道路橋に添架された電力用ケーブル保護管耐震継手の開発

道路橋に添架された電力用ケーブル保護管耐震継手の開発
論文・報告
道路橋に添架された電力用ケーブル保護管耐震継手の開発
Title. Title Title Title Title
道路橋に添架された電力用ケーブル保護管耐震継手の開発
福井 準
竹田 誠
硲 昌也
Development
of an Earthquake-Proof Coupling for Powercable Protecting Pipe Attached to
道路橋に添架された電力用ケーブル保護管耐震継手の開発
Hitoshi Fukui
Makoto Takeda Masaya Hazama
the Highway
Bridge
Title. Title Title Title Title
電力会社では、大地震に備えた送配電施設の耐震性向上が喫緊の課題になっている。当社は、主力製品のひとつで
福井 準* 竹田 誠**
竹田 誠
硲 昌也
福井 準
Hitoshiある道路橋添架用
Fukui,
Makoto FRP
Takeda製電力用ケーブル保護管を対象に、地震時における道路橋の複合的な変位に追従し、電力ケ
Hitoshi Fukui Makoto Takeda Masaya Hazama
ーブルを護るケーブル保護管耐震継手を考案した。現在、新設の道路橋添架管路への採用に向けて、机上検討を終え、
電力会社では、大地震に備えた送配電施設の耐震性向上が喫緊の課題になっている。当社は、主力製品のひと
口径 125 ミリの試作品を作製し、検証作業を進めている。
電力会社では、大地震に備えた送配電施設の耐震性向上が喫緊の課題になっている。当社は、主力製品のひとつで
つである道路橋添架用 FRP 製電力用ケーブル保護管を対象に、地震時における道路橋の複合的な変位に追従し、
ある道路橋添架用 FRP 製電力用ケーブル保護管を対象に、地震時における道路橋の複合的な変位に追従し、電力ケ
電力ケーブルを護るケーブル保護管耐震継手を考案した。 現在、新設の道路橋添架管路への採用に向けて、机
ーブルを護るケーブル保護管耐震継手を考案した。現在、新設の道路橋添架管路への採用に向けて、机上検討を終え、
英文(abstract)
上検討を終え、口径 125mm の試作品を作製し、検証作業を進めている。
口径 125 ミリの試作品を作製し、検証作業を進めている。
It has become emergent to improve the earthquake-proof capability of power facilities in order to protect them from great
earthquake for electric
power company. We devised an earthquake-proof coupling for power-cable protecting pipe (FRP-pipe), one
英文(abstract)
of core products of our company. This coupling can follow complex displacement of the highway bridge induced by earthquake,
so that it can defend the lifeline against the interception of power supply. At present, toward the adoption of the devised coupling
in newly constructed pipelines attached to highway bridges, desk study has been completed, and a trial product with 125 mm in
1.
はじめに
diameter
is manufactured,
by which the performance of devised coupling is being verified.
国土交通省では、1995 年の兵庫県南部地震等、過去の
直管の単位長は 4m~6m、継手部はソケット構造でゴ
大規模地震による被災実態を踏まえて、道路橋の耐震補
ム輪によりシールされ、離脱防止機能は付与されていな
1.はじめに
ない。道路橋添架の場合は複数条まとめて設置され、道
強を進めており、大規模地震時における救助、救援活動
国土交通省では、1995 年の兵庫県南部地震等、過去の い。道路橋添架の場合は複数条まとめて設置され、道路
直管の単位長は 4m~6m、継手部はソケット構造でゴ
1. はじめに
路橋に設置されたブラケットに、一定の間隔で支持され
大規模地震による被災実態を踏まえて、道路橋の耐震補 橋に設置されたブラケットに、
や緊急物資輸送のために必要な緊急輸送道路上で、県庁
ム輪によりシールされ、離脱防止機能は付与されていな
一定の間隔で支持される。
る。
国土交通省では、1995
年の兵庫県南部地震など、過
強を進めており、大規模地震時における救助、救援活動
い。道路橋添架の場合は複数条まとめて設置され、道路
所在地間を結ぶ道路上の橋梁約
8,000 橋について、2017
支点部付近には伸縮継手が設置されるが、主桁の温度
図2に示す伸縮継手が設置されるが、
去の大規模地震による被災実態を踏まえて、道路橋の耐
や緊急物資輸送のために必要な緊急輸送道路上で、県庁 支点部付近には、
橋に設置されたブラケットに、
一定の間隔で支持される。
年度を目途に耐震補強を完了する計画である。
変化に伴う微小な軸方向伸縮を緩和することが目的であ
所在地間を結ぶ道路上の橋梁約 8,000 橋について、2017 主桁の温度変化に伴う微小な軸方向伸縮を緩和すること
支点部付近には伸縮継手が設置されるが、主桁の温度
震補強を進めており、大規模地震時における救助、救援
震災対策が為された道路橋は、地震時において上部工
り、十分な耐震性能を有しているとは言い難い。
年度を目途に耐震補強を完了する計画である。
変化に伴う微小な軸方向伸縮を緩和することが目的であ
が目的であり、十分な耐震性能を有しているとは言い難
活動や緊急物資輸送のために必要な緊急輸送道路上で、
と下部工の間で大きな相対変位が発生するため、これに
震災対策が為された道路橋は、地震時において上部工
り、十分な耐震性能を有しているとは言い難い。
い。
県庁所在地間を結ぶ道路上の橋梁約
8000 橋について、
添架されている水道、電気、通信設備に大きな影響を及
と下部工の間で大きな相対変位が発生するため、これに
2017 年度を目途に耐震補強を完了する計画である。
ぼすことになる。
添架されている水道、電気、通信設備に大きな影響を及
震災対策が施された道路橋は、地震時において上部工
当社では、このような状況を踏まえて、電力用ケーブ
ぼすことになる。
当社では、このような状況を踏まえて、電力用ケーブ
ル保護管耐震継手の検証をすすめている。以下にその概
と下部工の間で大きな相対変位が発生するため、これに
ル保護管耐震継手の検証をすすめている。以下にその概
要について報告する。
添架されている水道、電気、通信設備に大きな影響を及
要について報告する。
ぼすことになる。
当社では、このような状況を踏まえて、電力用ケーブ
2.電力用ケーブル保護管と道路橋の耐震基準
2.電力用ケーブル保護管と道路橋の耐震基準
ル保護管耐震継手の検証を進めている。以下にその概要
2.1 電力用ケーブル保護管
2.1 電力用ケーブル保護管
について報告する。
電力用ケーブル保護管は電力ケーブルまたは通信ケー
電力用ケーブル保護管は電力ケーブルまたは通信ケー
ブル等を収容、保護することを目的に設置される。材質
ブル等を収容、保護することを目的に設置される。材質
はFRP(M)、塩ビ管が採用される。当社は、道路橋添
はFRP(M)、塩ビ管が採用される。当社は、道路橋添
2. 電力用ケーブル保護管と道路橋の耐震基準
架部に採用されるFRP管、土中埋設部に採用されるF
架部に採用されるFRP管、土中埋設部に採用されるF
RPM管を製品として保有している。
RPM管を製品として保有している。
道路橋添架部に採用される電力用ケーブル保護管の口
2.1 電力用ケーブル保護管
道路橋添架部に採用される電力用ケーブル保護管の口
径は、φ100 からφ300 まで規定されているが、汎用サ
電力用ケーブル保護管は電力ケーブルまたは通信ケー
径は、φ100
からφ300 まで規定されているが、汎用サ
イズとしてφ125~φ150
の採用が多い。
ブルなどを収容、保護することを目的に設置される。材
イズとしてφ125~φ150 の採用が多い。
質はFRP、FRPM、塩化ビニルが採用される。当社
は、道路橋添架部に採用されるFRP管、土中埋設部に
採用されるFRPM管を製品として保有している。
道路橋添架部に採用される電力用ケーブル保護管の口
径は、φ 100 〜φ 300 まで規定されているが、汎用サイ
図
電力用ケーブル保護管設置例
図11 電力用ケーブル保護管設置例
図1 電力用ケーブル保護管設置例
図 2 伸縮継手(従来型)
図2 伸縮継手(従来型)
図 2 伸縮継手(従来型)
2.2 道路橋の耐震基準
ズとしてφ 125 ~φ 150 の採用が多い。電力用ケーブル
道路橋の耐震補強として一般的に適用される方針で
保護管を道路橋に添架した例を図 1 に示す。
は、大規模地震に対して必ずしも常時の健全性を保つ必
直管の単位長は 4 m~ 6 m、継手部はソケット構造で
要はなく、通行に支障が無ければ、補修可能な範囲で最
ゴム輪によりシールされ、離脱防止機能は付与されてい
小限度の被害に留めることも許容されている。そのため
*
技術開発本部 材料技術開発部
** 産業建設資材事業本部 化成品事業部 技術開発部
42
クリモト技報 No.61(2012 年 3 月)
クリモト技報 No.61
(2012年3月)
2.2 道路橋の耐震基準
に単なる構成部材の強度向上だけではなく、大きな変位
道路橋の耐震補強として一般的に適用される方針では、 2.3 地震時の問題点
2.3 地震時の問題点
を許容して、地震による外力を軽減させる方法が採られ
地震時において下部工(橋台、
大規模地震に対して必ずしも常時の健全性を保つ必要は 橋梁上部工には、
橋梁上部工には、
地震時において下部工(橋台、橋脚)
橋脚)
る。
なく、通行に支障が無ければ、補修可能な範囲で最小限
これらの結果として採用されたゴム支承、落橋防止装
度の被害に留めることも許容されている。そのために単
なる構成部材の強度向上だけではなく、大きな変位を許
置により、地震時に想定される上部工と下部工の想定変
容して、地震による外力を軽減させる方法が採られる。
位量は、軸方向、直角方向共に数十
cm にも達する。
これらの結果として採用されたゴム支承、落橋防止装置
これは、主桁の温度伸縮を、軸方向だけに考慮する従
により、地震時に想定される上部工と下部工の想定変位
来許容されていた変位量とは全く異なるものである。
量は、軸方向、直角方向共に数十センチにも達する。
道路橋の耐震補強例を図3に示す。
これは、主桁の温度伸縮を、軸方向だけに考慮する従
来許容されていた変位量とは全く異なるものである。
道路橋の耐震補強例を図 3 に示す。
(a)落橋防止装置(桁連結)
(a) 落橋防止装置(桁連結)
との間で、軸方向、直角方向共に大きな相対変位が発生
との間で、軸方向、直角方向共に大きな相対変位が発生
する。一般添架部は主桁に設置されたブラケットに支持
する。一般添架部は主桁に設置されたブラケットに支持
されるため、これらの変位を考慮する必要は無いが、変
されるため、これらの変位を考慮する必要は無いが、変
位が集中する支点部は、
管路の健全性を維持するために、
位が集中する支点部は、
管路の健全性を維持するために、
橋台に固定された管と添架管に関して、軸方向、直角方
橋台に固定された管と添架管に関して、軸方向、直角方
向に想定される変位に対して追従できる機能を付与する
向に想定される変位に対して追従できる機能を付与する
必要がある。道路橋添架管路の損傷イメージを図4に示
必要がある。
道路橋添架管路の損傷イメージを図4に示す。
す。
(b) 落橋防止装置(上下部連結)
(b)落橋防止装置(上下部連結)
(c)縁端拡幅による桁の落下防止
(c) 縁端拡幅による桁の落下防止
1)2) 1)
図 3 道路橋の耐震補強例
図3 道路橋の耐震補強例
(a) 温度変化による主桁の伸縮
(b) 地震による主桁の複合的な変位
図 4 道路橋添架管路の損傷イメージ
(a)温度変化による主桁の伸縮
(b)地震による主桁の複合的な変位
図4 道路橋添架管路の損傷イメージ
43
論文・報告
道路橋に添架された電力用ケーブル保護管耐震継手の開発
3.3 構成
3. 耐震継手の概要
以上の点を踏まえて考案した耐震継手の構成を図 6 に
3.1 構想
示す。本継手は、中央部の摺動部で伸縮に、2箇所の回
耐震継手は、地震時に管路の健全性を維持するために、
3.耐震継手の概要
支点部(橋台と桁端部ブラケットの間)に設置し、伸縮
3.1 構想
3.耐震継手の概要
および偏心に追従する機構を有する構造とする。本継手
耐震継手は、
地震時に管路の健全性を維持するために、
3.1 構想
は大規模地震時にのみ機能するものであるから、必要な
支点部(橋台と桁端部ブラケットの間)に設置し、伸縮
耐震継手は、
地震時に管路の健全性を維持するために、
時に性能を発揮できる状態を長期間維持する必要があ
および偏心に追従する機構を有する構造とする。本継手
支点部(橋台と桁端部ブラケットの間)に設置し、伸縮
る。また、伸縮、偏心の作動反力により一般管路に影響
は大規模地震時にのみ機能するものであるから、必要な
および偏心に追従する機構を有する構造とする。本継手
時に性能を発揮できる状態を長期間維持する必要がある。
を与えない構造であることが望ましい。今回考案した耐
は大規模地震時にのみ機能するものであるから、必要な
また、伸縮、偏心の作動反力により一般管路に影響を与
震継手のイメージを図5に示す。
時に性能を発揮できる状態を長期間維持する必要がある。
えない構造であることが望ましい。
また、伸縮、偏心の作動反力により一般管路に影響を与
えない構造であることが望ましい。
離脱防止
離脱防止
角変位吸収
角変位吸収
伸縮吸収
伸縮吸収
離脱防止
角変位吸収
伸縮吸収
離脱防止
転部により偏心に追従する構造である。本継手の変形イ
3.3 構成
メージを図7に示す。これらの変位を確実に耐震継手で
以上の点を踏まえて考案した耐震継手の構成を図 6 に
3.3
構成 両端部に離脱防止継手を設置した。また、
負担するよう、
示す。本継手は、中央部の摺動部で伸縮に、2箇所の回
以上の点を踏まえて考案した耐震継手の構成を図
6に
本構造では回転および伸縮に拘束が無いことより、通常
転部により偏心に追従する構造である。これらの変位を
示す。本継手は、中央部の摺動部で伸縮に、2箇所の回
時において管路が直線性を維持できないため、これを軽
確実に耐震継手で負担する様、両端部に離脱防止継手を
転部により偏心に追従する構造である。これらの変位を
減させることと、経年に伴い摺動部に異物が付着して性
設置した。また、本構造では回転および伸縮に拘束が無
確実に耐震継手で負担する様、両端部に離脱防止継手を
いことより、通常時において管路が直線性を維持できな
能が損なわれることを考慮してゴム製の変位拘束カバー
設置した。また、本構造では回転および伸縮に拘束が無
いため、これを軽減させることと、経年に伴い摺動部に
を設置することにした。
いことより、通常時において管路が直線性を維持できな
異物が付着して性能が損なわれることを考慮してゴム製
いため、これを軽減させることと、経年に伴い摺動部に
の変位拘束カバーを設置することにした。
異物が付着して性能が損なわれることを考慮してゴム製
の変位拘束カバーを設置することにした。
伸縮吸収
(a)常時
(a) 常時
角変位吸収
(a) 常時
角変位吸収
角変位吸収
角変位吸収
離脱防止
離脱防止
角変位吸収
図5 耐震継手イメージ
離脱防止
(b) 伸び
(b)伸び
離脱防止
図 5 耐震継手イメージ
(b) 伸び
図 5 耐震継手イメージ
3.2 要求性能
3.2 要求性能
今回対象となる耐震継手に関する要求性能は以下のと
今回対象となる耐震継手に関する要求性能は以下のと
3.2 要求性能
おりである。
おりである。
今回対象となる耐震継手に関する要求性能は以下のと
口
径
: φ125
口 径
: φ 125
おりである。
材
質
: NFRP
材 質
:N
FRP
口
径
: φ125
(難燃性 防炎3級 JIS A 1322)
材
質
: NFRP
(難燃性 防炎3級 JIS
A 1322)
設置数
: 10 条(5 列×2 段)
(難燃性
防炎3級 JIS A 1322)
設 置 数
: 10 条(5
列× 2 段)
ケーブル種類 : 400 sq (占有率 85%)
設置数
:(占有率
10 条(585%)
列×2 段)
ケーブル種類
: 400 :
sq
ケーブル重量
175 N/m(17.8
㎏ f /m)
ケーブル種類
: m(16.8
400 sq (占有率
85%)
ケーブル重量
: 165 :
N/
㎏ f / m)
水密性能
考慮しない
ケーブル重量 : 175 N/m(17.8 ㎏ f /m)
水密性能
: 考慮しない
変形性能
水密性能
: 考慮しない
変形性能伸縮性能 : ±214 ㎜
変形性能
偏心性能
:
163 ㎜
伸縮性能
: ± 214mm
伸縮性能 : ±214 ㎜
そ
の
他
:
電力用FRP管仕様に準拠
偏心性能 : 163mm
偏心性能 :
163 ㎜
そ の 他
: 電力用FRP管仕様に準拠
その他
: 電力用FRP管仕様に準拠
(C) 縮み
(c)縮み
(C) 縮み
(d)偏心
(d) 偏心
図 7 (d)
変形イメージ
偏心
図7 変形イメージ
図 7 変形イメージ
図 6 耐震継手構成
図6 耐震継手構成
図 6 耐震継手構成
44
クリモト技報 No.61(2012 年 3 月)
クリモト技報 No.61
(2012年3月)
3.4 構造
3.4.4 変位拘束カバー
図 10 離脱防止継手構造
3.4
構造
3.4.4 変位拘束カバー
3.4.1 回転部
摺動部には、形状保持、異物付着による変形性能低下
図
10
離脱防止継手構造
図
10 離脱防止継手構造
3.4構造
構造
3.4.4
変位拘束カバー
3.4.1
回転部
本継手の摺動部は、形状保持、異物付着による変形性
図 10 離脱防止継手構造
3.4
3.4.4
変位拘束カバー
回転部の構造を図8に示す。本構造は、接合部を球面
の防止を目的とし、変位拘束カバーを設置した。変位拘
3.4
構造 回転部
3.4.4
変位拘束カバー
3.4.1
本継手の摺動部は、形状保持、異物付着による変形性
本継手の回転部は、接合部を球面にすることにより回
能低下の防止を目的とし、変位拘束カバーを設置した。
3.4.1
回転部
本継手の摺動部は、形状保持、異物付着による変形性
にすることにより回転を許容し、角変位を吸収するもの
束カバーの構造を図
11 に示す。本カバーは常時におい
3.4.1
回転部
本継手の摺動部は、形状保持、異物付着による変形性
本継手の回転部は、接合部を球面にすることにより回
能低下の防止を目的とし、変位拘束カバーを設置した。
図 10 離脱防止継手構造
転可能な構造とした。
許容される回転角は
12°
(方向性
常時はゴムの弾性により自重、橋梁の振動による不要な
本継手の回転部は、接合部を球面にすることにより回
能低下の防止を目的とし、変位拘束カバーを設置した。
である。許容される回転角は
12°
(方向性なし)で、簡
てゴムの弾性により自重、橋梁の振動による不要な変位
3.4
構造
変位拘束カバー
本継手の回転部は、接合部を球面にすることにより回
能低下の防止を目的とし、変位拘束カバーを設置した。
転可能な構造とした。
許容される回転角は 12°(方向性3.4.4
常時はゴムの弾性により自重、橋梁の振動による不要な
なし)で、簡易な防水を考慮して、O
リングによりシー
変位を抑制し、地震に伴う大変位が発生した時は、カバ
転可能な構造とした。
許容される回転角は
12°(方向性 本継手の摺動部は、形状保持、異物付着による変形性
常時はゴムの弾性により自重、橋梁の振動による不要な
易な防水を考慮して、
O
リングによりシールした。また、
3.4.1
回転部
を抑制し、地震に伴う大変位が発生した時は、カバーが
転可能な構造とした。
許容される回転角は
12°(方向性
常時はゴムの弾性により自重、橋梁の振動による不要な
なし)で、簡易な防水を考慮して、O
リングによりシー
変位を抑制し、地震に伴う大変位が発生した時は、カバ
なし)で、簡易な防水を考慮して、O
リングによりシー 能低下の防止を目的とし、変位拘束カバーを設置した。
変位を抑制し、地震に伴う大変位が発生した時は、カバ
ルした。また、角変位の際に内部に突起が出てケーブル
ーが破損して本来の変位追従性能を発揮する。
本継手の回転部は、接合部を球面にすることにより回
角変位の際に内部に突起が出てケーブルに損傷を与えな
破損して本来の変位追従性能を発揮する。
なし)で、簡易な防水を考慮して、O
リングによりシー
変位を抑制し、地震に伴う大変位が発生した時は、カバ
ルした。また、角変位の際に内部に突起が出てケーブル
ーが破損して本来の変位追従性能を発揮する。
ルした。また、角変位の際に内部に突起が出てケーブル
ーが破損して本来の変位追従性能を発揮する。
に損傷を与えないよう、内面形状を工夫した。
転可能な構造とした。
許容される回転角は 12°(方向性
常時はゴムの弾性により自重、橋梁の振動による不要な
いよう、内面形状を工夫した。
ルした。また、角変位の際に内部に突起が出てケーブル
ーが破損して本来の変位追従性能を発揮する。
に損傷を与えないよう、内面形状を工夫した。
に損傷を与えないよう、内面形状を工夫した。
なし)で、簡易な防水を考慮して、O リングによりシー
変位を抑制し、地震に伴う大変位が発生した時は、カバ
に損傷を与えないよう、内面形状を工夫した。
ルした。また、角変位の際に内部に突起が出てケーブル
に損傷を与えないよう、内面形状を工夫した。
ーが破損して本来の変位追従性能を発揮する。
回転部構造
図 図11 変位拘束カバー
11
変位拘束カバー
図図
8 8 回転部構造
図 11
変位拘束カバー
図 8図8 回転部構造
回転部構造
図 11 変位拘束カバー
図 8 回転部構造
図 11 変位拘束カバー
3.4.2 図
摺動部
3.5 設置
8 回転部構造
図 11 変位拘束カバー
3.4.2 摺動部
3.4.2 摺動部
3.5設置設置
3.4.2
摺動部
3.5
本継手の摺動部は、スライド可能な二重管で、摺動面
本継手の設置要領を図
12 に示す。両端の離脱防止継
3.4.2
摺動部
3.5
設置
3.5 設置
摺動部の構造を図9に示す。摺動部は、スライド可能
本継手の摺動部は、スライド可能な二重管で、摺動面
本継手の設置要領を図
12 に示す。両端の離脱防止継
本継手の摺動部は、スライド可能な二重管で、摺動面
本継手の設置要領を図
12
に示す。両端の離脱防止継
がゴム輪で接する構造を採用した。ゴム輪は端部固定リ
手受け口を工場で直管に積層接合し、耐震継手を工場で
3.4.2
摺動部
3.5 本継手の設置要領を図
設置
本継手の摺動部は、スライド可能な二重管で、摺動面
本継手の設置要領を図
12
な二重管で、摺動面がゴム輪で接する構造を採用した。
12 に示す。両端の離脱防止継
に示す。両端の離脱防止継
がゴム輪で接する構造を採用した。ゴム輪は端部固定リ
手受け口を工場で直管に積層接合し、耐震継手を工場で
がゴム輪で接する構造を採用した。ゴム輪は端部固定リ
手受け口を工場で直管に積層接合し、耐震継手を工場で
ングとの間で離脱防止の役割を兼ねるものとした。
また、 本継手の設置要領を図
組立てた後、現地で設置することにより、特別な作業が
本継手の摺動部は、スライド可能な二重管で、摺動面
12 に示す。両端の離脱防止継
がゴム輪で接する構造を採用した。ゴム輪は端部固定リ
手受け口を工場で直管に積層接合し、耐震継手を工場で
ゴム輪は端部固定リングとの間で離脱防止の役割を兼ね
手受け口を工場で直管に積層接合し、耐震継手を工場で
ングとの間で離脱防止の役割を兼ねるものとした。
また、 組立てた後、現地で設置することにより、特別な作業が
組立てた後、現地で設置することにより、特別な作業が
ングとの間で離脱防止の役割を兼ねるものとした。
また、
内管はφ125 の汎用サイズの直管を加工した。これによ
発生せず、簡単な工具で施工が可能である。
がゴム輪で接する構造を採用した。ゴム輪は端部固定リ
手受け口を工場で直管に積層接合し、耐震継手を工場で
ングとの間で離脱防止の役割を兼ねるものとした。
また、
組立てた後、現地で設置することにより、特別な作業が
るものとした。また、内管はφ
125 の汎用サイズの直管
組立てた後、現地で設置することにより、特別な作業が
内管はφ125
の汎用サイズの直管を加工した。これによ
発生せず、簡単な工具で施工が可能である。
内管はφ125
の汎用サイズの直管を加工した。これによ
発生せず、簡単な工具で施工が可能である。
り、特殊部品数の低減、ひいては、納期の短縮、コスト
ングとの間で離脱防止の役割を兼ねるものとした。
また、 組立てた後、現地で設置することにより、特別な作業が
内管はφ125 の汎用サイズの直管を加工した。これによ
発生せず、簡単な工具で施工が可能である。
を加工した。これにより、
特殊部品数の低減、
ひいては、
発生せず、簡単な工具で施工が可能である。
り、特殊部品数の低減、ひいては、納期の短縮、コスト
低減を図った。
り、特殊部品数の低減、ひいては、納期の短縮、コスト
内管はφ125
の汎用サイズの直管を加工した。これによ
発生せず、簡単な工具で施工が可能である。
り、特殊部品数の低減、ひいては、納期の短縮、コスト
納期の短縮、コスト低減が図れた。
低減を図った。
り、特殊部品数の低減、ひいては、納期の短縮、コスト
低減を図った。
低減を図った。
低減を図った。
(a) 耐震継手を縮める
図 9 摺動部構造
図9図9 摺動部構造
9 摺動部構造
図図
図99摺動部構造
摺動部構造
摺動部構造
3.4.3 離脱防止継手
本継手は、一般添架部、および橋台コンクリート巻立
3.4.3 離脱防止継手
3.4.3
離脱防止継手
3.4.3
離脱防止継手
3.4.3
離脱防止継手
3.4.3
離脱防止継手
部の
FRP(M)
管との接合部を離脱防止継手にすること
本継手は、一般添架部、および橋台コンクリート巻立
本継手は、一般添架部、および橋台コンクリート巻立
本継手は、一般添架部、および橋台コンクリート巻立
本継手は、一般添架部、および橋台コンクリート巻立
により、橋梁の上部工、下部工間で発生する相対変位に
本継手は、一般添架部、および橋台コンクリート巻立
部の
(M)
管との接合部を離脱防止継手にすること
部のFRP
FRP
(M)
管との接合部を離脱防止継手にすること
FRP
(M)
管との接合部を離脱防止継手にすること
部の
FRP
(M)
管との接合部を離脱防止継手にすること
有効に追従できる構造とした。接合は、差口挿入の後、
部の
FRP
(M)
管との接合部を離脱防止継手にすること
により、橋梁の上部工、下部工間で発生する相対変位に
により、橋梁の上部工、下部工間で発生する相対変位に
により、橋梁の上部工、下部工間で発生する相対変位に
により、橋梁の上部工、下部工間で発生する相対変位に
所定の位置で 45 度回転させることにより、離脱防止性
により、橋梁の上部工、下部工間で発生する相対変位に
有効に追従できる構造とした。離脱防止継手構造を図
有効に追従できる構造とした。接合は、差口挿入の後、
有効に追従できる構造とした。接合は、差口挿入の後、
有効に追従できる構造とした。接合は、差口挿入の後、
能が発揮できる。また、設置後、円周4箇所にピンを挿
有効に追従できる構造とした。接合は、差口挿入の後、
所定の位置で
45
10
に示す。接合は、差口挿入の後、所定の位置で
45°
所定の位置で
45度回転させることにより、離脱防止性
度回転させることにより、離脱防止性
所定の位置で
45 度回転させることにより、離脱防止性
入することにより、供用中に回転して抜け落ちない様、
所定の位置で
45
度回転させることにより、離脱防止性
能が発揮できる。また、設置後、円周4箇所にピンを挿
回転させることにより、離脱防止性能が発揮できる。ま
能が発揮できる。また、設置後、円周4箇所にピンを挿
配慮した。
能が発揮できる。また、設置後、円周4箇所にピンを挿
入することにより、供用中に回転して抜け落ちない様、
能が発揮できる。また、設置後、円周4箇所にピンを挿
た、設置後、円周4箇所にピンを挿入することにより、
入することにより、供用中に回転して抜け落ちない様、
入することにより、供用中に回転して抜け落ちない様、
配慮した。
入することにより、供用中に回転して抜け落ちない様、
配慮した。
供用中に回転して抜け落ちないよう配慮した。
配慮した。
配慮した。
(a) 耐震継手を縮める
耐震継手を縮める
(a)(a) 耐震継手を縮める
(a) 耐震継手を縮める
(a)耐震継手を縮める
(b) 所定の位置に設置
(b) 所定の位置に設置
(b) 所定の位置に設置
(b)(b) 所定の位置に設置
(b)所定の位置に設置
所定の位置に設置
(c) 離脱防止継手に接合
(c) 離脱防止継手に接合
(c) 離脱防止継手に接合
(c) 離脱防止継手に接合
(c)離脱防止継手に接合
(c) 離脱防止継手に接合
(d) 設置完了
(d) 設置完了
12 設置イメージ
(d) 図設置完了
(d) 設置完了
(d)設置完了
図 12 設置イメージ
図10 離脱防止継手構造
(d) 設置完了
図図12 設置イメージ
12 設置イメージ
図 12 設置イメージ
図 12 設置イメージ
45
論文・報告
道路橋に添架された電力用ケーブル保護管耐震継手の開発
4. 材料選定
4.1 FRP 材料
プレス成型は以下の特徴を有する。
・成型効率に優れ、大量生産に適する
・熟練を必要としない
・優れた表面品質が得られる
FRP 部材の材料は、添架管一般部で採用されている
・金型など、設備の投資額が大きい
NFRP(難燃性 防炎3級)を採用した。
・変更は金型により制約を受ける
使用した樹脂および繊維の仕様は下記による。
樹脂 : 不飽和ポリエステル(難燃仕様)
繊維 : ‌ガラスマット(ECM - 450)
ガラスクロス(ER - 320)
4.2 鋼製部品
6. まとめ
本継手は、現在、机上検討、客先提案を終えて、製品
の木型作製を含めた試作品作製の途上である。
お客様との打合せを進めながら、試作品の性能検証を
接合ボルト、ピンなどの鋼製部品は、長期の耐食性を
行い、必要に応じて修正しながら、実製品を完成させる
考慮してステンレス鋼(SUS304)を採用した。
方向で1月中旬の製品完成、3月末の現地施工完了を目
ボルト接合部は、ナットが河川に落下しないよう、本
標に、現在、作業を進めている。
体に埋込む構造とした。
4.3 ゴム製品
7. 今後の課題
変位拘束カバー、O リング、ゴム輪など、ゴム製品の
耐震継手に関して今後検討すべき事項を以下に列挙す
材質は、長期の耐久性および、接着作業など、補修時の
る。
施工性を考慮して、CR(クロロプレンゴム)を選定した。
・プレス成型導入による効率的な生産体制の構築
・コンパクト化
5. 成型方法の選定
5.1 ハンドレイアップ成型
・維持管理の簡素化
今後、引き続き検討を行うことにより、性能の向上を
図る。
当面計画する製品については、納期、コスト、材料物
性を勘案して、ハンドレイアップ成型で作成することに
した。
8. おわりに
ハンドレイアップ成型は、繊維に樹脂を含浸した硬化
電力用ケーブル保護管は、水道管路のように、地震に
前の軟らかいシート状のFRPを、ハケやローラで型の
よる破損が直ちに機能停止に直結することがないため、
上に積層させた後、加熱して硬化させ、成型品を得る方
耐震補強は昨今始まったばかりの状況である。
法である。
2011 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震に
本成型法は以下の特徴を有する。
代表される大地震が頻発し、東海、東南海、南海地震の
・多種少量生産向き
脅威が、さしせまった現実として我々の前に立ちはだか
・技能依存性が高い
る現状において、震災対策は、より完成度を高めながら
・設備の投資額が小さい
整備されるべきである。
・軽微な変更に対応できる
今回の提案を発端として、耐震補強に未対応の他物件、
継手に要求される強度を実現するため、必要に応じて
あるいは、他業界のケーブル保護管路に対して、
強度面で有効なガラスクロスを配置することにした。
・耐震補強の重要性
5.2 プレス成型(SMC 法)
・耐震継手の地震に対する有効性
をお客様に理解いただき、本耐震継手が標準設備と位置
本継手部材の成型方法は、今後予想される耐震継手の
づけられるように積極的な提案を継続的に実施する。
需要の高まりを考慮すると、より効率の良い生産体制構
本製品がケーブル保護管路における耐震補強技術の一
築の観点より選定する必要がある。
つとして、地震に強いライフライン構築の一助になれば
製品形状と効率性に着目した場合、最も有力な成型方
幸いである。
法としてプレス成型(SMC 法)を挙げることができる。
本成型法は、樹脂に硬化剤、添加剤を混合し、チョッ
プドストランドに含浸させ加熱、増粘させたシート
(SMC)を金型にチャージして、さらに加圧加熱して硬
化させ、成型品を得る方法である。
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クリモト技報 No.61(2012 年 3 月)
クリモト技報 No.61
(2012年3月)
参考文献
執筆者
1)‌国 土 交 通 省 国 土 交 通 省 道 路 防 災 の 取 組 み 地
福井準
震 災 害 対 策,http://www.mlit.go.jp/road/bosai/
Hitoshi Fukui
dourokuukan/index.html(参照 2011_12_26)
1987 年入社
2)‌国土交通省 道路局 報道発表資料,
「緊急輸送道
路の橋梁耐震補強マップ」の公表について,http://
FRP 関連の技術開発に従事
技術士(建設部門)
www.mlit.go.jp/road/press/press06/20060302/s.pdf
(参照 2011_12_26)
竹田誠
Makoto Takeda
1999 年入社
FRP 関連の技術開発に従事
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