ディベートクラブ「たま。」presents

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目次
第1章 不妊治療について。
p.3~
第2章 出生前診断について。
p.6~
第3章 日本国内における着床前診断・代理出産の状況p.9~
第4章 着床前診断の定義と法的状況。
p.10~
第5章 着床前診断の問題点。
p.12~
第6章 海外における着床前診断の状況。
p.13~
第7章 代理出産の定義と法的状況。
p.14~
第8章 代理出産の問題点。
p.15~
第9章 海外における代理出産の状況。
p.16~
JDA2010 年後期論題
「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化するべきである。」
ディベートクラブ「たま。
」
序章 図解 着床前診断と代理出産
着床前診断
代理出産
2
JDA2010 年後期論題
「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化するべきである。」
ディベートクラブ「たま。
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第1章 不妊治療について。
1、不妊治療とは
『正常な夫婦生活があるにもかかわらず、2年間以上妊娠しない場合は不妊症の疑いがあ
ります。
なぜ2年間なのかというのには根拠があって、夫婦の90%以上が2年間以内に妊娠する
というデータがあるということがその根拠になっています。
不妊治療とは不妊症の原因を調べ、妊娠しやすくするための治療のことをいいます。
』1
2、様々な不妊治療
A)人工授精
人工授精2
『人工授精とは、精液を直接子宮の中に入れて、妊娠する確率を高める方法です。膣の中
には数千万から数億の精子が放出されますが、受精場所である卵管まで到達するのは
0.001%とほんの一部にすぎません。人工授精は少しでも卵管に到達する精子が増えるよう
にするための方法です。人工授精は婦人科であれば、多くのところで行っています。
人工授精 1 回あたりの妊娠する確率は、およそ 10%前後です。10 回を超えると人工授精で
の妊娠はほとんど期待出来ません。
人工授精の費用は 1 回につき 5000 円-2 万円程度で保険は使えず、自費になります。
』
B)体外受精(IVF-ET)
)3
B)体外受精(
『体外受精は、まず排卵誘発剤を使って、複数の卵子を成熟させて採取します。採卵は、
腹腔鏡で採取する方法もありますが、膣から超音波の機械を挿入して採取するのが一般的
です。
採取した卵子と精子は、培養器内で混合して、受精を待ちます。受精卵が分裂を繰り返し
て、4 細胞前後の状態になったところで、チューブで吸引して子宮内に移植します。
成熟卵胞あたり、採卵できる率が約 70%、さらに受精できるのが約 70%、いい状態の受精
卵が数個できれば、多胎を防ぐために体内に戻す受精卵は 3 個までに制限することが多く
なっています。
』
D)顕微授精
)顕微授精4
『顕微鏡下で、精子が卵子に入りやすくしたり、実際に精子を卵子の中に送り込むのが顕
1
2
3
4
http://www.funinchiryo.net/toha.html より引用。
http://www.shirobiki.jp/fujinka/aih.php より引用。
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/happy-shop/mobil-usagi/funin-taigaijyusei.html より引用。
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/happy-shop/mobil-usagi/funin-kenbijyusei.html より引用。
3
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微授精です。
精子の運動率が極端に悪い、数が非常に少ないなどのケースで行うことになります。
顕微授精には、卵子の周囲の透明帯に穴をあける透明帯貫通法(PZD)、卵子の囲卵腔とい
うすき間に精子を入れる囲卵腔内精子注入法(SUZI)
、卵子の細胞質内に精子を入れる卵細
胞質内精子注入法(ICSI)の三つの方法があります。現在では、ICSI が一般的です。
』
3、排卵誘発剤とリスク5
A)排卵誘発剤
)排卵誘発剤
『不妊症治療薬といえば排卵誘発剤。一時期、5つ子ちゃんなどで有名になりましたが、
副作用が怖いという印象を持たれている方も多いかもしれません。排卵誘発剤には下記の
ようなものがあります。
』
経口排卵誘発剤クロミッド、セクソビッド、フェミロン、セロフェン
HMG
ヒュメゴン、hMG-フジ
FSH
フェルティノーム P
HCG
プロファシー、HCG持田
B)HMG(FSH)-HCG療法
)HMG(FSH)-HCG療法
『この中で最もよく使われるのがHMG-HCG療法といわれるものです。人間の脳下垂
体前葉から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の働きを、
外から注射することにより強化するものです。
HMGはFSHの働きを持ち、卵巣内の卵胞を育成させます。そしてHCGは卵胞から卵
子を出す刺激、LHサージの働きのために投与されます。これらの薬剤を投与して、内分
泌の働きを調整しながら、いい卵子を生み出していこうという治療法です。
』
C)HMG(FSH)-HCG療法の副作用
HMG(FSH)-HCG療法の副作用
『HMG-HCG療法の副作用で最も怖いのがOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。場
合によっては重症化して卵巣が腫れ、20cmぐらいになり腹水がたまることもあります。
しかし、不妊を専門にされている先生にとってはよくわかっている副作用なので、きちん
と自分の体の状況を伝えておけばまず大丈夫です。
』
『OHSSは専門の先生によると、副作用ではあるけれど、妊娠しやすい状態でもあると
のお話です。OHSSの起きるぎりぎりのところまで卵巣を刺激することが、妊娠への近
道なんだそうです。だから不妊症治療においてあながち悪いとばかり言っていられないの
5
http://allabout.co.jp/children/sterility/closeup/CU20020523A/より引用。
4
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です。
』
D)多胎のリスク
)多胎のリスク
『それからもう 1 つの副作用、多胎についてお話しましょう。多胎がなぜ副作用、と言わ
れる方もいることでしょう。実は多胎は2つの側面で副作用と言われております。まず、
子供の数が多ければ多いほど母子共に妊娠中毒症等の合併症の危険性が飛躍的に上昇しま
す。
2つ目にもし無事に生まれたとしてもその後の経済的問題とケア的問題というものが発生
してきます。よって産婦人科の先生は、双胎(ふたご)まではOKですが、それ以上にな
るのは避けたいと思っております。
余談になりますが、以前IVF(体外受精)の際に、受精卵を子宮に戻す時は、数の制限
がありませんでしたが、今では3個までという決まりがあります。というのも妊娠率を維
持して、なおかつ多胎を最小限度に減らす、というぎりぎりの線が3個という数になって
いるからです。
』
E)痛み。
)痛み。
『それからHMGは痛いという方が多いことも書いておきましょう。ヒュメゴン、パーゴ
グリーンは痛いそうです。フェルティノーム P はあまり痛くないということで、あまり痛
がる方にはフェルティノーム P を使われる方が多いようです。しかし、LH(黄体形成ホ
ルモン)作用を持ったヒュメゴンやパーゴグリーンを使うほうが妊娠の率が上がる時もあ
るので、痛みだけで薬を選択するのはナンセンスです。先生と相談をしながら決めていく
とよいでしょう。』
5
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第
第2章 出生前診断について 。
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1、出生前診断
『胎児を対象として,疾患の診断や胎児状態の評価を行う出生前診断には,大きく分け
て次の 5 つの方法がある.
1)画像診断法(X線,超音波,MRI)
2)胎児から細胞を採取して検査する方法(羊水,絨毛,臍帯血)
3)母体血を使用して検査する方法
4)胎児鏡を用いる方法
5) 体外受精した受精卵の1細胞を用いる方法(着床前診断)
以上の検査法の中から,単独で,または複数の検査を組み合わせて診断する.とくに最
近の遺伝子工学的技術の発展はめざましく,分子遺伝学的手法を用いることによって,遺
伝性疾患の出生前診断が可能になってきた.従来の遺伝カウンセリングが,遺伝形式の決
定から再発危険率の推定といった確率を論じたものであったのに対し,絨毛や羊水中の胎
児細胞の染色体分析やDNA診断,胎児細胞の酵素活性の評価による代謝異常症の診断な
ど,出生前に胎児異常の有無を直接診断できるようになったのである.しかしながら,倫
理的にも社会的にも多くの問題を包含しているのも事実である.
』
2、出生前診断の問題点
A)医療訴訟
)医療訴訟
『米国では,高齢出産で,異常児出生の危険が高いと予想されたのに,出生前診断をうけ
る勧めを医師が怠ったために染色体異常児を出産し,育児しなくてはならなくなったとい
う訴訟があり,医療サイドが敗訴したという.日本では,39 才の母親から生まれたダウン
症児について出生前診断がなされなかったとして訴訟されたケースで,
『妊婦からの相談や
申し出がない場合,産婦人科医師が積極的に染色体異常児出産の危険率や羊水検査につい
て説明すべき法的義務があるとは認められない.妊婦からの申し出があった場合でも,産
婦人科医師には検査の実施などをすべき法的義務があるなどと早計に断言できない.
』とし
て,医師に過失はないとの判例(H9.1.24,京都地裁)が出ているが,日本でも出生前診断
が医事紛争の種になり始めたといえる.
こういった訴訟がある一方で,現状では生命倫理面の論議が足りず,十分なコンセンサ
スが得られてはいないので,出生前診断を行うことには慎重であるべきという意見もある.
これは,検査を行う側にも受ける側にも,出生前診断についての十分な知識と理解が浸透
していない状態で検査が行われている可能性があり,検査結果に対して,夫婦が自己決定
する道を社会的にサポートするような基盤が十分に整備されていないとの見解から懸念さ
6
http://genetopia.md.shinshu-u.ac.jp/basic/basic5.htm より引用。
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れているものと考えられる.』
B)カウンセリングの必要性
)カウンセリングの必要性
『妊婦健診の場で,出生前診断についての相談や申し出があった場合,現在どんな問題点
が考えられるであろうか,夫婦の心配している遺伝性疾患が具体的な場合,検査内容に関
して産婦人科医が説明するだけでなく,その疾患に詳しい医師や遺伝専門医によるカウン
セリングを受けた後に,検査を行うか否かの自己決定をしていただくことが望ましい.し
かしながら,こうしたカウンセリングを行える環境が整っている医療機関は極めて限られ
た施設である.さらに,高齢を心配する人の多くは,具体的な疾患よりも,漠然とした不
安を心配しており,出生前診断についての説明も通常の妊婦健診の際に聞きたい人が多く,
日を改めた遺伝相談を希望する人は少ないのが実状である.こうした理由で,本来十分な
時間を取って行われるべき検査前のカウンセリングが,限られた時間の中で産婦人科医が
行わざるを得ない現状となっている.検査前の十分なカウンセリングを行える体制作りが,
現在の最も重要な課題であろう.
しかしながら,カウンセラーという職種も正式には存在しない状況が現実であり,産婦
人科医は非常に忙しい外来の中で妊婦に対応している.そういった環境で,出生前診断の
自己決定がなされているのが現状であり,今後も,そうせざるを得ないとすれば,われわ
れ産婦人科医自身がカウンセリングの手法や考え方を身につける必要が生じてきているの
ではないだろうか.カウンセリングが十分にできない状況であれば,適切な施設に任せる
といった対応も考慮するべきと考える.
』
C)自己決定にまつわる問題
)自己決定にまつわる問題
『本来,非指示的に,クライアントの自己決定のサポートを行うことがカウンセリング
であるが,出生前診断の自己決定は難しいとされる.その理由として,「腹痛や出血といっ
た自覚症状があって受ける検査ではないため, 検査するか否かを周囲からの情報だけで判
断しなければならない.先天異常は種類が多く,同じ異常でも症状や重症度にかなりのば
らつきがある.予後を知りたいが,わかるのは診断名だけ.望んだ妊娠が多いのに,人工
妊娠中絶を考えながらの決定になる.妊娠中,限られた時間の中で重要な判断をしなけれ
ばならない.」といった事が考えられる.自己決定の際に考慮すべき事項としては,『夫婦
にとって,子どもとはなにかをまず考えてもらうこと.どんな病気が心配で出生前診断を
考えているか,その病気のことをどの程度知っているかを明確にすること.その出生前診
断の方法について理解すること.検査でわかる限界を知っていること,100%の障害児や
100%の健児なんて存在しないことを理解すること.』などが挙げられる.医療側は,上記
につき,適切な情報を提供できているのかが問われることになるであろう
.生命を抹殺するかもしれないという,重大な決定を行うにあたって,例えばダウン症に
ついて,我々がどの程度の知識を持って自己決定のサポートを行っているのかを,考え直
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さないと行けない状況になってきていると実感している. 産む産まないを決定するのは,
女性の基本的人権であるとの立場から,人工妊娠中絶術の合法化を図った時代があり,出
生前診断の技術は,その時代に急速に進歩した.出生前診断の技術の進歩によって,従来
まで出生前に確定診断できなかった重篤な疾患が診断可能となり,女性たちはより確かな
情報を得て,産む産まないを自己決定することが可能となってきているのであるが,逆に
女性たちに新たな不安を与え,従来しなくても済ませられた選択を迫ることになっている
ともいえる.検査技術の向上がもたらしたこのような複雑な状況は,人工妊娠中絶,胎児
の人権といった倫理的な議論の重要性をあらためて浮き彫りにしていると言えよう.
』
D)倫理観が必要とされる。
)倫理観が必要とされる。
『現在,出生前診断検査の歯止めになっているのは,確率は低いが流産する危険性を有
することである.しかし,ほとんど流産率に影響を与えないと考えられる母体血の採血か
ら,母体血中の胎児有核細胞をピックアップし,胎児DNA診断を行うことが可能となっ
てきており,母体血からの胎児由来細胞の分離法と,その分析法が確立されれば,現在行
われている羊水検査や絨毛検査のかなりの部分が,将来置換される可能性がある.しかし,
流産の危険率が高まらないからといって,希望するすべての妊婦に対し,検査可能なすべ
ての疾患を対象として出生前診断を行ってよいという見解を認める者は,皆無であると信
じたい.もし一定の歯止めを必要とするならば,どこに線を引くかといった非常に難しい
問題を包含しながら,検査技術は確実に進歩している.
検査を行う者も,検査を受ける者も,この倫理的・社会的問題を十分に議論する必要があ
り,双方に高い倫理観が要求されている時代になっていると言えよう.』
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第3章 国内の着床前診断と代理出産の状況
1、着床前診断
A)法規制はなく、公的規制は会告のみ
)法規制はなく、公的規制は会告のみ
現在、日本において着床前診断そのものを規制する法律はない。ただ、日本産科婦人科
学会が 1998 年に「着床前診断に関する見解」を作成し、重篤な遺伝性疾患に限って、申請
された疾患ごとに審査して認可することを定めた。
着床前診断に関する公的な規制はこの会告のみで、これに従って出された申請で認められ
たものは、均衡型転座を持つ習慣流産患者、Duchene 型筋ジストロフィー、筋強直性ジス
トロフィーを含む 31 例がある。ちなみに最初に承認されたのは 2004 年 6 月 Duchene 型筋
ジストロフィーのものである。
B)承認なしで行われた事例
)承認なしで行われた事例
日本産科婦人科学会による承認がなく着床前診断が行われた例としては、大谷徹郎医師の
例がある。これは 2004 年 2 月に発覚したもので、大谷医師は密かに 3 例の着床前診断を行
っていた。この会告違反によって、大谷医師は日本産科婦人科学会を除名された。しかし、
大谷医師は除名後、少なくとも 15 例の着床前診断を行い今後も続けていくとしている。
参考文献
『My Med』ホームページ http://www.mymed.jp/
「着床前診断」杉浦真弓(名古屋市立大学産科婦人科教授)執筆 2010.07.07 最終更新
『どう考える?生殖医療』
小笠原信之(フリージャーナリスト)著 2005 年 3 月 28 日
初版第一刷発行
2、代理出産
A)法規制はなく自主規制。
)法規制はなく自主規制。
代理母出産は日本産科婦人科学会が行っている会告による自主規制のため、日本国内で
は原則として実施されていない。ただ、代理母出産そのものを規制する法律はなく、上記
会告も強制力はない。このような状況で以下のような事例がある。
B)実施事例
)実施事例
「この制度の不備を突く形で、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八
紘院長が、日本国内初の代理母出産を実施し、2001 年 5 月にこれを公表した。また、タレ
ントの向井亜紀が日本国内の自主規制を避ける形で海外での代理母出産を依頼することを
公表し、これを実行した。
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(中略)
そうした中、向井亜紀・高田延彦夫妻が 2003 年に代理母出産によって得た子供の戸籍上の
扱いについて提訴したり[6]、2006 年 10 月、根津八紘医師が、年老いた母親に女性ホルモ
ンを投与し娘のための代理母にした、という特殊な代理母出産を実施したことを公表した
[7]。
なお、代理母出産は、2008 年 4 月 5 日時点で根津医師が公表したものだけでも 15 例が実
施され[8]、また、海外での代理母出産も相当数(日本人が米国で実施したものだけで 100
例以上)あるとされる[9]。
このような事態の発生により、代理母出産に係る議論を収拾できなくなった厚生労働省及
び法務省は、2006 年 11 月 30 日、日本学術会議に代理母出産の是非についての審議を依頼
した[10]。しかし、審議の間にも、日弁連は、代理母出産を禁止すべきという 2000 年の提
言の補充提言を発表し[11]、根津八紘医師は、代理母出産の法制化に向けた私案を公表[12]
した。
2008 年 5 月には、野田聖子議員らが代理出産を条件付で認める法案を提出する方針を固め
た、という報道があった[13]。また、同年 7 月には、インドで代理母出産により出生した子
供が、依頼夫婦の離婚などが原因で出国できなくなった事案がある[14]。実母が代理出産し
た 男 児 を 特 別 養 子 縁 組 と し た 例 が あ る [15] 。」『 ウ ィ キ ペ デ ィ ア 』「 代 理 母 出 産 」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A3%E7%90%86%E6%AF%8D%E5%87%BA%E7
%94%A3 より引用。
第4章 着床前診断の定義と法的状況。
1. 着床前診断とは
受精卵が子宮に着床して妊娠が成立する前に、受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかど
うかを調べる検査。
受精卵診断とも言われる。http://www.sanfujinka-debut.com/topics/tyakusyou/01.html
2. 着床前診断の現状
(1)法律
法律
現在、着床前診断に関する法律は存在しない。
※参考 母体保護法:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO156.html
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(2)判例
判例
2007 年に裁判所は、着床前診断の制限を行う会告を違法ではない、と結論付けている。
医療・医学ニュース http://medical-today.seesaa.net/article/41423576.html
「体外受精で問題のない受精卵を選んで子宮に戻す「着床前診断」を制限する日本産科婦
人科学会の自主ルール(会告)は、患者の子を産む権利を侵害するなどとして、産婦人科
医らが、会告の無効確認などを求めた訴訟の判決が10日、東京地裁であった。中村也寸
志裁判長は「会告の内容は公序良俗に違反しておらず、着床前診断の制約は違法ではない」
と述べ、請求を退ける判決を言い渡した。一方で、判決は、着床前診断の現状について、
「学
会の自主規制に委ねられることが理想的とは言えず、立法による速やかな対応が望まれる」
と、法制度の不備を指摘した。
」
(3)ガイドライン
ガイドライン
現在は、日本産科婦人科学会のガイドラインにより、着床前診断は下記条件を満たす場合
のみ認められている。
「出生前に行われる検査および診断に関する見解」の発表、および 「先天異常の胎児診断、
特に妊娠絨毛検査に関する見解」の扱いについて 2007 年
http://www.jsog.or.jp/about_us/view/html/kaikoku/H19_4_shusseimae.html
2. 絨毛採取、羊水穿刺など、侵襲的な出生前検査および診断(胎児試料、母体血中胎児由
来細胞を用いた検査を含む)については、下記のような場合の妊娠について、夫婦からの
希望[注]があり、検査の意義について十分な遺伝カウンセリング等による理解が得られ
た場合に行う。
1) 夫婦のいずれかが、染色体異常の保因者である場合
2) 染色体異常症に罹患した児を妊娠、分娩した既往を有する場合
3) 高齢妊娠の場合
4) 妊婦が新生児期もしくは小児期に発症する重篤なX連鎖遺伝病のヘテロ接合体の場合
5) 夫婦の両者が、新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体劣性遺伝病のヘテ
ロ接合体の場合
6) 夫婦の一方もしくは両者が、新生児期もしくは小児期に発症する重篤な常染色体優性
遺伝病のヘテロ接合体の場合
7) その他、胎児が重篤な疾患に罹患する可能性のある場合 (中略)
5. 着床前検査および診断は、極めて高度な知識・技術を要するいまだ研究段階にある遺伝
学的検査を用いた医療技術であり、倫理的側面からもより慎重に取り扱わなければならな
い。実施に際しては、日本産科婦人科学会「着床前診断に関する見解」と「着床前診断に
関する見解に対する解説 」
[5、6、7]
、 および日本産科婦人科学会「習慣流産に対する着
床前診断に関する見解」と「習慣流産に対する着床前診断に関する見解に対する考え方(解
説)」[8]を遵守する。
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第5章 着床前診断の問題点。
1、倫理的な問題
•
疾患原因遺伝子等が検出された「適切でない」と判断された胚や未受精卵は廃棄される
ことになるため、
•
生きるに値する/しないという生命の選別
•
優生思想
•
障害者やその家族に対する差別の助長につながりかねないという危倶
•
診断目的で胚を体外で多く作り出すことや、「適切でない」胚の廃棄を前提に胚を
多く作り出すことは倫理的に許されるのか、という問題
2、障害者団体の反対
•
障害者団体が着床前診断に反対する背景:
「健康な受精卵とそうでない受精卵を選別し、健康な受精卵のみを着床させることが、
生命の選別につながる行為である」
その行為が障害者を社会から不要なものとする優生学的な思想を生み出すことになる。
Ex. 日本脳性マヒ者協会の見解:「障害者を生殖活動から排除するそのなかで健全
者至上主義を貫徹する考えがあったことは総括しなければならない。それをしない
段階で出生前診断を一段と推進しようとしている厚生省の方向は許されるものでは
ない。」
•
障害児の生まれる権利
医療技術の開発とともに、障害者福祉政策の推進により、障害児と知っても親が安心し
て産める社会づくりが重要となってくる。
EX.2005年6月
障害者雇用促進法の改正、2010年5月現在 障害者虐待防止法案が
成立見込み など
•
出生前診断(現在すでに受け入れられている)と関連して持つ問題点
•
異常な子どもの誕生を避けるためにはありとあらゆることをする、という姿勢は
優生思想の影響を受けている
•
もしあらゆる瞬間に選択の可能性が与えられる場合、親は「完璧な子ども」とい
う夢を膨らませることになり、親になることがますます複雑なものとなる
•
将来は、ダウン症以外の基準をもとにした選別も行われることになるだろうと予
想される
•
人工妊娠中絶が日本において事実上自由である状態の倫理的検討を棚上げにしたまま
ヒト受精胚スクリーニングの倫理的許容性が議論されるため、胎児よりヒト受精胚の
方がより保護を享受すべきであるという結論がとられる傾向がある
12
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第6章 海外の着床前診断の状況。
1、ヨーロッパにおける着床前診断7
A)ドイツ
)ドイツ
『1998 年までに、ドイツで着床前診断を受けたカップルは 50 組にのぼる。この診断は、
いまだ少数者のための生殖技術にとどまり、非常に私的な問題と関連するにもかかわらず、
市民の合意は得がたいのが現状である。
』
B)欧州各国の法的規制
)欧州各国の法的規制
『①ドイツ:胚保護の広範な保証(刑法で制定)
。人間生命をモノとして扱うことの禁止令
があるため、着床前診断は原則的に禁止。
②フランス:寛容な規制。科学の進歩だけでなく個人の選択にも特別配慮。着床前診
断の開発と応用の制限は法的規制により定式化(着床前診断の適応の厳しい規制、特
殊施設や診療所との結びつき、遺伝相談を伴うこと、倫理委員会の審査)
。
③イギリス:大まかな規制。着床前診断の開発と応用には免許が必要。免許授与の条
件は医療目的(基礎研究の禁止)、処置基準、品質管理を厳守すること。
④イタリア、ギリシア:制度上の規制なし。
』
2、その他諸外国における着床前診断8
『着床前診断に関する諸外国の規制のあり方は多様である。米国、韓国にはまったく規制
がない。イギリスは体外受精と着床前診断はヒトの受精および胚研究認可庁により規制さ
れ、対象疾患が限られている。スウェーデンでは社会省指針によって重篤な進行性遺伝的
疾患の診断であるときに認められる。オーストリア、スイス、ドイツは事実上法律によっ
て禁止されている。
』
7
8
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/eth/OJ1-1/sakamoto.html より引用。
http://mymed.jp/di/ych.html より引用。
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第7章 代理出産の定義と法的状況。
1、代理出産の法的状況
A)代理出産の定義
)代理出産の定義9。
『いわゆる「代理出産」には,夫婦の精子と卵子を体外受精して作った受精卵を,第三者
の女性のおなかに移しそこで育てて産んでもらう「借り腹(ホストマザー)
」によるものと,
夫の精子を第三者の女性に人工授精してその女性が出産する「代理母(サロゲイトマザー)
」
によるものとの二つの形態があり,そのいずれも不妊の症状をもつ依頼者夫婦が,産んだ
女性からその子を引き取って養育するというものである。』
B)代理出産に関する法的状況。
)代理出産に関する法的状況。
『わが国ではこれに関する法律はまだなく今それを検討中であるが,厚生労働省の生殖補
助医療部会や法務省法制審議会の親子法部会は,こうした妻以外の女性に出産を依頼する
代理出産は禁止する,との方向を打ち出している』
2、日本産科婦人科学会による自主規制
A)日産婦による
)日産婦による代理懐胎に関する見解
代理懐胎に関する見解(会告)
関する見解(会告)10
『1.代理懐胎について
代理懐胎として現在わが国で考えられる態様としては,子を望む不妊夫婦の受精卵を妻以外の女
性の子宮に移植する場合(いわゆるホストマザー)と依頼者夫婦の夫の精子を妻以外の女性に人
工授精する場合(いわゆるサロゲイトマザー)とがある.前者が後者に比べ社会的許容度が高い
ことを示す調査は存在するが,両者とも倫理的・法律的・社会的・医学的な多くの問題をはらむ
点で共通している.
2.代理懐胎の是非について
代理懐胎の実施は認められない.対価の授受の有無を問わず,本会会員が代理懐胎を望むものの
ために生殖補助医療を実施したり,その実施に関与してはならない.また代理懐胎の斡旋を行っ
てはならない.
理由は以下の通りである.
1)生まれてくる子の福祉を最優先するべきである
2)代理懐胎は身体的危険性・精神的負担を伴う
3)家族関係を複雑にする
4)代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容していると認められない』
9http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/05-23/ishihara.pdf
より引用。
より引用開始。
10http://www.jsog.or.jp/about_us/view/html/kaikoku/H15_4.html
14
JDA2010 年後期論題
「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化するべきである。」
ディベートクラブ「たま。
」
第8章 代理出産の問題点11。
1、代理出産の問題点
A)ビジネス化
)ビジネス化
『代理出産の歴史は他の生殖ビジネスよりも古く、1970年代にアメリカの弁護士によ
って斡旋されたのが最初でした。以降、多くの代理母斡旋業とも呼ぶべき職業が登場しま
す。』
B)法的闘争
)法的闘争
『しかし、代理母の精神的な面を無視してしまったことによって、多くの法廷闘争を生む
ことになりました。代理出産を引き受けた女性が、出産後自らの子どもとして育てたいと
主張して、依頼者夫婦との親権をめぐる法廷闘争となった「ベビーM事件」
(1986年)
は、世界中に代理出産の議論を巻き起こした初めての事件として有名です』
C)代理母の負担
)代理母の負担
『代理出産は、妊娠・出産に伴うリスクをすべて引き受けることになります。妊娠中に胎
児と培(つちか)った時間をぬぐい去ることはできず、子どもを引き渡したことによって心
に深い痛手を受けることもあります。』
D)引取り拒否
)引取り拒否
『また、妊娠・分娩の過程で子どもに障害などが生じて、代理母も依頼カップルも、引き
取りを拒否するなどのトラブルも発生しています。
』
3、国内でできないが故に。
『日本では、現時点において公式に代理出産は認められていませんので、海外にまで出か
けこの医療提供を受けているというのが現状です。
』
11
http://www.sotozen-net.or.jp/gendai/seimei/seimei4.htm より引用。
15
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「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化するべきである。」
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第9章 海外における代理出産の状況。
1、諸外国の代理出産の状況 12
『
胚の研究
代理出産(営
代理出産(非営利)
法規制
×
×
×※
×
胚保護法
フランス
×
×
刑法第 354 条
イギリス
×
○
?(未定)
?(未定)
利)
オーストラリア・スペイン
ドイツ
アメリカ
日本
代理母規制
法
○
○(制限付)
なし
※ ただし、代理出産によって生まれた子供を養子とすることは可能。』
A)イギリス
イギリス
『・1985 年、英政府は「代理妊娠」に関する仲介,金銭の授受,広告を禁止。ただ,二人
の女性が同意した上で,一人がもう一人のために子どもを産む場合は,個人の問題。彼女
たちが起訴されることはないし,治療をした医者も起訴されることはない。 』
B)アメリカ
)アメリカ
『・アメリカでは、州によって対応が異なるが、認めている場合、基本的に報酬付である。
一例を挙げると、代理母は妊婦服を買う費用として 200 ドルを受け取る。交通費として 1.6
キロメートルごとに 15 セントが支払われる。出産経費をカバーする医療保険に入るかどう
かは代理母側の責任とされている。会社側は代理母がこの契約に従事している間,彼女が
入っている医療及び生命保険の掛け金と,保険でカバーされない医療費を支払う。赤ん坊
が生まれ父親に手渡されたのち,代理母は彼女の報酬 10000 ドルを受け取る。』
C)フランス
)フランス
『・フランスでは代理母を斡旋する団体が 2 つあるが、非合法とされている。当然このよ
うな契約は無効とされ、子を引き取った親が実子として身分簿に登録させるのは 5 年以上
10 年以下の懲役にあたる犯罪とされている(刑法 354 条)
。また、代理出産による報酬に
12http://naratori.hp.infoseek.co.jp/torihada/bennkyoukai/dairibo.html
16
より引用。
JDA2010 年後期論題
「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化するべきである。」
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ついては、市場原則から切り離すために定額保証の制度をとっている。10 ヶ月(妊娠期間
中・検査期間等も含めると 15 ヶ月)の報酬は 5 万フラン(¥891,000)。』
D)アメリカ各州の状況13
『但し、アメリカも全州で容認している訳ではなく、現時点で容認している州はネバダ、
アーカンソー、フロリダ、イリノイ、ニューハンプシャー、テキサス、ヴァージニア、ワ
シントン、ウェスト・ヴァージニアの9州
9州で、しかもネバダ、アーカンソー、ニューハンプ
9州
シャー、ワシントン、ウェストバージニアの5州では報酬・対価を伴う代理母契約の締結を禁
5州では報酬・対価を伴う代理母契約の締結を禁
じている。
代理母契約を認めない州、アリゾナ、コロンビア特別区、インディアナ、ケンタッキー、
ルイジアナ、ミシガン、ネブラスカ、ニューヨーク、ノースカロライナ、ユタ』
E)韓国
)韓国
『また韓国では卵子提供・代理出産共に認められていたが、最近になって、まず卵子提供
が禁止。代理出産も商業ベース(有償)は禁止になった模様です。』
F)インド
)インド14
『インドでは、代理母産業が大盛況だ。近年、低価格かつ親権に関する法律がゆるやかな
インドを訪れる依頼者は、同性愛者カップルが、子どものいない異性愛者カップルを上回
るようになっている。
米国では、養子や代理出産に関する法律が州によって異なるが、インドでは代理出産は
合法で、規制も緩い。さらに、少なくとも現時点では、性的指向に基づいた差別はない。
』
2、問題が起きた事例
A)ベビー
)ベビーM
)ベビー 事件。
『◆ ベビーM事件(オーストラリア)
ニューサウスウェールズ州の代理母が引渡しを拒否。この種の事例における自然上の父親
には父親としての資格の要求を認めない。同州での人口受胎法が発効したのはこの母親が
引渡しを拒否した前日。
』
B)子どもの引き取り拒否。
)子どもの引き取り拒否。
『◆ アメリカ・ミシガン州でのケース(1983 年 1 月)
D)E)は http://m-d32063c9ce38ae00-m.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-8a33.html
より引用。
14 F)は http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2707391/5365743 より引用。
13
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JDA2010 年後期論題
「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化するべきである。」
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アレクサンダー=マラホフ氏は妻が不妊であるため、ジュディ=スタイバーさんという 26
歳の既婚女性と契約し、人工受精による代理出産契約を結ぶ。子供は 9 ヶ月で早産したが、
小頭症であった。マラホフ氏は血液型が自分と一致していないなどの理由を挙げて子供の
引取りを拒否した。
』
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「日本国政府は代理出産もしくは着床前診断を合法化するべきである。」
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東京都 国分寺市 を中心に
「多摩地域
中心に、
「多摩地域」
多摩地域」の社会人、
社会人、学生を
学生を中心に
中心に
毎月1
毎月1回 第2土曜を
土曜を 基本に
基本に 活動中!!
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