社会的インタラクションを実現するための ユビキタス・ゲームデザインモデル

社会的インタラクションを実現するための
ユビキタス・ゲームデザインモデル
A Ubiquitous Game Design Model Enabling Social Interactions
根本 将寛
徳永 英治
Masahiro NEMOTO
Eiji TOKUNAGA
早稲田大学理工学部情報学科
Department of Information and Computer Science, Waseda University
{nemoto, eitoku}@dcl.info.waseda.ac.jp
近年,ユビキタス環境におけるゲームデザインの研究は盛んであるが,ユビキタス環境特有の社会的性質を捉えたデザイ
ンモデルは提案されていない.そこで本論文は,社会的インタラクションを主な目的とした,Co-location, Online, Offline
の三種のゲーム空間が協調するゲームデザインモデルを提案する.また,そのデザインモデルを利用したユビキタス・ゲ
ームのプロトタイプとして Photo Clues の実装を示し,ゲームプレイとアーキテクチャの二つの観点から評価を行う.
1 はじめに
プレイ中におけるプレイヤー間の社会的インタラクシ
ョンを促進するゲームデザインモデルを提案する.また,
我々のゲームデザインモデルは Online, Offline,
Co-location の三つのゲーム空間を協調させることで,
コンピュータゲームの利点と伝統的なゲームの社会的
様相を融合させる.
本論文の以降の構成は以下の通りである.2 章では,
関連研究として既存のユビキタス・ゲームについて紹介
する.3 章では,遊びの本質的な面白さ,コンピュータ
ゲームの特徴,およびインターネットの普及と人間関係
への影響について考察する.4 章では,本論文が提案す
るユビキタス・ゲームのデザインモデルの概要を述べ,
その適応例として開発した Photo Clues について概説
する.5 章では,Photo Clues の設計と実装についての
概要を述べる.6 章では,Photo Clues のゲームデザイ
ンとアーキテクチャを考察し,7 章で結論と将来課題に
ついて述べ,まとめとする.
1.1 背景と目的
ここ 20 年間でコンピュータゲーム産業は急成長を遂
げている.Interactive Digital Software Association の
調査[9]によると,アメリカ合衆国のコンピュータゲー
ム産業は 2001 年度に 2 億 2500 万本のソフトウェアを
売り上げ,63 億 5000 万ドルの利益をあげたとされて
いる.同時に,劇的なコンピュータの技術成長は,現実
世界では管理できない複雑なルールの適用や想像上の
仮想空間のビジュアル化を可能にした.
しかしその一方で,コンピュータ技術を用いたゲーム
は伝統的なゲームプレイの持つ社会的様相を失う傾向
にある.コンピュータゲームにおける抑制の無い攻撃的
な振る舞いは,精神衛生に悪影響を与えるとしてしばし
ば批判の対象となる.また,インターネットの発展によ
り複数人でのゲームプレイは物理的な空間にしばられ
なくなったが,同時に伝統的なゲームにおいて培われて
いた社会的コミュニケーション性が失われつつある.
そこで我々は,ユビキタス・コンピューティング技術
[14][15][19] を用いることで,カードゲームやボードゲ
ー ム な ど の 伝 統 的 な ゲ ー ム の 特 徴 で あ る , social
interactivity, co-location, tactile and visual quality と
先に述べたコンピュータゲームの利点を併せ持つゲー
ムを実現したいと考えた.以後,本論文ではユビキタ
ス・コンピューティング技術を利用したゲームをユビキ
タス・ゲームと呼ぶ.
既に携帯電話や PDA などのモバイル機器や GPS
や RFID などのセンサ機器を利用したゲームは存在
する.しかし,Spy Game [2]や Can You See Me Now?
[1]などの既存のユビキタス・ゲームはゲームデザイナ
個人のアイディアに強く依存している.伝統的なゲーム
の持つ社会的様相とコンピュータゲームの利点を併せ
持つユビキタス・ゲームを容易にデザインするためには,
社会的インタラクションを促進させるゲームデザイン
モデルが必要である.
そこで我々は,ユビキタス・ゲームのための新しいゲ
ームデザインモデルとして,物理空間のプレイヤーおよ
びゲームオブジェクトが同居(co-location)し,ゲーム
2 関連研究
2.1 Can You See Me Now?
Can You See Me Now? は物理空間とオンライン空
間を融合した鬼ごっこを実現するユビキタス・ゲームで
ある.オンライン・プレイヤーは自分と対応するアバタ
ーを持ち,地図上を移動させることができる.一方,ラ
ンナーと呼ばれる物理空間側のプレイヤーは鬼ごっこ
の鬼となる.ランナーは GPS レシーバ付きの無線ハン
ドヘルドコンピュータを装備し,画面に表示されている
オンライン・プレイヤーのアバターを追いかける.オン
ライン・プレイヤーはテキストメッセージやオーディ
オ・ストリームで他のプレイヤーと情報交換をすること
が可能で,それらの情報を元に地図上の鬼(ランナー)
から逃げ回る.
2.2 the SpyGame
SpyGame は『近未来の社会では,裕福だがに余暇に
長時間費やすことが出来ない人々と,貧しいが自由な時
間を多く持つ人々へと二極化する』という予測から生ま
れたユビキタス・ゲームである.SpyGame は「スーツ
1
ケースを特定の場所へ運ぶ」というタスクを,利用でき
る設備,時間,物理的場所に格差がある人々が協調して
達成するゲームである.
2)
.
基本特性
世界の再現
説明
現実世界の 一面を主観
的に再現する
インタラクテ 世界を動的 に再現して
ィブ性
くれる手段
対立関係
対立関係があるからこ
そ面白い
安全性
仮想世界で 危険を楽し
むことが出来る
表2:ゲームの基本特性
3 遊びとゲーム
3.1 遊びとは
遊びの研究者である J.Huizinga は,遊びは遊び以外
の何ものかのために行われていると指摘している[8].
これを遊びの「自己完結性(独立性,あるいは自己目的
性)
」と呼び,その自己完結性ゆえに,
「面白さ」がある
と述べている.それでは,人はどのような状況,条件で
「面白い」と感じるのだろうか.
心 理 学 者 で あ る M.J.Ellis の 最 適 覚 醒 理 論 [7] と
M.Csikszentmihalyi のフロー理論[5]によると, 「面
白さ」は個人に荷される情報負荷に関係している.情報
負荷とは,個人が処理しなければならない,あるいは処
理しようと思っている情報によってもたらされる精神
的,身体的負担のことを指す.情報負荷がゼロに近い状
態では,人は刺激を強く求める行動を取り,逆に,同時
に多くの情報刺激が一挙に押し寄せると情報処理がで
きなくなり,パニックに陥ったり刺激から逃避行動を取
ったりする.以上のことを考慮すると,人は刺激がゼロ
の状態と過度の状態の中間の,ある程度な活動状態を求
めている[16].つまり,最適な情報負荷が,面白さ,楽
しさ,快感となるのである.日常生活では生まれにくい
最適な情報負荷は,遊びによって容易に求められ得る状
況を作り出せる.
また,遊びが面白いと思えるもうひとつの理由が,結
果のフィードバックである.何か行動に対して,上手く
いったかどうか分かると,人は面白いと感じる.フィー
ドバックにおいても,現実世界では時間を経て,他の行
動結果と混在して戻ってくるのに対し,遊びでは,直接
的,即時的に純粋な形で戻ってくる.
表 1 は「人はどのような種類の「面白さ」を求めて
いるのか」という疑問に対して,5Cという「面白さ」
の種類を分類したものである[17].
5C
Catch (Sense)
Create
Control
Communicate
Comprehend
また,C.Crawford は人がゲームをする理由の基本動
機として学習を上げ,更に表3に示す副次的な動機を主
張した.
副次的な動機
空想世界の欲求
反社会的行動
説明
現実世界から逃避させてくれる
社会的に受け入れられない役割を
演じられる(海賊や盗賊など)
優越性の誇示
トーナメントやスコアなどによる
優越性の誇示
社会の潤滑油
社会的な交流をするための手段
能力の維持
頭脳や肉体を維持する手段
認識の欲求
特定の個人として認められたい
表3:ゲームの副次的な動機
現代に置いては,元来生活に必要だった学習(狩りな
ど)の必要性が薄れてきており,副次的な動機が大部分
を占める.魅力的なゲームをデザインするには,これら
の副次的動機を多分に考慮する必要がある.
また,C.Crawford は伝統的なゲームと比較して,ゲ
ーム環境としてコンピュータを用いることの利点と欠
点を示している(表 4)
.
利点
欠点
貧弱なインターフェイス
自由度の高さ
プログラミング
レフリーとしての役割
リアルタイム処理
対戦相手としての役割
情報の隠蔽
ネットワーク
表4:ゲーム環境としてコンピュータを
用いる利点と欠点
説明
感知する面白さ(5感)
創造する面白さ,破壊する面白さ
コントロールする面白さ(精神,肉体,
道具,その他)
コミュニケーションする面白さ(人と
人,人とモノ)
物事を理解する面白さ
表1:面白さの分類
3.3 インターネット普及による社会的インタ
ラクションの影響
これは,より人間行動を素朴に表出する赤ん坊の行動
から見出されたものであるが,赤ん坊以外の少年少女,
成人,老人等にも当てはまるとされている.
インターネットの普及によりユーザはオンライン上
で社会的インタラクションを形成することが可能とな
った[18].ここで述べる社会的インタラクションとは,
言語によるコミュニケーション(言語的な発言内容とそ
れに付随する行動,しぐさや協調行為を含む)と,そこ
から人間関係を「形成」し,「維持」していく行動を意
味する.本節では,現実世界と比較してオンライン上の
社会的インタラクションが不十分であることを示すた
めに,オンライン上における人間関係の「形成」と「維
持」の 2 つの行為に関する問題点について記述する
([10] を参照)
.
3.2 ゲームとは
本節では,ゲームの基本特性とゲームをする目的につ
いて考察し,コンピュータゲームの特徴について述べる.
ゲームと呼ばれるものには,ボードゲーム,カードゲ
ーム,体を使うゲーム(スポーツ),かくれんぼや鬼ご
っこのような子供の遊び,そしてコンピュータゲームな
どが存在する.C.Crawford は全てのゲームに共通する
特性として,世界の再現,インタラクティブ性,対立関
係,安全性,の4つの基本特性を提示している[4](表
2
音 声 的
3.3.1 オンライン上で形成される人間関係
非 音 声 的
現代において人は「友達や恋人が欲しいけれど,親密
な人間関係を形成するのは苦手で深いコミュニケーシ
ョンが取れない」
,
「人間関係は苦手だけれど,友達や恋
人が欲しい」という矛盾を抱えている.この矛盾を満た
してくれたのが,オンライン上のコミュニケーションで
ある.インターネットは「匿名性」と「親密さ」の 2
つの特徴を両立しているため,ユーザは自分の素性を隠
したまま,世界中の人々とコミュニケーションを取るこ
とが可能である.また,オンライン上では,現実世界の
出会いでは不可能なほど急速に人間関係を親密化して
いく傾向がある.そこにはインターネットの「匿名性」
と「親密さ」の 2 つの特徴だけでなく,
「人を見る目」
と「理想像」が関係してくる[10].
言語的(発言内容・意味)
近言語的(発言の形式的属性)
・音響学的・音声学的属性(声の調子)
・発言の時系列的パターン(発言と沈黙
の生起)
身体的動作(視線・身振り・姿勢・接触・
顔面表情)
プロクセミックス(空間行動・距離)
物理的環境(家具・証明・温度など)
表 5:現実世界におけるコミュニケーションの情報
3.3.2 オンライン上の人間関係の維持
人間関係を維持する上で,関係がこじれたときの修復
行為は重要な要素である.本小節では,オンライン上で
の人間関係がこじれ易く,修復し難い点を述べる.
掲示板やチャットなどのオンライン上でのコミュニ
ケーションでは,偶発的な感情的衝突によって,激しい
非難や人格攻撃の激しい言葉が飛び交う傾向がある.面
と向かっては言われたことがないような言葉を受ける
ことがオンライン上では珍しくなく,そのためにオンラ
イン上で激しく傷つけられた人の中には,外出できない
など神経症的な症状があらわれてしまうこともある.し
かし,インターネットで激しい表現を使う人全てが現実
世界でも乱暴なわけではない.インターネットは人を攻
撃的にする面を持っている.その原因を列挙する.
・人を見る目 我々は人を判断するとき,多様な情報
を使用する.現実世界で会話する場合,言葉の発言内容
自体よりも,それ以外の情報(視線,表情,声の調子,
身振り手振りなど)を使用している[6].ところが,イ
ンターネットのメールなどには相手を知る情報はわず
かである.画面上の無機質な文字のみで,他の多くの情
報は想像に任せられる.
・理想像 人が相手を想像するときは,インターネッ
トの向こうに自分の理想像(自分の理解者や理想の恋人
など)を描いてしまうものである.それは人は,物事を
あるがままに見ているのではなく,自分の見たいものを
見ているためである.またメールなどのオンライン上の
コミュニケーションは,電話や手紙よりも回数が多くな
る.理想像を見始めている相手と一日に何度も感情の交
換を行えば,当然,二人の親密度は急激に増すだろう.
・オンライン上の匿名性 「匿名性」には,現実世界
では性別,年齢,社会的地位,経済力などで偏見や差別
にさらされることがあっても,インターネットではそれ
らから自由になることを可能にしてくれる利点がある.
しかし,心理学の実験によれば,人は自分の名前が知ら
れず,罰を受けないときには乱暴になりやすいとされて
いる.
・想像力 オンライン上のコミュニケーションでは,
相手の気持ちを考えるための情報が少ないために想像
力が発揮され,悪意を持った相手からのメールは,悪意
あるもののように感じてしまう.こうした悪循環が始ま
れば,憎しみが増加し,非難と皮肉だらけの文字のやり
取りがなされる.
・相づち オンライン上のコミュニケーションには「相
づち」が存在しにくい.人が実際に会って会話するとき
には相手の話に相づちを打ち,うなずくことが多い.こ
れは,必ずしも相手の意見に賛成という意味でなく,
「う
んうん」とうなずく態度が相手の感情を和らげる効果を
持っている[11].
・論理の強調 オンライン上のコミュニケーションな
どの文字だけのやり取りは,情緒よりも理論が強調され
やすい.相手の発言の隅々まで見て反論したくなる.
・手軽さ 文字のやり取りという点では手紙も同様だ
が,手紙はメールよりも手間と時間がかかる.その間に,
次第に激しい感情も収まり,手紙の書き換えや,結局投
函しないこともある.しかし,メールはその場で書き,
そのまま送信ボタン一つで相手に送れてしまう.
以上により,人はオンライン上のコミュニケーション
によって現実世界以上に容易に結びつきの強い人間関
係を築くことが可能となり,現実世界よりもオンライン
上の人間関係に強く依存する人が生まれつつある[12].
しかし,そこには 2 つの問題がある.
1 つ目はオンライン上から現実世界へと人間関係の
継続が困難であり,その結果,トラブルが急増している
点である.ユーザの中にはオンライン上で築いた人間関
係を現実世界でも同様に築こうと考え,実際に対面する
人もいる.当然,オンライン上から現実世界へと人間関
係を維持させて,仲間ができたり,結婚したりする人も
いる.しかし,多くの場合,オンライン上で存在しえな
い相手の情報(表 5)[6] が多く存在する現実世界では,
自分が描いた理想像と実際の人物像とのギャップが生
じ,また,理想像を描いている程,理想が崩れたときの
ショックは大きいため,オンライン上から現実世界への
人間関係の継続は困難である.その事例として,出会い
系サイトにおける男女間のトラブルが急増している.
2 つ目は,オンライン上の人間関係がファースト・ベ
ストの体験を味わうことが困難な点である.「一般に真
のたのしみの味わいがない場合に,いくらでも量と追求
するという嗜癖が成立する」[3] とされていて,オンラ
イン上の人間関係に強く依存することは,オンライン上
の人間関係では「真のたのしみ(=現実世界の人間関
係)」に達しないことを意味する.つまり,人がオンラ
イン上の人間関係に依存してしまうこと自体,オンライ
ン上の人間関係はセカンド・ベストであり,現実世界の
人間関係と代替不可であることを示している.
そして、人は人間関係がこじれたときに謝罪して修復
を図ろうとする.謝罪は謝る側に心の余裕が必要である.
しかし,人から非難や反論されたときはしばしば心が傷
つく.心が傷つけば心を守ろうと必死になり,自分の正
しさを主張したくなる.オンライン上では,現実世界よ
りもこの悪循環を引き起こしやすい.
上述のように,オンライン上のコミュニケーションで
3
ゲームの世界ですら,現実世界で人間関係を築ける程の
十分な社会的インタラクションは生じにくい.
は,相手の感情を和らげる効果を持つ相づちは存在しに
くいため,互いに心を傷つけやすい.また,論理が強調
されたやり取りが頻繁に行えてしまうため,自己正当化
のために,相手の言葉のスミをつつくような言葉の応酬
となる.こうしてオンライン上では,ますます互いの心
を傷つけ,更に激しい争いに発展しやすい.
つまり,オンライン上では,傷ついた心を時間と共に
癒し,相手を論破してやろうという誘惑に勝つまで時間
をおいてから謝罪しない限り,現実世界ほど人間関係が
こじれたときの修復は困難である.また,「匿名性」に
よって都合が悪ければ勝手にオンライン上から去るこ
とが可能な点も,人間関係の修復を困難にさせる.
4.1.2 3 種のゲーム空間デザインモデル
4.1.1 小節より,生身の交感を持てるような物理的に
同じ場所(Co-location)でプレイヤーが活動をしなけ
れば,現実世界で人間関係を築ける程の十分な社会的イ
ンタラクションは生まれず,逆に,ゲーム製作者が意図
しなくても,物理的に同じ空間でプレイヤーが存在すれ
ば,十分な社会的インタラクションはプレイヤー間で自
然発生するのである.そこで,我々はまず,プレイヤー
が物理的に同じ場所で遊ぶ制約を設けた環境
(Co-location)を提供する.プレイヤーが Co-location
に集まることで,社会的インタラクションの基本行動の
人と人との Communicate や,相互規制の自分自身の気
持ちや言動の Control などといった 5C(表 1)が生ま
れ,結果として面白さへと派生する.
更に,コンピュータゲームの利点を用いることで,
Co-location で遊びたいとプレイヤーに思わせたり,
Co-location での遊びをより刺激的にしたりするための
ゲーム空間(Online と Offline)が存在するゲームデザ
インモデルを提案する(図1)
.
4 ゲームモデルとゲーム案
4.1 ゲームモデル
本節では,本論文の目的である『物理空間自体がゲー
ムプレイ空間となり,プレイヤー間の社会的インタラク
ションを促進するコンピュータゲームを作りたい』とい
う目的を成し遂げるためのユビキタス・ゲームデザイン
モデルを提案していく.そのためには,まず始めに,従
来の子供の遊びとコンピュータゲーム(オンラインゲー
ムを含む)との根本的な違いについて考察する.
4.1.1 従来の遊びとコンピュータゲーム
コンピュータゲームでは暴力的な表現をしているこ
とが多いため,精神衛生に悪影響を与えるとしてしばし
ば批判の対象となる.しかし,昔から存在する子供の遊
びにも,暴力的な表現は埋め込まれていた.例えば,鬼
ごっこには盗みや騙しや暴力が埋め込まれていたし,
「盗み」などの反社会的行動は子供たちの楽しい遊びで
あったはずである.
では,従来の子供の遊びとコンピュータゲームの根本
的な違いは何なのか.それは,生身の交感に基づいた相
互規制が存在するかどうかである.従来の遊びでは,明
らかな自己中心的な言動は,自然とその相互規制の本能
によって厳しくたしなめられた.生物社会が相互規制に
よって動機平衡を得ているのと同じようなバランス感
覚を身に付ける機会を与えてれくれる.この一連の行動
こそが社会的インタラクションと言える.これに対して
コンピュータゲームでは,生身の人間と向き合う必要が
ないため,脱アイディティティの快楽を与えてしまい,
相互規制する環境が生まれにくい.
更に,インターネット上のオンラインゲームについて
も考察する.オンラインゲームの多くはチャットによる
プレイヤー同士のコミュニケーションを可能にしてい
る.しかしこれは,3.3 節で人間関係の形成・維持に関
する問題を提示した通り,社会的インタラクションには
不十分である.また,オンラインゲームではプレイヤー
に対して反社会的な行動を起こさせないために技術的
解決策を用意している[18].例えば,オンラインゲーム
には PK(プレイヤー・キリング)というプレイヤーが
プレイヤーを倒すことを可能にするシステムが存在す
る.このシステムはオンラインゲームを面白くする重要
な要素であり,人気を呼んでいる.しかし,PK が自由
に行えると初心者のゲームプレイの妨げになるため,大
抵のオンラインゲームでは PK を行ったプレイヤーに
ペナルティを課す.しかし,このシステムでは,強者が
弱者に対して,または,ゲーム製作者が悪質なプレイヤ
ーに対して,一方的な(あるいは強制的な)規制ばかり
となる.
このように,現実社会を主観的に再現したオンライン
図1:ユビキタス・ゲームデザインモデル
このモデルでは,3種のゲーム空間はそれぞれが独立
しているのではなく,あるゲーム空間でプレイヤーがと
った行動は,他のゲーム空間にも影響を与える.つまり,
ゲームはひとつのゲーム空間では完結せず,プレイヤー
はそれぞれのゲーム空間を歩き回ることが可能である.
Co-location ゲーム空間から Online ゲーム空間への移
動は,プレイヤーが他のプレイヤーと同居している
(Co-location)環境から,ネットワーク環境を利用可
能な環境内で物理的に移動して離れることを意味する.
その逆の移動は同居している環境内に物理的にもう一
度入ることを意味する.Co-location ゲーム空間から
Offline ゲーム空間への移動は,プレイヤーが他のプレ
イヤーと同居している(Co-location)環境に存在して,
且つ,ネットワークを利用可能な環境から,ネットワー
クの通じない環境へと物理的に移動するか,故意にネッ
トワークを切断することを意味する.その逆の移動は,
ネットワークを利用できない環境から,ネットワークを
再接続し,且つ,他のプレイヤーと同居している
(Co-location)環境に入ることを意味する.Online ゲ
ーム空間と Offline ゲーム空間での移動は,プレイヤー
が他のプレイヤーと同居しない(Co-location でない)
環境で,ネットワークを切断したり,再接続したりする
ことを意味する.
また,このゲームデザインモデルは Co-location だけ
のものと比較して3つの利点が存在する.
4
1 つ目の利点は,Co-location ゲーム空間に参加する
ことに敷居の高さを感じてしまうプレイヤーも,社会的
インタラクションを必要としない Offline や Online ゲ
ーム空間を経ることで,Co-location ゲーム空間に自然
と参加してもらえる点である.2つ目の利点は,このデ
ザインモデルが多様な環境をサポートしているという
特徴である.センサ技術と無線ネットワーク技術によっ
て提供される Co-location ゲーム空間,ネットワーク技
術によって提供される Online ゲーム空間,ネットワー
ク環境がなくてもプレイ可能な Offline ゲーム空間,そ
れぞれのゲーム空間に対してゲームを提供しているた
め,ユーザの多様な行動範囲や時間に制限を与える必要
がない(図 2)
.3 つ目の利点は,プレイヤーが故意に 3
つのゲーム空間を移動することによって,ゲームに幅広
い戦略を持たせることが可能であることである.
なっている.これらの手がかりはそれぞれのプレイヤー
の意思で自由に見ることができるが,手がかりを見てし
まうと,その写真を当てたときに獲得できるポイントは
減少する.手がかりが重要なものであれば,当然,減少
するポイントも増加する.写真を当てる操作は,当てた
い写真を選択した後に,自分のカメラで同じ写真を撮影
し,コンピュータに判定してもらう方法をとる.
例えば,手がかりを何も見ない時の写真のポイントが
100p で,「時間」を見ると−10p,「撮影した位置」を
見ると-40p とすると,この2つの手がかりを見たとき
の写真のポイントは 50p になってしまう.そして,そ
の写真を当てたプレイヤーのスコアが 180p,カメラマ
ンのスコアが 250p である場合,当てられた後のスコア
はそれぞれ,当てたプレイヤーが 230p,カメラマンは
.
200p となる(図 3)
図2:物理空間における3つのゲーム空間の関係
図 3:点数の獲得例
4.2 Photo Clues
4.2.1 ゲームデザイン
Photo Clues では,アイテムという概念も用いる.ア
イテムは,プレイヤーが写真を公開するときに使用され,
1回使用すると消費してしまう.アイテムの効果には,
自分が撮る写真をグレイスケール等の他のプレイヤー
からどこの写真か分かりにくくするためのフィルター
をかけてくれる.
プレイヤーは,アイテムや自分のアイディアを駆使し
て多くの写真を撮影し,他のプレイヤーから当てられに
くい写真を公開しながら,他のプレイヤーが撮影した写
真をなるべく少ない手がかりで数多く当てて,高いスコ
アを目指す.
Photo Clues は,個々でスコアを競うことだけでな
く,グループ毎でスコアを競う団体戦が可能である.ま
た,Photo Clues の制限時間を短時間に設定することで,
ゲームはその場限りの競技としての性質を持つ.また,
ゲーム空間を広く設定し制限時間を長期間にすること
で,日常生活の中で長期的に継続してゲームを行うこと
を可能にする.
ここ数年,カメラ付き携帯電話は広くエンドユーザに普
及した.しかし,モバイル特有の性質を捉えたサービス
に画期的なものが少ない.こうしたどこでも気軽に写真
を撮影できる環境と携帯電話に GPS レシーバや電子コ
ンパスなどのセンサデバイスを標準装備したもの
(KDDI から発売されている C3003P など)の登場に
より,写真とセンサデバイスを組み合わせて新しいユビ
キタス・ゲームを作ろうと考えた.
我々は,このアイディアを 4.1 節で提案したゲームデ
ザインモデルに適用して,社会的インタラクションを実
現するゲームとして,Photo Clues を提案することにし
た.
4.2.2 ゲームシナリオ
Photo Clues は,特定の物理空間(大学のキャンパス
や公園など)で,複数のプレイヤーが参加してスコアを
競うゲームである.プレイヤーはゲームに初めて参加す
る時点で,特定量の得点を持つ.得点を獲得する方法は
デフォルトで2つ用意されている.
4.2.3 3 種のゲーム空間との対応
4.2.2 節で説明してきた内容が,ゲームデザインモデ
ルの Co-location ゲーム空間に当たり,プレイの中心と
なる.Co-location ゲーム空間に対応する物理空間を広
範囲に設定すれば,プレイヤーは長い距離を歩く必要が
あったり,時には急ぐために走ったりしなければならな
い状況が生まれる.また,プレイヤー間で連絡すること
にペナルティを課していないため,オンラインでのチャ
ットよりも迅速かつ容易な方法である,物理的に同じ位
置に集まり,面と向かって話す機会が増える.その結果
団体戦では作戦を練ったり,自分の推理などの意見交換
・写真撮影 写真を撮影して他のプレイヤーに公開す
る.
・写真を当てる 他のプレイヤーが公開した写真がど
この写真か手がかり(Clues)を元に当てる.写真には
決められたポイントがあり,プレイヤーが写真を当てる
と,カメラマンからポイントを奪える.写真には,カメ
ラマンの名前や,撮影した位置や時間などの手がかりが
付加されているが,写真を公開した時点では全ての手が
かりは他のプレイヤーには伏せてあり,見えない状態に
5
のようなネットワークに接続されているホストの動的
な変更)に対応していて,具体的には 3 つの概念を用
いている.
1 つ目は,Linda システムのように1つの Tuple
Space がサーバで動いているのではなく,他のホストと
一時的に共有可能な複数の Tuple Space を1台のホス
トが保持できる点で,LIME では共有の状態で,Private
(全く共有しない), Host-Level (プロセス間で共有),
(デバイス間で共有)の 3 種類に Tuple Space
Federated
を区別している.2 つ目は,Tuple Space が複数存在す
るため,ネットワークの状態を監視する特殊な Tuple
Space を用意したことで,アプリケーションプログラマ
はこの Tuple Space を操作せずに,自由に他のデバイ
スと Tuple Space を共有することが可能である.3 つ目
は,本来 Tuple Space ではサポートしていないイベン
ト通知のサポートである.
したりする活動から,社会的インタラクションは自然に
発生する.
Online ゲーム空間は Co-location ゲーム空間でのイ
ンタラクションを妨げることなく,Co-location ではフ
ォローできない範囲でのゲームの状況通知,チーム間で
の秘密のコミュニケーション,アイテムの交換などを行
えるようにする.このゲーム空間は,Co-location ゲー
ム空間のサポートを行っている.
Offline ゲーム空間では,従来のビデオゲームのよう
な簡単なミニゲームをクリアすることによって先ほど
説明したような Co-location ゲーム空間で使用できるア
イテムを獲得できるようにする.このゲーム空間は,
Co-location ゲーム空間でのプレイをより刺激的なもの
へとしている.
Photo Clues では,写真撮影と写真を当てさせること
によって,プレイヤーに同じ場所でプレイさせる制約を
与えているが,プレイヤーのストレスは少ない.それは,
Online や Offline ゲーム空間の使用により,ユーザは
情報負荷の低い状態から始めることが可能であり,そこ
からより情報負荷の高い Co-location へと自然と刺激を
求めるようになるからである.
5.3 実装
PhotoClues の開発は RedHat Linux9.0 上で行われ,
USB カム(Logitech Quickcam Pro 4000)とアウトド
ア用 GPS レシーバ(GARMIN eTrex Summit)を
RS-232C で接続したノート PC(ThinkPad X23)を使
用し(図 4)
,Java 言語を利用して行った.
5 Photo Clues の設計と実装
5.1 設計方針
本節では,4.2 節で示した Photo Clues のシナリオを
実現するための要求を列挙する.
・ユビキタス・ゲームデザインモデルの実装 開発を
容易にするために,3 種のゲーム空間を独立に設計や実
装が行えるべきである.具体的には,3 種のゲーム空間
を連結する手段を持ち,あるゲーム空間でプレイヤーが
とった影響を他の2つのゲーム空間にイベント通知を
可能にする.
・協調作業の実装 団体戦を可能にするためには,チ
ームで情報やポイントを共有したり,チーム内だけで連
絡を取り合えるべきである.
・ゲームの入退場 ユーザはゲームの参加,一時中断
をいつでも自由に出来る必要がある.
・サーバを必要としない 屋外で遊ぶにはわざわざサ
ーバを立てたりせずに,ネットワーク環境さへあれば遊
べる手軽さが必要である.
・耐障害性 無線ネットワークであるため,急な切断
や再接続が頻繁に生じてもゲームを再スタートしない
でもすむ耐障害性が必要である.
・OS やデバイスへ依存しない設計 より多くのユーザ
に遊んでもらうために OS やデバイスに強く依存する
ような設計をすべきではない.
図 4:Photo Clues デバイス
図 5 は Photo Clues の全体像である.Photo Clues
は,大きく分けて4つの部分からなる .3つのゲーム
空間からなる部分,3 つの Tuple Space,写真やプレイ
ヤーのリスト管理する部分,外部のデバイスからデータ
を受信する部分である.
我々は,これらを容易に実現にしてくるミドルウェア
として今回は LIME[13]を使用した(詳細は 5.2 節)
.
5.2 LIME の概要
LIME とは,Java 言語による実装で,Washington 大
学で開発された,物理的,論理的にモビリティを持つア
プリケーション開発のためのミドルウェアで,Linda
システムによって有名になった Tuple の考え方を拡張
したものである.Tuple の最大の特徴とは結合度が弱い
非同期通信システムを構築可能な点である.LIME では,
この Tuple Space の基本概念を維持しつつ,論理的モ
ビリティ(モバイルエージェント)と物理的モビリティ
(ネットワークの切断や一時的なコミュニティの形成
図 5:Photo Clues 全体像
3 つのゲーム空間はそれぞれ独立したモジュールか
らなり,ユーザの移動を監視するためのモジュールを別
に用意した.3 つの Tuple Space は,写真とその手がか
6
図 6:ゲーム画面(左上:Co-location 画面,右上:Online 画面,右下:Offline 画面)
りに関するデータ,参加しているプレイヤーに関するデ
ータ,現在のゲーム状況に関するデータそれぞれの保存
及び,共有のためのものである.写真やプレイヤーのリ
ストを管理する部分は,新しく写真を撮影したり,プレ
イヤーが参加してきた場合に新しくプレイヤーオブジ
ェクトを作成したり,スコアによってプレイヤーの並べ
替えを行たりする.
図 6 は実際のゲーム画面になる.
Co-location 画面の右半分では,カメラからの映像を見
てシャッターボタンを押し,写真のタイトルを入力する
操作が行える.左半分は,プレイヤーが公開した写真が
表示され,手がかりを表示するためのボタンが用意され
ている.具体的な手がかりとして,
「カメラマンの名前」
,
「写真のタイトル」
「撮影日時」,
,
「撮影位置(緯度経度)」,
「撮影の方向(方位)
」の 5 種類を用意した.
Online 画面では,画面の右半分でプレイヤーのランキ
ングの表示,左半分でプレイヤー間のチャットとゲーム
の状況通知を見ることを可能にしている.
Offline 画面の右半分は,ルーレットゲームとなって
おり,揃った絵によってアイテムを獲得することが可能
である.左半分は,アイテムリストになっており,アイ
テムの使用するか決定することが可能である.アイテム
の効果には,グレイスケール,
レッドスケール,鏡像化,
4 分割の 4 種類を用意した.
これに加えて,Photo Clues では,コンピュータゲー
ムの利点を多く活用している(表 7)
.表 7 の以外にも,
今回はコンピュータゲーム特有のアイテムの概念を用
いている.
利点
自由度の高さ
活用例
プレイヤー数や多様なプレイス
タイルをサポート
レフリー
写真を当てるときの判定
リアルタイム処理
自分の推理に対して瞬時のフィ
ードバック
情報の隠蔽
手がかりの隠蔽と表示
ネットワーク
Online ゲーム空間
表 7:コンピュータゲームの利点と活用例
また,Photo Clues では自分の撮った写真を他の人に
見せたい「認識の欲求」とスコアを競う「優越性の誇示」
の,表3で示した副次的な動機のうち2つを刺激するこ
とで,より多くのプレイヤーが参加したいと思える内容
を目指した.
6.1.2 貧弱なインターフェイス
Photo Clues では,プレイヤーに対して従来の GUI
を操作方法として提供した.その結果,「写真撮影」時
のタイトルの入力方法,隠された手がかりを見る操作,
「写真を当てる」操作などがプレイヤーにとって直感的
でないために,コンピュータゲームの弱点である貧弱な
インターフェイスという課題が浮き彫りとなった.今後
は,伝統的なゲームのもう一つの特徴である,tactile
and visual quality を意識し,タンジブル・インターフ
ェイス技術の適用を考える必要がある.
6 評価と考察
6.1 ゲームデザイン
6.1.1 デザインモデルとゲーム性の追及
Photo Clues は,我々が提案したユビキタス・ゲー
ムデザインモデルを利用したことで,比較的容易に社会
的インタラクションをゲームデザインに含むことが可
能であった.
また,Photo Clues では心理学から考察することで多
様な面白さを含んでいる.Photo Clues の面白みと面白
さの分類(5C)との比較を表 6 に示す.
6.2 アーキテクチャ
6.2.1 LIME の問題
LIME を利用して Photo Clues の実装をすることで,
ユビキタス・ゲームの要素を容易に開発することができ
た.しかし,いくつか問題点があった.
LIME のイベント通知システムは,イベントを通知す
る Tuple Space はイベント通知が終了するまで,Tuple
Space へのデータ操作がブロックされてしまう.またイ
ベント通知システムの停止が保障されていないのが問
題である.また,複数のデバイス間で Tuple Space を
共有する(Federated Tuple Space)の同期コストが比
較的高い.Photo Clues はイベントを頻繁には通知しな
5C
Catch (Sense)
Create
Control
説明
視覚情報(屋外の風景)
写真撮影,写真を当てる
物理空間の移動,カメラの操作
チーム内での自分の立場
Communicate
プレイヤー間(チーム内)での連絡,
作戦
Comprehend
手がかりからの推理
表 6:面白さとの比較
7
Design”,
http://www.vancouver.wsu.edu/fac/peabody/game-boo
k/Coverpage.html
[5] M.Csikszentmihalyi, “Beyond Boredom and
Anxiety: Experiencing Flow in Works and Play”, San
Francisco: Jossey-Bass Inc.Publishers, 1975 年
[6] 大坊郁夫, 対人行動 III :対人コミュニケーション
山口 勧編 社会心理学(改定版)放送教育振興会,
1993 年
[7] M.J.Ellies, “Why People Play”, Pretice-Hall, 1973
年
[8] J.Huizinga, “Home Ludens,: A study of the play
element in culture”, New York: Harper & Row 1939,
1970 年
[9] Interactive Digital Software Association,
http://www.idsa.com
イ ン タ ー ネ ッ ト 心 理 学 ,
[10]
http://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/net/
[11]
Matarazzo.J.D.,Wiens,A.N.,Weitman,M.
Allen,B.V, 1964 Inteviewer Head Nodding and
Interviewee
Speech
Durations,
Psychotherapy:Theory,Research and Practice,1,54-63,
1964 年
[12] J.Morahan-Martin, P.Schumacher, "Incidence
and correlates of pathological Internet use among
college students.", Computers in Human Behavior,
16(1), 13-29, 2000 年
[13] A.L.Murphy, G.P.Picco, G.Roman, “LIME: A
Middleware for Physical and Logical Mobility”, In
Proceedings of the 21st International Conference on
Distributed Computing
Systems (ICDCS-21),
Phoenix, AZ, USA, April 16-19 2001, pp. 524-233,
2000 年 2 月
い設計であったため,LIME での実装でも十分にプレイ
可能であったが,イベントが頻繁に通知されるゲームで
は LIME の同期コストではプレイ困難な状態になる.
6.2.2 写真の判定
Photo Clues での「写真を当てる」操作において,写
真が当たっているかどうかをコンピュータに判断させ
る方法に,
「写真を撮影した位置」
「撮影した方向」の2
点でマッチング判定を行っている.どちらも GPS レシ
ーバから出力される経緯度と電子コンパスによる方位
を用いているが,GPS レシーバで提供できる経緯度の
誤差は最小で3メートルであり,電子コンパスは正しく
精度補正を行わないと精度が大幅に低下する恐れがあ
るため,判定には不十分であった.今後は,ディジタル
画像解析におけるパターン認識を用いることで精度を
高める必要がある.
6.2.3 Co-location の判定
Photo Clues で は , プ レ イ ヤ ー が 同 じ 場 所
(Co-location)に同居しているかどうかを判定するセ
ンサデバイスとして GPS レシーバを使用した.そのた
め,Co-location ゲーム空間は長方形であった(例えば,
北緯 a 度,東経 b 度から北緯 c 度,東経 d 度までと設
定した場合,|a−c|×|b−d|が Co-location ゲーム空
間となる).これは,公園やキャンパスなどの単位で空
間を判断するプレイヤーにとって直感的ではない.今後
は,プレイヤーがより直感的に感じられるような空間の
区切りを可能にするため,複数のセンサデバイスやネッ
トワーク環境をどのように使用して情報を抽象化して
いくか考える必要がある.
7 まとめ
[14] T.Nakajima, H.Ishikawa, E.Tokunaga,
F.Stajano: "Technology Challenges for Building
Internet-Scale Ubiquitous Computing", Proc.
The 7th IEEE International Workshop on
Object-Oriented
Real-Time
Dependable
Systems (WORDS2002), 2002 年 1 月
[15] T.Nakajima, E.Tokunaga, H.Ishikawa:
"Building
Middleware
Component
for
Ubiquitous Computing on Commodity”, The 8th
International
Conference
on
Real-Time
Computing
Systems
and
Applications
(RTCSA2002), 2002 年 5 月 Software"
本論文では,ゲームの「面白さ」,現実世界の社会的
インタラクションの重要性を考察し,社会的インタラク
ションを実現するためのユビキタス・ゲームのためのゲ
ームデザインモデルを提案した.そのゲームデザインモ
デルに基づいたゲームとして Photo Clues というゲー
ムを考案し,プロトタイプを実装,考察した.
今後,実際に複数人でのゲームプレイを評価し,
Co-location による社会的インタラクションの発生の
調査および Online, Offline ゲーム空間との連携に対す
るユーザの反応を調査したい.また,屋外でのプレイを
容易にするために,より小型のデバイス(PDA や携帯
電話など)に Photo Clues を移植したい.
[16] 小川 純生, ”遊び概念 –面白さの根拠-”, 『経営論
集』
(東洋大学研究所論文集), 2003 年 2 月
[17] 小川 純生, ”遊びは人間行動のプラモデル?”,
『経営論集』
(東洋大学研究所論文集), 2003 年 3 月
[18] P.Wallace, "The Psychology of the Internet",
Cambridge, UK: Cambridge University Press, 1999
年
[19] M.Weiser. The Computer for the Twenty-First
Century. Scientific American, pp.94-10, 1991 年 9 月
参考文献
[1]
R.Anasasi,
N.Tandavanitj,
M.Flintham,
A.Crabtree,
M.Adams,
J.Row-Farr,
J.Iddon,
S.Benford. T.Hemmings, S.Izadi, I.Taylor, ”Can You
See Me Now? A CityWide Mixed-Reality Gaming
Experience”, submitted to Ubicomp 2002
[2]
S.Bjork,
J.Holopainen,
P.Ljungstrand,
K.Akesson, ”Designing Ubiquitous Computing
Games – A Report from a Workshop Exploring
Ubiquitous Computing Entertainment”, Personal
and Ubiquitous Computing, Volume 6 No 5-6,
Pages 443-458, 2002 年 4 月
[3]
Center
for
Educational
Computing,
http://www.cec.or.jp/
[4] Chris Crawford, “The Art of Computer Game
8