IP2.0 問題群リスト(暫定版)

IP2.0 研究会
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IP2.0 問題群リスト(暫定版) 問題1(世界共通の制度構築) グローバリゼーションの時代においては、企業活動が国家の枠を超えて展開されている現
状に即して世界共通のIP制度を構築するべきではないか? 例えば、現在の国別特許制度のもとでは、同じ発明について、世界で最初の発明かどうか
が国ごとに審査されているが、世界共通の特許制度を構築する、先進国間では共同審査や
相互承認をできるようにする等の対応が求められるのではないか? 問題2(巨大プラットフォームのガバナンス) 国家の枠を超えた事実上のルールメイカーとして機能しつつある巨大プラットフォームに
対して、ガバナンスを確保することは可能か? 今後、誰がどのようにガバナンスを確保すべきか? 問題3(人類普遍の目的との調和) 自国の産業発展を主な目的とするIP制度は、世界の環境保護や人類の健康、幸福の実現
等の普遍的な目的との調和をどのように図っていくべきか? 問題4(IPの自動生成の進展) 例えばDNA、化学物質、テキスタイルなどのように、様々なパラメータの組み合わせに
よって新たな価値を生み出すことが可能な分野において、コンピューターの処理速度や容
量の増大に伴い、パラメータのあらゆる組み合わせを素早くかつ無数に試みることが可能
となる。また、人工知能やセンサーなどの技術進歩に伴い、言語、音楽、映像といったコ
ンテンツを機械的に生成することも可能となる。今後、こうした技術進歩に伴い、IPの
自動生成がどのように進んでいくと考えられるか? また、それによってどのような問題が発生すると考えられるか? 問題5(自動生成されるIPの扱い:産業財産権) 特許や意匠等の分野において、自動的・機械的・網羅的にIPを生成された場合、それに
対応したIP制度はどのようなものであるべきか? 特に、出願件数の急増や同時発明の多発化に備え、研究開発投資の成果を適切に保護する
ためには、どのような対応が求められるか? 株式会社角川アスキー総合研究所
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問題6(自動生成されるIPの扱い:著作権の帰属) 著作権の分野において、自動的・機械的・網羅的にIPを生成された場合、それに対応し
たIP制度はどのようなものであるべきか? 例えば、人工知能が生成した著作物に関する権利は、誰に属することとすべきか? また、人工知能が生成した著作物について、財産権のみならず人格権までをも認めるべき
か? 問題7(ビヨンド・スマート) ウェアラブルやM2Mの進展により、コミュニケーションは、人以外の「モノ」が、視聴
覚以外の「データ」を「常時」やりとりする態様へと拡張する。こうしたビヨンド・スマ
ートはどのような問題を引き起こすと考えらえるか? また、そのような問題をどう解消するべきか? 問題8(クラウド内での情報活用ルール) ユーザーがクラウド内に保存した情報を、クラウド事業者は、どの程度まで当該ユーザー
の承認を得ずに活用することが認められるべきか? 仮にクラウド事業者による情報活用のルールが必要であるならば、どのようなルールを設
けるべきか? 問題9(モノと情報の融合) 3Dデータさえあれば個人で様々なモノができる3Dプリンターの進歩によって、モノと
情報が融合する世界がやってくる。これまで、モノは流通・複製が容易でないことを前提
にモノに関する知的財産権制度が設計されてきたが、モノと情報が融合し、モノが情報並
みに流通・複製されうる世界においては、知的財産権の枠組みとしてどのような制度が適
切か? 問題10(ビジネスモデルと知財マネジメントの関係) 「オープン&クローズ戦略」や「N:1:N 構造化」をはじめ、多種多様なビジネスモデル
が開発されている現在、従来の古典的ビジネスモデルに対応した古典的知財マネジメント
(権利化起点主義)では対応しきれなくなっている。またそれは日本の得意だった「フル
セット・自前主義・抱え込み主義」を崩壊させていくことを予想させるものでもある。そ
のような産業内部環境の激変に対応し、かつそれを打開していくためには、どのようなビ
ジネスモデルと知財マネジメントの関係を構築すべきか? 株式会社角川アスキー総合研究所
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問題11(農林水産業系の知財マネジメント) 農林水産業系における知財のカバレッジは、バイオから機能性食材開発まで、ロボットス
ーツや電子制御機器から植物工場まで、さらに、農工連携・医農連携等他分野との連携に
まで拡大している。一方、これまで日本の農林水産業系の研究開発は国内産業育成を主眼
として行われてきたため、公的な研究成果や篤農家のノウハウ等が簡単に外部流出する形
に留まっている。農林水産業の再生と海外展開を目指す時、どのような知財マネジメント
が必要となるか? 問題12(経営資源としてのデザイン) デザインを競争力の源泉として認識した各国の企業や政府は、それを「経営資源」として
活用し、着実な成果をあげてきた。日本のものづくり力の再構築が課題として問われる中
で、どうすれば「経営資源」としてのデザインの活用を、国家戦略や経営戦略の中に位置
づけることができるようになるか? 問題13(デザイン領域の拡張) デザインの領域は、色、カタチといった従来の狭義のデザイン対象から、コト造りや技術
イノベーションなどの広義のデザイン対象に拡大しており、さらに新たな世界観・価値観
を生み出す「創造的思考」にまで拡大しようとしている。このような新領域におけるデザ
インをもIPとして捉えるべきかどうか? IPとして捉えるのであれば、IPに関する権利・義務関係をどのように設定すればよい
か? 問題14(二次利用のルール) 文化の発展のために認められるべきIPの二次利用のルールとは、どのようなものである
べきか? 例えば、許される二次利用と許されない二次利用(パクリ)の境界をどのように設定すべ
きか? また、IPの原始的生産者に与えられるべき正当な報酬と、当該IPが二次利用されるこ
とによって得られる反射的利益を区分して考えることが必要ではないか? 問題15(産業著作権制度の創設) 誰でもコンテンツを発信することが可能になった一億総クリエイター時代において、非営
利的なアマチュアによって大量に生成されるUGCと、営利目的でプロが生成するコンテ
ンツを、同一の制度のもとで扱うことが適当かどうか? 後者については、権利関係の明確化や事業活動の円滑化等に資する新たな産業著作権制度
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を創設することが必要ではないか? 問題16(技術等の情報開示) 特許制度が技術等の情報を開示する者に対して独占的権利を付与するものである一方で、
営業秘密保護制度は技術等の情報を秘匿する者の利益を保護するものである。今後、政府
の政策や企業の戦略において、どちらに重点を置くべきか? また、両者をどのように組み合わせていくことが求められるか? 問題17(創造力・表現力の教育) IP生産力の基礎をなす創造力・表現力を向上・最大化させる教育システムとはどのよう
なものか? 例えば、初等~高等教育の内容、ITその他の教育環境、創造力・表現力の評価手法はい
かにあるべきか? 問題18(創造性を有する組織) 創造性豊かなIPを次々と生み出すことができる組織は、どのように設計・運営すれば作
ることができるか? 異分野の融合を促進するための仕掛けとして、どのようなものが有効と考えられるか? 問題19(MOOC時代の大学像) MOOC時代には、大学間の国際競争の中で、講義を中心とする大学の価値が一部の大学
に集中していく一方で、高度な実践を伴うプログラムを提供する大学の価値は相対的に向
上していく。知財創出の重要な担い手である大学が、生き残りをかけて、実践を中心とす
るプログラムへの特化や産学連携による価値の提供という役割を果たして行く上で求めら
れる大学像とはどのようなものか? 問題20(プログラミング・スキルの普及) 今後、プログラミングのスキルが一般的な素養として多くの人々によって習得された場合、
IPの生成形態(誰が、どこで、いつ、どのように生成するか)にどのような変化が生じ
ると考えられるか? 問題21(法制定・改正の規範) IPに関する法制度の構築・見直しに当たり、単に当事者間の利害調整の結果を反映する
のではなく、誰もが納得できる法制定・改正の規範を確立することが必要ではないか? また、確立すべき規範としてどのようなものが考えられるか? 株式会社角川アスキー総合研究所
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問題22(IP対アンチIP) IPに関する独占的権利の設定に否定的な勢力や、そうした勢力に対抗する勢力の動きが
見られる中で、今後、それぞれの動きはどのように展開して行くことが予想されるか? また、両者間の対立構図の中で、IPに係わる者はどのようなことに留意しておく必要が
あるか? 問題23(今後の検討体制) 上記の問題群の検討を、今後どのようなやり方で進めていくべきか? ※このリストは暫定版のため今後の作業を通じて不足分の追加や整理のしかたなど更新し
ていく予定です。 2014 年 7 月 29 日 IP2.0 プロジェクト 株式会社角川アスキー総合研究所