ボーナス支給に関するアンケート調査

「平成 28 年冬季ボーナス支給予定に関するアンケート調査」集計結果
今冬のボーナスは 43 万 6 千円、前年同期同水準
平成 28 年冬季ボーナスを支給予定の企業では、正社員一人当たりの平均支給予定額は 43 万
6 千円となる見込み。回答企業の昨年冬の実績との比較では同水準となった。平成 27 年まで
は好調な企業業績などを背景に、冬季としては 3 年連続のプラスであったものの、平成 28 年
はアジア経済の減速による輸出の不振、岡山県内で軽自動車生産停止などを背景に、ボーナス
支給に慎重な姿勢がみられる。
1.支給予定の有無
― 支給割合は前年を上回る ―
平成 28 年冬季ボーナスを支給す
る予定の企業の割合は 86.2%であっ
た(図表 1)。平成 28 年夏より 0.8 ポ
イント低下したものの、昨年冬より
も 1.4 ポイント上昇し、平成 20 年の
調査開始以降、2 番目に高い水準で
あった。
図表1 ボーナス支給予定の有無
100%
80%
13.0 13.8
21.5 19.1 18.5 20.5 15.6 15.5 16.1 15.2
なし
60%
40%
87.0 86.2
78.5 80.9 81.5 79.5 84.4 84.5 83.9 84.8
あり
20%
0%
夏
冬
夏
24
平成
冬
夏
25
冬
26
夏
冬
27
夏
冬
28
(年)
2.支給予定日
― 12 月中旬がピーク ―
平成 28 年冬季ボーナス支給予定日のピークは 12
図表2 支給予定日
月中旬であり、同期間中には全体の 4 割超の企業
が支給を行う予定である (図表 2)。昨年冬の調査
(%)
100
と比較すると、中旬での支給割合が上昇し、下旬
80
での支給割合が低下した。
1.9
有効回答
324社
60
19.1
44.8
40
20
0
31.2
1.5
11月以前
1
12月
月中
下旬
中旬
上旬
1.5
1月以降
3.ボーナス資金の調達方法
― 約 8 割が自己資金で調達 ―
平成 28 年冬季ボーナス資金の調
図表3 ボーナス資金調達の方法
達方法は、全額自己資金が 80.5%と
最も多かった(図表 3)。昨年冬の調査
と比べて 1.9 ポイント上昇した。一
方、全額銀行借入は 3.1%と、昨年
冬の調査と比べて 0.7 ポイント低下
した。
全額
銀行借入,
3.1
自己資金と
銀行借入
(5割以上),
2.2
自己資金と
銀行借入
(5割未満),
14.2
有効回答
318社
全額
自己資金,
80.5
(単位:%)
4.一人当たり平均支給予定額
― 前年同期比で正社員は横ばい、非正社員で増加 ―
平成 28 年冬季ボーナスの一人当
図表4-1
たり平均支給予定額は、正社員が 43
万 6 千円、非正社員が 10 万 9 千円で
あった(図表 4-1)。回答企業の昨年
冬の実績額と比べると、正社員は横
(千円)
600
横ばい
500
ばい、非正社員は 2.8%増加であっ
400
た。
300
一人当たり平均支給予定額につい
200
て前年同期比増減率の推移をみると、
100
正社員は 0.0%となり、28 年夏季の
昨年
(実績)
今年
436
436
2.8%増加
昨年 今年
(実績)
109
106
0
正社員
(有効回答306社)
マイナスからは持ち直したものの、
冬季として 4 年ぶりに前年を上回れ
図表4-2
なかった。(図表 4-2)。一方、非正
非正社員
(有効回答137社)
一人当たり平均支給予定額の
前年同期比増減率の推移
社員は 2 期ぶりにプラスに転じたう
え、2.8%増と比較的高い伸びとなっ
一人当たり平均支給予定額
(%)
た。
▲
▲
▲
▲
正社員
非正社員
8
5.5
6
4
2.8
2.1
3.4
1.2
3.3
2
1.9
▲ 0.5
0.9
0.7
0
0.0
▲
2.3
▲ 1.7
2 ▲ 0.5 ▲ 3.4
▲ 1.0
4
▲ 4.1
▲ 5.1
6
▲ 5.9
▲ 7.1
8
夏 冬 夏 冬 夏 冬 夏 冬 夏 冬
24
平成
2
25
26
27
28
(年)
5.支給予定額の増減状況
― 8 期連続で「増加」企業が「減少」企業を上回る ―
平成 28 年冬季ボーナスを支給する企業について、正社員一人当たり平均支給予定額を昨年冬の
実績額と比較すると、
「増加」は 37.9%、
「横ばい」は 33.7%、
「減少」は 28.4%であった(図表
5-1)。25 年夏季以降 8 期連続で「増加」が「減少」を上回った。また、今年夏の調査と比較する
と、
「増加」は横ばい、
「減少」は 3.7 ポイント低下した。
増減率の大きさ別に企業数をみると、横ばいとなる「前年同期比 1%増~1%減」が最多、次い
で「前年同期比 1%~10%増」が多かった(図表 5-2)。
図表5-1
支給予定額の増減状況の推移(正社員)
100%
80%
31.8
35.6
36.7
20.2
24.9
29.3
28.8
60%
29.4
31.6
32.1
33.9
32.8
36.1
24年夏
冬
25年夏
23.0
31.1
30.5
29.3
29.1
27.3
32.1
28.4
減少
30.0
33.7
横ばい
増加
40%
20%
0%
平成
(社)
120
図表5-2
46.3
50.5
46.0
40.4
43.4
37.9
37.9
冬
26年夏
冬
27年夏
冬
28年夏
冬
支給総額の増減率について大きさ別に企業数を集計(正社員) (構成比)
企業数(左目盛)
100
構成比(右目盛)
80
30%
25.5%
19.9%
60
20%
103
40
20
40%
33.7%
1
0
横ばい
33.7%
3
2
0
3
0
4
0
2
0
3
0
4
0
5
0
増 加
37.9%
1.3%
4
5
0
以
上
0%
(増減率、%)
▲
1
1
0
~
▲
1
0
1.0%
3
~
減 少
28.4%
1
0.3%
1
~
▲
2
0
1
10%
2.3%
7
~
有効回答 306 社のうち、支給
予定額が前年同期比で増加、横
ばい、減少となる割合。
▲
3
0
▲
1
~
▲
4
0
▲
1
0
7.5%
23
~
▲
5
0
▲
2
0
78
61
~
▲
3
0
~
▲
4
0
~
▲
5
0
以
下
0
~
0.3%
1
~
1.0%
3
1.0%
3
2.6% 3.6%
8
11
6.業種別にみたボーナス支給の状況
―建設業で高い平均支給予定額の「増加」割合 ―
ボーナス支給を予定する企業の割合を
業種別にみると、製造業、建設業、卸売業、
図表6-1 業種別にみた支給予定の有無
有効回答376社
(正社員)
全業種
製造業
建設業
卸売業
小売業
運輸・倉庫業
サービス業
小売業が全業種平均を上回った。一方、運
輸・倉庫業、サービス業では 8 割未満であ
った (図表 6-1)。
正社員一人当たりの平均支給予定額を
業種別にみると、建設業、卸売業、小売業、
サービス業が前年同期比で増加した一方、
製造業、運輸・倉庫業が減少した
(図表 6-2)。
正社員一人当たりの平均支給予定額の
図表6-2 業種別にみた一人当たり平均支給
増減状況を業種別にみると、建設業の「増
予定額(正社員)
加」割合が 47.8%と全業種平均を 9.9 ポイ
ント上回った。一方、建設業を除く他の業
種は平均並みかそれを下回り、卸売業にお
いては「増加」割合が 30%を下回った(図
表 6-3)。
支給割合
%
86.2
89.6
91.1
90.7
87.0
70.0
79.1
有効回答306社
全業種
製造業
建設業
卸売業
小売業
運輸・倉庫業
サービス業
平均支給額 前年同期比増減率
千円
%
436
0.0
494
▲ 0.1
425
0.6
437
1.5
335
0.0
314
▲ 5.5
442
1.3
図表6-3 業種別にみた支給予定額の増減状況
(正社員)
有効回答306社
0%
50%
100%
全業種
37.9
33.7
28.4
製造業
37.9
35.3
26.7
建設業
卸売業
47.8
29.7
小売業
36.8
運輸・倉庫業
36.8
サービス業
36.0
増加
23.9
32.4
28.3
37.8
42.1
36.8
21.1
26.3
32.0
32.0
横ばい
減少
「増加」は、前年同期比 1%以上増加した企業
「横ばい」は、前年同期比▲1%~+1%の企業
「減少」は、前年同期比 1%以上低下した企業
4
7.従業員規模別にみたボーナス支給の状況
―前年同期比で「300 人以上」が 2 期連続で減少 ―
ボーナス支給を予定する企業の割
合を従業員規模別にみると、これま
でと変わらず、
「300 人以上」の大企
業の支給割合が最も高い (図表 7-1)。
正社員一人当たりの平均支給予定
額の前年同期比増減率について、従
業員規模を「300 人以上」と「300 人
未満」に区分すると、
「300 人以上」
図表7-1 従業員規模別にみた支給予定の有無
有効回答376社
(正社員)
全規模
50人未満
50人以上~100人未満
100人以上~300人未満
300人以上
支給割合
%
86.2
79.5
91.9
92.8
100.0
が 1.5%減少、
「300 人未満」は 1.5%
増加した(図表 7-2)
。
正社員一人当たりの平均支給予定
額の増減状況を従業員規模別にみる
と、
「100~299 人」において「増加」
割合が全規模平均を上回り、「減少」
割合が全規模平均を下回った (図表
7-3)。
図表7-2 従業員規模別にみた一人当たり平均
支給予定額(正社員)
有効回答306社
全規模
50人未満
50人以上~100人未満
100人以上~300人未満
300人以上
平均支給額 前年同期比増減率
千円
%
436
0.0
333
2.4
425
▲ 1.6
397
3.0
515
▲ 1.5
300人未満
389
1.5
図表7-3 従業員規模別にみた支給予定額の
増減状況(正社員)
有効回答 306社
0%
20%
40%
60%
80%
全規模
37.9
33.7
28.4
50人未満
39.3
33.8
26.9
50~99人
100~299人
300人以上
32.9
41.9
27.6
100%
39.5
37.1
34.8
43.5
増加
横ばい
21.0
21.7
減少
「増加」は、前年同期比 1%以上増加した企業
「横ばい」は、前年同期比▲1%~+1%の企業
「減少」は、前年同期比 1%以上低下した企業
5
8 .アンケートに寄せられたコメント
図表8 今冬ボーナスを支給する企業のコメント(抜粋)
業種
製造業
製造業
製造業
製造業
建設業
建設業
卸売業
卸売業
小売業
サービス
コメント
売上高が計画より下振れして収益を圧迫する結果になりそうである。
賃上げも毎年しており給与と賞与のバランスが難しくなってきた。
売上増加により支給額アップ。
前期より売上、利益ともに低いため、支給額も下回る予定。
なるべく多く支給したいが公共工事が減少し、行政機関のように支給できない。
年々受注が減少し、ボーナスも次第に少なくなる。
もっともっと出してあげたいが、厳しい。
増収増益のため、1人当たりの支給額を増やした。
苦しいが社員の楽しみとモチベーションアップのため、支給することとしている。
当社は前年並の実績で推移しているが、親会社の業績が厳しいため減少する見込み。
図表9 今冬ボーナスを支給しない企業のコメント(抜粋)
業種
製造業
製造業
製造業
建設業
運輸・倉庫
コメント
最低賃金の上昇が激しいため、利益が大幅に減ると予想される。
三菱自動車燃費不正問題で今季の業績が悪化した。
従業員には申し訳ないが、赤字続きで支給できない。
利益の出る体制づくりをしないと、ボーナスの支給は難しい
赤字決算が続いたため
9.まとめ
今回の調査結果では、正社員の平均支給予定額が前年同期比横ばいにとどまったうえ、大企業
や製造業ではマイナスとなるなど、県内企業全体のボーナス支給環境は改善に一服感がみられる。
もっとも、ボーナスを支給する企業の割合が、平成 20 年の調査開始以降 2 番目に高い水準となっ
たことや、中小企業において平均支給予定額の増加がみられる。これは人手不足に対応するため
の支給や増加の可能性もあり、必ずしも業績改善を背景としているものではないとみられる。
また、アンケートに寄せられたコメントからは、
「前年に比べ業績が悪化している」
、
「賃金の上
昇が収益を圧迫する」といった、支給状況の悪化を挙げるものがあった。半面、利益が出たため
支給、増額するといったコメントも一部の製造業から寄せられている
調査期間
調査対象
調査方法
平成28年10月12日~11月8日 岡山県下の民営事業所(従業員数20名以上) 郵送によるアンケート方式 調査対象事業所数
2,000
回答事業所数
379
回答状況 有効回答事業所数
376
有効回答率
18.8%
6