カメラの基本操作∼簡単な写真の編集まで 小林商工会議所 ◎デジカメ活用 最近、一般に普及しつつある「デジカメ」。趣味から仕事上にまであらゆるところで 活用されるようになってきています。 今回の講座は、「デジカメ」に関する基礎知識と「デジカメ」を使用して、写真撮影か らパソコンへのデータの吸い上げ、画像の編集までの一連の作業を学習することを 目的とした講座です。 1 1.デジカメとは デジタルカメラの略称で、「CCD」と呼ばれる部品に光をためて、撮影したいもの (被写体)の画像を記録する装置です。 一般にデジカメは静止画撮影のための機器であり、光学的な構造は一般的な カメラとよく似たものです。大きな違いといえば、フィルムによる記録ではなく、 CCD を利用した電子的な記録を行う点にあります。そのため現像の必要はなく、 何回も繰り返し記録することができます。 最近では CCD の高精度化/大型化/低価格化が同時に進行しているため、 一般のフィルムに劣らない高精細画像を記録できる機種も比較的容易に入手で きる価格帯になってきており、個人向け市場でもデジタルカメラのほうがむしろ一 般のカメラよりも一般的な存在となりつつあります。カメラのタイプやその特徴に ついては後の章で、詳しく説明します。 図1.デジカメの仕組み 2 2.デジカメの特徴 一般のカメラで撮影するときには、ファインダーをのぞいて行いますが、デジカメ の場合は、主に液晶モニターを見ながら行います。CCD に記録された画像はカメ ラに挿入した記録媒体(メモリーカード)に記録されます。記録された画像は、デ ータとして保存され、そのデータは後でパソコンに転送して、編集や印刷などを行 います。 ☆ 一般的なデジカメの特徴 1. 2. 3. 4. 液晶モニター(画像を表示する画面)を見ながら撮影可能。 撮った写真をその場で確認できる。 失敗しても取り直しができる。(記録した写真の削除) パソコンと連携して使用することができる。 写真を電子メールに添付することができる。 カレンダー、シールなどの作品を作ることができる。 写真の保管に場所をとらない 《年賀状作成例》 3 3.デジカメの選び方 デジカメ購入する前に、あらゆるタイプのデジカメの種類を学習しておきましょう。 デジカメを選ぶときには、使う目的とカメラの利用経験を考えて、購入するタイプを 絞りこんでいたほうがよいと思います。現在、販売されているタイプには以下の4つの タイプがあります。 種類 一眼レフ型 高級コンパクト型 普及コンパクト型 格安型 特徴 35ミリ一眼レフカメラの 交換レンズを使用できる ようにしたもので、撮影機 能は高く、上級・プロ向け です。 撮影機能が豊富なコンパ クト型です。シャッタース ピードや絞りなど、自分で 設定して撮影できます。 中級・上級者向けです。 設定はカメラ任せで、気 軽にスナップ写真が撮影 できます。小型で軽量で す。初心者向けです。 おもちゃデジカメとも呼ば れる低価格の機種です。 画素数は少なく、液晶モ ニターはありません。メー ルに添付、またはシール を印刷する程度の利用に 限られます。 4 形状 ◎画素数の比較 デジカメの選定のひとつに画素数の比較があります。 画素とは画像を構成する小さい点(ドット)のことで画素数が多ければより細かく滑 らかな画像になります。 それでは、画素数はいくつ必要なのでしょうか? ☆電子メールやホームページ作成の場合 数十万画素で条件を満たすと思います。カメラのタイプで示しますと格安型で も問題ありません。 ☆写真などに印刷の場合 印刷をする場合には、ある程度の画素数が必要になってきます。A4サイズに 印刷するのであれば、際いていでも200万画素、はがきサイズなら100万画素 以上は必要です。 ◎撮影機能 ☆ズーム ズームには、レンズの焦点距離を変えて拡大する《光学ズーム》と、画像デー タの一部分を拡大する《デジタルズーム》の2種類があります。 《デジタルズーム》は画像の一部分を切り取って拡大するので、画素数の減少 により、若干画像が荒くなります。画質を重視するなら、光学ズームの機種を選 ぶといいでしょう。 ☆撮影範囲 花や昆虫の撮影には、《マクロ撮影》といって被写体に接近して撮影できるカメ ラが必要です。マクロ撮影は被写体にどのぐらいの距離まで近づけることができ るかがポイントです。それは、機種によってことなりますので、購入店で聞いてみ るとよいでしょう。 ☆撮影間隔 連続して写真撮影したい場合など、機種によっては次の写真を撮影するまでに 数秒ほど時間がかかる場合があります。 5 4.デジカメ購入に必要な備品 デジカメを活用ためにはあらゆるものが必要になってきます。 1. 2. 3. デジカメ本体 フラッシュメモリ(記録媒体) 電池(予備も含む)、バッテリー 4. ACアダプター(屋内撮影または、バッテリー充電のため) 5. パソコンへ転送するためのケーブルや機材 6. 編集ソフト 以上が購入の際必要なものです。 6 5.フラッシュメモリの種類(記録媒体)の種類 フラッシュメモリとは撮影した画像を保存する記録媒体のことです。通常はカメラ 内に挿入しておきます。カメラによってカードの形状が違うことやカードごとに記憶 容量が違いますので注意が必要です。 下表にそれぞれのフラッシュメモリの種類を示します。 種類 サイズ 厚み 携帯性 最大記憶 容量 スマートメディア コンパクトフラッシュ メモリースティック SDメモリーカード 45×37㎜ 0.76㎜ 43×36㎜ 3.3㎜ 21.5×50㎜ 2.8㎜ 21.5×50㎜ 2.1㎜ 優れる やや劣る 優れる 優れる 128MB 320MB 128MB 512MB 弱い 強い 強い 弱い 形状 強度 7 6.フラッシュメモリからのデータの読み込み デジカメで記録したデータをフラッシュメモリから読み込む方法を下記に示します。 ●カードリーダーを使用する方法 パソコンに外付けした装置を使います。フラッシュメモリのデータを直接読み取 ることができます。 ●PC カードアダプタを使用する方法 フラッシュメモリを PC カードに差し込んで使います。ノートパソコンなら PC カー ドスロットがついているものが一般的です。 ●フロッピーディスクアダプタを使用する方法 フロッピーディスクの形状をしたアダプターにフラッシュメモリを差し込んで、パ ソコンの3.5インチ FDD などから読み込むことのできます。 8 9 7.デジカメの基本操作 ◎撮影前の準備 ●カメラに電池(バッテリー)は入っていますか? 電池の向きを確認してください。 ●フラッシュメモリは装着されていますか? 挿入する際には、カメラの電源は必ず OFF にしておいてください。また、挿入 方向もメモリによって違いますので確認して装着してください。 ◎カメラの各部の名称 今回、講習で使用するデジタルカメラの名称を下に示します。 【正面から】 フラッシュ レンズ 電源ボタン ※このカメラはレンズカバーをスライドすると 電源が入ります。 【上面から】 シャッター ズーム 10 【背面から】 ファインダー 液晶モニタ 《電池は正しい方向に入っていますか?》 バッテリー挿入口 《メモリの挿入方向は間違っていませんか?》 メモリ挿入口 11 8.デジカメでの撮影 ●カメラのブレを防ぐには カメラブレはシャッターが開いている間にカメラが動くことが原因です。 できるだけカメラを安定させること、シャッターを切る瞬間にカメラを動かさないよ うにするのがコツです。肩の力を抜いて、ひざのクッションを上手に使ってください。 そして、カメラを安定させるには軽くワキを閉めることがポイントです。 いったんバンザイをしてホールドしたときのリラックス感が、肩の力も抜けて、ち ょうど良いくらいです。 ●シャッターの切り方 一見ピンボケに見える写真のほとんどは「カメラブレ(手ぶれ)」です。原因は 「シャッターボタンを一気に押す」こと。 人差し指にだけ力を入れずに、卵やゴム鞠を持つように、右手全体で包み込 むように絞り込みましょう。 ゆび寝かし シャッターボタンの上に指を乗せる時には、指を立てずに寝かせて指を添えて 置いてください。シャッターを切るときには軽くチョンという感じでシャッターボタン を押してください。 指を立ててシャッターが切ってしまいますと、カメラがぶれてしまいます。また、 勢いよく人差し指を離すのも禁物です。 12 9.画像データをパソコンへ転送 デジカメで撮影したデータは、パソコンで印刷や写真加工をすることができます。 また、電子メールに添付して相手に送付することも可能です。 では、早速デジカメからデータをパソコンに転送してみましょう。 今回はカメラから直接パソコンにデータを転送します。 ①転送準備 1. カメラに専用ケーブルを差し込みます。 2. パソコンに USB ケーブルをつなぎます。 3. フロッピーディスクをパソコンに挿入します。 ※今回は、写真の保存場所としてフロッピーディスクを指定します。 実際には、《マイドキュメント》-《マイピクチャ》でもO.K.です。 ②写真データ確認 1. 《マイコンピュータ》を開きます。 2. 《リムーバブル記憶域があるデバイス》の中の《リムーバブルディスク》を 開きます。 3. そうすると《(フォルダ名)》が表示されます。またそのフォルダを開きま す。 4. その中に《(フォルダ名)》というフォルダが見えますので、それもまた開き ます。 そうしますと撮影したデータが一覧として見えてきます。 ③データの保存 1. 写真一覧から保存したいデータをクリックし、青い枠をかけます。 2. 指定した写真の上で右クリックします。 3. ショートカットメニューが出てきます。 4. そのメニューの中から《送る》の上にマウスポインタをもっていきます。 5. サブメニューが出てきますのでその中から《3.5インチ FD(A:)》を選んで クリック。 6. そうしますと、指定した画像がフロッピーディスクに保存が始まります。 7. フロッピーディスクドライブのアクセスランプ(緑の小さな LED)が消えたら 保存は終了です。 8. これでフロッピーディスクを抜いても結構です。 13 10.画像の編集(Ⅰ) 今回は、フロッピーディスクに保存したデータを編集します。 初めに画像編集ソフトを起動します。 1. 2. 3. 4. 5. データを保存したフロッピーディスクをパソコンに挿入します。 メニューバーの《ファイル》-《開く》をクリックします。 ファイルの場所を《3.5インチ FD》にします。 編集する画像を選択し、《開く》をクリックします。 そうしますと画像が編集可能な状態になります。 ※ここからがポイント このまま編集をおこなってしまうと、もし編集を失敗してしまった場合に原本が 失敗した状態で保存される場合があります。これを防ぐには以下の方法で回避し ます。 画像を開いたら、編集の前に画像ファイルを別名で保存しておきます。 メニューバーの《ファイル》-《別名で保存》をクリックします。 ファイル名はわかりやすい名前で保存してください。 そうしますと原本は残ったままで、編集用のファイルが作られます。 これで安心です。 14 11.画像の編集(Ⅱ) カラー補正、フィルタ、変形 左側の縦長のウィンドウを使って編集をしていきます。 初めにマウスポインタをカラー補正の+の上にもっていきます。 その上でクリック そうすると+の部分が−になり、カラー補正の詳細が表示されます。 その中から調整を行いたい部分にマウスポインタをもっていき、クリック ウィンドウの下のプレビュー画面で確認しながら微調整をしていきます。 (※プレビューでの微調整の方法は後で説明します。) フィルタと変形もカラー補正と同じように+でクリックして詳細を表示してください。 15 デジカメの基礎用語 ★画素数 画素とは画像を構成する小さい点(ドット)のことで画素数が多ければより細か く滑らかな画像になります。 ★解像度 画像を描画する際の「密度」のことで、「dpi」呼ばれる「1インチ内のドット数」を 表す単位を使います。解像度が高くなると描画する「点」の密度が増えて、画像 が細かくなります。同じ画像データなら解像度が高くなるほど、画質が高くなりま す。 ★画像サイズ 画面を構成している点を「ピクセル」と呼びますが、この数を「横×縦」で表示し たものです。デジカメの画素数や画像の大きさは【1600×1200ピクセル】の用 に表現されます。画像サイズは絶対的な大きさを示すもので、画像解像度には左 右されません。 ★ピクセル ピクセルとは画像を構成する点(ドット)のことで、画像データはこの点の集まり で再現されている。ピクセルの数は800×600や1024×768など、その画像 の持つ縦横のドットの数で表されます。 ★ドット 文字や絵を構成する小さな点の集まりのことです。コンピュータの画面やインク ジェットプリンターの出力は、ドットで構成されている。このドットの数が多いほど、 画像を構成する情報が多いことになります。また、ドットの密度を表すのにはdpi という画像を構成する情報が多いことになる。また、ドットの密度を表すのにはdp iというスキャナの性能を表す解像度として使われています。 16 注意点 電池の切れたデジカメほど悲しいものはありません。電源は充分に確保してお きたいものです。幸いなことに、デジカメの電源はどこでも買える単三型が使われ ていますが、普通の単三電池は寒さに弱いことも知っておいてください。寒冷地で 使うときは予備の電池をポケットで暖めながら交互に使うと良いでしょう。 デジカメは全て電気で動いていますから、電源の確保には充分注意を払わな ければなりません。 デジカメは普通のカメラと違い、液晶モニターが付いていてそのバックライトに は相当の電力を必要とします。さらに半押し状態では CPU を含めた全ての回路 に通電されますので意外なほど電力を消費し、シャッターを切った後も、信号処 理、圧縮、記録(書き込み)と電力を使う作業が目白押しに続きます。しかもそれ らの作業は常に高い電圧を必要としますので、電圧があるレベルより下がると機 能しなくなります。 できるだけ液晶モニターを使わないこと、素早くフレーミングすることがポイント です。もちろん、パソコンへの転送は AC アダプターを使いましょう。 いずれにせよ、「デジカメは電池で動く」を肝に銘じて撮影に出るときは充分な 電池を用意しておきましょう。 17
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