0006 技術資料 試験装置 (例) スチ ー ルと 水 密 性 表 面 処 理 スチールは空気中の酸素および水と結合して、表面にさび(Fe3O4、Fe2O3) を生じます。 このさびは放 台風の来襲度の高い我国にとって、サッシの水密性は建物の居住性にとっても耐久性にとっても大変重 置すると止まることなく、鉄素地におよそ0.01㎜/年の割合で浸食し有害な結果をもたらします。 さびからス 要な問題です。サッシの前後に圧力差が生じたとき、外部の雨水がサッシの枠室内最内面を越えて室内 チールを守るために下地処理および上塗り塗装が重要な役割を果たします。 このためスチールの表面処 側へ漏水しない限界の圧力差をサッシの水密圧力と呼び、 その圧力差をもって水密性能を表します。 A´ 理性能および表面処理方法が下記のように規定されています。 水密圧性試験手順 (加圧線図) F J B 1 水密性に関するJIS規定 ■ A E 0006 試験に用いる圧力差は下記の通りとする (d) 枠外へのあふれ出し 区 分 脈動圧 ●建具の水密性試験方法 JISA1517:1996に、建具の水密性試験方法が規定されています。試験方法 中央値(Pa) は下図のように圧力箱に試験体を取付け、1分当たり4p/㎡の水を噴霧し、圧 試験装置 (例) 力を10分間加え、 その間にサッシか らの漏水状況を観察 します。 周期(s) 試験装置 (例) F J A´ A E G K 10 1 水密性能グレード 2秒周期の近似正弦波 上限値 35 圧力差 可動部 (kgf/;)はめ殺し部 中央値P 65 性能グレード (Pa) 1 50 65 100 150 2 下限値 5 噴霧終了 市街地ビル 200 4 観察終了 加圧 使用場所の目安 市街地住宅 W-5 3 100 条件1 :健全で再使用出来る程度 条件2 :主要部が破損しない程度 (1) 準じた評価 :JIS A1517には圧力差50㎏f/㎡まで しか規定されていないので、 これを超え る圧力差については、JISの考え方の延長線上では判断する。 なお、具体的な判断の基準は、 0 「カーテンウォール性能試験標準要領」 による。 時間 噴霧開始 W-4 高層・強風地域用 324 P −750 2 観察開始 必要等級の目安 W-3 P +750 95% サッシ水密性能選択の目安は、下記を参考に選定して下さい。 W-2 P ×0.5 予備加圧 A:試験体 A:́試験体取付枠 B:圧力箱 C:送風機 D:圧力調節機 E: じゃま板 F:圧力差測定器 G:水量計 H:脈動発生 I:水圧計 J:水噴霧装置 K:水ポンプ L:貯水槽 2 水密性必要等級の目安 ■ W-1 下限値(Pa) 開閉確認 I L P P ×1.5 水密圧性試験手順 (加圧線図) 水密性能は、可動部とはめ殺 し部それぞれが室内側に漏水を起こさな い限界の圧力差で表示し、下表の通り区分する。 なお、表示の基準は JIS A1517 (建具の水密度性試験方法) の規定に準じて評価したも の (1) による。 圧力差 H 中央値が1500Pa を越える場合 P 上限値(Pa) 正圧 D 中央値が1500Pa 以下の場合 ● 〈参考〉カーテンウォール水密性能基準 JCMA基準 (1993年版) B C 時間 (min) 95% (c) 枠外への吹出し 500 W-5 噴霧終了 (b) 枠外へのしぶき 観察終了 350 (a) 枠外への流れ出し 加圧 W-4 0 下限値 噴霧開始 250 (Pa) 観察開始 W-3 中央値P 予備加圧 150 2秒周期の近似正弦波 上限値 開閉確認 W-2 10 1 圧力差 水密性 水密性試験手順 (加圧線図) 正圧 A:試験体 A´:試験体取付枠 B:圧力箱 ●水密性の等級と判定基準 C D C:送風機 JIS A 4706:2000・JIS A 4702:2000に水密性による等級と性能 (判定基準) D:圧力調節機 E: じゃま板 が下表のように規定されています。 H F:圧力差測定器 G:水量計 性能項目 等級 等級との対応値 性能 H:脈動発生 G K I 水圧計 圧力差 加圧中 JIS A: 1517 に規定する J:水噴霧装置 I 次の状況が発生 しないこと。 Pa K:水ポンプ L L : 貯水槽 100 W-1 (min) 外障子と下枠 雨水 791-3 3 サッシの水密構造 ■ 791-2 たて軸回転窓の場合 一般にサッシの水密構造は、次の3形式に大別することができます。 ●等気圧理論応用構造 水位 注) ㋺�������������� ��������������� の部分に溜まる水は、漏水では が雨返し部分で封殺されて高い水密性 水位 が得られます。この原理を等気圧理論と 風圧力 外障子と下枠 内障子と下枠 いい、 たて軸回転窓以外に、 すべり出し 雨水 水の動き 雨水 ることにより、雨滴のもつ運動エネルギー 水の動き ります。 ありません。 風圧力 雨水 かまちと枠の空間を外気圧と等気圧にす 風圧力 ㋺��������������� の部分では水の重力で浸入水を押 し返そうとする力が働き、バランスをと の構造とし、㋬����������� ������������ の部分に外気圧を導入し ています。 雨水 す。下枠内にある程度の水が溜まる 風圧力 かまちの室内側に気密材������� ㋥������ を設け、 かま ちの外部側は枠と共同で雨返し��� ㋭�� のみ 風圧力 ●下枠内に水を溜める構造 この形式の場合は、風圧力に押され て��������������� ㋑�������������� の経路で下枠内に水が浸入しま 内障子と下枠 窓、内倒し窓、開き窓などにも応用されて 791-3 ●下枠内に水を溜めない構造 います。 外気導入孔 791-2 排水孔 雨水 この形式の場合は、風圧力の大小による水位の変化が無く一定で、水位は たて軸回転窓の場合 外レールの高さ��������� ㋩�������� だけ溜まります。 [下枠に水を溜めて水密性を保つ構造の例] 風圧力 風圧力 水位線より上の部分に気密材を設け、 気密材を境にした室外側 (図の傾斜 791-2 部分) が外気圧と等気圧になるように設計され、外気圧内の範囲に水の動き を封じこめた構造で、高い水密性が得られます。 ●サッシの下枠����������������������� ㋺���������������������� の様に雨水が溜まることは漏水ではありません。 ●漏水とは、�������� ㋣������� の様に下枠を越 えて室内にあふれ出る状態 雨水 雨水 風圧力 風圧力 風圧力 雨水 をいいます。 水位 雨水 雨水 外障子と下枠 水位 外障子と下枠 791-4 水位 内障子と下枠 水位 791-3 内障子と下枠 たて軸回転窓の場合 4 雨水浸入の要因と対策 ■ 791-3 外気導入孔 排水孔 雨水の浸入の要因は、基本的に下記に大別できます。水密設計に当たっては、各々の雨水の浸入の要因について対策を考慮しておかなければなりません。 開口部からの雨水の浸入の要因 たて軸回転窓の場合 791-4 791-5 雨水浸入のメカニズム 表 面 張力 表面を伝わって目地内 部へ回り込む ●目地を上向きに傾斜させる ●高さのある水返しを設ける 雨水 目地内に下方に向かう 経路があると雨水はそ の自重で浸入する 風圧力 重 力 対 策 ●水切りを設ける 雨水 風圧力 微妙なすき間があると、 水は内部へ吸収される ●エアポケッ トとなる空間を設ける ●隙間を大きくする 運 動 エネルギー 風速などで、 水滴がも っているエネルギーに よって内部にまで浸入 する ●迷路を設けて運動エネルギーを消耗させる 気 圧 差 建物の内外に生ずる気 圧差による空気の移動 で雨水が浸入する 毛 細 管 現 象 5 注意事項 ■ 外気導入孔 排水孔 791-4 外気導入孔 排水孔 ●各官公庁及び各地方監督官庁の仕様として、 サッシ・ ドアセットなどの性能 を定めている場合があ791-4 りますので、確認することが必要です。 ●風当たりの強い立地条件 (超高層の谷間、岸縁、海岸縁など) の建築物に ついては、前述の目安より等級の高いものを使用して下さい。 ●内外の気圧差をなくす 0007-2 791-5 ●サッシ・ ドアセットなどの枠と仕上げ材及び躯体との取り合いは、水密保持 791-5 のためシール施工を確実に行って下さ い。 ●サッシに結露が発生し、枠内に水が溜まる場合がありますが、 これは漏水で はありません。 ●暴風雨の多い地域の住宅については、雨戸などを併用して下さい。 325
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