までは岡先生でしたが、今 眼科主任部長 7 0 1 A M D 2 した。まだ新婚ほやほやです。 加藤 剛 1 0 1 0 1 0 0 8 0 0 0 1 2 4 5 0 VS AD A4 1/2 4C 20130530 2013年5月 作成 金沢医療センター 〒920-8650 金沢市下石引町1番1号 TEL.076-262-4161 現在の眼科スタッフ体制、診療治療実績に ― 特に重 点 をおいて 取 り 組んでいる診 断 や 治 療分野がございますか? ― ついて? ) 、眼 瞼下垂手術 外来患者さんは糖尿病網膜症と緑内障が多い です。手術は白内障が中心ですが、硝子体手術、 のルセンティス硝子体注 現在までの診療において思い出のあるエピ うせパチンコにでも行っているのだろう。ほっ や警察への連絡を相談しました。ところが、 「ど つからず、家族に連絡し行きそうな場所の捜索 まいました。院内および近隣を探しましたが見 に荷物を置いたまま朝から行方不明になってし 進行した白内障だった女性患者の話です。予 定通り手術終了し退院日を迎えましたが、病室 ソード等がありますか? ― 射も行っています。 せんが、最近は チン投与は院内の倫理委員会で否決され行えま も積極的に取り組むようにしています。アバス 緑 内 障手術(ロトミー、 常勤スタッフは医師1名、視能訓練士 名、 看護師 名です。週 回大学から外来応援に来 人 程 度、手 術 は 年 間 てもらい、杉山能子先生の斜弱外来も週 回行っ ご 来 院 さ れ る 患 者 さ ん の 様 子 や 特 徴 につ 件程度行っています。 ていま す。外 来 は1日 ― いて? 金沢市南部の患者さんが中心です。紹介は眼 科開業医さん以外にも、近隣の内科や老人施設、 精神病院からも多数あります。院内からは糖尿 とも多いです。 1 G S L 1 病、高血圧のほか、外科の –(抗がん剤) や小児のステロイド合併症検索を依頼されるこ T S A M D まいました。 といてくれ。 」と捜索も警察への連絡も断れてし 夜 に なって 患 者は戻ら ず 院内会議と家 族 との 相 談の 結 果、 退 院 扱 いと す るこ と その 後 時近 退院扱いになったことを説明しタクシー着払い で帰宅して頂きました。 やはり行き先はパチンコだったようです。視力 と思いました。 が回復してもせめて退院してから行ってほしい [専門分野] 緑内障、網膜硝子体疾患 になりました。 ながた・あつし 棟 から 本 人 が 医長 く に な り、 病 戻って き た と ま し た。 「お金 の報 告があり も 無 く なっ た て ほ し い。 」と ので 今 晩 泊 め のことでした。 長田 敦 0 3 40 1 2 4 0 0 石川 独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター眼科 和田康史 わだ・やすし ●現在取り組んでいる 研究活動について● 現在私は金沢医療センターに勤 務しつつ、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科にて眼血 流の研究に従事しています。ラットを用いて視神経乳頭付 近の血流をレーザースペックルフローグラフィという機械 を用いて測定し、基礎データの収集と人で使用されている 緑内障点眼薬に血流増加作用がどの程度あるのかを研究し ています。まだまだするべき実験はありますが、まずは一 つ一つを確実にこなしていきたいです。何ごとも未知の分 野に進むことは勇気がいりますが、金沢大学眼科杉山教授 をはじめ様々な方々のご指導のもと、日々研鑽させていた だいております。 日々の外来は視能訓練士一人ですので常に効率重視です。 予約一つ取るのも数か月待ちであり患者様に満足な医療を 提供出来ているとは残念ながら現在は言い難い状況です。 コメディカル活動紹介 ●今後、職業人として目指すところ● 日々専門分野の勉強は勿論非常に大切であるが、それ 以外にも沢山の本を読んだり、様々な職種の方と話をし たり、趣味でもよいが様々な経験をしていきたい。 その経験は自分の考察引き出しを増やすこととなり、人と 接する仕事故いずれ必ず役に立つと思います。 またいずれ北陸地方の視能訓練士増加支援、後輩育成等 にも力を入れていきたいです。今後視能訓練士の業務は 更に広がっていくと考えられ、常に新しいことに興味を持 ちそれを吸収出来る柔軟な心と腕を持っていきたい。 富山 富山大学眼科外来では現在 6 名(男性 3 名、女性 3 名)の 視能訓練士が勤務しています。大学病院であるため様々な疾 患の紹介患者が多く私たち視能訓練士にも高度な知識と検査 技術が求められます。日々の業務は非常に多く6 名が効率よ く分担し視力検査から斜視検査・視野検査・眼底写真・OC Tなど行います。月、木曜日は主に治験検査、視野検査、眼 鏡合わせ、蛍光眼底写真、白内障術前検査、斜視訓練、ER Gなど時間がかかる検査を行っています。特に眼鏡合わせは 調節検査、遮光眼鏡の紹介、近用であれば拡大鏡の紹介も 行うので一人に対し1時間以上の時間をかけ患者さんにとっ て最適と思われる眼鏡を処方します。火、水、金曜日は通常 の診療を行っており検査は様々です。機器も日々進歩してお り学会がある度に新規の医療機器がデモ器として試用され ま す。6 名 そ れ ぞ れ が 得意分野に基づき検査、 研究を行っており、月1 回の勉強会では順番に テーマを決め発表し更 に学会発表ができるよ う日々研鑚しています。 コメディカル活動紹介 林由美子 追分俊彦 富山大学眼科 視能訓練士 はやし・ゆみこ 富山大学眼科 視能訓練士 おいわけ・としひこ 大学病院開院 2 年目から勤務しています。主に実習生の 指導、ビジョンエイド外来、maia による偏心視訓練を担 当しています。最近は近見作業がつらく遠近両用コンタ クトの上から近用眼鏡を使用しています。 林教授が最先端の検査機器を国内国外問わず世界中から 沢山見つけて来られ私が主に検査、解析を担当していま す。 『補償光学眼底カメラ rtx1™』は日本でいち早く当院 で導入されました。新しい機器にて自己研鑽ができる機 会が多く用意されている場であると思います。 奥村詠里香 富山大学眼科 視能訓練士 おくむら・えりか 多焦点眼内レンズの検査を担当しています。手術後、遠く も近くも眼鏡なしで見える眼鏡がなくても生活に困らない と喜ばれる姿を見てとても嬉しく思います。信頼される視 能訓練士になれるよう笑顔を忘れず丁寧で正確な検査を行 えるように頑張っていきたいと思います。 中川拓也 林顕代 富山大学眼科 視能訓練士 はやし・あきよ 視能訓練士2年目で外来での患者様への応対、検査全般に ついて目下勉強中です。 今後は視野検査について、より深い理解を得るためにもっ と勉強していきたいと思っています。 富山大学眼科 視能訓練士 なかがわ・たくや 富山大学眼科 視能訓練士 視能訓練士免許取得して4年目になります。 今はOxymapという網膜血管酸素飽和度を測定する機器を 担当。忙しい外来の中でも丁寧な対応、検査を心がけ少しで も皆様の治療の手助けができるよう頑張ってます。 斜視・弱視を担当。乳児からご高齢者と、患者さんの年齢層 が幅広い分野です。検査の結果が治療に関わるため、責任感 を持ちながら技術向上を目指し検査しております。患者さん、 お子さんのより良い視生活の一助となれるよう頑張ります。 掛上謙 かけうえ・けん 若 手 医 師の現 場から 竹本大輔 武島知志 金沢大学眼科 金沢大学眼科 眼という器官の スペシャリストとして 働いている先生方に憧れて 輪島良太郎 わじま・りょうたろう ■今特にがんばっている事 一人前の眼科医に少しでも早くなれる様に 診察能力、診断能力を向上できる様に努力 しています。またハードな業務や手術にも耐 えられる様に体力作りを心がけています。 ■現在の研修内容 大学病院や関連病院で様々な疾患の患者 さんを受け持ち、微力ながら治療のお手伝 いをしています。 ■眼科入局のきっかけ 初期研修先の科でも興味深いところが多 く、研修 年目の終盤眼科をローテートす るまではなかなか自分の進路を決定できず にいました。実際に眼科で研修させて頂き、 惹かれたのがいろいろな検査機器、研修当 初は名前も意味もわからないような検査を いくつも行い、病 気を診断、治 療 行ってい く専門性の高さ、眼という器官のスペシャ リストとして働いている先生方に憧れて自 分も眼科医として働きたいと思いました。 2 そのQOLを高めるための 手助けをする眼科医は とてもやりがいのある仕事 ■「きっかけ」 小 さい 臓 器 で あ る け れ ど も 非 常 に 幅 広 い とい う 点 に 大 き な 魅 力 を 感 じ た とい う 事 が 一番 大 き い と 思 い ま す。 治 療 と して は 内 科 的 な 投 薬 か ら 手 術 や レ ー ザ ーに至る まで 選 択 肢 が 広 く、微 細 な 細 隙 灯 所 見 が 臨 床 的 に どの よ う な 意 味 を 持つの か といった 事 か ら 種々の眼 科 的 検 査、他 科では見 ら れ ないよ うな 数々の高 度 検 査機器 をも駆 使 する所 な ど、診 断 学 や 検 査医 学の奥 深 さにも 興 味の 尽きない所です。 たけしま・さとし ■眼科を選択したきっかけ 眼科に興味を持つきっかけとなったのは、 学生講義のときに屈折異常の勉強をして、近 視・遠視・乱視が、明確に数値として表現さ れることに関心をいだき、眼光学の分野に興 味をもつようになりました。さらに、学生実 習の際に、眼鏡・コンタクトレンズ処方、眼 内 レン ズの 度 数 計 算、 を 初 めとした 光 学 技 術 を駆 使 した診 断 装置 な どを 勉 強 す るにつれ、さらにこの分野に興味をもち、眼 科が身近な存在となっていきました。 たけもと・だいすけ ■「 ど の よ う な 研 修 内 容 / 今 特 に 頑 張って いる事」 大 学 病 院 な ら で は の バ ラ エテ ィ ー に 富 ん だ 様 々な 入 院 症 例 を 主 治 医 と し て 担 当 さ せ て 頂 い て い ま す。 術 前 評 価 か ら 手 術 助 手 、 術 後 管 理 を 通 し て 眼 科 医 と し て の ト レ ーニ ン グ を 積 んでい ま す。関 連 病 院 で は一般 外 来を担当し common disease を数多く診る 機 会 を 頂 い て い ま す。 ま ず は 丁 寧 に 所 見 を とる 事 か らはじめ、臨 床 能 力 を 上げていき たいと考えています。 金沢大学眼科 ■現在の研修内容 外来診療と病棟業務を行っています。 外来業務は、予診と検査が中心ですが、指導 医の先生に教えていただきながら徐々に初診 患者さんの診察と治療も任せてもらえるよう になってきました。 金沢大学眼科 ふじい・ようこ 藤井揚子 ■眼 科の初 期 研 修 / 後 期 臨 床 研 修 を 選 択 さ れた「きっかけ」は何ですか? 眼科を選んだ理由はいろいろありますが、 「目 が見える」ということは人のQ OLに大 き な 役 割 を 果 た していて、そのQ OLを 高 め る た め の 手 助 け を す る 眼 科 医 は とて も や り がいの あ る 仕 事では ない か と思ったこと が 番 大 き な理 由です。ま た、目 は 小 さい 臓 器 な が ら、とて も 精 巧 にで きていて、そ の 構 造 や 機 能 は 奥 が 深いこと、内 科 的、外 科的治療の両方ができて専門性があること、 ま た、近 年、検 査 機 器 や 治 療 法 がどん どん 進 歩 し て お り 現 在 ま だ 発 展 途 上で あ るこ と も 魅 力 を 感じ ま し た。ま た、研 修 医の 時 に 金 沢 大 学 で 眼 科 をロ ー テ ー ト さ せて 頂 い た 時、 先 生 方 が 楽 し そ う に 仕 事 の 話 を さ れ て いるのも印象的でした。 1 ■今後目指すところは? 患 者 さ んの 目 の不 安 を 解 消 して あ げ ら れ る よ う に、適 切 な 診 察・診 断・治 療 がで き る一人 前 の 眼 科 医 に な れ る よ う、日々経 験 を積み、勉強していきたいと思います。 小さい臓器であるけれども 非常に幅広いという点が 大きな魅力 O C T ■今頑張っていること レーザー治療を今後習得したいです。 現在は、加齢黄斑変性などの黄斑疾患に興味 をもっており、この分野の勉強も頑張りたい です。 光学技術を駆使した 診断装置に興味 金沢大学で明日の眼科医を目指して日夜がんばっている 研修医のみなさんを紹介しています。 富 山 大 学眼 科 眼科の魅力と研修について 富山大学眼科 Message to students 東條直貴 とうじょう・なおき ■先輩が語る眼科の魅力 ■今後眼科医を目指す医学生や初期研修医の方々へのコメント 眼科の大きな魅力としては、見える事で患者に喜ばれる点で す。情報の 80%以上は視覚からと言われており、見える喜びは 他の科にはない喜びであると思われます。眼と言う特別な感覚 器は、専門性が高く取っつきにくい点もあるかと思われますが、 一度足を踏み入れたら、はまってしまう魅力があります。患者様 と言う絶対的な審判を前に、治療するわけですから、常に高い モチベーションを保つことが出来ます。また眼は体で唯一透明な 器官であり、基本的には見れば分かると言う点も魅力の一つで あると思います。最近では画像技術も非常に進化しており、わず かな変化も判別可能になっています。 富山大学付属病院では、卒後初期臨床研修プログラムが個人 の希望に合わせて柔軟に対応できるのが魅力です。眼科は、選 択必修科目に入っていないため、眼科を選択していただかないと 研修ができない仕組みになっています。眼科の魅力を知ってもら うには、眼科の研修を選択してもらうことから始まります。眼科 の診療、手術などが少しでもおもしろいなと思われた方は、ぜ ひ眼科を選択してもっと眼科医のやりがいを肌で感じていただき たいと願っています。 ■富山地区(富山大学)における眼科の研修内容 1.専門コース 初期研修の 1年相当の期間を自分の進む専門科で研修し、専 門医を目指す、専門診療科特化コース。1年目あるいは 2 年目か ら眼科で研修し、後期の専門研修へのスムーズな移行を目指す 方のためのコースです。 2.総合コース 多くの診療科を回って総合的に研修するコース。眼科の研修を 選択することは、どちらのコースでも可能ですが、専門コースのほ うがより長期間(11か月)を眼科の研修にあてることができます。 診療のコツ と テクニック 眼底検査が楽になれば… しのだ眼科クリニック 篠田和男 しのだ・かずお 普通の開業なので人様に紹介できるコツといえるもの はないのですが、心がけていることがあります。信頼 性が劣るスケッチより、信頼性のある一次資料の検査結果 を残すということです。眼底検査において、スケッチにし たものは所詮信頼性の劣る二次資料です。そのため、スケッ チが嫌いな私は OCT 以外にも2つの器械を導入しました。 普 2.Optos 社のDaytona 無散瞳でも200 度までの眼底写真が 0.4 秒でとれ るというものです。現在、デモもあまりできないと いうことですので使用経験をあげてみます。 1.コーワの2D/3D 無散瞳眼底カメラ 視神経乳頭のステレオ写真を見れば、陥凹の把握がいつでも可能になりま す。前置レンズが不要となります。通常の無散瞳カメラとして使えます。メー カーによると、解析を行えばOCTと同様200点が算定可能ということです。 【欠点】 ・操作性に難有り。横は周辺まで撮影できますが、上方と下方が写り難い。 また、期待された網膜裂孔の検出は難しい。 【長所】 ・白内障がある程度あってもきれいに写真が撮れる。 ・糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞の全体像が把握し易い。OCTとの組み 合わせで眼底検査を忘れてしまう程で、非散瞳でもある程度(点状出血 でも)確認が可能、軟性白斑の見逃しは結構あるのだと実感。 ・後で病気の見逃しと疑われても無実を証明できる。 基本的にOCTだけでなくこれらの撮影を行っているので病状把握や見 逃しリスクの軽減に役立っていると思っています。 ガイドを使用した硝子体内注射 金沢大学眼科 井尻茂之 いじり・しげゆき 年、抗 VEGF 薬の硝子体内注射が盛んに行われるよう 近 になりました。硝子体内注射は熟練者にとってはそれ ほど難しくはありませんが、手技を誤ると網膜や水晶体の 損傷といった合併症を起こす危険性があります。初心者で も安全かつ確実に硝子体内注射を行える上松・古賀氏硝子 体注射ガイド(M.E.Technicaより発売 )をご紹介します。眼 球固定リングに取り付けられた注射ガイドにより刺入部の 位置計測が不要で、 針の角度や深度を常に一定に保つこと ができます。そのため網膜や水晶体に損傷を与えることな く薬剤を注入することができます。また、リングには開口 部があるため、針を挿入したまま、必要時はそこから前房 穿刺を行い高眼圧を回避することも可能です。使用に際し ての注意点は、十分に開瞼すること、角膜を中心に輪部全 周にしっかりと注射ガイドを固定することです。このガイド を導入してから、初心者でもストレスなく、安全確実かつ 容易に硝子体内注射を行えるようになりました。 図1 図2 図3 図1:柄、眼球固定リング、注射針固定ガイドの3つの構造物からなります。 図2:注射針のガイド孔は、角膜輪部から3.5 mm の位置に水平面と65°の 角度をなしており、 針が水晶体や網膜に触れないように設計されています。 直径12 mm の眼球固定リングには開口部があり、 必要時はその部から前 房穿刺を行うことが可能です。 図3:注射針固定ガイドがおさまるように、十分に開瞼することがポイントです。 Column −コラム− 私の若かりし頃の話 ~研究の面白さを知り感動~ 金沢大学医薬保健学域 医学系視覚科学(眼科)教授 杉山 和久 私の学生時代は、教養部の頃とても暇で金沢城内キャンパスで自由を満喫してました。学部時代は山好きで白山診 療班に所属し、夏になると白山、立山を歩きまわっていました。現在も白山診療班の部長を務めています。 私は金沢大学医学部を昭和59年に卒業すると同時に、郷里にある岐阜大学医学部眼科学教室に入局しました。研 修医1年目の昭和60年1月に日本の緑内障の若手リーダーであった北澤克明先生が東大助教授から岐阜大学眼科教授 に赴任されました。研修医の私は、幸い北澤教授に気に入られ、さっそく緑内障の研究を開始しました。しかし、当 時の眼科医局員数はとても少なく、連日の当直、平日の夜間 と土日は研究、そして外来、病棟(受け持ち患者数は10名ぐ らい)の雑用という膨大な仕事量に、ほとんど「きれ」かけて いました。入局3年目の昭和61年から静岡県の清水厚生病 院に1年間赴任した時は良い息抜きの時期でした。 昭和62年に岐阜大学に戻ると、北澤先生から緑内障のレー ザー治療に関する研究テーマをいただき、河合憲司先生(後 に東海大学眼科教授)と一緒に日夜研究に明け暮れました。 その仕事が米国の一流雑誌に次々と掲載され、河合先生も私 も学位をとりました。この時、私は生まれて始めて研究の面 白さを実感しました。また、私は北澤教授のかばん持ちで米 国やヨーロッパ各地の緑内障の学会に一緒について行き(写 真) 、そのおかげで世界最先端の研究や臨床現場をみることが できました。これらのことが、その後の私の人生に決定的な指 針を与えてくれたと思います。 ▲若い時(平成元年ごろ)に米国フロリダ州サラソタでのAR VOに出席 北澤克明教授、金沢大学の同級生で同僚の谷口徹先生とポ スターの前で 講演会スケジュール(2013 年 8 月〜) 日 程 会 名 場 所 時 間 演 者 白井正一郎 先生(日本眼科医会) 2013年9月6日(金) 北陸眼科学術セミナー 金沢ニューグランドホテル 19:30〜21:10 中澤 徹 先生(東北大学) 石川 高 静花 先生(大阪大学) 石田恭子 先生(岐阜大学) 2013年9月28日(土) 第7回北陸オフサルミックフォーラム ホテル日航金沢 17:30〜20:20 大野京子 先生(東京医科歯科大学) ビッセン宮島弘子 先生(東京歯科大学水道橋病院) 2013年12月15日(日)第332回金沢眼科集談会 日 程 会 名 金沢ニューグランドホテル 場 所 13:00〜16:00 近藤峰生 先生(三重大学) 時 間 演 者 谷原秀信 先生(熊本大学) 2013年11月7日(木) 第22回とやま眼科学術講演会 ホテルグランテラス富山 18:00~21:00 佐々木洋 先生(金沢医科大学) 富山 2013年11月24日(日)第69回富山眼科集談会 富山国際会議場(メインホール)13:00~16:30 福地健郎 先生(新潟大学) 2014年1月25日(土) 第97回富山大学眼科臨床カンファレンス 富山市医師会健康管理センター (4階ホール)18:30~21:00 仲泊 聡 先生(国立障害者リハビリテ-ションセンター) 村田敏規 先生(信州大学) 2014年2月22日(土) 第23回とやま眼科学術講演会 ホテルグランテラス富山 18:00~21:00 鈴木 崇 先生(愛媛大学) 2014年6月29日(日) 第70回富山眼科集談会 日 程 会 名 2013年9月7日(土) 福井県眼科集談会 富山国際会議場(会議室203・204)13:00~16:30 未定 場 所 時 間 演 者 横井則彦 先生(京都府医大) FREE PAPER ホテルフジタ福井 18:00〜21:00 2013年11月9日(土) 福井県眼科医会学術講演会 ホテルフジタ福井 18:30〜20:30 2013年11月30日(土)年忘れ福井県眼科勉強会 ホテルフジタ福井 18:00〜20:00 2014年2月1日(土) 福井県眼科集談会 福井商工会議所 18:00〜20:00 澤口昭一 先生(琉球大) 2014年3月2日(日) 第19回北陸眼疾患シンポジウム ホテルフジタ福井 14:30~ 福井 監修◎林 篤志(アイリンク理事長) 発行◎富山県眼科医療連携の会 アイリンク(事務局:富山大学医学薬学研究部眼科学講座内) 印刷◎株式会社 メディカルアート 〒 921-8027 石川県金沢市神田 2-1-61 TEL.076-242-6663 2013年8月3日(土) 第96回富山大学眼科臨床カンファレンス 富山国際会議場 (会議室203・204)18:30~21:00 村木早苗 先生(滋賀医科大学) 斎藤通紀 先生(京都大) 神谷和孝 先生(北里大) 大野重昭 先生(北海道大) 内尾英一 先生(福岡大) 廣瀬美央 先生(県立尼崎病院) 未定
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