沖縄の産業振興基本調査 - 内閣府 沖縄総合事務局

沖縄の産業振興基本調査
(1)目
的
本調査は、平成 14 年に策定された沖縄振興計画(期間:10 箇年)に基づき、これ
まで進めてきた主な産業振興策、観光振興地域等の地域制度、産業活動支援機能の提
供等の国等の諸施策について、その効果を検証し、その課題を明らかにすることによ
って、今後の産業振興に向けた施策の検討に必要な資料を得ることを目的として実施
した。
(2)調査の方法等
・本調査を効果的・効率的に進めるため、有識者等 7 名による調査検討委員会を設置
し、会合は 3 回開催し、調査方針・項目、分析方法、成果や課題の検証、調査結果、
調査報告書等に関して検討を行った。
・県内外企業(約 4,400 社)に対して郵送によるアンケート調査を実施した。
・関係団体等(10 機関)及び企業(20 社)に対して、ヒアリング調査を実施した。
・既存の調査報告書等の文献調査を実施した。
(3) 調査の概要(別紙のとおり)
概 要 編
1.沖縄振興計画に基づく主な産業振興策の検証
1)観光リゾート産業分野
①観光・リゾート産業振興の主な指標
観光振興の主な指標を見ると、観光収入は直近 10 年間で約 1,000 億円増加し、リピータ
ー率も直近の 10 年間で 10%以上向上している。また、コンベンションの開催件数やスポー
ツキャンプ・合宿数が増加傾向にあることも特筆される。
図表 1 観光・リゾート産業振興の主な指標の推移
項目
入域観光客数
うち外国人
観光収入
リピーター率(%)
コンベンション開催件数(※)
(うち国際会議等)
コンベンション県外・海外参加者数(※)
(うち国際会議等)
スポーツキャンプ・合宿数(※)
(参加者人数)
※年度の数値である。
平成13年
443万人
19.1万人
3,390億円
64.3%
587件
(32件)
48,721人
(9,313人)
196件
(6,820人)
平成17年 平成18年
550万人
564万人
13.7万人
9.3万人
3,984億円 4,104億円
69.8%
68.4%
691件
704件
(31件)
(28件)
50,424人
73,474人
(5,854人) (17,307人)
251人
279件
(6,810人) (4,765人)
平成19年
587万人
17.5万人
4,240億円
71.8%
699件
(22件)
66,050人
(4,822人)
355件
(5,634人)
平成20年 平成21年
605万人 565万人
25.5万人 23.0万人
4,365億円
-
76.4%
-
720件
-
(24件)
71,695人
-
(3,572人)
327件
-
(5,302人)
(出所)「観光要覧」(沖縄県観光商工部)の各年度版より作成
②海外からは中国、韓国、香港が増加傾向
沖縄を訪れる外国人観光客の内訳を見ると、台湾からの観光客が全体の過半数を占めて
いるものの、その変動は非常に大きい。その一方で、近年では中国・韓国・香港の観光客
数が増加傾向にある。
図表 2 外国人観光客の国籍別推移
140,000
(人)
120,000
100,000
その他
アメリカ
80,000
フィリピン
中国
60,000
韓国
香港
40,000
台湾
20,000
0
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
(出所)「観光要覧」(沖縄県観光商工部)の各年度版より作成
概-1
平成19年
③観光客一人当たり消費額は一定水準で推移
沖縄を訪れる観光客一人当たりの消費額の推移を見ると、いずれの費目についても直近
5年間はほぼ横ばいで推移している。
図表 3 観光客一人当たり消費額の推移
(円)
100,000
90,000
80,000
70,000
その他
娯楽費
飲食費
土産費
交通費
宿泊費
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
S48
S57
H4
H10
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
(出所)「観光要覧」(沖縄県観光商工部)の各年度版より作成
④観光産業関連の振興施策に対する県内企業の評価
観光産業関連の振興施策に対する県内企業の評価としては、「免税店の空港外展開」「国
営沖縄記念公園・美ら海水族館」といった観光地の魅力増進に関する施策、「航空運賃・沖
縄自動車道通行料引き下げ」といった移動の円滑化に関する施策、「音楽・芸能と観光との
連携促進に関する施策」や「国内観光客をターゲットにしたプロモーション施策」につい
ては高い評価となった。
一方で「外国人観光客を対象とした受け入れ体制の整備」については、観光産業に携わ
る県内企業の間で評価が低く、観光産業の関連団体でのヒアリングでも、今後の課題とし
て「外国人対応ができる人材の育成」や「中国・東南アジアへのプロモーションの強化」
の必要性が指摘された。
概-2
【観光産業分野の施策・事業の総合評価】
定量的評価
(県内企業アンケート調査結果)
施策分野
評価結果<注>
(◎、○、△、×)
主な施策・事業
成果あり
(大変+多少)
成果ない
(あまり+全く)
定性的評価
(検討委員会での指摘、県内産業団体等ヒアリング結果)
現状施策の評価 (良い点、問題・課題点)
●「質の高い観光リゾート地」の「質の高い」の意味を再定義すべき
●観光振興の最重点を「海外客を増やすこと」とすべき
●アジアの中流・富裕層のみならず、欧州の富裕層も狙うべき
●「タイムシェアリゾート」を戦略とし、実現に向けた規制緩和等を行うべ
き
●海外誘客をターゲットとした「観光ブランド」に重点を置くべき
■全体戦略
○
a)観光関連施設の集積の促進(観光振興地域の指
定、宿泊施設の多様化 等)
43.0%
14.9%
28.1%
●観光振興地域の対象施設にホテルが入っていないことが問題
●部瀬名地域や泡瀬地区の開発は計画どおりに進んでいない
●全体の1/3に及ぶ老朽化ホテルのリニューアルの推進が大きな
課題
●県内のあらゆる形態の宿泊施設(ホテル、ウイークリーマンション、民
宿等)のネットワーク化と情報提供が重要
●沖縄へのパック旅行料金を適性水準に維持する手立てが必要
●DFS等は観光消費額の下げ止まりに貢献した(効果があった)
●DFSでは消費税免税の導入が効果的である
●観光施設としてのショッピングセンターを再考すべき
◎
1)観光地の魅力増進
今後必要な施策イメージ
成果あり-ない
b)沖縄型特定免税店の空港外展開の制度の活用
(那覇新都心への免税店進出 等)
55.4%
16.5%
38.8%
◎
c)国営沖縄記念公園の整備や美ら海水族館の利用
促進 等
●美ら海水族館は交通アクセスの改善が課題である
83.2%
2.5%
80.7%
○
a)案内標識の整備
41.5%
2)観光客の移動の円滑
化
b)航空運賃の引き下げに係る措置の活用(沖縄振興
特別措置法に基づく措置(本土-沖縄本島路線に係
る航空機燃料税の軽減措置や空港使用料の軽減措
置)
17.8%
●観光客は航空運賃の引き下げによる恩恵を感じていない
50.8%
15.6%
57.1%
16.0%
25.6%
18.2%
7.4%
○
b)赤土等流出防止対策基本計画の策定、施設の設
置、赤土等の発生源対策の推進 等
28.3%
18.3%
10.0%
○
a)エコツーリズムの推進(豊富な自然環境を活用し
た観光プログラムの開発 等)
36.6%
17.1%
●クルーズ船需要の急増と港湾+交通システムの整備
●離島の観光振興にクルーズ船による離島周遊等が不可欠
●観光客は沖縄自動車道の料金引き下げによる恩恵を感じていない
●沖縄自動車道から西海岸リゾート・読谷リゾートへの接続が悪い
41.2%
△
3)持続可能な観光地づく
りの推進
19.5%
●社会的影響の計測が難しいため、観光受容量の定量化は困難であ
●沖縄のきれいな海、空、自然を守ることが観光を守ることにつながる
る
●地域の生活とのバランスに配慮するように観光開発をコントロールす
●港・海岸線の美観形成(再生)が大きな課題である
べき
●電線類地中化は非常に遅れている
●美観形成のために、電線地中化は官民一体となり推進すべき
●入域観光客の増大に対応した景観保全(ゾーニング)や環境規制が
必要
●持続可能な観光地づくりには協定では弱く、徹底した取締りや利用
料徴収が不可欠
●エコツーリズム、グリーン/ブルーツーリズムの産業化は進んでい
ない
●ダイビングは産業化しており今後も有望である
◎
a)世界遺産等の活用促進(世界文化遺産「琉球王国
のグスク及び関連遺産群」や史跡、歴史的建造物、
まち並みなどを活用した観光ルートの開発促進 等)
●世界遺産や文化遺産等の維持管理はあまり良好ではない
50.4%
19.0%
31.4%
5)文化交流型観光の推
進
◎
b)音楽、芸能と観光との連携促進(琉球王国に関連
する歴史資源を活用した観光プログラムの開発・活
用 等)
46.7%
10.8%
35.8%
○
a)体験滞在交流型観光の促進(プログラム作成、イ
6)体験滞在・交流の促進 ンストラクター等の人材育成、プログラム実施に必要
な施設整備の促進 等)
38.8%
9.9%
28.9%
◎
7)コンベンション等の誘
致
a)国際会議等の誘致(各省庁連絡会議等との連携
により国際会議等を積極的に誘致 等)
45.8%
15.0%
●点在する観光施設を繋ぐ交通体系の整備
●有名観光地への利用しやすい公共交通機関の整備が必要
●本島を一周できる自転車道路の整備
35.2%
c)沖縄自動車道の通行料金低減・利用促進
4)エコツーリズムの推進
●沖縄へのパック旅行料金を適性水準に維持する手立てが必要
◎
◎
a)持続可能な観光地づくりの推進(県全域における
地域ごとの観光客受入容量の定量化手法等の研
究、確立 等)
●交通標識は観光客のニーズに応えておらず課題が多い
●案内版の外国語標記はかなり遅れている
23.7%
30.8%
●癒し(健康・保養)のイメージは先行しているがビジネス化していな
い(ビジネスモデルが見えない)
●宿泊者の評判は良いが、民泊は制度として確立していない
●エコツーリズムの地域では保全利用協定を推進すべき
●ダイビング等のマリンスポーツ産業を世界への売りとすべき
●エコツーリズムには保全利用協定よりも強制力のあるルールが必要
●エコツーリズムの推進に向けた規制緩和を講じるべき
●世界遺産や文化遺産の維持管理を充実するために入場料徴収等の
方法を検討すべき
●沖縄らしい街並みを守っていくためにはゾーニング、建築規制の強化
等が必要
f●観光集客に効果の大きいイベント(スポーツ、音楽等)を維持活性化
すべき
●プロ・アマを問わず野球キャンプへの需要は大きい、課題はグラウン
ドの供給
●野球以外のプロスポーツの誘致にも力を入れるべき、課題は施設の
供給
●中城城跡から首里城までの遊歩道を整備すべき
●長期滞在に不可欠なBB・ゲストハウス等の情報提供・予約システム
の整備
●一般の観光客に対する基本的な緊急医療体制等の整備が必要
●民泊制度の確立が必要
●国際会議であれば何でも受け入れるという姿勢はあまり良くない
●3000人以上をケータリングできるコンベンション施設が無い
●沖縄は国際会議開催に必要な会議場、同時通訳者・機材、外国人
●誘致する国際会議のテーマを選択し戦略的に誘致すべき
宿泊可能ホテル等が少ない
●スポーツコンベンションの可能性はあるがプロ仕様のスポーツ施設
が少ない
△
a)観光産業人材育成(観光基礎・専門セミナー、高
度観光人材育成、同時通訳者の育成 等)
20.8%
8)観光客受入体制の確
保
8.3%
×
b)外国人観光客を対象とした受入体制の整備(外国
語標記の充実・多言語化 等)
22.2%
29.1%
-6.8%
◎
a)誘客プロモーションの展開(国内)(マスメディアを
活用したキャンペーンの推進、リゾートウエディング
や修学旅行生、シニア層の誘客促進 等)
52.1%
13.4%
9)沖縄の宣伝と観光客
の来訪の促進
b)誘客プロモーションの展開(海外)(台湾、韓国、中
国、香港を重点地域とした誘客・宣伝活動の展開
等)
●ホテル旅館業界のスキル人材(40~50代クラス)の雇用維持のため
の施策が不可欠
●人材育成を受けたくても受けられない状況の打破が必要
●高齢者・外国人を対象としたユニバーサルツーリズムへ向けたさらな
●観光産業(ホテル)従事者の国際化対応が遅れており人材育成が る取り組みが必要
課題
●英語や東アジアの言語を話せる人材の育成が重要
●観光業における労働環境(賃金、労働時間等)は良くないため向上 ●標識は英語併記で十分であるが、地図は多言語化が必要
が課題
●沖縄には同時通訳者が少ない
29.2%
38.7%
○
36.7%
20.0%
16.7%
●ブライダルの海外プロモーション戦略を強化すべき
●リゾートウェディングは順調に伸びており沖縄らしい産業であり良い ●中国等の東南アジアでの観光誘客プロモーションを強化すべき
●修学旅行の航空運賃が割高になっており需要が逃げている面がみ ●コンベンションビューローの運営の仕組みの改善
られる
●見えない資源を活かした沖縄の観光ブランド化を推進すべき
●沖縄主導によるネットを活用したホテル客室の販売戦略が必要
●修学旅行商品の価格戦略の見直し
●優れた写真撮影スポットを多く抱える地域としてのピーアール強化
●キッザニアの誘致など子連れの観光客をターゲットにした観光施策の
推進
●アジアの富裕層をターゲットにした観光政策の推進
△
a)観光関連産業との連携による健康ビジネス産業の
振興
●観光と農業を連携させるクラスター計画は進んでいない
21.8%
20.2%
10)観光との連携による
関連産業振興
1.7%
○
b)観光関連産業と音楽、芸能、工芸、ファッション産
業等との連携
41.7%
14.2%
27.5%
(注) ◎は30%以上、○は10%以上30%未満、△は0%以上10%未満、×は0%未満
概-3
●長期滞在観光と統合医療を組み合わせた分野が有望
●沖縄発の健康関連製品のブランド構築が必要
●メディカルツーリズムは特定テーマに特化して進めるべき
●エステやスパを展開するために一流企業の誘致・育成を図る
●ホテルと農業・漁業との連携推進による相乗効果を発揮させる
概-4
2)情報通信産業分野
①情報通信関連産業振興の主な指標
情報通信関連産業の振興指標について平成 19 年の実績と目標を比較すると、全ての指標
で実績が目標を上回っている。
図表 4 情報通信関連産業振興の主な指標の推移
項目
平成12年度 平成18年度 平成19年度 平成19年度 平成23年度
(実績)
(実績)
(実績)
(目標)
(目標)
8,600人
19,765人
23,024人
17,800人
33,700人
1,391億円
2,252億円
-
2,716億円
3,900億円
54社
120社
163社
112社
200社
情報通信関連産業への雇用者数
情報通信関連産業に係る生産額
県外からの誘致企業数
通信コストの低減化を受け新規に事
業を展開した企業の数
IT高度人材育成数
コールセンター業務に係る技術者等
の取得者数
21社
37社
3,529人
40社
4,212人
36社
3,800人
52社
6,000人
2,562人
8,370人
8,761人
8,100人
9,800人
(出所)沖縄県観光商工部
②情報通信関連企業の進出は着実に増加
沖縄県に進出した情報通信関連企業の推移を見ると、平成 20 年度まではいずれの分野と
も一貫して増加を続けている。特に従業員数ベースでは直近の5年間で、情報通信関連企
業に所属する従業員数が約2倍に増加している。
図表 5 沖縄県に進出した情報通信関連企業の推移
(社)
200
180
160
140
その他
ソフトウェア開発業
コンテンツ制作業
コールセンター業
情報サービス業
120
100
80
60
40
20
概-5
年
度
年
度
平
成
20
年
度
平
成
19
年
度
平
成
18
年
度
平
成
17
年
度
平
成
16
年
度
平
成
15
年
度
平
成
14
年
度
平
成
13
平
成
12
平
成
2~
11
年
度
0
情報サービ コールセン コンテンツ ソフトウェア
ス業
ター業
制作業
開発業
その他
企業数
企業数
企業数
企業数
企業数
4
9
1
10
4
15
2
14
5
17
2
16
10
22
2
18
13
27
5
21
19
29
6
28
23
33
11
34
31
39
14
38
41
48
17
51
51
55
20
62
平成2~11年度
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
企業数
1
1
3
3
3
4
6
8
8
8
累計
従業員数(名)
25
1,792
36
3,158
43
4,186
55
4,899
69
6,973
86
8,596
107
9,926
130
11,397
165
14,786
196
16,317
(出所)沖縄県観光商工部データより作成
③沖縄県の情報サービス業従事者の1人当りの売上高は全国平均の半分強
沖縄県では情報サービス業の従事者が大きく伸びた一方で、1人当りの売上高は全国平
均の半分強にとどまっている。
図表 6 情報サービス業従事者の1人当りの売上高の推移(沖縄県と全国)
(万円)
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
沖縄県
07
20
06
05
20
20
04
03
20
20
02
01
20
20
00
20
98
99
19
19
89
93
19
19
85
19
19
80
0
全国
(出所)沖縄県観光商工部データより作成
④情報通信産業関連の振興施策に対する県内企業の評価
情報通信産業関連の振興施策に対する県内企業の評価としては、「企業誘致説明会、県内
外イベントへの出展・フォーラム等の開催」といった企業誘致に関する施策、「IT高度人
材育成事業:ITEP」や「ITプロフェッショナル人材育成講座:ITOP」
「コールセ
ンターに関する人材育成・確保」といった人材育成に関する施策については高い評価とな
った。
一方で「デジタルコンテンツの制作・発信・流通」や「新しいソフトウェア分野研究」
といった研究開発に関する施策については、情報通信産業産業に携わる県内企業の間でも
評価は低く、情報通信産業の関連団体でのヒアリングでも、今後の課題として「コンテン
ツの著作権問題の解決の必要性」が指摘された。
概-6
【情報通信産業分野の施策・事業の総合評価】
定量的評価
(県内企業アンケート調査結果)
施策分野
評価結果<注>
(◎、○、△、×)
主な施策・事業
成果あり
(大変+多少)
成果ない
(あまり+全く)
現状施策の評価 (良い点、問題・課題点)
今後必要な施策イメージ
成果あり-ない
●構造的に厳しいソフト開発産業へは県外から仕事を取ること
への支援が必要
●沖縄では「無線、テスティング」などテーマを絞った特区の形
成が、思い切った税制優遇とともに必要
●経済情勢の悪化により企業・事業誘致は進んでいない ●コールセンターの質的変化に対応した新たな集積のターゲッ
ティング(テストセンターとの連携等)が必要
●コールセンターの量的集積は大きな成果
●データセンターの集積はある程度評価できるが、最近は ●データセンターは、クラウドセンター化への対応など新しい価
値をアピールすべき
頭打ち傾向
●IT産業全体として、東アジアマーケットからの受注を増やす
努力をすべき
●沖縄では企業支援より、ソフトウエア開発等の事業支援が有
効
■全体戦略
(特区、企業誘致)
a)企業誘致説明会、県内外イベントへの出展、
フォーラム等の開催
1)情報通信産業誘致・活
性化事業
b)パンフレットの作成・配布、ホームページの
充実、ネットでの情報配信
◎
50.0%
14.1%
35.9%
○
40.6%
17.2%
○
34.9%
b)IT共同利用型インキュベーション施設の整
備(マルチメディアセンター、美浜メディアス
テーション等)
22.2%
12.7%
○
35.9%
18.8%
●「情報通信産業誘致活性化事業」は柔軟性が高く使い
勝手がよい
●企業誘致説明会は他県も力を入れており、効果は低下
している
●「情報通信産業誘致活性化事業」はより一層充実してほしい
●IT津梁パークの立上げ段階での施設整備・企業立地等
はうまくいっており評価できる
●集積の効果を高めていくことがIT津梁パークの今後の課題
23.4%
a)IT津梁パークの整備
2)情報通信関連産業立
地施設の整備
定性的評価
(検討委員会での指摘、県内産業団体等ヒアリング結果)
17.2%
●インキュベート施設は産業振興の面で成功しているとは
●インキュベーション施設において新たな事業を創出し産業と
いえない
して定着させていくことが必要
●導入した設備等も中途半端であった
◎
a)情報産業核人材育成支援事業
45.3%
12.5%
32.8%
◎
b)IT高度人材育成事業(ITEP)
48.4%
14.1%
34.4%
◎
3)人材の育成・確保
c)ITプロフェッショナル人材育成講座(ITOP)
51.6%
d)先端・実践結合型IT産業人材育成事業
(APITT)
15.6%
35.9%
●IT関連の人材育成策は一部を除いて成果の出ているも
のはあまり多くない
●ITOP(ITプロフェッショナル人材育成講座)は、IT産業の
中核を担う人材が育成され、大変効果を発揮している
●従来からの課題であるPM(プロジェクトマネージャ)の育
成は依然として進んでいない
●IT教育の内容と実際の仕事のミスマッチの解消が課題
●沖縄でも進展しつつある市町村の共同アウトソーシングや自
治体クラウドのプロジェクトの中でPMを育成すべき
●沖縄の優位性を活かす分野での人材育成に力を入れるべき
●アジアOJTセンター構想は是非とも推進すべき
●今後は高度テスティングに関連する専門人材の育成が必要
●「情報大学院」の設置は非常に重要であるため実現すべき
●県内での育成には限界があるため、高度IT技術者の誘致の
ためのインセンティブづくりが必要
●コールセンターへの人材供給状況は改善されつつある
●コールセンターの高度化に対応した要員のスキルアップを強
化すべき
○
44.6%
15.4%
29.2%
◎
e)コールセンターに関する人材育成・確保
53.1%
a)デジタルコンテンツの制作・発信・流通の促
進(デジタルアーカイブ事業等)
12.5%
40.6%
△
26.6%
25.0%
1.6%
4)研究開発の促進
b)新しいソフトウエア分野の研究促進(オープ
ンソースソフトウエア等)
△
22.6%
19.4%
3.2%
◎
a)通信コスト低減化支援事業
44.3%
13.1%
●デジタルコンテンツ制作については東京にはないコンテ
ンツ制作が進み、支援策の成果が出つつある
●依然としてコンテンツの著作権問題は解決されておらず
今後の課題である
●グリッドコンピューティング等の高度技術を使った映像コンテ
ンツ作成ができるとよい
31.1%
●情報産業ハイウェイは産業振興面で効果があったが、最
●情報産業ハイウェイ(通信コスト低減化支援事業)は継続す
近は通信手段の多様化によりメリットが薄れている面もあ
べき
る
○
●国際IX(GIX)は容量や回線の問題が顕在化しつつある
b)沖縄GIX構築事業
5)情報通信基盤の
整備
29.5%
14.8%
14.8%
○
c)離島地区ブロードバンド環境整備
28.6%
14.3%
14.3%
○
d)先島地区地上デジタル放送の整備
29.0%
14.5%
14.5%
(注) ◎は30%以上、○は10%以上30%未満、△は0%以上10%未満、×は0%未満
概-7
●国際IX(GIX)は容量や回線を改善しアジアに向けたコンテン
ツ配信の拠点とすべき
●GIXは今後に期待
概-8
3)農林水産業分野
①農林漁業の産出額は横ばい
農林漁業の産出額については、直近5年間でほぼ横ばいとなっている。
図表 7 農林漁業の産出額の推移
(億円)
1,200.0
1,000.0
800.0
林業
漁業
農業
600.0
400.0
200.0
0.0
農業
漁業
林業
総額
H13
H13
910.0
199.1
8.2
1,117.3
H14
H15
H14
921.0
194.2
8.3
1,123.4
H16
H15
930.0
181.8
8.2
1,120.0
H17
H16
900.0
185.5
7.7
1,093.2
H17
905.0
188.6
7.6
1,101.2
H18
H19
H18
906.0
210.8
7.3
1,124.1
(単位:億円)
H19
H23(目標)
929.0
1300.0
188.0
290.0
7.9
12.0
1,124.9
(出所)沖縄県農林水産部農林水産企画課
②第一次産業就業人口は大きく減少
第一次産業就業人口については大きく減少してきているが、65 歳以上の高齢者について
は増加しており、担い手の高齢化が進んでいる。
図表 8 第一次産業就業人口の推移
(人)
60,000
52,834
53,931
54,106
50,000
47,295
40,318
40,000
34,156
32,873
65歳以上(人)
60~64歳(人)
30,000
50~59歳(人)
30~49歳(人)
20,000
15~29歳(人)
10,000
0
S50年度
S55年度
S60年度
H2年度
H7年度
H12年度
H17年度
(出所)「沖縄の農林水産業(H21.3)」沖縄県農林水産部
概-9
③農家の農業所得と農外所得
沖縄県の農家の農業取得は近年、全国と同水準にまで向上した一方で、農外所得につい
ては全国の半分以下の水準にとどまっている。
図表 9 農家の農業所得と農外所得の推移
(万円)
(万円)
650.0
160.0
144.2
140.0
543.8
120.1
120.0
74.2
110.6
99.7
432.4
122.8
117.0
450.0
92.2
350.0
332.6
311.9
285.4
60.0
40.0
108.4
91.5
356.3
77.8
80.0
103.3
123.5
120.6
農外所得
農業所得
95.2
126.2
121.4
497.5
116.3
106.6
443.7
100.0
550.0
545.3
263.5
250.0
213.2
38.6
220.0
224.1
219.1
207.2
156.7
150.0
20.0
121.6
97.7
84.6
88.9
0.0
50.0
1973
1980
農外所得(沖縄)
1985
1990
1995
2000
農外所得(全国)
2003
2004
農業所得(全国)
2005
2006
農業所得(沖縄)
注)1.平成 3 年以降(1991 年)は、、販売農家一戸当たり数値である。
2.平成 16 年より調査体系の見直しが行われたことより、時系列上、整合性がとれないので利用
に当たっては十分留意されたい。
(出所)「農家経済調査」
(農林水産省)、平成 7 年以降は「農業経営統合調査」(同省)
④農林水産業関連の振興施策に対する県内企業の評価
農林水産業関連の振興施策に対する県内企業の評価としては、
「特殊病害虫の根絶と侵入
防止」といった害虫対策に関する施策、「戦略品目の生産拡大によるおきなわブランドの確
立」といったブランド形成に関する施策については高い評価となった。
一方で「安定品目の生産供給体制の強化」や「流通・販売・加工対策の強化」、「担い手
の育成・確保」「森林と漁場環境の保全」といった施策については農林水産業に携わる県内
企業の中でも評価は低かった。特に農林水産業の関連団体でのヒアリングでも、今後の課
題として「輸送費の補助の継続」などが指摘された。
概-10
【農林水産業分野の施策・事業の総合評価】
定量的評価
(県内企業アンケート調査結果)
施策分野
評価結果<注>
(◎、○、△、×)
主な施策・事業
成果あり
(大変+多少)
成果ない
(あまり+全く)
定性的評価
(検討委員会での指摘、県内産業団体等ヒアリング結果)
現状施策の評価 (良い点、問題・課題点)
●農産・畜産はANAの国際貨物便を利用した東アジアへの展
開を強化すべき
■全体戦略
a)野菜、花、果樹、かんしょ・薬用作物、肉用牛及び養殖
1)戦略品目の生産拡大
魚介類等の戦略品目の拠点産地形成を図るための施策
によるおきなわブランドの
の推進(拠点産地形成及び施設の整備、新技術・新品種
確立
の実証・普及 等)
◎
52.4%
9.5%
●県の拠点産地認定により施設整備が進んでおり評価できる
42.9%
a)さとうきび、パインアップル、水稲・葉たばこ、養豚、酪
農、養鶏、近海魚介類の安定的な供給体制の強化(産地
の生産施設の整備、供給体制の強化等)
14.3%
a)流通対策の強化(流通効率化及び輸送コスト低減対
策、流通関連施設の整備 等)
28.6%
●分蜜糖に対する「経営安定対策費」制度は評価される
●黒糖工場は老朽化が進んでおり建替えが課題
●畜産では子牛等の流通対策が急務である
●野菜についても依然として流通が課題
●本土へのまぐろ輸送にコスト面でのハンデがある
●家畜の輸送費補助は継続すべき
●東京への野菜の輸送コスト軽減への支援がほしい
●水産に関しても農業のような物流費補助を提供してほしい
●モズクは供給過多のため自主的に減産しているが合意形成が難し
い
●県からの支援を受けてモズクのPR活動に力を入れているが十分に
効果があがっているとはいえない
●沖縄産高級果物等の中国市場進出への政策的支援が必要
●モズクの新しい食べ方開発など販売促進に向けた取り組みが必要
●モズクの東アジア等への販路拡大のためのPR・販促活動に対する
さらなる支援が必要
9.1%
18.2%
18.2%
36.4%
4)食品の安全及び消費
者の信頼の確保
31.8%
22.7%
18.2%
22.7%
9.1%
c)女性・高齢者の活動支援及び地域リーダーの育成・確
保(パートナーシップ農業経営の確立、女性農業経営者
の職業能力向上対策 等)
a)農業の試験研究(さとうきび、パインアップル等の新品
種の育成、病害虫防除技術の開発 等)
b)畜産業の試験研究(肉用牛の改良手法の開発やウイ
ルス等の調査研究、必要な施設の整備 等)
6)新技術の開発と試験
研究機関の整備
c)森林・林業の試験研究(災害に強い森林をつくる技術開
発、持続可能な森林経営技術開発 等)
d)水産業の試験研究(栽培漁業技術の開発、養殖漁場
環境の保全、必要な研究施設の整備 等)
a)農業技術の普及と情報システムの整備・強化(農業技
術情報センター機能の充実、農業改良普及センターの体
制整備 等)
-4.5%
45.5%
27.3%
18.2%
9.5%
33.3%
-23.8%
●モズクの販路開拓のため観光分野とのさらなる連携が必要
●トレーサビリティについては着実に進展しつつある
●モズクについては異物混入が品質管理上のネックである
×
×
14.3%
42.9%
-28.6%
×
5.0%
40.0%
○
42.1%
15.8%
●農業の新規参入に対する資金融資・土地の確保の面での支援が弱
い
●漁師を育てるための人材育成事業には年間約20名が参加している
が少ない
●「漁業師」の資格認定を通じて、指導者の育成を図っている
●漁業において独立時には設備購入に国の補助金による支援がある
が、船の購入にはあてられない
●認定農業者の育成については、取り組みの強化が必要
●新規就農者への対応が難しいため行政の支援が必要であ
る
●漁業では担い手の育成は不要という意見もある
●沿岸漁業経営改善資金の対象にコストのかかるレーダーを
含めてほしい
-35.0%
26.3%
●特殊病害虫の根絶による出荷可能な作物が拡大により、農業の振
興に貢献
●特にウリミバエの根絶によりゴーヤーが出荷できるようになるなど病
害虫防除技術の開発と普及は効果が大きい
○
●優良な肉用牛の品種改良が行われてきた
33.3%
11.1%
22.2%
●沖縄は病害虫が発生しやす環境のため、病害虫防除技術
の開発と普及の継続は必須
×
5.6%
27.8%
-22.2%
25.0%
15.0%
10.0%
○
●試験研究開発は進めているが、あまり成功はしていない
○
15.8%
5.3%
10.5%
●農業技術の普及等については、これまでの取り組みを維持していく
べき。
×
7)農林水産技術の普及
b)林業技術の普及と情報システムの整備・強化(林業普
と情報システムの整備・
及指導事業の推進、地域林研リーダーの育成 等)
強化
0.0%
22.2%
-22.2%
c)水産技術の普及と情報システムの整備・強化(水産業
改良普及事業の推進、海洋観測・漁場情報の収集及び
情報提供 等)
15.0%
15.0%
0.0%
a)農業生産基盤の整備(農業用水源の確保、かんがい施
設の整備等)
●パインアップルの加工品の開発、缶詰原料価格の引き上げ
●パインアップルの加工品と生果品の価格アンバランスが生じている など対策が必要
a)品質表示適正化の推進、トレーサビリティの推進
b)多様な担い手の育成・確保(農業研修教育施設の整
備、新規就農総合対策、新規就業者の育成・確保 等)
●ファーマーズマーケットは評価されるが、立地市町村の農産物が半
●地産地消の推進に有効なファーマーズマーケットの整備を
数を占める必要があるなど制約条件もある
●学校とタイアップして地元の魚や海草を食べるイベントを展開しある 制約条件の改善とともに促進すべき
程度効果はあがっている
×
○
a)経営感覚に優れた担い手の育成(認定農業者の育成、
カウンセリング・コンサルテーション活動の実施 等)
5)担い手の育成・確保
-18.2%
△
c)地産地消・食育の推進(地域食材を活用した特産品や
料理の開発、学校や地域における食育活動 等)
d)加工対策と食品・観光産業との連携強化(特産品等の
開発を促進、観光産業や加工産業と連携し、県産農産物
の消費拡大を推進 等)
-9.1%
×
b)販売対策の強化(多様な流通チャネルの開拓、県外へ
の販売促進強化、おきなわブランドのPR 等)
3)流通・販売・加工対策
の強化と観光産業との
連携強化
-14.3%
×
●漁業では「モズク」が供給過多で、さらなるブランド化の促進が必要
●「ウミブドウ」については今後は一般企業と連携したブランド化が必要
●さとうきび生産への支援は継続すべき
●含蜜糖についても分蜜糖と同様の制度とすべき
●黒糖工場の老朽化対策への支援が必要
●さとうきびやパインアップルだけではなく、成長分野へ支援することも
必要
●水産養殖は先行投資が大きいため、このリスク低減のための支援が
必要
×
2)安定品目の生産供給
体制の強化
今後必要な施策イメージ
成果あり-ない
●医薬品や特定健康保健食品は臨床実験・治験に莫大な費用を要す
るため助成や条件緩和が必要
●新しい養殖技術(クエ)の開発に対する支援が必要
△
◎
42.1%
10.5%
31.6%
21.1%
5.3%
15.8%
●引き続き、農地の整備について取り組みながら、灌漑施設の整備に
ついては強化する必要がある
8)農業基盤整備
b)農地及び農業用施設の保全(土砂災害防止施設、地
すべり防止対策施設、海岸保全施設等の整備 等)
○
△
a)林道や森林等の整備 等
17.6%
9)林業・水産業の基盤整
備
11.8%
5.9%
○
b)漁港魚場や漁港関連道の整備 等
36.8%
10.5%
◎
a)特殊病害虫等の根絶と侵入防止(イモゾウムシ、ウリミ
バエ等の侵入調査、防除対策 等)
77.8%
10)特殊病害虫等の根絶
と侵入防止等
b)環境に配慮した病害虫防除対策の推進(天敵を活用し
た防除技術の実用化、病害虫の発生予察 等)
11)赤土等流出防止対策 a)赤土等流出防止対策施設(沈砂池・勾配抑制等)の設
置 等
の推進
a)土づくりと環境保全型農業の推進(土壌機能増進のた
めの基礎調査、高度肥料利用技術の確立推進 等)
5.6%
52.6%
15.8%
36.8%
30.0%
25.0%
5.0%
△
△
15.8%
10.5%
5.3%
●離島も含めて漁船が寄港できるインフラ整備は進み安全性が向上し
た
●特殊病害虫の根絶により、出荷可能な作物が拡大により、農業の
振興に貢献
●ウリミバエの根絶によりゴーヤーが出荷できるようになるなど病害虫
防除技術の開発と普及は効果が大きい
●沖縄は病害虫が発生しやす環境のため、病害虫防除技術の開発と
普及の継続は必須
●天敵を活用した防除技術が向上。今後は対象作目の拡大が求めら
れる
●農業における赤土流失については勾配修正やグリーンベルトの整
備により流出を防ぐ努力をしている
●赤土流失については対策を継続していく必要あり
●耕畜連携の強化による土づくり及び環境保全型農業の推進に取り
組む必要がある
●農作物の食料とバイオマスとしての活用の両立が課題である
○
システムの推進(家畜排せつ物等リサイクルシステムの
推進、生産資材廃棄物の適正処理 等)
●宮古島では廃蜜糖を活用してエタノールを精製している。
33.3%
13)森林と漁場環境の保
全
72.2%
◎
12)有機資源等循環シス
b)家畜排せつ物等のバイオマスの利活用による資源循環
テムの推進
a)森林の保全 (治山施設の整備、森林病害虫等の防除
対策等)
26.3%
16.7%
16.7%
×
5.9%
23.5%
-17.6%
●「地域グリーンニューディール基金」は延長してほしい
b)漁場環境の保全 (有害動物駆除、養殖場の保全、海
浜美化 等)
×
10.5%
36.8%
-26.3%
●漂着ゴミ等の清掃対策を支援する「地域グリーンニューディール基
金」は有益である
(注) ◎は30%以上、○は10%以上30%未満、△は0%以上10%未満、×は0%未満
概-11
概-12
4)製造業分野
①県内総生産に占める製造業の割合は低い
沖縄県において製造業が県内総生産に占める割合は 4%台と低く、この割合はさらに低下
傾向にある。
図表 10 県内総生産等に占める製造業の割合
平成16年度
金額
構成比
県内総生産(百万円)
3,614,352
100
うち第2次産業
449,411
12.4
(製造業)
167,342
4.6
国内総生産(億円)
4,983,284
100
うち第2次産業
1,388,451
27.9
(製造業)
1,054,101
21.2
(注)国内総生産は暦年である。
(単位:百万円、億円、%)
平成17年度
平成18年度
金額
構成比
金額
構成比
3,685,690
100 3,687,620
100
446,022
12.1
435,211
11.8
152,095
4.1
149,604
4.1
5,017,344
100 5,073,648
100
1,402,261
27.9 1,400,496
27.6
1,078,765
21.5 1,077,655
21.2
(出所)「県民経済計算」
(沖縄県企画部)
、「国民経済計算年報」
(内閣府)の各年度版より作成
②製造業における食料品製造業の割合
沖縄県の製造業における食料品製造業の割合を見ると、事業所数ベースと従業員数ベー
スでは、食料品製造業の占める割合は年々高まる傾向にある。しかし、出荷額ベースでは
減少傾向にある。
図表 11 製造業における食料品製造業の割合
【事業所数ベース】
(箇所)
全製造業
食料品製造業
畜産食品製造業
水産食料品製造業
野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
砂糖製造業
食料品製造業の全製造業に占める比率(%)
1972
2,374
663
1985
2,870
767
27.9
23
26.7
1993
2,952
814
45
87
5
22
27.6
1998
2,951
786
56
98
4
19
26.6
2002
1,375
423
44
63
8
18
30.8
2003
1,462
455
1993
29,045
8,753
1,695
707
41
973
30.1
1998
28,813
9,783
1,799
728
47
788
34.0
2002
23,901
9,238
1,676
897
96
655
38.7
2003
24,679
9,631
18
31.1
2004
1,346
420
35
60
9
17
31.2
2005
1,403
441
2004
24,430
9,745
1,610
750
112
667
39.9
2005
24,525
9,793
16
31.4
【従業員数ベース】
(人)
全製造業
食料品製造業
畜産食品製造業
水産食料品製造業
野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
砂糖製造業
食料品製造業の全製造業に占める比率(%)
1972
26,728
10,086
37.7
1985
26,564
7,264
1,168
27.3
584
39.0
541
39.9
【出荷額ベース】
2006
24,467
9,898
1,521
736
147
511
40.5
(千万円)
全製造業
食料品製造業
畜産食品製造業
水産食料品製造業
野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
砂糖製造業
食料品製造業の全製造業に占める比率(%)
(出所)「沖縄県経済の概況
2006
1,327
422
35
63
12
16
31.8
1972
13,620
5,227
38.4
1985
58,085
16,647
5,961
28.7
1993
55,560
15,759
3,849
790
145
4,218
28.4
1998
58,443
14,771
4,110
987
22
3,122
25.3
2002
57,173
13,663
3,600
736
53
2,894
23.9
平成 21 年 3 月」沖縄総合事務局
概-13
2003
60,131
13,470
2,624
22.4
2004
51,076
13,753
3,523
801
71
2,686
26.9
2005
51,506
12,715
2,026
24.7
2006
52,828
13,321
3,196
919
161
2,256
25.2
③製造業関連の振興施策に対する県内企業の評価
製造業関連の振興施策に対する県内企業の評価としては、
「泡盛産業(古酒のマーケティ
ング戦略構築など)」といった泡盛の販路拡大に関する施策、「沖縄ブランド・地域ブラン
ドの確立支援」といったブランド形成に関する施策については高い評価となった。
一方で「特別自由貿易地域」や「産業高度化地域」、「産業人材の育成」といった施策に
ついては製造業に携わる県内企業の中でも評価は低かった。製造業の関連団体でのヒアリ
ングでも、今後の課題として「特別自由貿易地域の立地条件の悪さ」や「産業高度化地域
の知名度の低さ」などが指摘された。
概-14
【製造業分野の施策・事業の総合評価】
定量的評価
(県内企業アンケート調査結果)
施策分野
評価結果<注>
(◎、○、△、×)
主な施策・事業
成果あり
(大変+多少)
成果ない
(あまり+全く)
定性的評価
(検討委員会での指摘、県内産業団体等ヒアリング結果)
現状施策の評価 (良い点、問題・課題点)
今後必要な施策イメージ
成果あり-ない
●那覇空港の国際物流機能を活用した東アジア市場への進
出支援
●香港、台湾、シンガポール、上海等への沖縄産品のマーケ
ティング活動の強化
●全体戦略
a)新製品の開発の促進(地域特性を有効に活用し、
消費者ニーズにマッチした製品の開発支援 等)
b)産業技術の高度化(製品開発、品質管理、製造工
程管理等の総合的な技術支援 等)
1)ものづくり基盤の強化 c)産業財産権の利活用促進(産業財産権に関する
相談窓口・機能の連携強化 等)
と新製品の開発
d)技術移転の促進(知的財産センターや沖縄TLOを
活用し、大学や研究機関等の保有技術シーズの産
業界への移転促進 等)
e)デザインの戦略的活用の促進(デザインを中心と
した価値を高める商品づくりの方策の構築 等)
a)健康食品産業(新製品開発の促進、海外販路拡
大に向けたネットワーク構築、品質管理体制の拡充
等)
b)バイオ関連産業(産学官連携による研究開発等、
インキュベーション施設の活用促進、人材育成等)
c)泡盛産業(古酒のマーケティング戦略構築、生産・
貯蔵体制の強化支援、海外販路拡大、製造技術高
2)地域資源を活用した重 度化等)
○
33.6%
17.8%
15.8%
△
22.8%
16.8%
6.0%
△
23.2%
22.2%
1.0%
△
27.7%
20.8%
6.9%
×
14.9%
23.8%
-8.9%
○
40.2%
15.5%
24.7%
○
43.1%
14.8%
28.3%
◎
54.9%
11.9%
43.0%
●農商工連携事業は成果が多く出ており効果の高い事業である
●県内の産学官の連携事業も成果が出始めている
●石油、バイオエタノール関連の製造業が戦略産業になる可能性があ
る
●健康食品の成長は特保認定が鍵をにぎっており、認定獲得への支
●産業技術の高度化に向けた支援施策は講じられているが、その効
援が必要
果は見えにくい
●沖縄県産品は本土市場で苦戦を強いられており構造的支援が必要
●産業財産権の利活用は10年前に比べるとかなり進んでおり、意識
改革も進んでいる
●県内の研究機関や企業が所有する産業機器の共同利用なども進
展
●沖縄TLO等に蓄積された技術が少なく、技術移転の促進はあまり
進んでいない
●特許を出願している企業自体が少なく、技術移転の実績も少ない
●県内のデザイナーをネットワーク化し、県内企業に知ってもらう取組
を推進中であり成果も出始めている
●菓子のパッケージデザインは改善されており、県全体でデ
ザイン重視の戦略を推進すべき
●重要産業である「かりゆしウェア」のデザイン力強化が課題
●健康食品の売上額は低下しており振興が課題
●TLOからの技術移転を通じて、商品化に成功した健康食品が生ま
れている
●健康食品の成長は特保認定が鍵をにぎっており、認定獲
得への支援が必要
●沖縄県産品は本土市場で苦戦を強いられており構造的支
援が必要
●人材育成はある程度進んでいる
●沖縄の特性を活かしたバイオ産業の研究が進んでいる
●ネックは臨床実験・治験であるが、既に大学・医師会・産業振興機
関のネットワーク形成が進んでいる
●バイオはまだ産業化しておらず長期的視点での振興策が必要
●植物工場は夏場野菜の確保に有効であり、初期投資を軽減する支
援が必要
●焼酎ブームの停滞とともに泡盛の売上も低下しており振興が課題
●泡盛の売上は停滞しているが、新しい取組も行われている
●酒税特別措置が廃止されることを前提として「古酒」の安定
的生産と供給体制づくりを急ぐべき
点産業の戦略的展開
d)工芸産業(後継者育成、宣伝及び需要開拓、新た
な工芸品の開発支援 等)
e)環境関連産業(大学の技術シーズを活用した新製
品の研究開発支援、リサイクル製品の認定と利用
促進 等)
f)観光土産品産業(ブランド確立支援、新製品開発
の促進、デザインの戦略的活用 等)
3)新事業の創出とベン
チャー企業の支援
a)新事業の創出とベンチャー企業の支援(ベン
チャー企業へのワンストップサービス、インキュベー
ト連携体制の構築、資金調達支援 等)
a)戦略的な企業誘致の促進(国内外において、誘致
セミナーや企業訪問等を実施)
○
29.4%
18.4%
11.0%
○
29.3%
17.4%
11.9%
a)戦略的な企業誘致の促進(国内外において、誘致
セミナーや企業訪問等を実施)
39.6%
13.2%
a)販路開拓支援(物産展等開催支援、商談会の開
催や見本市出展への支援、販路開拓ネットワーク構
築支援 等)
6)販路開拓の強化
b)沖縄ブランド・地域ブランドの確立支援(優良県産
品の奨励、海外展開のためのブランド確立支援
等)
c)対外交流・貿易振興(海外での物産展等開催支
援、海外市場販路開拓支援 等)
a)中小企業の総合支援・人材育成支援(窓口相談・
専門家派遣等のワンストップサービス、ビジネス講
座、国内外企業への研修派遣 等)
●リサイクル製品の公共事業等での活用を進める必要がある
●菓子産業は成長している
●菓子産業のさらなる振興と観光客ニーズの変化への対応
が必要
26.4%
○
30.2%
16.2%
14.0%
●ベンチャー企業の創出は極めて難しい
●大学発ベンチャーはこれまでに琉球大から10社ほど輩出
×
13.6%
32.3%
-18.7%
×
19.2%
28.7%
●条件が悪く分譲地への企業誘致は進んでいない
●特自貿には研究機関(健康バイオセンター)やIT津梁パークなどの
集積は形成されつつある
×
13.0%
31.2%
-18.2%
×
19.2%
26.6%
●産業高度化地域は、優遇制度自体の知名度が低い
●IT産業は誘致に成功している(情報通信産業振興地域)
-7.4%
○
40.2%
15.5%
24.7%
◎
50.5%
14.4%
36.1%
△
22.1%
15.8%
●各地で開催される販路開拓イベントに県内企業の出展をコーディ
ネートし注文増に結びついている
☆沖縄ブランド構築のためにオリジナルマークを商品に表示するなど
により認知度は徐々に高まっている
☆沖縄県として香港、台湾、シンガポール等における物産展、食品見
本市、商談会等への参加しており、一部取引に結びつくなどの成果も
みられる
☆香港での沖縄産品(黒糖、塩、豚精肉等)マーケティングを実施し、
日系スーパー等への展開には成功
6.3%
△
28.2%
19.2%
9.0%
△
b)経営革新と企業連携の促進(新分野への経営革
7)中小企業の総合支援 新計画の取組支援、異なる事業分野の連携促進
等)
c)金融支援の充実(中小企業者の事業資金融資、
ベンチャーファンドの運用促進 等)
8)産業人材の育成
a)中核的な産業人材育成(高度な経営人材育成、
高度な専門人材育成、国内外への派遣研修 等)
●企業誘致の促進のためには沖縄ならではの優遇策等が必要
●研究機関やIT津梁パークを売りにした国と県の誘致施策が必要
-9.5%
5)産業高度化地域
b)企業の立地支援(工場等立地に伴う土地、建物、
設備等の投資に対する支援)
●海草に二酸化炭素を吸着させて排出量を減らす実験が展開されて
いるが限定的である
○
4)特別自由貿易地域等
b)投資環境の整備(工場立地に伴う土地、建物、設
備等の投資に対する支援や分譲価格や賃貸工場使
用料の減額等)
●工芸産業は産業として自立は厳しい
●工芸産業は現状維持で手いっぱいだと認識している
24.8%
15.4%
9.4%
△
26.5%
21.5%
5.0%
×
●大学と産業界が連携したIT人材育成のカリキュラムを提供
9.2%
20.4%
-11.2%
(注) ◎は30%以上、○は10%以上30%未満、△は0%以上10%未満、×は0%未満
概-15
☆海外物産展の継続的・定期的な開催支援が必要
☆沖縄の中小零細企業が海外への商談会に参加するための
支援が必要
☆シンガポールでのマーケティング活動が有望
☆国際航空貨物基地による空路の改善されたものの、海上
航路については物流コストの低減などが今後の課題
概-16
2.各地域制度の検証
主に県内企業を対象として実施したアンケート調査とヒアリング調査より、沖縄振興計
画に基づく各地域制度に対する企業の評価の中で、特に評価が高かった地域制度は「中小
企業経営革新法に基づく特例」と「観光振興地域」、特に評価が低かった地域制度は「自由
貿易地域」と「特別自由貿易地域」であった。
評価の高かった地域制度においては、
「実際に対象産業の誘致や売上の増加に成果が見ら
れた」という点で評価が高かった一方、評価が低かった地域制度においては「期待ほどの
成果が見られなかった」「対象地域や制度自体の使い勝手が悪い」という点が指摘された。
また、各地域制度について評価の高かった点、及び評価の低かった点の内訳は以下の通
りである。
各地域制度に対する評価の要点(成果とメリット、デメリット)
観光振興地域
情報通信産業振興地域
情報通信産業特別地区
成果とメリット
(評価されている点)
z 制度開始当初に比べて入込観光客
数は増加
z 情報通信関連企業の立地が進み、施
策自体も幅広く活用されている
z アジアと比較してコミュニケーシ
ョン能力とデータセンターとして
の立地に優位性
z 税の優遇等支援措置がコスト削減
に効果
z IT人材育成講座を活用
z 用意されたオフィス環境が良い
z 経費削減に貢献
z 女性従業員への支援制度を評価
z IT人材育成講座を活用
産業高度化地域
z 産業高度化地域への立地が進展
z 専門的指導による研究開発支援の
促進
z 多様な情報入手ルートの存在
自由貿易地域
z 立地条件がいい
z 自貿地域の関税課税選択を先行き
利用
z 共同利用冷蔵倉庫の利用がメリッ
ト
概-17
デメリット
(課題)
z 重要観光施設(産業)であるホテ
ル・旅館が対象となっていない
z 観光振興地域に関する公庫の融資
制度は利用用途が限定的
z 観光振興そのものの取り組み方の
課題
z 人材確保が問題である
z 大規模オフィスが確保できない
z 事業所を複数進出させる場合は、優
遇税制の対象にならない
z 対象業種が限定されており、重要
IT 業種が対象とならない
z 事業支援制度情報の所在が分散し
利用が不便である
z 人材育成講座の開催条件が多い
z さらなる立地促進が課題
z 地域雇用開発助成金の適応条件が
狭く、利用が不便である
z 制度を活用することそのものに事
務的負担がかかる
z 排水処理装置更新工事を全額事業
者負担で実施する
z 施設の老朽化により新工場へ移転
も考慮
z 支援制度の情報の入手、利用方法が
分からない
特別自由貿易地域
成果とメリット
(評価されている点)
z ものづくり、ITなど企業立地が進
展している
z 税控除等優遇措置はコスト面でメ
リットがある
z 賃貸工場の家賃減額が魅力的であ
る
z 賃貸工場が用意されていたから沖
縄に進出した
z 沖縄県のサポートが適切である
金融業務特別地区
z 認定企業は少ないが、金融業務特別
地区への立地企業は増加
z レンタルオフィスは、オフィスコス
トの削減に大いに貢献
z 通信コスト低減が図れる
中小企業経営革新支援法
の特別措置
z 税控除等優遇措置はコスト面でメ
リットがある
電気の安定的かつ適正な
供給の確保に係る特例
z 固定資産税の課税標準の軽減措置
は、設備依存度が高い事業のためメ
リットがある
z 法人事業税の軽減措置は、税引き後
利益を確保できるなどのメリット
がある(料金減額原資として活用)
概-18
デメリット
(課題)
z 法人課税の実行税率は海外と比較
して魅カがない
z 所得控除の要件が厳しい
z 賃貸工場が使い難い
z 中城湾東埠頭が使用できない
z 水、電気、土地のコストが相対的に
高い
z 停電が頻発する
z 交通インフラや案内が整備されて
いない
z 物流支援制度の支援額が小さすぎ
る
z 沖縄のものづくり基盤が弱くコス
ト高になる
z 制度の活用に事務的負担がかかり
すぎる
z 本社を名護市内に開設しなければ
ならず、認定条件のハードルが高い
z 所得控除制度の控除額上限が厳し
すぎる
z 人材育成支援策が正社員でないと
適用されない
z 本社で負担している設備投資は投
資税額控除の対象にならない
z 行政に関連する情報が企業に行き
届いていない
z 高度化融資で整備した設備の処分
が許されない
z 低金利融資制度は担保が必要
z 法人事業税の軽減措置が無くなり、
料金減額原資が減少した
【地域制度を活用した産業施策の評価まとめ】
地域制度に対する評価
(県内企業アンケートより)
評価結果
(◎、○、△、
×)
主な施策・事業
成果あり
成果ない
(大変+多少) (あまり+全く)
地域制度の活用可能性
(県内企業アンケートより)
評価結果
(◎、○、△、×)
成果あり-ない
活用可能性あり
(既活用+現在検討)
◎
○
13.3%
5.7%
観光振興地域
26.3%
13.0%
○
17.4%
9.8%
●現状施策の評価 (良い点、問題・課題点)
●今後必要な施策イメージ
沖縄振興開
発金融公庫
からの融資
【成果とメリット】
●制度開始当初に比べて入域観光客数は増加
【デメリット】
●重要観光施設であるホテル・旅館が対象となっていない
●観光振興地域に関する公庫の融資制度は利用用途が限定的
●観光振興地域の支援対象となる企業への制度の告知・説明が不十分
●制度を熟知し、事業者と行政との間に立ってコーディネートできる人材が必要
●直接事業者の資金調達を支援する事業が必要
●民間の自由な発想の行政の支援が必要
●観光振興に関する取り組み方の検討
固定資産税
の減免
【成果とメリット】
●情報通信関連企業の立地が進み、施策自体も幅広く活用されている
●アジアと比較しコミュニケーション能力とデータセンターとしての立地に優位性
●税の優遇支援措置がコスト削減に効果
●オフィス環境が良い
【デメリット】
●増設・拡張の場合は、進出時と同様の優遇措置を受けられない
●人材確保が問題である
●大規模オフィスが確保できない
●オフィス賃料・若年者雇用・旅費に関する優遇措置の拡充
●従業員向けの住宅と専門学校の整備、人材育成支援の拡充
●SEの本土からの移住策などを検討が必要
●従業員対策としての保育所の拡充
●民間で自由に活用できる助成金制度の創設
【成果とメリット】
●経費削減に貢献
●女性従業員への支援制度を評価
【デメリット】
●事業所を複数進出させる場合は、優遇税制の対象にならない
●対象業種が限定されており、重要IT業種が対象とならない
●事業支援制度情報の所在が分散し利用が不便である
●同一事業者が県内に複数拠点を設置する場合も支援対象として拡大
●拠点施設などは事業者のニーズに合った受け皿の拡充
●事業支援の情報提供の一元化
○
情報通信産業振興地域
7.6%
7.3%
△
△
沖縄振興開
発金融公庫
からの融資
情報通信産業特区
10.4%
9.5%
0.6%
3.4%
○
○
固定資産税
の減免
産業高度化地域
14.9%
7.4%
5.6%
8.2%
×
△
自由貿易地域
保税地域制度
11.6%
15.1%
-2.8%
×
1.1%
△
固定資産税
の減免
特別自由貿易地域
11.1%
13.6%
-1.9%
2.2%
×
△
-1.9%
1.1%
◎
◎
13.8%
11.2%
金融業務特別地区
7.8%
中小企業経営革新支援
法の特例
22.3%
10.4%
4.9%
電気の安定的かつ適正
な供給の確保に係る特
例
定性的評価
(県内産業団体等ヒアリング調査より)
活用度の高い施策
沖縄振興開
発金融公庫
からの融資
沖縄振興開
発金融公庫
からの融資
【成果とメリット】
●産業高度化地域への立地が進展
●専門的指導による研究開発支援の促進
不動産取得 ●多様な情報入手ルートの存在
税の減免 【デメリット】
●さらなる立地促進が課題
●地域雇用開発助成金の適応条件が狭く、利用が不便である
●制度を活用することそのものに事務的負担がかかる
【成果とメリット】
●立地条件がいい
●自由貿易地域の関税課税選択を今後利用できる
●共同利用冷蔵倉庫が利用できる
【デメリット】
●排水処理装置更新工事を全額事業者負担で実施する
●支援制度の情報入手、利用方法が分からない
【成果とメリット】
●IT津梁パークを中心に企業が立地している
●税控除等の優遇措置でコスト面にメリットがある
●貸し工場が用意されている
【デメリット】
●所得控除の要件が厳しすぎる
●法人課税の実効税率は海外と比較して魅力がない
沖縄振興開
●物流コストが割高になる、物流支援事業の対象額が小さい
発金融公庫 保税地域制度
●水・電気・土地のコストが相対的に高い
からの融資
●賃貸工場の減額期間が短く、その後の使用料が高い
●停電が頻発している
●交通インフラや案内が整備されていない
●中城湾東埠頭が使用できず迷惑している
●貸し工場が使いにくい
●沖縄のものづくり基盤が弱く、コスト高になる
●制度を活用することそのものに事務的負担がかかる
●地域雇用開発助成金の条件の緩和
●人材育成に関する支援制度の拡充
●製品開発に関する支援制度の拡充
●制度の活用時における手続きの簡素化
●排水処理装置更新の公共側での実施
●支援制度情報の積極的な告知
●駐車場の拡充
●所得控除の要件の緩和
●物流支援事業の助成金限度額の引き上げ
●物流支援事業の支援対象の拡大(宅急便等)
●物流支援事業の支援対象の拡大(卸売業)
●コンテナ船などの航路の充実
●賃貸工場の使用料の減額
●停電対策の実施と停電理由の周知徹底
●電気料金の低減
●中城湾東埠頭の早期供用開始
●1事業者あたりの貸し工場利用の自由化
●貸し工場の家賃の低減
●人材確保・人材育成に関する制度の規定の見直し
●制度の活用時における手続きの簡素化
【成果とメリット】
●認定企業は少ないが、金融業務特別地区への立地企業は増加
●レンタルオフィスは、オフィスコストの削減に大いに貢献
●通信コスト低減が図れる
【デメリット】
●本社を名護市内に開設しなければならず、認定条件のハードルが高い
●所得控除制度の控除額上昇が厳しすぎる
●人材育成支援策が正社員でないと適用されない
●本社で負担している設備投資は投資税額控除の対象にならない
●行政に関連する情報が企業に行き届いていない
●資格取得に必要な旅費等への補助
●人材育成講座・試験の名護における開催
●人材育成策の対象の契約社員への拡大
●市町村の助成制度に関する情報提供の充実
●行政手続きのオンライン化の充実
●生活基盤の充実
●税の優遇措置を拡大
【成果とメリット】
●税控除等の優遇措置はコスト面でメリットがある
【デメリット】
●高度化融資で整備した設備の処分が許されない
●低金利融資制度は担保が必要
●制度の活用時における手続きの簡素化
●支援制度そのものの見直し
【成果とメリット】
●固定資産税の課税標準の軽減措置、法人事業税の軽減措置を利用している
(平成18年度まで)
●法人事業税の軽減措置制度の再開
●沖縄県における電力事業・卸供給事業に対す財政投融資の実施を公庫融資と ●石油石炭税の免税の継続
して活用している
●産業高度化地域による固定資産税の減免の継続
【デメリット】
●法人事業税の軽減措置制度がなくなった(平成19年度より)
(注) ◎は10%以上、○は5%以上10%未満、△は0%以上5%未満、×は0%未満
概-19
概-20
3.産業活動支援機能の検証
沖縄県の産業活動支援機能の課題の論点を取りまとめると以下のとおりとなる。
1)産業事業支援サービス機能の課題
沖縄県の産業事業支援サービス機能は、「情報支援サービス」や「業務支援サービス」
を中心に全国平均を上回る伸びで成長しており、今後も成長を維持していくことが重要
である。一方で、沖縄県の産業事業支援サービス機能の全産業に占める割合は、全国平
均に比較して低い状況にあり、今後は「人材支援サービス」や「業務支援サービス」を
中心に、より一層の集積を形成していくことが課題である。
2)産業金融支援サービス機能の課題
金融支援サービス機能については、依然として貸出金残高の約3割強を政府系金融機
関が占めているものの、融資対象がインフラ整備から人材育成や産業振興にシフトして
おりかつ効果があがっていることから、今後もその方向を強化していくことが望ましい。
一方で、民間の金融支援サービス機能との分担や連携によって、多様化・専門化する沖
縄産業の資金ニーズに適切に対応していくことが課題である。
3)産業立地支援サービス機能の課題
産業立地のための空間提供については、比較的規模の大きい空間を提供できる特別自
由貿易地域や IT 津梁パーク等を中心に、他地域に比較してよりも魅力的なインセンティ
ブ(法人税等の思い切った税制優遇、用地取得コストの軽減支援等)を提供していくこ
とが重要である。また、情報通信産業等の産業が必要とする高度専門人材については、
県内でのみ供給することには量的・質的に限界があるため、国内外を問わず県外からの
人材誘致と定着を促す取組みを推進していく必要がある。
4)産業基盤支援サービス機能の課題
沖縄県では、公共事業費が長期的に減少傾向にある中で、新規かつ大規模な産業基盤
(インフラ)の整備は極めて難しい状況にある。今後は限られた財源の中で、沖縄の戦
略産業の集積に資する効果的な産業基盤(クラウドコンピューティングに対応した情報
通信ネットワーク基盤、国際航空・海上物流ネットワーク基盤等)を、効率的に整備・
提供していくことが課題である。
概-21
4.各産業における高付加価値化を推進するための課題の整理
1)県内企業が現在抱えている業務上の課題
アンケート調査の結果、県内企業が現在抱えている業務上の重要課題は、
「国内競争(同
業他社との競争)の激化」及び「販売先(顧客)の減少」であり、それぞれ約4割を占
めていることが明らかになった。
また、その他の課題としては、「国内市場(需要)の頭打ち」、「営業力、販売量、企画
提案力の水準の低さ」、「設備や施設などの老朽化」、「優秀なマネージャー・管理職の不
足」などが挙げられる。
県内企業は、競争の激化や販売策の減少等、市場に関する課題が上位を占めている一
方で、営業力や企画提案力、管理職等の人材確保や設備・施設の更新に関する経営課題
を抱えていることがわかる。
2)県内企業が今後求める産業振興策
今後、必要な産業振興策については、「従業員の研修・講座の受講に関する支援・補助
の拡大」が約5割を占め最も多く、次いで、「制度を熟知し、事業者と行政との間に立っ
てコーディネートできる人材の充実」、「国・地方自治体の支援策に関する情報提供の充
実」、「税制優遇・補助金の支援対象となる業種の拡大」、「スーパー、医療機関、保育所
などの生活基盤施設の充実」と続いている。
このように前述の課題を反映して、県内企業においては、従業員の人材育成に関する
支援を始めとして、支援策に関する情報提供や対象業種の拡大、支援策の活用をする際
に事業者と行政間のコーディネートできる人材の確保等の産業支援策を利用しやすい環
境づくりが求められている。
概-22
5.調査結果から得られる産業振興の今後の方向性
これらの検討を通じて、今後の沖縄における産業振興施策の大きな方向性として、主に
以下の示唆を得ることができる。
(1)アジア市場への展開を加速化させる産業振興が重要
観光産業の振興ではアジア等の海外からの誘客をターゲットとしたプロモーションが
必要であり、情報通信産業においても東アジアマーケットからの受注を増やす戦略をと
るべきとの意見が多い。また、農林水産業、製造業の振興についても、那覇空港の国際
物流機能を活用した東アジア市場への展開が重要であるとの共通認識が形成されている。
(2)産業の「質」を飛躍的にグレードアップさせる産業振興が重要
観光産業の振興では「質の高い観光リゾート地」の「質」を再定義することや、海外
の富裕層に魅力的な観光地づくりが重要であるとの指摘がなされている。また、情報通
信産業の振興ではクラウドなどの新しいテーマへの対応や、コールセンターの質的変化
へ対応した産業・機能の集積戦略が重要との見解が示されている。製造業の振興におい
ては農商工連携等を活用した新商品創出やデザイン重視の戦略が有効との意見もある。
(3)内発的地域産業を重視した産業振興が重要
沖縄はこれまでは「地域制度」などの活用を通じて、主に県外企業等の誘致を通じた
外発的産業振興を重視してきた。その結果、特に比較優位性のある観光産業分野と情報
通信産業分野を中心に産業集積が進んだ。しかし沖縄が持続的に発展するためには、地
域特性を活かした内発的産業(製造業・農業等)を重視した振興が重要との意見が多い。
(4)専門的産業人材の育成に注力した振興策の展開が重要
県内企業が今後求める産業振興策の中で、「従業員の研修、講座受講に対する支援」や
「事業者と行政をコーディネートできる人材の充実」など、人材育成に関連する支援策
へのニーズが高い。また沖縄の産業界の求める人材は、英語に加え東アジアの言語を話
せる人材、コールセンターの高度化に対応できる人材など、多様化・専門化している。
(5)企業ニーズに対応した「地域制度」の見直しと改革が重要
沖縄には、企業集積を目的とした地域制度が多数設けられている。しかし優遇措置の
魅力不足、利用し難さ、情報提供不足、サービス水準の低さなどを指摘する企業が多く、
企業集積は予定どおりに進んでいない。このため沖縄の地域制度については、アジア諸
国との競争に打ち勝つための強力なインセンティブを備えるとともに、地域制度の統
合・連携を進め、より効果的な制度に改革していくことが重要である。
概-23