中之島熱供給センター 地域熱供給施設

蓄熱月間レポート❸
優秀賞
中之島熱供給センター 地域熱供給施設
3
(大阪市中之島六丁目西地区)大阪市北区
(1)改造冷凍機運用
「切替型ヒートポンプの一部熱回収化改造に
伴う蓄熱システム運用改善によるピーク電力等の削減」
改造熱回収型冷凍機は、製氷熱回収型の温熱発生量が約2
■発表者
■申請者・設備オーナー
(株)関電エネルギーソリューション
改造冷凍機運用と各蓄熱槽の運用改善策
鶴来 晋輔氏
(関電エネルギーソリューション)
700
収運転することで、温熱の副産物として冷熱が得られることか
600
ら、冷熱負荷対応として運用します。
500
排冷熱を他の冷熱用冷凍機の負荷転減に有効活用します。
400
今までは、年間を通して各蓄熱槽を夜間帯に満蓄にし、昼間
1
はじめに (図1)
始。熱供給設備は大型ターボ式冷凍機、スクリュー式冷凍機、製
オフィスビル
(お客さまA)
氷熱回収型冷凍機、合計6台を有し、構内蓄熱槽と外部蓄熱槽
毎年1%の省エネ、省CO 2を目標に、販売量が多い冷熱を中
心とした各種運用改善に取り組んできましたが、震災以降、冷
熱が大きく減少し目標達成が困難な状況となっていました。
過去販売データから販売量は少ないものの、一定の需要が
P
温水[往]
複合ビル
ホテル・フィットネス
(お客さまB)
R-11
ターボヒートポンプ
(熱回収型)
温水2次送水
ポンプ
P
R-12
ターボヒートポンプ
(冷温切替型)
P
R-05
(A・B・C)
スクリューヒートポンプ
(冷温切替型)
熱交換器
ホテル・オフィスビル
(お客さまC)
冷水[往] 冷水2次送水
ポンプ
温水
蓄熱
見込める温熱負荷のデータを把握して新たな改善をすることと
しました。
R-06
(C)
スクリューヒートポンプ
スクリューヒートポンプ
(熱回収型)
R-06
(A・B)
スクリューヒートポンプ
(冷温切替型)
P
とを適切に組み合わせて、お客さまに熱を供給しています。
熱交換器
冷水蓄熱
温水槽
(250㎥)
温水槽
冷水槽
(2,430㎥)(2,970㎥)
P
P
温水(還)
P
P
P
P
冷水(還)
冷水
放熱
P
現状の問題把握と対策
(図2)
(2)中間期における変更状況 試運転データ
を熱回収運転に変更することで温水槽をバッファタンクとして利
用でき、冷熱対応用に冷温水槽を冷熱利用する運用としました。
プラント全体のCOPが0.51(3.18→3.69)向上。 3.0
2.0
(3)冬期における変更状況 1.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
熱量比[%]
R-11
デマンド
対策
R-12
冷水槽
冷温
水槽
温水
槽
2012年度
2013年度
0.8
0.4
0.2
0.0
2月
3月 年度
2012年度 0.85 1.08 1.13 0.99
4月
5月
1.05 1.04
1.02 0.75
0.73 0.74 0.74
0.77 0.93
2013年度 0.81
1.08 1.07
1.05 0.81
0.78 0.75 0.74
0.79 0.96
1.1
6月
8時
蓄熱
蓄熱
蓄熱
12時
放熱
18時
放熱
放熱
蓄熱
蓄熱
機器名 冷水熱量 温水熱量 電力量 システム
[MJ] [MJ] [kWh] COP
R-06
102,161
―
7,574
3.75
R-41/42
2,883
5,189
806
2.78
その他 231,165
― 20,910
3.07
プラント合計 336,209
5,189 29,290
3.24
冷水槽
冷温
水槽
温水
槽 蓄熱
冷温水槽のみとして、熱損失を軽減する運用としました。
《結果》①熱源水回収時動力の削減と温水槽停止運用することで
プラント全体のCOPが0.08(2.08→ 2.16)向上。
8時
蓄熱
蓄熱
放熱
12時
放熱
18時
22時
1.11 1.09
放熱
9月
10月 11月 12月
1月
*運用改善の実施は2013年6月中旬からであり、4月5月は従来通りの運用。
図6 省エネ状況
2008
2009
2010
2011
2012
2013
冷熱販売量[GJ]
39,096
36,819
39,149
33,373
29,735
31,369
温熱販売量[GJ]
12,998
12,720
14,312
12,739
13,145
12,446
合計[GJ]
52,094
49,539
53,461
46,112
42,880
43,815
0.888
0.904
0.910
0.929
0.929
0.965
1.8
0.7
2.1
0.0
3.9
COP(販売熱量/使用電力量)
COP向上率(% 対前年比) 基準年
0.970
0.965
0.960
0.955
0.950
1次換算COPの差:0.036
対前年比:3.9%
0.945
(図5)
(図6)
(1)効果
0.935
0.930
0.925
0.920
2012年度
2013年度
・ 対前年度比較:年度の1次換算COP「0.036」向上
放熱
蓄熱
8月
0.940
5 まとめ 22時 24時
22時
7月
1次換算COP
14時 16時
R-05
(A・B・C)
R-06
(A・B)
(C)熱回収
蓄熱システム
ました。
ヒートポンプ運転
時につくれるため、低負荷でも
「COP:5以上」の性能を把握でき
22時 24時
蓄熱システム
熱回収型改造後の試運転では、温水をつくりながら冷水も同
13時 17時
R-05
(A・B・C)
R-06
(A・B・C)
R-41/42
新運用夏期のヒートポンプ・各蓄熱槽の運用と
代表日のシステムCOP状況(2013年度)
R-41/42
1台分を熱回収型に改造することが、コスト面・配置・他を含め
て最も有利と判断し、改造を実施しました。
デマンド
対策
R-12
( C )」号 機 の 熱 回 収 運 転 に変 更 することで、熱 源 水 回 収 時 の
また、温水槽は熱損失から冬期は停止運用とし、温熱対応は
従来の夏期のヒートポンプ・各蓄熱槽の運用と
代表日のシステムCOP状況(2012年度)
R-11
大型ターボ冷凍機「R-12」の熱源水の回収運転から「R-06
運転動力削減を図りました。
図3 夏期運用比較状況
ヒートポンプ運転
現状のスクリュー式ヒートポンプ「R-06(C)」号機のモジュール
1次換算COP
1.2
《結果》①大型ターボ冷凍機とR-06(C)号機とのCOP差で
4.0
ました。夜間に氷をつくり、熱回収で温水を蓄熱槽に貯め、昼間
対策として、新規増設・設備更新・設備改造で検討した結果、
図5 改善前後の1次換算COP状況
大型ターボ冷凍機「R-11」の熱回収運転から
「R-06(C)」号機
設計値
5.0
0.0
0.0
2013年度
0.6
「210kW」抑制。
6.0
COPも低く、経年劣化が進んでいる製氷熱回収型で対応してい
(2)経年劣化対策の考案
改造冷凍機と各蓄熱槽運用変更での状況
②最大電力抑制時間帯の放熱方法変更で、最大電力を
7.0
温熱は年間を通して各冷凍機の熱回収運転で対応、夏期は
2012年度
1.0
《結果》①プラント全体のCOPが0.16(3.24→3.40)向上。
8.0
の温熱負荷対応状況を確認しました。
ろ、1,000MJ程度であることも把握できました。
新運用では、最大電力抑制時間帯に最大限放熱し、冷凍機も
製氷型熱回収運転「R-41/R-42」から「R-06(C)」号機の
9.0
難な状況となり、過去のデータから温熱販売量に着目し、現状
ムCOPは低い状況でした。夏期の最大使用熱量を調査したとこ
いました。
最大電力抑制時間帯には、最大限放熱する運用に変更しました。
R-06(C)号機熱回収部分負荷性能特性試験
0
冷 水熱回収運転に変更。各蓄熱槽の放熱時間帯も変更し、特に
夏期最大
約1,000MJ/h
[COP]
10.0
従来の冷熱運用改善だけでは省エネや最大電力の抑制が困
その時の冷凍機は2台運転であり、センターとしてのシステ
従来は放熱時間帯が長く、最大電力抑制時間帯の放熱量を
4
冷水槽
(500㎥)
冷温水槽(切替型)
(1,500㎥)
図2 温水日負荷状況、R-06
(C)号機試運転データ
(1)問題点の把握
に放熱し最大電力抑制対策を実施していました。
100
1台運転とする運用としました。
2012(H24)年7月∼9月における時間毎の温熱負荷
2
状況によって放熱完了ができず、損失が出ていました。
(1)夏期における変更状況(図3)
(図4)
温熱負荷[MJ/h]
の省エネについて、ご紹介します。
210kW
210kw
熱交換器
運用も変更しました。
間COP向上率も大幅にアップ。この設備一部改造と運用改善で
200
多く取 れていませんでした。そのため、冷 凍 機を2 台 運 転して
温水
放熱
年劣化が進みCOPも低い状況であったため、スクリュー式冷凍
その結果、夏期ピーク時の大幅な電力削減が可能となり、年
461
(3)夏期における最大電力の抑制ができる運用
P
特に、夏期の温熱負荷対策用の製氷熱回収型冷凍機は、経
機のモジュール1台を熱回収型に改造し、あわせて各蓄熱槽の
671
蓄熱量に変更し、運用。
「 放熱完了を18時頃まで」
としました。
P
熱交換器
熱交換器
最大電力抑制時間帯の最大電力比較
300
の時間帯「8時~20時」で放熱対応していましたが、日々の負荷
新運用では、オフィス負荷が軽減する時刻に放熱完了できる
R-41
R-42
氷蓄熱槽
(製氷熱回収型) (150㎥) (製氷熱回収型)
中之島熱供給センターは1992年11月より熱供給事業を開
最大電力[kW]
800
倍あることから、短時間での蓄熱が可能となります。また、熱回
(2)各蓄熱槽の損失を減らす運用
図1 概略系統図
図4 最大電力比較状況
(2)省エネ状況
蓄熱
機器名 冷水熱量 温水熱量 電力量 システム
[MJ] [MJ] [kWh] COP
75,807
6,754
5,480
4.18
R-06
―
―
―
―
R-41/42
― 12,486
3.06
その他 137,452
6,754 17,966
3.40
プラント合計 213,259
・ 対前年比の1次換算COP向上率:3.9%
(一次の電力量換算:200MWh) ・ 最大電力抑制効果:210kW
今後も省エネ、
省CO2や環境保全に努めていきたいと考えています。
16
/No.49
/No.49
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