SSPC (ソリッドステートパワーコントローラ) と 電気

White Paper
SSPC (ソリッドステートパワーコントローラ) と
電気メカニカルスイッチングの性能比較
By Mike Glass
Prinicipal Marketing Engineer
Data Device Corporation
© 2010 Data Device Corporation. All trademarks are the property of their respective owners.
July 2010
SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
White Paper
SSPC 電気メカニカル スイッチングとの比較
はじめに
車両や航空機の近代的なコンピュータシステムの、プライマリおよびセカンダリの電源分配シス
テムの設計には、多くの課題が伴います。 これらの課題は、負荷の低減、システムの不具合予
知機能と診断能力の他に、C4I システムや他の機器による電力の増加、信頼性とシステム稼働率
の向上、重量及び容積の低減および温度の記録です。
SSPC(ソリッドステートパワーコントローラ)は電気メカニカルサーキットブレーカおよびリ
レーと比較し、機能および性能の点で多くの利点を持っています。 SSPC は I2t 過負荷保護と、
正確な測定機能、デジタル処理技術、立ち上がり/立ち下がり時間の制御を介した低損失スイッ
チングを有しておりこれらは、EMI 低減に役立ちます。また I2t による、非常に高速な短絡保護
機能を持っています。 I2t 保護機能は容量性負荷または白熱灯負荷の切り替え時に確実に"ニュー
サンストリップ(不要動作)"を回避し、配線、負荷となる LOAD 類及び SSPC 本体を過熱から
保護します。
リレーとブレーカは, アーク、酸化、浸食、溶着の影響を受けやすく、可動部分の問題は信頼性
の問題とも関連します。 可動部分の問題は、接点バウンス及び厳しい環境下である高振動、ほ
こりもしくは砂漠等の厳しい環境下での動作不良が含まれています。 電気メカニカルスイッチ
ングと比較して、一桁以上優秀な MTBF の値を持ち、SSPC は、車両及びそれらに使われるシス
テムの稼働率を更に向上します。
電気メカニカルブレーカやリレーと比較して、SSPC はより大きい電力容量と容積密度とともに、
低い電力損失を提供することにより、電気エネルギー効率を向上させます。
データバス接続またはネットワーク接続を行うことができる SSPC は車両診断コンピュータにリ
アルタイムでフィードバックを行います。 SSPC からのデータはシステムレベルでの診断と予知、
予測、状態監視保全に使用することができます。 その結果、稼働率の向上と継続的なミッショ
ンの準備を提供することができます。 搭載されている SSPC の状態を含める報告レポートデータ
によって、車両診断コンピュータが発電機、バッテリー、配線、コネクタおよび負荷であるシス
テムの故障診断をより詳細な情報から判断することを可能にします。
ソリッドステートパワーコントローラ
基本的な ON / OFF のパワースイッチングに加えて、標準的な SSPC は 1 ミリ秒のオーダーの回
路開閉時間を可能にしながら、迅速な短絡保護などの多くの保護機能を持っています。 回路の
開閉は、EMI 放射を最小限に抑えるために 500 マイクロ秒~1 ミリ秒の期間に、チャンネルのス
イッチング MOSFET のゲートドライブが徐々に切り替わります。 過負荷保護について図1を参
照してください。 モータ、ソレノイド、容量性負荷がスイッチングする時の高い突入電流が、
電源装置や白熱灯にニューサンストリップをもたらすのを回避するために、SSPC は配線と負荷
を保護するために " I2 t "検出方式を実行します。 SSPC の I2t 保護は、測定負荷電流が定格電流の
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SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
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10 倍以上となる場合、即座にトリップします。 それより低い定格負荷電流値である 1〜10 倍の
過負荷状態では、SSPC プロセッサはトリップしない状態を継続して維持します。
図 1 SSPC I²t トリップ 曲線
現在の SSPC ボードは、プロセッサベースであり、柔軟性、測定とその計算精度、および CAN
バス、イーサネット、または MIL- STD-1553 などのデータバスまたはネットワークインタフェー
スを介して、外部の電源管理コンピュータへの接続の機能で利点があります。 その他の特長と
して、高い電流容量を可能にしながら、さまざまな負荷に対応するために SSPC チャンネルの定
格電流を異なる値にプログラミングする機能、複数の SSPC チャンネルを並列に接続する機能が
含まれています。
予想、診断、ヘルスモニタリング、および障害の検出と障害分離をサポートするために、電源管
理用コンピュータは、ボードのバスまたはネットワークインターフェイスで様々な SSPC パラメ
ータの値をポーリングすることができます。 各 SSPC チャンネルのパラメータには、出力電圧値
と出力電流値及びボードレールもしくは負荷に対する温度計測と共に、オン/オフおよびビルト
インテストの状態が含まれています。 このデータは、電源管理用コンピュータがオンボード
SSPC の状態を考慮して、発電機、バッテリー、配線、コネクタおよび負荷であるシステムの故
障診断をより詳細な情報から判断することを可能にします。
図 2 は、DDC の RP-26200 マルチチャンネル 28V SSPC ボードです。このボードは、1 チャンネ
ルあたり最大電流 25 アンペアまで供給可能な 16 チャンネルの SSPC ボードであり、より大きな
負荷をサポートするために、他のチャンネルと並列に接続する機能を持っています。 各 SSPC チ
ャンネルは負荷電流のスイッチングのために、1 つまたは複数の MOSFET を内蔵しています。
EMI 放射の最小化、特に障害状態に対処するために、SSPC は、出力電圧の立ち上がり/立ち下
がり時間を制御します。 制御された立ち上がり時間は、モータ、ソレノイド、電子電源装置、
および白熱灯負荷を切り替えるための突入電流を減少させます。 白熱灯の場合には、突入電流
の減少から電球の寿命を延ばすという利点をもっています。
SSPC は、電気メカニカルサーキットブレーカおよびリレーに対して、多くの機能的、性能上の
利点を持っています。これらの利点は、次の項に記載されています。
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図 2 DDC RP-26200 16 チャンネルソリッドステートパワーコントローラボード
重量と容積
電気メカニカルスイッチと比較して、SSPC は、システムレベルのトップダウンの視点から重量
と容積の点で利点を持っています。 図 3 は、代表的な 28V 電源 8 チャンネル 合計 80 アンペアの
電 気 メ カ ニ カ ル ス イ ッ チ ン グ の シ ス テ ム で あ り 、 4.25 イ ン チ ×7 イ ン チ ×10.9 イ ン チ
(10.80cm×17.78cm×27.69cm)、324 立方インチ(5317.14 立方センチメートル)、その重量は
11.5 ポンド(5.22kg)です。 図 4 は、28V 電源 32 チャンネル 合計 480 アンペアの SSPC モジュ
ールであり、11 インチ×7.8 インチ ×3.1 インチ(27.94cm×19.81cm×7.87cm)、266 立方インチ
(4355.98 立方センチメートル)、その重量は 15 ポンド(6.80kg)です。
図 3 電気メカニカルリレー/サーキットブレーカシステムボックス
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図 5 に比較表があります。 図 3 に示される電気メカニカルスイッチングシステムの電源対容積比
は 6.9 ワット/立方インチであり、図 4 に示される SSPC モジュールのその値は 50.5 ワット/立
方インチです。 システムレベルでは、SSPC は 7.3 対1の電源対容積密度の利点を持っています。
容積の削減は、作業者や装置に追加のスペースを提供しています。
電気メカニカルスイッチングシステム(図 3)のための重量対電源比 194.8 ワット/ポンドであ
り、SSPC モジュール(図 4) のその値は 896 ワット/ポンドです。 SSPC は 4.6 対 1 の電源対重量
密度の利点を持っています。 重量の削減は 燃料の節約に結びつきます。
システム容積と重量密度の違いは、複数の要因に起因しており、
• 以下で説明するように、SSPC の構成部品は、電気メカニカルリレーおよびブレーカと
比較して、より少ない容積と重量にて電源マネージメントを行います。
• 全体のサイズと重量を減らすことに加えて、小さいサイズのコンポーネントは、関連回
路基板とシャーシのサイズと重量を削減します。
• SSPC 構成部品は、回路基板に直接実装されます。 リレーとブレーカのケースでは回路
基板上ではなく、金属フレームに実装されています。 そして回路基板の配線ではなく、
個々にディスクリートケーブルによって接続されています。
図 4 ソリッドステートパワーコントローラモジュール
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電圧
電流
負荷
寸法
電気メカニカルスイッチング
28 V
80A
8
4.25" × 7" × 10.9"
DDC
SSPC モジュール
28 V
480A
32
11" × 7.8" × 3.1"
容積
重量
324 インチ 3
11.5 ポンド
266 インチ 3
15 ポンド
電源対容積密度
電源対重量密度
6.9 W/in3
194.8 ワット/ポンド
50.5 W/in3
896 ワット/ポンド
1000
896
900
Power-to-Volume
and
電源対容積密度
および電源対重量密度
Power-to-Weight
Densities
800
700
600
500
400
300
194.8
200
100
0
6.9
Relay
リ レand
ー やCircuit
サーキット
ブレーカのシステム
Breaker Based System
SSPC
Module
SSPC
モジュール
50.5
Power-to-Volume
Power-to-Weight
電源対容積密度
電源対重量密度
(W/cu.in.)
(W/lb.) (W/lb.)
Density
(W/cu. in.) Density
図 5.
トップダウン、システムレベルの比較: 電源対容積密度、重量密度
ソリッドステート電源制御モジュール対電気メカニカルスイッチング
ボトムアップの観点から、ソリッドステートと電気メカニカルスイッチングの容積、重量、およ
び電力損失について比較します。 表 1 と表 2 は複数メーカーの一般的な電気メカニカルリレーと
ブレーカの重量、容積、および電力損失を比較したものです。 これらのテーブルは、5 つの 28V、
25A リレー、および 5 つの 28V、25A サーキットブレーカの外形寸法、重量、消費電力が記載さ
れています。 さらに、これらのパラメータの計算された平均値と、これらのコンポーネントの
計算された回路基板の面積と容積が記載されています。
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表1
28 V、25A リレーのデータ
回路基板の
面積
容積
(平方インチ) (立方インチ)
幅
(インチ)
奥行き
(インチ)
高さ
(インチ)
#1
1.01
0.52
1.00
0.52
0.52
0.10
2.45
適用しない
(注 1)
6.20
#2
1.71
0.48
1.01
0.82
0.83
0.12
2.45
4.38
6.83
#3
1.72
0.53
1.01
0.90
0.91
0.1
2.45
4.38
6.83
#4
1.53
1.40
1.90
2.14
4.07
0.19
1.44
適用しない
(注 1)
5.19
#5
2.7
1.39
1.42
3.75
5.33
0.20
0.49
2.50
2.99
平均
1.74
0.86
1.27
1.56
(注 2)
2.11
(注 2)
0.14
1.86
3.75
5.60
表2
重量
(ポンド)
コイル損失 コンタク
電力
ト損失電力
(ワット) (ワット)
28 V、25A
リレー
総損失電力
(ワット)
28 V、25A サーキットブレーカのデータ
28 V、25A
サーキットブレーカ
幅
(インチ)
奥行き
(インチ)
高さ
回路基板の面積
(インチ) (平方インチ、幅×深さ)
容積
(立方インチ)
重量
(ポンド)
#1
1.14
0.57
2.53
#2
0.78
0.59
#3
0.70
#4
損失電力
(ワット)
0.65
1.65
0.09
2.09
0.46
0.97
0.05
5
0.59
2.28
0.41
0.95
0.07
5
1.22
0.45
2.81
0.549
1.54269
0.06
0.48
#5
1.64
0.76
2
1.24
2.48
0.15
2.5
平均
1.10
0.59
2.34
0.66
(注 2)
1.52
(注 2)
0.08
2.60
適用しない
(注 1)
注:
1. リレー#1, リレー#4、サーキットブレーカ#1 のコンタクト損失データがないため、平均損失の計算には含まれ
ません。
2. 両方のリレーとサーキットブレーカについて、平均的な回路基板の面積(平方インチ)と容積(立方インチ)は
2 つの異なる方法の平均値として計算されます。:
a. 最初の方法を使用して、平均的な回路基板の面積は 5 つのリレーやサーキットブレーカの平均的な回路
基板の面積として計算されます。 同様に平均容積は 5 つのリレーやサーキットブレーカの平均容積とし
て計算されます。
b. 第二の方法を使用して、平均的な回路基板の面積は、5 リレーやサーキットブレーカの平均幅×平均深さ
として計算されます。 同様に、平均容積は 5 つのリレーやサーキットブレーカの平均幅×平均深さ×平均
高さとして計算されます。
リレーとサーキットブレーカについて、チャネル当たりの平均面積 = 1.56 + 0.66 = 2.22 平方イン
チ。 リレーとブレーカが回路基板の総面積の 60%を占めていると仮定すると、チャンネル当た
りの総面積 = 2.22 / 0.6 = 3.7 平方インチとなります。 高さの平均が 2.34 インチのサーキットブレ
ーカを使用し、回路基板の厚さが 0.093 インチ、上側のクリアランスが 0.02 インチ、背面側のク
リアランスが 0.25 インチ(同等の SSPC 基板アセンブリと同様)と仮定すると、リレー/ブレー
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カーボードアセンブリのための総アセンブリ高さ = 2.34 + 0.02 + 0.093 + 0.25 = 2.7 インチ。 1 つ
のチャンネルの総容積 = 3.7 × 2.7 = 9.99 立方インチであり、単位容積当たりの出力電力 = 28 × 25
/ 9.99 = 70.1 ワット/立方インチとなります。
16 チャンネル SSPC ボードアセンブリーについて、回路基板の寸法は 9.2 × 6.3 インチで、部品の
高さが最大 0.54 インチ、回路基板の厚さが 0.093 インチ、背面側のクリアランスが 0.25 インチと
すると、全体の高さ 0.883 インチ = 0.54 + 0.093 + 0.25 となります。
16 チャンネルのための総容積= 9.2 × 6.3 × 0.883 = 51.18 立方インチとなります。 これは 51.18 / 16
= チャネル当たり 3.20 立方インチとなり、25A チャンネルについては、単位容積当たりの出力電
力 = 28 × 25 / 3.20 = 219 ワット/立方インチとなります。
標準的な 9.2 インチ× 6.3 インチ、0.093 インチ厚の回路基板の重量は 0.55 ポンドです。 これから
単位面積あたりの重量 = 0.55 / (9.2 × 6.3) = 0.0095 ポンド/平方インチとなります。 一つのリレー +
ブレーカチャンネルの、チャンネル当たりの総面積は 3.7 平方インチであり、チャンネル当たり
の回路基板の重量は 0.0095 × 3.7 = 0.035 ポンドとなります。 チャンネルあたりのリレー + ブレー
カの総重量は 0.14 + 0.08 + 0.035 = 0.255 ポンドとなります。 従って重量当たりの出力電力 は 28
× 25 / 0.255 = 2745 ワット/ポンドとなります。
標準的な 16-チャンネル SSPC 基板アセンブリの重量は 1.8 ポンドです。 28V、25A SSPC チャン
ネルについて、単位重量当たりの出力電力は(28 × 25) / (1.8 / 16) = 6222 ワット/ポンド。
配線の削減
航空機や地上車両について、負荷スイッチングが、パイロットや運転手がアクセス可能な回路ブ
レーカを使用している場合、これらはパイロットや運転手の近傍に配置する必要があります。
これは、すべての電源線がパイロットや運転手の位置から両方向に配線される事を意味します。
SSPC は、ネットワークで制御することができるので、パイロットや運転手の場所からおよび運
転手の場所へ電源線を配線する必要がありません。 これによって、軽量化と燃料消費量削減を
実現することができます。
電力損失
SSPC は、サーキットブレーカよりも低い温度プロファイルを持っています。これは、On 抵抗が
少ないスイッチング MOSFET を採用していることからこの様な特徴を有しております。又、
MOSFET の並列化もしくは SSPC の複数チャンネル並列化をした電流を1つの負荷に対して使用
した場合、更に減少させることが可能です。また、ソリッドステートのスイッチングは、サーキ
ットブレーカおよびリレーに見られるリレーコイル、ソレノイド、バイメタルストリップ、およ
び接触抵抗の電力損失がありません。 その結果、SSPC は、サーキットブレーカおよびリレーと
は相対的に、 内部電力損失において大きなメリットを持ちます。
例として、28V 25A SSPC チャンネルをサーキットブレーカ/リレーの組み合わせと比較検討しま
す。 それぞれのケースで、チャンネルが完全にロードされていることを前提とします。表 1 と
表 2 を参照すると、28V、25A のリレー+サーキットブレーカチャンネルの平均電力損失は 5.6 +
2.6 = 8.2 ワット。 標準的な 28V、25A の SSPC チャンネルの電圧降下が 115mV とすると、結果的
に損失は 2.875 ワットです。 さらに、SSPC パス損失には、RP-26200 PC ボードトレースとコネ
クタの接点が含まれています。但し、サーキットブレーカおよびリレーは含まれておりません。
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電圧
電流
電気メカニカルスイッチング
28V
25A
SSPC モジュール
28V
25A
容積
重量
9.99 インチ 3
0.255 ポンド。
3.20 インチ 3
0.113 ポンド。
電源対容積密度
電源対重量密度
70.1 ワット/インチ 3
2745 ワット/ポンド
219 ワット/インチ 3
6222 ワット/ポンド
Bottom-up
Power-to-Volume Density (W/cu. in.)
電源対容積密度(W/cu.in.)
250
Bottom-up電源対重量密度(W/lb.)
Power-to-Weight Density (W/lb.)
7000
219
200
5000
150
100
6222
6000
4000
2745
3000
70.1
2000
50
1000
0
0
サーキットブレーカ
Electromechanical
/リレー
Relays/Breakers
Electromechanical
サーキットブレーカ
Relays/Breakers
/リレー
Solid State Power
SSPC
Controllers
Solid State Power
SSPC
Controllers
図 6 比較: 電源対容積密度と電源対重量密度 SSPC チャンネル対リレー/ブレーカの組み合わせ
電圧
チャネル電流
リレーコイルの電力損失
リレー接点消失
回路ブレーカの電力損失
SSPC 電圧降下
電気メカニカルリレー
+ サーキットブレーカ
28V
25A
1.86 ワット
3.75 ワット
2.60 ワット
--
SSPC チャンネル
28V
25A
---0.115V
チャンネルの総電力損失
8.2 ワット
2.875 ワット
10
8.2
電力損失 (W)
8
6
2.875
4
2
0
Relays/Breaker
サーキットブレーカ
+リレー
Combination
Solid State Power
SSPC
Controller
図 7. チャンネル電力損失、SSPC 対電気メカニカルスイッチング
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SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
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信頼性
信頼性の面で、SSPC は、電気メカニカルサーキットブレーカ/リレーベースの配電に比べて、大
きな利点を持っています。 多チャンネル SSPC ボードの MTBF は、電気メカニカルサーキット
ブレーカやリレーを多チャンネル実装した場合と比較して、高いレベルにあります。 SSPC は、
可動部品を持っていないので、サーキットブレーカやリレーよりもはるかに少ない故障要因しか
ありません。 図 8 はリレーの内部構造を示します。
図 8. ブレーカとリレーの内部
電気メカニカルスイッチングはいくつかの固有の故障要因を有しており、以下が考えられます。
1
•
リレーとサーキットブレーカの接触抵抗はアーク放電、酸化、浸食や穴が出来る事の影響
を受け、接触抵抗の増加を引き起こします。
•
開放されるブレーカと、誘導負荷へスイッチングするリレーからもたらされる放電は、接
点の劣化と、場合によると溶着をもたらし、接点を消耗させます。 同様に、接点バウン
スは、負荷の動作に影響を与え、接点溶着を含めた放電や故障を発生させます。
•
低負荷電流での動作は、酸化物を燃焼させることができないので 高い接触抵抗をもたら
します。
•
高振動環境では、電気メカニカルスイッチは、チャタリングする場合があり、システムの
動作に影響を与えます。 また振動で、製品の破壊やずれが発生することがあります。
•
リレー、ブレーカ接点の動作は、塩水噴霧、ほこりや砂の環境で低下することがあります。
•
サーマルサーキットブレーカおよびリレーコイルの接極子は、余分な熱を持ちシステムの
熱設計を複雑にし、電力を消費します。
•
リレーコイルは、湿度、ほこり、およびゴミが、コイルワイヤの絶縁脆化や最終的に故障
の原因となり、長期的な損傷を受けることがあります。
•
リレーの高いオン/オフ サイクリング速度は作動部品上の摩耗、リレー接極子のバインデ
ィング、接触腐食、断続的な接触操作、およびコイルの障害を引き起こすことがあります。
•
操作性の欠如は、リレー接点上に有機物質の蓄積を引き起こすことがあります。1
; Electric Power Research Institute; Maintenance and Application Guide for Control Relays and Timers
Technical Report; December 1993; page 3-7
ページ 10
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SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
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DDCのRP-26200 28 ボルト 16 チャンネルSSPCボードにおいて、地上車両環境のためのMIL-STD217 のMTBFは 25℃で 415,000 時間と評価されております。 25℃での同等の電気接触のための
MIL-STD-217 の故障率は、1.00• 10-6 イベント/時間であり、サーキットブレーカにおいて、3.3E-6
イベント/時間です。 コンタクタ/ブレーカ組み合わせの故障率=1.00•10-6 + 3.3•10-6 = 4.3•10-6、ま
たは、組み合わせたMTBFの 233,000 時間です。 2 16 個のコンタクタ/ブレーカの組み合わせにお
いて、MTBFは 233,000/16≈15000 時間です。 図 9 を参照すると、電気メカニカルリレーとブレ
ーカとは異なり、これはSSPCが約 27 対 1 の因数でMTBFの利点を持っています。
短絡のインスタントトリップ
SSPC の高い信頼性は、スイッチとブレーカよりも保護と安全性の改善を提供します。 また、短
絡故障の発生後、SSPC はクリアするために、約 1mSec の時間が必要ですが、ブレーカやリレー
は開放するために、数十 mSec の時間が必要です。 この遅延は、配線や機器の重大な損傷につな
がることがあります。
システムの信頼性の観点から、SSPC の使用により自動化された冗長性を可能にします。 その結
果、発電機、配線、または他の電源システムコンポーネントの故障の直後においても車両と作戦
上重要な負荷に電源を迅速に復帰します。
1 コンタクタ/ブレーカの
組み合わせ
16 コンタクタ/ブレーカの
組み合わせ
16 コンタクタと
サーキットブレーカ
DDC の RP-26200、28V
16 チャンネル SSPC ボード
233,000
N/A
15,000 時間
415,000 時間
MIL-STD-217 MTBF at 25⁰C (hours)
450000
415000
400000
350000
300000
250000
200000
150000
100000
50000
15000
0
16 contactor/breaker
combinations
16コンタクタ/ブレーカー
16-channel SSPC Board
16チャンネルSSPCボード
図 9. 信頼性(MTBF) 25 ℃、地上モバイル環境での MIL-STD-217 MTBF
2
Kulkarni, Ashok; A Hidden Reliability Threat in UPS Static Bypass Switches; American Power
Conversion; 2006; page 5.
ページ 11
Data Device Corporation
SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
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コストパフォーマンス
SSPC を使用すると、以下を含む多くの要因に基づいて、コストを削減することができます。:
•
電気メカニカルスイッチングよりも高い SSPC の信頼性は、地上車両や航空機の稼働時間
を向上し保守コストを削減します。
•
その軽量化と低消費電力により、SSPC はサーキットブレーカおよびリレーを採用した場
合と異なり、燃料を節約します。
•
SSPC は、オンボード診断のコンピュータにリアルタイムでフィードバックを行い、障害
が発生する前に、機器や配線の障害を予測して、予防保守を容易に行うことができます。
このようにして、完全な故障となってしまう前に、スケジュールダウンタイム中に保守を
行うことができます。
•
保守性について、マルチチャンネル SSPC は、高度にモジュール化された回路基板に多く
の回路ブレーカおよびリレーの機能を統合することができます。 また、SSPC は内蔵セル
フテスト機能があるので、運転中に健全性をバスやネットワークを介し継続的にチェック
することができます。 SSPC ボードは、通常、MIL-C-38999 コネクタと一緒に、LRU ボッ
クスに内蔵されています。 この設計および構造は問題解決にかかる時間を短縮し、平均
保守時間を最小化します。 より少ない保守件数と信頼性の向上は、車両の使用可能時間
を増加させ、保守コストを削減します。
•
高度な柔軟性を提供することにより、SSPC は、モジュール式の拡張式のあるシステム設
計を可能にします。 このようにして、SSPC は、追加の C4I 装置の設置など, 車両のアッ
プグレードを容易にします。 一般的に、これは個々の SSPC チャンネルが変更された負荷
(対象の機材)に対応するために再プログラムすることができます。 また、個々のチャンネ
ルの容量よりも高い電流を必要とする負荷をサポートするために、複数のチャンネルから
の出力を並列に使用することが可能です。 さらに、マルチチャンネル SSPC アセンブリを
使用することにより、同じボックス(同じ内部ファームウェアがプログラミングされてい
る)が採用された同型車両又は航空機に関して、異なる場所にてプログラミングすること
ができ、在庫コストを削減することができます。 これは車両や航空機で同じマルチチャ
ンネル SSPC を使いつつ、バス(例えば、CAN バス)やネットワークアドレスを介して、
違うプログラム(電源マネージメントの仕方を個々の車両や航空機によって変える)を行
う事が可能となります。
負荷の柔軟性
プラットフォームが、電気に関することや、電子的なオペレーションの進化がある時、様々な電
源の要求を持つ複数の機器構成をサポートする必要があります。 電気メカニカルリレーの定格
電流は負荷の種類によって異なる場合があります。 例えば、負荷抵抗のための 25A 定格のリレ
ーは、誘導性負荷のための唯一の 12 アンペア、モータのための 10 アンペア、ランプのための 4
アンペアに対して定格になることがあります。
比較すると(図 10)、SSPC は、全ての種類の負荷のために同じ最大電流定格をサポートするこ
とができます。 加えて、 SSPC の定格電流は、通常、10%~100 までの範囲でプログラム可能で
す。 さらに、複数の SSPC からの出力を並列して、より大きな負荷電流をサポートすることが可
能です。 これらから、SSPC は迅速な再構成を可能にすることによって、ブレーカとリレーより
も大きい使用上の柔軟性をサポートしています。
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Data Device Corporation
SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
White Paper
監視と診断
ソリッドステートパワーコントローラは、地上車両、航空機の電源や配線システムのために、多
方面の健全な管理をサポートします。 これらは、次のものを含んでいます:
•
SSPC は、短絡及び過負荷などの故障に対して、自律的に回路を保護します。 すべての
SSPC トリップのイベントは、アラームのメッセージを介して基板のネットワークインタ
ーフェイス全体に通知され、プラットフォームの消費電力を管理するコンピュータが余分
な電力システムを効率的に管理するようにします。 また、電源管理用コンピュータが定
期的にボードのバスまたはネットワークインターフェイス上で SSPC のステータスを確認
することができます。
•
SSPC は、入力および負荷の電圧および電流を高い精度(± 5%)で測定し、データを提供
することができます。 低/過電圧、低電流、過熱のような検出された障害において、
個々のチャンネルはすぐにもトリップあるいはネットワークインターフェイスにアラーム
を通報するようにプログラムすることができます。 後者のケースでは、電源管理のコン
ピュータは、障害をログに記録することができ、他の要因に応じて、SSPC を無効にする
決定を行うことができます。 たとえば、いくつかのプラットフォームやミッションクリ
ティカルな負荷のための特定の障害条件に対して、回路の解除は実用的ではないかもしれ
ません。
•
SSPC は、システムのコンピュータが、負荷電流と総消費電力に加えて、発電機やバッテ
リーの電力品質を追跡できるように、入力電圧を監視します。
•
SSPC から提供されたステータスとパラメータのデータに基づいて、電源管理のコンピュ
ータは、電源システムの動作の継続的な分析を行うことができます。 このようにして、故
障した SSPC に加えて、開放または短絡のスイッチング MOSEFET とともに、低電圧の損
失:配線や負荷の短絡や開回路などの故障を判定することができます。
SSPC から報告されたデータは、システムレベルの診断と予知、予想通知、条件ベースのメンテ
ナンスのために使用することができます。 その結果、可用性と任務遂行能力を提供するのを助
けます。 たとえば、システム管理用コンピュータは、ポンプの電流の増加を記録し、これによ
り、故障しているポンプを修理するか、交換するための事前のメンテナンスの必要性を指すこと
ができます。
25A リレー
SSPC チャンネル、25A
までプログラマブル可能
ページ 13
抵抗
25
25
負荷の種類別の定格電流
誘導性
モーター
12
10
25
25
ランプ
4
25
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SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
30
25
White Paper
25 25
25
25
25
20
15
12
10
10
25A Relay
4
5
DDC SSPC Module, 25A Ch
0
抵抗
Resistive
誘導性
Inductive
モーター
Motor
ランプ
Lamp
負荷の種類別の定格電流(A)
Current
Rating by Load Type (A)
図 10. 負荷の種類別の定格電流、DDCSSPC モジュール対電気メカニカルスイッチング
生存性と耐障害性
SSPC は、プラットフォームの電源システムの生存性と耐障害性に貢献する多くの機能を持って
います。 これらは、次のとおりです:
ページ 14
•
これまでに説明したように、SSPC は、電気メカニカルブレーカとリレーに信頼性の大幅
な増加を提供しています。 これは、地上車両や航空機の電源システムの生存性に実質的
に貢献します。
•
一部のアプリケーションでは、複数の SSPC をカスケード接続することができます。 つま
り、プラットフォームの主電源バスの 1 つと単体もしくは、複数の High Power SSPC をパ
ワーディストリビューションの中心との間に接続したとします。これは一つの負荷上(ま
たはその配線)の回路の障害が、他の回路に広がるのを防ぐことが可能となり障害の封じ
込めと、システムの生存性が向上致します。
•
システムの信頼性の観点からは、SSPC の使用は、自動化された冗長性を許可し、発電機
や他の電源システムの構成要素の障害後、プラットフォームとミッションクリティカルな
負荷に電力の供給を可能にします。 これは、自動的に素早く正確にミッションクリティ
カル時に重要ではない負荷をオフし、負荷の軽減を行い、電力を必要なところに回す様な
事が可能になる事が含まれます。
•
SSPC は、以下を含んで、リアルタイムの内部およびシステムレベルの診断を提供するこ
とができます。:
-
SSPC 入力電圧の損失、発電機、バッテリー、またはワイヤの障害を示す。
-
トリップされた SSPC、負荷線や負荷の短絡障害を示す。
-
稼動された SSPC 出力電圧、しかし、ゼロ負荷電流、これは配線や負荷のオープン
回路の故障を示す。
-
トリップイベントの後またはオフになったときにアクティブ化された SSPC の出力、
これは短絡 MOSFET を表します。
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SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
-
White Paper
オンの状態での SSPC の低電圧出力、これは、コントローラの故障や MOSFET の開
放故障を示します。
結論
表 3 は電気メカニカルサーキットブレーカとリレーに対して、SSPC の機能性とパフォーマンス
の比較を示します。 DDC の RP -26200 28 ボルト、エンクロージャ内の 16-チャンネル SSPC ボ
ード、および電気メカニカルサーキットブレーカおよびリレーについて同等の比較を示します。
これらに見られるように、SSPC は、多くの機能的および性能上の利点を持っています。 これら
は、より高い信頼性、低消費電力、より高い出力/重量と電源/容積密度、高振動環境での改
善された動作、短絡故障のより迅速な解消、より高度な使用上の柔軟性、EMI 低減, および強化
されたレポート機能が含まれています。
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SSPC 対 電気メカニカルスイッチング
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表 3. 比較の概要: SSPC 対ブレーカとリレー
パラメータ
電気メカニカルブレーカ
とリレー
SSPC
SSPC の利点
MTBF-16 チャンネル(時間)
15,000
415,000
高められたプラットフォームの
電力、メンテナンスコストの削
減。
スイッチング電源の消費電力
- 1つの 25A チャネル。
8.2
2.9
低電力損失、より小さい熱プロ
ファイル
システム-レベル: 電源/容積
密度-負荷 立方インチあたり
のワット
6.9
50.5
ボトムアップ 電源/容積密度負荷 立方インチあたりのワッ
ト
70
219
システムレベルの電源/重量密
度-負荷 ポンドあたりのワッ
ト
194.8
960
ボトムアップの電源/重量密度
-負荷 ポンドあたりのワット
2745
高振動環境で動作。
短絡の障害を解消するための
時間
乗組員や機器のスペースを解放
します。
軽量化は、燃料の節約に繋がり
ます。
接触のチャタリング、電圧の
停止やスパイクをもたらす。
6222
ソリッドステートスイッ
チングは、負荷に対し
て、電力の継続を保証。
負荷に対する電力の改善された
品質と可用性。
数十 mS
1 ~ 2 mS
迅速な短絡の解消は、配線、機
器および車両の破損を防止。
柔軟性
トリップ電流は、固定されて
いる。 最大電流は、負荷の種
類によって異なる。
10:1 で定格電流をプログ
ラムすることができる。
最大電流は、すべての負
荷の種類に対して同じ。
複数の SSPC は、並列接続
が可能。
変化する負荷の種類に対して、
電力分配装置を再プログラムで
きる。
EMI
負荷電流の突然のスイッチン
グ。
制御された立上り時間、
および立下り時間。
誘導負荷やランプ負荷のスイッ
チングのサージ電流削減。 電源
遮断の誘導性スパイク削減。
なし、または最小限。
状況、電圧、電流、およ
び温度の報告
予後、診断、および強化された
システムメンテナンスのため
に、入力内容をシステムのコン
ピュータに提供しています。
状況報告
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SSPC 対 電気機械 スイッチング
白書
参照:
1. Electric Power Research Institute; Maintenance and Application Guide for Control Relays and Timers Technical
Report; December 1993.
2. Kulkarni, Ashok; A Hidden Reliability Threat in UPS Static Bypass Switches; American Power Conversion; 2006.
Mike Glass
Principal Marketing Engineer
Data Device Corporation
詳 し い 情 報 に つ い て は 、 DDC の ウ ェ ブ サ イ ト を 参 照 し て く だ さ い 。 : www.ddc-web.com
またはディーディーシーエレクトロニクス株式会社 03(3814)-7688 担当藤岡、石井まで
Data Device Corporation は、1964 年以来、軍事および商業航空宇宙アプリケーションのための信
頼性の高いデータインタフェース製品および、MIL-STD-1553 製品を 25 年以上供給する国際的な
リーディングサプライヤーです。 DDC の設計および製造施設は、ニューヨーク州ボヘミアにあ
ります。
1105 Wilbur Place • Bohemia • New York 11716-2426 • 631-567-5600 • http://www.ddc-web.com