かわら版 ―東地中海地域ニュース― シリア:ロシアからシリアへの兵器移転 2008 年 8 月 27 日 No.178 (8 月 21 日付 AFP 他) 1.アサド大統領はメドベージェフ大統領との会談に先立ちロシアが西側への防波堤を再び 構築することと中東におけるイスラエルの影響力に抵抗させるため、シリアとロシアの関 係を強化することを望んでいると報道陣に語った。 2.モスクワに位置する戦略・技術分析センター長、ルスラン・プーコフ氏(Ruslan Pukhov) は、イスラエルと米国の圧力により、S-300 地対空ミサイルシステムと短距離誘導弾「イ スカンダル」をロシアがシリアに供給する計画が以前に破棄されたが、現在ロシアと西側 の緊張はロシアが武器をシリアに供与することを加速するかもしれないと述べた。ロシア はポーランドと米国によるミサイル防衛の交渉に快く思っていないとも述べた。 3.他方、ロシアがシリアにジェット戦闘機を供給すること、また、ソビエト時代のタルース にある海軍基地を再開する等の報道もあるがロシア高官は否定している。シリア政府高官 は、地対空誘導弾「イスカンダル」の展開を否定している。 <参考> 2006年以降のロシアのシリアへの武器供与をめぐる報道 2006-07-25 ダマスカスの外交筋は、先週、ロシアはシリアに、イスラエルの攻撃を受け た際に、ロシア製のミサイルを使用しないよう申し入れをしたと述べた。 2006-10-18 イスラエルのオルメルト首相は、モスクワでプーチン大統領と会談。同首相 は、イランやシリアへの武器禁輸について協議したと述べた。 2007-02-22 ハアレツ紙は、シリアは、イランとロシアの支持もあり、過去にない規模で 軍の増強を進めていると報道。 2008-04-17 クウェイトのアル・ワタン紙は、シリア人技術者らがロシアを訪問し、新型 レーダー(the Pantsyr-S1.)受け入れ準備をしていると報道。 2008-08-20 ハアレツ紙は、シリアのバッシャール・アサド大統領が21日から、ロシアを2 日間訪問することについて、実務訪問であるとして、ロシアがシリアへの武器供与を拡大する ことに懸念を表明。 2008-08-20 シリアのバッシャール・アサド大統領は、ロシアのKommersant紙との会見で、 防衛関係でロシアと関係を強化したいと述べた。 2008-08-21 ロシアのラブロフ外相は、シリアに国際的な軍事バランスを失わないために 新たな武器を提供する用意があると述べた。22日のシリア紙報道では、シリア政府高官は、イ スカンダル・ミサイル・システムをシリアに配備することに合意されたとの報道を否定。 2008-08-21 AFPは、モスクワの戦略・技術分析センターのブーコワ所長が、イスラエルと 米国の圧力で破棄された、シリアへのS-300地対空ミサイル配備、短距離誘導ミサイル「イス カンダル」供与について、ロシアと西側諸国との緊張により、供与が加速するかもしれないと 述べた。 2008-08-22 ハアレツ紙は、オルメルト首相がメドベージェフ大統領と20日に電話会談し た際、シリアへの武器供与、特に先進型対空ミサイル(SA-10、S-300)を供与しないよう要請 したと報道。 ◎本「かわら版」の許可なき複製、転送、引用はご遠慮ください。 ご質問・お問合せ先 財団法人中東調査会 TEL:03-3371-5798、FAX:03-3371-5799
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