新 製 品 64Mb(×16)NOR型デュアルオペレーション・フラッシュメモリと 32Mb(×16)モバイルFCRAM を2チップ搭載したMCP MB84VR5E4J4J1 R 世界初の, 64MビットNOR型デュアルオペレーション・フラッシュメモ リと32MビットFCRAM R を2個搭載した3チップスタックMCPです。 従来の2チップスタックMCPよりワーク領域のモバイルFCRAM R を 大容量化し,より複雑で高度なプログラムが高速実行できます。 概 要 最近では携帯電話の用途として,通話機能以上にメールやブラ ウザ機能が重視されつつあり,今後もさまざまなサービスコンテンツ の拡充が図られています。また,既にJava OS搭載の携帯電話が 発売されており,ゲームなど複数のアプリケーションの動作が可能 です。このような状況をふまえ,当社では64MビットNOR型フラッシュ メモリと32Mビット モバイルFCRAM*1搭載品種「MB84VD23483EJ」 を開発・製品化し,市場ニーズにいち早く対応してきました。 しかし現在では,第3世代移動通信システムIMT-2000*2の試 験運用が一部で始まっています。これら次世代携帯電話の特長の 写真1 外観 1つとして,従来の携帯電話に比べてより高度なアプリケーション の高速実行が可能なことが挙げられます。したがって,次世代携 帯電話ではより大容量のワークメモリが必要であり,既存のMCPで は容量が不足すると予想されます。 当社はIMT-2000による次世代携帯電話の本格的普及を見越し て,世界で初めて64MビットNOR型フラッシュメモリと,モバイル用 途向け低消費電力型32Mビット モバイルFCRAMを2個搭載した, 3チップスタックMCP「MB84VR5E4J4J1」 を開発・製品化しました。 現在,携帯電話向けMCPにはプログラム格納用メモリのNOR型 フラッシュメモリと,データの一時保存・書換え用のワークメモリとな るSRAMまたはFCRAMが搭載されています。本製品では,ワーク メモリの32Mビット モバイルFCRAMを2個実装することにより,トー タルで64Mビットもの大容量ワークメモリの搭載を実現しています。こ れにより,携帯電話上でのアプリケーションの高速実行と,フラッシュ メモリ−ワークメモリ間のデータ転送回数の削減が容易になります。 また,本製品に搭載されている64Mビット デュアルオペレーション・ フラッシュメモリは,高い汎用性と大容量・低消費電力を実現して おり,32Mビット モバイルFCRAMは,モバイル用途向けに高速・ 低消費電力・低コスト化に注力しています。これらのデバイスを組 み合わせた本製品は,携帯電話のパフォーマンス向上に大きく貢献 することが可能で,次世代携帯端末向けとして最適なデバイスです。 FIND Vol.19 No.6 2001 17 MB84VR5E4J4J1 抑える3種類のパワーダウン機能を搭載 特 長 低コスト化:モバイルFCRAMはDRAMコア設計の擬似SRAM であるため,純粋なSRAMと比べて低コストです。 表1に主要特性,図1に端子配列図,図2にブロック図,図 パッケージ (信号ボール:60,補強ボール:25) ・パッケージ:FBGA*3-85ボール 3に外形寸法図を示します。 品種構成 信号ボール配置は,JEDEC標準である従来の2スタックMCPと 64Mビット デュアルオペレーション・フラッシュメモリ/32Mビット モ 上位互換です。従来の半田ボールは高さ0.36mm〜0.38mmで バイルFCRAM×2:32Mビット モバイルFCRAMを2個搭載する すが,本製品は高さ0.1mmの小型半田ボールを採用することに ことにより,プログラム格納用メモリとワークメモリの容量がともに より,パッケージ取付け高さを低く抑えています。なお,小型半 64Mビットという,極めて大容量のMCPを実現しました。 田ボールの採用による実装信頼性の低下はありません。 ・64Mビットデュアルオペレーション・フラッシュメモリ ・サイズ:10.4×10.8×1.3(t)mm(MB84VR5E4J4J1) (512ワード×16ビット)×2+(1536ワード×16ビット)×2の計4 本製品は3チップスタックMCPであるにも関わらず,従来の2チッ バンク構成 プスタックMCP(MB84VD23483EJ:10.4×10.8×1.2( t)mm) FlexBankTMアーキテクチャの採用により,デバイス内部の4バ に比べて,パッケージの取付け高さを同等に,基板上でのパッ ンクを任意に組み合わせ可能 ケージ占有面積を全く同一に抑えました。 読出し/書込み動作が同時に行えるデュアルオペレーション機能 フリップチップ接続技術 を搭載 当社が開発してきた多くのスタックMCPは,接続にワイヤボンディ スタンバイ時typ1μAの低消費電力設計 ング方式を用いていました。しかし本製品のように,同一サイズの ・32MビットモバイルFCRAM チップを組み合わせる場合(32Mビット モバイルFCRAMを2個搭 2Mワード×16ビット構成 載) はチップパッドが重なるため,ワイヤボンディング方式によるスタッ 非同期SRAMインタフェース クMCP化は実現できませんでした。そこで本製品は,フリップチッ スタンドバイ時100μA(最大)の低消費電力設計,消費電力を プ接続を用いたMCPパッケージ技術を適用しています。フリップ 表1 品種構成 主要特性 MB84VR5E4J4J1 64Mビット デュアルオペレーション・フラッシュメモリ 搭載素子 32Mビット モバイルFCRAM×2 I/O構成 ×16 電源電圧 2.7V〜3.1V 動作温度 −25℃〜85℃ リードサイクルタイム FCRAM AC特性 ライトサイクルタイム 85ns /CEアクセスタイム リードサイクルタイム Flash AC特性 ライトサイクルタイム 85ns /CEアクセスタイム FCRAM消費電流 Flash消費電流 動作時 30mA(最大) スタンバイ時 100μA(最大) パワーダウン時 10μA(最大) 動作時 18mA(最大) 書込み時 40mA(最大) 消去時 40mA(最大) スタンバイ時 Flash消費時間(標準) 1.0s/セクタ Flash書込み時間 16μs パッケージサイズ ボール数 18 5μA(最大) 10.4mm×10.8mm×1.3(t)mm 信号 60(JEDEC標準) 外周 25 FIND Vol.19 No.6 2001 MB84VR5E4J4J1 図1 端子配列図 (Top View) Marking side A12 B12 L12 N.C N.C N.C N.C A11 B11 L11 M11 N.C N.C A10 B10 N.C N.C D10 E10 F10 G10 H10 J10 A15 A21 N.C A16 VCCf VSS C9 D9 E9 F9 G9 H9 J9 K9 A11 A12 A13 A14 PE̲1 DQ15 DQ7 DQ14 C8 D8 E8 F8 G8 H8 J8 A8 A19 A9 A10 DQ6 D7 E7 F7 G7 C7 WE CE2r̲1 A20 H7 J7 K7 VCCr̲1 N.C H6 J6 K6 VCC DQ11 D6 E6 F6 G6 N.C M10 N.C N.C DQ5 WP/ACCRESET RY/BY CE1r̲2 VCCr̲2 DQ3 C6 N.C L10 K8 DQ13 DQ12 PE̲2 CE2r̲2 DQ4 M12 C5 D5 E5 F5 G5 H5 J5 K5 LB UB A18 A17 DQ1 DQ9 DQ10 DQ2 C4 D4 E4 F4 G4 H4 J4 K4 A7 A6 A5 A4 VSS OE DQ0 DQ8 A3 B3 D3 E3 F3 G3 H3 J3 L3 M3 N.C N.C A3 A2 A1 A0 CEf CE1r̲1 N.C N.C A2 B2 C2 L2 M2 N.C N.C N.C N.C N.C A1 B1 L1 M1 N.C N.C N.C N.C チップ接続では,下チップのパッドにバンプを形 図2 ブロック図 成したあとフェイスダウンで直接基板に実装し, チップ下面にアンダーフィルを流し込んで固定しま VCCf す。このあと,フリップチップ実装したチップ上面 に,残り2チップを従来と同様ワイヤボンディング A21 to A0 RY/BY A21 to A0 で実装し,3チップのスタックMCPを実現してい ます。なお,フリップチップ接続技術の採用によ るMCPのパッケージ高さの増加はありません。 VSS 64 Mビット フラッシュ メモリ WP/ACC RESET CEf アクセスタイム DQ15 to DQ0 ・ランダムリードアクセス: VCCr̲1 85ns(NOR型フラッシュメモリ) ・ランダムリードアクセス: 85ns(モバイルFCRAM) 動作電源電圧 ・Vccf=2.7V〜3.1V(NOR型フラッシュメモリ) ・Vccr=2.7V〜3.1V(モバイルFCRAM) 低消費電力 VSS A20 to A0 32 Mビット FCRAM̲1 LB UB WE OE CE1r̲1 CE2r̲2 PE̲1 ・スタンバイ電流: VCCr̲2 標準1μA(NOR型フラッシュメモリ),最大 VSS A20 to A0 100μA(モバイルFCRAM/1チップ当たり) ・読出し動作: 最大18mA(NOR型フラッシュメモリ),最大 PE̲2 CE1r̲1 CE2r̲2 32 Mビット FCRAM̲2 30mA(モバイルFCRAM/1チップ当たり) ・書込み/消去動作: 最大40mA(NOR型フラッシュメモリ) FIND Vol.19 No.6 2001 19 MB84VR5E4J4J1 *1:モバイルFCRAM(First Cycle Random Access Memory):当社が ・消去/書込み回数:100万回(NOR型フラッシュメモリ) 独自に開発したDRAMを応用した次世代メモリコア技術。 *2:IMT-2000(International Mobile Telecommunications 2000) :国際 今後の展開 電気通信連合(ITU)が定めた移動体通信システムの規格。 *3:FBGA(Fine-pitch Ball Grid Array):表面実装型パッケージの一種。 本稿では,次世代携帯機器に最適化したメモリソリューションと *FCRAMは,富士通株式会社の登録商標です。 して,大容量3チップスタックMCPをご紹介しました。今後も当社 *Flex Bankは,日本国内における富士通株式会社の商標です。 は,ブロードバンド時代を牽引するフラッシュメモリのトータルソリュー *JavaおよびすべてのJava関連の商標およびロゴは,米国Sun Microsystems ションサプライヤとして,MCPのさらなる小型化・大容量化を実現 社の商標または登録商標です。 し,複雑かつ多様化していく市場ニーズを常に先取りした先進的 な製品を開発・ご提供していきます。 図3 ■ 外形寸法図 +0.10 85−φ0.40−0.05 +0.20 1.10−0.10 (取付け高さ) 10.80±0.10 0.20 S B φ0.08 M S AB B 0.40REF 0.80REF 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0.80REF A 10.40±0.10 0.40REF 0.10 S 0.20 S A 0.10±0.05 (STAND OFF) INDEX-MARK AREA S M L K J H G F E D C B A INDEX BALL 0.10 S 技術に関するお問い合わせ先:電子デバイス事業本部 システムメモリ事業部 TEL(042)532-1399 20 商品企画部 FAX(042)532-2449 営業に関するお問い合わせ先:最寄りの営業部門(裏表紙をご参照ください) FIND Vol.19 No.6 2001
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