橡 畜産 - 福井県

Ⅵ.畜産
実況
1.平成14年度北陸3県合同肉牛枝肉販売会成績(14年8月3日)
販売会全体
福井県
枝肉
肉質等級
枝 肉
枝肉
肉質等級
重量
(頭)
単 価
重量
(頭)
(kg) ≦3
4
5 (円) (kg) ≦3
4
和牛♀ 376
6
7
1,714 391
2
4
〃 ♂ 452
13
10
9
1,833 482
1
4
5
4
枝 肉
単 価
(円)
1,803
2,106
2.平成14年度第10回石川・福井合同肉牛販売会成績(14年8月22日)
販売会全体
福井県
枝肉
肉質等級
枝 肉
枝肉
肉質等級
枝 肉
重量
(頭)
単 価
重量
(頭)
単 価
(kg) ≦3
4
5 (円) (kg) ≦3
4
5 (円)
和牛♀ 381
8
3
1,475 400
3
2
1,518
〃 ♂ 427
12
9
6
1,727 424
7
5
3
1,682
飼料作物実況
1.寒地型牧草の2番、3番草の収穫作業はほぼ終了。収量は平年並みから少雨の影響により
やや不良。
2.トウモロコシの収穫が8月18日から開始された(三国)収量は平年並みからやや良の見
込み。しかし、枯れ上がりの進んでいるほ場も見られる。
3.スーダン、ソルガムの収穫も8月上旬から始まっている。(坪刈り収量4∼6t)
4,BMRソルガムの現地試験ほ場で収穫が行われ、細茎でロールベールに十分対応した。
(宮崎、坪刈り収量3.5t)
イタリアンライグラス・寒地型牧草の生育状況(畜産試験場・8月27日現在)
草 種
播種期
草丈(cm)
生育ステージ
作 況
備 考
オーチャード
8/21 3番収
グラス 2年目
5∼10
生育期
やや不良
穫
トウモロコシ・ソルガム・暖地型牧草の生育状況(畜産試験場・8月27日現在)
草 種
播種期
草丈(cm)
生育ステージ
作 況
備 考
トウモロコシ(早生)
5.29
やや不良
8/6 収穫
ソルガム (スーダン型)
5.29
90∼100
2番生育期
1番平年並み
8/7 収穫
スーダングラス
5.29
90∼110
2番生育期
1番平年並み
7/30
収穫
ローズグラス (中生)
5.29
20∼30
3番生育期
平年並み
8/22
収穫
対策
1.乳用牛
県内にフリーストール畜舎が何棟か建てられ、活用されてきている。その多くがTMR(Total
Mixed Ration )により、飼料給与されており、そのTMR利 用 の 注 意 点 を 紹 介 す る 。
1)適正な飼料給与計算は、不可欠である。
原料の粗飼料分析を行い、利用する濃厚飼料の成分を調べ、飼料給与計算を行う。自信が
なければ、専門家に依頼する。
さらに、定期的にTMRの成分分析を行い、その配合 に間違いはないかチェックを行う。
2)粗飼料の切断長
利 用 す る 乾 草 の 切 断 長 は3cm 前 後 を 目 標 と し、 ル ー メ ン マ ッ ト を 作 る た め に 7cm前後の
ものを15%位残しておく。切断長が長すぎると分離採食が多くなる。ミキサーの切断刃の
定期的な研磨や交換が大切。
3)水分調整
乾物を最もたくさん取り込めるTMRの水分調整は大切で、水を加えて、水分30∼40%
に調整する。
4)製造粕や副産物等の利用
豆腐粕・ビール粕等製造粕類は積極的に利用したい。一般にこれらの原料価格は安いが、
水分含量が高く、成分にバラツキが大きい。成分分析を行いながら活用し、できるだけ低コ
スト化に心がける。
5)十分な採食スペースの確保
フリーストールの場合、群内での飼料摂取競争が激しいことから、弱い個体でもゆっくり
採食できるよう群内の飼養頭数が無理にならないよう注意する。さらに、飼料給与の直後だ
けでなく、いつでも採食できる様、飼料の掃き寄せを1日4∼6回 に分けて行う。作業量が
多くなるので、簡単な機械化等省力化も検討したい。
6)乾乳牛の飼養管理
搾乳牛と乾乳牛の飼料はまったく別のものと考え乾乳牛専用の TMR の給与が必要である。
2.肉用 牛
子牛の丈夫な胃袋作りには、粗飼料や濃厚飼料の食い込みをよくすることが重要となる。そ
のためには、スムーズな固形飼料への切り替えが必要となり、以下の点に注意する。
1)人工乳(スターター)は5∼7日齢より開始するが、最初は慣らしのために、哺乳後口
の中に入れてやるとよい。人工給餌器(バーデンスタート)などを利用する方法もある。
2 ) 固 形 飼 料 の 給 与 の 目 安 は 、 体 重 の0.5 ∼1.0% が 適 量 で 、 食 い 込 み 量 に 応 じ て 増 や し てい
く。授乳は逆に、代用乳の場合は給与量を除々に減らし、親付けの場合は隔離時間を長く
し、摂食意欲を高めてやるとよい。
3)固形飼料を食べ慣れた年長の子牛と同じ牛房に2∼3日入れておくと、食 べ る 物 と 判 り 、
早く食い込むようになることが多い。
4)粗飼料は、細切してやると、物理的に消化を助け、また食いりこぼしが少なくなる。
3.豚
養豚経営の収益を増大させるために、もっとも重要なのは繁殖成績である。繁殖成績の目標
は年間産子数27頭以上を確保することである。交配により114日におよぶ妊娠期間がスタ
ートするが、妊娠前期は胎児にとってはまだ不安定で早期胚死滅や流産が発生しやすい時期で
ある。そこで、妊娠前期(交配∼80日齢まで)の母豚の管理では以下の点に注意する。
1)受精卵が子宮に到達し胎盤ができ胎児が安定するまでには40日以上かかり、この時期
は流産などの危険があるので交配後に転倒や腹部に衝撃が加わることがないようにし、交
配から1ヶ月と1.5ヶ月齢の2回妊娠鑑定を実施して妊娠を確認する。
2)交配後に必要以上の飼料を多給すると、母豚自身が肥満してしまい、ホルモン分泌の失
調や子宮着床能力の減退など繁殖上に不都合な面が多くなるので、交配が済んだら、個体
毎に給餌量が調整できる施設に移して飼育する。
3)種豚用に調整されて いる配合飼料であれば、通常の大きさである豚については3産次後
の母豚で1日2.0から2.2㎏、若豚で2.2∼2.4㎏与えれば十分である。
ただし11月∼3月までの気温の低い季節には、寒さによるエネルギーの補給をするた
めに10∼15%エサを増給してやる必要がある。
4.鶏
産卵の初期や後期、暑熱期などを中心に卵殻質の劣る鶏卵が多くなる。このため、卵殻重
を増やし、卵重を減らして卵殻を強くする必要がある。その例を以下にまとめる。
1)暑熱期において、一般の配合飼料にカキがらを、夕方に1羽当たり 2g 給与すること に
より、卵殻が強くなる傾向が見られる。
2)産卵の後期において、低タンパク質の飼料(粗タンパク質 15.3 %)にカキがら 2g を 追 加 給
与すると、卵重の増加を抑え卵殻の強度を高める。
5.衛生
子牛下痢症予防のための肉牛衛生管理(その1)
子牛の下痢は畜産農家にとっては収益を大きく左右する問題であり、最も経済損失の大きな
疾病のひとつであるため、下痢症防除対策は重要です。
畜舎の環境
1)畜舎内、特に床を清潔に保つ
畜舎内を清潔に保つことは牛飼いの基本であり、下痢の原因である細菌、ウイルス、寄生
の増殖防 止と乳房の汚染防止に必要です。清掃は下痢症子牛のいる場所を最後にし、清掃が
終わったら必ず靴と器具を消毒する。
2)分娩室あるいは子牛牛舎の敷き料に注意する
敷き料として、ワラ、オガクズなどが用いられているが、ワラは細断しないでそのまま使
用することが推奨されています。細断したワラやオガクズは便を覆い隠し、そのため便の状
態が観察し難たく、ときには下痢の発見を遅らせます。切断しないワラを十分敷き詰めれば、
便はワラの上に存在し、便の観察を容易にするばかりでなく、床の通気、保温にも有効です。
3)糞尿あるいは堆肥の保管場所に注意する
糞尿あるいは堆肥の保管場所が、畜舎内にある場合、換気の悪い畜舎では堆肥から発生す
る有毒ガスが畜舎内に充満している場合があるので注意が必要です。
4)夏場の通風(換気)
夏場の畜舎内温度は40℃を超え、子牛が呼吸速迫の状態にあることもしばしばです。こ
のため、夏場の下痢症は重症になることがあります。夏場の対策として、壁掛けや大型の扇
風機を使用している農家もありますが、多くの場合、外気を入れるばかりで、畜舎内の空気
の排出が十分でないために、結果として畜舎内の空気を循環させているだけの事例がありま
す。通風とは外気を内へ、内気を外へという空気の流れであり、いわゆる風通しのよい畜舎
です。通風が悪いと堆肥からの有毒ガスの排泄にも影響をおよぼしますので、このような場
合には、風の流れをみて内気の出口を作る必要があります。
また、しゃがんだとき(子牛と同じ高さになったとき)に目や鼻を刺激する有毒ガスの存
在を感じるときがあります。親牛や人の高さの通風がよくても、子牛が生活する低い部分で
は通風が悪く堆肥から発生した有毒ガスが充満しているため、常時 有毒ガスに曝されている
子牛は下痢や呼吸器病に罹患しやすくなります。
5)冬場の保温
冬場の保温は下痢の治療・予防に大きな効果を発揮する。シートで隙間風を遮断し、投光
機、家畜用赤外線ヒーターやコタツを活用した保温箱などで保温する。十分な厚さの敷き料
や市販の保温マットなどで腹部の保温をすると良いが、保温マットの場合、低温火傷を起こ
すことがあるので保温マットが直接牛体に接触しないようにする。
6)定期的畜舎の消毒
消毒薬は、1種類を使用するのではなく、数ヶ月ごとに他の消毒薬に替え、畜舎消毒は定
期的に実施しましょう。消毒は農家が無理なく継続してできる方法でなければなりません。
消毒薬の散布は6∼8L のジョウロで3∼7日に 1 回、できれば毎日分娩室中心に行うと良
い。多頭飼育農家では動力噴霧器で消毒を行うのも良いでしょう。
(次号につづく)
6.飼料作物
1)天候等により刈り遅れたり、枯上がりの著しいトウモロコシは、水分が少ないため詰め
込み密度が低くなり、糖分含量も低いために発酵が進みにくい。このため、pHが下がら
ず、サイレージが二次発酵を起こしやすい。低水分の材料には、水分が65∼7 0 % の 範
囲になるように詰め込み時に水を加える。また、二次発酵抑制剤として、プロピオン酸、
酢酸などを0.5%添加するとよい。
2)中生水稲の収穫が早まり、8月中下旬から収穫されているので、稲わらの収集は早め
に作業計画を立て、雨に当てないよう効率的に収集する。
3)9月下旬からイタリアンライグラス等寒地型牧草の播種期を迎えるが、堆肥散布後でき
るだけ早く耕起し、土壌改良資材は耕起した後から播種1週間以上前までに施用し土壌と
よく混合しておく。