医薬品倉庫管理と物流・輸送の品質管理

Earth Environmental Service Co., Ltd.
ESCO News Letter
第3巻 第1号
発行日 2014年1月30日
医薬品倉庫管理と物流・輸送の品質管理
GMPやGDPなどの医薬品の品質保
GMPに関する法体系とその実施内容
証に係る規制や規範の目的は、有効
が完成しています。GMPのグローバル
性及び安全性が確保された医薬品を
ハーモナイゼーションを実現するために、
最終的には使用者または消費者である
規制当局と協力関係を推進・強化する
医師及び患者に恒久的に供給すること
PIC/Sが世界標準となりつつあります。
この号の内容
です。従って医薬品は、出荷されてか
我 が 国 に お い て は、2012 年 3 月 に
ら患者に届くまでの全ての流通過程を
PIC/S加盟申請を行い、新GMP調査
一貫して保証できる体制を構築するこ
要領が制定され、新GMP適合性調査
医薬品倉庫管理と物流・輸送の
品質管理
とが望ましいものと考えられています。
が既に行われています。また、PIC/S加
PIC/S GMPの影響を及ぼす範囲
PIC/S GMP に 基 づ い た管 理 が 要 求
盟審査についても計画通りに進んでい
される時代に突入!
る状況です(加盟状況は別表参照)。
医薬品業界は国内的にも国際的に
すなわち、日本の医薬品業界は、世
も大きな変貌があり、GMPとバリデー
界標準のGMPであるPIC/S GMPに基
ションの領域についても法制化、許可
づいた管理が要求される時代に突入し
の 要 件 化 を 経 て、2005 年 に は 新 し い
たといえます。
低温管理(2℃~8℃)の要求
される「生物製剤」
1
2
流通とGMP・GDPの対象範囲
用語解説
医薬品倉庫管理のPIC/S査察を
想定したチェックリスト
3
医薬品業界とはどの範囲まで影響を受けるの?
原薬は医薬品であり、製剤と同じく
ラインが2013年3月に発行され、同年9
医薬品会社で製造しなければならず、
月から施行されており、今後は、このガ
原薬も製剤もPIC/S GMPの対象範囲
イドラインが世界標準になっていくと考
となります。我が国では、品質保証の
えられます。今年度にはPIC/S GDPの
充実の観点から6つの項目(右記青枠
ガイドラインも発行される予定です。
内)をGMP施行通知へ盛り込むことで
冒頭でも述べたとおり、これらの規
国際標準のGMP準拠を促しており、す
制、規範の目的は、医薬品が製造、出
なわち、原材料メーカーも、原材料を
荷されてから患者に届くまでの全ての
保管する倉庫もPIC/S GMPの影響を
流通過程(倉庫管理、物流・輸送管理
受けます。
を含む)を一貫して保証できる体制の
流通過程を一貫して保証できる体制
構築であり、原薬製造工場、医薬品製
の構築が求められています!
造工場、医薬品倉庫、物流・輸送管理
医薬品物流倉庫から出荷された後
業務事業所は、医薬品の「倉庫管理と
の医薬品の物流・輸送(航空、船舶、ト
物流・輸送の品質管理」の項目におい
ラック輸送)は、PIC/S GMPの対象外
ても定期的な自己点検による確認が
です。しかしながら、EU GDPのガイド
必要となっています。
国際標準のGMP準拠のための
GMP施行通知6項目
① リ ス ク マ ネ ジメ ン ト の 概 念 を
通知全体に反映
② 製品品質の照査の実施
③ 原 材 料 メ ー カ ー(サ プ ラ イ
ヤー)の管理
④ 製品、原薬の安定性モニタリ
ングの実施
⑤ 参考品(製品だけでなく、必要
と考える原材料も保管)
⑥ バリデーション基準の全面改
訂(マ ス タ ー プ ラ ン、DQ/IQ/
OQ/PQ、製 品 の ラ イ フ サ イ ク
ル、技 術 移 転、プ ロ セ ス バ リ
デーションなど)
低温管理(2℃~8℃)の要求される「生物製剤」
2018年には、医薬品の49%を低温管理(2℃~8℃)の要求される「生物製剤」が占
めると言われており、次頁のチェック項目からも理解できるように、医薬品倉庫管理と物
流・輸送管理も品質リスクマネジメント手法に基づく管理が必要となります。PIC/S
GMPガイドライン、EU GDPガイドラインの要求事項に基づき、自己点検、是正処置・
予防処置の継続的な改善活動が重要かつ必須です。
原則として、問題が顕在化してからの事後対応ではなく、
未然予防の管理体制が確立されていますか?
対策の実施水準、資源配分等について、リスクの大きさに
見合った合理的な意思決定が可能となっていますか?
妥当性を、リスクベースで一貫して説明できるようになっ
ていますか?
流通とGMP・GDPの対象範囲
① 原 薬 工 場
GDPの対象範囲
03-3253-0640
06-6202-0640
03-3907-6451
011-867-6400
0155-21-0640
022-391-0640
019-908-6400
049-279-0640
049-279-0640
0480-96-6400
028-615-0640
03-3907-6401
042-660-0640
027-323-6400
027-323-6400
0256-36-0640
0263-44-6400
043-203-0640
043-203-0640
029-825-0640
04-7180-6400
045-442-0640
046-230-6400
054-268-6400
0537-88-6400
052-701-0640
052-701-0640
052-701-0640
059-221-6400
077-582-0640
076-421-0640
06-6202-0640
072-874-0640
078-222-0064
0791-48-0640
0875-27-9640
0875-27-9640
086-903-0640
089-958-0640
088-665-0640
082-850-0640
092-621-0640
092-621-0640
093-952-6400
096-241-6400
0985-44-2640
099-251-6400
098-868-0640
078-569-0640
078-569-0640
0791-48-0640
072-874-0640
GMPの対象範囲
本
社
大 阪 本 部
国 際 本 部
札 幌 支 店
帯 広 出 張 所
仙 台 支 店
盛 岡 出 張 所
関 東 支 店
川 越 営 業 所
久 喜 営 業 所
宇都宮営業所
東 京 支 店
八王子営業所
高 崎 支 店
高 崎 営 業 所
新 潟 営 業 所
松 本 営 業 所
千 葉 支 店
千 葉 営 業 所
土 浦 営 業 所
柏 営 業 所
横 浜 支 店
厚 木 営 業 所
静 岡 支 店
掛 川 営 業 所
名 古 屋 支 店
名古屋第一営業所
名古屋第二営業所
三 重 営 業 所
京 滋 支 店
北 陸 営 業 所
大 阪 支 店
大阪第一営業所
神 戸 支 店
赤 穂 営 業 所
中 四 国 支 店
香 川 営 業 所
岡 山 営 業 所
松 山 営 業 所
徳 島 支 店
広 島 支 店
福 岡 支 店
福 岡 営 業 所
北九州営業所
熊 本 営 業 所
宮 崎 営 業 所
鹿児島営業所
沖 縄 出 張 所
病院サービス関西支店
兵 庫 営 業 所
西 播 営 業 所
阪 奈 営 業 所
④ 流通事業所
⑤ 卸 売 販 売
② 医薬品工場
⑥ 薬局・病院
医 療 機 関
③ 医薬品倉庫
用語解説
PIC/S Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co₋operation Scheme
医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキームPIC とPICSが1995年から実施している共同
の活動をあらわす。EUのGMPは、PIC/SのGMPガイドラインに基づくもの。
PIC/S 加盟国
2013年10月1日現在、EUを中心に米国FDAを含め全世界41ヶ国43当局が加盟。
加盟国
加盟申請中
欧州
オーストリア、ベルギー、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス(ANSM、 アルメニア、イギリス(VMD)、
ANSES)、ドイツ(BMG、ZLG)、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリ ベラルーシ
ア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニ
ア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、ウクライナ
北米
カナダ、米国
中南米
アルゼンチン
ブラジル、メキシコ
アジア
マレーシア、シンガポール、インドネシア(2012.7.1)、台湾(2013.1.1)
フィリピン、イラン、トルコ(タイ)、
2012.3:日本、2012.4:韓国
2013.8:香港
オセアニア
オーストラリア、ニュージーランド
アフリカ
南アフリカ
ウガンダ
パートナー組織(EMA、EDQM、UNICEF、WHO)
GMP Good Manufacturing Practice
医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準。
GDP Good Distribution Practice
医薬品等の適切な流通基準。
医薬品倉庫管理のPIC/S査察を想定したチェックリスト
医薬品倉庫管理のPIC/S査察における指摘事項を参考にして点検確認することも
問題点、課題の抽出には有用であると考えられます。査察の一場面を想定して、自己
点検を行ってみましょう。
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原材料等のステイタス表示(試験中、合格済等)を適切に行っている。
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低温保管室の温度管理を確認している。
・ 温度範囲を表示している。
・ センサー位置がワーストケースの場所かどうか決めている。
・ 温度が逸脱した場合の連絡システムを決めている。
・ 停電対策を取っている(自家発電、UPS等)。
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異なる品目の場合、同一品目でロット番号が異なる場合等、同一パレットに
混載していない。
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資材(包材)の管理番号は購入先の管理番号と同一の番号を付していない。
温度アラームの連絡方法等、低温度保管室の温度管理を確立している。
サンプリング室でコンタミが起こらないように清浄度管理を確立している。
不合格置場での返品の管理と処理方法を適切に決めている。
原材料を整然と配置するのに適した面積を確保している。
保管区域の整理・整頓等を適切に行っている。
搬入品(原材料等)に異物混入がないかどうか確認している。
搬入品の外装を何らかの手段(クリーナー・エアシャワー等)で清掃している。
パレットの外装を清掃した記録を残している。
交換パレットを用意し、きれいな交換パレットを使用している。
搬入品(原材料等)の受け入れシステム(伝票の扱い等)を確立している。
原材料が納入された連絡方法を確立している。
室温保管室の温度管理を確認している。
・ センサー位置がワーストケースの場所かどうか決めている。
製品等のステイタス表示(試験中、試験済、合格、出荷可等)を行っている。
ステイタス表示はどの部署(QC担当、保管責任者)が行うか決めている。
サンプリング室への入出方法を決めている。
・ 更衣手順が掲示されている。
・ 更衣(無塵衣)の交換頻度が決めている。
・ 物と人との動線を分けている。
・ サンプリング室の清浄度を環境モニタリング等で確認している。
・ 秤量器の校正を行っている。
・ サンプリング済みの清掃状況(室全体と秤量装置)を確認し、記録している。
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防虫・防そ対策のシステムを確立している。
・ トラップのマッピングとトレンド分析を行っている。
・ 捕虫器(灯)の位置を決め、トレンド分析を行っている。
・ 捕虫数の規格値の設定と対策を行っている。
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不合格品置場の保管方法(施錠、責任者)を決めている。
不合格品の処置方法(返品、廃棄等)を決め、手順を作成している。
溶媒のタンクヤードでのサンプリング方法、溶媒の補充基準を決めている。
溶媒保管室(倉庫)のサンプリング方法、ステイタス表示、換気方法等の管理方法を
確立している。
(株式会社技術情報協会 『 PIC/S GMP対応ノウハウ集 』より)
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