(百葉箱番外編) 効率化させたインフラで 世界の需要を取り込め ~水ビジネスから考えるジャパンインフラの方向性~ 公益社団法人 日本経済研究センター 2012年度研究生 野澤 久穂(大同生命) 上條 瞬(かんぽ生命) 永倉 祐一(アフラック) (図表1) Agenda 国内水道インフラの問題点 水道インフラ輸出の問題点 問題解決のための提言 ジャパンインフラの方向性 増加する水道管の事故 ■下水道管路施設に起因する道路陥没件数の推移 国土交通省HPより抜粋 (図表3) 25%が法定耐用年数超え ■上水道管(導水管・送水管・配水管)の延長の推移 国土交通省「平成23年版日本の水資源について」より抜粋 平成21年の管路更新率は0.87% 平成24年2月10日第1回新水道ビジョン策定検討会資料より (図表4) 更新費用の捻出は難しい ■公共事業費の削減 ■事業所別更新資金確保状況 (兆円) 回答無 2% 12 未確保 38% 10 8 6 確保済 60% 4 2 0 87888990919293949596979899 0 1 2 3 4 5 6 7 8 ※一般会計当初予算ベース 国、地方の財政悪化により 今後も削減の方向性 財務省HPより抜粋 少子高齢化、節水設備の普及 により、需要は減少傾向 平成24年2月10日第1回新水道ビジョン策定検討会資料より抜粋 (図表5) 水道の老朽化対策 長寿命化 • 国土交通省「下水道長寿命化支援制度に関する手 引き」を作成し、各水道局で「長寿化計画」を策定し ている。ただし計画や実行については、各水道局に 委任されている。 広域化 • 昭和52年以降、広域的水道整備計画の位置付けで 水道法が改正。広域化を目指すも、水道料金や財 政など水道事業者の格差や、リーダーシップの欠如 により、推進に向けた動機付けが弱い。 民間委託 (第三者委託推進) • 新規の浄水場建設などにはPFIなどを用い民間連 携が進んでいるものの、保守の民間連携は少な い。行っていても5年という短期の契約のみでノウハ ウの蓄積はなされない。 (図表6) 高まるインフラ輸出熱 ■新成長戦略(平成22年6月18日閣議決定) 6.パッケージ型インフラ海外展開 アジアを中心とする海外の旺 盛なインフラ需要に応えつ つ、日本の世界最高レベルの 環境・省エネ、安全・安心の技 術や内外の経験を集約し、 「ワンボイス・ワンパッケージ」 でインフラ分野の民間企業の 取組を強力に支援するための 枠組みを整備し、官民連携に よりインフラ分野での海外展 開を推進します。 【戦略11分野】 水道※ 原子力発電※ 鉄道※ 石炭火力発電 石炭ガス化プラント 宇宙産業 スマートグリッド 再生可能 エネルギー 送配電 リサイクル 情報通信 都市開発 工業団地 ※3事業は、平成22年9月28日パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合において、将来性を考慮し重点戦略分野と認定。 (図表7) 世界的に取水量は増加見込み (k㎥/年) 6,000 5,000 4,000 その他 アジア 3,000 2,000 1,000 0 2010 2025 WORLD WATER RESOURCES AND THEIR USE a joint SHI/UNESCO product 7 (図表8) 日本の水道インフラ受注は少ない ■市場規模 ■問題点 兆円 約4% 100.0 部品、建設、運営 等、各分野が独立 90.0 80.0 70.0 海洋淡水化・再利用水関 連 素材・部品供給、建 設等 60.0 50.0 上記以外:上下水整備、 管理運営サービス等 40.0 実績不足 30.0 20.0 資金調達 10.0 0.0 2007 2025 出典:「水ビジネスの国際展 開に向けた課題と具体的方 策」経済産業省(2010) ※1USD=100JPY で表記 (図表9) 一括受注ができない日本企業 水メジャー スエズ(仏)・ヴェオリア(仏) 給水人口:約1億人 売上高:約1.3兆円 素材・部品・機器製造 装置設計・組立・施工 事業運営・保守・管理 水処理関連企業 エンジニアリング関 連企業 ・IHI ・オルガノ ・東洋エンジ ・日立プラント ・三菱重工 等 商社 ・双日 ・三菱商事 ・丸紅 地方自治体 ・東京都水道局 水関連企業 ・ジャパンウォーター 等 ・旭化成 ・クボタ ・荏原製作所 ・東芝 ・東レ 等 出所:経済産業省(2009) (図表10) 2つの問題の解決案 水道インフラ 老朽化対策 インフラ輸出 拡大 全水道事業を統合して 民営化 (図表10) 効率運営で経費削減 ■業務委託による効率化 ■事業者統合による効率化 職員数の推移(群馬県太田市) 地方公営企業の事業数の状況(平成22年度末) 60 52人 その他 2,248事業 25.4% 50 40 包括業務 委託開始 工業用 水道 152事業 1.7% 26人 30 20 10 H19~H21の三年間で 約3.7億円の費用を削減 病院 654事業 7.4% (H18の水道事業費用:約44億円) 0 H16 H17 H18 H19 H20 H21 下水道 3,637事業 41.1% H22 「太田市HP」 水道(含簡 水) 2,152事業 24.3% 「総務省HP」 (図表12) 運営ノウハウも民間企業に移転 ■高齢化する水道職員 「水道統計(平成21年度)」より引用 (図表13) 民営化リスクの解消 収益性の少ない 地域への投資減 第三者機関設置 利益を追求した 投資の先送り 過剰な水道料金の 値上げ ・地域ごとの投資計画の立案 ・地域の更新計画実施状況監視 ・妥当性のある料金設定 (図表14) 設備更新から輸出への循環 水道民営化 第三者機関設置 事業の効率化 効率的な投資計画 投資として 海外へ 魅力的な事業 輸出 投資 効率的な 運営 民間からの 国内設備の ノウハウの 蓄積 更新 (図表15) 先進国のインフラ状況 ■老化する日本のインフラ 50年以上経過した社会資本の割合 道路橋 約53% 河川管理施設 約60% 港湾岸壁 約53% 「平成22年度国土交通白書 」より引用 ■先進国もメンテナンス不足 ・2007年ミネソタ州ミネアポリス高速道 路でミシシッピ川橋が崩落 ・米国ニューヨーク市のクイーンズ地区 では大規模な停電が発生 ・2006年には、ロンドンで今世紀最大 の水道トラブルが発生 「ミネソタ州交通局HP」より引用 (図表16) 世界のインフラ市場 「日本経済新聞社HP」より引用 (図表17) 世界の需要を取り込め 現在 日本 新興国 国内水道 インフラ更新 水道インフラ輸出 水道民営化 将来 日本版水メジャー 先進国の更新・他インフラ展開 目標 インフラメジャー 先進国
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