2.1 マイクロサイエンス工学コースの学習・教育目標 マイクロサイエンス工学コースは,機械により多くの機能を付与しその有用 性を増し価値を高めるための科学と技術について学ぶコースである.先端的 な機械においては,各種のセンサを使って状態を高精度に把握し動きをより 精密に制御する.そのためには,従来の機械工学の枠を越え,電気・電子工 学,光学,化学,表面科学など他の分野の研究成果を積極的に取り入れるこ とが必要である.マイクロサイエンス工学コースでは,従来の機械の枠を越 えた新しい機械を創り出すことのできる機械系技術者の養成を目指している. そのためのカリキュラムとして,計測技術,表面・界面,精密加工,知能機 械など各分野の専門科目を修得する.さらに設計・製図,CAD および実験・実 習などの総合分野の科目,また,少人数のグループに分かれた研究室単位で の議論を中心とした演習・ゼミナールを通じて各分野の統合を理解する. マイクロサイエンス工学コースの卒業研究では,先端機械の創成に必要な マイクロ,さらにナノスケールの世界の最先端科学技術を追求する一方で, 知能機械,情報技術,バイオ技術など応用技術への展開を図っている.すな わち,原子間力顕微鏡やレーザを用いた微細加工,環境低負荷型の加工など の精密加工,環境に配慮した薄膜を作製する技術とトライボロジーや機械 的・電気的特性を評価する表面・界面科学,光ファイバを利用した計測工学, さらには,生体と機械の融合を図るバイオメカニクスなどが主な研究課題で ある. 2.2 マイクロサイエンス工学コースのカリキュラム 機械サイエンス学科の各コースを特徴づけるカリキュラムは,学科内で共通の基幹科目の後に配 置されている展開科目である.上述のように,マイクロサイエンス工学コースでは,先端的な機械 を創成するために必要な基盤技術に共通するマイクロ・ナノスケールのサイエンスを学び,他の工 学を取り入れ,発展させることのできる機械系技術者の養成を目指している.この目標達成のため には,機械に関わる広範な分野の知識を修得する必要があり,マイクロサイエンス工学コースは展 開科目として基礎,知能機械,計測,表面・界面,加工,総合の各分野に複数の科目を配置してい る. 2.3 科目の流れ マイクロサイエンス工学コースにおける展開科目について,基礎,知能機械,計測,表面・界面, 加工,総合の各分野と開講セメスターを表1に示す. 表 2-1 分 野 基 礎 マイクロサイエンス工学コースにおける展開科目 2年次 3年次 4年次 3S 4S 5S 6S ベクトル解析 複素解析 材料科学 計算力学 微分方程式 応用解析 確率統計 波動工学 物理化学1 光学 7S 8S ゼミナール 1 ゼミナール 2 電磁気学 電子工学 電子機器工学 知 能 機 械 メカトロニクス 精密運動機構 シミュレーション 工学 マイクロマシン 情報システム機器 工学 精密測定学 計 測 計測工学 光・電子計測 表面工学 表 面 ・ 界 面 薄膜工学 トライボロジー 真空工学 精密加工基礎 精密加工学 加 工 ナノテクノロジー 電気・化学加工学 成形加工学 総 合 機器設計製図1 機器設計製図2 機械要素学 CAD演習および精 密工学実験1 CAD演習および精 密工学実験2 マイクロサイエン ス工学演習 マイクロサイエン ス工学ゼミナール 卒業研究 2.4 主要科目の概要 [ 基礎分野 ] 光学(Optics) 担当: 長瀬 亮 教授 【目的】 原子の挙動から深宇宙の探査,ナノエレクトロニクスから全地球を網羅する光通信ネットワークま で,光学は現代の科学技術を支える根幹のひとつである. 本授業では光の基本的性質を学んだ後,光学を応用する様々な技術について幾何光学と物理工学を 用いて解説する.また近年,社会に大きな変革をもたらした光ファイバ通信技術の基礎について講 義する. 【授業の概要】 「光とは何か」についてまず深く考察する.次に幾何光学,物理光学とも基礎的な現象を説明し, 光導波理論や光の干渉について学んだ上で,それを応用した精密測定法や光ファイバ通信について 概説する. 【到達目標】 光学全般に渡る基本事項を概観し,より専門的な学習に備えられる基礎知識を修得する. 【講義内容】 (1) 概論 科目の目的,光学を応用する技術分野. (2) 光とは何か 光とは何か.人類がどのような経緯で光を理解したか. (3) 光の発生 光をどのようなパラメータ,数式で取り扱うか解説する. (4) 光の性質(1) 波動の持つ性質,幾何光学としての光の取り扱い方. (5) 光の性質(2) 偏光,屈折,反射について解説する. (6) 光と物質の相互作用 波としての光、エネルギーとしての光と物質の相互作用. (7) 光学機器の発達の歴史 レンズ系を用いた様々な光学機器の技術史について解説する. (8) 干渉を応用する光学素子 光の干渉を利用した光学素子について解説する. (9) 偏光を制御する光学素子 光を波動として捉え,数学的な表現法について学ぶ. (10) 結像素子 結像素子としてのレンズ,反射鏡について解説する. (11) レンズの収差 結像の不完全性を説明するレンズの収差について解説する. (12) 光ファイバ通信の基礎 (13) 光導波路 光ファイバや光導波路の原理について学ぶ. (14) まとめと復習 これまでの要点を整理し,光学全体を捉えなおす. (15) 期末試験および解説 光ファイバ通信の基本的原理と発達の歴史について概観する. 総合理解度の評価とその解説 電子工学(Electronics) 担当: 坂本 幸弘 教授 【目的】 半導体技術を中心にアナログ回路,デジタル回路について講義し,電子工学の基礎的な知識を習得さ せる. 【授業の概要】 電子工学の基礎,ダイオード,トランジスタ,各種半導体デバイス,増幅回路などについて解説する. 【到達目標】 電子工学の基礎的な領域を理解する. 【講義内容】 (1) 基本概念の導入教育 電子のふるまい,電子の運動. (2) 電子工学の基礎 半導体 (3) ダイオード ダイオ-ドの構成と働き,各種ダイオード (4) トランジスタ トランジスタと各種接合 (5) 各種半導体デバイス サーミスタ,磁気素子等 (6) 集積回路 各種集積回路の説明 (7) 増幅回路 負帰還技術と回路 (8) オペアンプ 各種回路 (9) 発振回路 各種発振回路 (10) 変復調回路 振幅変調,周波数変調等 (11) 電源回路 整流回路と安定化回路 (12) パルス回路 ディジタルとパルス回路 (13) ディジタル回路 論理と論理回路 (14) ディジタル回路 応用一般 (15) まとめ 本講義で行った電子工学について概説する. 材料科学(Materials Science) 担当: 梅村 茂 教授 【目的】 材料に関する技術は身の周りから各種産業分野まで非常に多岐にわたって我々の生活に関わっている. 材料に関する科学・技術を理解し.発展させるためには,材料の性質についての基本的な理解が不可欠 である. 本科目は材料の性質の基礎について理解を深めることを目的とし,基礎的な事項として,結晶構造と構 造解析,原子間の結合,固体中の自由電子,エネルギーバンド,固体の電気伝導などについて講義を進 める. 【授業の概要】 材料に関して,まず,結晶構造と周期性,結晶の逆格子の概略と波数(k)を変数とする空間の考え方,結 晶の X 線回折について基礎的事項などを説明する.固体の性質の理解には量子力学,原子構造につい て若干の基礎的事項の理解が必要であり,これらについて説明する.さらに,固体の結合の種類,共有結 合結合についての基礎的事項,固体の自由電子モデル,エネルギーバンド理論,金属と絶縁体の分類, 固体の電気伝導などについて基礎的事項を説明する. 【到達目標】 材料の性質についての諸事項・諸概念を理解するための基礎的事項を習得する. 【講義内容】 (1) ガイダンス,結晶構造と周期性 はじめに本科目の背景・目的,講義の計画を説明した後,結晶構造と周期性について説明する. (2) 結晶の逆格子と波数空間 結晶の逆格子の概略と波数(k)を変数とする空間の考え方について説明する. (3) X 線回折(2 週) 結晶の X 線回折について基礎的事項を説明する (4) 量子力学と原子の電子状態(3 週) 固体の性質の理解に必要な量子力学についての基礎的事項,原子の電子状態に関する基礎的 事項,および摂動論の考え方等を説明する. (5) 固体の結合(2 週) 固体の結合の種類など結合についての基礎的事項および共有結合についての基礎的事項を説 明する. (6) 固体中の自由電子(2 週) 固体中の自由電子モデルについて基礎的事項を説明する. (7) エネルギーバンド エネルギーバンド理論について概略を説明する.エネルギーバンド理論による金属と絶縁体の分 類などを説明する. (8) 電気伝導 固体の電気伝導について基礎的事項を説明する. (9) 期末試験と解説 期末試験とその解説を行う. 計算力学(Stress Analysis) 担当: 秋田 剛 准教授 【目的】 機械・構造物の変形や応力を数値解析により求める方法とその原理を理解する. 【授業の概要】 機械・構造物の設計において,使用中に機能を損なうような破損や破壊を生じないように適切な材料選 択や形状決定を行う必要があり,外部荷重が作用する部材の応力や変形を精度良く評価することが重要 である.近年,応力や変形の評価は,コンピュータによる数値解析でなされることが多い.数値解析ソフトウ ェアの発達により,かなり複雑な機械・構造物でも,ほぼ自動で解析を行うことが可能となってきたが,「適 切な入力データ」を与えて「妥当な計算結果」を得るためには,数値解析の原理や実装法を習熟すること が望ましい.そこで本講義では,機械・構造物の変形や応力を数値解析により求める方法とその原理につ いて講義を行う. 【到達目標】 変位型の構造解析法の基礎原理を理解し,構造物の変形や応力の算出法を理解する. 【講義内容】 (1) 科目の目的 (2) 応力・ひずみの基礎(6 週) 数値解析の必要性と講義概要の説明 平面応力の基礎式,平面ひずみの基礎式,応力・ひず み分布の表示, 主応力, 熱ひずみ (3) マトリックス法の基礎(7 週) ベクトルと行列を使った解析,並列バネの解析,一次元 部材の解析, マトリクス法の概要, マトリクス法によるトラ ス構造の解析, マトリクス法によるトラス構造の熱変形 解析, ガラーキン法による定式化 (4) まとめ 計算力学の総括 電磁気学(Electromagnetism) 担当: 梅村 茂 教授 【目的】 電磁気学は力学とともに工学全般の基礎をなしている.本科目は電磁気学の基本的な考え方,基礎式 などについて理解を深めるとともに,式の物理的意味を考察できる基礎学力を身につけることを目的とす る. 【授業の概要】 電磁気学の基礎的事項として,クーロンの法則と静電場,ガウスの法則,静電ポテンシャル,電気双極子 と電気双極子のつくる静電場,コンデンサーと静電場のエネルギーについて説明する.さらに,定常電流と その保存則,オームの法則,電流の磁気作用,アンペールの法則,ビオ・サバールの法則,ファラデーの 電磁誘導の法則などについて説明する. 【到達目標】 電磁気学の基本的な考え方,基礎式などについて理解を深めるとともに,式の物理的意味を考察できる 基礎学力を身につける. 【講義内容】 (1) ガイダンス・序論とベクトル計算の概要 はじめに本科目の背景・目的,講義の全体像・計画を説明する.さらに,電磁気学を学ぶため に必要なベクトルの計算法,多重積分計算法について概略を説明する. (2) 静電場(6 週) クーロンの法則と静電場,ガウスの法則,静電ポテンシャル,電気双極子と電気双極子のつくる 静電場,コンデンサーと静電場のエネルギーについて説明する. (3) 定常電流(2 週) 定常電流とその保存則,オームの法則について説明する. (4) 電流と磁場(3 週) 電流の磁気作用,アンペールの法則,およびビオ・サバールの法則について説明する. (5) 電磁誘導(2 週) ファラデーの電磁誘導の法則について説明する. (6) 期末試験と解説 期末試験とその解説を行う. [ 知能機械分野 ] 電子機器工学(Electrical Circuit Theory) 担当: 菅 洋志 助教 【目的】 本講義は,電気回路に関する初等的な理論を修得することを目的とする.機械を電気で動かすための制 御技術や,機械の状態を知るための電気計測技術などの基礎となる学問である. 【授業の概要】 ロボット,自動車,カメラなど,現在の機械製品の多くが「電気じかけ」で機能している.よって,次世代の 機械工学を担う諸君らは,機械を電気で操るために,純然たる機械工学に加えて「電気・電子工学」を習得 する必要がある.しかしながら,電気・電子工学は広大な学問体系であるので,そのすべてを在学中に習 得するには,いささか時間が不足かもしれない.そこで,本講義では,電気信号を測るための初等的な知 識と技能,機械を電気で動かす(メカトロニクス)のための基礎知識について焦点をあてて学習する.電気 自動車が自動車業界のトレンドになっていることからもわかるように,将来の機械技術者には電気・電子工 学は必須となるであろう. 【到達目標】 ・ メカトロニクス技術に関係した電気・電子技術に関する基礎的な知識・技能の習得. ・ 直流回路や交流回路などの回路理論と,その基本的な計算技能の習得. 【講義内容】 (1) 講義の意義 (2) 電気・電子に関する基礎知識 (3) 直流回路(4 週) (4) 交流回路(5 週) (5) (6) (7) キャパシタと過渡現象 電磁誘導とモータ(2 週) 試験及び解説 講義目的・概略の説明,電気・電子工学の歴史. 電子,電流,電圧,オームの法則 キルヒホッフの法則,直流回路の計算,ブリッジ回路,電力計算. 発電と送電,周波数と位相,交流回路の要素,RLC 回路,インピ ーダンス, 交流回路の電力. キャパシタと静電容量,キャパシタの充電と放電.. 磁力,磁場,電磁誘導, 電磁誘導,DC モータ,AC モータ 試験及び解説. メカトロニクス(Mechatronics) 担当: 長瀬 亮 教授 【目的】 1970 年代に出現したワンチップ・マイクロプロセッサにより,それまで機構部品の組み合わせによって構 成されていた機械が,センサやアクチュエータを電気的に制御する構成に変わって行った.メカトロニクス はこのような機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)の融合により機械を設計する手法である. 本講では,身の回りのほとんどの機械を設計する上で必須となるメカトロニクスに関する基礎知識を修得す ることを目的とする. 【授業の概要】 まず機械要素(軸受や歯車)について復習した上で,基本的な電気回路(オペアンプや論理回路)につ いて講義する.次に様々なセンサやアクチュエータの仕組みや特性について説明した後,これらを扱うた めの電気回路の応用技術について解説する. 【到達目標】 実社会で広く利用されているメカトロニクスの基礎的な全体像を理解し,その要素技術を獲得する. 【講義内容】 (1) 概論 機械の発達の歴史,パラダイムシフト,メカトロニクスの必然性. (2) アクチュエータ(1) 各種モータの原理,種類と特徴. (3) アクチュエータ(2) 電磁誘導を用いないアクチュエータ(空気圧,ピエゾ,静電,形状記憶 合金). (4) 機械要素(2 週) リンク機構,継ぎ手,軸受け,歯車の種類と特徴. (5) 電気部品 ケーブル,リレー,電源などの電気部品. (6) センサ(2 週) 変位,速度,加速度,温度,磁気,光のセンサ. (7) アナログ回路(2 週) 回路理論の基礎,オペアンプの特徴,およびインタフェース回路につい て解説. (8) ディジタル回路(1) ブール代数,論理回路の基礎とその応用. (9) ディジタル回路(2) ディジタルコンピュータ技術の発達の歴史. (10) アクチュエータの駆動回路 各種モータの駆動回路. (11) まとめと復習 これまでの要点を整理し、メカトロニクス全体を捉えなおす. (12) 期末試験および解説 総合理解度の評価とその解説. シミュレーション工学(Simulation Technology) 担当: 宮﨑 俊行 教授 【目的】 コンピュータシミュレーションは理論・実践に匹敵する研究・開発の手段となっており,自然界,技術界ば かりでなく社会問題の研究,調査にも広く用いられている.このシミュレーションを行うための基礎知識を習 得することを目的とする. 【授業の概要】 シミュレーションを行うには現象を正確に把握することが必要である.この講義では簡単な例を用いて,現 象の把握とそれを数式化する考え方,計算機で計算するための方法について振動,熱伝導などの現象を 用いて講義する. 【到達目標】 自然現象がどのような法則にしたがっているのかを理解し,それを数式化できること,さらに,簡単な例に ついてコンピュータを用いて数値計算できるように式を変形できる. 【講義内容】 (1) シミュレーションとは シラバスに基づいて講義の概要,進め方,成績評価について説明する とともに,シミュレーションの目的について概説する. (2) 基礎事項 シミュレーションの基礎事項について詳細に述べる.特に効果や問題点 も含めてシミュレーションに対する考え方を修得できるように解説する. (3) システムの記述例(3 週) 自然界における個体数の変化を例に取り,その変化を数学的に表現す る方法についての考え方,数式化するプロセスについて解説する. 物理現象を数学的に表現する方法の例として,弦の振動や熱伝導を取 り上げ,それらの基礎法則から運動方程式や熱伝導方程式を求める過 程を解説する. (4) 数値計算例(4 週) 微分式の差分化による計算法について解説する.例として熱伝導方程 式の差分化を取り上げ,差分式の導出過程を詳細に解説する. また,具体的な問題への適用について,初期条件,境界条件の扱い方 や,シミュレーションをどのように実行するかを説明する. (5) 有限要素法 有限要素法について基礎および簡単な例をあげて解説する. (6) モンテカルロ法(3 週) モンテカルロシミュレーションについてその原理,適用分野などについ て例をあげて解説する.また,簡単な例としてランダムウォークを取り上 げ,実際に行ってみる. (7) 分子動力学の基礎 分子動力学シミュレーションの基礎的な考え方について物理学の基礎 事項をふまえて解説するとともに,具体例を挙げて解説する. (8) 期末試験および解説 期末試験を行い,解答の解説をし,さらに理解度を深めるようにする. 精密運動機構(Precision Mechanics) 担当: 長瀬 亮 教授 【目的】 メカトロニクス分野の発展に伴い,それまでのカム機構を用いたシーケンシャル制御による自動機械から, ロボットをはじめとしてフィードバック制御とプログラムにより自由な動きを与える精密な運動機構に発展して きた.本講では,これら精密運動機構を設計するための技術の基礎として,機構の運動学,動力学,自動 制御理論に関する基本事項を修得することを目的とする. 【授業の概要】 まず機械要素(軸受や歯車)について復習した上で,基本的な電気回路(オペアンプや論理回路)につ いて講義する.次に様々なセンサやアクチュエータの仕組みや特性について説明した後,これらを扱うた めの電気回路の応用技術について解説する. 【到達目標】 精密運動機構に関する基本事項を概観し,より専門的な学習に備えられる基礎知識を修得する. 【講義内容】 (1) 概論 (2) 動力学 (3) 自動制御概論 機械を動かすために必要な技術. ニュートンとオイラーの運動方程式. 自動機械の発達の歴史、自動制御理論が生まれた背景について解説す る. (4) ラプラス変換 自動制御理論に必要な数学であるラプラス変換について講義する. (5) 伝達関数とブロック線図 系の働きを記述する伝達関数とブロック線図の表記法について解説す る. (6) 伝達関数の計算 組み合わされたブロック線図全体の伝達関数を計算する手法について講 義する. (7) 過渡応答 過渡応答の考え方,簡単な系の過渡応答について解説する. (8) 周波数応答 周波数応答とボード線図の意味について講義する. (9) 機械の発達の歴史 運動する機械の技術史を概観する. (10) サーボ制御の基礎 ロボットハンドを例に取り,サーボ制御の考え方について講義する. (11) PID 制御の意味 比例制御、微分制御、積分制御およびそれらを組み合わせる意味につい て講義する. (12) ロボットハンドのモデル化 ロボットハンドの運動方程式から、系をブロック線図で記述する. (13) ロボットハンドの応答 モデル化したロボットハンドの応答について考える. (14) まとめと復習 これまでの要点を整理し,精密運動機構全体を捉えなおす. (15) 期末試験および解説 総合理解度の評価とその解説. マイクロマシン(Micro-machine) 担当: 平塚 健一 教授 【目的】 マイクロマシンとは,微小なデバイスや機械の総称である.PC や携帯電話の例のように,製品の価値は 小型化によって高まる.本講では,そのキーとなる各種微小化技術とそれに伴う物理・化学現象について 理解を深めることを目的とする. 【授業の概要】 微小機械の概念,その構成体の物理的,化学的特性ならびにシステム論,さらには工学における応用, について講じる. 【到達目標】 マイクロマシンは取り扱うスケールが小さくなった際の諸現象に関する科学・技術の例であり,以下の分野 で応用される.これらにおけるマイクロマシンの重要性を理解することを目標とする. ・バイオテクノロジー・医工学; 検査・治療・手術機器および器具 ・環境学; 自然環境モニタリング,生態系観測システム ・生産・メンテナンス; 半導体製造,マイクロファクトリー,配管検査 ・情報機器; 磁気ディスク装置,光コネクター ・移動機器; 自動車用センサ,航空機用安全システム 【講義内容】 (1) 序論 マイクロマシンの特徴とその意義について概説する. (2) マイクロシステム 微小なシステムの構成要素とその特徴について解説する. (3) マイクロ理工学 微小化に伴って発生する問題点ならびに重要となる物理量について概 説する. (4) マイクロ材料科学 微小なサイズの材料の特性について解説する. (5) マイクロアクチュエータ 各種の原理に基づく小さなアクチュエータについて解説する. (6) マイクロ流体工学 微小化に伴う流体抵抗について解説する. (7) マイクロ加工 マイクロマシンを作るための各種加工法について解説する. (8) マイクロトライボロジー 微小化に伴う摩擦抵抗について解説する. (9) マイクロセンサ 各種の原理に基づく小さなセンサについて解説する. (10) マイクロ化学 マイクロマシンを利用した化学工学について解説する. (11) マイクロ医療工学 医療において活躍するマイクロマシンについて解説する. (12) マイクロ制御システム マイクロマシンに有利となる制御システムについて解説する. (13) 応用技術 マイクロマシンの展開例について解説する. (14) 期末試験および解説 期末試験を実施し,正解を解説する. (15) まとめ これまでの講義を総括する. 情報システム機器工学(Information System Hardware Engineering) 担当: 山口城治 講師 【目的】 インターネットが世界中で利用されるようになって20年以上経過した.また,情報化社会・IT社会という言 葉が使われるようになって久しい.この間,電話網をはじめ伝送の基盤となる通信網の光化/ブロードバン ド化の進展,携帯電話に代表されるモバイル通信網の発展は目覚ましいものがある.近年ではインターネ ット利用知識はリテラシーとして普及している.ユーザとしてのインターネットの利用技術は多くの書籍情報 などで容易に入手できる反面,通信網を支える技術情報に触れることは比較的少ないものと思われる.本 講を通じて日頃直接・間接に触れることの多い通信網について理解を深め,さらに発展的に学習を進めて ネットワーク関連技術を学ぶための基礎知識の習得を本講の目的とする. 【授業の概要】 通信網を支える技術は多岐にわたり,多くの分野の関わる総合技術であるが,その中から,本講では,通 信を支える基盤技術としての光通信に関わる技術,ならびにインターネットを支える技術としていくつかのト ピックスをとりあげ,物理レイヤからTCP/IPを用いた通信の基本的な技術について解説する.講義の前 半は,光ファイバ通信システムの基礎,光伝送路,光通信ネットワークなど光通信技術用いた通信ノード間 の情報伝送の基本的知識について講義する.後半では,通信プロトコル,データリンク,インターネットプロ トコル,トランスポート層などについて講義する. 【到達目標】 光通信に用いられるコアデバイスの動作原理を理解し,デバイスの構造に関する知識を獲得する.また, TCP/IP プロトコル群を用いた通信方式について基本的事項を理解し,通信ネットワークの動作に関する センスを身につける. 【講義内容】 (1) イントロダクション 光通信システムの基本構成と特徴 (2) 光ファイバー(2 週) 光ファイバーの構造,導波原理,特性および製造方法 (3) 光導波路 光導波路の構造と光通信システムでの役割 (4) 発光デバイス 通信用半導体レーザーの発光原理と特性 (5) 受光デバイス 半導体受光素子の構造と受光原理 (6) 光増幅器 ファイバーアンプの原理と通信応用 (7) 中間テスト 中間テストとその解説 (7) 平面光回路デバイス(2 週) 光合分波器,光スイッチおよび変調器の構造と動作原理 (8) デバイス作製技術(2 週) 成膜技術とパタン形成技術およびその原理と装置構成,エッチング技 術,加工方法と反応メカニズム (9) デバイス作製の実際 光デバイス作製の流れと集積化プロセス (10) 最新の光通信デバイス 次世代通信デバイスの開発状況と課題 (11) 期末テスト 期末テストを行い,総括する [ 計測分野 ] 精密測定学(Precision Measurement) 担当: 菅 洋志 助教 【目的】 本講義は,機械加工現場で重用される精密測定器を題材に学習し,測定器の仕組みや原理,ばらつき や誤差といった,計測学の重要概念を理解することを目的とする.また,測定器出力のディジタル化を鑑み, 測定値がディジタル表示に変換される仕組みや誤差についても学習する. 【授業の概要】 歴史によれば,機械工学を担う者は「精密な測定」を追究してきた.工学において,精密な測定は,精密 な製造の必然条件である.例えば,1 mm 精度で部品を測定できる工場で造った車と,1 μm 精度で部 品を測定できる工場で造った車では,どちらが優れているだろうか? 精密測定技術は,時代における最 新の科学法則や技術の粋を集めたものであり,それを学ぶことは大変に価値がある.以上の背景から,本 講義では精密測定技術について理解を深める. 【到達目標】 ・授業で取り上げた精密測定器の原理や仕組みを理解し,測定器を誤りなく利用できること. ・精密測定に関わる誤差や精度といった工学的な基礎知識について習熟すること. ・精密測定に関わる統計的処理,誤差解析,近似計算法などの数学についての知識と技能を修得するこ と. 【講義内容】 (1) 講義の意義 講義の意義と概要. (2) ばらつきと有効数字 ばらつきの概念,有効数字,測長と視差. (3) 測定器,ノギス,ハイトゲージ 寸法の読み方,注意点, バーニアの仕組み,変位拡大 (4) マイクロメーター 使い方,各種のマイクロメーター,アッベの原理. (5) 測定と誤差 誤差,公差,偶然誤差,系統的誤差 (6) 測定値の取り扱い(5 週) 標準偏差,ガウス分布,いろいろな平均,最小二乗法. (7) 精密測定と精密組立のための環境整備(校正と標準) 直線,直角,水平の基準,ストレートエッジとスコヤ,水準器,校正と標 準. (8) 表面形状の測定・表面粗さ 表面粗さ・うねりの定義,触針式表面粗さ測定. (9) 物理測定と標準 物理測定と標準,基準保持,校正と標準,トレーサビリティ. (10) 各種のゲージ ダイヤルゲージの構造と利用方法,ゲージブロック,ピッチゲージ,アン グルゲージ,R ゲージ (11) 試験及び解説 計測工学(Instrumentation Engineering) 担当: 菅 洋志 助教 【目的】 本講義の目的は,初等的な計測システムを設計するのに必要な知識・技能を学習することを目的とする. 【授業の概要】 「はかる」という行為の大切さは,科学のはじまりから現在に至るまで変わっていない.工学においても, 「つくる」ためには「はかる」が不可欠である.例えば,機械構造物を組み立てる際,我々は標準単位系のも とに機械要素を設計加工し,それらが設計値どおり加工されているかどうかを正確に計測し,定量的に評 価し,そして,組み立てを行う.今日の計測技術は,工学技術の発展とともに,複雑化・高度化しており,検 出部や信号処理部,制御部など,幾多の要素が集合した「計測システム」というまとまりで,「はかる」しかけ を実現している.本講義では計測の基礎知識を習得し,計測システムの要素を理解する. 【到達目標】 ・単位と標準の概念,誤差や精度の意味など,計測の基礎となる知識の習得. ・測定データの統計的な処理,誤差解析,近似方法などの計算技能の習熟. ・計測関わる信号処理手法に関する知識の習得と計算技能の習熟. ・典型的な計測方法についての知識習得. 【講義内容】 (1) 講義の意義 (2) 計測データと測定誤差 (3) 計測データの処理 (4) 単位と標準 (5) 計測の計画と計測システム (6) 計測の信号処理(4 週) (7) センサー(4 週) (8) (9) 計測工学の現在 試験及び解説 講義目的,計測工学の歴史,工学と計測の関係 測定誤差,測定精度・不確かさ,測定値の統計的分布. 有効数字,算術平均,誤差の伝播,最小二乗法 SI 基本単位,物理量の変換,標準と認証. 直接測定と間接測定,計測システムの要素,計測システムの特性(静特 性・動特性). 周波数,角速度,正弦波,ボード線図,フーリエ変換,ラプラス変換,ア ナログ信号,ディジタル信号,AD 変換,サンプリング定理,オペアンプ, 増幅回路,フィルタ回路. エネルギ変換, 電気計測と半導体,電圧・電流の計測,力,圧力,変位 の計測,温度,湿度,熱量,ゼーベック効果,流量,圧力,粘度,真空, SI 基本単位,物理量の変換,標準と認証. ナノメートルスケールの科学計測技術. 光・電子計測(Optical & Electronic Measurement) 担当: 徳永 剛 准教授 【目的】 この講義では μm 以下から nm オーダの分解能を有する測長について学ぶ.高分解能の測定には光の 性質や電子技術を活用することが不可欠である.光の性質や電子デバイスの知識を整理し,この分野の代 表的な計測システムについて名称を知るとともに,計測の原理を理解する. 【授業の概要】 授業は講義形式で基礎的な内容の学習,部品レベルの測定ユニットについて,実用されている高性能 計測システムについて順に扱う.基礎では光の性質や電子デバイスに関する技術用語を整理する.測定 ユニットに関しては変位センサとして市販されているいくつかの代表例について距離測定の原理,構造, 使用例などを説明し,高性能計測システムでは共焦点型変位計測装置・3 次元測定器・レーザ干渉計につ いて原理や機器に組み込まれている様々な工夫について扱う. 【到達目標】 光の性質,計測に関する電子部品や信号変換の知識について基礎的な事項を理解する.代表的な計 測装置の名称,計測の原理や特徴について理解する. 【講義内容】 (1) 授業の概要 (2) 光およびレーザについて (3) レーザ光線の特徴 (4) 光検出素子 (5) 計測システムの構成 (6) 光エンコーダ (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) 授業の目的,社会的な背景,関連科目との関わり合い. 光と色の関係,波長,光と熱,発光の原理,レーザ発振の仕組み. レーザ光線の特徴 波動の性質 光学干渉. 半導体とは,ダイオード,トランジスタ,フォトセンサ,光検出. 計測システムの構成とその要素,計測の方法. 光の断続の検出,光信号からデジタル信号,計測の原理,構造,高分 解能化,方向弁別,実用例. 光の屈折を応用した変位計測 光の屈折,凸レンズの機能,位置検出素子(PSD),センサシステム の構造,形状測定への応用,使用例. 共焦点の配置を応用した変位計測 凸レンズの性質,コリメーション,共焦点配置,レンズの微動 方向と出力信号,偏位法と零位法の適用 3 次元測定機(CMM) 三次元測定機とは,測定原理,プローブ,接触検出における工夫,光て こ,弾性支持,三点支持.立体計測の様子,タッチセンサ. レーザ干渉計 干渉計の構成,距離と位相,測長の原理, 2 光波の合成, レーザ干渉計 うなり,ゼーマン効果,各種の計測事例,特長,使用例. 白色干渉 白色干渉の原理,特長,使用例. パターン投影法 点計測と面計測,モアレじま,立体形状と投影格子の変形,使用例. 試験 試験の実施と解説 まとめ 光検出の実際,授業のまとめ [ 表面・界面分野 ] 表面工学(Surface Engineering) 担当: 坂本 幸弘 教授 【目的】 材料は,その表面を介して他の物体や環境との関係で構築されている.このような材料表面の重要な役 割を要求に応じて創り出すための表面技術は表面を基礎としている.材料表面に新しい表面機能・性能を 創り出す新表面創製技術,さらに表面特性が機能である場合には,新材料創製技術にも発展し,要系技 術として巧みにハイブリッド化して使用され,近年産業の発展に寄与している.本講では,これらに関わる 表面工学について理解させることを目的としている. 【授業の概要】 表面と表面処理の概要,ウエットプロセスとして,薄膜形成,エッチング,陽極酸化,ドライプロセスとして, PVD,CVD による薄膜形成,表面改質,エッチング,表面分析法として,IMA,AES,XPS について概説 する. 【到達目標】 表面工学を利用した表面処理技術を理解する. 【講義内容】 (1) 基本概念の導入教育 表面の基本概念について解説する. (2) 表面とは 表面についての概論を述べる. (3) 表面処理 表面処理の概要について述べる. (4) ウエットプロセス(2 週) ウエットプロセスによる薄膜形成,エッチングおよび陽極酸化について 述べる. (5) ドライプロセス(4 週) ドライプロセスについて概説した後,PVD による薄膜形成,CVD による 薄膜形成,表面改質およびエッチングについて述べる. (6) 表面分析(4 週) 表面分析の概要について述べた後,IMA,AES,XPS について概説 する. (7) 講義内試験 講義の習得状況を試験し,総括する. (8) 復習及び補習 今まで勉強したことの復習及び補習 トライボロジー(Tribology) 担当: 平塚 健一 教授 【目的】 トライボロジーとは,ものを動かすときに生じる抵抗である摩擦,それに伴って表面が損傷していく摩耗, それらを防ぐための潤滑に関する科学と技術である.本講では摩擦力の発生機構,摩耗粉の生成機構, 潤滑作用の発現機構を系統的に論じ,トライボロジーの基礎の理解を目的とする. 【授業の概要】 二つの固体が接触しつつ互いの位置を変えるときまたは変えようとするとき,それを妨げる力が生じる.そ の抵抗力を摩擦力といい,それに伴って表面部分が失われることを摩耗という.摩擦力によって動いている ものを止めることができ,摩耗によって表面を加工することができる.しかしながら省エネルギー・省資源の 観点からは摩擦力,摩耗量ともに小さくすることが望まれており,その技術が潤滑である.本講ではトライボ ロジーの基本,すなわち,表面物性,接触論,摩擦機構,摩耗機構,潤滑機構,さらには,機械要素,応用 分野などについて講じる. 【到達目標】 トライボロジーは以下のように異分野と結びついて発展している.生物,自然,人工物,産業などにおける トライボロジーの重要性を理解することを到達目標とする. ・バイオトライボロジー; 関節その他人体の摩擦部分の代替治療を目指す. ・マイクロトライボロジー; 情報機器の摺動部分の潤滑法を開拓し信頼性を高める. ・トライボケミストリー; 摩擦に伴う化学変化を利用して潤滑性を向上させる. ・メンテナンストライボロジー; 低摩擦により省エネに,低摩耗によりコスト削減に貢献する. ・スペーストライボロジー; 宇宙における潤滑剤を開発し遠隔操作を可能にさせる. ・ジオトライボロジー; 地震のメカニズムの究明と予知に役立てる. ・スポーツトライボロジー; 摩擦抵抗を減らして記録を伸ばす. ・エンジントライボロジー; エンジン内部の摩擦を減少させ燃費を向上させる. 【講義内容】 (1) 序論 トライボロジーの歴史・社会的意義を概説する. (2) 表面,接触,凝着 表面の物理化学的性質(表面の構造,表面エネルギー,吸着),みかけ の接触,真実接触,弾性接触,塑性接触,原子間力,分子間力. (5) すべり摩擦,ころがり摩擦 乾燥摩擦に影響を及ぼす諸因子,スティック-スリップ,ころがり摩擦の 機構. (7) 境界潤滑,固体潤滑,流体潤滑 潤滑の概念ならびに液体からの分子膜による潤滑機構,固体に よる潤滑機構,流体潤滑,弾性流体潤滑の原理について論じる. (10) 摩耗 摩耗の概念ならびに凝着摩耗,アブレシブ摩耗について論じる. (11) 材料 トライボマテリアル・潤滑剤について概説する. (12) 期末試験および解説 期末試験を行い正解について解説する. 真空工学(Vacuum Technology) 担当: 坂本 幸弘 教授 【目的】 近代技術の中で果たす真空技術の役割を理解させ,その基礎知識を学ばせる.真空創成に必要な材料, 加工法,熱処理等に関する深い知識をもつことが肝要であることは勿論であるが,作業時の注意力が成果 に大きく影響することが多い.そのようなことに特に重点をおいて話をする. 【授業の概要】 真空概説,ポンプの構造及び原理,真空度の測定,PVD,CVD などについて解説する. 【到達目標】 真空技術とその応用の一部となるプラズマ技術について理解する. 【講義内容】 (1) 真空概説 真空を利用した装置,真空を利用して作るもの等,真空についての概 論を述べる. (2) ロータリーポンプ 代表的なロータリーポンプ三種類あげて,その実際の構造を何種類か 見せて説明する.ガスバラストポンプの原理を理解させる.その他,変わ りだねのポンプも紹介. (3) 油拡散ポンプ 油拡散ポンプの構造及び原理を説明する. (4) 各種ポンプ 油による汚れを嫌う装置では,ソープションポンプ,ターボ分子ポンプ, スパッタイオンポンプが使われる.その構造,原理について説明し,特 にターボ分子ポンプについては何種類かの構造を示す. (5) 真空度の測定 代表的な真空計三種類をあげ,その構造,原理を理解させる.真空の 漏れ探しの方法,ヘリウムリークディテクターの原理,構造の話もする. (6) 真空蒸着 真空蒸着の方法,装置を解説する.汚れの影響,水分の影響などにつ いて詳しく説明,特に,蒸着中に起きる化学反応について色々な例をあ げて説明する.また,基板を洗浄方法する際の注意事項についても言 及する. (7) スパッタリング スパッタによる膜の形成方法について解説,装置の説明をする. (8) イオンプレーティング イオンプレーティングによる膜の形成方法について解説,装置の説明を する. (9) 熱 CVD 熱 CVD による膜の形成方法について解説,装置の説明をする. (10) プラズマ CVD プラズマ CVD による膜の形成方法について解説,装置の説明をする. (11) 表面分析 真空を用いた表面分析について概略を説明する. (12) 復習及び補習 本講義の内容について概説する. 薄膜工学(Thin Film Engineering) 担当: 坂本 幸弘 教授 【目的】 薄膜技術はデバイスの微細化,高機能化,高集積化及び省資源などのニーズに合致してエレクトロニク スをはじめ,各種産業の先端部分でますます重要な技術となっている.本講では,この技術の基礎をなし ている薄膜工学について理解させることを目的としている. 【授業の概要】 薄膜の特徴と特性,薄膜の形成機構と膜特性,各種薄膜,薄膜の機械的性質,薄膜の化学的性質など について解説する. 【到達目標】 薄膜技術の基礎について理解する. 【講義内容】 (1) 序論 薄膜技術とその応用について述べ,概要を理解させる. (2) 薄膜の特徴と特性 薄膜の特徴と特性について述べ,理解させる. (3) 薄膜の形成機構と膜特性 薄膜の形成機構と膜特性について述べ,理解させる. (4) 導電体薄膜 薄膜の導電性について述べ,理解させる. (5) 誘電体薄膜 薄膜の誘電性について述べ,理解させる. (6) 半導体薄膜 半導体薄膜について述べ,理解させる. (7) 超伝導体薄膜 超伝導薄膜について述べ,理解させる. (8) 磁性体薄膜 磁性体薄膜について述べ,理解させる. (9) 金属薄膜 金属薄膜について述べ,理解させる. (10) 薄膜の機械的性質 薄膜の応力,ひずみ,硬度と薄膜の付着力,摩擦・摩耗について述べ, 理解させる. (11) 薄膜の化学的性質 薄膜の表面反応(酸化・窒化等),耐食性,薄膜の化学エッチングにつ いて述べ,理解させる. (12) まとめ 総括 [ 加工分野 ] 精密加工基礎(Basic Precision Machining) 担当: 松井 伸介 教授 【目的】 本講義の目的は,今日の産業の根幹を支えていると言っても過言ではない精密加工技術の基礎概念と 基礎的な加工技術を習得することにある. 【授業の概要】 本講義では,まず様々な形状を精密に形成できる除去加工をする切削,研削について,その基本原理 および工作機械・工作機械生産システムに関する基礎知識を修得する.これにより,ものづくりの工程設計 のみならず製品開発・設計のための必須の素養を身につける.そして切削,研削加工技術の精密,超精 密加工との関わりについて学習する.具体的には,切削・研削理論を通して切れ刃が対象を削る仕方,仕 組みの習得,およびこれを具体的に実現するための加工方式,材料,装置機構について学習する. 【到達目標】 切削・研削加工における諸現象と,工作機械およびそのシステム全般を理解する. 【講義内容】 (1) 総説 総説,精密,超精密の定義,実現するための加工法の考え方. (2) 切削理論・切削現象 精密切削加工と切りくず形態,切削理論,剪断角. 剪断力と加工抵抗,剪断角理論,切削の実際,熱の発生. 工具摩耗,工具寿命,工具材料. 形状精度,構成刃先,加工変質層,バリ,工具振動とその影響. (3) 切削を行う工作機械 旋盤,ボール盤,フライス盤等代表的な切削工作機械. その他の精密・超精密切削工作機械,および工作機械の機械要素 工作機械,生産システムの発達の歴史,および最新の生産システム (NC, CNC,MC) (4) 研削理論・研削現象 研削加工の概要と研削理論. 精密研削加工の実際(砥石,結合材,砥石の準備). (5) 研削を行う工作機械 精密研削加工を行う工作機械(平面研削盤,円筒研削盤, ねじ研削盤,芯無し研削盤等). (6) トピックス 精密・超精密切削・研削加工に関する新しい技術について. (7) 試験及び解説 講義の理解度を評価する. 精密加工学(Precision Processing) 担当: 松井 伸介 教授 【目的】 寸法精度が高いこと,仕上げ面が滑らかであることを必要とするもの,微細な寸法を必要とするものを製 作する技術について基礎的知識を習得すること. 【授業の概要】 高速で動くエンジンやベアリングの製造には用いる材料ばかりでなくその寸法の精度や表面の滑らかで あることが必要であること,また,小型の携帯電話の多機能性を考えると使われているIC(集積回路)が非 常に微細に製作されていることが分かる.このような製品を実際に生産するのに利用される各種加工法に ついて講義する. 【到達目標】 製品の製造に利用される各種精密加工法の基礎知識を習得すること. 【講義内容】 (1) 総論 精密加工の適用先とその意義,講義の関連する技術範囲等の説明. 加工単位の微細化(ミリ→マイクロ→ナノ,切削→研削→研磨)の解説. (2) 精密切削,研削 精密から超精密へ,超精密を実現する切削,研削技術. 精密・超精密切削,研削加工を実現する装置. 精密・超精密切削,研削の適用例. (3) 精密研磨 研磨加工(研磨加工の分類,ラッピング,プレストンの式) ポリシング(相対速度ベクトル,砥粒とポリシャの材料学,加工圧分布の 制御),研磨における化学作用(メカノケミカル作用),研磨装置につい て,研磨加工のトピックス. (4) 精密加工応用 半導体デバイスプロセスにおける精密加工. ①プロセスの概要,真空プロセス,精密加工の関与する行程 ②シリコン基板の製造技術(切り出し,べべリング,研磨),ダイシング技 術 ③CMP 技術:研磨技術による半導体デバイスの多層配線層の作製,平 坦化研磨,表面基準と裏面基準 光通信部品の精密加工技術(光コネクタ端面の研磨技術). 割断による新しい精密加工技術(光ファイバの劈開,レーザーの劈開, 各種パネルのレーザ割断,ステルスダイシング). (5) トピックス (6) 期末試験および解説 最新の精密加工技術について説明する. ナノテクノロジー(Nanotechnology) 担当: 宮﨑 俊行 教授 【目的】 ナノテクノロジーは広い範囲の科学・技術を含むが,ここではナノメートル(10 億分の 1 メートル)オーダの 精度を持つ製品を作り出す総合技術との観点から講義する.この新しい技術であるナノテクノロジーに関 する基礎的な考え方や知識を習得することを目的とする. 【授業の概要】 生産技術におけるナノテクノロジーの基礎的知識として走査型プローブ顕微鏡(走査型トンネル顕微鏡S TM,原子間力顕微鏡 AFM など)の原理,構造とそれによる加工,光の放射圧による微小物体の捕捉,操 作や各種微細計測技術などを中心として講義する. 【到達目標】 上記の装置原理や現象について理解すること. 【講義内容】 (1) ナノテクノロジーとは 講義の概要,進め方,成績評価について説明する.SI 基本単位を用い てナノテクノロジーの概念を解説する. (2) ナノテクノロジーの目的 ナノテクノロジーを基礎にして製造するナノメータ,サブミクロンメータオ ーダの精度を必要とする製品例をあげ,この技術の必要性を解説する. (3) 基盤技術 ナノテクノロジーの目標およびそれを実現するために必要な基盤技術 について述べる. (4) 基礎事項 ナノメータおよびサブミクロンメータオーダの製品を作り出すために必要 な加工プロセスについて概説する. (5) 位置制御 位置制御技術について,従来の方法を概観し,ナノテクノロジーに必要 な超精密・超微細位置制御を実現する固体素子について概略を述べる. 機械的な変位・変形によるのではなく,光の放射圧を利用する非接触式 の微小物体の位置制御の原理と実際を解説する. (6) 計測技術 走査型トンネル顕微鏡(STM)を含む走査型プローブ顕微鏡(SPM)の の原理,装置構成について解説する. (7) 加工技術 走査型プローブ顕微鏡を用いた加工について,原理,加工例を説明す る.レーザビーム,荷電粒子ビーム(電子ビーム,イオンビーム)装置と その応用について解説する.また,これまで述べたナノテクノロジーとは 異なる分野である材料創製およびその利用について解説する. (8) 期末試験および解説 期末試験を行い,解答を解説し,さらに理解度を深める. 電気・化学加工学(Electrical & Chemical Processing) 担当: 吉岡 俊朗 教授 【目的】 生産工学において,従来からの機械的加工法では対処できない生産品への要求がなされ,種々の新し い加工法が開発されてきている.ここでは,それらの新しい加工法についての基礎と実際について教授し, 電気・化学加工の概念を習得することを目的とする. 【授業の概要】 本科目では,電気・化学加工法に含まれる放電加工・レーザ加工・超音波加工・電子ビーム加工・イオン ビーム加工・プラズマ加工・化学加工等の概念および加工原理・特徴等について講義する. 【到達目標】 従来の機械加工では対処できない生産品への新しい加工法の概念を理解するとともに,放電加工・レー ザ加工・超音波加工についてはその加工原理・特徴等についての基礎知識を修得する. 【講義内容】 (1) 電気・化学加工の目的 科目の目的と講義の全体像を解説,学期中の講義内容を説明する. (2) 放電加工 放電加工の加工原理,型堀放電加工.ワイヤーカット放電加工につい て基礎的な講義・放電加工の特徴・欠点等について講義を行う. (3) レーザ加工 レーザ加工の概要を示し,レーザ加工の基礎・レーザ加工原理・レーザ の種類等を講義する.エネルギー密度・パワー密度の概念を教授する. レーザ加工の切断・穴あけ加工・溶接・レーザマーキング・加工法の特 徴・欠点等について,また,レーザ作業を安全に行う注意点について講 義する. (4) 超音波加工 超音波加工の基礎講義を行う.超音波の発生,加工原理,除去加工機 構,特徴・欠点等について講義する.超音波加工の応用・超音波溶接 等についても講義する. (5) 電子ビーム加工 電子ビーム加工法の加工原理,パワー密度,加工機構,穴あけについ て講義する.また,電子ビーム加工法の溶接法,表面処理,電子ビーム による化学反応加工について講義する. (6) イオンビーム加工 イオンビーム加工法の基礎講義を行う.イオンビームの発生・加工原理・ 除去加工機構・特徴・その応用について講義する.. (7) 化学加工 化学加工の原理と基礎・フォトファブリケーション(フォトエッチング)の加 工原理,特徴等の講義を行う. (8) 期末試験および試験問題解説 成形加工学(Forming Process) 担当: 中村 和彦 教授 【目的】 我々は,自動車,電機,家電製品,情報通信機器,事務機器,住宅関連用品,雑貨など多くの「もの」に 囲まれて生活している.これらの「もの」は,各種の材料に何らかの加工を施すことによって目的の形状寸 法を得ている.材料の加工法を大別すると除去加工,付加加工,成形加工に分けることができるが,本講 ではその中の成形加工(形状転写加工)について講義する. 【授業の概要】 成形加工は,型内に材料を充満させて所定の形状寸法の製品を得る加工法である.本講では,固体材 料を変形させて型になじませる塑性加工,粉末材料を型に充填して固める粉末成形,流動化した金属や プラスチック等を型に流し込んで固める鋳造加工,射出成形についての基礎的な考え方と現状について 講義する. 【到達目標】 色々な加工法の中での成形加工の意義と各種成形加工の特徴を理解する. 【講義内容】 (1) 成形加工の概要 材料加工法の分類,固体材料の変形挙動. (2) 固体材料の成形 各種の素材取り法,鍛造加工法(圧縮加工法),板材の曲げ加工. 深絞り加工の変形,深絞り限界,再絞り加工. 深絞り限界の影響因子,深絞り限界を向上させる特殊深絞り法. 張出し加工,伸びフランジ加工,スピニング加工. 各種の管材成形方法. (3) 粉体材料の成形 粉末成形の特徴,粉末の製造法,混合,固化成形法,焼結,後加工. (4) 液体からの成形 各種の鋳造法. (5) プラスチックの成形 プラスチック材料の種類,各種成形法. (6) 型設計・製作 金型材料,金型製作方法,表面処理技術. (7) 成形用材料 材料の選定,各種材料の性質. (8) まとめ 講義のまとめを行い,理解度を評価する. [ 総合分野 ] 機器設計製図 1,2(Design and Drawing of Machine Elements 1,2) 【目的】と【授業の概要】 本科目では,基礎機械製図・材料力学及び演習,機器設計等で学んだ知識を基に,目的に合う材料強 度を計算して部品の設計を行ない,その製作図を作成することにより,簡単な設計法を修得することを目的 とする.製図Ⅰでは,歯車・溶接法の製図法を学び,図面の見方と作図法を修得する.次に,与えたられた 液体体積に耐えられる液体容器の強度計算及び設計・製作図の作成,ならびに与えられた荷重に耐える 豆ジャッキのネジ部強度計算及び設計・製作図の作成を行う.製図Ⅱでは,軸受の製図法を学び,図面の 見方と作図法の修得,また,ジグについて学び,設計便覧を利用し,規格部品を選び出し,それを利用し て穴あけジグの設計を行い,実際に近い設計法を学ぶ. 【到達目標】 製図Ⅰでは,歯車・溶接の製図法を実習から習得すること.次に与えたられた液体体積に耐えられる液 体容器の設計及び製作図の作成,ならびに強度計算を加味した簡単な課題の設計製図ができるようにな ること. 製図Ⅱでは,軸受の製図法を修得すること.また,軸受け部の設計・簡単な穴あけジグの設計等が設計 便覧から必要な規格部品を選び出し,それを利用して完成できるようになること. 機械要素学(Machine Elements) 【目的】 機器の設計上重要な公差について学び,個々の機械要素について学ぶことにより,機械の設計・製造に 必要な基礎知識を修得することを目的とする. 【授業の概要】 機械は,さまざまな機械要素の組合せで成り立っており,それらの組合せを変えることで,個別の機能を 生み出している.機械や機器を設計・製造する技術者は,機械要素の種類およびそれらの選択に関して 基本的な知識を身につけておかねばならない.そのため本授業では,個々の機械要素とその使われ方に ついての基礎知識を講義する. 【到達目標】 機械材料の強度と安全率,公差とはめあい,締結・接合要素,軸系要素,軸受・案内要素,動力伝達要 素,駆動要素,等に関して理解できるようになること. CAD 演習および精密工学実験 1 (CAD and Experiments for Precision Engineering 1) 【目的】 CAD の基礎および実験の基礎について各グループに分かれて実習する.これによって将来,先端的 な機械を創製するための基礎技法を習得する. 【授業の概要】 CAD 演習では世の中に広く普及している 3 次元 CAD を操作し立体を作図する.最近ではほとんどの企 業で設計業務に CAD を利用しており,曲面で構成された立体形状を扱うことが一般的になっている.そこ で CAD 演習では機械加工で作製可能な形状,市販されている汎用部品を利用することなど CAD の操作 に習熟する.精密工学実験においては精密機械を製作・作動させる上で必要な基本事項について実習を 行う. 【到達目標】 CAD については立体形状を作図できること.実験については材料,表面,計測,制御などの各分野の基 礎的事項について正しく理解すること. CAD 演習および精密工学実験 2 (CAD and Experiments for Precision Engineering 2) 【目的】 CAD 演習および精密工学実験1の内容を基礎にして,より応用的な課題に取り組み,また実験を行う. 技術を多く習得し,機械工学を基礎として多方面に活躍できる礎を強固にする. 【授業の概要】 CAD 演習では,ねじ等の汎用部品の利用法や部品配置の手順に触れ,応用編として設計仕様に沿っ た機械装置を設計・作図する.精密工学実験では実験1よりも進んだ計測法,加工法,制御法などについ て実習をしながら理解を深める. 【到達目標】 CAD については汎用部品(ボルトナットなど)や自作部品を組み合わせた機器を画面上で組み立て,部 品相互の干渉チェックや機械的な連係動作を確認できること.実験については材料,表面,計測,制御な どの各分野のさらに進んだ事項について正しく理解すること. マイクロサイエンス工学演習(Seminar on Micro-science Engineering) 【目的】 マイクロサイエンス工学コースの各研究室でおこなっている研究やトピックス等について学習する. 【授業の概要】 オムニバス形式により毎週各研究室を 10 名程度のグループに分かれて回り,演習を行う. 【到達目標】 マイクロサイエンス工学コースで行っている研究概要を理解する. マイクロサイエンス工学ゼミナール(Seminar in Micro-science Engineering) 【目的】 卒業研究を進めていく上で必要な基礎的事項を修得することを目的とする. 【授業の概要】 研究室単位で演習を行う. 【到達目標】 「研究」というものを理解し,その手法,取組む姿勢,さらに文章の作成能力とプレゼンテーション能力お よびコミュニケーション能力を涵養する.
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