2.3 微細構造解析分野

2.3 微細構造解析分野
2.3.1 委託業務の目的
本事業は、ナノテクノロジーに関わる最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関が、緊
密に連携して全国的なナノテクノロジーの研究基盤(プラットフォーム)を構築することにより、産
学官の多様な利用者による共同利用を促進し、個々の利用者に対して問題解決への最短アプローチを
提供するとともに、産学官連携や異分野融合を推進することを目的とする。
①プラットフォーム全体の目的
本事業は、ナノテクノロジーに関わる最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関が、緊
密に連携して全国的なナノテクノロジーの研究基盤(プラットフォーム)を構築することにより、産
学官の多様な利用者による共同利用を促進し、個々の利用者に対して問題解決への最短アプローチを
提供するとともに、産学官連携や異分野融合を推進することを目的とする。
ナノテクノロジーとはナノメートルスケールでの創製、加工、制御、分析、計測に係わる最先端テク
ノロジーであり、精緻な産業技術の進展と新たな学理の探索に必須の技術領域である。特に、ナノス
ケールの計測技術はナノテクノロジーを構成する最も基盤的なキーテクノロジーである。微細構造解
析プラットフォームは、我が国の最先端計測技術群の横断的かつ最適の組み合わせによる「知の集約
化」により、ナノメートルからマイクロメートルのスケール領域における微細構造解析分野において
全国レベルの共用に供する枠組みを確立し、ナノテクノロジーを活用した先進材料・デバイス分野に
おける学問的・技術的課題解決によるマテリアルイノベーションに寄与するとともに、我が国のナノ
テクノロジーの更なる発展、競争力向上、人材育成に貢献することを目的とする。これまでに大学や
独法が整備してきた先端ナノ計測技術群を産学官の利用者ニーズに対応した研究支援に供することに
より、世界をリードするトップレベルの研究成果を続々と生み出すことを可能にする(飛躍的知)
。さ
らに、センター機関と連携し、産業界のニーズに応える研究支援と異分野融合研究を積極的に推進す
る自立した先端計測基盤を確立する。微細構造解析プラットフォーム全体の目指す姿は以下のとおり
である。
・最先端の計測解析設備群と高度な研究支援能力の最適な組み合わせの提供
・多元的な計測解析機能により、産官学の研究者・技術者の多様な計測ニーズに対応
・共用施設を中核とした知の集約化による産官学の多様な人材交流や効果的な人材育成
・産業界の技術的課題の解決によりナノテクノロジー・材料分野の技術競争力の強化
・ナノテクノロジーを活用した学問的課題の解決により世界トップレベルの飛躍的知の創出
・プラットフォーム間連携と知の集約化による異分野融合とマテリアルイノベーションの加速
151
このため、国立大学法人北海道大学、国立大学法人東北大学、国立研究開発法人物質・材料研究機構、
国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東京大学、国立大学法人名古屋大学、国立大学
法人京都大学、国立大学法人大阪大学、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構及び国立大学法人
九州大学は共同して業務を行う。
国立研究開発法人物質・材料研究機構は、代表機関として、プラットフォーム全体の運営に係わる業
務を行う。
2.3.2 平成27年実施計画
当該年度における成果の目標及び業務の方法
1.設備の共用・支援
透過型電子顕微鏡、集束イオンビーム加工装置、走査型電子顕微鏡等の共用を通じて、産学官利用者の
研究課題の実施と設備利用技術の支援を行う。
産学官から30件の先端計測に関する研究支援を行うことを目標とする。外部共用率外部共用のうち民
間企業が占める割合に関する目標は10%と設定する。
2.プラットフォームの運営
センター機関・代表機関が実施する総会・外部連携・交流活動等への参画と運営協力を行う。
実施機関独自の産学官連携、異分野融合、新規利用者開拓等に係る活動として、地域セミナーやイノベ
ーションフェア等のイベント(それぞれ1回程度)
、電子顕微鏡等設備利用講習会(1回程度)
、さらに
設備見学会(4回程度)等の各外部連携活動を実施する。
また、プラットフォームさらにニュースレターやナノテク融合技術支援センター成果報告書等において
成果の発信を行う。
2.3.3 成果概要(実施内容)
(1)設備の共用・支援
透過型電子顕微鏡、集束イオンビーム加工装置、走査型電子顕微鏡等の共用を通じて、産学官利用者の
研究課題の実施と設備利用技術の支援を行った。これらにより様々な材料開発・研究の高度解析による
利用者の課題支援を促進し、イノベーション創出の基盤強化につながった。
産学官から48件の先端計測に関する研究支援を行った。外部共用率は39%(目標38%)、外部共
152
用のうち民間企業が占める割合は15%(目標10%)であり目標を達成した。
(2)プラットフォームの運営
センター機関・代表機関が実施する総会・外部連携・交流活動等への参画と運営協力を行った。
実施機関独自の産学官連携、異分野融合、新規利用者開拓等に係る活動として、地域セミナーやイノベ
ーションフェア等のイベント4回(東北大学イノベーションフェア、仙台国際センター、平成27年1
2月9日や東北大学・産総研合同セミナー、トラストシティカンファレンス仙台、平成27年12月1
8日、等 のべ989名)
、電子顕微鏡等設備利用講習会1回(計画1回程度)
、設備見学会6回(東北
大学・平成27年7月27日、等 のべ105名)等の各外部連携活動を実施した。これらの活動によ
り東北地区を中心とした産官学の潜在的利用者に対する啓発活動・情報交換の促進、利用者への情報発
信、研究者の人材育成を図った。
東北大学イノベーションフェアの様子
(仙台国際センター;平成27年12月9日)
東北大学・産総研合同セミナーの様子
(トラストシティカンファレンス仙台;平成27年12月18日)
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課題番号
:A-15-TU-0001
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:異種原子混合に伴う局所溶解・凝固組織と接合強度の関係
Program Title (English)
:Relationship between local melting-solidification microstructures and strength
of welding by mixing of dissimilar elements
利用者名(日本語)
:山本篤史郎 1),高山善匡 1)
Username (English)
:T. Yamamoto1), Y. Takayama
所属名(日本語)
:1) 宇都宮大学大学院工学研究科機械知能工学専攻
Affiliation (English)
:1) Utsunomiya University
示すように試料全体から Ga L 蛍光 X 線が検出されており,
1.概要(Summary)
摩擦攪拌拡散接合により Zr 板と Al 合金箔を接合した
アモルファス相が目当ての Al-Ti 系合金なのか,FIB 加
ところ,接合部ではなく Al 合金箔において母材破断する
工中に生じた Ga 膜なのかは不明である.今後,Zr-Al 二
高い接合強度を得ることができた.その界面には数 nm の
元系の場合に行ったような,Ga の付着を極力抑制した試
Zr-Al 系アモルファス相の層が存在した.摩擦攪拌拡散
料作製方法を試すと共に,追試を重ねる必要がある.
接合では,Al 合金箔の表面を高速回転するツール材で
4.その他・特記事項(Others)
摩擦しているだけであるため,界面付近は機械的に攪拌
本研究は東北大学ナノテク融合技術支援センター・兒
されていない.よって,アモルファス相は界面に局所的に
玉様にご協力いただいた.本研究の一部は公益社団法
生じた液相が急冷されて生じた可能性がある.そこで本
人軽金属奨学会・研究補助金により行った.
研究では,Ti 板と Al 合金箔の摩擦攪拌拡散接合界面の
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
観察を行うことを目的とした.
(1) 山本篤史郎,澤田明典,高山善匡,渡部英男,軽金
属学会第 128 回春期大会,平成 26 年 5 月 16 日.
2.実験(Experimental)
(2) 山本篤史郎,鷹觜権郁,高山善匡,日本鉄鋼協会第
【利用した主な装置】
FIB 収束イオンビーム加工装置
171 回春季講演大会,平成 27 年 3 月 24 日.
【実験方法】
6.関連特許(Patent)
東北大学ナノテク融合技術支援センターで作製した断
なし。
面 TEM 観察用試料を宇都宮大学のエネルギー分散型
分光器(EDS)を備えた日本電子製透過電子顕微鏡
(a)
JEM-2010 を用いて観察した.
(b)
3.結果と考察(Results and Discussion)
図 1(a)は Ti 板と Al 合金箔の接合界面近傍(2 個の矢
印)の明視野像である.EDS 分析の結果,試料の外側は
厚い Ga 膜で覆われていることが分かった.なお,Al 箔に
Fig. 1 (a) Microstructure of the welded boundary
はコントラストが大きく変化している部分があるが,これは
between Ti plate and Al foil. (b) Intermetallic
FIB 加工による試料厚さの変化に伴うものである.接合界
compounds sometimes observed at the boundary.
面にはまれに金属間化合物相が観察された(図 1(b)).
矢印で示した 2 個の化合物相の組成の平均は Al91Ti9 で
あった.そのうち 1 個の粒内には積層欠陥状のコントラスト
が観察されたことから,Al-Ti 二元系合金にしばしば観察
される長周期構造を有する相である可能性がある.また,
Fig. 2 (a) EDS spectrum at the boundary where an
接合界面においてアモルファス相に特有のコントラストを
amorphous layer was observed. (b, c) Magnified
示した領域も存在した.しかし,図 2 の EDS スペクトルに
spectra of (a).
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課題番号
:A-15-TU-0002 (15-ナノ-工-永沼)
利用形態
:機器利用
利用課題名(日本語)
:ナノビーム電子線回折を用いた BiFeO3 エピタキシャル薄膜の結晶対称性の同定
Program Title (English)
:Determination of crystal symmetry by nanobeam electron diffraction for BiFeO3
epitaxial films.
利用者名(日本語)
:永沼 博 1),Bae In Tae2)
Username (English)
:H. Naganuma1), Bae In Tae 2)
所属名(日本語)
:1) 東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻,2) New York State University
Affiliation (English)
:1) Department of Applied Physics, Graduate School of Engineering, Tohoku
University, 2) New York State University
1.概要(Summary)
CS コレクターを有する高品質の透過型電子顕微鏡
(TEM)を用いて、エピタキシャル応力により複雑に変化
す る BiFeO3 膜 の 結 晶 構 造 に つ い て調 べ た と ころ 、
BiFeO3 は極薄膜となっても菱面体晶構造を保っているこ
とが明らかとなった。従来の報告では BiFeO3 はエピタキ
シャル圧縮応力により正方晶に歪むことが指摘されてい
Figure 1 (a) Cross-sectional HRTEM image of the
たが、本研究の精密な解析によりこれまでの解析には間
BiFeO3 layer, with (b) corresponding HRTEM
違いがある可能性が高いことを指摘することができた。
image simulation using the multislice method.
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
4.その他・特記事項(Others)
① JEOL JEM-ARM200F
・本研究は、Yumiko Kodama博士、Yuichiro
② FEI Titan3 G2
Hayasaka博士、によりTEM観察およびTEM観察用試
【実験方法】
料の作製について支援を頂いた。
・ARM200F では局所領域の構造解析を行い BiFeO3 の
・本研究は、State University of New York at
結晶構造の同定、EELS による電子構造を行った。
Binghamton のSmall Scale Systems Integration
・Titan では結晶構造の同定のために必要な高品質の高
and Packaging Center (S3IP)、New York State
分解能 TEM 写真を得た。
Office of Science, Technology and Innovation
(NYSTAR)、科研費基盤B (No. 25600067)、NEDO若
3.結果と考察(Results and Discussion)
手の支援により行われた。
図 1 に CS コレクター付きの FEI Titan3 G2 で撮影し
・本研究は、東北大学金研(佐藤和久現大阪大学)、東北
た BiFeO3 の断面高分解 TEM 像と菱面体晶構造を想定
大学工学研究科(永沼博)、NY 州立大学(Bae In Tae)
したシミュレーション像を示す。高分解 TEM 像とシミュレ
の共同研究である。
ーション像はよく一致しており、原子像の明暗のコントラス
トとも対応している。従って、BiFeO3 エピタキシャル膜は
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
従来、考えられていた正方晶構造ではなくバルクと同じ菱
(1) In Tae Bae, H. Naganuma, T. Ichinose, K. Sato,
Physical Review B, Vol. 93 (2016) pp.064115/1- 6.
面体構造を保っていることが本研究より明らかとなった。
6.関連特許(Patent)
(1) なし。
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課題番号
:F-15-TU-0003
利用形態
:機器利用
利用課題名(日本語)
:平面微小電極アレイチップの作製と構造解析
Program Title (English)
:Analysis of planner multi-electrode array surface
利用者名(日本語)
:鈴木郁郎 1)
Username (English)
:I. Suzuki1)
所属名(日本語)
:1) 東北工業大学大学院工学研究科
Affiliation (English)
:1) Tohoku Institute of Technology
1.概要(Summary)
表面構造の違いにより検出感度が異なることがわか
細胞の電気活動を細胞外で記録する平面微小電極ア
った。
レイがある。平面微小電極アレイは、微細加工技術によ
りガラス基板上に ITO をパターンニングし、□20~
50 µm の電極を 64 個備え、その電極上に神経細胞や
心筋細胞を培養する、もしくは脳や心臓等の組織切片
をマウントして、細胞が発する活動電位を取得する仕
組みである。非侵襲計測である故に長期間の細胞活動
をモニタリング可能であり、多点計測である故に細胞
ネットワークの活動解析が可能である特徴を持つ。
本研究では、平面微小電極アレイを用いて神経細胞か
Fig.1 SEM image of micro-electrode.
ら放出される神経伝達物質を計測するために、従来の電
極材料である白金黒ではなく、カーボンナノチューブを材
料とした電極開発を行うこととした。電解めっきにより作製
した電極表面の構造を走査型電子顕微鏡で観察した。
2.実験(Experimental)
・利用した装置
走査型電子顕微鏡
・実験方法
Fig.2 Magnified image of micro-electrode surface.
めっき後の平面微小電極アレイを数ミリ角に分割し、カ
ーボンコート後、走査型電子顕微鏡にて電極表面の構造
4.その他・特記事項(Others)
を観察した。
なし。
3.結果と考察(Results and Discussion)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
50×50 µm2 の電極を 64 個備え、カーボンナノチュ
なし。
ーブをめっきした平面微小電極アレイを走査型電子
顕微鏡にて観察した結果、ITO 電極表面にナノチュー
6.関連特許(Patent)
ブがめっきされていることが確認された(Fig.1,2)。
なし。
カーボンナノチューブの分散法の違いやめっき電圧、
印加時間に依存して表面構造が異なっていた。神経伝
達物質であるドーパミンを電気化学計測したところ、
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課題番号
:A-15-TU-0004
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:FIB を用いたナノワイヤーの固定ならびにナノワイヤーの高分解能観測
Program Title (English)
:FIB fabrication of nanowires and HRTEM observations
利用者名(日本語)
:中山幸仁
Username (English)
:Koji S. Nakayama
所属名(日本語)
:東北大学 原子分子材料科学高等研究機構
Affiliation (English)
:Tohoku University WPI-AIMR
1.概要(Summary)
磁気インピーダンスセンサ開発を視野に、アモファス合
金ワイヤーのインピーダンス測定を実施するため、ワイヤ
ーを電極上に固定することを目的とする。ガスアトマイズ
法により作製されたワイヤー試料に対して、ナノマニピュレ
ータを用いて40~50マイクロ程度の長さに FIB で切り出
した後、ワイヤーをインピーダンス測定用の電極上へのガ
スデポにより固定する。今年度は直径が4マイクロ程度の
図1 FIBを用いて金電極上に固定されたアモルファス合金ワイヤーのSEM像。
ワイヤーを対象として加工を進めた。ワイヤー固定後にお
いてはイオン像又は SEM 像を撮影して、形状のチェックを
行った。
また、脱合金酸化法により作製されたチタン酸ナトリウ
ムナノワイヤーや、同手法により作製されたセリアナノロッ
ドに対して高分解能透過電子顕微鏡を用いて観測を行
い、酸化物ナノワイヤーの構造解析を実施した。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
FEI-Versa3D
・
FEI-Titan 80-300
図2 セリアナノロッドの高分解能 TEM 像。
【実験方法】
FIB 装置内においてナノマニュピレーションを用いてナ
4.その他・特記事項(Others)
ノワイヤーの加工操作、並びにカーボン、Pt を用いてナノ
早坂研究員、兒玉研究員、ならびに鈴木研究員には全
ワイヤーの固定を行った。酸化物ナノワイヤーに対しては
面的に技術支援を頂きましたこと感謝いたします。
本研究は科研費基盤研究 B、課題番号 25286019 より
明視野 TEM 観測、電子線回折、ならびに走査透過電子
顕微鏡観測を行った。
研究助成を受けました。
3.結果と考察(Results and Discussion)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Y. Ishikawa, S. Tsukimoto, K. S. Nakayama, and
N. Asao, Nano Lett. 15, 2980-2984 (2015).
(2) Y. Ishikawa, M. Takeda, S. Tsukimoto, K. S.
Nakayama, and N. Asao, Adv. Mater. 28,
1467-1471 (2016).
(3) 柳沼晋、中山幸仁、第76回応用物理学会秋期学術
講演会、平成 27 年 9 月 14 日
シリコン基板上にリソグラフィ法により描画された金電極
の上へ直径が約4ミクロの CoFe 系アモルファス合金ワイ
ヤーを固定した例を図1に示す。また、図2はセリアナノロ
ッドに対する電子線回折像と高分解能 TEM 像を示す。
6.関連特許(Patent) なし。
157
課題番号
:A-15-TU-0005
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:蛍石構造強誘電体の構造評価
Program Title (English)
:Structure analysis of ferroelectric materials with Flourite structure
利用者名(日本語)
:舟窪 浩 1,2),清水 荘雄 2)
Username (English)
:H. Funakubo), T. Shimizu2)
所属名(日本語)
:1) 東京工業大学 物質科学創造専攻,2)東京工業大学 元素戦略研究センター
Affiliation (English)
:1) Dep. Innov. Eng. Mater., Tokyo Tech.,
2) Mater. Res. Cen. Elem. Strategy, Tokyo Institute of Technology.
1.概要(Summary)
面内方向の方位は一致していないものの、膜面に垂
近年 HfO2 基の薄膜が他の金属元素と固溶させるこ
直方向の膜の配向は(111)に揃っており、これにより Pt
とで強誘電性を示すという報告がされ、注目を集めて
の結晶方位を引き継いでいるローカルな“エピタキシ
いる。本研究では、HfO2 基強誘電体の一種である
ャル成長”をしていることが明らかになった。
0.07YO1.5-HfO2 薄膜について、下地とのエピタキシャ
ル成長を用いて作製したエピタキシャルおよび一軸
4.その他・特記事項(Others)
配向膜の構造観察することを目的として、透過電子線
本研究の一部は、文部科学省「元素戦略プロジェクト
顕微鏡(TEM)観察を行った。
<研究拠点形成型>」、科研費(文部科学省)26106509
の支援のもとに行われた。
2.実験(Experimental)
本研究の遂行に当たり東北大学金属材料研究所不定
ITO//YSZ および(111)Pt/Ti/SiO2/Si 基板上にパルスレ
比化合物材料科学研究部門の木口賢紀准教授および
ーザ堆積法を用いて 0.07YO1.5-HfO2 薄膜を作製した。
ナノテク支援センター赤間章裕氏による支援を受け
TEM 観察は、JEOL 社の JEM-ARM200F を用いて行
ました。ここに感謝の意を表します。
い、断面方向に対して行った。通常の TEM 観察に加
えて高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(HAADF-STEM)観察を行った。試料は上下の電極によ
論文:計 3 報
って挟まれた領域の観察を行うため、FEI 社の Quanta
(1) T. Shimizu, K. Katayama, T. Kiguchi, A. Akama, T. J.
Konno, and H. Funakubo, “Growth of epitaxial
3D による FIB 加工を行った。
orthorhombic YO1.5-substituted HfO2 thin film”, Appl.
3.結果と考察(Results and Discussion)
Phys. Lett., Vol. 107, (2015) pp. 032910-1-5.
図1に(111)Pt/Ti/SiO2/Si 基板上に作製した(111)配向
外2報
した 0.07YO1.5-HfO2 薄膜の断面 TEM 写真を示す。
口頭発表:計 8 回
6.関連特許(Patent)
(1)
清水荘雄、舟窪 浩、片山きりは、三村和仙、“強
誘電性エピタキシャル薄膜、電子素子及び製造方
法”、PCT/JP2015/074515、2015 年 8 月 28 日出願
Fig.1 (a) High resolution TEM image of 0.07YO1.5-HfO2
films prepared on Pt/Ti/SiO2/Si substrate.
158
課題番号
:A-15-TU-0006
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:ペロブスカイト型酸化物薄膜の選択的結晶配向性長に適した金属酸化物ナノシートテ
ンプレートの合成と超微細構造観察
Program Title (English)
:Synthesis and microstructural observation of metal-oxide nanosheet templates
for preferential crystal orientation of perovskite-type metal oxide films
利用者名(日本語)
:内田 寛
Username (English)
:H. Uchida
所属名(日本語)
:上智大学理工学部物質生命理工学科
Affiliation (English)
:Department of Materials and Life Sciences
数百 nm~1 m および約 2~3 m であった。この結果は
1.概要(Summary)
擬ペロブスカイト型結晶構造を有する単結晶酸化物ナ
単結晶 ns-CN と粉体の前駆体の大きさの差が反映したも
ノシート Ca2Nb3O10 は、Pb(Zr,Ti)O3 や BiFeO3 など各種
のであり、サイズの大きな単結晶を剥離することにより比較
ペロブスカイト型酸化物と良好な格子整合性を有すること
的に大きな ns-CN が合成できたと考えられる。
から、薄膜材料を作製する際の選択的結晶配向を促す
極薄テンプレート層としての積極的な利用が期待される。
(a)
(b)
本課題では、様々な前駆体・合成手法を用いたナノシート
材料の形態制御(サイズ拡大など)を試みることを主目的
とし、高分解能電子顕微鏡を用いたそれらの微細構造お
よび結晶構造の観察を実施した。
2.実験(Experimental)
Figure 1 HAADF-STEM image of Ca2Nb3O10
nanosheets prepared from (a) powder and (b)
single-crystal precursors.
【利用した主な装置】
HAADF-STEM, JEM-ARM200F; JEOL, Japan
【実験方法】
各種形状およびサイズを有する層状構造金属酸化物
4.その他・特記事項(Others)
母材(KCaNb3O10, KCN)を用意し、これに対してイオン
なし
置換→層間剥離の処理を施すことで合成した
Ca2Nb3O10 ナノシート(ns-CN)を評価対象物として準備
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
した。これらを TEM 観察用 Cu グリッドに担持した観察用
(1) K. Nagasaka, et al., J. Ceram. Soc. Jpn., 123,
試料を用いてナノシートの形状(シート平面幅 etc.)ならび
322-328 (2015).
(2) Y. Minemura, et al., AIP Adv., 5, 077139-1-8
に結晶構造に関する評価を実施した。
(2015).
3.結果と考察(Results and Discussion)
(3) H. Uchida, et al., 17th US-Japan Seminar on
Dielectric and Piezoelectric Ceramics, November
粉体状(粒径数十m)および単結晶状(粒径数百m
~1mm)の前駆体 KCN を固相法およびフラックス法によ
18, 2015.
(4) 内田ら,強的秩序とその操作に関する第一回研究会,
りそれぞれ合成した。これらの層間剥離により調製された
ns-CN の観察結果を図 1 に示す。合成物の形状は板状
January 04, 2016.
の単一シートであり、電子線回折によって各シートが単結
晶状の構造を有することが確認された。KCN 粉体および
6.関連特許(Patent)
単結晶から得られた ns-CN の面方向サイズはそれぞれ
なし
159
課題番号
:A-15-TU-0007
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:誘電体薄膜の断面観察による微構造・結晶構造解析
Program Title (English)
: Microstructure and crystal structure analyses of dielectric films by cross
sectional observation
利用者名(日本語)
:坂元尚紀 1)
Username (English)
:N. Sakamoto1)
所属名(日本語)
:1) 静岡大学電子工学研究所
Affiliation (English)
:1) Research Institute of Electronics, Shizuoka University
下で行われた。初めに原料加熱温度を 171 °C とし、
1.概要(Summary)
窒化インジウム(InN)は窒化物半導体の中で、最も
基板加熱温度を 900 °C で InCl3 と NH3 を反応させ、
低いバンドギャップ(0.63 eV)を持ち、室温での高い
基板上に成長の起点となる In シード層の成長を 30
電子移動度を持つことから、赤外領域における発
分間行った。次に原料の加熱温度 380°C、400°C、
光・受光素子、高速・高周波電子デバイスなど多様
410°C、420°C、430°C に変化させることで V/III 比
な用途への応用が期待されているが、高品質な InN
を 113、50、33、23、16 に変化させ、基板加熱温度
結晶の作製は一般的には困難である。近年、基板窒
を 650 °C で InN の成長を 60 分間行った。作製した
化やバッファ層の導入により MOCVD 法や MBE 法
試料の評価の評価には X 線回折装置、走査型電子顕
によって高品質な InN の作製が報告されているが、
微鏡、紫外・可視・近赤外分光法等を用いた。
危険性や毒性の高い原料を要したり、超高真空を必
3.結果と考察(Results and Discussion)
要とするなど必ずしも望ましい方法ではない。我々
Sapphire(11-20)基板上に成長させた InN の XRD 回折
は毒性の低い原料を使用し、高価な真空装置を必要
パターンから、InN(0002)、InN(10-13)、InN(0004)に
とせず、かつ高速成長を可能とする大気圧ハライド
帰属する回折ピークが得られ、作製した InN が c 軸
CVD 法による InN の成長に関する研究に取り組ん
に優先的に配向していることが分かった。また表
でいる。InN の成長に影響を及ぼす因子には成長温
面・断面 SEM 画像観察から、作製した InN は柱状
度・基板の種類・原料の種類・圧力・V/III 比など
構造を有していることが確認された。原料加熱温度
があるが、本研究では、III 族原料である InCl3 を加
上昇による V/III 比減少に伴い、柱状結晶のサイズ
熱気化させる温度を変化させることにより V/III 比
が大きくなっていることが明らかとなった。これは、
を変化させ、InN の結晶性、微構造、バンドギャッ
原料加熱温度上昇により基板への原料供給量が増
プに及ぼす影響を調査することを試みた。
加したことによって、基板上に堆積した InN 結晶の
2.実験(Experimental)
成長速度が大きくなったことが原因であると考え
【利用した主な装置】
られる。
TEM (ARM200CF, 2100F), AFM(SPI3800N)など
4.その他・特記事項(Others)
・試料の断面 TEM 観察のための試料加工に際し、東北
【実験方法】
試料の作製には横型の透明石英ガラス反応管と 3
大学金属材料研究所の木口准教授・赤間様・児玉様にお
つのガス導入経路(N2 キャリガス、NH3+N2 反応ガス、 力添えを賜りました。この場を借りてお礼申し上げます。
N2 カウンターガス)および電気炉から構成される実
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
験装置を用いた(Fig.1)。反応管内にキャリアガスと
(1) 原田貫次,坂元尚紀,脇谷尚樹,鈴木久男,平成
して窒素を供給し、原料ボートに設置した InCl3 粉
27 年度日本セラミックス協会関東支部研究発表会,平
末を加熱気化させ基板まで輸送し、基板上部から
成 27 年 9 月 7 日.
NH3 を導入し反応させることで InN を作製した。基
6.関連特許(Patent)
板には sapphire(11-20)を用い、反応はすべて大気圧
なし
160
課題番号
:A-15-TU-0008
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:リラクサー型強誘電体薄膜におけるドメイン構造の観察
Program Title (English)
:Observation of field-induced lattice strain in ferroelectric hetero-structures
利用者名(日本語)
:山田智明 1), 木口賢紀 2)
Username (English)
:T. Yamada1), T. Kiguchi2)
所属名(日本語)
:1) 名古屋大学大学院工学研究科, 2) 東北大学金属材料研究所
Affiliation (English)
:1) Nagoya University, 2) Tohoku University
1.概要(Summary )
完全に格子ミスマッチから緩和していることが確認された。
強誘電体は優れた圧電特性を示すことから、薄膜を用い
これらの薄膜のドメイン構造を、PFM および TEM を用いて
たマイクロデバイスへの応用が広がっている。強誘電体の
評価した。PLZT 薄膜については、上記のように成長プロセ
圧電特性はそのドメイン構造に大きく左右されるが、薄膜
スの最適化に予想以上の時間を有したため、TEM 観察は
やナノ構造体のドメイン構造は基板や外界の影響を強く
実施できなかった。両者のドメイン構造を比較した結果、
受けることが、近年の多くの研究で明らかになりつつある。
PZT 薄膜は 10nm 以上の幅を有する明瞭で規則正しいスト
本研究では、典型的な変位型強誘電体である
ライプ状のドメイン構造が観察されたが、一方で PLZT は微
Pb(Zr,Ti)O3 と 、 リ ラ ク サ ー 型 強 誘 電 体 で あ る
小で不規則なドメイン構造を有していることがわかった。
(Pb,La)(Zr,Ti)O3 に注目し、薄膜におけるドメイン構造の
PLZT 薄膜の微小なドメイン構造は、リラクサー型強誘電体
観察を行った。
における既往の報告とも一致する。今後、詳細な実験と解析
を継続することで、リラクサー型強誘電体薄膜におけるドメイ
2.実験(Experimental)
ン構造の詳細を明らかにしたい。
試料の作製には、パルスレーザー堆積法を用い、主に
SrRuO3/SrTiO3 (100)基板上に、Pb(Zr0.35Ti0.65)O3 [以下
4.その他・特記事項(Others)
PZT]薄膜と(Pb0.91La0.09)(Zr0.65Ti0.35)O3 [以下 PLZT]薄膜
透過型電子顕微鏡の試料作製を行って頂いた東北大学ナ
を堆積した。作製した試料の結晶構造および配向性を反
ノテク融合技術支援センターの皆様に感謝いたします。
射高速電子線回折(RHEED)および X 線回折(XRD)で、
表面形態を AFM、ドメイン構造を圧電応答顕微鏡(PFM)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
で観察した。また、一部の薄膜の試料断面を東北大学ナ
なし(成果がまとまり次第発表予定)
ノテク融合技術支援センターの透過型電子顕微鏡で観察
した。
6.関連特許(Patent)
なし
3.結果と考察(Results and Discussion)
まず PZT、PLZT 共に、基板温度 625ºC, 酸素分圧 200
mTorr で薄膜を堆積し、その結晶構造、配向性、表面形
態を調べた。PZT は平滑な(001)エピタキシャル薄膜であ
ったが、PLZT は多数の島状粒子からなる(001)エピタキシ
ャル薄膜であることがわかった。そのため、PLZT 薄膜に
おける島状成長を抑制するために、初期の 6 nm を 450ºC
の低温で堆積することで、初期成長段階におけるミスフィ
ット応力の緩和を狙った。その結果、表面荒さ 0.36 nm の
(001)エピタキシャル薄膜の作製に成功した。また、XRD
逆格子空間マッピング測定により、得られた PLZT 薄膜は
161
課題番号
:A-15-TU-0009
利用形態
:機器利用
利用課題名(日本語)
:規則性多孔質材料の微細構造評価
Program Title (English)
:Structural Characterization of ordered porous materials
利用者名(日本語)
:阪本康弘 1,2)
Username (English)
:Y. Sakamoto1,2)
所属名(日本語)
:1) 大阪大学大学院理学研究科物理学専攻, 2) JST さきがけ
Affiliation (English)
:1) Dept. of Physics, Grad School of Science, Osaka University, 2) PRESTO, JST
1.概要(Summary)
分解能でゼオライト骨格の原子構造をイメージングできる
ゼオライトやシリカメソ多孔体などの規則性多孔質材料
ことがわかった.
は,その構造中に規則的に空いた数 Å から数十 nm の均
一な大きさの細孔(狭い細孔径分布)と高い比表面積を
有する環境調和型ナノ材料として,触媒,吸着剤,薬剤の
担体など様々な分野で研究が行われている.一方,極微
小領域の単結晶構造解析が可能な透過電子顕微鏡
(TEM)法を用いた規則性多孔質材料の構造評価は近
年ますます重要で必要不可欠なものとなっている.特に,
sub-Å の空間分解能をもつ収差補正走査透過電子顕微
(a)
鏡(AC-STEM)法を用いゼオライト骨格構造を原子分解
能でイメージングすることが現在可能になっている.本研
究課題では,電子線照射ダメージの非常に大きいゼオラ
イトの骨格構造を原子分解能でイメージングすることを試
みた.
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
FEI 製 Titan(加速電圧 300kV)
【実験方法】
ゼオライト試料はメノウ鉢で粉砕後エタノールに分散し,
電子顕微鏡用マイクログリッド上に滴下し観察試料とした.
観察は電子線照射ダメージを極力減らすため低電子線
照射量下で結晶方位を合わせ,倍率 1.3M で撮影した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
図 1a に示すように本研究課題で着目した MFI 型ゼオ
(b)
(c)
ライトは,このゼオライトに典型的な結晶外形をもち,長手
図1.MFI 型ゼオライトの SEM 像(a)と AC-STEM 像(b),およびフ
方向の大きさは 50µm 程度であった.HAADF-STEM 像
ーリエ回折図形.
と そ の フ ー リ エ 回 折 図 形 を 図 1b,c に 示 す .
HAADF-STEM 像では T 原子(Si 原子)カラムが明るい
4.その他・特記事項(Others)
コントラストとして観察され b 軸に沿って空いたストレートチ
・JST さきがけ「超空間制御と革新的機能創製」領域
ャネル(10 員環)が明瞭に観察された.また,結晶の周縁
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
部(右下.黒い部分は真空)では 10 員環の周りにより小さ
該当無し.
な 5 員環や 6 員環を観察することができ,1Å を切る空間
6.関連特許(Patent) 該当無し.
162
課題番号
:A-15-TU-0010
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:ナノ析出/クラスター生成による表面硬化
Program Title (English)
:Surface hardening of steels by nano-sized precipitates
利用者名(日本語)
:建山恭寛 1), 宮本吾郎 2)
Username (English)
:Y. Tateyama1), G. Miyamoto2)
所属名(日本語)
:1) 東北大学大学院工学研究科,2)東北大学金属材料研究所
Affiliation (English)
:1) Dept. Metallurgy, Tohoku University, 2) Institute for Materials Research,
Tohoku University.
1.概要(Summary)
歯車やシャフト、金型等に利用される鉄鋼材料部材は
部材表面で過酷な摩擦摩耗環境にさらされるため、表面
硬化処理を施されて実用に供される。鉄鋼材料の表面硬
化処理の一つが窒化処理である。窒化処理では、表面か
ら吸収された窒素が、試料内部の添加元素と結合して窒
化物を作ることで表面近傍が析出強化される。従って、窒
化による表面硬化を制御するためには、表面近傍での窒
化物生成挙動を理解することが極めて重要となる。
Fig. 1 Surface hardness of Fe-Al-V alloys nitrided
そこで、本研究では窒化物生成元素である Al と V 組成
at 823K as a function of V content.
を系統的に変えた Fe-Al-V 合金を窒化して、表面近傍に
形成される窒化物組織を調査した。
2.実験(Experimental)
実験には、V 濃度(x)を 0 から 2 まで変化させた Fe(2-x) at%Al-x at%V 合金を使用した.これらの合金を
823K で種々の時間プラズマ窒化を施し、表面硬度をビッ
カース硬度計で測定するとともに,表面近傍のナノ析出
Fig.
組織を Titan80-300 で観察した。
(a)Fe-1.9Al-0.1V, (b)Fe-1.5Al-0.5V, (c)Fe-2V alloys
2
Al-V
nitride/cluster
formed
in
nitrided at 823K for 57.6ks.
3.結果と考察(Results and Discussion)
加することで、V 窒化物析出に Al 窒化物の析出が誘起さ
Fig. 1 に 823K で 57.6ks 窒化した Fe-Al-V 合金の表
れて大きな表面硬化が現れることが明らかとなった。
面硬度を V 濃度に対してまとめる.V を含有しない
Fe-2Al 合金では、窒化しても窒化前硬度からの上昇はほ
4.その他・特記事項(Others)
とんど見られない.一方,Fe-1.9Al-0.1V 合金では表面
硬度が大きく上昇し,0.5V 添加材でほぼ最大値に達する.
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Fe-2Al 合金では,窒化物が生成しないことが TEM 観察
(1) 建山恭寛, 宮本吾郎, 古原忠,第170回秋季講演大
より確認されているのに対して,V をごく少量添加すること
会, 平成 28 年 9 月 7 日.
で,Fig. 2 に示すように板状のナノ窒化物が析出すること
が分かる.V 添加量が低い場合にはそれらは B1 型構造
6.関連特許(Patent) なし
を有する(V, Al)N 窒化物であるが,Fe-2V 合金では V-N
クラスターであった。これらの実験より,ごく微量の V を添
163
課題番号
:A-15-TU-0011
利用形態
:機器利用
利用課題名(日本語)
:Fe-Si-B-P-Cu ナノ結晶軟磁性材料の微細構造解析
Program Title (English)
:Structural Analysis for Fe-Si-B-P-Cu Nanocrystalline Soft Magnetic Material
利用者名(日本語)
:西嶋 雅彦 1),竹中 佳生 2), 竹内章 2), 牧野彰宏 2)
Username (English)
:M. Nishijima1) ,Kana Takenaka2) ,Akira Takeuchi, and Akihiro Makino2)
所属名(日本語)
:1) 東北大学研究教育基盤技術センター先端電子顕微鏡センター,2)東北大学金属材料
研究所, 超低損失ナノ結晶軟磁性材料研究開発センター
Affiliation (English)
: 1) The Microscopy Center, Technology Center for Research and Education
Activities, Tohoku University,
2)
Research and Development Center for Ultra
High Efficiency Nano-crystalline Soft Magnetic Material, Institute for
Materials Research, Tohoku University.
析からも Cu に極めて富んでいる事が示された。Cu 吸収
1.概要(Summary)
端での XAFS 測定から本熱処理時には Cu の吸収微細
ケイ素鋼を主流とする軟磁性材料はトランスやモーター
コアに広く使われているが、更なる高効率化と磁気特性
構造は bcc 構造から fcc 構造に変遷している事も併せると、
向上が求められている。東北大学の牧野等によって発明
ナノクラスターは fcc-Cu であると考えられる。
された Fe-Si-B-P-Cu 合金(NANOMET®)は超低磁心
4.その他・特記事項(Others)
損失と高飽和磁束密度を同時に実現した革新的な軟磁
なし
性材料であり、商用サイズ用での幅広薄帯の製造に成功
し、様々な協力企業との共同試作開発に成功している。
本合金系の特性向上と品質改善、開発を進め最適化
を図るためには熱処理時の組織形成メカニズムの解明が
必要である。本研究では TEM を用いた組織・組成評価
により NANOMET®合金の解析を行い合金の開発・実
用化に必要なナノ結晶化機構の解明を目的とする。
2.実験(Experimental)
Fig. 1 (a) BF-STEM-image for microstructure and
利用装置:FEI 社 Dual Beam System VERSA 3D
(b) STEM-ADF image for 2nd phase Fe3(B0.67P0.33)
液 体 急 冷 薄 帯 状 合 金 を 熱 処 理 ( 480 ℃ 10min ) し た
NANOMET®合金の FIB 電顕試料を作成し原子分解能
TEM JEM-ARM200F による組織観察、ナノ分析を行う。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 1(a) に、熱処理した NANOMET®合金のナノ結
晶組織を示す。析出したα-Fe ナノ結晶間を取り囲むよう
に第2相が析出している。本材料は熱処理に敏感であり
460℃熱処理における残存アモルファス相が 480℃熱処
理では消失しており、B、Pリッチな第2相が形成されたと
Fig. 2 (a) STEM-ADF image for Cu cluster and (b)
考えられる。Fig. 1(b)に示す電子線回折パターンやナノ
its elemental (Cu and Fe) superimposed mapping.
分 析 、 STEM-HAADF 像 か ら 、 こ の 第 2 相 は 、
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Fe3(B0.67P0.33)と考えられる。Fig. 2 には、ナノ結晶-第2
(1) Nishijima M., Matsuura M., Zhang Y., Makino A.
相の境界に分離して析出したナノクラスター(約 5nm)の
Phil. Mag. Lett, 95, (2015),277-284
(a)STEM-HAADF 像と、(b)元素マッピングの結果を示
6.関連特許(Patent)
す。ナノクラスターは格子間隔が fcc-Cu と一致し元素分
なし
164
課題番号
:A-15-TU-0012
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:インプラント用チタン合金の界面観察
Program Title (English)
:Interfacial analysis on biomedical implant titanium alloy
利用者名(日本語)
:正橋直哉 1),森優 2), 田中秀達 2), 小暮敦史 2)
Username (English)
:N.Masahashi1), Y. Mori2) , H. Tanaka2) , A. Kogure2)
所属名(日本語)
:1) 東北大学金属材料研究所,2) 東北大学大学院医学研究科整形外科
Affiliation (English)
:1) Institute for material research, Tohoku University
2) Department of Orthopaedic Surgery, Tohoku University Graduate School of Medicine
の SEM 像中の TiO2 層のマーカー部を EDX にて分析し
1.概要(Summary)
利用者のグループは、開発したインプラント用チタン合
た結果、Ti、O、そして不純物 C 以外に、原子濃度で
金 TiNbSn1)の骨伝導性の改善を目的に、表面に陽極酸
8.2 % Ca と 3.5% P がそれぞれ検出された。一方、基材
化(AO)法で TiO2 膜を担持し、その生体適合性の研究に
の TiNbSn 部からは Ca や P は検出されなかったことから、
従事している。TiO2 は光触媒や超親水性等の光誘起機
高い密着強度は、骨の構成元素である Ca や P が TiO2
能を有し、特に抗菌性は医療用途に好都合である。これ
中に拡散したことに起因すると考察した。
までの研究から、陽極酸化膜に温水(HW)処理を施すこ
とで骨伝導性の改善と高い密着強度を確認した
2)。本稿
ではこのような処理を施した供試材を動物に埋め込み、そ
の合金表面と骨の界面における組織について、特に組成
分布に着目して分析を行ったので報告する。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
Fig. 1 SEM image and EDX mappings of O, P, Ca Ti and C in the
FIB Versa3D (FEI)、SEM SU8000
vicinity of rabbit bone and the implanted TiNbSn rod.
【実験方法】
酢酸水溶液電解浴にて陽極酸化を施し、TiNbSn ロッ
4.その他・特記事項(Others)
ド表面に TiO2 を担持後に、ハイドロキシアパタイト(HAp)
参考文献
生成に有効とされる温水処理を行った。表面処理ロッドを
1) F. Nozoe, et al., Mater. Trans., 48(2007) 3007.
日本白色家兎大腿骨の骨髄腔に埋め込み、所定の期間
2) H. Tanaka et al., PLos One (2016) Feb25;
保持後の骨組織形成新生を in vivo にて調査した。FIB
11(2) :e0150081
を用いて合金と骨組織界面近傍をサンプリングし、SEM
東北大学 兒玉由美子博士、西嶋雅彦博士に謝意を表
にて組織観察ならびに、EDX マッピングを行った。
する。本研究の一部は、JSPS 科研費 15H04138(代表
者:正橋直哉)、15K10428(代表者:森優)、の助成を受
3.結果と考察(Results and Discussion)
けて行われた。ここで感謝の意を表する。
AO+HW 材と未処理材の近位部と遠位部の組織を比
較すると、骨とインプラント材の界面近傍では、AO+HW
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
材の方が未処理材よりも顕著な新生骨組織の形成を認め
(1) 田中秀達 他、第 33 回日本骨代謝学会基礎学術集
ることができる。6 週間後の AO+HW 処理を施したインプ
会、平成 27 年 7 月 23~25 日、東京
ラント材に FIB 加工を施し、インプラント材と骨の界面近
(2) H. Tanaka, et al., Orthopaedic Research Society
傍の元素マッピングを Fig. 1 に示す。マッピングから TiO2
2016 Annual Meeting, March 5-8, 2016, Orlando,
層中に Ca と P が分布していることが判った。Fig. 1 左上
USA
165
課題番号
:A-15-TU-0013
利用形態
:機器利用
利用課題名(日本語)
:窒化ケイ素系焼結体の製造と微細構造の解析
Program Title (English) :Preparation and microstructural evaluation of sintered silicon nitride ceramics
利用者名(日本語)
:橋田俊之 1) ,山本 剛 1) , N. Azeggagh 2)
Username (English)
:T. Hashida1) , G. Yamamoto 1), N. Azeggagh 2)
所属名(日本語)
:1) 東北大学大学院工学研究科,2) 東北大学大学院環境科学研究科
Affiliation (English)
:1) Graduate School of Engineering, Tohoku University, 2) Graduate School of
Environmental Studies, Tohoku University.
1.概要(Summary)
本研究は,フランス国 INSA-Lyon 大学と東北大学の
大学間協力協定に基づくダブルディグリープログラムによ
る博士研究の推進を背景としており,窒化ケイ素焼結体
の変形特性に及ぼす焼結助剤の影響に関する検討を目
的としている.本年度においては,これまでの成果を基礎
に,焼結助剤(イットリア)の添加量が比較的多い場合に
ついて,硬さ試験における押込み部直下の変形特性を観
Fig.1 Sample machining for observation of indented region,
察し,微視き裂の発生が認められないことを示した.
showing cross section cut by FIB
2.実験(Experimental)
・利用した主な装置
収束イオンビーム加工装置(FIB),走査型電子顕微鏡
(SEM)
・実験方法
イットリアを添加した窒化ケイ素焼結体を放電プラズマ
焼結法で作製し,その研磨面に対して球形圧子を用いた
押込み試験を実施した試験片を用いて,押込みによるく
Fig.2 SEM photograph of inelastic zone by indentation (no
ぼみ中央直下を観察するために,Fig. 1 に示すような
microcracking is observed)
FIB 加工を用いて観察面を作製し,SEM を用いた観察
4.その他・特記事項(Others)
・共同研究者:L. Joly-Pottuz, D. Nélias, J. Chevalier,
を行った.微細組織観察のために用いた面は,研磨表面
に対して直交する面であり,ミーゼスひずみの大きい領域
INSA-Lyon, France
を特に観察した.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
3.結果と考察(Results and Discussion)
(1) N. Azeggagh, L. Joly-Pottuz, J. Chevalier, M.
イットリア添加量が大きい窒化ケイ素焼結体を対象とし
Omori, T. Hashida, and D. Nélias, Indentation
て,球形圧子の押込み領域を SEM 観察した微細組織の
strength of silicon nitride ceramics processed by spark
例を Fig. 2 に示す.球形圧子の押込みによる塑性変形領
plasma sintering technique, Materials Science and
域には,微視き裂の発生が見られないことから,押込みに
Engineering: A, Vol. 644, No. 17 (2015), pp159-170
よる非弾性変形は転移すべりによる塑性変形により誘起
6.関連特許(Patent)
該当なし
されていることを示唆した.
166
課題番号
:A-15-TU-0015
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:正方晶 FeCo 薄膜の結晶構造と磁気異方性
ProgramTitle(English)
:Fabrication of Tetragonally Distorted FeCo Thin Films and Uniaxial Magnetic Anisotropy
利用者名(日本語)
:石尾俊二
Username(English)
:S. Ishio
所属名(日本語)
:1) 秋田大学大学院工学資源学研究科
Affiliation (English)
:1) Graduate Shool of Engineering and Resource Science, Akita University
1.概要(Summary)
FeCo 合金は、遷移金属中で最大の飽和磁化を有す
る軟磁性材料である。最近、bccFeCo に正方歪を加え
ることによって、大きな一軸磁気異方性が誘導される
ことが第 1 原理計算によって予想されている。
例えば、
Kota et al.[1,2] らによれば軸比 c/a が 1.25 を有する
bccFe50Co50 は結晶磁気異方性定数 Ku=1.5x107 erg/cm3
の磁気異方性を示し、更に B2 規則化が付与されれば
Ku=5×107 erg/cm3 の巨大な磁気異方性が発現すること
が予想され、実際に実験も進められている[3,4]。本
報告では、Rh バッファー上の Fe100-xCox 膜(0 ≤ x ≤ 100、
最大膜厚:20nm)の結晶構造と一軸磁気異方性の関係
について検討した結果を報告する[4]。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
300kV 収差補正型透過電子顕微鏡 FEI-Company
Titan80-300
【実験方法】
断面 TEM によるグラニュラー層構造の観察と組成
分布観察
4.その他・特記事項(Others)
・競争的資金名:JST 産学共創基礎基盤研究プログラム
・共同研究者並びに所属:佐久間昭正(東北大学)、バラ
チャンドラン・ジャヤデワン(滋賀県立大学)、新宅一彦(秋
田県産業技術センター)
・謝辞:本研究では、東北大学ナノテクプラットフォーム、
早坂浩二氏に技術支援をいただきました。
Fig. 1 (a) HAAD-STEM and (b) SAD images for the
FeCo/Rh layer in the FeCo(3nm)/Rh (20 nm) film prepared on
MgO substrate.
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig.1(a), (b)に FeCo(3nm)/Rh(20nm)/MgO(001)基
板の断面 HAADF–STEM 像並びに制限視野電子線回
折の結果を示した。(a) 図に見るようにバッファ層で
ある Rh と FeCo 層の界面は平滑で、エピタキシャル
膜が形成されていることが判る。 (b) 図では、強い
Rh の回折スポットに加え、弱い FeCo からの回折ス
ポットが観察できる。FeCo からの回折スポットから、
FeCo が正方歪を有していることが明らかであり、同
図から軸比を計算すると約 1.1 が得られる。また試料
の配置及び回折写真から bcc (or bct) FeCo (001)[110]
// Rh(001)[100]// MgO(001)[100]の格子関係が成立し
ていることが判る。
Fig.2 に XRD 及び TEM によって求めた正方晶歪 c/a
と磁気異方性の膜厚依存性を示した。磁気異方性は膜
厚がおよそ 2nm の膜厚で最大値 1.6x107 erg/cm3 を示し
た。この結果は、定量的に第 1 原理計算の結果と一致
している。
正方晶歪を有する Fe100-xCox は大きな磁気異方
性を有することが明らかになった。今後、バルク
化を進めることにより、新規な永久磁石、超高密
度磁気記録媒体への応用が期待できる。
167
(a)
Fig.2 Dependence of (a) Ku1 and (b) c/a ratio as function
of FeCo film thickness.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
[1]Y. Kota et al., Appl. Phys. Express 5 113002 (2012).,, J.
Magn. Soc. Jpn. 37 17 (2013), [2] B.Wang et al., J. Appl.
Phys., 117 17C709 (2015), [3] H. Oomiya et al., J. Phys. 48
(2015) 475003.
6.関連特許(Patent)
なし
課題番号
:A-15-TU-0016
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:金属微粒子の解析
Program Title (English)
:Structural analysis of metallic particles
利用者名(日本語)
:中辻達也、梶原 康一
Username (English)
:Tatsuya Nakatsuji, Yasukazu Kajihara
所属名(日本語)
:株式会社イオックス 研究開発部
Affiliation (English)
:IOX, Co. Ltd.
1.概要(Summary)
3.結果と考察(Results and Discussion)
塗料を対象基材に塗布することで作成した塗膜の断面
を透過型電子顕微鏡で観察することにより、塗料の密着メ
塗膜の断面観察を行うことで、配合成分の違いにより、
カニズムを解明する。また、塗膜を剥がした時の剥離面を
金属微粒子の塗膜内分散性が異なることが分かった。(図
走査型電子顕微鏡で観察することにより、剥離モードを解
1)また塗膜内分散性の違いにより、密着メカニズムが異な
析する。
ることが分かった。(図 2)さらに剥離面を観察したところ、
剥離モードにも違いがあることが確認できた。(図 3)
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
4.その他・特記事項(Others)
JEM-ARM200F
なし
SU-8000
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Versa3D
(1)早坂浩二 中辻達也
【実験方法】
兒玉裕美子 鈴木久美子 今野豊彦
FIB によりサンプルを作製し、塗膜の断面をTEMによ
ナノテクワークショップポスター発表、2016 年 3 月 4 日
り観察する。塗膜の剥離面をSEMにより観察する。
6.関連特許(Patent)
なし
図 2.密着メカニズム解析
図 3.剥離面観察
図 1.塗膜の断面観察
168
課題番号
:A-15-TU-0017
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:油絵具の微細構造観察
Program Title (English)
:Observation of Microstructure of Oil Paints.
利用者名(日本語)
:北田正弘 1)
Username (English)
:M. Kitada1)
所属名(日本語)
:1)奈良文化財研究所(東京芸術大学)
Affiliation (English)
:1) Nara National Institute for Cultural Properties (Tokyo University of the Arts)
1.概要(Summary)
る。
油絵具は欧州で 12 世紀頃に発明され、15 世紀頃から
茶色系のゴールドオ
欧州で広く使われるようになった。日本には江戸時代中
ーカーの代表的な
期に技法が伝来した。油絵具は植物性の乾性油で顔料
TEM 像を Fig.3 に示
鉱物を練ったもので、天然顔料の劣化は少ないが乾性油
す。幅が約 0.2μm、長
は劣化し、約半世紀で傷みが目立ち始める。長期保存に
さが約 1μm の粒子が
は修復が必要で、それには材料の内容を知ることが必要
見られる。この粒子は
である。しかし、その微細構造については世界的に殆ど
Fe の化合物ゲーサイト
研究されていない。本研究の目的は代表的な油絵具の
(FeOOH)であり、針状
微細構造を知ることで、昨年度に引き続き油絵具の微細
に成長する。ゲーサイト
構造を観察した。
の粒子間には Mg 系化
Fig.2
Fig.3
合物が存在するが、電
2.実験(Experimental)
子線照射でアモルファ
用いた試料はコバルトグリーン、コバルトブルー、ゴール
スになりやすく、Mg 水酸化物とみられる。
ドオーカー、ホワイトフレークなどで、約 2 年間乾燥固化し
白色絵具であるホワ
た。これから FIB で薄膜を作成し、TEM で観察した。
Fig.4
イトフレークの TEM 像
を Fig.4 に示す。白色
3.結果と考察(Results and Discussion)
(透明)化合物である酸
本報では観察した試料の代表的な TEM 像を示す。
Fig.1 はコバルトブル
化チタン(TiO2)および
炭 酸 バ リ ウ ム (BaSO4)
Fig.1
ーの TEM 像である。
が主成分で、このほか
青の発色物質は粒状
に微量の SiO2 および
の CoAl2O4 で、微細
ZnO が存在する。
な CoCr2O4 粒子も微
4.その他・特記事項(Others)
量含まれている。添
加化合物として MgO
今野豊彦教授と早坂浩二研究員に深謝する。本件は科
あるいは Mg 系塩基
研費課題(No.25289255)である。
性塩とみられる針状粒子が観察される。
コバルトグリーンの代表的な TEM 像を Fig.2 に示す。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
主要な着色粒子はコバルトチタネート(CoTiO3)で、微量
投稿中 1 件
の CoCr2O4 粒子があり、白色(透明)の TiO2 および針状
の MgO あるいは Mg 系塩基性塩が添加されている。
6.関連特許(Patent)
CoCr2O4 粒子はコバルトブルーと共通する添加物であ
「なし」
169
課題番号
:A-15-TU-0018
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:透過型電子顕微鏡による球状中空シリカ‐アルミナの構造解析
Program Title (English)
:Structure analysis of hollow silica-alumina composite spheres using transmission
electron microscopy
利用者名(日本語)
:外山 直樹
Username (English)
:N. Toyama
所属名(日本語)
:日本大学大学院理工学研究科
Affiliation (English)
:Graduate school of Science & Technology, Nihon University
1.概要(Summary)
(b)
(a)
アンモニアボランは,優れた水素貯蔵材料として注目さ
れており,室温で酸もしくは触媒を用いることで高純度の
水素を得ることができる.当研究グループでは,球状中空
シリカ-アルミナを用いてアンモニアボラン加水分解活性
500 nm
500 nm
に与える影響について検討している.これまでに,活性は
ることを明らかにした
(a):メタノール
(b):エタノール
(c):2-プロパノール
(c)
アルミニウム種の分布や配位状態によって大きく左右され
1).そこで本研究では主にアルコー
撹拌時間 / h
(a):36
(b):17
(c):8
ル溶媒などの調製条件が球状中空シリカ-アルミナの形態
に与える影響について透過型電子顕微鏡(TEM)を用い
500 nm
て観察した.
Fig. 1 TEM images of hollow silica-alumina
composite spheres prepared in (a)
methanol,
(b)
ethanol,
and
(c)
2-propanol.
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
高性能分析電顕 (FEI-Titan80-300)
【実験方法】
4.その他・特記事項(Others)
球状中空シリカ-アルミナは,テンプレートにポリスチレン
【参考文献】
粒子を用いる方法で調製した
1) N. Toyama, T. Umegaki, Y. Kojima, Int. J.
2).ポリスチレン粒子上にゾ
Hydrogen Energy 40 (2015) 6151-6157.
ル-ゲル法によりシリカ-アルミナの中空壁を形成し,焼成
2) N. Toyama, T. Umegaki, Y. Kojima, Int. J.
することによりテンプレートを除去することで目的の試料を
Hydrogen Energy 39 (2014) 17136-17143.
得た.
3.結果と考察(Results and Discussion)
本研究では,ゾル-ゲル反応を行う溶媒としてメタノール,
【謝 辞】
エタノールおよび 2-プロパノールをそれぞれ用いて球状
本研究を行うにあたり,測定ならびに結果に対するご指導
中空シリカ-アルミナの調製を行った.Fig. 1 に各アルコー
をしていただいた今野教授,早坂様に厚く御礼申し上げ
ル溶媒で調製した球状中空シリカ-アルミナの TEM 写真
ます.また本研究は,ナノテクノロジープラットフォーム平
を示す.この結果から,メタノールおよびエタノールで調
成 27 年度研究設備の試行的利用事業の制度の援助を
製した試料の中空壁厚は 2-プロパノールで調製した試料
受けて行われたものです.ここに感謝の意を示します.
と比較して薄いことが確認された.また撹拌時間は,メタノ
ール>エタノール>2-プロパノールの順に長くなることが
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
確認できた.これらの結果から,ゾル-ゲル反応速度はメタ
(1) 外山直樹,大木忍,丹所正孝,清水禎,梅垣哲士,小
ノール>エタノール>2-プロパノールの順であることが示
嶋芳行,第 117 回触媒討論会,平成 28 年 3 月 22 日.
唆された.
6.関連特許(Patent) なし。
170
課題番号
:A-15-TU-0019
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:ナノ界面を制御した新しい個体潤滑剤の開発
ProgramTitle(English)
:Development of solid lubricant for water lubrication system
利用者名(日本語)
:早瀬友洋、竹野貴法
Username(English)
:T. Hayase, T. Takeno
所属名(日本語)
:東北大学大学院工学研究科
Affiliation (English)
:Graduate School of Engineering, Tohoku University, Japan
近傍の断面 TEM・EDS 分析結果である。接触面にはコ
1.概要(Summary)
水は低粘性流体であるが故、低い摩擦を発現する可能
ーティング由来の C 及び Si からなる 20 nm 程度の薄い
性を秘めている。その一方で、摩擦面に高負荷がかけら
層が形成されていることが明らかになった。また、このよう
れた時、やきつきを起こす可能性がある。よって、高負荷
な薄い層と基材との間には、約 10 nm 程度の酸化層の存
状態においても低摩擦を発現し続ける事ができる接触面
在が明らかになった。
が求められている。本研究では、過去の知見に基づき、
水に対して優れた摩擦特性を示すシリコンカーバイド
(SiC)を、固体潤滑剤として使われるダイヤモンドライクカ
C, Si
ーボン(DLC)に混入した SiC-DLC 複合膜を作製し、そ
の摩擦特性について研究を進めている。
O, Si
本年度は、非常に高負荷状態において非常に低い摩
擦を発現した SiC-DLC 膜の低摩擦メカニズムを解明する
ために、摩擦を発現する界面を形成する表面近傍の断面
Si, C
(SiC ball)
透過型電子顕微鏡観察を実施した。その結果、コーティ
ング由来の元素を主成分とする約 20 nm 程度の非常に
40 nm
薄い層が、摩擦におけるコーティングの相手剤に形成さ
Fig. EDS map of modified surface layer formed on
れていることが明らかになった。
the SiC ball due to friction
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
4.その他・特記事項(Others)
FEI Titan, FEI Quanta 3D, FEI Versa 3D
なし。
【実験方法】
ディスク試験片に対してコーティングを施した。球をディ
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
スクに押し付けて、ディスクを回転させることで球に発生す
(1) 早瀬友洋,竹野貴法,足立幸志, “水中における
る摩擦力を測定し、荷重で除することで摩擦係数を算出
SiC-DLC 複合膜の摩擦特性”,トライボロジー会議20
した。非常に低い摩擦を得た際の試験片対について、球
15春 姫路,2015 年 5 月 28 日
側の試験片表面を FIB によって断面観察のために切り出
しマイクロサンプリングした。その後、TEM にて観察及び
6.関連特許(Patent)
EDS 分析を実施した。
なし。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig.は SiC 球を相手材として摩擦試験を実施した際に、
水潤滑環境下で非常に低い摩擦係数を得た際の球表面
171
課題番号
:A-15-TU-0020
利用形態
:技術相談
利用課題名(日本語)
:次世代燃料被覆管材料の環境劣化による微細組織評価
Program Title (English)
:Microstructure analysis of advanced fuel cladding material with environmental
degradation
利用者名(日本語)
:叶野 翔 1), H.L. Yang1),
Username (English)
: Sho Kano1), Huilong Yang2)
所属名(日本語)
:1) 東京大学, 2) 東北大学
Affiliation (English)
:1) The University of Tokyo, 2) Tohoku University
1.概要(Summary)
本研究は、次世代型の燃料被覆管材料の環境劣化(照
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
射、腐食、水素化影響)に伴う微細組織変化と機械特性
論文
変化とを相関付けて明らかにすることを目的としている。
1.
H.L. Yang, J.J. Shen, S. Kano, Y. Matsukawa,
そのため、当該材料に対し、種々の環境劣化影響を付加
Y.F. Li, Y. Satoh, T. Matsunaga, H. Abe, Effects
した試料を作製し、微細組織特徴を評価する。一方で、こ
of Mo addition on precipitation in Zr–1.2Nb
れらの試料に対し機械特性評価を実施する。これらの結
alloys. Materials Letters, 158 (2015) 88–91.
果より、微細組織学および材料強度学的観点から材料の
健全性を評価する。
とりわけ、今年度は、中性子照射を模擬したイオン照射
試料の微細組織観察を中心に行った。中性子照射した
試料では、試料の放射化や照射条件の制御が困難であ
るが、イオン照射実験では、比較的に短時間に照射を施
すことができ、かつ、試料の放射化の問題も少ない。しか
しながら、照射領域が試料表面の≦2 μm に制限されるこ
とから、この微細組織評価には収束イオンビーム(FIB)を
用いた試料サンプリングならびに、FIB によって導入され
た試料表面の加工層除去を目的とした低エネルギーイオ
ン研磨装置(ジェントルミル)の試料が必要不可欠である。
これらより、本研究では、イオン照射した試料の微細組織
観 察用 試料 を作 製する ため 、 貴学 所有の GENTLE
MILL IV5 使用した試料表面処理を実施した。その結果、
目的とし微細組織観察を達成し、ここで得られた結果は
種々の会議で報告した。
2.実験(Experimental)
<技術相談のため概要のみ記載。以下、空欄。>
3.結果と考察(Results and Discussion)
<技術相談のため概要のみ記載。以下、空欄。>
4.その他・特記事項(Others)
「なし。」
172
学会発表
[1] S. Kano et.al., Microstructure, chemical and
hardness analyses in HAZ of dissimilar joint
between F82H and SUS316L under fiber laser
welding,
ICFRM-17,
Aachen,
Germany,
20151011-20151016.
[2] S. Kano et.al., Evaluation of solid solution
carbon in F82H steel, ICFRM-17, Aachen,
Germany, 20151011-20151016.
[3] Huilong Yang, Sho Kano, Yoshitaka Matsukawa,
Yuki Satoh, Hiroaki Abe, “Development of
Mo-modified Zr-Nb alloys as nuclear fuel
cladding materials”, 3rd Asian Zirconium
Workshop,
Tsuruga,
Japan,
20151005-20151009.
[4] Huilong Yang, Sho Kano, Yoshitaka Matsukawa,
Yuki Satoh, Hiroaki Abe. “140MeV C4+
irradiation effects on mechanical behaviors and
microstructural evolutions in Zr-1.8Nb alloy”,
3rd Asian Zirconium Workshop, Tsuruga, Japan,
20151005-20151009.
[5] Huilong Yang, Sho Kano, Yuki Satoh, Yoshitaka
Matsukawa, Hiroaki Abe. “原子燃料被覆管用
Zr-Nb-Mo 三元系合金の開発”, 日本原子力学会
2015 年 秋 季 大 会 , 静 岡 市 静 岡 大 学 ,
20150909-20150911.
[6] Huilong Yang, Sho Kano, Yoshitaka Matsukawa,
Yuki Satoh, Hiroaki Abe. “140MeV C4+
irradiation effects on mechanical behaviors and
microstructural evolutions in Zr-1.8Nb alloy”,
第 129 回金属材料研究所講演会, 仙台市東北大学,
20150527.
6.関連特許(Patent) なし。
課題番号
:A-15-TU-0021
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:Cu 入り 6000 系アルミニウム合金のクラスタ挙動調査
Program Title (English)
:The observation of the behavior of cluster in Al-Mg-Si-Cu alloy
利用者名(日本語)
:澤裕也 1),中西英貴 2)
Username (English)
:Y. Sawa1), H. Nakanishi1)
所属名(日本語)
:1) 株式会社 UACJ
Affiliation (English)
:1) UACJ Corporation
1.概要(Summary)
おり、白点は重元素凝集部ではなく電解研磨の影響によ
Al-Mg-Si 系合金中の時効硬化およびクラスタ形成
る膜厚の違いである可能性があるため、今後検証が必要
挙動に及ぼす Cu 添加の影響について調査を行ってい
である。
る。Al-Mg-Si 合金では、Cu 添加によって長時間自然
時効時の自然時効硬化が促進する傾向が認められた。
DSC 分析の結果、クラスタ(1)の溶解ピークは自然時
効時間 10 日を境に急激に増大しており、自然時効時
間によって Cu がクラスタ(1)の形成に及ぼす影響が変
化していると考えられる。そこで Cu が長時間自然時
Figure1 HAADEF image Figure2 HAADEF image
of the sample with
of the sample with natural
natural aging at 20℃ for aging at 20℃ for 5 days.
180 days.
効時にクラスタへ及ぼす影響を推定するため、Cu の
濃化の程度差を調査した。
2.実験(Experimental)
A
Intensity
原子分解能分析電顕(JEM-ARM200F)を用いて明
視野・暗視野像観察、STEM 観察(BF/HAADF)、
STEM 観察(EDS マッピング)を行った。なお、TEM
観察試料は 560℃にて溶体化処理後に 25℃で 5 日およ
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
AlKa
OKa
CuLa
CuKa
MgKaSiKa
2
0
び 180 日自然時効した Al-0.6%Mg-1.0%Si-0.7%Cu 合
B
Figure3 HAADEF image
of the sample with natural
aging at 20℃ for 180 days.
(high magnification)
140
6
4
Energy(eV)
8
10
AlKa
120
金を用いた。
Intensity
100
3.結果と考察(Results and Discussion)
80
60
OKa
CuLa
40
原子分解能分析電顕(JEM-ARM200F)による観察の
CuKa
20
MgKaSiKa
0
結果、HAADEF 像では、180 日自然時効材で 3~4nm
0
程 度の 重元 素が凝 集 してい る様 子が多 く観 察 された
2
4
6
Energy(eV)
8
Figure4 The results of EDS analysis of the sample with
natural aging at 20℃ for 180 days. (high magnification)
(Figure 1)。一方で、5日自然時効材では重元素が凝集
している場所は少なかった(Figure 2)。重元素凝集部を
詳細に観察したが、母相との構造の違いは認められなか
4.その他・特記事項(Others)
った(Figure 3)。これは、凝集部の大きさが試料厚さと比
なし
較して非常に小さいためだと考えられる。
Figure 4 には重元素凝集部の EDS 分析結果を示す。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
図中の B に示す重元素凝集部では A に示す母相と比較
なし
して Cu が多く検出される箇所があり、Cu の凝集が起こっ
ている可能性がある。一方で、試料中には電解研磨の不
6.関連特許(Patent)
具合によって発生したと考えられる腐食部が存在しており、
腐食部には重元素凝集部と類似した組織が観察されて
173
なし
10
課題番号
:A-15-TU-0023
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:酸化物超伝導体の極微構造解析
Program Title (English)
:Structure Analysis of oxide superconductors
利用者名(日本語)
:石丸 学
Username (English)
:M. Ishimaru
所属名(日本語)
:九州工業大学大学院工学府
Affiliation (English)
:Kyushu Institute of Technology
BaHfO3→BaZrO3 の順に細くなることが分かる。歪みマッ
1.概要(Summary)
酸化物超伝導体の臨界電流密度を向上するために、
ピングの結果、ナノロッド内に局所的な歪みが存在するこ
人工ピンの導入が盛んに行われている。このときの超伝
とが明らかとなった。
導特性には人工ピンのサイズや分布が影響を及ぼすた
Table I. Size and area fraction of nanorods
め、これらの情報の原子スケールでの取得が求められて
いる。また最近の研究では、人工ピンとマトリックスの歪み
BaSnO3
BaHfO3
BaZrO3
も超伝導特性に影響を及ぼすことが示唆されている。本
直径
9.8 nm
7.1 nm
5.3 nm
研究では、人工ピンとして BaMO3(M=Sn、Hf、Zr)をドー
面積分率
7.2%
7.5%
10.7%
プした YBa2Cu3O7-y(YBCO)薄膜の構造および歪みを透
過電子顕微鏡法(TEM)により解析した。
4.その他・特記事項(Others)
・謝辞
2.実験(Experimental)
試料は、九州工業大学工学部の松本 要教授、堀出朋
【利用した主な装置】
原子分解能・
哉博士より提供頂いた。歪みマッピングは東北大学金属
分 析 透 過 電 子 顕 微 鏡 ( JEOL
材料研究所の佐藤和久博士(現:大阪大学超高圧電子顕
JEM-ARM200F)(東北大学金属材料研究所)
微鏡センター)の協力により得た。
【実験方法】
BaMO3((M=Sn、Hf、Zr)をドープした YBCO をターゲ
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
ットに用い、パルスレーザー蒸着法により SrTiO3(STO)
(1) T. Horide, K. Taguchi, K. Matsumoto, N.
単結晶基板上に薄膜を堆積させた。試料をトライポッドポ
Matsukida, M. Ishimaru, P. Mele and R. Kita,
リッシャーによる機械研磨とアルゴンイオンミリングにより薄
Applied Physics Letters, Vol. 108 (2016) pp.
片化し、断面および平面 TEM 試料を作製した。試料の
082601(1)- 082601(5).
評価には、東北大学金属材料研究所の原子分解能・ 分
(2) 松木田 直樹,石丸 学,堀出朋哉,松本 要,日本金
析透過電子顕微鏡(JEOL JEM-ARM200F)に加え、九
属学会・日本鉄鋼協会・軽金属学会九州支部平成 27
州 工 業 大 学 の 電 界 放 射 型 透 過 電 子 顕 微 鏡 ( JEOL
年度合同学術講演会,平成 27 年 6 月 6 日.
JEM-3000F)を用いた。
(3) 松木田 直樹、石丸 学,堀出朋哉,松本 要,佐藤和
久,日本金属学会 2016 年秋期講演大会,平成 27 年
3.結果と考察(Results and Discussion)
9 月 16 日.
X 線回折実験の結果、STO(001)基板上に YBCO 薄
(4) 松木田 直樹、石丸 学,堀出朋哉,松本 要,佐藤和
膜がエピタキシャル成長していることが確認された。TEM
久,第 57 回日本顕微鏡学会九州支部学術講演会,
観察の結果、基板から表面に向かって太さ 10nm 以下の
平成 27 年 11 月 21 日.
ナノロッドが成長し、YBCO 薄膜中に均一に分布している
ことが明らかとなった。Table I は、平面 TEM 観察により
6.関連特許(Patent)
得られたナノロッドの直径と面積分率である。BaSnO3→
なし
174
課題番号
:A-15-TU-0024
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:電気化学的手法による金属磁性ナノ粒子内包型複合膜の作製
Program Title (English)
:Electrochemical Fabrication of Composite Films Including Magnetic Metal Nanoparticles
利用者名(日本語)
:林 禎彰
Username (English)
:Y. Hayashi
所属名(日本語)
:1) 東北大学 電気通信研究所
Affiliation (English)
:1) Research Institute of Electrical Communication, Tohoku University
(ZC)画像と EDX マッピング画像および EDX 点分析結果
1.概要(Summary)
本研究は、電気化学的手法による高性能ナノコンポジ
を示す。熱処理前の膜では、ZC 画像と EDX マッピング画
ット磁石膜の実現を目指し、電気泳動堆積(EPD)法を用
像および EDX 点分析結果が良く対応しており、ZC 画像
いた磁性ナノ粒子の 3 次元堆積化技術と電析(電気めっ
の白いコントラスト領域が Fe-Pt、黒いコントラスト領域が
き)法を用いた金属磁性膜の成膜技術を組み合わせるこ
Fe-Co ナノ粒子であり、Fe-Co ナノ粒子と Fe-Pt 電析膜の
とにより、金属磁性膜中に磁性ナノ粒子がナノスケールオ
複合組織の形成を明確に確認することができた。
ーダーで内包された新規複合磁性膜の形成に関する検
一方、熱処理(650ºC)後の複合磁性膜の ZC 画像と
討を推進するものである。本利用課題では、上記の組み
EDX マッピング画像および EDX 点分析結果を図 2 に示
合わせ手法により試作した L10 Fe-Pt 電析膜中に Fe-Co
す。熱処理後の膜では、ZC 画像と Pt マッピング画像が良
ナノ粒子(平均粒径:15 nm)が内包した複合磁性膜の複
く対応しており、ZC 画像中の 白いコントラスト領域 は
合組織観察とその分析を行った。試作した膜断面の観
Fe-Pt である。一方、ZC 画像と Fe、Co のマッピング画像
察・分析結果より、Fe-Co ナノ粒子と Fe-Pt からなる複合
は対応が悪く、650ºC の熱処理中に Fe-Co と Fe-Pt 間に
組織の形成を確認した。一方、膜中に空隙の形成が生じ
相互拡散が生じていると考えられる。そして、EDX 点分析
ることや熱処理プロセス中に Fe-Co と Fe-Pt 間に相互原
により分析を行った結果、ZC 画像中の黒いコントラスト領
子拡散が生じることなどの改善すべき課題が新たに明ら
域には Fe-Co ナノ粒子に由来する Co の原子濃度が他の
かとなった。また、得られた成果の一部は国際学会(1
領 域に 比べ 濃 化 した 領域 が確 認 され 、Fe-Co と L10
件)(査読有り)にて発表を行った。
Fe-Pt の複合組織の形成を確認することができた。しかし
ながら、膜中には空隙が形成していることも確認された。ま
2.実験(Experimental)
た、定量分析結果は EDX マッピングから予想された
【利用した主な装置】
Fe-Co と Fe-Pt 間の相互拡散を示唆するものであった。こ
のような空隙の形成や Fe-Co と Fe-Pt 間の相互拡散を抑
原子分解能分析電顕(JEM-ARM200F)
【実験方法】
制するために、形成プロセスに関するさらなる検討が必要
Fe-Co ナノ粒子と L10 Fe-Pt 電析膜からなる複合磁性
である。
膜は、1. Fe-Co ナノ粒子の電気泳動堆積、2. Fe-Pt の電
(a)
(b)
ZC
Pt
(c)
(d)
Fe
Co
析、3. Fe-Pt を L10 構造へ規則化させるための熱処理
(650ºC)の手順により作製した。複合膜の断面観察用試
定量分析結果(at.%)
料を集中イオンビーム(FIB)加工により作製し、膜断面を
走査透過型電子顕微鏡(STEM)による観察を行った。ま
た、膜断面をエネルギー分散型 X 線(EDX)分析による面
分析・点分析を行った。
1:
2:
3:
4:
5:
Fe
51
52
59
55
56
Co Pt
14 35
10 38
15 26
0 45
0 44
Fig. 1 : (a) ZC image and EDX mappings of (b) Pt, (c) Fe,
3.結果と考察(Results and Discussion)
and (d) Co for an un-annealed nanocomposite film. (e)
図 1 に熱処理(650ºC)前の複合磁性膜の Z コントラス
Results of EDX point analysis.
175
(a)
(b)
(e)
Fe-Co
Fe-Co
定量分析結果(at.%)
空隙
ZC
50 nm
(c)
Fe
50 nm
Pt
1:
2:
3:
4:
5:
(d)
50 nm
Fe
47
49
49
48
50
Co Pt
5
48
4
47
4
47
4
48
1
49
50 nm
Co
Fig. 2 : (a) ZC image and EDX mappings of (b) Pt, (c) Fe,
and (d) Co for an annealed nanocomposite film. (e) Results
of EDX point analysis.
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Y. Hayashi, S. Hashi, H. Kura, T. Yanai, T.
Ogawa,
K.
Ishiyama,
M.
Nakano,
H.
Fukunaga,”Fe-Pt / Fe-Co Nanocomposite Films
Fabricated by Electrochemical Method”, 20th
International Conference on Magnetism,平成 27
年 7 月 7 日 発表.
6.関連特許(Patent)
なし。
176
課題番号
:A-15-TU-0025
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:HCP/FCC 積層体における塑性と相変態の因果関係の解明と制御
ProgramTitle(English)
:Clarification and Control of Correlation between Plasticity and Transformation
in HCP/FCC laminate
利用者名(日本語)
:小泉雄一郎 1), 佐野康太郎 1,2), 高島大洋 1,2), 魏代修 1,2), 千葉晶彦 1)
Username(English)
:Y. Koizumi1), K. Sano1,2), T. Takashima1,2), D.X. Wei1,2), A. Chiba1)
所属名(日本語)
:1) 東北大学金属材料研究所, 2)東北大学大学院工学研究科
Affiliation (English)
:1)Institute for Materials Research, Tohoku University, 2) Department of
Metallurgy, Material Science, and Materials Processing, Graduate School of
Engineering, Tohoku University
1.概要(Summary)
HCP 構造と FCC 構造は最密面内の原子配列が同じで
積層周期のみが異なる。FCC 構造や HCP 構造を持つ合
金における塑性挙動や相変態挙動には、このことに由来
したものが多い。本研究ではその統一的理解を目指して、
HCP 相と FCC 相の積層構造が塑性変形または相変態
の過程で形成される、Mg 合金、Ti-Al 合金、Co-Cr 合金
等における塑性と相変態挙動について、詳細に解析し、
統一的に理解することを目的とする。具体的には、(i) 長
周期積層(LPSO)構造を持つ Mg 合金の繰り返し変形挙
動、(ii) Ti-Al 合金における層状組織形成に及ぼす転位
すべりの影響、(iii) Co-Cr 合金中のひずみ誘起マルテン
サイト変態を、透過電子顕微鏡観察により調べ、その差異
と共通点を体系化し、それらの制御による高性能化や新
機能の発現の指針をする。本稿では(i)についての本年
度の成果を概説する。
2.実験(Experimental)
ブリッジマン法により一方向凝固した Mg85Y6Zn9 合金か
ら、荷重軸が凝固方向に平行な試験片(θ=0˚)と、20˚傾
斜した試験片(θ=20˚)を作製し、ひずみ制御での繰り返
し変形を行い、表面起伏の内部組織を、FIB 加工を用い
た断面 TEM 観察用試料の作製と、その走査型透過電子
顕微鏡による観察で詳細に調べた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
θ=0°の場合:圧縮で塑性ひずみ 1.3%を導入して引張で
塑性ひずみを 0 に戻す繰り返し変形試験を行うと、18 サ
イクルで破断した。破断部近傍では多数のキンク帯が観
察され、その内部には微小亀裂とそれに平行な帯状の転
位組織が観察された。これは、キンク形成に伴う結晶回
転により底面すべりがキンク内に集中し、転位同士の対
消滅が繰り替えされたためと理解される。
θ=20˚の場合:キンク帯はほとんど観察されず、13 サ
イクル辺りから底面すべりの局在が生じた後に、約 30
サイクルから非底面でのせん断が発生して破断した。
これらの結果は、θ=0˚の場合には、キンク形成で結晶
回転した部分に集中したすべり変形が、θ=20°の場合
には、結晶全体に緩やかに生じたものと考えると、両方
位での疲労挙動を統一的に理解することが出来る。
4.その他・特記事項(Others)
本研究は JSPS 科研費新学術領域「シンクロ型 LPSO」構
造の材料科学ならびに東北大学ナノテク融合技術支援セ
ンター、東北大学金属材料研究所新素材センターの支援
を受けて行われた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 佐野康太郎、小泉雄一郎、千葉晶彦、萩原幸司、河
村能人, 日本金属学会 2015 年秋期大会ポスターセ
ッション, 九州大学, 2015.9.16-18.
(2) 佐野康太郎、小泉雄一郎、千葉晶彦、萩原幸司、河
村能人, 新学術領域研究「シンクロ型 LPSO 構造の
材料科学」平成 27 年度合宿研究会, 九州大学, 平成
27 年 9 月 28-29 日.
(3) K. Sano, Y. Koizumi, A. Chiba, K. Hagihara, Y.
Kawamura. Mg2015, Jeju, Korea, 平成 27 年 10
月 14 日
(4) 佐野康太郎、小泉雄一郎、千葉晶彦、萩原幸司、河
村能人. 第 130 回金属材料研究所講演会ポスターセ
ッション, 東北大学金属材料研究所, 平成 27年 11 月
25 日.
(5) 小泉雄一郎, 佐野康太郎, 千葉晶彦. 新学術領域研
究「シンクロ型 LPSO 構造の材料科学」平成 27 年度
研究成果報告会, 軽井沢, 平成 28 年 3 月 4-5 日.
(6) 佐野康太郎、小泉雄一郎、千葉晶彦、萩原幸司、河
村能人. 新学術領域研究「シンクロ型 LPSO 構造の
材料科学」平成 27 年度学生勉強会(若手武者修行),
軽井沢, 平成 28 年 3 月 16-17 日.
(7) K. Sano, Y. Koizumi, A. Chiba, K. Hagihara, Y.
Kawamura, 2016 Japan-Russia Joint Seminar
2015 Annual Meeting of Excellent Graduate
Schools for "Materials Integration Center" and
"Materials Science Center", Akiu, Sendai, Japan,
平成 28 年 3 月 19 日.
[Poster Award 受賞]
6.関連特許(Patent) なし。
177
課題番号
:A-15-TU-0026
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:電気化学還元した Pt 酸化物薄膜の TEM 観察
Program Title (English)
:TEM observation of Pt oxide thin film electrochemically reduced
利用者名(日本語)
:田口正美 1), 高橋弘樹 1)
Username (English)
:M. Taguchi1), H. Takahashi2)
所属名(日本語)
:1) 秋田大学大学院工学資源学研究科
Affiliation (English)
:1) Akita University, Graduate School of Enginnering and Resource Science
1.概要(Summary )
織が直径 5~10 nm の結晶子に分割されることが明らか
申請者らは,アンモニアを用いた次世代アルカリ形
にされた.そのため,このような結晶微細組織と化学組
燃料電池のアノード触媒の研究を実施し,電気化学還
成が,活性表面積の増大とアンモニア酸化活性の向上を
元処理を施した Pt 酸化物において卓越したアンモニ
もたらしたと結論づけられた.
ア酸化活性を見出した.また,CO ストリッピングボル
タンメトリーによる解析から,電気化学還元によって
活性表面積の増大が触媒活性の上昇につながった可
能性が示唆された.そこで,本課題では,高分解 TEM
により電気化学還元した Pt 酸化物薄膜の結晶構造と
化学組成を分析し,活性表面積と触媒活性との関連を
検討した.
2.実験(Experimental)
Pt 薄膜ならびに電気化学還元処理を施した Pt 酸化
物薄膜に関して,表面微細構造および化学組成を高分
解 TEM によって分析した.
図1 Pt 薄膜と Pt 酸化物薄膜におけるアンモニア酸化
(利用機器と利用形態)以下の機器を,技術代行し
電流および活性表面積と還元電気量の関係
て も ら う 形 態 で 利 用 し た . FIB 加 工 観 察 装 置
(FEI-Quanta3D)
:高分解 TEM 観察用試料の調製,原
4.その他・特記事項(Others)
子分解能分析電顕(JEM-ARM200F)
:原子オーダーの表
実施機関担当者:東北大学 今野豊彦教授
面微細構造の観察.(消耗品)東北大学ナノテク融合
技術支援担当者:東北大学 早坂浩二産学官連携研究員
技術支援センターから提供されるものを使用した.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
3.結果と考察(Results and Discussion)
Masami Taguchi, Yoshihide Kametani and Hiroki
図1には,Pt 薄膜と Pt 酸化物薄膜におけるアンモ
Takahashi,Materials Transactions,Vol. 56, No. 3,
ニア酸化電流および活性表面積と還元電気量の関係
(2015), p. 353-360.
を示す.Pt 酸化物薄膜では,0~-0.5 C の電気化学還
元過程で活性表面積の急激な増大に伴ってアンモニ
6.関連特許(Patent)
ア酸化電流が上昇した.また,-0.5~-1.0 C の電気化
田口正美,高橋弘樹(秋田大学),アンモニア燃料電
学還元過程では,活性表面積の増大が抑制され,アン
池用電極触媒の製造方法,アンモニア燃料電池用電極触
モニア酸化電流も抑制されていることが分かった.
媒,およびアンモニア燃料電池,特願 2015-125933
TEM による解析からは,電気化学還元された Pt 酸化物
(2015.6.23).
薄膜では O/Pt 比が大幅に低下すると同時に,結晶組
178
課題番号
:A-15-TU-0027
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:セラミック微粒子の焼結挙動の調査
Program Title(English) :Examination of sintered behavior of a fine particle
利用者名(日本語)
:近藤 恵太
User name(English)
:Keita Kondo
所属名(日本語)
:株式会ウエキコーポレーション
Affiliation(English)
:Ueki Co, Ltd
1.概要(Summary )
セラミック微粒子に添加した各元素の有無を確認す
るため、走査透過型電子顕微鏡(STEM)とエネルギ
ー分散型X線分析(EDX)を併用し分布状態を検証す
る。
3.結果と考察(Results and Discussion)
4.その他・特記事項(Others)
本測定に支援いただいた早坂様に感謝申し上げます。
2.実験(Experiment)
微 粒 子 上 に 添 加 し た の Si の 分 布 を 調 べ る た め
STEM法によるEDXマッピングを実施した。走査透過
型電子顕微鏡(品名:JEM-ARM200F(日本電子株
式会社))で電子線を走査しながら、EDX検出器で添
加元素を定性した。
5.論文や学会発表等(Publications/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし
微粒子に添加した元素 Si が均一に吸着できているこ
とが分かった。
本実験により、試作したセラミック微粒子上で添加物
の分布が明らかになった。
Fig.1 Si の吸着像
STEM 法 EDX マッピング
JEOL JEM-ARM200F
179
課題番号
:A-15-TU-0028
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:単分子磁石内包カーボンナノチューブの創製と解析
Program Title (English)
:Synthesis and Characterization of Single Molecule Magnet encapsulated in
CNTS
利用者名(日本語)
:中西 亮 1) , 山下 正廣 1)
Username (English)
:R. Nakanishi1), M. Yamashita1)
所属名(日本語)
:1) 東北大学大学院理学研究科
Affiliation (English)
:1) Department of Chemistry, Graduate School of Science, Tohoku Univ.
重い希土類金属である Dy 由来と思われるコントラス
1.概要(Summary)
1分子を1メモリとして扱うことが可能な新奇物
トを孤立した単層カーボンナノチューブ内部に明瞭
質である単分子磁石について、カーボンナノチューブ
に確認することができ、内包の確かな証拠が得られた
の一次元内部ナノ空間に内包することで相互作用を
(Fig.2)。しかしながら、観察中に錯体が凝集してし
一次元的に制御した系を創出し、かつデバイスへの応
まい金属間距離の類推等はできず、またシグナル不足
用を目指す研究を行っている。その過程で、内包の有
により元素分析による確認も不十分であった。まだま
無および構造を透過型電子顕微鏡により解析した。
だ低加速電圧下における観察手法の最適化が出来て
いない可能性が考えられるため、今後さらなる調整を
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】 Titan 60-300
【実験方法】 金属錯体を内包させたカーボンナノチュ
ーブサンプルのメタノール分散液を銅製のマイクロ
グリッドに滴下し、真空下で加熱し乾燥させたものを
観察した。加速電圧は 60 kV で行い、また付属の電子
エネルギー損失分光分析により元素分析を試みた。
Fig. 2 High-angle annular dark field - Scanning
TEM image of Dy(acac)3 [email protected]
3.結果と考察(Results and Discussion)
行っていきたい。
本研究では、Dy-アセチルアセトン錯体などの単分
4.その他・特記事項(Others)
子磁石特性を示す金属錯体を単層(および多層)カー
ボンナノチューブに内包し(Fig.1)
、その観察を行っ
謝辞:本研究は、JST CREST における研究領域「新
た。結果として、カーボンナノチューブ表面に不純物
機能創出を目指した分子技術の構築」の研究課題「分
があまり存在せず、また内部に金属錯体と思われるコ
子技術をもちいた機能性単分子量子磁石の合成と物
ントラストを
質特性の評価」
(J120002198)によるものである。
確認すること
ができたため、
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
内包に成功し
(1) M. A. Yatoo, ○R. Nakanishi, K. Katoh, T. Saito
たと言える。特
and M. Yamashita, 第 49 回 フラーレン・ナノチュー
に、操作透過型
ブ・グラフェン総合シンポジウム, 2015 年 9 月 8 日.
電子顕微鏡に
(2) M. A. Yatoo, ○R. Nakanishi, K. Katoh, T. Saito
よる高角度散
and M. Yamashita, 錯体化学会第 65 回討論会,
乱暗視野像を観
Fig.
1
Structure
model
察したところ、
Dy(acac)3phen and Dy(acac)3
2015 年 9 月 22 日.
of
6.関連特許(Patent) なし。
phen encapsulated in SWCNT.
180
課題番号
:A-15-TU-0029
利用形態
:共 同 研 究
利用課題名(日本語)
:ア ル ミ -鉄 系 新 規 強 誘 電 体 の 構 造 解 析
Program Title (English)
:Structure Analysis of ferroelectric Al-Fe oxide system
利用者名(日本語)
:安井伸太郎 1),伊藤満 1)
Username (English)
:S.Yasui1),M. Itoh1)
所属名(日本語)
:1) 東京工業大学 材料科学創成研究院 フロンティア材料研究所
Affiliation (English)
:1) Tokyo Institute of Technology, Institute of Innovative Research, Laboratory for
Materials and Structures
1.概要(Summary)
いて強誘電性も確認した。
気相成長法による準安定相薄膜の作製は、機能性材
次 に サ ン プ ル を 薄 片 化 し 、 TEM 測 定 を 行 っ た 。
料の新たな探索法として着目されている。特にペロブスカ
HAADF-STEM 像より、面内に 3 種類のドメインが存在す
イト型関連材料においては、マルチフェロイック材料で知
る事が確認出来、これは X 線回折と一致した。またドメイン
られる BiMnO3 を始め、多くの材料が報告されている。
は柱状に成長しており、ドメイン幅は約10nm 程度あった。
我々は固相反応法で作製困難なイプシロン型 AlFeO3 に
さらに、界面に異相の存在を確認した。X 線回折よりは見
つ い て 、 パ ル ス レ ー ザ ー 堆 積 法 (PLD) に よ っ て
られなかったが、この理由は体積分率が非常に小さいた
SrTiO3(111)基板上にエピタキシャル薄膜を作製し、その
めであると考えられる。この結果より、これらのマイクロスト
強誘電性および強磁性の確認に成功した。この構造は強
ラクチャーが非常に細かいことから巨大な内部電場が発
誘電性および強磁性を示すマルチフェロイック材料として
生し、分極反転を阻害すると考えられる。
着目を集めているが、GaFeO3 でのみ安定な構造であり、
原子の組み合わせ、その組成比が変わると準安定相とな
4.その他・特記事項(Others)
る。特に、Fe とそれよりイオン半径の大きな原子との組み
本研究は東北大学金属材料研究所の木口賢紀准教授、
合わせは作製困難であることが知られている。本測定に
白石貴久助教、赤間章裕氏、今野豊彦教授らによりサン
おいて、作製した AlFeO3 薄膜の構造を詳細に調べること
プルの薄片化および TEM 測定を行っていただいた共同
で、強誘電性の起源を明らかにした。
研究である。ここに深く感謝いたします。
2.実験(Experimental)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
【利用した主な装置】
(1) 濵嵜 容丞, 安井 伸太郎, 谷山 智康, 伊藤 満, 清
JEOL/JEM-ARM200F
水 荘雄, 小西 綾子, 森分 博紀, 白石 貴史, 赤間
【実験方法】
章裕, 木口 賢紀,日本セラミックス協会 2016 年年会,
作製した薄膜サンプルをミリングおよび研磨によって薄片
平成 28 年 3 月 16 日.
化し、薄膜の断面 TEM 像を測定した。
(2) 濵嵜 容丞, 安井 伸太郎, 谷山 智康, 清水 荘雄,
小西 綾子, 森分 博紀, 白石 貴久, 赤間 章裕, 木
3.結果と考察(Results and Discussion)
口 賢紀, 伊藤 満,第 63 回応用物理学会春季学術
TEM 測定を行ったサンプルは PLD 法によって作製し
講演会,平成 28 年 3 月 21 日.
た。作製した薄膜は X 線回折の結果より
(001)AlFeO3//(111)SrTiO3 の構造を有する。また、面内
6.関連特許(Patent)
に三回対称のドメイン構造を有する事が確認された。圧
なし
電応答顕微鏡により分極反転マッピングを行った。高電
界以上の電圧を与え、分極反転処理を試みたところ、正
負の分極状態が観測された。また強誘電体テスターにお
181
課題番号
:A-15-TU-0030
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:MEMS・半導体電極部の金属膜-絶縁膜の界面観察
Program Title(English)
:Phase boundary observation of metal film and insulation film at the MEMS・
semiconductor electrode section
利用者名(日本語)
:小森 一哉
Username(English)
:Kazuya Komori
所属名(日本語)
:北陸電気工業株式会社 コアテクノロジー開発技術本部
Affiliation (English)
:Hokuriku Electric Industry Co.,Ltd.
1.概要(Summary )
IC の Al-Cu 電極に於ける Cu の分布を断面観察し、
電極の信頼性及び、ワイヤーボンド強度に対する考察
を行うことを目的とする。
2.実験(Experimental)
手順
① 分析位置の決定
② FIB 加工による断面試料作製
Fig.1
EDS Mapping
③ 電子顕微鏡による観察
使用設備
・サブオングストローム分解能分析電子顕微鏡
(Titan80-300)
・原子分解能分析電子顕微鏡(JEM-ARM200F)
・超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡(SU8000)
・デュアルビーム型収束イオンビーム加工装置
Fig.2 EDS Data
(FEI-Quanta3D)
4.その他・特記事項(Others)
3.結果と考察(Results and Discussion)
本研究課題を遂行するにあたり、解析の実施、及び結果
断面構造解析から得られた EDS 解析結果を図 1 及
に対してるご指導をして頂いた東北大学金属材料研究所の
び、図 2 に示す。得られた解析結果より、Al 中の Cu
今野教授、早坂様、兒玉様に厚く御礼申し上げます。
は、絶縁層との界面付近に多く部分布している様に見
える。今回、ワイヤーボンド強度が異なるサンプルに
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
て比較を行ったが、Cu の分布による明確な差を導く
なし
ことはできなかった。
6.関連特許(Patent)
なし
182
課題番号
:A-15-TU-0031
利用形態
:技術補助
利用課題名(日本語)
:セラミックスの FIB 加工
Program Title (English)
:FIB process of ceramics
利用者名(日本語)
:小西伸哉
Username (English)
1)
:S.Konishi 1)
所属名(日本語)
:1)株式会社村田製作所
Affiliation (English)
:1) Murata, Co. Ltd.
1.概要(Summary)
任意のセラミックスについて TEM 試料のための薄片化
をする練習を行い技術を習得した。
2.実験(Experimental)
FIB 法による TEM 試料を作製する練習を行った。試料
は単結晶 STO を持ち込んだ。ナノテクプラットフォームス
タッフの補助のもと FIB 装置を操作した。
【利用した主な装置】
FEI-Company Versa-3D, Quanta-3D
4.その他・特記事項(Others)
【実験方法】
本研究は微細構造プラットフォームの支援の下で行われ
FIB 装置を操作した。
ました。研究課題を明確にするにあたり、今野研究室、鈴
木様、兒玉様、早坂様の協力により、技術習得ができまし
3.結果と考察(Results and Discussion)
た。ここに御礼申し上げます。
装置は FEI 社のデュアルビーム FIB 装置である Versa3
D と Quanta3D を用いた。Versa では Pt を電子ビーム
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
デポジションが可能であり、試料最表面の保護に有効で
なし
ある。また Quanta3D では W のデポジションが可能であ
る。通常の C デポジションと合わせ、完成後の TEM 観察
6.関連特許(Patent)
時に EDS 測定をする場合にいずれを選択・組み合わせ
なし
るかによって実験結果を左右する場合があり、試料の構
成から検討して決定する。Pt の電子ビームデポジション
の様子を図1に示す。
試料上面から収束した Ga イオンビームを照射し掘り
進めて試料断面を出し、ピックアップして試料グリッ
ドに固定する。イオンビームの加速電圧を下げて
TEM 試料に要求される薄さ:70nm 程度まで薄片化
する。薄片化後の試料の様子を図 2 に示す。
今回は練習のため単結晶 STO を用いた。
FIB 法は様々
な材質および複合構成の試料にも応用可能であり、今
後の研究に幅広く応用が期待できる。
183
課題番号
:A-15-TU-0032
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:超伝導体の微細構造解析
Program Title (English)
:Microstructural observation of superconducting materials
利用者名(日本語)
:波多聰 1)
Username (English)
:S. Hata1)
所属名(日本語)
:1) 九州大学大学院総合理工学研究院
Affiliation (English)
:1) Department of Engineering Sciences for Electronics and Materials, Kyushu
University.
に、すべての結晶粒界には 5 nm 厚の Ba-O アモルファス
1.概要(Summary)
我々は、MgB2、および Fe-As 系超伝導体の材料応用
層が形成していた。これは、初期粉末によって粒間の状態
を目指した研究を推進している。実用化には十分に高い
が異なることを示しており、同時に反応過程の違いがある
臨界電流密度 Jc が必要であり、組織制御が不可欠であ
ことを示唆している。粒界におけるアモルファス層の臨界
るが、微細組織と超伝導特性の関係は明確ではない。本
電流特性に及ぼす影響については今後検討する必要が
研究では、線材、薄膜およびバルク形状の上記超伝導体
あるが、本結果によって、Ba-122 の結晶粒径や粒界など
の微細組織を解析し、高い Jc を得るための微細組織の
の組織は初期粉末と熱処理条件によって制御できることを
条件と組織制御法を検討する。得られた知見を材料作製
示唆するものだと考えられる。
プロセスにフィードバックし、実用レベルの高性能超伝導
(a)SEM-BSE
(b)HREM
材料を開発することが目標である。そのために、電子顕微
鏡により多結晶組織の情報(サイズ、結晶方位、形態、粒
界)、不純物の分布、ポアやクラックの分布などを定量的・
2 nm
EELS spectrum
OK
系統的に調べたい。
FeK
1 μm
2.実験(Experimental)
500
600
700
BaL
800
Energy / eV
【利用した主な装置】
図1
Sample-B の SEM-BSE 像(a)各結晶粒界が
FIB 加工観察装置 (FEI-Versa3D)
暗くなっている。粒界の高分解能 TEM 像および
原子分解能分析電顕(ARM-200F)
EELS スペクトル(b)から、これが Ba-O アモルフ
【実験方法】
ァス層の存在によるものということがわかる。
本研究で用いた 3 つの Ba-122 多結晶体の作製方法
4.その他・特記事項(Others)
を示す。1 つ目のバルク(以下、Sample-A)は、Ba、
なし
FeAs、CoAs の混合粉末を 900℃-48 時間の熱処理を施
すことで作製した。残り 1 つは、初期粉末を Ba、Fe、As、
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Co の混合粉末とし、600℃-48 時間の熱処理を施したも
(1) Y. Shimada, S. Hata, K. Ikeda, H. Nakashima, S.
の(以下、Sample-B)を作製した。組織観察は、透過電
Matsumura, H. Tanaka, A. Yamamoto, J.
子顕微鏡(TEM)を用いて行った。
Shimoyama, and K. Kishio , Journal of Alloys
and Compounds 656 (2016) pp. 172-180
3.結果と考察(Results and Discussion)
組織観察の結果、Sample-A において、Ba-122 結晶
6.関連特許(Patent)
の結晶粒径はおよそ 2 μm であり、結晶粒界でも第 2 相
などの存在もないことがわかった。一方で Sample-Bでは、
結晶粒径は 300 nm 程度であった。また、図 1 に示すよう
184
なし
課題番号
:A-15-TU-0033
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:水を利用する固体潤滑剤の開発
ProgramTitle(English)
:Development of solid lubricant for water lubrication system
利用者名(日本語)
:早瀬友洋、竹野貴法
Username(English)
:T. Hayase, T. Takeno
所属名(日本語)
:東北大学大学院工学研究科
Affiliation (English)
:Graduate School of Engineering, Tohoku University, Japan
近傍の断面 TEM・EDS 分析結果である。接触面にはコ
1.概要(Summary)
水は低粘性流体であるが故、低い摩擦を発現する可能
ーティング由来の C 及び Si からなる 20 nm 程度の薄い
性を秘めている。その一方で、摩擦面に高負荷がかけら
層が形成されていることが明らかになった。また、このよう
れた時、やきつきを起こす可能性がある。よって、高負荷
な薄い層と基材との間には、約 10 nm 程度の酸化層の存
状態においても低摩擦を発現し続ける事ができる接触面
在が明らかになった。
が求められている。本研究では、過去の知見に基づき、
水に対して優れた摩擦特性を示すシリコンカーバイド
(SiC)を、固体潤滑剤として使われるダイヤモンドライクカ
C, Si
ーボン(DLC)に混入した SiC-DLC 複合膜を作製し、そ
の摩擦特性について研究を進めている。
O, Si
本年度は、非常に高負荷状態において非常に低い摩
擦を発現した SiC-DLC 膜の低摩擦メカニズムを解明する
ために、摩擦を発現する界面を形成する表面近傍の断面
Si, C
(SiC ball)
透過型電子顕微鏡観察を実施した。その結果、コーティ
ング由来の元素を主成分とする約 20 nm 程度の非常に
40 nm
薄い層が、摩擦におけるコーティングの相手剤に形成さ
Fig. EDS map of modified surface layer formed on
れていることが明らかになった。
the SiC ball due to friction
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
4.その他・特記事項(Others)
FEI Titan, FEI Quanta 3D, FEI Versa 3D
なし。
【実験方法】
ディスク試験片に対してコーティングを施した。球をディ
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
スクに押し付けて、ディスクを回転させることで球に発生す
(1) 早瀬友洋,竹野貴法,足立幸志, “水中における
る摩擦力を測定し、荷重で除することで摩擦係数を算出
SiC-DLC 複合膜の摩擦特性”,トライボロジー会議20
した。非常に低い摩擦を得た際の試験片対について、球
15春 姫路,2015 年 5 月 28 日
側の試験片表面を FIB によって断面観察のために切り出
しマイクロサンプリングした。その後、TEM にて観察及び
6.関連特許(Patent)
EDS 分析を実施した。
なし。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig.は SiC 球を相手材として摩擦試験を実施した際に、
水潤滑環境下で非常に低い摩擦係数を得た際の球表面
185
課題番号
:A-15-TU-0034
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:整形外科用インプラントへの応用を目指した生体用 Co−Cr 合金のナノ組織制御と高機能化
Program Title (English)
:Development of nanostructured Co−Cr alloys for orthopedic applications
利用者名(日本語)
:山中謙太 1), 森真奈美 2),千葉晶彦 1)
Username (English)
:Kenta Yamanaka1), Manami Mori2), Akihiko Chiba1)
所属名(日本語)
:1) 東北大学金属材料研究所, 2) 仙台高等専門学校
Affiliation (English)
:1) Tohoku University, 2) National Institute of Technology, Sendai College
1.概要(Summary)
察を行ったところ、ひずみ誘起マルテンサイト変態に
生体用 Co−Cr 合金は耐食性・耐摩耗性に優れるため
より形成したε相(hcp 構造)の内部には積層欠陥の
人工関節に使用されてきたが、近年では歯科材料や高弾
形成が観察された。同様に、熱間圧延加工により作製
性特性を生かしたステント等、応用例は多岐にわたってい
した CCM 合金では fcc 構造のγ相内に高密度な積層
る。中でも脊椎側彎症等の治療にはチタン合金とともに
欠陥の形成が観察された。さらに、X 線回折ラインプ
Co−Cr 合金製の棒材(ロッド)が用いられているが、既存
ロファイル解析により積層欠陥密度を見積もったと
材料は強度が低いためロッドの細径化が困難であり、患
ころ、熱間加工による強度変化と良い相関が見られた。
者の負担が大きい。また、耐用年数の点からも Co−Cr 合
したがって、本研究により生体用 Co−Cr 合金の強化メ
金の高強度化・疲労特性の改善は必須である。さらに高
カニズムとして従来報告されていなかった積層欠陥が重
強度を前提とした骨固定用 Co−Cr 合金製スクリュー等も
要な役割を果たしていることが明らかになった。
提案・実用化されているが、本合金における高強度化技
術に関して十分な基礎研究がなされていない。
4.その他・特記事項(Others)
そこで、本研究では生体用 Co−Cr 合金の高強度化の
本研究は厚労省革新的医療機器等開発事業「いわて
ための指導原理を確立することを目的とする。具体的に
発高付加価値コバルト合金を用いた整形外科用イン
は、熱間・冷間加工による 整形外科用の Co−Cr−Mo
プラントの開発」および若手研究(B)の支援を受けて行
(CCM)合金の高強度化に取り組み、加工組織の形成に
われました。また、サンプル作製については吉田和男
ついて透過電子顕微鏡観察を行った。
氏、FIB 利用、TEM 観察においては兒玉裕美子氏、
鈴木久美子氏、早坂祐一郎氏に多大なご支援をいただ
2.実験(Experimental)
きました。
【利用した主な装置】
FIB 加工観察装置、原子分解能分析電顕
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) M. Mori, K. Yamanaka, S. Sato, S. Tsubaki, K.
【実験方法】
Satoh, M. Kumagai, M. Imafuku, T. Shobu, A.
冷間スウェージ加工および熱間圧延加工により
CCM 合金のロッド材および板材を作製した。室温引
Chiba, Acta Biomater., 28 (2015) 215−224.
張特性を調査するとともに、SEM 観察および FIB
(2) K. Yamanaka, M. Mori, K. Yoshida, K. Kuramoto,
(FEI-Quanta3D)により作製したサンプルを用いて
A. Chiba, J. Mech. Behav. Biomed. Mater., 60
TOPCON EM-002B および FEI TITAN S/TEM によ
(2016) 38–47.
り TEM 観察を行った。
(3) K. Yamanaka, M. Mori, K. Yamazaki, R.
Kumagai, M. Doita, A. Chiba, Spine, (Phila Pa
3.結果と考察(Results and Discussion)
1976), 40 (2015) E767−E773.
冷間スウェージ加工により作製した CCM 合金は加
(4) K. Yamanaka, M. Mori, K. Yoshida, K. Kuramoto,
工率 42.6%において 0.2%耐力が 1900 MPa と極めて
A. Chiba, K. Yamazaki, MS&T 2015, Columbus,
高い強度を示した。この冷間スウェージ材の TEM 観
Ohio, USA, October 4−8, 2015.
186
課題番号
:A-15-TU-0035
利用形態
:機器利用
利用課題名(日本語)
:単一量子ドットトランジスタの作製とテラヘルツ素子応用
Program Title (English)
:Fabrication of single quantum dot transistors and their application to terahertz
devices
利用者名(日本語)
:柴田憲治
Username (English)
:K. Shibata
所属名(日本語)
:東北工業大学
Affiliation (English)
:Tohoku Institute of Technology
SEM 観察の結果、図 1 のようにナノギャップ金属電極が
1.概要(Summary)
単一の量子ドットを用いた量子情報処理デバイスは、1
単一の量子ドットで架橋されている素子を多数見出した。
つの電子やスピン、光子に情報機能を持たせるため、超
測定の結果、これらの素子が単一電子トランジスタとして
低消費電力エレクトロニクスの有望な技術と言われている。
機能することが分かった。今後、その特性を生かして、1つ
特に自己組織化 InAs 量子ドットでは、系の電子準位間
の電子やスピン、光子に情報機能を持たせた高機能素子
隔がテラヘルツ(THz)帯の光子のエネルギーに相当する
やテラヘルツ素子を実現する予定である。
ことから、THz 光を用いた単一電子・スピンの動的制御に
よる機能性素子の実現が期待される。本研究では、単一
InAs 量子ドットを活性層とするトランジスタを THz 光と相
互作用させることで、単一の電子・スピン状態の動的制御
に基づく情報機能を実現する研究を推進した。機器利用
としては、高分解能走査電子顕微鏡(SEM、SU8000)装
置を用いて、10nm 級 InAs 量子ドット/金属電極接合部
を観察し、活性層の形成を確認する作業を行った。
2.実験(Experimental)
Fig. 1. An SEM image of the fabricated metal/InAs
【利用した主な装置】
quantum dot/metal nanojunction.
SEM(SU8000)
【実験方法】
4.その他・特記事項(Others)
本研究でトランジスタ素子の活性層として用いた InAs
本 研 究 の 一 部 は 、 科 研 費 ( 課 題 番 号 26706002 、
量子ドットは、自己組織化手法により形成される 10nm 程
25600013)の補助により行われた。
度の極めて小さなナノ構造であり、形成位置の制御が困
難なため、単一の InAs 量子ドットを用いたトランジスタ素
5.学会発表(Presentation)
子作製の歩留まりは非常に低い。本研究では、単一の量
(1) K. Shibata, K. Yoshida, and K. Hirakawa, International
子ドットに電気的にコンタクトを取るために、電子線リソグ
Symposium on Advanced Nanodevices and Nano-
ラフィーにより 20 nm 程度の微小ギャップを有する金属電
technology (ISANN2015), December 1, 2015, Waikoloa,
極 ( ナ ノ ギ ャ ッ プ 金 属 電 極 ) を 作 製 し た 上 で 、 SEM
Hawaii, USA
(SU8000)を用いてナノギャップ金属電極が単一の量子
(2) 早坂久輝、柴田憲治、 平成 28 年東北地区若手研究
ドットで架橋されているかどうかを確認する作業を行った。
者研究発表会・日本大学工学部 2016 年 3 月 1 日
(その他 7 件)
3.結果と考察(Results and Discussion)
6.関連特許(Patent)
図1に量子ドットトランジスタ素子の SEM 写真を示す。
なし。
187
課題番号
:A-15-TU-0037
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:Ti 合金/表面酸化物界面の相同定と生成機構
Program Title (English)
:Interfacial microstructure observation of Ti-alloy/oxide interface
利用者名(日本語)
:三浦永理
Username (English)
:Eri Miura-Fujiwara
所属名(日本語)
:兵庫県立大学大学院工学研究科
Affiliation (English)
:Graduate School of Engineering, University of Hyogo
1.概要(Summary)
CP Ti および Ti-Nb-Ta-Zr 合金は,酸素雰囲気中熱
処理を施すことで白色かつ強固な高温酸化膜が得られる.
CP Ti 表 面 酸 化 物 は , TiO2 の 層 状 構 造 を 形 成 し ,
Ti-Nb-Ta-Zr 合金では微細粒で構成される緻密な複相
酸化膜を形成する.Ti-Nb-Ta-Zr 合金では,金属基板と
酸化膜にマクロな組織連続性を持つが,CP Ti の場合は
連 続 性 が見 られ ない . そこで ,走 査 透 過 電 子顕 微鏡
(STEM)を用いて,合金/酸化膜界面の組織観察を行い,
基板と生成酸化物の界面組織観察を行う.
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
FIB 加工観察装置
原子分解能分析電顕 JEM-ARM200F
【実験方法】
酸 化 被 膜 を生 成
させる試料は,φ10
mm の CP Ti
(grade 2) な ら び に
Ti-29Nb-13Ta-4.6
Zr 合 金 ( 以 下 ,
TNTZ 合 金 ) ,
Ti-36Nb-2Ta-3Zr0.3O ( 以 下 ,
Gummetal® ) の 熱
間溝ロール棒材とし
た.CP Ti は真空中
Fig. 1 CP Ti/TiO2 界 面 の
で保持温度 1173 K
HAADF 像(下側が酸化膜)
で
0.3
ks ,
Ti-Nb-Ta-Zr 合 金
は真空中で 1073 K
で 3.6 ks の均質化
処理を施した後,厚
さ約 1 mm の板状に
切り出した.その後,
機械研磨を施し,試
験片をアセトン中で
超音波洗浄した. 断
面試料の界面付近
を収束イオンビーム
Fig. 2 TNTZ/Oxide 界面の
加工装置(FIB)にて
明視野像(下側が酸化膜).
マイクロサンプリング
を行い,走査透過電子顕微鏡(STEM)ならびに走査透過
電子顕微鏡(STEM-EDS)にて組織観察並びに元素マッ
ピングを行った.
3.結果と考察(Results and Discussion)
CP Ti の酸化膜界面の HAADF 像を Fig. 1 に示す.
CP Ti 基板と酸化膜の界面には明瞭なコントラスト差が見
られ,酸化膜層と基板は組成的な連続性に乏しいことが
示唆された.また酸化膜の界面近傍では数 nm 微細な結
晶が生成し,表面方向に数十 nm まで急速に粒成長した
様子が観察された.界面近傍の空隙層より表面側(図の
下側)の粒径は数百 nm ~ 数m 程度であった.
Fig. 2 に TNTZ とその酸化膜界面の明視野像を示
す.TNTZ/酸化膜界面では,金属基板内に数 nm の酸化
物を形成する 1 〜 2 μm 厚さの遷移層が形成された.
すなわち合金中の Ti と Nb が選択的に酸化される内部酸
化的挙動を示唆した.さらに下の基板側には酸素濃度勾
配が存在し,その結果,界面付近では金属基板から酸化
膜に向けて硬度が徐々に上昇する. 酸化膜自体の耐剥
離性の高さに加えて,酸素濃度傾斜が界面強度を著しく
上昇させた理由のひとつである事を示唆する.
4.謝辞(Acknowledgements)
本研究の一部は,ひょうご科学技術協会研究助成並びに
兵庫県立大学特別助成金の補助を受けて遂行された.
5.論文・学会発表(Publication /Presentation)
(1) 三浦永理:生体用 Ti 合金の傾斜機能材料化(事例
8),特集:高機能化を実現する傾斜機能材料の最新
開発動向,工業材料,63(9), pp. 55-59, (2015).
(2) Eri Miura-Fujiwara, Yoshimi Watanabe,
Toshihiro Kasuga, Mitsuo Niinomi: Hard
White Oxide Coating on Ti-alloys for Dental
Application, Ti-2015: The 13th World
Conference on Titanium, Manchester Grand
Hyatt, San Diego, CA USA, 8/17/2015.
(3) Eri Miura-Fujiwara, Yoshimi Watanabe,
Toshihiro Kasuga, Mitsuo Niinomi: White
robust oxide coating formed on Ti and
Ti-Nb-Ta-Zr alloys for dental application,
PFAM XXIV,12/18-12/20/2015.
6.関連特許(Patent)
(1)特許出願済
188
課題番号
:A-15-TU-0038
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:透過電子顕微鏡による Pt/MgxZn1-xO/ZnO ショットキーフォトダイオードの断面構造解析
ProgramTitle(English)
:Analysis of cross-sectional structure in a Pt/ MgxZn1-xO/ZnO Schottky photodiode
by transmission electron microscopy
利用者名(日本語)
:遠藤 治之
Username(English)
:H. Endo
所属名(日本語)
:岩手県工業技術センター
Affiliation (English)
:Iwate Industrial Research Institute
薄膜は ZnO 基板へエピタキシャル成長し、界面での再結合
1.概要(Summary )
火 炎 検 出 用 紫 外 線 セ ン サ を 目 指 し 、
による内部量子効率低下の可能性は低いことが示唆され
Pt/MgxZn1-xO/ZnO ショットキーフォトダイオード(SBDs)
た。
の開発を進めている。しかし、作製した SBDs の受光感度
が低く、MgxZn1-xO 薄膜の内部や界面での電子正孔対
4.その他・特記事項(Others)
の再結合等、原因究明が急務となっている。そこで本研
なし
究ではこれらの調査を行うため、透過電子顕微鏡(TEM)
断面 TEM
観察個所
により MgxZn1-xO 薄膜と ZnO 基板との界面における原子
像観察を行ったので報告する。
2.実験(Experimental)
Pt/MgxZn1-xO/ZnO-SBDs の 作 製 は 、 m 軸 方 向 に
0.5°オフ角を有する c-ZnO 基板を使用して行った。
MBE 装置へ ZnO 基板を導入後、基板温度 400℃にお
いて酸素プラズマソースから酸素プラズマを発生させ
Fig. 1 試作した素子の FIB 二次イオン像
Mg-K セル温度 360℃、Zn-K セル温度 310℃において 5
分間 MgxZn1-xO 低温バッファ層を成膜した。次に、基板
温度を 750℃まで昇温させた後、同一条件で 90 分間
MgxZn1-xO 薄膜を膜厚 0.3 m 成膜した。その後、フォト
リソグラフィにより Pt ショットキー電極、SiO2 反射防止膜、
MgxZn1-xO
[0001]
AZO、Ti 及び Au からなるオーミック電極をスパッタ法によ
り成膜して素子を作製した。
[-1100]
TEM 用 試 料 の 加 工 は 収 束 イ オ ン 顕 微 鏡
[11-20]
ZnO基板
( FEI-Versa3D ) 、 断 面 TEM 観 察 は 、 TEM
(JEM-ARM200F)により行った。
Fig. 2 MgxZn1-xO 薄膜/ ZnO 基板界面の断面 TEM 像
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig.1 に試作した素子の FIB による二次イオン像を示す。
素子中央部の紫外線受光部サイズは□500 m である。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
断面 TEM 観察試料は受光部中央を加工して作製した。
(1) H. Endo, K. Takahashi, Y. Kashiwaba,第 63 回応用
Fig. 2 に MgxZn1-xO 薄膜と ZnO 基板界面の断面 TEM
物理学会春季学術講演会, 平成 28 年 3 月 21 日
像を示す。ZnO 基板上に MgxZn1-xO 薄膜の低温バッフ
ァ層が形成された後、MgxZn1-xO 薄膜が格子の乱れなく
6.関連特許(Patent)
形成されていることが分かった。このことから、MgxZn1-xO
なし
189
課題番号
:A-15-TU-0039
利用形態
:共 同 研 究
利用課題名(日本語)
:ア ル ミ -ガ リ ウ ム 系 新 規 強 誘 電 体 の 構 造 解 析
Program Title (English)
:Structure Analysis of ferroelectric Al-Ga oxide system
利用者名(日本語)
:安井伸太郎 1),伊藤満 1)
Username (English)
:S.Yasui1),M. Itoh1)
所属名(日本語)
:1) 東京工業大学 材料科学創成研究院 フロンティア材料研究所
Affiliation (English)
:1) Tokyo Institute of Technology, Institute of Innovative Research, Laboratory for
Materials and Structures
-Fe2O3 とは異なる界面構造を有するのは当然でアルトも
1.概要(Summary)
強誘電体は、70 年に渡るペロブスカイトの歴史を脱却
言える。界面相の存在がなければ強誘電性は期待できる
すべき時期に有り、新規材料開発が活発化してきた。
が、残念ながらリーク電流が原因で測定は難く観測されな
我々は従来用いられてきた八面体構造ではなく、四面体
かった。今後は Ga/Fe 組成に関しても検討を行い、構造
構造に着目し、八面体との混合構造であるイプシロン型
の安定性について検討していきたい。
鉄酸化物関連材料の研究を行ってきた。中でも Ga-Fe-O
材料は非常に大きな自発分極値を持つことが実験上わか
4.その他・特記事項(Others)
り始めている。本測定において、作製した薄膜の構造を
本研究は東北大学金属材料研究所の木口賢紀准教授、
詳細に調べることで、強誘電性の起源を明らかにしたい。
白石貴久助教、赤間章裕氏、今野豊彦教授らによりサン
プルの薄片化および TEM 測定を行っていただいた共同
2.実験(Experimental)
研究である。ここに深く感謝いたします。
【利用した主な装置】
JEOL/JEM-ARM200F
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
【実験方法】
(1) 濵嵜 容丞, 安井 伸太郎, 谷山 智康, 伊藤 満, 清
作製した薄膜サンプルをミリングおよび研磨によって薄片
水 荘雄, 小西 綾子, 森分 博紀, 白石 貴史, 赤間
化し、薄膜の断面 TEM 像を測定した。
章裕, 木口 賢紀,日本セラミックス協会 2016 年年会,
平成 28 年 3 月 16 日.
3.結果と考察(Results and Discussion)
(2) 濵嵜 容丞, 安井 伸太郎, 谷山 智康, 清水 荘雄,
TEM 測定を行ったサンプルは PLD 法によって作製し
小西 綾子, 森分 博紀, 白石 貴久, 赤間 章裕, 木
た。作製した薄膜は X 線回折の結果より
口 賢紀, 伊藤 満,第 63 回応用物理学会春季学術
(001)GaFeO3//(111)SrTiO3 の構造を有する。また、面内
講演会,平成 28 年 3 月 21 日.
に三回対称のドメイン構造を有する事が確認された。これ
は AlFeO3 や-Fe2O3 で見られた構造と同様の構造で有
6.関連特許(Patent)
った。
なし
次 に サ ン プ ル を 薄 片 化 し 、 TEM 測 定 を 行 っ た 。
HAADF-STEM 像より、面内に 3 種類のドメインが存在
する事が確認出来、これは X 線回折と一致した。またドメ
インは柱状に成長しており、ドメイン幅は約10nm 程度あ
った 。 この 構 造 は X 線で 見 られる よ うに AlFeO3 や
-Fe2O3 で見られた構造と同様の構造で有った。また、
AlFeO3 で見られた界面の異相は観察されなかった。な
ぜ な ら GaFeO3 は 安 定 相 で 有 り 、 他 の AlFeO3 や
190
課題番号
:A-15-TU-0040
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:C 媒介による Si(100)基板上の自己組織化 Ge 量子ドットの結晶構造解析
Program Title (English)
:Analysis of crystal structure in self-assemble formation Ge quantum dots on
Si(100) using C mediation
利用者名(日本語)
:伊藤 友樹 1),川島 知之 1)
Username (English)
:Y. Itoh1), T. Kawashima1)
所属名(日本語)
:1) 東北大学大学院工学研究科
Affiliation (English)
:1) Tohoku University, Graduate School of Engineering.
1.概要(Summary)
ていることが明らかになった。また、高倍率像では、Ge
我々は、サブ原子層カーボン(C)の媒介による Ge 量
QD が Si 原子に整合して結晶化しており、Ge 原子が Si
子ドット(QD)の自己組織的形成に関して、2 種類の形
上にエピタキシャル成長していることが確認でき、転位も
成法を検討してきた。一つは、C-Si 結合形成により
確認できないことから、結晶性の良好な QD が形成されて
c(4×4)表面再構成を利用して Ge QD を形成する手法
いることがわかった。一方、SPE 法では、QD が濡れ層を
である(SR 法)。もう一つは、低温で堆積した Ge/C/Si
有する Stranski-Krastanov 成長しており、また界面付近
構造を熱処理し、Ge 層の固相成長と同時に Ge/Si 界
での Ge 原子の格子像も確認されず、Ge QD が多結晶状
面での C-Si 結合形成と Ge 中への C の拡散による
態で形成されていることがわかった。
C-Ge 結合形成を利用して Ge QD を形成する手法であ
(a) SR method
(b) SPE method
る(SPE 法)。本研究では、2 つの手法により作製した QD
の成長界面の転位・欠陥や Ge ドット中への C の取り込み
を評価し、Ge 量子ドットの成長様式や Ge 量子ドット形成
における C の効果について明らかにした。
Fig. 1. Low-magnification cross sectional TEM
images for (a) SR method and (b) SPE method.
2.実験(Experimental)
(a) SR method
【利用した主な装置】
(b) SPE method
高分解能透過電顕微鏡
【実験方法】
試料は MBE 装置によって作製した。SR 法では、基板
温度 200°C で C を 0.25 ML 堆積後、750°C に昇温し、
10 分間炉内で熱処理して C-Si 結合を形成し、Si 表面を
再構成した。その後、基板温度 550°C で Ge を 3 nm 堆
Fig. 2. High-magnification cross sectional TEM
積した。SPE 法では、C=0.75 ML、Ge=1 nm を Si 基
images for (a) SR method and (b) SPE method.
板上に 200°C で連続的に堆積し、その後 650ºC で 5 分
間炉内アニールした。2 つのサンプルについて高分解能
4.その他・特記事項(Others)
透過電顕微鏡により、断面観察した。
なし。
3.結果と考察(Results and Discussion)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
SR と SPE 法で作製した Ge QD の断面透過電子顕微
なし。
鏡像の低倍率像と高倍率像を図1と図2に示す。SR 法で
は、Ge QD が孤立していることが確認でき、C 媒介により
6.関連特許(Patent)
濡れ層を有さない Volmer-Weber 成長で、QD を形成し
なし。
191
課題番号
:A-15-TU-0041
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:Ni 基超合金の微細組織観察
ProgramTitle(English)
:Microstructural observation of Ni-based superalloy
利用者名(日本語)
:大森俊洋,栃木彰仁
Username(English)
:Toshihiro Omori,Akihito Tochigi
所属名(日本語)
:東北大学大学院工学研究科
Affiliation (English)
:Graduate School of Engineering,TohokuUniversity
格子ミスマッチを増加させる元素である Ir, W, Cr が 相に
1.概要(Summary )
Ni 基超合金は高温用部材として幅広く用いられている
多く分配することにより、γ相の格子定数を増大させると考え
耐熱合金である。本合金は母相である A1 構造の 相中
られる。その結果、本合金のγ/γ’整合組織は、γ相がγ’
に L12 型金属間化合物である ’相(Ni3Al)を微細に整合
相の格子定数より大きい負の格子ミスマッチを持つと考えら
析出させることにより強化を図っている。 ’相は高融点元
れる。負の格子ミスマッチを持つことで、<100>方向に平行
素である Ir を用いた Ir 基合金においても存在し、近年、
な四角形状の緻密な転位網が形成され、 '相の粗大化を防
Ir-Al-W 3 元 系 に お い て 高 い 安 定 性 を 有 す る ’ 相
ぐ効果やクリープ速度の低下、試料の長寿命化を与えること
Ir3(Al,W)の存在が報告された[1]。さらに、Ni-Ir-Al-W 系
が知られており
においては比較的広い組成領域において ’相が存在す
は優れた高温強度を示すことが期待される。
、Cr 添加を施した Ni-Ir-Al-W-Cr 5 元系
ることも知られている[2]。Ni 基超合金の高温特性を向上さ
せるためには、 / ’組織形態の制御が必要であり、各元
4.その他・特記事項(Others)
素の分配挙動が重要となる。そこで、耐酸化性を向上さ
[1] J. Sato, T. Omori, K. Oikawa, I. Ohnuma,
せる Cr の添加も含めた Ni-Ir-Al-W-Cr 系の / ’組織と
R. Kainuma, K. Ishida. Science 312 (2006) 90-91.
各元素の分配挙動を調査した。
[2] T. Omori, K. Makino, I. Ohnuma, R. Kainuma,
K. Ishida. MRS Fall Meeting 2010.
[3] J. X. Zhang, T. Murakumo, Y. Koizumi, T.
2.実験(Experimental)
Ni-10Ir-12.5Al-7W-15Cr 合金をアーク溶解及び高周
Kobayashi, H. Harada, S. Masaki Jr. Metallurgical
and Materials Transaction A, 33, 12, (2002), 741-3746.
波誘導溶解により作製し、透明石英間に真空封入をして
1300~1400℃ 6 時間の溶体加熱処理及び 900℃ 24
時間の時効熱処理を施した。熱処理後は水冷を行った。
謝辞:本研究にご協力いただきました長迫実氏に深く感謝
薄板切り出し後、機械研磨、イオンミリング処理を施し、
申し上げます。
STEM、STEM-EDX (JEM-ARM200F)により + ’ 2
相組織観察と組成分析を行った。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 栃木彰仁,長迫実, 大森俊洋, 貝沼亮介
3.結果と考察(Results and Discussion)
日本金属学会第 157 回秋期大会, 平成 27 年 9 月
STEM を用いて Ni-10Ir-12.5Al-7W-15Cr 5 元系の組
織観察と組成分析を行った。これらの結果から、
6.関連特許(Patent)
Ni-Ir-Al-W-Cr 5 元系では 相に Ir, W, Cr が多く分配し、
なし
’相には Ni, Al が多く分配する傾向を示すことが判明し
た。特に Cr は強くγ相に分配することが判明し、これが
W などの分配挙動に影響を及ぼしているものと考えられ
る。
192
課題番号
:A-15-TU-0042
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:B-11 同位体を用いた MgB2 超伝導線材の微細構造
Program Title (English)
:Microstructure of MgB2 superconducting wire using B-11
利用者名(日本語)
:菱沼良光 1)
Username (English)
:Y. Hishinuma1)
所属名(日本語)
:1) 自然科学研究機構 核融合科学研究所
Affiliation (English)
:1) National Institute for Fusion Science.
末使用線材では、500℃熱処理だと 850 A・mm2 と低いが、
1.概要(Summary)
MgB2 線材は、核融合等の高エネルギ-分野だけでな
550℃熱処理により今回作製した線材中で最も高い 2100
く、将来の高分解能 MRI や放射化科学分野等への発展
A・mm2 を示した。
が期待できる材料である。このような MgB2 超伝導線材の
図 1 (a)に示す STEM 明視野像および電子回折図形
作製プロセスにおいて梯子型結晶構造を支えるホウ素原
から、Natural B 粉末使用-500℃-200h 熱処理線材に残
料に注目し、世界で初めて 11B(B-11)ホウ素同位体粉末
留した未反応 B 粒は粒径 100-300 nm の非晶質である。
を原料とした MgB2 線材を作製することに成功した。B-11
一方、図 1 (b)に示す B-11 粉末使用-500℃-200h 熱処理
同位体は、中性子照射による核変換がなく非常に安定で
線材では、未反応 B 粒は粒径数 m の結晶質である。つ
あることから、放射線照射環境での原料に適していると考
まり、今回使用した 2 種類の B 粉末は同程度の平均粒度
えている。しかしながら、B-11 同位体を用いた MgB2 線材
ではあるが、B-11 のみの粉末には多数の粗大な結晶質 B
の臨界電流密度(Jc)は、市販のボロン粉末を用いた線材
が含まれており、これが 500℃で十分反応せず、より高温
よりも低い特性となった。本研究では、ホウ素原料の違い
の 550℃熱処理で MgB2 を生成したものと考えられる。
による Jc 特性変化について微細構造の観点から検証し、
B-11 同位体原料の最適化を試みる。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
FIB 加工観察装置 (FEI-Versa3D)
原子分解能分析電顕(ARM-200F)
Fig. 1. STEM-BF images of non-reacted B in
MgB2 wires using Natural B (a) or B-11 (b)
powders.
【実験方法】
モル比 Mg : Mg2Cu : B = 0.94 : 0.03 : 1.97 で各原料
粉末を混合し、Ta 被覆管に粉末を装填した後、線引き加
4.その他・特記事項(Others)
工および熱処理を施して MgB2 線材を作製した。このとき
なし
の熱処理の温度を 500℃、550℃の 2 種類、時間を 200 h
の 1 種類とした。B 粉末はいずれも平均粒度を約 0.88
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
m とし、B 同位体の存在比が天然と同様の B-10 : B-11
(1) Y. Hishinuma et al. EUCAS2015, 平成 27 年 9 月
= 2 : 8 である Natural B 粉末、および B-11 のみの B-11
7 日.
粉末の 2 種類を用いた。微細組織観察は FIB により作製
した試料について透過電子顕微鏡(TEM)により行った。
6.関連特許(Patent)
なし
3.結果と考察(Results and Discussion)
Natural B 粉末使用線材では、500℃の熱処理にお
いて Jc の最大値 1800 A・mm2 を示した。一方、B-11 粉
193
課題番号
:A-15-TU-0043
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:非整合性結晶のエピタキシャル成膜における結晶構造解析
Program Title (English)
:Crystallographic analysis of epitaxially grown thin films deposited on non-lattice
matched substrates
利用者名(日本語)
: 内山 潔 1)
Username (English)
: K. Uchiyama1)
所属名(日本語)
:1) 国立高等専門学校機構 鶴岡工業高等専門学校
Affiliation (English)
:1) National Institute of Technology, Tsuruoka College
1.概要(Summary)
これまで我々は燃料電池に応用するべくプロトン伝導
(a)
性ぺロブスカイト薄膜の高品位成膜に取り組んできた。そ
(b)
の中で 111 配向した Pt 基板上に堆積した Y ドープした
BaCeO3 (BCYO)や SrZrO3 (SZYO)が高度に 110 配向
していることを X 線回折(X-ray Diffraction, XRD)から
明らかにした。
これまでの考えでは(111)Pt(立方晶)上に(110)ぺロ
ブスカイト(擬立方晶)が成膜することは考えにくく、そのた
め両者間で結晶学的にどのような結晶方位関係が存在
Fig.1 (a) Plan-view observation and (b) electron
するかを明らかにするべく、(111)SrTiO3 (STO)基板上
diffraction
にエピタキシャル(エピ)成膜した(111)Pt を用いて SZYO
(111)Pt/STO substrate.
pattern
of
SZYO
epi-grown
on
や BCYO をエ ピ成 膜 し、そ れ を透 過 型 電 子 顕 微 鏡
(Transmission Electron microscopy, TEM)観察する
本観察の結果、Pt/STO 基板上にエピ成膜した SZYO 薄
ことで XRD だけではわからない結晶学的な知見を得るこ
膜は 10-60 nm 程度の結晶粒の集合体で 111 軸に関し
とを目的とした。
て面内で 10°程度回転した強配向を持つことがわかった。
また、BCYO についても同様の結果が得られており、現在
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
詳細について検討中である。
透過型電子顕微鏡(TEM)
【実験方法】
4.その他・特記事項(Others)
基板と面方位の関係を調べるべく(111)Pt/STO 単結晶
共同研究者
基板上に SZYO 及び BCYO 薄膜をエピ成膜し、それを
今野豊彦(東北大学金属材料研究所)
TEM を用いて結晶学的解析をおこなった。主な測定項
木口賢紀 (東北大学金属材料研究所)
目は HAADF-STEM (High-Angle Annular Dark
舟窪浩(東京工業大学物質理工学院材料系)
Field–Scanning Transmission Electron Microscopy)
や ABF-STEM( Annular Bright Field–Scanning
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) T. Sato, T. Kiguchi, T.J. Konno, J. Kimura, D.
Ichinose, T. Mimura, H. Funakubo, and K.
Uchiyama,
Growth
of
{110}-oriented
Perovskite-type Proton Conductive Oxide Thin
Films by RF Magnetron Sputtering Method,
18th International Conference on Crystal
Growth and Epitaxy (ICCGE-18), Nagoya, Japan
on August 7-12, 2016 (発表予定)
Transmission Electron Microscopy)、Plan-view 観察
などである。
3.結果と考察(Results and Discussion)
SZYO の Plan-view 観察結果とその電子線回折結果
6.関連特許(Patent)
なし。
を図1に示す。
194
課題番号
:A-15-TU-0044
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:非平衡プロセスによる非固溶系 Ti-Mg 合金膜の作製
Program Title (English)
:Fabrication of non-solid-soluble system Ti-Mg alloying film by non-equilibrium process
利用者名(日本語)
:仲井正昭
Username (English)
:M. Nakai
所属名(日本語)
:東北大学金属材料研究所
Affiliation (English)
:Tohoku University.
Ti-39.9Mg
Ti-66.8Mg
5 nm
5 nm
1.概要(Summary)
合金状態図において固溶相を持たないため、溶製や
粉末焼結等の通常の作製方法では合金化が困難な金
属元素の組み合わせであるチタン(Ti)-マグネシウム
(Mg)系について、非平衡プロセスの一つであるスパッ
タリング法を利用して Ti 中に Mg を強制的に固溶さ
せ、その固溶強化能について検討した。その結果、チ
図1
タン-マグネシウム二元系合金の作製に成功し、Mg
ミクロ組織観察結果
が Ti を固溶強化することを示唆する結果が得られた。
HAADF-STEM による Ti-Mg 合金膜の
び Ti-66.8at%Mg で得られた結果を示す。図から、
2.実験(Experimental)
Ti-39.9at%Mg では認められない白黒のコントラスト
【利用した主な装置】
が Ti-66.8Mg で は 認 め ら れ る 。 こ の 結 果 は 、
高分解能透過電子顕微鏡群
Ti-39.9at%Mg では Ti と Mg とは分離しておらず、原
【実験方法】
子レベルのミクロなスケールにおいて Mg が Ti に固溶
Ti-Mg 合金膜の作製には、RF マグネトロンスパッ
していることを示唆している。
タリング装置を用いた。成膜後、同合金膜の化学組成
Ti-Mg 合金膜の微小硬さ測定の結果、同合金膜の微
および元素分布を高周波誘導結合プラズマ発光分光
小硬さは、Mg 濃度が約 5at%までは上昇し、その後は
分析法(ICP)およびエネルギー分散型 X 線分析法
Mg 濃度の増加とともに低下する傾向が認められた。こ
(EDX)を用いて分析し、ミクロ組織を走査電子顕微
の結果は、Mg により Ti は固溶強化されるが、Mg 濃度
鏡法(SEM)
、高角度散乱暗視野走査透過電子顕微鏡
が高くなりすぎると、Mg 自体の硬さが低いために合金
法(HAADF-STEM)を用いて観察した。さらに、同
としての微小硬さは低下することを示唆している。
合金薄膜の力学的特性をナノインデンテーション法
4.その他・特記事項(Others)
による微小硬さ測定により評価した。
なし
3.結果と考察(Results and Discussion)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
本研究で作製した Ti-Mg 合金膜の化学組成を分析
(1). 鈴木優子, 新家光雄, 仲井正昭, 劉恢弘, 趙研, 吉
した結果、Mg 濃度を最大 66.8at%までの範囲で変化
見享祐, 中村純也, 軽金属学会第 129 回秋期大会,
させることができた。SEM/EDX による Ti-Mg 合金膜
の観察・分析結果、気孔などの成膜欠陥は認められず、
緻密な膜の形成が認められた。さらに、Mg の分布に
平成 27 年 11 月 21-22 日.
(2). 仲井正昭, 新家光雄, 劉恢弘, 鈴木優子, 中村純
也, 吉見享祐, 日本金属学会 2016 年春期(第 158
ついても、EDX で分析できるスケールでの不均一性
回)大会, 平成 28 年 3 月 23-25 日
は、認められなかった。
図 1 に HAADF-STEM による Ti-Mg 合金膜のミク
6.関連特許(Patent)
ロ組織観察結果の代表例として、Ti-39.9at%Mg およ
なし
195
課題番号
:A-15-TU-0045
利用形態
:共同研究
利用課題名(日本語)
:置換型ビスマスフェライト Bi1-xNdxFeO3 における局所構造の解明
Program Title (English)
:Features of local structure in doped bismuth ferrite Bi1-xNdxFeO3
利用者名(日本語)
:堀部陽一 1)
Username (English)
:Yoichi Horibe1)
所属名(日本語)
:1) 九州工業大学大学院工学研究院
Affiliation (English)
:1) Kyushu Institute of Technology
子反射の出現が見出された。この結果は、1/4 1/4 0 タイ
1.概要(Summary)
希土類置換型ビスマスフェライト Bi1-xNdxFeO3 薄膜に
プ超格子反射が、[110]方向に沿ったイオンの横波変位
おいて、強誘電相と常誘電相との相境界組成近傍でのモ
に起因することを示している。以上の結果を基に群論的な
ルフォトロピック相境界の出現と、それに伴う圧電特性の
考察を加えることにより、本系における[110]方向への四倍
大幅な向上が見出されている[1]。一方、同程度の希土類
超格子反射は、Σ3 イオン基準振動モードの凍結に関係す
置換を行ったセラミックス試料では、四倍超構造を持つ斜
ることが見出された。すなわち本系におけるイオン変位は
方相の存在が報告されており[2]、モルフォトロピック相境
PbZrO3 などで観察される反強誘電的イオン変位と、基本
界と超構造との密接な相関が示唆される。そこで本研究
的に同一のものであることが明らかとなった。
で は四倍超構造の起 源につい て明 らかにするため 、
Bi0.85Nd0.15FeO3 セラミックス試料において、高角度環状
暗視野走査透過型電子顕微鏡法(HAADF-STEM 法)
を用いたイオン変位の直接観察を行った。その結果この
四倍超構造は、各イオンの横波変位モードの凍結による
ものであることが明らかとなった。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
Fig. 1 HAADF-STEM image with
JEM-ARM200F
quadruple superstructure in
【実験方法】
Bi0.85Nd0.15FeO3.
観察に用いた Bi0.85Nd0.15FeO3 セラミックス試料料は、
固相反応法を用いて作製した。STEM 用試料の作製は、
4.その他・特記事項(Others)
アルゴンイオンミリング法を用いて行った。観察は
参考文献: [1] S. Fujino et. al., Appl. Phys. Lett. 92,
JEM-ARM200F(加速電圧:200kV)を用いて、主に室温
202904 (2008). [2] I. Levin et. al., Chem. Mater. 23,
にて行った。
2166 (2011).
謝辞: 本共同研究の実施にあたり、不定比化合物材料
3.結果と考察(Results and Discussion)
学研究部門・木口 賢紀 准教授に観察を始め多岐にわ
Bi0.85Nd0.15FeO3 から得られた HAADF-STEM 像を、
たる多大な御助力を賜りました。心より感謝致します。
Fig. 1 に示す。像中には、ビスマスイオンに対応する明る
い斑点状コントラストおよび、鉄イオンに対応するやや暗
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
い斑点状コントラストが明瞭に観察される。この像を注意
なし。
深く観察すると、これらの斑点状コントラストは[1 ī 0]方向
に沿った微小な変位を伴うことが分かる。一方、Fig. 1 の
6.関連特許(Patent)
フーリエ変換像においては、1/4 1/4 0 タイプ位置に超格
なし。
196
課題番号
:A-15-TU-0046
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:新しいヘテロ界面形成による高性能・省エネルギートランジスタの基盤構築
Program Title (English)
:Basic study of high-performance & low-power FET by new hetero interface
formation
利用者名(日本語)
:丹羽正昭 1),佐藤創志 1)
Username (English)
:M. Niwa1), S. Sato1)
所属名(日本語)
:1) 東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター
Affiliation (English)
:1) Center for Innovative Integrated Electronic Systems, Tohoku University
1.概要(Summary)
1 μm
窒化ガリウム(GaN)は Si と比較して広いバンドギャップ
を持ち、次世代パワー半導体デバイス材料として実用化
に向けた研究が進められている。現在、サファイア基板お
よび Si(111)基板上に成長した h-GaN がパワーデバイス
基 板 材 料 と し て 注 目 を 集 め て い る 。 一 方 、 c-GaN を
Si(001)基板上に形成できれば、Si CMOS デバイスと
GaN デバイスをモノリシックに形成であり、新規な機能を
持つデバイスの創生が期待される 。ただし、Si(001)と
Fig. 1 A cross-sectional transmission electron
c-GaN は 格 子 定 数 差 が お よ そ 17%(Si: 5.431 Å ,
micrograph of the sample 2 (BP 1000 nm).
c-GaN:4.509Å)と大きいため、緩衝層として BP(格子定
次に、GaN を形成した試料 3, 4 を断面 TEM 観察した
数: 4.538Å)を形成することが重要である[1, 2]。本研究
結果、BP 緩衝層の膜厚が厚いほうが GaN の結晶性が良
では、Si(001)基板上に BP 層を形成した試料、及び BP
いことが分かった。
層を形成した後に GaN 層を形成した試料について、断
以上の結果は、結晶性のよい GaN 層を形成するため
面 TEM 観察を行った。
には、欠陥の少ない BP 層表面が不可欠であることを示唆
する。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
4.その他・特記事項(Others)
1. 試料加工: Dual Beam System FEI VERSA 3D
本研究は JSPS 科研費 25289082 の助成を受けたもの
2. 透過型電子顕微鏡: JEM-ARM200F
です。
【実験方法】
4検体の試料について、装置 1 を用いて薄片化加工を
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
行った後、装置 2 を用いて断面 TEM 観察を行った。
なし。
Sample 1. Si(001)/BP(600 nm)
Sample 2. Si(001)/BP(1000 nm)
6.関連特許(Patent)
Sample 3. Si(001)/BP(300 nm)/GaN(800 nm)
なし。
Sample 4. Si(001)/BP(600 nm)/GaN(1000 nm)
3.結果と考察(Results and Discussion)
試料1、2の断面 TEM 観察を行った結果、BP 膜厚が
大きくなるほど、膜表面における欠陥が少ないことを確
認した。試料2の断面 TEM 観察結果を Fig. 1 に示す。
197
課題番号
:A-15-TU-0047
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:レーザーCVD 法により合成したチタニア系酸化物コンポジット膜の複合構造
Program Title (English)
:Preparation of titania-based nanocomposite films by laser chemical vapor deposition
利用者名(日本語)
:伊藤暁彦 1)
Username (English)
:A. Ito1)
所属名(日本語)
:1) 東北大学金属材料研究所
Affiliation (English)
:1) Institute for Materials Research, Tohoku University
1. 概要 (Summary)
3. 結果と考察 (Results and Discussion)
酸 化 チ タ ン (TiO2) お よ び チ タ ン 酸 ス ト ロ ン チ ウ ム
Sr/Ti 仕込組成および成膜温度 910 K のとき、アナター
(SrTiO3) といった酸化物半導体は、防汚や抗菌向けの
ゼ TiO2 と SrTiO3 のコンポジット膜が得られた。TiO2 は
光触媒材料として利用されつつある。今後、光水分解に
(001) 面に配向しており、SrTiO3 は (111) 面に配向して
よる水素製造への応用に向けて、一層の光触媒活性の
いた。 SEM 観察からは、緻密な断面組織の形成が認め
向上が求められており、光触媒材料の研究開発には、元
られたが (図 1(a))、TEM および STEM 観察では、TiO2 と
素置換や貴金属担持、コンポジット化といった手法が取り
SrTiO3 がそれぞれ基板と鉛直方向に成長してナノコンポ
入れられている。
ジットを形成していることが確認できた (図 1(b), 1(c))。
本研究では、レーザーを導入した化学気相析出 (レー
ザーCVD: Laser Chemical Vapor Deposition) 法を用いて
TiO2 と SrTiO3 のコンポジット膜を合成し、微細構造を観察
することを目的とする。
2. 実験 (Experimental)
【利用した主な装置】
原子分解能分析電顕 (JEM-ARM200F)
【実験方法】
レーザーCVD 法により、SrTiO3 と TiO2 のコンポジット膜
を合成する。原料はに、Sr および Ti の β-ジケトン錯体
Fig. 1 Cross-sectional (a) SEM, (b) TEM and (c) STEM
images of TiO2–SrTiO3 composite film.
((Sr(dpm)2 および Ti(OiPr)2(dpm)2)) を用い、所定の温
度で気化させた。基板には多結晶 AlN 板を用いた。
Nd:YAG レーザー (波長 1064 nm) を、石英ガラス窓を
4. 謝辞 (Acknowledgements)
通して CVD チャンバー内に導入し、基板全体に照射し
本研究は、東北大学金属材料研究所 後藤 孝 教授
た。成膜雰囲気は O2 とし、炉内圧力は、400 Pa とした。レ
の指導の基に遂行しました。本研究の一部は、JSPS 科研
ーザー出力は 43–192 W とし、成膜温度は 848–1203 K
費 25709069, 15K14176 の助成を受けました。STEM 観察
とした。
にあたり、長迫 実 助手に感謝申し上げます。
得られたコンポジット膜の結晶相は X 線回折 (XRD;
Rigaku Ultima VI) により同定し、表面および断面組織を
5. 論文・学会発表 (Publication/Presentation)
走査型電子顕微鏡 (SEM; Hitachi S-3100H) を用いて観
なし
察した。微細組織は、透過型電子顕微鏡 (TEM; Topcon
EM-002B, JEM-ARM200F) を用いて観察する。TEM 試
6. 関連特許 (Patent)
料は、イオンスライサーを用いて作製した。
なし
198
課題番号
:A-15-TU-0048
利用形態
:技術代行
利用課題名(日本語)
:Fabrication of SWCNT device for gas sensing
ProgramTitle(English)
:Fabrication of SWCNT device for gas sensing
利用者名(日本語)
:川添良幸
Username(English)
:Yoshiyuki Kawazoe
所属名(日本語)
:1) 東北大学
Affiliation (English)
:1)Tohiku University
1.Summary
Carbon nanotubes (CNT) for electronics applications
are still a strong focus for research.CNTs exhibit
extraordinary electrical properties and they have excellent
potential in electrical and electronic applications such as
photovoltaic, sensors, semiconductor devices, displays,
conductors, smart textiles and energy conversion devices.
In this work, the gas sensing properties of single walled
carbon nanotubes (SWCNTs) bundles based device are
investigated.
Figure 1. Fabricated SWCNT device
2.Experimental
The SWCNT bundles are attached on gold (Au)
electrodes, which are patterned with four channels
(Length= 1μm) using focused ion beam (FIB) technique on
a silicon substrate (Fig. 1). The length and width of the
SWCNTs bundle are 10 μm and 100 nm.
Equipment; FEI Dual Beam System VERSA 3D
3.Results and Discussion
Fig. 2 showscross sectionTEM image for the
SWCNT Bundlesset on Si substrate. Unfortunately, we
could not distinguish each CNT in the bundlesclearly
because t inter CNT are filled with during FIB
fabrication and CNTs were also knocked on by 200kV
Figure 2 X-TEM image for SWCNT Bundles
accelerated many electrosduring this observation. To
avoid them, it is need to protect CNT more carefully
4.その他・特記事項(Others)
and low acceleration voltage (80kV) observationshould
なし。
be used.
The device will be exposed to gases like ammonia,
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
nitrogen, oxygen, VOCs and so on. The adsorption of
gases are expected to affect the conductivity of
なし。
SWCNTs bundle. The results will be validated along
6.関連特許(Patent)
with the theoretical investigations.
なし。
199