圧迫骨折

2014年6月号
圧迫骨折
新規発生患者数は年間30万~100万人
2年以内で約40%といわれています
胸腰椎圧迫骨折
骨粗鬆症がある高齢者によくみられ、多くは胸椎から胸椎と腰椎の移行部
にかけておこり、第11胸椎から第2腰椎の圧迫骨折を総称して言います。
骨折の箇所により胸椎圧迫骨折とか腰椎圧迫骨折と呼ぶこともあります。
骨粗鬆症がある高齢者では、比較的軽い力が加わっただけで、
あるいは、ほとんど外傷が加わらなくても、自然に椎体の骨折が
おこることがあり、 そのほか、くる病や骨軟化症(こつなんかしょう)
腎性骨異栄養症(じんせいこついえいようしょう)などのような
代謝性の骨の病気によって、骨の強度が低下している場合もあります。
高齢の女性の背中が丸(まる)くなっていく(老人性円背(ろうじんせいえんぱい))のは、
胸椎に自然におこった多発性圧迫骨折が原因です。
圧迫骨折はどんな時におこるの?
骨粗しょう症になると、尻もちはもちろん、くしゃみをしたり、不用意に重いものを持ち上げたり
といった、ちょっとしたきっかけで、椎体がつぶれる(骨折する)ことがあります。
くしゃみをする
尻もちをつく
体をひねる
重いものを持ち上げる
高齢者が、屋内で尻もちをついたくらいの軽い外傷で背中の痛みを訴えたら、
脊椎圧迫骨折を疑ってみる必要があります
発行所
大西ハウジング
脊椎圧迫骨折は、寝返りをうつ時や、起き上がる時、体動時等に痛みが出ることが特徴です。
安静にしていると痛みが少ないので、従来は“年のせいだから”とあきらめられていたり、
見過ごされていることもありました。 ふつうは、下肢のしびれや筋力低下など、脊髄神経(せきずいしんけい)による症状はありません。
老人性円背は、自然におこってくるものですから、ひどい痛みはともないません。
がんなどの悪性腫瘍(あくせいしゅよう)が転移したためにおこる圧迫骨折もありますので、正確な診断が必要です。
治療法としては・・・
下肢の痛みやしびれなどの神経症状をともなわない、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折は
2~3週間、安静にしているだけで、痛みはしだいに軽くなっていきます。
「保存的療法」
コルセットやギプスを装着したり、ベッドの上で安静にしたりしま
す。高齢の場合、長期間ベッドで安静にしていると、呼吸器や尿
路系の感染をおこしたり、認知症が発生することがあります。そ
痛み止めや、骨粗しょう症の のほか、急速に下肢の筋力が低下し、起立・歩行できるようにな
お薬を使用することも
るまで、さらに長期間を要するようになることもあります。
「外科的療法」
固定術
手術によって骨を移植したり、金属製のねじや棒で骨を固定します。
この方法には大きく分けて、ぜぼねの後ろ側の背中を切開して神経をよけて骨折部位を固定する方法と
体の脇側を切開して臓器をよけて骨折部分を固定する方法があり、それぞれの方法において、
切開や治療をする範囲や固定する力が違いますので、骨折にあった方法が選択され
これらの手術の際には、通常入院が必要となり、リハビリも必要になります。
椎体形成術
骨折した椎体にHAブロック(ハイドロキシアパタイト ブロック)、CPC(リン酸カルシウム)
PMMA(ポリメチルメタクリレート)などを充てんし、安定化させ、痛みを低減させる手術で、
手術の方法は様々で、固定術と組み合わせて行う場合もあります。
椎体形成術単独で行われる場合は、固定術と比較して切開も小さく、手術時間も短くて済みます。がしかし、
積極的に骨を元の形に近づけたり、充てん物を意図した場所にのみコントロールしながら充てんするのが
難しいことが課題で、充てん物が椎体の外の意図しない場所に漏れるリスクもあります。