金子陽子、ピアニスト、フォルテピアノ奏者。 世界でも

 金子陽子、ピアニスト、フォルテピアノ奏者。
世界でも名高い教育機関で学んだピアニスト、フォルテピアノ奏者金子陽子は、まず桐朋学園に、後にパリ国立高等音楽院に進んだ。今から30
程年前、フランス政府給費留学生として選ばれ、最高峰の音楽教育を受けるため「3−4年」の予定で住み始めたパリで、彼女は音楽家として見事
に開花し、稀に見る、そして素晴らしい多くの出会いに恵まれた。師となった日本、フランス、ベルギー、ハンガリー、イスラエル出身の巨匠達はピア
ノにおいては、ジェルメーヌ・ムニエ、ミッシェル・ベロフ、イヴォンヌ・ロリオ・メシアン、室内楽と音楽解釈においては、ジャン・ムイエール、メナへム・
プレスラー、ジャン・ユボー、ジョルジ・クルターク、そしてペリオド楽器の習得においての有田正広、ジョス・ファン・インマゼールとの出会いはその後
の彼女の音楽活動にとって決定的なものとなり、「短期滞在」のはずだったパリは彼女の永住の地となった。
パリ音楽院在学中に金子陽子はガブリエル・ピアノ4重奏団を創設した。室内楽の理想的を求め、知られていない名曲の熱烈な庇護者として、
彼女はガブリエル4重奏団と共にギヨーム・ルクー、レイナルド・アーン、アントン・ドヴォルジャーク、そしてカミーユ・サンサーンス、ジョゼフ・ジョンゲ
ン、ガブリエル・フォーレとエルネスト・ショーソンの作品を録音、最後の4人の作曲家の作品はアメリカMA Recordings 社より発売されている。
2004年には彼女がブルゴーニュ在住の著名な英国人楽器製作者、クリストファー・クラークに(1994年に)注文したウイーン式アクションの18世紀
末のフォルテピアノ、アントン・ワルターの複製が完成した。フォルテピアノ奏者としての金子陽子は、師でありフォルテピアノの名手であるジョス・フ
ァン・インマゼールとのデュオで、モーツアルトの2台のフォルテピアノのための協奏曲のCDでデビュー。(仏、ジグザグ社)、そしてソロで、べ-トーヴ
ェンのソナタ集(仏、アニマレコード社)、モーツアルトの黄金時代の作品集とバッハのパルティータ、フランス組曲他がアメリカMA Recordings 社よ
り発売されている他、ペリオド楽器最高峰のチェリスト、クリストフ・コワンとのジョゼフ・ウオルフルやヨハン・ベンヤミン・グロスなど忘れられた作曲家
の作品の演奏も大きな注目を集め、グロス作品集のCD「ロマンチックなバラード」はラボリー社よりリリースされている。これらの録音に対して、フラン
スのル・モンド・ド・ラ・ミュージック誌の「ショック賞」、ヌーヴェル・アカデミー・デュ・ディスクの「大賞」、「ディアパゾン金賞」、「アルテ賞」、英国グラモ
フォン誌の「編集者のチョイス」と「今月の一枚」、オランダの「プレリュ−ド・クラシックアワード」、日本のレコード芸術誌の「特選」など、きわめて価値
の高い賞が与えられた。
ピアニスト、そしてフォルテピアノ奏者として、金子陽子は完成度の高い芸術家、また技量に優れた音楽家に大成して世に認められ、同世代人
の中でも最も感受性豊かな存在のひとりに数えられている。モダン、ペリオド楽器の両方の分野であらゆる種類のピアノに順応し、時には、演奏困
難又は不可能と言われる楽器からも、確かで豊かなタッチを駆使することで時には思いもかけない美しい音色を引き出してしまう。とりわけフォルテ
ピアノに見事にマッチするこのタッチによって、彼女は書かれた作品の数々の演奏の歴史的真実を提示しつつ、この繊細な楽器の音色を存分に堪
能させることができるのである。近年では彼女は、フォルテピアノによるハイドン、モーツアルト、ベートーヴェンの協奏曲も多く手がけ、オーケストラ
パートを深く研究することによって、ソリストとオーケストラアンサンブルとの共演を室内楽の精神にできるだけ近づけた演奏を探求している。アニマ・
エテルナ・ブリュージュオーケストラ、トウルーズ室内楽団、英国ハイドン音楽祭オーケストラとの共演は、聴衆とオーケストラメンバーから大喝采を浴
びるほどの、大成功を収めている。又、これまでに数多くの第一線の芸術家たちより共演の依頼を受け、観客と共に深い満足感を得る舞台(ルツエ
ルン音楽祭、ビルバオ音楽祭、ブリュッセル、ブリュージュのコンセルトゲボウ、ベルリン、ワルシャワのフィルハーモニー大ホール、日本各地など)を
共にしてきた。近日では著名なヴァイオリン奏者レジス・パスキエとシューベルトの作品の全曲コンサート他をビルバオと日本で、5度目の招待演奏
となる英国ハイドン音楽祭ではべートーヴェンの3重協奏曲とハイドンのフォルテピアノ協奏曲を、秋にはフランス北部のクレルモン音楽祭のオープ
ニングコンサートでモーツアルトとべートーヴェンのクラリネットトリオを。シューベルトのトリオと名曲「アルペジョーネソナタ」をクリストフ・コワン奏する
本物のアルペジョーネ、ジエローム・アコカのヴァイオリンと共演するコンサートはパリ近郊のポール・ロワイヤル寺院、2017年春にはドイツのボンに
も登場予定である。
尚「Youtube」で、彼女のオランダでのソロリサイタルのライヴで、ハイドンのソナタ、そしてバッハ、モーツアルト、グロスのCDの抜粋等も聴く事が
できる。