2 0 1 4 第9号 - 弘前大学 共通教育棟

第9号
2014
特別寄稿
1 アクティブラーニングの環境整備 林 一雅
論 文
9 1)ボローニャ・プロセスへの対応による新たな学位・単位制度の活用と課題
─ドイツ・スイスにおける取組から─ 田中正弘,森 利枝
19 2)地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングについての一考察 ─顧客満足の追求─ 保田宗良
27 3)医学科1年次教育科目「臨床医学入門」におけるワークショップ授業の教育効果
加藤博之,松谷秀哉,大沢 弘,中根明夫
35 4)外国語授業における創造的なタスクの推進 バードセール・ブライアン 43 5)仕事を楽しめる能力 ∼アクティブラーニングとの接点∼ 小磯重隆
53 6)文法を教えるという難題から私が学んだこと フォーサイス・エドワード
書 評
61 1)安部 孝/真田樹義/尾崎隼朗著『サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する』
(ナップ、2013年)
戸塚 学
63 2)藤本夕衣著『古典を失った大学―近代性の危機と教養の行方』
(NTT出版、2012年)
仁平政人
講演会及び研究集会の記録
65 1)
「生命科学分野における必要な基礎教育」に関する意見交換(生物学)
─農学生命科学部若手FD座談会より─(『21世紀教育センターニュース』より転載) 大河 浩
67 2)アクティブラーニングを考える ─「人間のこれから」という授業の実践から─
(『21世紀教育センターニュース』より転載) 藤田昇冶
69 3)平成24年度弘前大学非常勤講師研修会 テーマ「21世紀教育科目に関する研修会および意見交換会」
(『21世紀教育センターニュース』より転載) 田中正弘
その他
71 1)平成25年度前期21世紀教育に関する学生アンケート(『21世紀教育センターニュース』より転載)
刊行・投稿規定・執筆要項
『21世紀教育フォーラム』
(第 9 号)
目 次
特別寄稿
アクティブラーニングの環境整備………………………………………林 一 雅
1
論 文
1 )ボローニャ・プロセスへの対応による新たな学位・単位制度の活用と課題
─ドイツ・スイスにおける取組から─ ……田 中 正 弘,森 利 枝
9
2 )地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングについての一考察
─顧客満足の追求─ ………………………………………………保 田 宗 良 19
3 )医学科 1 年次教育科目「臨床医学入門」における
ワークショップ授業の教育効果 ……………加 藤 博 之,松 谷 秀 哉 大 沢 弘,中 根 明 夫 27
4 )外国語授業における創造的なタスクの推進
…………………………………………………………バードセール・ブライアン 35
5 )仕事を楽しめる能力 ~アクティブラーニングとの接点~
………………………………………………………………………小 磯 重 隆 43
6 )文法を教えるという難題から私が学んだこと
…………………………………………………………フォーサイス・エドワード 53
書 評
1 )安部 孝/真田樹義/尾崎隼朗著 『サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する』
(ナップ、2013年)
………………………………………………………………………戸 塚 学 61
2 )藤本夕衣著 『古典を失った大学―近代性の危機と教養の行方』
(NTT 出版、2012年) ………………………………………………仁 平 政 人 63
講演会及び研究集会の記録
1 )「生命科学分野における必要な基礎教育」に関する意見交換(生物学)
─農学生命科学部若手FD座談会より─
(『21世紀教育センターニュース』より転載)……………………大 河 浩 65
2 )アクティブラーニングを考える
─「人間のこれから」という授業の実践から─
(『21世紀教育センターニュース』より転載)……………………藤 田 昇 冶 67
3 )平成24年度弘前大学非常勤講師研修会
テーマ「21世紀教育科目に関する研修会および意見交換会」
(『21世紀教育センターニュース』より転載)……………………田 中 正 弘 69
その他
1 )平成25年度前期21世紀教育に関する学生アンケート
(『21世紀教育センターニュース』より転載)……………………………………… 71
刊行・投稿規定・執筆要項…………………………………………………………………… 74
特別寄稿
1
特別寄稿
アクティブラーニングの環境整備
Learning spaces for active learning in university
林 一 雅*
Kazumasa HAYASHI
要 旨
近年、大学の授業においてアクティブラーニングが注目されている。アクティブラーニングを支援す
るための環境整備として、その分野で先行している米国マサチューセッツ工科大学における ICT を活
用したアクティブラーニングとシンガポール工科デザイン大学の事例を紹介する。さらに、東京大学教
養学部に設置されたスタジオ型教室が整備された概要について述べる。
キーワード:アクティブラーニング、スタジオ型教室、マサチューセッツ工科大学、シンガポール工科
デザイン大学、東京大学教養学部
1 はじめに
1990年代以降、大学教育において教員が一方的に講義をする授業スタイルが見直され、学生が自ら主
体的に学習活動に取り組む授業形態・学習課題が重視されるようになってきた。この背景としては、大
学教育の質保証問題やファカルティ・ディベロップメントの潮流がある。大学教育に対して、社会や学
生からの多様なニーズに対応するため、大学制度やその教育の在り方について変革が求められてきてい
る。
日本の大学教育では学習者が集団で、問題の探究・解決学習を行う学習方法がさかんに取り入れられ
るようになってきた。こうした学習方法は「グループワーク」や「プロジェクト型学習」と呼ばれてい
る。学生に学習の動機付けを図り双方向的な学習形態に対応するため、伝統的な教員による一方向的な
講義形式の教育とは異なり、学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称として、
アクティブラーニングが注目されている。アクティブラーニングは、読解・作文・討論・問題解決など
の高次思考課題を行う学習である(Bonwell・Eison 1991)。文部科学省の中央教育審議会「学士課程教
育の構築に向けて」において、
「伝統的な教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学習者の
能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称である。学習者が能動的に学ぶことによって、
後で学んだ情報を思い出しやすい、あるいは異なる文脈でもその情報を使いこなしやすいという理由か
ら用いられる教授法である。発見学習、問題解決学習、経験学習、調査学習などが含まれるが、教室内
でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークなどを行うことでも取り入れられ
る。
」とアクティブラーニングを定義している。また、東京大学教養学部では、「学生自らが情報を整理
*東京農工大学 総合情報メディアセンター 助教
Assistant Professor, Information Media Center, Tokyo University of Agriculture and Technology
2
特別寄稿
して課題を見つけ出し、様々な視点から能動的に課題解決に取り組むこと」として、個別学習と協調学
習の連携が必要としている。
本論では、多様な教員集団による大学教育においてアクティブラーニングを導入するために試みが行
われている事例を紹介しながら、アクティブラーニングの環境整備を紹介する。
2 アクティブラーニングに求められている学習空間
協調学習、プロジェクト学習などの多様な学習形態のアクティブラーニングに対応した多様な学習空
間は、大学の教室に必要になってきている。さらに、情報通信技術の進歩により、インターネットを活
用した授業も展開されており、それらの授業にも対応した学習空間が求められている。
従来の伝統的な講義形式とは異なるアクティブラーニングを円滑に導入するためには、学習環境とし
て、空間・活動・共同体・人工物を有機的にデザインする必要がある(美馬・山内 2005)。アクティブ
ラーニング型の授業を行う場合には、教室環境が制約になることがある。その問題を解決する方法とし
て、ラーニングスペース研究が欧米を中心に注目されている。ラーニングスペース研究とは、大学全体
や教育棟、教室などの学習空間を再設計し ICT なども活用して、学生の能動的な学習を支援しようと
する研究群である。例えば、Diana(2006)は、米国の大学で取り組まれているラーニングスペースの事
例を紹介している。これまでの先行研究では、特定の領域(理学、工学、美術など)において ICT とラー
ニングスペースの活用や実践が報告されてきた。そのため、特定の授業科目と授業内容に対応したラー
ニングスペースがデザインされていることが多い。国内でもアクティブラーニングを支援するためのス
タジオ型教室が整備されつつある。例えば、東京大学教養学部、広島大学、嘉悦大学、金沢大学、九州
大学、九州工業大学などで整備されている。
美馬ら(美馬・山内 2005)は、こうした空間のデザイン原則として、 1 :参加者全員にとって居心
地の良い空間であること、 2 :必要な情報や物が適切なときに手に入ること、 3 :空間の可視性を高め
るなどして、仲間とのコミュニケーションが容易に行えることを挙げている。また、空間デザインをよ
り有効なものにするためには、プロジェクト学習をカリキュラムに取り入れるなど、実際に行われる活
動や文脈をもトータルにデザインする必要性を指摘している。こうした考えはグループ学習室のような
個別の教室にも反映されている。机・椅子は小型かつフレキシブルに、壁面にはホワイトボード、教室
の随所にコンピューターが配置され、学生がいつでもどのような形態でもコミュニケーションでき、情
報を探索し、共有することが可能なようにデザインされている。
3 海外事例の紹介
東京大学教養学部では、教養教育課程での授業にアクティブラーニングを導入するために米国マサ
チューセッツ工科大学や公立はこだて未来大学などの教室を視察して、導入のための調査を実施した。
ここでは、米国マサチューセッツ工科大学の物理学を対象としたスタジオ型教室の事例とそれらの教育
方法を全面的に導入したシンガポール工科デザイン大学の事例を紹介する。
3.1 マサチューセッツ工科大学の事例
マサチューセッツ工科大学では、セメスター制(秋学期 9 月∼ 12月、春学期 2 月∼ 5 月)が採用され
ており、 1 月には Independent Activity Period(IAP)と呼ばれる自己研鑽プログラムが用意されてい
る。日本の大学とは異なり、学生は 1 セメスターあたり 3 科目か 4 科目の科目を履修している。しか
し、 1 科目あたりの単位数は、12単位になる。General Institute Requirements(GIRs)と呼ばれる全学
部学生に対する必修のコアカリキュラムが実施されている。理学部と工学部における理科系の必修科目
特別寄稿
3
は、おおむね初年次に開講され、物理は力学と電磁気学で 2 学期間、数学は一変数解析と他変数解析で
2 学期間、化学と生物はそれぞれ 1 学期間実施される。学生はその他に 4 年間で、自分の専攻学科の実
験科目と 8 つの人文社会系の科目と 4 つの体育の科目の単位を取得しなければ卒業できない。主要科目
の多くは 1 科目あたり12単位の授業である。その主要科目は、通常週に 3 回の講義が行われ、その他に
演習や実験、チュートリアルが実施される。さらに、事前課題や宿題が課される。教員の授業負担は、
1 セメスターあたり 1 科目程度であるという。表 1 に示すのは、物理学科の標準的な履修科目の一覧で
ある。 1 年時は必修科目の電磁気学や化学と生物を履修する。そして、 4 年間にわたり人文・芸術・社
会科学の科目を履修している。
1 年生の必修科目「8.02 Electricity and Magnetism」では、テクノロジーを活用したアクティブラー
ニングの授業方法(Technology Enabled Active Learning: TEAL)にて実施されている。この教育プロ
ジェクトは、2001年の秋学期に開始されている。その背景には、物理学の一斉講義700名への25%とい
う出席率の悪さ、必修科目の落第率が12%であることは MIT では高く問題点と認識された。さらに、
これらの物理学の授業で利用できる実験室がないため、講義した理論を実験にて確認することができな
かった点などがある。これらの問題点を解決するために、講義をインタラクティブにして学生が能動的
に関与できるような授業を開発して開始した。「8.02 Electricity and Magnetism」の講義は、 1 年生全
員を対象にして、 9 クラスに別れて統一の教材を用いて、統一の教授法で講義が展開されている。事前
課題のテキスト「Mastering Physics」も開発されており、オンラインで学生 ID を登録してログインし学
習する仕組みになっている。また、講義の教材はウェブサイトに公開されており、スライドや課題がい
つでもダウンロード可能になっている。
この教育プロジェクトの講義では、図 1 に示す特別に設置されたスタジオ型教室にて行われている。
学生は、12の円形のテーブルに 9 人毎に座り、 3 人 1 組で各テーブルに収納された PC を使って、課題
に取り組む。教室の壁面には、スクリーンが 8 つとホワイトボードが12枚配置されている。学生は、そ
のホワイトボードを活用して、教員から出された課題にグループで取り組む。各ホワイトボードの天井
には、そのホワイトボードをスクリーンに映せるようにカメラが配置されている。ホワイトボードの下
側に設置されている切り替えスイッチにより、教室内のスクリーンに投影することができる。教室内の
中央に配置された教卓にコンピューターが設置されており、教員は講義内容のファイルや実験の動画
ファイルなどをタッチパネル形式の操作卓から自在に投影することができる。これらの操作は、教員の
他に専属スタッフやティーチングア
シスタントが行うことがある。学生
は、実験を行う前に実験で観察する
現象を説明する物理法則についての
講義を受ける。学生は、講義の内容
に基づいて実験の各段階でどのよう
な結果になるのかについて、予測を
たてる。学生は、その回答につい
て、スライドに提示された回答に
パーソナルレスポンスシステムを用
いて、投票する。これらは、コンセ
プトテストとして、この授業の重要
な位置を占めている。
図 1 MIT スタジオ型教室
4
特別寄稿
図 2 Mathlet http://mathlets.org/
図 2 に示すのは、d'Arbeloff Interactive Math Project にて、開発された Mathlet という電子教材であ
る。電磁気学で紹介される現象をシミュレーションで視覚化している。この講義での学習目標は、受動
的な講義からの脱却、ハンズオン実験の実施、物理学の概念理解、問題解決能力の育成などである。他
には一般的な教育上の目標として、コミュニケーション能力の開発、協調学習の開発、新しい教材開発
や教育手法の開発などがある。
これらの授業を支えるスタッフには、 8 名の教員の他に実験機材などの管理を行う技術サポートのス
タッフ 4 名がいる。教室の隣には、技術サポートの部屋が隣接されており、授業中いつでもコンピュー
ターや教員や学生のサポートができる体制になっている。他には、物理実験の教材作成を行うスタッフ
も数名おり、各種教材の作成を行っている。各授業に約 5 ∼ 6 名のティーチングアシスタントがいる。
このように、授業方法、教材、教室空間が一体となり、それらを支える運用体制やウェブサイトが構築
されている授業では、これまでの講義型の授業との比較実験を行い、その結果、学生の成績が向上した
と報告している(Dori. & Belcher. 2005)。
3.2 シンガポール工科デザイン大学の事例
国連によると、世界の高等教育機関に学ぶ学生の10人に 3 人はアジアの大学に通学しており、高等教
育が重要な役割を果たしている。近年、東アジアや東南アジアにおける高等教育が急速に発展してお
り、大学間での競争が激化している。特にシンガポールの大学は国際的な大学ランキングにおいて高い
評価を得て注目を集めている。
2012 年 に 新 設 さ れ た シ ン ガ ポ ー ル 工 科 デ ザ イ ン 大 学(Singapore University of Technology and
Design:以下、SUTD)の教育支援体制や具体的な教育制度について紹介する。シンガポールでは、 4
校目の国立大学としてシンガポール工科デザイン大学が2012年 4 月に新入生350名を迎えた。なお入学
定員は500名であった。SUTD は、設立に際して、米国・マサチューセッツ工科大学の全面的な協力を
得て MIT の教育システムを導入している。さらに、MIT の工学部長を経験したトーマス・マグナン
ティ(Thomas L Magnanti)教授を学長として招き、他にも複数の教員を採用している。工学系の単科
大学で、建築とサステイナブルデザイン、エンジニアリング製品設計、エンジニアリングシステム設
特別寄稿
5
計、情報システムデザインの 4 つの課程を設置している。
SUTD では、Cohort-based Learning という教育方法を取り入れており、大学の中心的な教育的特徴
となっている。また、デザインを中心として、アントレプレナーシップの教育に力を入れており、発
明・起業などを後押しすることを目標にしており、産業界にて役立つ人材育成を目指しているところ
が、 こ れ ま で の シ ン ガ ポ ー ル の 大 学 と は 異 な る 点 で あ る。 さ ら に、MIT と の 共 同 事 業 で も あ る
International Design Center を設置して、多くの研究プロジェクトを展開しており、若手の教員やポス
ドクが研究活動を行っている。これは、優れた大学は研究活動を重視しているという考えから研究にも
力を入れているからである。SUTD の学期は 8 学期で、 4 ヵ月( 5 月から 9 月まで)の休みを 2 回
(Term 3 、Term 5 終了後)設けている。この間、学生はインターンシップやアメリカ・MIT への留学
ができる。
SUTD の設置にあたり、MIT の包括的な協力のもと、MIT のカリキュラム導入やそれらを指導する
教員の研修などに協力している。カリキュラムは、MIT で実施されているカリキュラムとほとんど同
一の内容となっており、毎年 1 月には、 4 週間の「IPA」という自己研鑚を行う期間となっている。こ
の間、正規の授業は行われず、教職員と学生の共同作業で独自セミナーなどを開催し、または地域社会
の活動に携わる。
SUTD のキャンパスにすぐそばには、HDB と言われるシンガポール政府が建設した団地があり、そ
の建物 1 棟を改装して、学生寮にしている。また、SUTD は、2014年には、主要なキャンパスがチャン
ギ国際空港の近くに移設する計画になっており、工期は2012年 4 月∼2014年 6 月となっており、現在
キャンパスを建設中である。
シンガポール政府は、国内に天然資源がないということもあり、科学技術に力をいれており、SUTD
のように海外のブランド大学として MIT の名前を借りて科学技術力の強化を目指している。本事例は、
新設大学ゆえに新しい理念に基づいて実施できた可能性が高いが、参考にできるところがあるだろう。
4 東京大学の事例
東京大学では、大学憲章を設置しており、教育システムについては、下記のように定めており、世界
最高水準の教育を追及することとしている。
「(教育システム)東京大学は、学部教育において、幅広いリベラル・アーツ教育を基礎とし、多様
な専門教育と有機的に結合する柔軟なシステムを実現し、かつ、その弛まぬ改善に努める。大学院教
育においては、多様な専門分野に展開する研究科、附置研究所等を有する総合大学の特性を活かし、
研究者および高度専門職業人の養成のために広範な高度専門教育システムを実現する。東京大学の教
員は、それぞれの学術分野における第一線の研究者として、その経験と実績を体系的に教育に反映す
るものとする。また、東京大学は、すべての学生に最善の学習環境を提供し、学ぶことへの障壁を除
去するため、人的かつ経済的な支援体制を整備することに努める。」
東京大学(2003)東京大学憲章 学術 3 .教育システムより引用
これらの高い目標を掲げているが、東京大学入学時期等の教育基本問題に関する検討会議が、(入学
時期等の教育基本問題に関する検討会議 2013)において、表 1 に示すように現状の教育システムを分
析している。この諸課題は、他の大学にも当てはまる課題であろう。
6
特別寄稿
表 1 東京大学入学時期等の教育基本問題に関する検討会議による「現状の教育体制の諸課題」
(a)学生をめぐる課題
・何のために学び、学んだ成果を何に活かすのかという動機付けの不足
・学習態度の受動性、点数至上の価値観への偏りの傾向
・主体的な思考・課題発見能力・課題解決能力の不十分さ
・表現力・交渉力・討議力などの不十分さ
・英語力・国際コミュニケーション力の不十分さ
・社会や世界との交流体験・グローバルな視点の不十分さ
(b)学部教育システムをめぐる課題
・短期海外留学・海外体験活動への送り出しと、海外学生の受け入れが難しい学事暦
・世界の諸大学と互換性の低い単位制度とその運用(卒業要件単位、成績評価など)
・予習・復習時間の確保が難しい細切れ・詰め込みのカリキュラム
・双方向の教育・体験型学習の少なさ
・外国人学生を受け入れるための体制の未整備(英語による授業の少なさなど)
・eラーニングなどIT活用の遅れ
・専ら総平均点に基づく進学振分けと、それによって生じる学生の偏った科目選択
・伸びる学生を十分に伸ばせない仕組み
・大学での学びの全体観の提示・主体的な学習の動機付けに係る取組の不足
(c)教員をめぐる課題
・教員の教育・研究以外の過大な負荷、まとまった研究時間の確保の難しさ
・教育方法の改善に向けた支援の機会・手段の不足
・外国人教員・女性教員の少なさ
・学生の国際交流についての世界的な実態に関する理解の不十分さ
「教え授ける」
(ティーチング)から「自ら学ばせる」
(ラーニング)への意識転換の不足
・
上記の「現状の教育体制の諸課題」を受けて、教養学部(東京大学大学院総合文化研究科長・教養学
部長 2013)としては、次の 5 項目 1 .学事歴の見直しによる 4 ターム制の導入、 2 .初年次教育の導
入と充実、 3 .習熟度別授業の実施、 4 .キャンパスのグローバル化の推進、 5 .教養教育の高度化を
設定して、総合的な教育改革に向けて取り組みを行っている。「教養教育の高度化」の項目では、既に
取り組みが行われているアクティブラーニングの試みを拡充し、学生の主体性を涵養する双方向型の授
業を大幅に増加させるとしている。以下、東京大学教養学部において、スタジオ型教室において、試み
が行われている授業事例について、紹介する。
4.1 アクティブラーニングスタジオ設置について
東京大学アクションプラン2005‒2008において、教育の目標として、時代の先頭に立ち、世界の知の
頂点を目指すこととして、理想の教養教育を追求していくことを表明した。それらを受けて、複雑化・
細分化した学問の現状のなかで、学部 1 ・ 2 年生に知の大きな体系や構造を見せること、先端的研究と
基礎教育の創造的連携、最先端の ICT 技術を活用した学習の導入等を図ることなどを柱に、魅力あふ
れる「理想の教養教育」を実現する方法として、アクティブラーニングを推進するきっかけとなり、ス
タジオ型教室を設置することとなった。このスタジオ型教室のコンセプトは、 1 .フレキシブルなデザ
イン、 2 .思考素材の提供と支援、 3 .思考過程の可視化と共有の 3 点である。フレキシブルなデザイ
ンとは、教養教育で行われる様々な人数のグループワークに対応できる可動式の什器のデザインであ
る。思考素材の提供と支援とは、アクティブラーニングに必要となる分析、比較、批評等の問題解決過
程に役立つソフト提供を行うことである。思考過程の可視化と共有とは、クリッカー、電子黒板、 4 面
スクリーンなどを装備することで、個人やグループでの思考や討論の過程を可視化して、シームレスな
情報共有を図ることである。このスタジオ型教室は、2007年に設置されて、情報学環と大学総合教育研
特別寄稿
7
究センターからの協力をえて、東京大学初の ICT 支援型協調学習教室としてスタートした。教室の利
用状況は、PC や機材などのサポートもあることから、50%程度の利用として、それ以外の時間は、保
守や見学対応などを行うこととした。図 3 に示すスタジオ型教室の概要は、部屋の構成はスタジオ、
ウェイティングルーム、教員室、倉庫、会議室からなり、スタジオ部分の収容定員は40名である。その
他に可動式の机が30卓、椅子は50脚、プロジェクターは四方に 4 面あり、PC が45台設置されている。
教室のサポート体制としては、教育工学を専攻とする特任教員が 2 名配置されており、その他に授業の
機材をサポートする大学院生が 5 名程度いる。教室運用に関わる意思決定については、専任教員などか
ら構成される運営委員会が設置されている。
ICT を活用した授業は、英語一列、英語二列、基礎演習が主要な科目としてスタジオ型教室において
実施されている。共通の教科書を使い、授業内容も共通している英語一列の授業では、授業の最後に学
生同士で復習のために意見交換を英語で行うことで理解を深める工夫をしている。英語二列は、理科系
の 1 年生向けの必修科目で、理工系科学論文の作成の基礎を学ぶ 1 クラス15名の授業である。英語のネ
イティブ教員により英語により英語論文の執筆を行うために、学生自らが論文の構想を考え、実際に実
験を行い分析や考察を行い、その成果を論文としてまとめる。基礎演習は、文科系 1 年生向けのアカデ
ミックスキルを養成する授業で、履修者数は25名である。基本的な進め方は、自分で発表するテーマを
考えて、そのテーマについて調査を行い、学生同士で議論を行い、発表を行い、最終的に 1 万字程度の
レポートにまとめる。
スタジオ型教室の収容人員の制約もあり、大人数の授業には対応することはできないが、少人数向け
の授業で利用されることが多い。
図 3 東京大学スタジオ型教室
5 おわりに
これまで概観してきたように、鍵となるのはアクティブラーニングを支える教室空間、学習活動や文
脈、そして学習リソースのデザインである。とくに学習リソースでは、マサチューセッツ工科大学の物
理学の授業事例にあるように、ICT を活用して情報共有・シミュレーション・可視化を実現すること
で、学生の思考を深化することが試みられていることである。
大学のおかれている状況は地域や学部構成、建学の理念、教員や学生の特徴などそれぞれ異なること
から、大学の現状や目的に応じて、学習環境について検討する必要がある。また、それらを進めるため
には、大学経営陣、教員、職員、学生らの意見を把握して、議論を行い、ビジョンを共有しながら、意
8
特別寄稿
思決定することも状況により必要になるだろう。最後に、自律した学生を育成するには、大学自らが自
律した大学組織になる必要があるだろう。
文 献
Bonwell, C.C. and Eison, J.A.(1991). Active Learning: Creating Excitement in the Classroom, ERIC
Digest, ERIC Clearinghouse on Higher Education, Washington, D.C.
Diana, G. & Oblinger ed.(2006). Learning spaces, Educause e-book, Educause.
Dori, Y. J. & Belcher, J.(2005). How does technology-enabled active learning affect undergraduate
students understanding of electromagnetism concepts? The Journal of the Learning Sciences, 14
(2), 243‒279.
東京大学(2003)東京大学憲章インデックス(http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/b04_ j.html)
東京大学入学時期等の教育基本問題に関する検討会議(2013)学部教育の総合的改革について(答申)
(http://www.u-tokyo.ac.jp/gen02/pdf/20130618sougoukaikaku.pdf)
東京大学大学院総合文化研究科長・教養学部長(2013)学部教育の総合的改革に向けて(http://www.
c.u-tokyo.ac.jp/info/important/1.shoshin.pdf)
美馬のゆり,山内祐平(2005)未来の学びをデザインする.東京大学出版会,東京
ボローニャ・プロセスへの対応による新たな学位・単位制度の活用と課題
─ドイツ・スイスにおける取組から─
21世紀教育フォーラム 第
9 号(2014年 3 月)
21st Century Education Forum. Vol. 9(Mar. 2014)
9
ボローニャ・プロセスへの対応による
新たな学位・単位制度の活用と課題
─ドイツ・スイスにおける取組から─
Implementation of the Bologna Process and Problems
on the New Degree and Credit Systems:
German and Swiss Experiences
田 中 正 弘*、森 利 枝**
Masahiro TANAKA, Rie MORI
要 旨
本稿は、ドイツとスイスの大学における具体的な事例を紹介することで、ボローニャ・プロセスへの
対応による新たな学位制度である学士・修士課程の定着状況と「欧州単位互換制度」(European Credit
Transfer System: ECTS)の活用状況を分析する。なお、ボローニャ・プロセスへの短期間での対応は、
ドイツとスイスの大学に様々な葛藤を生み出したと思われる。これらの葛藤にどのように対処したか
は、矢継ぎ早の改革に直面している日本の大学にとって、大いに参考になることを示したい。
キーワード:ボローニャ・プロセス、学位制度、単位制度、ドイツ、スイス
はじめに
ヨーロッパ29カ国の高等教育担当大臣は、1999年 6 月にイタリアのボローニャにて、
「ボローニャ宣
言」
(Bologna Declaration)と呼ばれる、ヨーロッパ共同宣言に署名した。この宣言は下記の 6 つの目
標を含んでいた。
①比較可能な学位制度の採用
②学部と大学院という「二段階」
(two main cycles)制度の採用
③「欧州単位互換制度」
(European Credit Transfer System: ECTS)のような単位制度の導入
④欧州域内の学生・教員・研究者の移動の促進
⑤質の保証に関する協同作業の推進
⑥高等教育における欧州モデルの特質強化
これらの目標の中で特に強調されたことに、ヨーロッパ共通の学位制度や単位制度を導入して、域内
の学生移動を促進させるということがある。このための一連の改革は、「ボローニャ・プロセス」
*弘前大学21世紀教育センター
Centre for 21st Century Education, Hirosaki University
**大学評価・学位授与機構
National Institution for Academic Degrees and University Evaluation
10
田中 正弘・森 利枝
(Bologna Process)として、署名各国で発展的に進められた(田中 2006: 158)。各国における改革の進
展状況は、 2 年ごとの「会合」(communiqué)で確認されるとともに、署名国数も増加していった。
2010年には、47カ国目となるカザフスタンの参加が認められている。
本稿の分析対象であるドイツとスイスは、1999年のボローニャ宣言に署名した国である。とはいえ、
両国ともに、ボローニャ宣言に盛り込まれた 6 つの目標の達成は、容易でなかった。その理由として、
ドイツやスイスには、「アメリカに見られる学士、修士、博士というように段階化された高等教育の基
本構造はこれまでなかった。何単位とったら卒業といった単位制度も設けられていなかった。また大学
で行われている研究と教育の質を評価するという考え方も採用されてこなかった」(木戸 2008: 5)こと
を列挙できる。このため、ボローニャ・プロセスへの短期間での対応は、ドイツとスイスの大学に様々
な葛藤を生み出したと思われる。これらの葛藤をどのように解決していったのかは、矢継ぎ早の改革に
直面している我が国の大学にとっても、大いに参考になると予想できる。
そこで本稿は、ドイツとスイスの取組に着目したい。特に、新たな学位制度である学士・修士・博士
課程の定着状況と、欧州単位互換制度(ECTS)の活用状況について、具体的な事例を参照することで
説明を試みたい。
1 .ヨーロッパ共通の学位制度と単位制度
ヨーロッパ共通の学位としての学士・修士・博士、および共通の単位制度である欧州単位互換制度
(ECTS)について、その概要を簡単に説明してみたい。
欧州単位互換制度(ECTS)は、
「学習成果と学習過程の透明性を土台とする単位累積・互換のための
学習者中心の制度である。その目的は学位の設計・提供・評価・認可・検証を促進することで、学習の
ユニット化と学生の移動も意図している。ECTS は、正式な高等教育で幅広く活用されるものであり、
その他の生涯教育活動にも用いることができる」(European Communities 2009: 11)。ECTS の目的で、
学位課程の設計・再考における基礎として考えるということに加えて、学習を一塊の量(ユニット)で
考えることが提唱されていることは、多くのヨーロッパの大学にとって、斬新な考え方であった。
ECTS の単位は、「期待される学習成果へと到達するのに必要な、学生の課業量に基づくものである。
(ここでの)学習成果とは、学習過程を成功裏に修了した学習者が、何を知り、理解しておくべきか、
そして何が出来るべきかを記述したものである」
(European Communities 2009: 11)。そして、学生の
「課業量」
(workload)とは、平均的な「学生が、期待される学習成果への到達で要求される、全ての学
習活動を終えるのに必要な時間のことである。(なお、その学習活動は、)例えば、講義、演習、課題研
究、実習、自学自習、試験など」(European Communities 2009: 11)を含む。ここで重要なことは、課
業量(学習活動の時間)は学生の能力に応じて異なっても構わないということである。換言すると、全
ての学生が定められた時間を学習しなければならないということではない。また、学習活動に試験を含
んでいる点も重要である。
全日制の一年間の課業量に対して、60単位が与えられる。多くの場合、「学生の課業量は、一年間で
1,500∼1,800時間と見込まれている。よって、 1 単位は25∼30時間となる」
(European Communities
2009: 11)。2005年に定められた「欧州高等教育圏の学位の枠組み」
(Framework of Qualifications for
the European Higher Education Area)によると、第一段階(学士)の学位課程は、180∼240単位で構
成されるので、その年限は 3 ∼ 4 年となる。同様に、第二段階(修士)の学位課程は、90∼120単位
(最低60単位でも可とする)となる。ただし、第三段階(博士)の学位課程には、修了要件単位数は定
められていない。
これらの新しい学位・単位制度を、ドイツとスイスの大学がどのように採用したかについて、次節で
事例を参照しつつ、分析したい。
ボローニャ・プロセスへの対応による新たな学位・単位制度の活用と課題 ─ドイツ・スイスにおける取組から─
11
2 .ドイツの事例
ドイツの大学の特徴に、
「総合大学」
(Universität)と「専門大学」
(Fachhochschule)という二つの異
なる機関が共存する、二元制度がある。2010‒11年度の場合、総合大学は109校(学生数約146万)、専門
大学は216校(学生数約69万)であった。専門大学は、1968年10月に結ばれた、各州政府間の協定に
従って、
「それまで後期中等教育機関であった、商業、農業、福祉等の職業学校を統合・強化して高等
教育機関に昇格させた」(大崎 1995: 3)機関である。この歴史的背景に基づき、専門大学は実務的・応
用的な教育を主な目的としている。そして、その後、専門大学は「順調な発展を遂げ、ドイツの高等教
育システムにおいて揺るぎない地位を築いている」
(寺澤 2013: 2)。この専門大学は、ボローニャ・プ
ロセスへの対応という点で、総合大学よりも、積極的であった。例えば、2008‒9 年度の時点で、専門
大学の学生(学部レベル)の約87% が新しい学位である学士を目指すコースに在籍していたのに対し
て、総合大学の学生では、約56% でしかなかった(寺澤 2013)。そこで本稿は、専門大学である「アー
レン大学」
(Hochschule Aalen)の事例を、ボローニャ・プロセスに対応した好例として参照してみたい。
アーレン大学は、バーデン=ヴュルテンベルク州にある小さな町のアーレンに、1962年に設立された
(1971年に専門大学へ昇格した)公立の機関であり、学生数は約3,700人という小規模な大学である。主
に工学と商学の分野で22の学士課程と11の修士課程(2013‒14年度)を提供している。この大学の教育
プログラム(工学の学士課程)の例として、
「表面技術・材料科学」
(Oberflächentechnologie/Neue
Materialien)のカリキュラムと試験規則(2013年 7 月15日版)を参照してみたい。
アーレン大学の表面技術・材料科学は 7 学期(セメスター制)で構成される(Hochschule Aalen
2013)
。よって、その年限は 3 年半となる。ちなみに、ドイツにおける学士課程の標準年限は 3 年( 6
学期)に規定されており、総合大学はこの年限を遵守しているところが多い(医学は 6 年など例外もあ
る)が、専門大学の年限の多くは 3 年半( 7 学期)である(寺澤 2011)。この理由として、専門大学の
伝統的な学位であるディプローム(PH)の年限が 3 年半であったことや、後述するように、企業など
におけるインターンシップ(半年間)を重視していることが考えられる。
アーレン大学の表面技術・材料科学は、他の専門大学の学士課程でもよく見られるように、「基礎」
(Grundstudium)と「専門」
(Hauptstudium)という、二つのコースに分かれている。基礎コースは前
半の 3 学期間で、専門コースは後半の 4 学期間である。なお、 5 学期は、インターンシップのための
「実学学期」
(Praktische Studiensemester)となっている。インターンシップに参加する要件として、
50日間の事前指導を 4 学期の始めまでに受けなければならない(Hochschule Aalen 2013)。アーレン大
学副学長であるユリア・ムッケル(Julia Möckel)教授への訪問調査(2013年 9 月18日)によると、イ
ンターンシップの実施は教員に重い負荷の掛かる活動であるし、学士課程の年限を標準年限の 3 年に合
わせるのであれば、廃止すべきではないかという議論もあったが、実学を重視する専門大学にとってイ
ンターンシップは核となる教育活動であるとの認識が多数を占めたために、存続させるという判断に
至ったとのことである。
アーレン大学では、英語の運用能力の向上のために、学生に TOEIC の複数回受験を推奨している。
各個人の最も良いスコアは、学位記に記載される。また、TOEIC に類する試験の結果に代えることも
認められている(Hochschule Aalen 2013)。ドイツにおいても、英語能力の向上と、その能力の証明は、
大学の就職支援における重要な要素になっているのである。
アーレン大学の表面技術・材料科学では、最初の 2 学期で30単位未満しか取得できなかった学生の進
級( 3 学期以降の履修)を認めていない。ただし、
「試験委員会」
(Prüfungsausschuss)が、特例で進級
を認めた場合は含めない。それから、 4 学期からの専門コースに進むためには、そのための試験に合格
しなければならない。その上、 5 学期に実施されるインターンシップ(110日間)を修了しないと、 6
学期以降の学習に進めない(Hochschule Aalen 2013)。これらの規則は、日本では珍しくはないが、進
12
田中 正弘・森 利枝
級という概念がなかったドイツでは斬新なものであった。なお、ドイツの大学中退率はとても高く、
アーレン大学では 5 割程度とのことである(訪問調査:2013年 9 月18日)。
各科目の履修は、
「指導教員」
(Betreuers)との協議の上で、決めなければならない。履修登録は、所
定の書式に従って、教務課に提出することとなる(Hochschule Aalen 2013)。とはいえ、ほぼ全ての科
目は必修であり、選択科目は 6 ∼ 7 学期に履修する 3 単位の「教養教育科目」
(Studium Generale)し
かないのである。従って、指導教員の履修指導とは、履修のスピードと補習科目(基礎数学など)の受
講などについて、学生が助言を受けるということを意味する。
アーレン大学の教育プログラムは、モジュール化(各モジュールが 1 ∼ 2 科目で構成)されていて、
個々のモジュールは 5 単位で統一(教養教育 3 単位と修了試験12単位は例外)されている。ただし、モ
ジュール化は学士課程の導入時に実行されたわけではなく、当時の科目の単位はバラバラであった。単
位が統一されていないことの問題として、他大学との単位互換が難しいことが明らかになったため、モ
ジュール化して単位を 5 単位に揃える作業が、ドイツも含めた欧州諸国で進んだのである。ムッケル教
授によると、アーレン大学におけるモジュール化への反対論は根強かったものの、最終的に他大学に追
随する形で改革が進んだとのことであった。しかし、モジュール化は、個々の学問に必要な学習量を無
視した統一化とも言えるため、その弊害は無視できないと補足されていた(訪問調査:2013年 9 月18
日)
。この点は、厳格な単位制度の運用が唱道されている我が国にとっても、重要な示唆となる。
以上のように、ドイツの大学において、新しい学位・単位制度の導入という、ボローニャ・プロセス
への対応が進行しつつある。同様の試みは、スイスでも、より迅速・徹底して進められている。次節
で、その概要を事例で示したい。
3 .スイスの事例
憲法によって、ドイツ語、フランス語、イタリア語、「ロマンシュ語」
(Rumantsch)の 4 つの言語を
公用語として定めているスイスにおいては、高等教育機関で主として用いられる言語にも多様性があ
る。すなわち、主としてドイツ語を用いる大学、フランス語を用いる大学、イタリア語を用いる大学の
別があり、本節でとりあげるローザンヌ大学はフランス語圏の大学である。
「ローザンヌ大学」
(Universite de Lausanne: UNIL)は、レマン湖を隔ててフランスと国境を接する
スイスの都市ローザンヌ西郊にある大学で、16世紀に神学校
としてローザンヌ市
街に設立された。1890年に改組されて大学となり、1970年代に市街地から現在のキャンパスに移設され
た。現在は神学・宗教学、法・法科学、教養、社会科学・政治学、ビジネス、地学・環境、生物学・医
学の 7 つの「教授団」
(facultés)と約12,000人の学生を擁している。
EU 非加盟国であるスイスの高等教育機関において、EU の枠組みのもとで始まった ECTS は、当初
はおおむね EU 諸国からの留学生にのみ適用されていた。UNIL において国内の学生にも ECTS が適用
されるようになったのは2003年のことで、また、ボローニャ・プロセスによる学士─修士−博士の学位
のサイクルは2005年に導入された。この二つの制度の導入によって、現在 UNIL のカリキュラムは次の
ように整備されている。
まず、学士課程は 6 セメスター( 3 年間)での180単位の修得を経て学士の学位(Baccalauréat Universitaire)に至り、修士課程は 3 ∼ 4 セメスター(1.5∼ 2 年間)での90∼120単位の修得で修士の学位
(Maîtrise Universitaire) に 至 る。 た だ し 医 学 に 関 し て の み、 3 年 間 で 180 単 位 を 得 て 医 学 学 士
(Baccalauréat Universitaire en Médecine)が取得できるのは他の分野と同様であるが、そののちさら
に医学修士(Maîtrise Universitaire en Médecine)を取得するには修士課程において 3 年間で180単位
の修得が求められる。医師国家資格(Diplôme federal de médicine)は医学修士を得た後に取得できる
(Universite de Lausanne, 2003: 141)。
ボローニャ・プロセスへの対応による新たな学位・単位制度の活用と課題 ─ドイツ・スイスにおける取組から─
13
このうち、 3 年間の学士課程の修了に要求される180単位に関して、個別の専門分野における要件が
どのように設定されているのか、以下に宗教学の課程を例にとって詳細に見ることにしたい。
学士試験 (Examen de Baccalauréat Universitaire)
方法論入門と
深化
6 学期
宗教学の
5 学期 歴史・概
念・方法
Ⅱ
4 学期
(10%)
3 分野深化科目
1 年次に選択した 3 分野の
深化
(22.5%)
3 学期
歴史学・宗教
社会学・宗教
人類学・宗教
心理学・移民
の宗教
(15%)
語学 ***
(10%)
選択
科目
(7.5%)
副専攻分野の科目
(継続)
(35%)
一次試験(Examen Propédeutique)
宗教学の
2 学期 歴史・概
念・方法
Ⅰ
1 学期
(10%)
3 分野入門科目 *
(30%)
方法論
入門 **
(15%)
選択科目
(語学)
(15%)
専攻(120単位)
副専攻分野の科目
(30%)
副専攻(60単位)
図 1 :ローザンヌ大学宗教学士のカリキュラム
* 南アジアの宗教・古代世界の多神教・ローマ帝政下のギリシャ・ユダヤ教史・キリスト教史・イスラム・異端の
歴史・現代社会における宗教の多様性と精神主義から選択
** 歴史学・宗教社会学・宗教人類学・宗教心理学・移民の宗教から 2 科目選択
*** ヘブライ語・ギリシア語・ラテン語・サンスクリット語・ヒンディ語・アラビア語等から専攻に関連した語学
出典:Universite de Lausanne, 2013: 39より作成
図 1 は、宗教学士のカリキュラムが180単位の修得をどのような配分で求めているかを示すものであ
る。この図からは、学士課程が最初の 1 年間と後の 2 年間に分割され、 1 年次に専攻分野の入門的学
習、 2 年次と 3 年次に専攻分野の深化科目の履修が求められていることが見て取れる。また、 1 年次修
了時には 1 次試験(Examen Propédeutique)が課され、 2 年次進級の要件となっている。さらに 3 年
次終了時には学士試験が課され、これが学士取得(l obtention de baccalauréat universitaire)の要件と
なっている。このうち 1 次試験は UNIL のほぼすべての学士課程で 2 年次進級の要件となっており、ま
た法学士の課程と法科学士、あるいは生物学士の課程では 2 年次から 3 年次への進級において 2 次試験
が課されている。学士試験に関しては、たとえば法学士の課程では 3 年次修了時に試験を課している
が、この試験は学士試験ではなく 3 次試験と称されている。また、政治学士の課程や心理学士、体育学
士の課程などでは、学士試験は課されていない。
このように、UNIL では専攻、副専攻の導入や科目選択制など、単位制度に基づいたカリキュラムの
整備はなされている。ただしその一方で、単位の与えられない学士試験や 1 次試験ほかの進級試験が実
施されるなど、課程の修了を重視するヨーロッパの大学の(あるいは神学校の)伝統も、同時に継承さ
れていることが指摘できよう。なお、UNIL に隣接する高等教育機関で、1853年創立の「ローザンヌ工
科大学」
(École polytechnique fédérale de Lausanne)においても、こんにち 1 年次から 2 年次への進
級の要件として 1 次試験が課されている。
UNIL のような中世の伝統に根ざす文化を維持する大学にあって、米国・英国のモデルとして高等教
育システム全体に移入された単位制度の受容には困難を伴ったことが推測される。とりわけ法学教授団
は1708年に UNIL において神学以外で初めての「教授座」
(chaire)として設置されたという古い歴史も
あり、変革には消極的であったとされる(訪問調査:2013年 9 月20日)。このような状況を背景に、単
14
田中 正弘・森 利枝
位制度を定着させるために、学内での様々な仕掛けが必要とされた。その一つが「教育支援センター」
(Centre de soutien à l enseignement: CSE)の存在である。当初単位制度やボローニャ・プロセスへの
対応は、欧州域内の高等教育機関としての方針変更ということもあり、学内の国際センターの業務とさ
れたが、2006年に CSE が設置されて、もっぱら学内の教学マネジメントの推進にあたることとされた。
このセンターが負っている機能の一つとして、全学の FD の推進が挙げられる。現在 CSE ではワーク
ショップやランチョン・ミーティングなどを通して教員における単位制度の理解の促進を図っている。
教員に対しては学生に宿題や課題を課すことが全学的に推進され、一方で学生に対しては、希望者を対
象とした学習方法に関する新入生ワークショップや学生ワークショップも行われている。
では、このような方針変更は学生の学習の実態にどのような影響を与えているのだろうか。学習実態
に関する情報について学内でも必要性が実感されたこともあり、上記の CSE は FD センターの機能に留
まらず、インスティテューショナル・リサーチ・オフィスとしての機能も果たしている。CSE では
2009年度から継続的に学生調査を行ってきているが、2011年 3 月には全学的にウェブベースの大規模な
学生調査を行い、2012年には報告書『ローザンヌ大学の学生の課業量』を報告している(Centre de
soutien à l enseignement, 2012)。この学生調査では、 1 週間あたりの教室外での学習時間についても
調査されており、その結果は表 1 に示すとおりである。表 1 からは、半数以上の学生が 1 科目について
週 2 時間以上の教室外での学習を行っている実態が見て取れる。なおこの調査では学生に対して学士課
程・修士課程の在学の別を問わなかったため、この結果は学士・修士両課程の学生の調査結果の混交し
たものとなっている。さらに同報告書でも先行研究を参照しながら指摘されているように、学生の自己
申告による学習時間の調査結果が、実態よりも「いささか長めに出る」(passablement supérieurs à la
réalité)ことにも注意が必要ではある。
では、これらの学生の学習の実態は、教員及び学生の双方においてどのように受け止められているの
だろうか。CSE の調査では学生の課業量に関して、教員と学生の意見も聴取しているので、その結果
を参照してみたい。まず教員の側から見ると、講義・演習・語学型の授業314科目についての調査では、
教員の側はおよそ90% が、
「学生の課業量は充分である」と考えているという調査結果が示されている
(CSE: 2012: 24‒5)
。
表 1 :ローザンヌ大学学生調査( 1 科目についての 1 週間あたりの教室外学修時間・%)*
平均値
最大値
標準偏差
中央値
0 ‒ 2 時間
42
100
25
42
2 ‒ 4 時間
35
83
15
35
4 ‒ 6 時間
15
80
14
10
6 ‒ 8 時間
5
50
8
1
8 時間以上
2
75
7
0
無回答
2
83
6
0
計
100
100
-
100
*2011年度開設の552科目に関し集計
出典:CSE, 2012: 24
一方、学生の側の意見としては、「要求された課業量は ECTS の方針に照らして適切であった」と感
じる学生が90% であることが明らかにされている。なお、学生の立場から見て、大学から「ECTS の方
針について充分に説明された」と感じている人々の割合は78% であった(CSE: 2012: 35)。単位制度が、
学生の流動化を促進するための欧州域内発祥の方針として UNIL に導入されてからまだ10年ほどしか経
過していないが、この学生に対する調査結果からは、ECTS の単位制度が、学生に遅滞なく受容される
ボローニャ・プロセスへの対応による新たな学位・単位制度の活用と課題 ─ドイツ・スイスにおける取組から─
15
よう、大学の側が必要な教学マネジメント上の施策に努めていることが推測される。
このような調査結果が得られたことを踏まえて、CSE の報告書は「学生は自らの課業量を ECTS が定
義する単位に照らして適切であると自覚している」ことを第一の結論として示しながらも、学生の課
業量は教員の印象によって評価されていると指摘するとともに、
「各教員に学生の学習時間を計測する
手段がない」ことを問題視している。あわせて教員には「カリキュラムを組織的に構成すること」や
「授業の目的を明確化すること」、「学生に時間の管理の方法を指導すること」などを推奨する一方で、
学生の側が「大学での学習はそれまでの学校の学習とは方法が異なることを認識する必要がある」こと
も指摘している。(CSE: 2012: 42‒3)
さらに、訪問調査においては、ボローニャ・プロセスによって新たに学士の学位と修士の学位が導入
されたことの利点として、学生の流動性が高まったことが指摘された。すなわち、修士課程からローザ
ンヌ大学に入学する可能性が拡大したことを、UNIL にとっての利点として考えられていることが推測
できる。ただし、UNIL の場合、学士の学位を得た時点で就職や他大学への進学などで大学を去る学生
の比率は依然低く、専攻分野によってはほとんど見られないため、学士課程入学者の約80% が修士の学
位を得るまで継続的に在学しているというのが実態である。特に、ボローニャ・プロセスの大きな目的
であるヨーロッパ域内での学生の流動化については、単位制度や学位制度を整備して統一化を図ったこ
ととは別に、外国での生活や修学を推進するために、学生に対する奨学制度の拡充が望まれることも指
摘された。
単位制度と学位制度の運用に関して、UNIL の事例が示唆するところは少なくないが、ここでは本節
を通じた検討から、少なくとも以下の二つのことが指摘できるだろう。まずは、一つの高等教育機関に
あっても、学外から新たに導入された単位制度と学位制度については、部局の文化によって受容のス
ピードに違いがあり得るということである。もう一つは、CSE の設立に見られるように、新たな制度
の運用を支える教学マネジメントを実現するために、教員でもなく、また従来の大学職員とも異なる、
いわゆる第三の専門職と呼ばれるような専門的な知識と技術及び処遇の伴った高等教育機関のマネジメ
ントの専門家への需要が、スイスにおいても見込まれるということである。
4 .まとめ
舘(2010 : 162‒3)によると、ボローニャ・プロセスは、「この10年間にヨーロッパ高等教育に重大な
変化をもたらし、さらには今後のヨーロッパの高等教育改革を導くものとして定着した存在(である。
ところが、
)日本における関心は、あまり高いものとは言えない」。グローバル化が一段と進み、優秀な
人材による国境を跨いだ移動が活発化する中で、太平洋地域における学生・教員の大学間移動をさらに
推進すべき現状に鑑みると、我が国にとって、ボローニャ・プロセスの動向からは多くの有意な示唆を
得られると考えられる。従って、ヨーロッパ各国の大学によるボローニャ・プロセスへの対応を詳細に
分析することは、重要な活動になると思われる。
また、欧州単位互換制度(ECTS)の設計からは、我が国の単位制度に関わる問題を解決する上で、
いくつかの手がかりを得ることが期待できる。例えば、単位制度は学生の課業量(学習活動の時間)を
保証するための仕組みであるが、その課業量は期待される学習成果の到達に必要な時間を意味するの
で、学生の能力によって異なるべきという考え方は重要である。ECTS の 1 単位は25∼30時間の課業量
に与えられるという制度設計が、あくまでも平均的な学生に必要な時間を基準にしていることは、ECTS
の運用においてしばしば言及されている。
一方、我が国においては、とりわけ2008年中央教育審議会が「学士課程教育の構築に向けて」を答申
して大学設置基準に定める15週にわたる授業の実施を確認し、加えて試験の時間は単位に必要な学習活
動に含まれていないとしたことから、学生が 1 単位を得るためには45時間の学習をしなければならな
16
田中 正弘・森 利枝
い、という単位制度の原則に対して、極度に硬直化した解釈がなされているように見受けられる。少な
くとも、45時間の学習はあくまでも標準的な学生の課業を想定したものであって、学生によっては授業
が目標とする 1 単位分の成果を30時間で達成してしまう場合もあれば60時間かかる場合もある、といっ
た柔軟な解釈は困難な状況にある。この背景には、戦後単位制度を導入して以来、本来、単位制度が教
室外学習を含む学生の総課業時間を基礎にした制度であることへの理解が進まず(舘 2007、森 2011)、
学生の自律的な学習を組み込んだカリキュラム開発に立ち後れが生じたことが指摘できよう。
エラスムス計画によって ECTS が導入されて20年が経過しようとしている。制度としての ECTS はボ
ローニャ・プロセスの枠組みを適用することによって強化されているようだが、本稿で実例を示したよ
うに、個別の高等教育機関における導入と運用の進行の態様には、いくらかの多様性が指摘できる。一
方、我が国の高等教育において、単位制度は65年の歴史を有しているが、高等教育機関の実態を見直す
と、45年間分の先行を実感させるものであるとは言いがたい。我が国における単位制度の運用を再考す
る上でも、ECTS と組み合わせて推進されているボローニャ・プロセスの影響について、引き続き注視
が必要とされよう。
【謝辞】本稿は、若手研究(B)
「学生の学習到達度を適切に評価する自律的な内部質保証制度の構築─イ
ギリスを参考に」
(研究代表者:田中正弘、研究課題番号:23730721)と、基盤研究(C)
「日欧米の工学
系大学院教育の質保証と学位プログラムに関する比較研究」(研究代表者:角田敏一、研究課題番号:
23501049)の助成を受けて、研究を実施した成果の一つである.
参考文献
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, www.unil.ch/webdav/site/cse/shared/CSE-Rapport_
Charge_de_travail_vf_courte.pdf(2014年 1 月最終閲覧)
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the European Communities.
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ファレンス』58(8), 5 ‒27.
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「単位制度の基盤と今日的課題 : 時間と成果」
『京都大学高等教育研究』17, 140 ‒149.
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「ボローニャ・プロセスの意義に関する考察 ─ヨーロッパ高等教育圏形成プロセスの提起
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寺澤幸恭(2011)
「ドイツにおける『実務型』高等教育に関する考察(4)─ベルリン・ボイト工科大学の
修学システム─」
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寺澤幸恭(2013)
「ドイツにおける『実務型』高等教育に関する考察(5)─専門大学の発展と学術審議会─」
『岐阜聖徳学園大学短期大学部紀要』45, 1‒14.
Université de Lausanne(2013)
, 2013‒2014.
ボローニャ・プロセスへの対応による新たな学位・単位制度の活用と課題 ─ドイツ・スイスにおける取組から─
17
別表 1 :アーレン大学の表面技術・材料科学(学士課程)のカリキュラム表
モジュール名
科目名
授業形式
各学期の週ごとの開講数
1
2
3
4
5
6
7
単位数
基礎コース
数学 1
基礎数学
講義
高等数学
講義
2
統計
講義
2
静力学
講義
材料力学
講義
運動力学
講義
一般化学
講義
無機化学
講義
2
有機化学
講義
2
電気化学
講義
2
熱力学
講義
2
入門冶金
講義
冶金実験
実験
3
材料実験 1
実験
1
材料分析と実験
講義
化学実験
実験
2
腐食
講義
2
基礎物理
講義
電気
講義
物理実験
実験
電気メッキ 1
講義
2
電気化学研究
講義
2
経営学
経営学の基礎
講義
構造材料
構造材料の基礎
講義
4
5
測定
測定の基礎
講義
4
5
表面工学入門
作成工程の基礎
講義
数学 2
工学 1
工学 2
化学の基礎
無機・有機化学
電気化学と熱力学
冶金の基礎
冶金実験
材料実験
化学実験と腐食
物理 1
物理 2
電気メッキと電気化学研究の基礎
4
5
5
4
5
2
5
2
4
5
5
5
4
5
5
4
5
5
4
5
2
5
2
5
4
5
4
5
専門コース
実学学期
24
30
構造材料実験
実験
3
材料実験 2
実験
1
電気メッキ法
講義
2
塗装 1
講義
2
薄膜
薄膜技術
講義
4
5
非金属材料
高性能セラミックとプラ
スチックの性質と応用
講義
4
5
計画管理
講義
2
品質管理
講義
2
構造材料実験
電気メッキ法と塗装 1
管理方法
製造技術
製造工程
非破壊検査
非破壊検査と実験
5
5
5
4
講義・実験
5
4
5
18
田中 正弘・森 利枝
モジュール名
科目名
授業形式
各学期の週ごとの開講数
1
2
3
4
エネルギー技術、燃料
講義
持続可能な移動とエネルギー供給 電池、水素貯蔵の入門
のための技術と材料 1
高温材料と遮熱コー
講義
ティング
太陽光発電とバッテ
持続可能な移動とエネルギー供給 リー技術
のための技術と材料 2
電気機械と廃熱回収の
ための機能性材料
電気メッキ法と塗装 2
表面工学の特殊性
表面工学の革新的な工程
腐食実験
高温腐食と耐腐食性金属
腐食管理
故障解析と課題
軽量材料と粉末金属
微細構造技術
5
6
7
単位数
2
5
2
講義
2
5
講義
2
電気メッキ実験
実験
2
塗装 2
講義
2
実験室での分析法
講義・実験
2
コーティング実験
実験
2
表面工学の具体的な方
法
実験
2
知的な工程の革新的な
組合せ
講義
2
腐食実験
実験
高温腐食
講義・実験
2
耐腐食性金属
講義
2
腐食の課題
課題研究
2
腐食管理
講義
2
研究業務
課題研究
2
故障解析
講義
2
粉末金属材料
講義
2
軽量材料
講義
2
真空中での層の生産
実験
2
マイクロ・ナノテクノ
ロジー
講義
2
5
5
5
4
5
5
5
5
5
5
教養教育
3
修了試験
12
合 計
24
24
24
24
24
24
210
地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングについての一考察
─ 顧客満足の追求 ─
21世紀教育フォーラム 第
9 号(2014年 3 月)
21st Century Education Forum. Vol. 9(Mar. 2014)
19
地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングについての一考察
─ 顧客満足の追求 ─
A Study of Active Learning which intend Area Contribution:
Seek of Customer Satisfaction
保 田 宗 良*
Muneyoshi YASUDA
要 旨
地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングのテーマとして、「公共交通を活用した中弘南黒地域の
活性化の研究」を選択した。自家用車を有しない交通弱者にとって公共交通の充実は不可欠である。マ
ンパワーと時間を考慮して、弘南鉄道大鰐線、弘南線、タクシーの 3 班に分け、実務家への聞き取り調
査、アンケート調査を実施した。シンポジウムでの発表と報告書作成で成果を問う予定である。利用者
の満足(顧客満足の追求)を軸に展開した。
キーワード:地域貢献、公共交通、交通弱者、顧客満足、アンケート調査
Ⅰ はじめに
大学の地域貢献は、理系の分野では分かり易いテーマであった。企業と大学による産学協同は応用分
野ではよくある話であり、企業に高額の実験器機を導入してもらい、大学所属の研究者が知見を示すこ
とは、昨今では一般的なことである。産学共同研究のアウトプットが地域に貢献するものであることは
珍しくはない。
文系分野においては、文献研究の場合は必要ないが、情報収集が困難なフィールド研究の分野では、
自治体と連携する共同研究がある。そうしたことを踏まえて、人文学部の持ち味である複合学部の特徴
を活かした地域の課題をテーマに、 4 名の教員の共同研究と連動してアクティブ・ラーニングを進め
た。人文系の学生は文献研究が基本であるが、フィールドで実務家の意見を聞き、研究を進めると大き
な成果が期待できる。
1 自分たちの定義と実務家の定義が異なるが、その理由はどこにあるのか ?
2 自分たちが考えていた課題解決方法が進まないのは、根本的な見直しが必要なのか。あるいは部
分的な見直しで対応できるのか。
といった課題を克服することが、学生の考える力の向上に期待できるゆえである。
地域貢献は、プレーヤーとサポーターが必要とされる。サポーターは行政の役割であるが、実働する
プレーヤーが確実に必要である。地域内には様々な利害関係があり、一枚岩にはなりにくい。業種エゴ
が存在し、どこかが利益を得れば、どこかが損失するようになっている。第三者である大学関係者がプ
レーヤーとなり、建設的な提案をすれば、円滑に進めることが期待できる。
*弘前大学人文学部
Faculty of Humanities, Hirosaki University
20
保 田 宗 良
地域の活性化がテーマとなるシンポジウムが多数存在する。一見理解したつもりになるが、地域の活
性化、地域を元気にするということは何がゴールなのか見えにくい。高齢社会が進行し、買い物弱者、
交通弱者が増えつつある。家族は自家用車を有しても自分は運転できないことがあり、公共交通は不可
欠である。
全国各地で観光開発が進められており、売り物に磨きをかけている。団体バスで移動すれば楽である
が、個人の移動は交通アクセスが障壁となる。冬期間は道路事情が厳しいものとなるので、鉄道の利用
が不可欠となる。
Ⅱ 課題設定
こうした問題意識のもとに「公共交通を活用した中弘南黒地域の活性化の研究」をテーマに、アク
ティブ・ラーニングを進めた。成果は発表して建設的な批判を仰ぐことで一層の進展が望める。2014年
2 月のシンポジウムで発表し、関連する企業、団体の幹部からの講評を仰ぐという形式を採用した。
こうした形式を検討しているさなかに、弘南鉄道大鰐線廃止の方針が打ち出された。弘前大学の教職
員、学生にとって文京地区のすぐ近くを走る大鰐線には親近感があり、一部の学生は買い物等で利用し
ている。
2013年 6 月28日の陸奥新報の記事を要約すると以下のようになる 1 )。
「弘南鉄道の船越弘造社長が、27日の株主総会で大鰐線を2016年度で廃止することを表明した。利用
客の低迷による赤字経営が続いており会社側にとっては廃止もやむなしという決断である。
通勤、通学などで日常的に利用している人も多く、利用客や沿線住民にとっては戸惑いや不安が大き
い。大鰐線が 1 度廃止されると利用者の移動手段の確保が困難になる。公共交通機関の見直し、地域の
交通機関を維持、確保するための方策を見直す必要がある。
大鰐線の利用者数は、1974年の約390万人をピークに減少傾向が続き、12年実績は前年同期比1.9% 減
の57万人余りで、ピーク時の15% 程度まで落ち込んでいる。減便や運賃改定、職員の賃金抑制などによ
る経費削減に取り組んできたものの、厳しい経営を強いられている。
弘前市が、09年12月に行った大鰐線活用に関するアンケートでは、沿線住民の約 6 割が「全く利用し
ない」と回答している。ただ一方では「将来の生活を考えると大鰐線は必要」とする回答も多く、路線
維持に向けた在り方が課題となった。」
この記事から判断できることは、自家用車で通勤、移動する住民が増え公共交通の在り方が問われて
おり、廃止は心情的に忍びないが、廃止に反対した住民が大鰐線に乗車するわけではないという現実で
ある。沿線には、弘前高等学校、弘前大学、弘前学院大学、弘前学院聖愛高等学校、東奥義塾高等学校
があり、位置により異なるが、高校生の場合は親の送り迎えがないと電車の廃止は通学に支障を来すと
想定できる。
大鰐線を利用しないのは、特に必要がないという理由が多く占める。本数が少ないので自家用車で通
勤する。利用者が少ないので更に本数が減少する。本数が減少すると更に使いにくくなるという悪循環
にはまり込む。この問題は、他の公共交通機関に代替ができるかという問題に行き着く。
弘前市からの再検討の要請等で、廃止は撤回されたが先行きは不透明で、地域全体で考えなければな
らない課題である。アクティブ・ラーニングのテーマとしては非常にやりがいを感じる。他地域では、
コミュニティバスを運行しているが、民間が運営するか否かで代替交通の運営は温度差が生じる。
学生が考えるべき論点は、以下のものとなる。
・公共交通の役割の検討
・公共交通と地域活性化の関連
・公共交通と自治体の関連
地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングについての一考察 ─ 顧客満足の追求 ─
21
等である。
弘南鉄道は、大鰐線の存続が問題視された一方で、 7 月27日の田んぼアート駅開設も注目された。田
舎館村の田んぼアートに新駅が設置され11月までは弘南線が停車し、交通アクセスが便利になった。弥
生の里、田んぼアートへの訪問が容易になり、田舎館周辺の活性化につながることが期待される。
弘南線は、田んぼアートを始めとして観光地、黒石市を結んでいる。黒石焼きそばで注目された 1 万
石の城下町は、こみせ等、古き津軽の面影を残している。週末は観光客が少なくない。公共交通を活用
すれば、更なる活性化に結びつく。
全国多くの地方都市が観光に力を注いでいる。観光は第 6 次産業であり、地域に多大な波及効果をも
たらす。農商工とサービス業の連携がなされ、全員参加の産業となりうる。しかしながら、全員参加は
利害関係が生じ、誰がリーダーを務めるかという問題が起こる。カリスマリーダーは、常にいるとは限
らない。カリスマリーダーは、時にはワンマンに成り、結果を出せないと組織の破壊に連動する。
こうしたことを踏まえて、補助金とカリスマリーダーに頼らない組織作り、地域を活性化する仕組み
作りを学生の視点で考えることを目標とし、アクティブ・ラーニングを組み立てた。こうした教育には、
現場の実務家の指導を仰ぐことが不可欠であるので、東奥義塾高等学校 2 )、弘前学院聖愛高等学校 3 )、
弘前高等学校 4 )、弘南鉄道 5 )、北星交通 6 )、大鰐町役場 7 )、田舎館村役場 8 )を訪問し、企業 2 社、自治
体 2 つは、学生が訪問した際にはご指導をいただくようにお願いをした。
地域の検討課題を解決するためには、教員が事実関係を正確に把握しなければならない。廃止路線は
「乗って残そう運動」が起きるが、鉄道は地域密着が基本であり、ノルマを決めて乗車するものではな
い。行政の職員が自家用車で通勤している状況で、鉄道の活性化を進めるのは説得力に欠ける。
大学生の強みは素人の第三者であることである。素人というとマイナスの印象があるが、実務家が躊
躇することも、大胆に提案する勇気を備えている長所がある。理論的な裏付けがあれば、財源が不足し
てもアイディアで補う強みがある。方法論が稚拙なところは否めないが、困難に直面したとき乗り越え
る努力を重ねることが、社会にでてからの力量となりうる。
尚、マーケティングゼミナールの課題解決型学習なので、キーワードは顧客満足の追求とした。マー
ケティングでは、購買を意識している消費者を顧客と称する。地域住民あるいは観光客が公共交通を利
用して自分の目的を達することは、満足度を高めることであり、サービスの満足度を高めることが研究
の軸になると考えた。
Ⅲ チーム研究
① 弘南鉄道大鰐線班
弘前大学学生600人にアンケートを実施し、学生の大鰐線に対する意識を明確にする。大鰐線は大学
の直ぐ近くを走っているので、その存在を知らない学生はいないはずであるが、どの程度意識し、何に
対して不満を有しているか調査することは、有意義な取り組みである。
大鰐線は、大鰐町の活性化に直結するので、観光ホテルの経営者への聞き取り調査、大鰐町企画観光
課の前田克則課長に全体像を講義していただいた。大鰐町にはコミュニティバス 9 )があり、路線バス
の赤字拡大を防ぐように努めている。交通弱者にとってはコミュニティバスは有り難いサービスである。
大鰐線沿線には、魅力があるロケーションが散在する。桜と言えば弘前公園が著名であるが、石川の
大仏公園も捨てがたい魅力がある。こうした魅力は限られた地域住民しか認識していない。観光名所に
は至らないが電車を利用して寛げる場所は少なくない。大鰐線の見直しは、地域の見直しと重複する。
② 弘南鉄道弘南線班
弘南線は、弘前∼黒石まで結ぶ鉄路である。沿線には、弘前東高等学校、柏木農業高等学校、尾上総
22
保 田 宗 良
合高等学校、黒石高等学校、黒石商業高等学校がある。平川市、田舎館村、黒石市は、観光資源が少な
くない。駅から徒歩で時間を有するが、平川市の猿賀公園、盛美園は失念できないスポットである。
田舎館村は、歴史に関心を有する者には貴重な遺跡である垂柳遺跡10)がある。遺跡巡りはヘリテー
ジツアーという分類になり、新たな観光マーケティングのツールとなりつつある。修学旅行コースに組
み込む等、電車を活用した方法が考案できる。物産店が周囲に無く、現在の状態では活用しきれないの
が課題である。
黒石市は、古き良き津軽の面影を残している。焼きそばで知名度が上がり、週末は観光客の姿を良く
目にする。黒石駅から徒歩で行ける範囲に見学できる施設が多数あり、整備状況は良好である。団体バ
スの観光客が目立つが弘南鉄道弘南線の利用により、個人でも十分楽しめる。弘前から30分程度の電車
のトリップは気分転換になりうる。
学生は、弘南鉄道工藤課長に講義をしていただき、一般利用者用と学生利用者用のアンケートを実施
し、学生用は弘前東高等学校、尾上総合高等学校、黒石高等学校の協力をいただいた。
③ タクシー班
公共交通の定義は識者により異なるが、タクシーも含まれる。学生にとっては贅沢なものであるが、
交通弱者にとっては不可欠な移動手段である。学生のご指導を頂いた北星交通は様々な取り組みを試み
ている。特に興味深い取り組みは、ナビ付き無線機を利用したデマンド交通への取り組みである。
デマンド交通とは複数の利用者の要望(デマンド)に応じて、その都度運行経路を決めて走らせる交
通機関のことである。相乗りが前提なので、他の利用者の都合で迂回することがあるので、自分の目的
地に最短距離で移動することは難しい。路線バスとタクシーの中間的な交通手段と位置づけられる。
利点としては、
・乗客が少ない過疎地で公共交通の空白域を埋められる。
・増え続ける路線バスの維持コストを抑えることができる。
・会社が持つ配車用無線を活用するため初期投資不要。
問題点としては、
・利用者をどこまで迂回させるか。
・迂回を小さくすると、一台当たりの乗合率が低下する。
・迂回による不便さが利用者離れを招く11)。
中津軽郡西目屋村は、鉄道が無いのでバスとタクシーの活用が決め手となるが、田代タクシーが廃業
しており、弘前の病院まで送迎無料の福祉バスを運行している。住民はほぼマイカーを所持しているこ
とが、学生の聞き取り調査で明確になった12)。
その結果、タクシー会社が有している白神地区の観光タクシーを活用することが望ましいと判断し
た。北星交通は、オーダーメイドの観光タクシープランが可能で、弘前大学教員が主催するイベントと
連動するプランが期待できると考えた。2014年のイベントと連動するプランを企画する。
Ⅳ おわりに
アクティブ・ラーニングとは能動的学修である。課題を自分たちで考え、解決策を施行する。大学生
の学習時間は限られた科目を除き非常に少ない。教師から与えられた受動的な学習では意欲が沸かな
い。自分たちの試みが地域貢献につながるという動機付けがあれば、学習に意欲が沸く。
マーケティングゼミナールでは、以前からマーケティングの視点で地域貢献に取り組んできた。大鰐
線のチームに所属する 4 年生は、 3 年次に大鰐町活性化についての研究を進め、「特産品を使った鍋」
を考案した。弘前、黒石、平川で654人のアンケートを実施し、自由記述を KJ 法でまとめ、 1 つの方向
地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングについての一考察 ─ 顧客満足の追求 ─
23
を打ち出した。
大鰐では冬関係のイメージが強い割に冬のイベントが少ないとして「特産品を使った鍋」のイベント
を新設すべきという提案を出し、それに対しておおわに事業協同組合の相馬康穣副理事長や大鰐町企画
観光課の岩崎光課長補佐から、 1 つの方向性として考えたいという評価を頂いた13)。
大鰐町活性化は交通弱者対策が求められ、大鰐までの移動、町内の移動対策が必要である。自家用車
を有しない地域住民の移動手段は、真剣に考えるべき課題である。名湯も実際に入れなければ宝の持ち
腐れとなる。イベントを行わずに地域密着の路線として、大鰐線が必要とされるのが望ましい。
学生にとって馴染みが浅いと考えられる、タクシーの有効活用の検討はやや困難であった。デマンド
交通は、地方公共団体の要請で始まり、バスが対応できない地域を空白にしないためにタクシーを活用
することを考慮するものだが、乗合率が低いし採算割れとなり、補助金が不可欠なものとなっている。
実現までに克服すべき問題が多いという実務家の指摘が14)、学生チームの次の検討課題となった。
弘前大学学生に対して行った弘南鉄道大鰐線のアンケートを210人分集計したが、利用したことが無
い人が154人で用事が無いからとなっている。情報発信が弱く、利用するにあたっての魅力が低いとい
う意見が示されていた。ある程度事前に予測できていたことであるが、こうしたデータをもとに次の一
手を考える力が求められている。
付記
このアクティブ・ラーニングは、 2 月11日開催のシンポジウムの発表に合わせて進めている。本稿提
出の 1 月10日の時点ではまだ完成に至っていない。ひとつのモデルケースとして紹介する意義があると
判断し文章化した。シンポジウムの内容をふまえた報告書を 3 月末に刊行する予定であるので、アン
ケート処理から見いだせた若干の提言に関心のある方は、筆者まで問い合わせていただければ幸いであ
る。 3 年生は12月以降就職活動が始まるので、継続的な研究が難しいという問題が存在する。
注
1)
「陸奥新報」2013年 6 月28日。
2 )對馬勉塾長、木村
博教頭から大鰐線存続への対応を伺った。( 8 月27日)
3 )山上猛美校長、中田豊彦教頭から大鰐線存続への対応を伺った。( 9 月 5 日)
4 )古山哲司校長から大鰐線存続への対応を伺った。(10月21日)
5 )工藤司業務部営業課課長から弘南鉄道の全体像について、及び大鰐線の実情について伺った。( 9
月12日)
6 )下山清司代表取締役社長、板垣伸取締役副社長、小野俊尚観光部課長から、観光タクシーの実情に
ついて伺った。(10月 3 日)
7 )企画観光課長 前田克則、岩崎光課長補佐から、弘南鉄道大鰐線への対応を伺った。大鰐町では議
論を行い、町内会の意見等が出されていた。( 9 月20日)
8 )浅利高年 企画観光課商工観光係長から弘南線田んぼアート駅開設についての話を伺った。(11月
28日) 田んぼアート駅は、東奥日報への投書者の要望からスタートした。それまでは問い合わせ
があれば、川部駅からタクシーを利用するか、弘前駅から弘南バスを使用するように示唆してい
た。会場の間近に公共交通があれば利便性がかなり高まる。
9 )平成20年10月から町内限定のコミュニティバスが発足した。予約型のジャンボタクシー型のバス
で、大人200円、子供100円である。集客は好調であり、24年度は A 路線が約14,000人、B 路線が約
10,000人、C 路線が約5,000人となっており、運営は大鰐交通に委託している。
10)青森県庁ホームページ、あおもりの文化財 垂柳遺跡(2013年12月24日閲覧)によると、「弥生時
代中期末の水田跡が良好な状態で発見され学術的に高く評価されている。東北地方における弥生社
24
保 田 宗 良
会解明の発信地となり得る重要な遺跡である。」
11)
「讀賣新聞」2012年 8 月10日の記事を参照。 12)西目屋村総務課課長補佐 菅原孝之氏に対する聞き取り調査。(11月 8 日)
13)
「陸奥新報」2013年 3 月25日の記事を参照。この研究の詳細に関心がある方は、「大鰐町活性化のた
めの考察」弘前大学マーケティングゼミナール、2013年、弘前大学図書館に所蔵を参照されたい。
14)青森県タクシー協会弘前支部・協同組合弘前ハイヤー協会事務局長 小川夏比古氏に対する聞き取
り調査(11月26日)
参考文献
小磯修二(2013年)
「地方の創造的発展と大学の役割」
『都市問題 vol.104』後藤・安田記念東京都市研究
所,pp. 26‒30.
中山留美子(2013年)
「アクティブ・ラーナーを育てる能動的学修の推進における PBL 教育の意義と導
入の工夫」
『21世紀教育フォーラム 第 8 号』弘前大学21世紀教育センター,pp. 13‒21.
三上亨(2013年)
『地域を自立させる人々 ─持続可能な地域社会の創造─』文眞堂.
本木章喜(2014年)「中教審答申が求める大学の将来 ─危機に立つ大学教育の質保証─」『生活協同組
合研究 Vol.456』生協総合研究所,pp. 14‒20.
付記
弘前商工会議所まちそだて課長 村谷要氏
弘前観光コンベンション協会会長 清藤哲夫氏
青森公立大学講師 三上亨氏
東奥義塾高等学校理事長代行 森内美夫氏
から学生が修得すべきポイントについて貴重なアドバイスを頂いた。
地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングについての一考察 ─ 顧客満足の追求 ─
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医学科1年次教育科目「臨床医学入門」におけるワークショップ授業の教育効果
21世紀教育フォーラム 第
9 号(2014年 3 月)
21st Century Education Forum. Vol. 9(Mar. 2014)
27
医学科1年次教育科目「臨床医学入門」における
ワークショップ授業の教育効果
The Effect of Workshop in Introduction
to Clinical Medicine for 1st Grade Medical Students.
加 藤 博 之*、松 谷 秀 哉*、
大 沢 弘**、中 根 明 夫***
Hiroyuki KATO, Hideya MATSUTANI, Hiroshi OSAWA, Akio NAKANE
要 旨
【背景と目的】医学部医学科 1 年生に対し、入学後のモチベーションの低下を防ぎ、医師のプロフェッ
ショナリズムを意識させながら、能動的な学習姿勢を涵養する教育方法は、未だ確立されたものがな
い。本学では 1 年次に「臨床医学入門」の授業を行なって、この問題への対応に努めているが、その一
環として行われたワークショップ授業と教育効果について報告する。【対象と方法】 1 年生を対象とし、
平成21年度より開講している科目「臨床医学入門」の一環として 6 月にワークショップを実施した。学
生を小グループに分け、まず附属病院内の七夕飾りとして、患者・家族が願い事を書いた短冊を見せ
た。その後「患者さんの願いと医師が果たすべき役割」をテーマとして、KJ 法を用いてプロダクトを
作成し、全員の前で発表した。更に自由記載形式のアンケートで、ワークショップの感想を記載しても
らった。
【結果】プロダクトにまとめられた学生たちの意見は、患者・家族の願いは想像以上に多様で
あり、また医師や医療に対する期待は大きく、切実な思いを痛感したとするものが多かった。アンケー
トでは、患者・家族の期待に応えるための努力の必要性、高い目的を持ち真剣に学ぼうとしている仲間
への尊敬、グループワーク自体が将来のチーム医療の練習であるなど、医師を目指す上での認識を新た
にしているものが多かった。【結論】 1 年生に患者・家族の医療に対する思いを情報として伝え、かつ
同級生同士討論することは、医師の社会的役割を改めて認識させると同時に、学習に対する有力な動機
付けとなりうる。
キーワード:初年次教育、医学生、プロフェッショナリズム、KJ法
【背景と目的】
医学部医学科 1 年生に対し、大学入試の受験勉強の重圧から解放されて生じる入学後の学習へのモチ
ベーション低下を防ぎ、さらに医師のプロフェッショナリズムを意識させながら、能動的な学習姿勢を
涵養する教育方法は未だ確立されたものがあるとは言いがたい。本学では平成21年度より、 1 年次に
*弘前大学大学院医学研究科総合医学教育学
Integrated Medical Education, Hirosaki University Graduate School of Medicine
**弘前大学医学部附属病院総合診療部
Department of General Medicine, Hirosaki University Hospital
***弘前大学大学院医学研究科感染生体防御学
Microbiology and Immunology, Hirosaki University Graduate School of Medicine
28
加藤 博之・松谷 秀哉・大沢 弘・中根 明夫
「臨床医学入門」の授業を行なって、この問題への対応に努めている。本科目は週 1 回、通年で授業を
行なっており、その内容は表 1 のごとく多彩である。入学直後の自己紹介と抱負発表会「こんな医師に
なりたい」から始まり、本稿で紹介するワークショップや、本学医学部の歴史、県内地域医療の現状、
地元を知るための「津軽学」、アーリーエクスポージャー実習、模擬患者とのコミュニケーション実習 1 )
など、医師になるための学習意欲を高め、医師のプロフェッショナリズムの涵養を目指した教育内容と
なっている。本稿では、「臨床医学入門」の授業の一環として 6 月に行なっているワークショップ「患
者さんが医師に求めるもの」の内容とその効果について報告する。
表 1 1 年次「臨床医学入門」の内容(平成25年度の例)
前期日程
回数
開講日
講義内容
1
4 月10日
2
4 月17日
自己紹介と抱負発表会「こんな医師になりたい」
(1)
3
4 月24日
自己紹介と抱負発表会「こんな医師になりたい」
(2)
4
5月1日
自己紹介と抱負発表会「こんな医師になりたい」
(3)
5
5月8日
自己紹介と抱負発表会「こんな医師になりたい」
(4)
6
5 月15日
講義「弘前大学医学部の歩みとこれから−診療編」
(1)
7
5 月22日
講義「弘前大学医学部の歩みとこれから−教育編」
(2)
8
5 月29日
講義「弘前大学医学部の歩みとこれから−研究編」
(3)
9
6月5日
ワークショップ授業「患者さんが医師に求めるもの」
(1)
10
6 月12日
ワークショップ授業「患者さんが医師に求めるもの」
(2)
11
6 月19日
講義「現場の医療を知ろう」
(1)小児科 12
6 月26日
講義「現場の医療を知ろう」
(2)麻酔科 13
7月3日
講義「津軽学」
(1)
「白神の魅力」
14
7 月10日
講義「津軽学」
(2)
「医学津軽弁」
15
7 月17日
総合演習 「臨床医学入門」オリエンテーション
後期日程
回数
開講日
1
10月 2 日
ワークショップ「アーリーエクスポージャーから学んだこと」
(1) 講義内容
2
10月 9 日
ワークショップ「アーリーエクスポージャーから学んだこと」
(2) 3
10月16日
講義「津軽学」
(3)
「世界からこころのふるさと津軽を考える」 4
10月23日
講義「現場の医療を知ろう」
(3)産婦人科 5
10月30日
講義「模擬患者さんと話してみよう」
6
11月 6 日
実習「模擬患者さんと話してみよう」
(1)
7
11月13日
実習「模擬患者さんと話してみよう」
(2)
8
11月20日
実習「模擬患者さんと話してみよう」
(3)
9
11月27日
実習「模擬患者さんと話してみよう」
(4)
10
12月 4 日
講義「現場の医療を知ろう」
(4)地域医療
11
12月11日
講義「津軽学」
(4)
「ねぷた絵の歴史」
12
12月18日
講義「津軽学」
(5)
「津軽の歴史」 13
1月8日
まとめのワークショップ「医師になるために大事なもの」
(1)
14
1 月22日
まとめのワークショップ「医師になるために大事なもの」
(2)
15
1 月29日
総合演習 医学科1年次教育科目「臨床医学入門」におけるワークショップ授業の教育効果
29
【対象と方法】
対象としたのは 1 年次学生である。本ワークショップ授業は、毎年 6 月に実施しており、時間は 3 時
間程度である。ワークショップで取り組むテーマを「患者さんの願いと医師が果たすべき役割」とし、
学生たちが自ら考え、まとめ、そして発表する形式を取っている。 1 年次学生を学年の半分ずつ 2 回に
分けて行なっており、各回では学生を 6 ∼ 7 名ずつの小グループに分けてグループ作業を行う。
具体的には、まずワークショップの冒頭で、毎年 6 月末から 7 月初旬に附属病院の玄関に飾られる七
夕飾り(図 1 )の短冊を見せた。この季節、本学附属病院の玄関には、短冊の用紙が用意され、患者さ
んやその家族が自由に「願い事」を書いて、笹につけることができるようになっている。短冊には図
2 、図 3 に示すように患者・家族のさまざまな率直な思いが綴られている。これらの短冊の写真や、さ
らに写真で示しきれない他の短冊に書かれた内容も学生たちに紹介した後、
「患者さんやご家族は、ど
んなことを願っているのでしょうか?」、さらに「期待に応えるためには、医師はどんな役割を果たす
べきだと思いますか?」と学生たちに問いかけ、これに対する答えをグループ毎に KJ 法を用いて考え、
討論を通じてプロダクトとして作成し、参加者全員の前で発表した。終了後、学生に自由記載形式のア
ンケートを行い、ワークショップを通じて感じたことを記載してもらった。
図 1 附属病院玄関に飾られた七夕飾り
図 2 患者・家族が描いた七夕飾りの短冊の例 その 1
30
加藤 博之・松谷 秀哉・大沢 弘・中根 明夫
図 3 患者・家族が描いた七夕飾りの短冊の例 その 2
【結果】
1 .ワークショップ全体として
KJ 法を用いたワークショップについては学生たちはすぐに要領をつかんで順調に作業を進め、様々
なアイデア・意見を出し合い、熱心に討議を重ねて課題に取り組み、プロダクトを作成して参加者全員
の前で発表した(図 4 )。完成されたプロダクトにまとめられた学生たちの意見は、患者や家族の願い
は「普段通りの生活」、
「がんの撲滅」、
「痛みの軽減」、
「病気の進行防止」、
「丈夫な赤ちゃん」、
「こどもが
欲しい」
、
「新薬の開発」、
「手術の成功」、
「家族の回復」、
「こころも救って」等、想像以上に多様であり、
また医師や医療に対する期待は非常に大きく、切実な思いを持っていることを痛感したとするものが多
かった。図 5 にまとめのプロダクトの一例を示す。
図 4 完成したプロダクトの発表とそれに聴き入る学生たち
医学科1年次教育科目「臨床医学入門」におけるワークショップ授業の教育効果
31
図 5 学生たちが作成したプロダクトの例
2 .アンケート結果について
アンケートに記載された内容を見ると、①患者・家族の期待に応えるための努力の必要性、②高い目
的を持ち真剣に学ぼうとしている仲間たちへの尊敬、③グループワーク自体が将来のチーム医療の練習
になっていると感じた、など、医師を目指すことについての認識を新たにしているものが多かった。以
下に代表的な意見を記す。
①患者・家族の期待に応えるための努力の必要性
・「患者さんの願いは本当に様々で、その一つ一つに医師の果たすべき役割がある」
・
「七夕の短冊に書かれた願いが胸に刺さった。患者の願いに応えられる医師になりたい」
・
「患者さんの願いは、自分で想像していたものより重みがあった」
・
「すべてを実現するには大変な時間と労力が必要だが、頑張りたい」
②高い目的を持ち真剣に学ぼうとしている仲間たちへの尊敬
「同じ班の中でも『こういう意見もあるのか!』と新鮮だったし感心した」
・
・
「他の人の思考に触れることで、新しい価値観が生まれたり、自分の思慮の浅さを思い知るなど、
良い刺激になった」
・
「同じ学年の皆が、それぞれしっかりした考えを持っていて、また自分には思いつかないようなこ
とを考えていることを知り、とても刺激になった」
・
「こんなに志が高く、優秀な仲間がいることに感謝」
③グループワーク自体が将来のチーム医療の練習になっている
「数人で協力しながら行う作業が、将来チーム医療を行う上で大切なことも学べた」
・
・
「班員全員で協力して完成させることができ、達成感があった。協力することは臨床の現場でも重
要だろう」
・
「他人の意見を聞いて正確に理解する作業、自分の頭の中にしかないことを言葉にして正確に他人
に伝える作業を行った。両方医師になったときに必要とされる能力なのだろう」
32
加藤 博之・松谷 秀哉・大沢 弘・中根 明夫
【考察】
1 年次「臨床医学入門」の目的は、 1 年生から医師のプロフェッショナリズムの涵養を図ることが挙
げられる。医師のプロフェッショナリズムの捉え方は種々存在するが 2 )、本学ではわかりやすく表 2 の
ように 3 つの内容から成ることを教えている。この中で Public professionalism(社会に対するプロ
フェッショナリズム)、即ち医師としての社会的責任を果たすことは、 3 つの中では最も学生(特に低
学年の学生)に自覚させることが難しい。己の医師としての社会的責任や役割を真に実感するために
は、医師としての相当な力量(技量)や診療実績に裏打ちされる必要があり、その観点からすれば医学
科 1 年生の語る「医師の社会的責任」は当然のことながら概念的であり表層的である。換言すれば、自
らの「なりたい医師像」に向かって驀進するエネルギーに比し、医師として社会的責務を果たそうとす
る意欲は相対的に希薄であると言えるかもしれない。このような状況の 1 年生に対し、少しでも医師と
して社会的責務への自覚を芽生えさせるためには、患者や家族の医学・医療・医師への期待である「生
の声」を伝えるのが有力な方法であると考えられる。本稿で紹介したワークショップは、そのような方
法の一つであり、七夕飾りの短冊に描かれた患者・家族の率直な想いを学生たちに見せ、学生同士の討
論を通じて、そこから何かを感じ取ってもらい、それを言語化してもらうことを期待して行なってい
る。学生たちの作成したプロダクトを見る限り、短冊に込められた患者・家族の願いを学生たちは相当
的確に捉えており、同時に、自分たちの想像以上に医師や医学に対する期待が大きいことに驚き、自覚
を新たにした者も多かった。さらには学生同士の討論によってお互いをより深く知ることになり、同級
生の医学に対する真剣な姿勢に感銘を受け、お互いの尊敬の気持ちに通じていた。またワークショップ
の特徴であるグループワークがもたらすグループダイナミクスに、
「将来のチーム医療の準備」を感じ
取っていた学生も少なからず存在していた。即ちワークショップを通じて Public professionalism(社
会に対するプロフェッショナリズム)の認識を新たにしただけでなく、同級生や将来のチーム医療のメ
ンバーに対する Interpersonal professionalism(他人に対するプロフェッショナリズム)を芽生えさせ
たようにも見受けられた。これらのことは総じて学習に対する意欲を刺激し、 1 年生に対して好ましい
学習姿勢への変換を促すように思われる。本学医学科ではこのような学習効果を 1 年次のみに留めてお
くことなく、進級しても連続性を持たせるため、 2 年次に「地域医療入門」、 4 年次に「Pre BSL(臨
床実習入門)」という科目を設け、それぞれワークショップ 3 )、 4 )、 5 )を行なって継続的に自覚を促す教
育に取り組んでいる。医師になるための教育は卒後も含めれば10年近くに及ぶ長丁場であるが、このよ
うな長期的な視点に立った連続性のある粘り強い教育が肝要であると考えられる。
表 2 医師のプロフェッショナリズム
(1)Public professionalism(社会に対するプロフェッショナリズム)
・社会から期待されている役割を果たすこと
・医師としての社会的責任を果たすこと
(2)Intrapersonal professionalism(自分に対するプロフェッショナリズム)
・職業人として、自らに厳しく、たゆまず精進を続ける姿勢
・己の限界をわきまえ、恣意的な診療をしないこと
(3)Interpersonal professionalism(他人に対するプロフェッショナリズム)
・患者・家族、同僚など、他者に対し、常に誠意や思いやりをもって配慮ができること
・相手を尊重し、十分なコミュニケーションを取ることができること
医学科1年次教育科目「臨床医学入門」におけるワークショップ授業の教育効果
33
【結論】
医学部医学科 1 年生に、患者・家族の医療に対する率直な思いを情報として伝え、かつ同級生同士討
論することは、医師の社会的役割(使命)を改めて認識させると同時に、学習に対する有力な動機付け
となりうることが示唆された。
参考文献
1 .加藤博之,松谷秀哉,大沢 弘:医学科 1 年次学生に対する,模擬患者によるコミュニケーション
実習の試み.21世紀教育フォーラム 第 6 号:31‒40,2011
2 .大生定義:医学教育とプロフェッショナリズム.日医大医会誌 7 :124 ‒128,2011
3 .加藤博之,廣田和美,松谷秀哉,大沢 弘:医学科 2 年次教育科目「地域医療入門」おけるワーク
ショップ授業の教育効果.21世紀教育フォーラム 第 7 号:37‒44,2012
4 .加藤博之,大沢 弘,大串和久:医学部医学科 4 年次臨床入門科目における KJ 法を用いたワーク
ショップ授業“How to survive BSL
(Bed Side Learning)
?”の教育的意義.21世紀教育フォーラム
第 3 号:59‒65,2008
5 .加藤博之,大沢 弘:医学生に対する診断の思考過程教育における POS 診療録記載演習の意義.
21世紀教育フォーラム 第 5 号:31‒37,2010
Promoting
Creative Tasks in the Foreign Language Classroom
21世紀教育フォーラム 第 9 号(2014年
3 月)
21st Century Education Forum. Vol. 9(Mar. 2014)
35
Promoting Creative Tasks in the Foreign Language Classroom
外国語授業における創造的なタスクの推進
Brian BIRDSELL*
バードセール・ブライアン
Abstract
This paper considers different ways to integrate creativity research that has been done in the field of psychology
and cognitive science into the foreign language classroom. Creativity is important for the development of the
individual and the overall prosperity of the society, but also is crucial for the language learner for language itself
is highly creative, playful, and imaginative. Three types of creativity tasks are explored in this paper: divergent
thinking tasks, problem solving tasks, and metaphorical thinking tasks. The aim is not to replace any existing
method for teaching a foreign language, but rather to challenge the students to think more insightfully about the
world and make them more aware of the everyday creativity found in natural language.
Keywords: creativity, foreign language education, metaphor, divergent thinking
Introduction
Ever since Guilford (1950) addressed the American Psychological Association and called for psychologists
to stop neglecting the important human trait of creativity, research into this field has steadily grown. Creativity is
important both for the mental health of the individual and the overall success of the society. Research has shown
that creative skills such as problem solving can actually help the individual cope with various stresses that one
encounters in life, the ability to adapt to new situations, and an overall positive mental health (Cropley A. J.,
1990) (Richards, 1990) (Carson & Runco, 1999). On a macro level, many societies have recently looked towards
creativity as a key resource to the success of the nation (Florida, 2002) (Tan, 2000). Consequently creativity is now
regarded as an important skill to develop at school and should be promoted in the classroom.
While creativity has been notoriously difficult to define, Plucker, Beghetto, and Dow (2004) have provided
a thorough conception of this term by defining creativity as the interaction among aptitude, process, and envi-
ronment by which an individual or group produces a perceptible product that is both novel and useful as defined
within a social context. (p. 90 emphasis in original). Certain cultural values have been pointed out to hinder and
stifle creativity such as conformity (Lubart, 1990), conservatism (Dollinger, 2007), and authoritarianism (Rubenstein, 2003). Often these values though at the same time are promoted in the foreign language classroom environment where students are expected to be conservative and conform to prescriptive grammar rules. Where language
learning is about repetition or answering cursory questions about one s hobbies and likes. Yet, learning a foreign
language should be about learning another culture, broadening one s thoughts, and challenging oneself to step beyond the familiar and become more curious about the world. This interaction with another culture even at a societal
level can have positive influence on the creativity of a nation, as Simonton (1997), using a historiometric method of
*Hirosaki University International Education Center
弘前大学国際教育センター
36
Brian Birdsell
research, was able to show that the most innovative and creative periods in Japanese history occurred when there
was an influx of foreign ideas and peoples. Even on an individual level, students who have spent time studying
overseas have performed higher on creativity measurements (Leung, Maddux, Galinsky, & Chiu, 2008) (Maddux,
2009). All this points to the fact that foreign language classrooms should be an ideal place to promote and develop
the students creative potential. In this short paper I will explore some possible ways to bring in certain aspects
from creativity research into the language classroom.
Divergent Thinking Tests
One popular way of measuring creativity is through divergent thinking tests. Though it should be noted that
divergent thinking and creativity are not the same thing, but divergent thinking is one component of creativity and
creativity as a whole is made up of multiple components (Amabile, 1996) (Batey & Furnham, 2006). Guilford
(1968) stated, Most of our problems solving in everyday life involves divergent thinking. Yet in our educational
practices, we tend to emphasize teaching students how to find conventional answers (p.8). This is still very much
true in foreign language classrooms. It is important to separate these two thinking styles where convergent thinking
is the ability to arrive at one right answer compared to divergent thinking, which is cognition that leads in various
directions (Runco, 1999).
Paul Torrance (1966, 2008) developed the most widely used divergent thinking tests called the Torrance Test
of Creative Thinking (TTCT). This test has two forms; one is a figural form and the other verbal. One subtest of
the verbal form that has been widely used and is well-known throughout the world is the Unusual Uses subtest,
which asks the participants to come up with as many uses as possible for an object like a brick, paperclip, and
so on. One subtest of the figural form that can be easily adapted into the classrooms as a mini task is a Picture
Completion subtest, where students are asked to complete a picture (consisting of 4 straight lines) and provide a
title for it. The pictures students have drawn from these four simple lines have varied greatly from a banana to a
crooked cityscape to a skier to the ones provided in the example below (See Figure 1). The most common pictures
have been a house and a pen or pencil. The students are then asked to write a very brief story about the picture or
why they drew this picture or how they came up with this idea for the picture. Once students have completed the
task, the students get into groups and share with each other their pictures and stories. The point of this activity is
not only linguistic, but also an attempt to increase student interest in the subject for interest in the material can have
a positive affect on student grades and cause them to use deeper studying strategies (Schiefele, Krapp, & Winteler,
1992) (Krapp, 1999).
Promoting Creative Tasks in the Foreign Language Classroom
37
Figure 1: Examples from the Picture Completion Task
Another subtest example that can be readily used in a foreign language classroom is a Just Suppose task.
Here students are presented with an improbable situation and have to think of possible consequences. Possible situations though not limited to these are: a meteor is on target to hit the earth, scientists have created an invisible cloak,
or engineers have developed a phone robot that can quickly and accurately translate any language. This can be done
in pairs or small groups and turned into a game by counting the number of unique and original consequences that
each group has come up with. In the literature on divergent thinking tests, there are generally four aspects used
to assess the test taker s creativity namely: fluency (number of responses), originality (uniqueness of responses),
flexibility (number and uniqueness of categories of responses), and elaboration (detail of response). Other subtests
include: guessing causes for the action in a picture, asking as many questions as possible about a picture, and ways
to improve a product. (See Kaufman, Plucker, & Baer, 2008 for more detailed information about these tasks)
Problem Finding Creative Tasks
Another important part of creativity is ideational thought, or the ability to come up with many ideas to a
problem. Finke, Ward, and Smith (1992) developed a theory of creative cognition using a Geneplore model, which
is a coined word blended from the words generative and exploratory, that attempts to explain creativity not as a
single entity but as a cluster of cognitive processes. The generative process is the process whereby one comes up
with many potential creative ideas and the exploratory process expands on these ideas. This generating of ideas and
38
Brian Birdsell
then exploring in more detail a few of these ideas can be adapted into a heuristic homework task for the students.
The students are asked to think about their daily lives and something inconvenient about it and then try to devise
an invention that might improve this situation. They must draw the invention, as well as, explain what it is and how
it works (See Figure 2). Students then present their inventions to the class. These tasks can involve other themes
such as poetry, designing a collage, or coming up with a new smartphone application. Students are encouraged to
think creatively and try to generate many ideas at first before exploring one that they find interesting or important.
These types of tasks compared to the divergent thinking tests revolve around more real-life creativity and have
been viewed within the field of creativity researches to be more valid and reasonable representation of a creative
product (Sternberg & Lubart, 1995) (Amabile, 1996).
Figure 2: Examples from the Problem Finding Creative Task
Metaphorical Thinking
In this last section I would like to address one of the more important though often overlooked parts of the
foreign language classroom and that is how to address the concept of metaphor in the target language, as a way to
improve student creativity. Metaphor for a long time was considered a peripheral part of language and therefore
of little consequence to the foreign language learner, but a movement away from this classical view has been
steadily growing since the 1980 s and more recently metaphors are viewed as essential and ubiquitous (Paprotté &
Dirven, 1985) in language and not only language but also thought (Lakoff & Johnson, 1980/2003). Metaphors are
such an integral part of language, Cameron and Low (1999) suggest that having knowledge of them is essential
to using language and may actually be crucial to acquiring it. This importance of metaphors in language naturally
is not restricted to learning a first language, but also critical for learning a second language for it contributes to
Promoting Creative Tasks in the Foreign Language Classroom
39
various language skills such as sociolinguistic, illocutionary, textual, and grammatical competencies (Littlemore
& Low, 2006). Any teacher that attempts to utilize authentic material in the classroom is often confronted with the
common dilemma of, How do I get my students to think more metaphorically in the foreign language, so they can
understand this text? The following quotes from an online article taken from baby boomers talking about their dire
financial situations demonstrate just how important metaphors are to natural, everyday language.
(1)
(2)
Yes, withdrawing funds helped me jump over my financial hurdle at the time
was a financial setback. Twenty-five years later, I still kick myself.
Creditors were calling me daily and my good credit rating took a nosedive
light at the end of the tunnel is getting a little brighter now
it
The
(Sprinkle, 2013)
In cognitive semantics, conceptual metaphors are usually written with capital letters to distinguish them from
the above linguistic metaphors. Looking at the quotes above, we can find such conceptual metaphors as FORWARD
MOVEMENT IS PROGRESS, (FINANCIAL) LIFE IS A JOURNEY, DOWN IS LESS, and SEEING IS KNOWING. Thus when one subsequently falls behind, they are not making progress, which in the evaluative sense is a
negative outcome. On the road to wealth and a comfortable retirement life, one may encounter certain impediments
like a hurdle that may block one from reaching one s goal in a timely and smooth manner. When your credit takes
a nosedive , your credit score is quantitatively less than it was before and has become less in a quick and out of
control manner. In a tunnel, there is darkness, not being able to see and therefore not knowing what will happen,
not knowing how you will survive your current situation. This lack of knowledge leads to despair and hopelessness,
but the light is hope for it brings with it knowledge and clarity. The embodied act of physically kicking yourself
is a metaphorical gesture for the abstract concept of regret. It works much the same way as cross my heart is for
a promise or his comment left me scratching my head is for confusion. Where the physical gestural act is metaphorically extended to some socially complex situation.
Metaphors, as can be seen from the above examples, require some creativity from the reader to interpret their
meanings. Metaphors may exist on a cline based on how novel they are to how conventionalized they are to the
reader. The more novel metaphors, naturally, would require more creative processing to interpret the meaning. For
foreign language students, one would have to assume that most metaphors in the target language would tend to
be more novel since the metaphors have not had a chance to become conventionalized for the learners. Exposing
students to metaphors early on in their learning of the language is an essential part to becoming more competent
with it. One easy way to bring metaphors into the classroom is through the emotions. Physiological states such
as heat are often extended to the emotion of anger while coldness with fear. Verticality is often exploited by the
emotional states of happiness and sadness. This could be done through simple exercises that asks students to reflect
on these emotions and then provide them with common vocabulary or idiomatic language that are commonly used
to express these states such as boiling over or simmer down for anger, blue or down for sadness, up or
on cloud nine for happiness, cold feet or frozen stiff for fear, and so on. Most often many of these will have
some cross-linguistic similarities since they are not so much conceptually framed by some element of culture, but
instead a physiological change from experiencing such an emotion.
Another approach to bringing metaphors into the classroom in a more creative way is to use visual metaphors
(Forceville, 1994), especially the ones found in advertisements to get students to find some similarities between
two unlike things. Birdsell (2013a) presented different ways to bring metaphors into the classroom, for example,
using pictorial representations as stimuli to get students to start thinking metaphorically and possibly lead to critical
discussions on the topic. For instance, The World Wildlife Federation provides many good metaphorical images.
40
Brian Birdsell
One such image is the depiction of a forest in the shape of lungs and the destruction of it. There are at least two
metaphors here, the earth is a living thing and trees are the lungs to this living thing. This could lead to a class discussion about deforestation and the importance of conservation. Metaphors in pictorials can both visually provide
cues to the student and assist them in making the connection between the two semantically disparate items in the
metaphor.
Metaphors in the classroom can have multiple benefits for the students learning a second language. Firstly,
they can enhance their overall linguistic competency with the language. Secondly metaphors provide a springboard
to discussions on various current event topics for they often are highly evaluative in nature. Finally and most importantly for this paper, metaphors provide an opportunity for the students to be more creative with the language.
Conclusion
This paper provides a brief review of some possible ways to introduce creativity in the foreign language
classroom and the importance of creativity for language learning for research has shown that creative individuals
are more intrinsically motivated to learn (Birdsell, 2013b), have a greater willingness to exert effort (Cropley A. ,
1997) and are more open to new experiences (McRae, 1987), which are all important traits to learning. Though
it should be stated that these activities are not meant to replace any formal teaching method, but could possibly
be integrated into existing teaching material. Creativity in the classroom has incessantly intrigued teachers while
at the same has also carried with it a negative stigma for creative individuals have often been labeled as acting in
a deviant and/or defiant way to proper and good classroom behavior. Trying to implement creative tasks into the
classroom may disrupt the teacher s control over the class for it naturally promotes the exploration of the unknown,
which may in turn lead to unpredictable classes. Though the potential role of creativity in the foreign language
classroom should not be underestimated for creativity is the learning process by which unexpected links between
two discrepant elements come together, which may assist learners in developing metaphorical competence in the
foreign language. While at the same time provides students practical skills like learning to be more innovative,
which is of great importance to business organizations effectiveness and survival (Tellis, Prabhu, & Chandy, 2009)
(Dreu, Baas, & Nijstad, 2012)
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仕事を楽しめる能力
∼アクティブラーニングとの接点∼
21世紀教育フォーラム 第 9 号(2014年
3 月)
21st Century Education Forum. Vol. 9(Mar. 2014)
43
仕事を楽しめる能力
∼アクティブラーニングとの接点∼
Ability to be able to enjoy the work:
contact with the active learning
小 磯 重 隆*
Shigetaka KOISO
要 旨
若年者雇用に関し「入社 3 年以内の離職率」が問題視される。若者が仕事を辞める原因は色々ある
が、目の前の仕事を投げ出さず、しっかり自分の職業能力を高めることが大切である。高等学校進路指
導の調査、キャリア論、実際の研修カリキュラム作成と実施状況を通して若者が身に付けるべき「仕事
を楽しめる能力」について考察する。
仕事を楽しむためには、その仕事が好きか嫌いかにかかわらず、第一に「仕事ができること」、第二
に「仕事で自己実現ができること」、自己実現は「仕事で成長できること」と考えられる。これを 2 つ
の能力と 4 つの要素にまとめた。能力の育成は 2 つのステップが望ましい。研修カリキュラムを検討
し、実施する中で、「能動的に取り組む」ことが重要であること、「仕事を楽しめる能力」と「アクティ
ブラーニング(能動的な学習)
」には接点があることが分った。目の前の仕事を楽しむ能力育成のカリ
キュラムが必要である。
キーワード:キャリア教育、離職率、アクティブラーニング、社会人基礎力
はじめに
若年者雇用に関し「入社 3 年以内の離職率」が問題視される。青森県において、平成16年 3 月高等学
校卒業者は入社 1 年目で32.0%、 2 年目で50.0%、 3 年目で59.8%が離職してしまった。同様に大学卒
業者は入社 1 年目で23.0%、 2 年目で35.7%、 3 年目で45.3%が離職している。全国平均の入社 3 年以
内離職率は高校卒業者49.3%、大学卒業者36.5%であり、中学卒業者(高校中退者を含む)の値が約 7
割であることから「753現象」などとも呼ばれた。
若者はどうして仕事を辞めてしまうのだろうか。若者本人の原因や企業の原因、家庭環境の原因や雇
用社会の原因など“原因さがし”をすれば色々な課題が浮かび上がる。若者に離職の理由を尋ねたアン
ケートでは「やりがい・生きがい」
「勤務形態・勤務時間」
「興味の持てる仕事」
「安定した職業」を求め
て仕事を辞めたと回答されている調査がある。この調査では、企業はその理由を「仕事が向いていな
い」
「職場の人間関係」と把握し、対策として「上司・先輩の指導」
「社内教育・訓練」を行っている。
「何も対策していない14.8%」という回答もあった。
*弘前大学学生就職支援センター
Hirosaki University Student Career Center
44
小 磯 重 隆
実は近年「入社 3 年以内の離職率」は大きく改善された。平成21年 3 月卒業者を追跡調査した値は、
青森県の高校卒業者37.3%、大学卒業者31.6%(全国平均でも高校卒業者35.7%、大学卒業者28.8%)で
ある。平成16年当時、特に高校卒業者の値が高かったことから行政機関も多くの努力をして改善した事
は間違いない。しかし筆者はこの約10年間、リーマンショック等もあり厳しい雇用環境が続いたことか
ら「辞めるにもやめられない状況」であったと考えている。もしそうであるならば雇用環境の回復とと
もに、若者の離職率は再度増加することが懸念される。
若者が仕事を辞める原因は色々ある。雇用環境が悪く、本来希望しない仕事に就いた者も多いに違い
ない。時間をかけて若者を一人前の職業人に育て上げる余力が企業から失われたとも言われる。希望し
ない仕事であっても、誰かが丁寧に指導してくれなくても、若者が目の前の仕事を投げ出さず、しっか
り自分の職業能力を高めることが大切である。そのために「仕事を楽しめる能力」を身に付けることが
求められているのではないだろうか。高等学校進路指導の調査、キャリア論、実際の研修カリキュラム
作成と実施状況を通して若者が身に付けるべき「仕事を楽しめる能力」について考察する。
1 .「仕事を楽しめる能力」はどのような能力なのか
例えば、
“たまたま偶然に与えられた仕事環境の中で、その仕事の 8 割が楽しくなくても、残りの 2
割の少しだけ興味を持てる何かの中で「楽しい」を膨らませ、仕事を工夫し、ちょっと成功し、ほめら
れ、何かが分かり、 2 割が少し広がる…。本人も気づかぬうちに、仕事ができるようになり、後輩に教
えている。そんな「力」
、たくましい「能力」。”はないだろうか。もしその能力が若者にあれば、毎日
嫌々仕事をするのではなく、前向きに仕事を見つめることができるはずである。
1 )高校生と大学生の相違
高校生と大学生の就職活動は大きく異なる。高校生は就職活動の時期や内容が“地域と学校単位”で
制限されている。例えば、青森県では10月までは「ひとり一社の応募・推薦」とされている。一方、大
学生はインターネットの就職情報サイトを利用するなど就職活動の自由が多い半面、自分自身での活動
が求められる。大学もキャリア教育や就職支援を行い各人の活動をサポートしている。学歴という意味
ではなく、このような就学の場から社会に出る「就職システム」の違いにより、若者のキャリア意識に
は相違が生じ得ると思われる。どちらが良い、悪いではなく、若者がどのような「就職活動」を経たの
かを知ることが重要である。
2 )高等学校進路指導の調査
平成24年青森県内高等学校85校に進路指導に
関するアンケート調査を行い、69校から回答を
得た(回答率81.2%)
。
「高校卒業後又は大学卒
業後に就職し、入社 3 年以内に離職してしまう
ことを、全体的にどう思うか」の問いに、非常
⑤問題ではない 0%
④あまり問題
ではない 1%
③やや問題
である 12%
⑥どちらともえいない 3%
⑦その他 1%
①非常に問
題である
29%
に問題である29%、問題である54%、やや問題
である12%を合せて95%の進路指導担当者が
「問題である」と回答している。
また、若者に求められる“基礎的な職業能
力”として「若者には、どのような能力が大切
②問題である
54%
図 1 入社 3 年以内の離職についてどう思うか
だと感じるか」の問いに、
「社会人基礎力」12の能力要素を選択肢( 3 つまで選択)として質問したと
ころ、主体性69%、実行力32%、柔軟性32%、と回答されている。高等学校進路指導担当者から見た若
仕事を楽しめる能力 ∼アクティブラーニングとの接点∼
45
者の大切な能力は主体性(物事に進んで取り組む力)であることが分る。
進路指導担当者を平成24∼25年に直接訪問し25校ヒアリング調査を行った。単刀直入に「仕事を楽し
める能力」の意見を伺ったところ、
「自分で考える力」
「考えを伝える力」
「目標に向かう力」
「素直さ」
「我
慢する力」
「人とつきあう力」
「自信を持つ力」
「人的な上下関係」
「気づく力」
「部活での人間関係や経験」
など色々な意見を聞いた。コミュニケーション力が大切であるとの意見が多く、ただ人と仲良くするだ
けではなく、考えを伝えること、相談すること、気づくことなど、具体的なスキル(技能・特性)を上
げる意見を多く聞く事ができた。
高等学校調査から、早期離職は問題であること、主体性(物事に進んで取り組む力)が大切であるこ
と、コミュニケーション力が必要であり、具体的なスキル(技能・特性)が「仕事を楽しめる能力」に
つながると考えられることが分ってきた。
3 )社会人基礎力から
社会人基礎力は“職場や地域社会で
多様な人々と仕事をしていくために必
表 1 若者には、どのような能力が大切だと感じますか
〈経済産業省:社会人基礎力12の能力要素より〉
要な基礎的な力”として「前に踏み出
①主体性 (物事に進んで取り組む力)
す力」
「考え抜く力」
「チームで働く力」
②働きかけ力 (他人に働きかけ巻き込む力)
6%
という“ 3 つの力”と12の能力要素か
③実行力 (目的を設定し確実に行動する力)
32%
らなる概念である。高等学校進路指導
④課題発見力
(現状を分析し目的や課題を明らかにする力)
29%
担当者アンケートで「若者には、どの
ような能力が大切だと感じますか」と
69%
質問し、主体性(物事に進んで取り組
⑤計画力 (課題の解決に向けたプロセスを明らかにし
準備する力)
む力)と回答を得たのも、この12の能
⑥創造力 (新しい価値を生み出す力)
20%
力要素のひとつである。回答の少ない
⑦発信力 (自分の意見をわかりやすく伝える力)
17%
⑧傾聴力 (相手の意見を丁寧に聴く力)
23%
⑨柔軟性 (意見の違いや立場の違いを理解する力)
32%
⑩状況把握力
(自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力)
26%
⑪規律性 (社会のルールや人との約束を守る力)
20%
⑫ストレスコントロール力
(ストレスの発生源に対応する力)
20%
⑬その他
17%
「働きかけ力」と「計画力」を若者は
充分身に付けているのであろうか。お
そらく“他人に働きかけ巻き込む力”
や、
“課題の解決に向けたプロセスを
明らかにし準備する力”も重要である
が、その前に必要となる基礎力に足り
ないものがあり、それが「主体性」で
あり「実行力」や「柔軟性」なのだと
考えられる。能力の育成については、
6%
少なくとも 2 段階以上のステップで取り組む必要があるものと考えられる。
4 )仕事を楽しむために何が必要か
仕事を楽しめる能力について考察するために、他にも“若者の離職理由”や“企業の対策内容”
“家庭環
境の要因”など多くの要素を考え合わせる必要があるかもしれない。しかし現実的にはひとつの回答が
得られるものでもないかもしれない。ここでは方向性として、仕事を楽しむためには、その仕事が好き
か嫌いかにかかわらず、第一に「仕事ができること」、第二に「仕事で自己実現ができること」と考える。
自己実現はとても大きな概念であるので、
「仕事で成長できること」と置き換えて考える。
46
小 磯 重 隆
2 . 2 つのキャリア論
1 )ホランドのキャリア論
職業選択について J.L. Holland は「ホランドの六角形モデル」を提示している。ホランドの理論は、
職業選択が人格の表現行動のひとつであり、人は自己の人格の表現を容認してくれる環境を求めるとい
う考えに基づいている。具体的には、次の 4 つの仮説によって構成されている。
①我々の文化において、大多数の人は「現実型,研究型,芸術型,社会型,企業型,慣習型」の『 6
つの人格型』のうちひとつに分類される。
②我々の『生活する環境』には、
「現実型,研究型,芸術型,社会型,企業型,慣習型」の 6 つの種
類がある。
③人は、自己の技能を発揮でき、自己の価値観や態度を表現でき、かつ、自己の役割や問題を引き受
けさせてくれるような環境を探し求める。
④個人の行動は、その人の人格と環境との相互作用によって決定される。
人はひとつだけの人格を発達させるのではなく、 6 つの型をその内面に備えながら、環境(両親、兄
弟姉妹、仲間、学校、職場)との相互作用を通して、ある特定(優秀な型とそうでない型)の人格型を
発達させるという。人格型の相互の関係、環境相互の関係、そして人格型と環境との間の関係を六角形
モデルで示している。この図で、互いの位置(距離)が近ければ関係が強く、遠ければ関係が弱い。
つまり、人には『 6 つの人格型』があり、同じ『生活する
現実型
環境』を求めるものであると示している。この環境には「仕
研究型
事」を含み、自己の技能や能力を発揮でき、自己の価値観や
態度を表現でき、かつ、自己の役割や問題を引き受けさせて
くれるような環境を探し求める、と論じている。
慣習型
芸術型
若者のキャリア支援に使われる「適職診断ツール」の多く
は、ホランドのキャリア論が基礎になっており、職業を探
企業型
社会型
す、自分に合った職業を考える正しい方法とされている。
図 2 ホランドの六角形モデル
2 )クランボルツのキャリア論
キャリアの 8 割は予想しない偶発的なことによって決定されると J.D. Krumboltz は言う。そして「計
画された偶発性理論」として、次のように述べている。「キャリア(人生)は、あらかじめ計画した通
りや期待した通りには決してならないという現実がある。将来の職業(仕事・職種)を決めてしまうこ
とを勧めない。もちろん“なりたい職業”を持っていてもよいが、それだけに固執すべきではない。ひ
とつの職種を目指すことや特定の職業にこだわることは、他の職業の選択肢を捨てていることにつなが
る。個人のキャリアの 8 割は予想しない偶発的なことによって決定される。その偶然を“計画的に設
計”し、自分のキャリアをより良いものにしていくべきである。」と言う。そして計画された偶発性は
『 5 つの行動特性』を持っている人に起こりやすいこと、偶然性の理論だから偶然に身を任せてばかり
いるのではなく、
『行動すること』と『オープン・マインド』が大切であることを示した。
表 2 クランボルツ 『5つの行動特性』
1)好奇心(Curiosity)
:自分の知らない世界に視野を広げ、さまざまなことに関心を持つ。
2)持続性(Persistence)
:すぐに投げ出すのはよくない。相応の粘りや努力が必要。じっくり取り組む。
3)柔軟性(Flexibility)
:こだわりを捨て「なんでも来い!」の気持ち。ひとつのことに決めつけない。
4)楽観性(Optimism)
:ネガティブなことを悲観的に受け止めるのではなく、チャンスだととらえる。
5)冒険心(Risk Taking)
:リスクテイキング。さまざまなリスクも引き受ける気持ち。
仕事を楽しめる能力 ∼アクティブラーニングとの接点∼
47
偶発性理論は、 5 つの行動特性を持って、開かれた心で、行動することが大切であると言う。何でも
興味を持つこと、
「これしかない」と決めつけるのではなく、色々なことに首をつっこんでみることで
“良い偶然”に出会うのだと述べているのである。
3.
「仕事を楽しめる能力」とアクティブラーニングの接点
仕事を楽しむためには、その仕事が好きか嫌いかにかかわらず、第一に「仕事ができること」、第二
に「仕事で自己実現ができること」と考え、自己実現を「仕事で成長できること」と置き換えて考えて
みる。ホランドは 6 つの人格型と環境(仕事)の相互作用を述べ、自分に適した仕事(つまり、好きか
嫌いか)が重要であると解釈できるが、実は“自己の技能や能力”が発揮できること、
“自己の価値観”
を表現できること、
“自己の役割”を担えることが大切だと述べている。嫌いな仕事でも仕事を楽しむ
ことと矛盾するものではない。クランボルツは開かれた心で何にでも興味を持ち、行動することが大切
だと述べている。 5 つの行動特性を持って行動してみれば、思わぬ“良い偶然”に出会い、新しい価値
観や役割に気が付くものかもしれない。仕事ができること、仕事で成長できることを、次の 2 つの能力
と 4 つの要素にまとめてみる。高校調査から、コミュニケーション力という漠然とした中から具体的な
スキル(技能・特性)を絞ることが指摘されたが、「人に聞く」「人を巻き込む」という要素に絞り込む
こととした。
仕事ができること、とは『人の真似をして、できると思える能力』である。仕事の全部に自信は持て
ないので「①一部分の分量を自分で決める」こと、真似をすると言っても、見て分からない部分は勇気
を持って「②人に聞く」ことが大切である。仕事で成長できること、とは『自分の工夫を実現する能
力』である。課題は何なのか、目の前の課題を「③興味を持って考える」こと、自分勝手な行動ではな
く上司や先輩にも相談しながら「④人を巻き込む」ことである。前者は“仕事を覚える”ことであり、
後者は“仕事を能動的にする”ことであるとも考えられる。能力の育成については、少なくとも 2 段階
以上のステップで取り組む必要があるものと考えられたが、「仕事を覚える」ことを第 1 ステップとし、
「仕事を能動的にする」ことが第 2 ステップになる。
この「仕事を楽しめる能力」を、仕事を通じて身に付けるほか、仕事上の研修あるいは在学中の研修
カリキュラムによって身に付ける方法はないだろうか。近年、
「学生が何をできるようになったのか」
を目的に、学生が能動的に参加する授業形態であるアクティブラーニングが注目されている。アクティ
ブラーニングとは「能動的な学習」のことで、授業者が一方的に知識伝達を行う講義スタイルではな
く、課題研究やPBL(Project/Problem Based Learning)、ディスカッション、プレゼンテーションな
ど、学生の能動的な活動を取り入れた授業形態を総称する言葉である。授業の形態や内容は広く、目的
も様々であるが、「仕事を楽しめる能力」を身に付ける研修カリキュラムとして、 2 つの能力と 4 つの
要素を、仕事以外の教材を使って模擬的に学習することは可能である。また、高校調査から主体性(物
事に進んで取り組む力)が強く求められたが、「能動的な学習」は、まさに「自ら進んで」取り組む姿
勢を学ぶものであり、自ら“自分に問いかける”、自ら“他人に働きかける”ことが求められる。「仕事
を楽しめる能力」の育成とアクティブラーニングは、このような接点があると考えられる。
アクティブラーニングは“学んだ専門
知識の活用がどれだけ図られているか”
が重要である。学んだ知識との結合がな
ければ、ともすると“お遊び”的なもの
に終始してしまう。アイデアや思いつき
に偏らず、例えば、物づくりに関する専
門知識や仕事の進め方、コミュニケー
表 3 2 つの能力と 4 つの要素
●『人の真似をして、できると思える能力』
①一部分の分量を自分で決める …内面
②人に聞く
…外向
仕事を覚える
●『自分の工夫を実現する能力』
③興味を持って考える
④人を巻き込む
…内面
…外向
仕事を能動的にする
48
小 磯 重 隆
ション力の中での具体的なスキル(技能・特性)を確かめることが大切である。大学生であれば学部で
学ぶ専門知識との結合が図れるカリキュラム検討が「仕事を楽しむ」ために有効であると考える。
4 .能力を高めるための研修カリキュラム
「仕事を楽しめる能力」とアクティブラーニングの接点から、いくつかの研修カリキュラムを検討し、
実践した事例を紹介したい。研修効果の評価には至っていないが、
「仕事を楽しめる能力」を高める目
的で実施した事例である。
1 )青森職業能力開発短期大学校「職業社会論」にて
●能動的に自分の考えを形にする
研修の概要
多人数で実施するモデルとして固定式の机と椅子の教室で実施した事例を紹介する。約80名の物づく
りを学ぶ学生に100分間の研修をキャリア教育として行った。課題は紙模型の作成である。A 3 画用紙
を材料に、底辺 8 cm ×稜線7.5cm のピラミッドを作る。筆記用具の他、与えられた工具(三角定規、
コンパス、下敷き、はさみ、のり)の中で量産を念頭に「設計・試作」する。
「仕事を楽しめる能力( 2 つの能力と 4 つの要素)
」
を説明した後、次のルールで演習を進めた。
①作成するピラミッドの設計は自由でよい…(品
質基準を守り、後の量産を前提にした試作)
②指示があるまで(演習の前半)しゃべってはい
けない…(会話は禁止)
③周りの人の作業を嫌がらない範囲で見てよい…
(人の方法を見て考える)
④演習の後半はしゃべって良い(会話の許可を指
示)…(人に聞く)
各自時間内に自分の設計案で「試作品」を 1 点作成
する…(興味を持って考える)
写真1 紙模型ピラミッドの演習
試作後、固定式机の前後で 5 ∼ 8 名のグループを組み
「誰の試作が良いか」をディスカッションした。今回の研
修は100分間の実施であるが、 2 回目以降の計画を立てる
ならば、
「試作」→「量産」に向けてグループワークを行
う。各自の試作案から“良い点”を集めて“人を巻き込ん
で”自分の工夫を実現する演習目的に進むことができる。
研修の所感
物づくりを学ぶ学生に「能動的に自分の考えを形にす
る」演習を行った。目に見える完成した形は全員同じ寸法
写真 2 試作案を考えて形にする
の紙ピラミッドである。しかし、材料使用、工具使用、作りやすさ、品質、量産適合性、生産性など
“目に見えない”各自の違いがある。全体の 8 割は個人作業で進める演習であるが、能動的な学習で仕
事を楽しめる能力を学び得るものであると感じた。
仕事を楽しめる能力 ∼アクティブラーニングとの接点∼
49
2 )インターンシップ「事前研修会」にて
●コミュニケーション力の具体的なスキル(技能・特性)を学ぶ
研修の概要
インターンシップに参加する学生約36名の事前研修(180分)を紹介する。 6 名の 6 グループに分か
れ、 1 )あいさつ 2 )仕事の教わり方と「報告・連絡・相談」 3 )会社の見方、を研修する。仕事
を楽しむために、第 1 に「仕事を覚える」こと、第 2 に「仕事を能動的にする」ことが大切であった。
この演習では、特にコミュニケーション力の中の具体的なスキル(技能・特性)を経験する。
各グループで部長、課長、社員①、社員②、私:インターンシップ生①、他インターンシップ生②の
役割を決め(この役割は順番に交代)、色々な場面を設定して、「私」役(インターンシップ生①)に演
じてもらう。
次の 5 つの場面で演習を行った。
①「あいさつ」では …言葉だけではなく、会話のキャッチボール、リアクションが大切
②「仕事の受け方」では …「はい」
「わかりました」ではなく、
「何を、いつまでに、どのように」
など、 5 W 2 Hに沿って確認、要点を復唱する
③「報告」では …「終わりました」ではなく、結果や経過について述べる
④「連絡」では …事実や情報をもれなくスピーディーに伝える
⑤「相談」では …漫然と相談するのではなく、自分なりの考えを用意する
研修の所感
コミュニケーション力の具体的なスキル(技能・
特性)についてアクティブラーニングを用いて、
「仕
事を覚える」
「仕事を能動的にする」ことの演習を
行った。話が上手であることや、聴く態度であるこ
とがコミュニケーション力と思われがちであるが、
仕事の指示を受けて復唱することなど具体的なスキ
ル(技能・特性)が大切であり、さらに「分かって
いる事」ではなく、
「できる事」になっていると自
分自身で感じることで、仕事を楽しめる能力を学ぶ
ことにつながると感じた。
写真 3 仕事を教わる(具体的スキルを経験する)
3 )キャリア教育「社会と私−コミュニケーション力」にて
●仕事を教わり、自分の工夫を実現する能力
研修の概要
21世紀教育「社会と私−コミュニケーション力」授業の
中でのキャリア教育を紹介する。約30名の学生に90分 2 回
の演習を行った。課題は「紙ヒコーキ」の作成である。 6
名のグループに分かれ、リーダー 1 名、サブリーダー 1
名、作業者A①、A②、作業者B①、B②の役割分担を決
める。作成する紙ヒコーキの設計書はリーダーのみが見
て、班員に作業方法を伝える。第 1 回目は「仕事を教わ
る」ことがテーマで、第 2 回目は「仕事を工夫(改善)す
る」ことがテーマになる。グループの中に、AとB 2 つの
生産ラインがあり、同じ作業方法をとることが条件であ
写真 4 分業して仕事(自分の役割)
50
小 磯 重 隆
る。自分ひとりが改善するのではなく、同じ工程を担うもう一方の作業者にも同じ作業方法(人を巻き
込む)をとってもらわねばならない。
「仕事を楽しめる能力( 2 つの能力と 4 つの要素)」を説明した後、次のルールで演習を進めた。
①紙ヒコーキの設計書はリーダーのみが見て、班員に作業方法(仕事)を教える
②グループ内はAラインとBラインの 2 つの生産ラインがあり、同じ作業方法であることが条件
③班員はリーダー又は同じ工程の別ライン担当者と話し、仕事を覚える
④量産のために、作業方法を改善する
⑤品質(Q)、生産性(C)、納期(D)を評価する(実際に飛ばしてみる)
第 2 回目の生産では、工具(30 cm 定規 4 本、カッター 4 本、下敷き、はさみ 2 本、ペン 4 本)が与
えられ、材料の切り出しなど仕事の改善(自分の工夫)をやり易くしている。評価は何機の紙ヒコーキ
が 5 m 飛ぶか否か。演習時間を決めて(20分間)生産するため、効率のよい生産をすれば、機数が多く
作れる。雑な作業をすれば機数が増えても品質(飛ばない)が悪いことになる。仕事を覚え、能動的に
人を巻き込んで自分の工夫を実現する演習目的である。
研修の所感
紙ヒコーキを飛ばす試験飛行の時間を限定し、ア
クティブラーニングが“お遊び”にならないように
注意して進めた。はじめ 1 機 3 分程かかる作業時間
は、改善を工夫すると半分程の時間で生産できるよ
うになる。仕事の改善はひとりではなく、リーダー
と別ラインの担当者を巻き込んで「同意」を得て、
新しい仕事の方法を教え、教わることで完結する。
2 人の分業であるため、改善されると作業分担も変
わり、ここにも相談が必要になる。紙ヒコーキを扱
うこと自体も楽しいが、仕事が上手くいって(上手
に生産できて)
、評価が得られる(きれいに飛ぶ)
ことで、小さな成功体験が得られる演習であると感
写真 5 仕事の評価(5m 飛ばそう)
じた。
5 .考察とまとめ
仕事を楽しむためには、その仕事が好きか嫌いかにかかわらず、第一に「仕事ができること」、第二
に「仕事で自己実現ができること」と考え、自己実現を「仕事で成長できること」とした。さらに、能
力の育成については、少なくとも 2 段階以上のステップで取り組む必要があるものと考えられ、
「仕事
を覚える」ことを第 1 ステップとし、「仕事を能動的にする」ことが第 2 ステップになるとした。「仕事
を楽しめる能力」として 2 つの能力と 4 つの要素を提案した。この要素を含む研修カリキュラムを検討
し、実施した。また、コミュニケーション力の中の具体的なスキル(技能・特性)も重要であり、「仕
事を受ける」
「報告・連絡・相談」について、インターンシップ事前研修として実施した。
「仕事を楽しめる能力」は、他にも多くアプローチがあるだろう。例えば、「仕事の意義を知る」こと
も重要である。あるいは、楽しいばかりではなく「我慢強さ」も必要であろう。しかし最も重要である
ことは、若者自身が「能動的に取り組む」ことであると今回の研究を通じて知ることができた。その意
仕事を楽しめる能力 ∼アクティブラーニングとの接点∼
51
味で「仕事を楽しめる能力」と「アクティブラーニング(能動的な学習)」には接点がある。入社 3 年
以内離職の増加が懸念される。企業の働かせ方にも課題は多く、若者の離職は良くないと決めつけるこ
とはできないが、意味なく職を転々としては培われるはずの職業能力も身に付かない。目の前の仕事を
楽しみ、次の仕事に広げていける能力育成のカリキュラムが必要である。
本研究は、平成23年度∼25年度科学研究費助成事業「若年者の職場定着に関する研究∼職業教育を通
じて」によって、高等学校調査や研修カリキュラムの検討、実施を行った。学生が能動的に参加できる
授業形態は、すべての学生に保証される必要がある。質の高いものであっても「選択」では、本当にそ
の科目が必要とされるタイプの学生が「選択しない」可能性を否定できない。多人数アクティブラーニ
ングの実践モデルを明確にし、誰でも利用・活用できることを今後の課題とし検討していきたい。
参考文献
1 )青森県地域労使就職支援機構「求人・求職ニーズ調査報告書」 平成19年10月
2 )小磯重隆「社会人基礎力と就業力の育成」弘前大学21世紀教育フォーラム第 7 号 平成24年 3 月
3 )学校法人河合塾編「アクティブラーニングでなぜ学生が成長するのか」東信堂 平成23年 6 月
4 )経済産業省編「社会人基礎力 育成の手引き」学校法人河合塾 平成22年12月
The Grammar
21世紀教育フォーラム 第 9 号(2014年
3 月) Teaching Conundrum̶A Reflective Essay
21st Century Education Forum. Vol. 9(Mar. 2014)
53
The Grammar Teaching Conundrum—A Reflective Essay
文法を教えるという難題から私が学んだこと
Edward FORSYTHE*
フォーサイス・エドワード
Abstract
The debate over how to best teach grammar in a foreign language has raged for decades between two
main camps: emergentists and those who teach grammar explicitly. My experience has shown that the best
way to teach foreign language grammar lies somewhere in the middle. This paper reviews the viewpoints
and methods of both sides in this argument and presents suggestions for teaching grammar based upon my
personal experiences as both a foreign language learner and a language instructor. My personal experiences
and conclusions are supported by research in the field of second language acquisition provided herein.
Keywords: grammar, foreign language, emergentist, explicit grammar, lexical approach
1. Introduction
The debate about whether or not to explicitly teach grammar in the foreign language classroom has raged for
decades. Along with this debate, among those proponents of grammar instruction, another debate has raged about
exactly how to teach grammar. Larsen-Freeman (2003) confirms that there is no real consensus about the best
grammar teaching methodology. All of the better-known language educators have proffered their own beliefs at one
time or another and none of them have been able to reach one general conclusion. This debate is a waste of energy
because it focuses more on the mechanics of language education instead of on the purpose of language teaching:
to teach students to communicate. The grammar debate is a holdover from the days of grammar translation and is
based on the fact that a century ago, the reasons for learning a second language (L2) were primarily to translate
written works. Today s rationale for learning languages is rooted in communication needs so we must alter our
approach to education to align with the current purpose. Because of this, teachers must put grammar in its proper
place and context in the classroom. Grammar must be taught as a tool which enables communication and not as
the backbone of a language which requires mastery before one can speak. This is why Larsen-Freeman espouses
her concept of grammaring: the idea of teaching grammar as a communications modality like speaking, reading, or
listening. This paper will explore an optimum method for teaching grammar in a foreign language.
2. Dealing with grammatical uncertainty
One of the reasons that the grammar debate has continued is that everyone has a different concept or definition
of grammar, so their understanding of its place in the language classroom will vary based upon their personal
definition. Ever since Saussure (1916, as cited in Larsen-Freeman 2003) began investigating the internal structure of
language, linguists have grappled with establishing the one definition of grammar. Larsen-Freeman is no exception
*Faculty of Humanities, Hirosaki University(part-time)
弘前大学人文学部(非常勤)
54
Edward Forsythe
and she suggests that grammar is a skill which takes practice just like any other communications skill.
Hopper (1998) provides this analogy:
Language is seen as a conduit, a kind of pipe through which ideas formulated in the head of one speaker
are encoded and transmitted to the head of another speaker, where they are decoded and reconstituted
as the same ideas. (170).
Grammar gives this conduit structure and the tensile strength needed to be effective in relaying information.
My idea of grammar closely relates to Hopper s: grammar is a set of defined patterns of lexical use which shape
utterances as needed to convey meaning. The central focus of language is on the lexicon and grammar is but
a supporting structure̶lexicon has the grammar built into it. These patterns of use are socially defined and
accepted, but can also be arbitrarily assigned and loosely enforced because people have the ability to modify or
ignore generally accepted grammar patterns and still get their meaning across, such as with the well-known Pink
Floyd song lyric, "We don t need no education, which uses a double-negative for effect. Regardless of which
specific definition is used, grammar remains an established set of guidelines for language use and communication
of meaning; and, therefore, students of language must become proficient in grammar use in order to communicate
beyond rudimentary levels of speech.
3. Grammar emerges from the lexicon
If there is no consensus on precisely what grammar is, then naturally, there is no agreement on how, if at all,
to teach grammar to language students. One of the common suggestions is to teach grammar without teaching it.
The seemingly paradoxical nature of this suggestion is that it is better to allow grammar to emerge from students
experiences and use of a language rather than to explicitly focus on grammar rules and structures before the students
have a grasp of the lexicon needed to communicate. Hopper (1998) suggests that grammar emerges in a learner from
regular language use, correction, and success in communicating one s ideas. This is in line with Ellis (2002) lexical
hypothesis, which states that students must first be given a lexicon upon which to build the grammar structure. So
if students begin their second language learning with words and phrases, their understanding of grammar will not
begin to occur until they have amassed a sufficient volume of lexicon. This understanding will first come from
their own analysis of grammatical patterns, or bootstrapping their way to grammar (Ellis, N. as cited in Ellis, R.
2002: 23). Once students begin this analysis of their language, they will manipulate simple words and phrases into
more and more complex structures and learn from the feedback they receive when they test these hypotheses. This
is precisely what emergence is and how it relates to grammar learning. The students knowledge of grammar grows
from within them and is refined by the feedback they receive from their interlocutors. So students should be given
as many opportunities to use the language and make mistakes in communication from which they can learn.
The problem with this process is that it proceeds very slowly and it requires extensive work by the students to
make noticeable gains in language ability. There are some aspects of a language grammar, such as English articles
or subjunctive mood, that are difficult to acquire through emergent grammar practices alone because they are too
subjective to context or occur too infrequently to learn intrinsically (Akakura 2012, Corder 1967). Therefore,
some foreign language educators believe that grammar should be explicitly instructed (Akakura 2012, DeKeyser
2005, Ellis 2002). Given both of these perspectives on how to deal with grammar education for language learners,
it would seem that a balance between both practices would be the best option. Leaving students to rely solely on
emergent grammar would allow them to reach a point at which the amount of L2 language input is insufficient
to provide examples of the grammar structures they are lacking, thereby causing a near halt to their language
learning. If the students do not continually build upon their own grammatical knowledge, then they stagnate and
eventually fossilize̶a concept defined by Selinker (1992) as being the point where a learner s language ability
The Grammar Teaching Conundrum̶A Reflective Essay
55
ceases emerging despite instructor and peer input and instruction. In order to avoid fossilization, it is important for
us as teachers to establish a curriculum which allows us to encourage and stimulate the students understanding
of grammar concepts. Long (1998, as cited in Ellis 2002) supports this by recommending some formal instruction
which would promote more rapid L2 acquisition and lead to higher levels of language proficiency. Ellis himself
furthers this by saying that language production is insufficient to overcome language fossilization and stagnation.
One way for teachers to combat this fossilization is to conduct lessons which use the students knowledge
of the lexicon and their ability to communicate to focus on the language forms. Long (1991) and van Lier (2001)
advocate this focus on grammatical form through interactive and task-based lessons. Putting these grammatical
forms into context and looking at how they are used will provide the students with a more effective linguistic
arsenal. Larsen-Freeman (2003) portrays this in her model of language s three dimensions: form, meaning, and use.
All three of these areas are interrelated and depend on each other; and all three can be starting points in teaching
grammar. The traditional approach was to begin with teaching the correct form and then proceeding to its meaning
and then allowing the students to use it; but modern practices show that students can begin by learning the use
of a grammar construction through analysis of authentic speech or texts to discern meaning and the correct form
(Behrens 2009). For example, students can be shown an example of a grammatical structure, such as possessive
forms, and then told to find examples of that grammatical structure in a given text and write the rules that govern
its use based upon what they found in the text. Then students can experiment with these rules by creating their own
example which uses the new grammar structure while receiving corrective feedback from the teacher. Students can
benefit greatly from having the autonomy to use real instances of language and to learn how to use and experiment
with it on their own. This approach breeds autonomy and teaches students independence in their pursuit of language
proficiency.
4. Explicit grammatical instruction at an appropriate time
Combining Ellis (1996) lexical hypothesis and Larsen-Freeman s (2003) three dimensions will enable student
to begin with the basic components of language̶the words and phrases̶and then use them to create meanings
while hypothesizing about forms to express the meanings they want. Adult learners, as Ellis (2002) points out,
expect to be taught grammar and view grammar as a vital component of language and, irrespective of the type of
instruction they experience, are likely to make strenuous efforts to understand the grammatical features they notice
first before they attempt to use them̶they prefer a linear progression from being taught a grammatical concept, to
practicing with drills, and then to experimenting with it in their own L2 communications. Because of this, it may be
difficult to get adult learners to individually hypothesize about forms and meanings having only been given lexical
chunks to work with. I have experienced this as a Russian instructor at the Defense Language Institute / Foreign
Language Center s (DLIFLC) Russian Basic Course. In the beginning of the course, adult students are given a large
amount of vocabulary and phrases to learn. Students were encouraged to try to use the vocabulary and grammar
that they knew to create new sentences and express their own ideas. After being shown how to mix and match their
words to construct new phrases, they then built those phrases into grammatically correct simple sentences̶but
only after strong encouragement from the teacher.
However, these students seemed to want to jump further than their abilities would allow them and to use more
complex constructions to express meanings. This led them to focus on asking for grammar explanations which
would allow them to say what they wanted. Unfortunately, their L2 lexicon and grammar were not sufficient to
allow this, so even when grammar rules were provided by the teacher, they could not be applied using the students
limited vocabulary. Such frustrations are common for foreign language learners because most humans have the
ability to discern linguistic patterns from an early age; and, as emergentists believe, language learners will attempt
56
Edward Forsythe
to use and apply newly-observed patterns̶with corrections by more-proficient speakers̶until they grasp the
grammar construct needed to communicate their idea (Poll 2011). Sometimes this emergent grammar process is
too slow and hinders learners from saying what they want to. In the case of the DLIFLC students, they were wellspoken in their native language so they lacked the patience needed to establish the basic foundation in their second
language before proceeding to use its complex grammar.
5. Dealing with unequal grammars
Larsen-Freeman (2003) advocates teaching the reasons for grammatical constructions along with the rules
which govern them. She maintains that, in teaching grammar, this is just as important as showing students how
things are done. This helps alleviate some of the adult learners frustrations with grammar constructions that
do not directly correlate to those of their native language. For example, in Japanese, the translation for The
teacher scolded me. is Sensei ni shikarareta or [by the teacher (I) was scolded (passive)]. The Japanese version
uses passive construction with an understood subject I. Japanese students learning English may have difficulty
translating this into appropriate English because of the need to both switch to active voice and to make the subject
I into the accusative object me. Another concept that Japanese students of English may find difficult is the need
for the verb to be in instances where it is dropped in Japanese̶one translation of She is a teacher. is Kanojo
ha sensei. [she (subject marker) teacher] and the verb is or desu can be dropped from the end of the sentence.
Similar patterns emerge in Japanese present-tense phrases and sentences such as, He is a teacher. and That is
a bicycle. The Japanese literal translations would be he teacher and that bicycle, so the students needed to
understand that while there is no form of the verb to be in present tense Japanese, it is required in English. Once
this grammatical difference is explained and some examples are provided, then students should have little problem
working with such constructions when creating their own language artifacts.
In addition to these non-correlational translations between languages, there are other grammar constructions
and regional colloquialisms in English which stem from linguistic influences of immigrants languages in America.
For example, a significant part of the settler population in Pennsylvania was from Germany and there are some
colloquial phrases used in Pennsylvania which mirror German lexicon and grammar, such as Outten the light
(Turn out the light). Besides the above-mentioned nonstandard uses of English grammar, there are other forms of
English, such as African American Vernacular English within the United States, as well as variants from other native
English-speaking countries. With all of these variants of English, it is impossible to teach all of the grammatical
nuances of these variants.
Because these idioms and phrases exist, it is important to explain that idioms often are colloquial and do not
follow conventional grammatical rules; students often understand that these forms exist and that they would have
to just memorize such patterns. Experience has shown that it is better to try to explain these unusual constructions
instead of relying on the often-used, We just say it that way. If teachers explain different facets of the language
to students, then they are less likely to become frustrated with the instances of speech which just do not seem to
follow the accepted rules and patterns. If students become accustomed to seeing ambiguities in their target language
and know that there is normally a reason for them, then they are less likely to become frustrated that they do not
know the direct translations of these ambiguities when they see them in use.
6. Dynamism in Language
Another way to ease students fears and anxieties about their target language is to teach them about the
arbitrariness and dynamism of all languages from the very beginning of their course. Using authentic materials in
the classroom will provide instances of varied speech patterns and constructions which are used to express similar
The Grammar Teaching Conundrum̶A Reflective Essay
57
meanings. In seeing these and working with them, the students will learn that there is no right way to say everything
as well as the fact that there are multiple ways to say almost everything. Allowing students to use these varied
patterns will provide them with the examples they need to analyze and test their own hypotheses of the language.
Along with these opportunities to test hypotheses, the teacher and other interlocutors must give appropriate feedback
to allow the student to self-correct and learn from their experiences. This is a key factor in the process of students
gaining autonomy in their target language. As the students become more experienced in using their language
and testing their hypotheses, they will move beyond their comfort zones and expand their abilities. Thornbury
(2005) promotes this concept of students pushing their linguistic boundaries, and encourages teachers to push their
students boundaries, in order to develop their grammaring skills. In addition to their teachers encouragement,
students require appropriate feedback to guide their development and correct glaring deficiencies. The feedback
needs to be balanced so as to not be so explicit and overbearing that it stifles the students creative urges, but it also
must be sufficient for the students to understand their error and learn from the correction. The students must learn
from feedback as they continue to negotiate meanings in their interactions with others, otherwise their L2 grammar
will stagnate and their second language skills will fossilize.
7. Task-based language learning
The balance of appropriate feedback can only be maintained if a teacher knows the student well and generally
understands the student s learning style and needs. One method a teacher can use to gain this knowledge of their
students is to provide a curriculum of task-based or activity-based lessons as proposed by Ellis (2005) and Nakahama,
Tyler, and van Lier (2001). Ellis states that tasks should focus the students activities but that instruction still plays
a role in their successful language learning; teachers gain a better understanding of their students by observing
their activities and providing instruction as they progress. Repeated interaction with the students will indicate how
much feedback is necessary for a student to learn from their errors, and having the students all engaged in a project
frees the teacher to interact randomly with many students during any given class period. As the teacher interacts
with multiple students, they should pay attention to common language mistakes which hinder communication and
target these areas for explicit grammar instruction. This is where the divide between implicit and explicit grammar
learning is bridged and a task-based syllabus in English classes provides such an atmosphere in the classroom. As
the topic is too broad to be adequately discussed in this paper, see Nunan (2004), Ellis (2005), and Nakahama et
al. for more detailed information about task-based language learning.
8. Personal experience in language learning
Based on the above information about the various aspects of instructing grammar or teaching students the
Larsen-Freeman (2003) concept of grammaring, teachers should work to develop and encourage more autonomy
in their students in the future. Using task-based lessons to promote their students self-confidence in their target
language is encouraged because that self-confidence leads to students taking more steps toward greater autonomy
in the language (Stoller 2006). Personal experience demonstrates that Ellis (2002) lexical hypothesis is preferable
for beginners because students gain the ability to discern grammar structures from learning lexical chunks. As an
example, I will explain how I learned Japanese grammar through emergence. I primarily learned Japanese in this
manner and my fluency has blossomed from continuous use and minimal, but appropriately focused instruction. I
began learning Japanese when I moved to Japan and picked up useful words and phrases. I soon learned to discern
patterns of use and was able to experiment with them to expand my own skills. For example, when I was asked
by a friend, Nani ga hoshii? [What do you want?] I suspected that I could add any object in front of the pattern
ga hoshii to state a desire for that object. I tried it out and was successful. These miniature epiphanies were very
58
Edward Forsythe
motivating to me and encouraged more linguistic experimentation. Teachers should all desire to instill these feelings
in their own students and enable them to grow in their foreign language abilities.
This growth can also be achieved by creating a language-rich environment in which students can conduct
activities. Living in Japan immersed me in the language and culture, so I had many examples from which I could
deduce grammar rules. Such exposure to various aspects of the language and culture, plus the availability of
authentic materials for their use, will help students establish a level of comfort in their target language and will
minimize their anxiety when using the language. This will allow them to develop a higher level of awareness of their
language so that, when working in peer groups, they have more resources to observe grammatical constructs and
how they are used, define the rules for these patterns, and then begin to experiment with their newfound language
artifact. As students successfully deduce grammar rules and integrate the new structures into their own language
reserve, they will have the confidence to solve their own linguistic problems, thus fostering more autonomy in their
language studies.
9. Conclusion
Creating autonomous language learners should be the primary goal of a teacher because no student can learn
everything about a language in the classroom. They must be helped to build a solid foundation in their language
on which they themselves can build their own palace of proficiency. Teachers can begin this foundation with a
large emphasis on lexical development. My own experience has proven the value of building language from the
bottom up and the lexicon is the best place to start. The students will then be shown how to use the lexicon as
a tool to employ more and more hypotheses in an attempt to develop their own knowledge of the grammatical
structures which give the language its strength. Using activities in which the students practice negotiating meaning,
teachers can provide targeted feedback on how students use their knowledge of one structure to test and expand
new grammar concepts. When common errors emerge among a class population, the teacher can then focus their
explicit grammar instruction on those errors to resolve the failed hypotheses, thereby bridging the gap between
explicit and implicit grammar instruction. As students become accustomed to looking within themselves for tools
to increase their own linguistic reserves, they will hopefully require less and less encouragement from teachers to
improve their language ability themselves. Once teachers have instilled these habits and practices in their students,
they can send them off into the world as strong and ever-developing, multilingual speakers who are self-reliant and
able to perform linguistic feats with ease.
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書 評
61
書 評
安部 孝/真田樹義/尾崎隼朗 著
『サルコペニアを知る・測る・学ぶ・克服する』
戸 塚 学*
われわれが暮らす青森県、その平均寿命がここ何年かの間、男女ともに全国最下位となっている。新
聞等広く報道されており周知の事実である。この危機的状況からの脱出の糸口は何か? 本学医学研究
科科長で社会医学講座教授の中路重之先生は、「健康教養(ヘルスリテラシー)を身につけることが最
も重要である」と指摘している。弘前大学は青森県における知の拠点である。弘前大学で学問を志す学
生の皆さんにこそ、まず健康教養を身に付けて欲しいものである。そこで、これまで書評に登場してい
ない日常生活における健康問題を深く掘り下げた本を紹介したい。
Pandemic な状態
平成24年 7 月、国際的な医学誌である The Lancet において身体活動特集号が発表された。この中で
世界の全死亡数の原因の9.4% が身体活動不足であるとされている。その影響の大きさは肥満や喫煙に
匹敵し、世界的に「大流行している(pandemic な状態)」との認識が示された。皆さんにとっては、
「身
体活動不足が大流行していて、人々を死の恐怖に陥れている」と言われてもなかなかピンとこないだろ
う。しかしこれまでの研究から、不適切な食生活や身体活動不足等による内臓脂肪の蓄積が、糖尿病、
高血圧、脂質異常症等の複数の生活習慣病を合併すること、さらに、重症化すると脳梗塞、心筋梗塞、
透析を要する腎症等に至るリスクが高まることなどが明らかになっている。一方、身体活動量の増加や
習慣的な有酸素性運動は、エネルギー消費量を増加させる。この時、内臓脂肪と皮下脂肪がエネルギー
源として利用される。その結果として腹囲や体重が減少し、メタボリックシンドロームの予防になるこ
とも明確である。われわれは食生活や身体活動不足を起因とする種々の健康問題に対し、健康科学の力
を武器に真剣に向き合う必要性があるだろう。
サルコペニアとの対峙
さて、本書は老年症候群(geriatric syndrome)の一つである“サルコペニア”についてそのバック
グラウンドから克服法まで、ほとんどが研究論文を基に執筆されており reference の数は延べ290本程に
なる。
“サルコペニア”という言葉は、あまり聞きなれない言葉である。サルコペニア(sarcopenia)と
は、ギリシャ語で筋肉を意味する sarx と、損失・現象を意味する penia から成る造語だそうだ。そ
して、その意味は、
「加齢に伴って無意識のうちに起こる骨格筋量の減少」であり、筋量がある一定基
準以下に減少してしまった状態を指し、この一定基準を下回ることは、機能障害や疾病発症率の増加と
いった医学的問題と強い関連性があるとされている。このサルコペニアについて、本書の題名のとおり
第 1 章「サルコぺニアを知る」、第 2 章「サルコぺニアを測る」、第 3 章「サルコぺニアを学ぶ」
、第 4
章「サルコぺニアを克服する」という 4 部構成で議論が展開されていく。
サルコペニアは恐ろしい老年症候群。第 1 章「サルコぺニアを知る」では、まずは相手を知るところ
*弘前大学教育学部
Faculty of Education, Hirosaki University
62
書 評
から始まる。ここでは、サルコペニアの要因や成因を生理学、運動学、そして社会医学的観点から解説
しており、これまでサルコペニアの言葉を知らなかった人でも、そのバックグラウンドの理解が可能と
なる。次の「サルコぺニアを測る(第 2 章)
」では相手(敵)判定を試みる。判定方法については、専
門的な測定機器によるものから簡単なパフォーマンステスト(運動能力テスト)による評価法までが詳
細に示されている。さらに「サルコペニアを学ぶ(第 3 章)」では、サルコペニアの恐ろしさ、すなわ
ちサルコペニアと疾病や身体機能低下との関連性を最新の医科学データに基づいた議論により再認識さ
せられる。そして、最後の「サルコペニアを克服する(第 4 章)
」では対峙法、すなわち予防・改善と
いった課題に立ち向かうことになるわけであるが、特に栄養の役割、身体活動の役割について読み易く
整理されている。著者らは、「栄養改善」「運動処方」がサルコペニアに関与する筋量と筋機能の維持向
上に大きな影響を及ぼすことを種々の研究成果から明らかにしており、その内容は個人レベルで実施可
能なガイドラインをも示唆している。現在の健康科学をもってしても完全に予防・改善するところまで
はたどり着けない現実に直面する部分もある。しかし、今の健康科学で解明されていることを自分の知
識として身につけ、できることを正しく行うことが大切である。それが結果的にはサルコぺニアとの付
き合い方、すなわち対峙方法であることが分かってくる。
全体の構成としては研究論文を基に種々の検証を行っているために、一見、研究論文を読んでいるよ
うな錯覚に陥るが、非常にわかり易く軽快に議論が展開されていく。見方を変えると、本書は学生・大
学院生の皆さんにとって卒業研究および修士論文作成のための学習にもなるものと推察する。また、余
談ではあるが、各章の最後に出現するコラムには健康教養を実践に移すための種々のヒントが示されて
いるのが興味深い。
健康教養はいつ学習するのか?
先日の体育の日に高齢者の体力が過去最高を示し、一方、20代・
30代の体力が低下傾向であるとの記事が新聞の紙面を飾った。結果
をどう受け止めるか複雑な心境ではあるが、特に学生の皆さんに
は、他人事ではない内容である。体力科学的な見地から考えると、
青年期までに可能な限り体力をつけ、生涯で獲得する体力のピーク
値を可能な限り引き上げる。そして、その後は可能な限り体力の衰
えを抑制するのが理想である。こうして人生の終盤まで生きていく
ための基礎となる能力である体力を維持し続ける訳だが、20代・30
代の体力低下傾向は、学生たちの行く末を案じざるを得ない。本書
は、サルコペニアになる前、できれば衰える前に読んでほしい内容
である。弘前大学の学生の皆さんには、学生時代により多くの健康
教養を身につけ、卒業時には社会的自立と同時に健康的自立を果た
して頂きたいものである。各個人の健康的自立は、今日的課題であ
る社会福祉および医療費問題の深刻化をも緩和する。
健康教養、それは生きていくための術を自分のものにすることで
もある。この本が、学生の皆さんが自らのからだを見つめ直し、身
体が発する声に耳を傾ける契機になればありがたい。
〔有限会社ナップ 本体2,000円〕
書 評
63
書 評
藤本夕衣 著
『古典を失った大学─近代性の危機と教養の行方』
仁 平 政 人*
本書は、若手の教育学者・藤本夕衣氏の博士論文に基づく著作である。本書の表題は、ともすれば保
守性や回顧性を感じさせるものかも知れない。が、本書は決して「大学から古典が失われた」ことへの
単なる嘆きなどを語るものではない。もともと藤本氏は、京都大学の高等教育研究開発推進センターに
所属して「大学改革」の状況に深く接しており、そこで得られた状況認識にこそ、本書は立脚してい
る。ユニバーサル化とグローバル化という流れに沿って進められる今日の大学改革においては、近代的
な(
「フンボルト型」の)大学の理念は説得力を失わざるを得ない。だが、それに変るような大学の理
念はいまだ提示されておらず、中等教育や専門学校と異なる「大学独自の存在意義」を語ること自体が
困難となっている。─この問題に対峙する上で、藤本氏は、近代的な大学理念の失墜が、単に近年の
状況だけに関わるのではなく、その背後にある長期的で根本的な「知の変動」
、すなわち所謂「ポス
ト・モダン」の状況(その徴候は、一九七〇年代以降の「古典」への関心低下に見出される)に関わっ
ているという見方を提示する。その上で藤本氏は、ポスト・モダンの状況を深く捉えながら、対極的な
立場で「大学で「古典」を読む」ことの意義をあえて強調した二人の哲学者、A・ブルームと R・ロー
ティの議論の検討を通して、現状の困難を乗り越える手がかりを探っていく。
本書の中核は、この二人(および両者の師にあたる L・シュトラウス)の語る古典論/大学論を詳細
に読み解き、その対立点と共通点を検討していく考察にあるが、それを十分紹介する紙幅はない。た
だ、ごく簡単に要点に触れておけば、ブルーム=シュトラウスにあって古典(「グレート・ブックス」)
を読むことの意義は、
「時代を超えた問い」の存在に触れさせることで知的好奇心を導き、ひいては「決
断主義」に陥ることを回避させる点にあるとされる。他方ローティは、古典(「偉大な文芸作品」)への
熱中こそが読者に「リベラル・ユートピア」への希望を与え、実践的に社会に関与する行為者にさせて
いくとする。藤本氏は、これらの議論が多くの差異を持ちつつも、ともに「ニヒリズムの常態化」とい
う現状を批判し、また「近代民主主義」との関係という政治的観点において大学の社会的な意義を語る
ものであることを指摘する。そしてそこにこそ、近代的な大学理念とは別の形で、大学と社会の関係を
語る「大学の物語」としての可能性を見出すのである。
もちろんこうした議論に対しては、例えばこれらの「大学の物語」が、専門分化した現代の大学のど
の範囲に有効なのかといった疑問もありえよう。また、ブルームやローティの時代認識をそのまま受け
止め、それを今日の状況に結びつけていく論述に対しては、様々な疑問や異論もあり得るはずだ。ただ
し、藤本氏も、ブルームやローティの議論が、そのまま現代日本の大学理念や、実践的なカリキュラム
に結びつくとしているわけではない。藤本氏が強調するのは、ブルームやローティの「大学の物語」
が、今日の大学(論)の隘路を越える道筋を示しているということだ。─「「役に立つ」ことばかり
が重視されることや、長期的な視点に基づいた改革が為されていないこと自体が問題なのではない…そ
うではなく、大学の物語が、
「経済活動」としての「社会」にばかり関わる物語になってしまっている
*弘前大学教育学部
Faculty of Education, Hirosaki University
64
書 評
こと、それが問題なのである。」
(「おわりに」)
「
「社会=経済活動の場」という等式」を自明化することも、旧来
の「大学の理念」に寄りかかることもなく、現状をシビアにとらえ
ながら、大学と社会の関係、そして大学の意義を新たに語り直すこ
と。結論に同意するか否かはおいて、藤本氏のこうした問題意識
が、今日において重要性を持つことは確かだろう。そしてそのよう
な問題は、大学の多様な場において共有され、様々な解答が試みら
れるべきものと考えられるのである。
〔NTT出版 本体3,990円〕
講演会及び研究集会の記録
講演会及び研究集会の記録
「生命科学分野における必要な基礎教育」に関する意見交換(生物学)
─ 農学生命科学部若手 FD 座談会より ─
農学生命科学部 大 河 浩
大学教育における様々な課題がありますが、それら
に向け大学を始め色々な場面で FD 等が行われている
ことかと思います。より柔軟で率直に意見・情報交換
をしようと少人数による教育・研究に関する意見交換
会が農学生命科学部生命科学系の若手教員を中心に行
われました。今回、本年度前期での座談会についてご
報告いたします。生物学を中心に、専門教育前に身に
つけておくべき基礎学力はどうあるべきかについて体
験談などを踏まえて、本学教員の西野敦雄先生、笹部
美知子先生(農学生命科学部生物学科)参加のもと、
長時間にわたり活発な意見交換がされました(以下、
西野:ですから特に生物系の学生さんには、より専門
敬称略)。以下、その様子の一端を紹介いたします。
的な内容を充実させても良いのではとも思います。例
えばですが思い切って Essential 細胞生物学などの教
科書を使った方が良いかもしれません。学年が上がっ
て専門の話をした時に、のっけから話が通じないとい
うことは起こらないのではないでしょうか。
大河:一理ありですね。将来的には基礎教育と専門教
育のギャップを埋める検討が必要なのかもしれませ
ん。必要な学力がだんだんと深く広範となり難しいで
すね。
西野:必要な基礎学力と言っても私たちが学生の頃に
受けていた基礎学力の内容はもっと掘り下げられてい
る。今の学生さんは最初に身につけないといけない学
西野:例えば、一部の教科書は、少し古いといいます
習量が多くなってきているので、大変だろうなと思い
か、大げさに言うと今や高校の知識に準じているので
ますし、教える側も色々と難しい。
はないかと感じます。例えば、以前にいた大学の教養
に対応する過程で、同教科書を状況に合わせて使って
いたのですが、最近変更しています。いわゆる ゆと
り後 になり教科書の内容も変更されてきている訳で
すが、比較してかなり範囲が広くなっている。検討す
る必要はあるが大学教養レベルに近いと感じました。
例えば、分子進化の詳細な記載や分子系統樹を書いて
みようといった内容が含まれ、大学専門講義で含まれ
る内容も既に取り上げられている。もしかしたら高校
教科書の方が詳しい箇所も多々あるかもしれません。
1
65
66
講演会及び研究集会の記録
西野:特に生命現象の仕組みなど基本的な内容を限ら
西野:生物学を考えると組織レベルであろうが、分子
れた時間で深く理解してもらうことは非常に難しいと
レベルであろうが「AがBを抑制」するとか「相互作
感じます。どうしても表面的な内容になってしまう。
用する」みたいな図式的な考え方で成立している訳で
笹部:難しい内容をわずかなページでのみ説明してい
すが、そこにリアリティを感じられない、面白みがな
る場合や進展の速い応用的な分野の説明には工夫が必
いのかもしれないですね…。でもそういう生物学に慣
要になってきます。特に後者は、数年に一度は内容の
れるといいますか、そういった発見がすごいことなん
検討が必要になるのではないでしょうか。例えばアメ
だ!とどうにか伝えなければならないなと。
リカで使用されている教科書は非常にカラフルかつ映
大河:学生時代そういった仕組みに興味を抱いた側で
像が豊富で理解を助けるのではないでしょうか。
したが、目に見える実物がないとイメージしにくいと
西野:キャンベルの生物学もありますね。
なると、難しいですが、より工夫をしなければと感じ
大河:国際的な視点も含めて教科書を再考していくと
ます。
いうのも今後の課題のうちの1つなのかもしれませ
ん。
笹部:一方で、更に掘り下げた専門講義において、基
礎学力が不十分なままのケースも見受けられます。
大河:学力差のご指摘は様々な教科で共通して認識さ
れているようですが、これも悩ましい課題だと思いま
す。
西野:統計上、高校での物理履修者は20%に満たない
そうです。高校レベルでの専門化が進んでいるのかも
しれません。入試制度などの影響もあるかと思います
が、生物は出来るけど物理は全くダメだとか、その逆
とか、そうなる傾向が強まるかもしれませんね。また、
より基礎より専門といった、その大きく差が付いた二
最後に:
つの集団に向けての「生物学の基礎」を、今よりもはっ
生命科学分野から見た基礎教育をどうするべきかの
きり分けたほうがいいかもしれない。
話題を中心に展開されましたが、積極的な意見交換が
大河:確かに生物だけ分かっていれば成り立つ訳では
でき有意義なものとなりました。今後もこのような試
ないですね。むしろ化学や物理などの基礎知識があっ
みを継続していければと切に願っております。
てほしいと感じる場面に多々遭遇します。より幅広い
知識を身につけ、より深く学ぶということですね。
【参考資料】
「日本の展望─学術からの提言2010」
報告書(2010)日本学術会議
2
講演会及び研究集会の記録
講演会及び研究集会の記録
アクティブラーニングを考える
─「人間のこれから」という授業の実践から ─
生涯学習教育研究センター 藤 田 昇 治
ようにしています。グループ数が少ない場合は教員
1.はじめに
の講義の回数が多くなります。授業の「目標」や「概
「21世紀教育」という、大学1∼2年生を主たる対
要」
・
「内容」としてシラバスに示したものを、簡単
象とした教育はいかにあるべきか、ということは様々
に紹介します。先ず、「目標」として「地域住民が
な角度から検討される必要があると思います。「人間
生活を営む上で直面している教育・福祉・医療等の
のこれから」という授業は、本学において「21世紀教
生活課題や、地域活性化の課題などを、具体的に把
育」がスタートした時から開講されている授業ですが、
握できるようになること」を掲げています。
「概要」
それを担当する教員の異動もあり、また、授業の中で
では、社会科学の基礎的な概念について講義を行う
ディベートを取り入れた時期もあり重点的に取り上げ
こと、現代的な地域住民の生活課題や、環境問題・
ることにも変容があります。しかし、一貫して学生が
福祉問題・地域活性化の課題などについて講義を行
参加・参画する、主体的に学習することを重視してき
うこと、学生にグループワークで発表してもらうこ
ました。ここでは、筆者が現在担当している「人間の
とを提示しています。そして、「内容」として「地
これから(A)」および「人間のこれから(D)
」に即
域の産業活性化・地域づくりを考える」
、
「住民の医
して話題提供を行うこととします。
療・福祉問題を考える」等々のテーマで講義を行う
ことにしています。
2.
「人間のこれから」の目指すもの
3.実際の授業展開を振り返って
⑴ 今日的な学生の状況
⑴ 平成25年度前期の授業展開から
学生の状況と大学教育を考えた場合、
「課題発見
力」や「コミュニケーション能力」、「地域に特有の
前期と後期に「人間のこれから」を開講していま
課題の探究」などが必要だと思います。学生同士の
すが、前期が10∼15人、後期は30∼40人の受講生が
交流や自分とは異なる価値観・経験・問題意識等を
います。受講生の数で授業の進め方が異なってきま
持つ他者とのコミュニケーションを取ることが、最
すが、概ね最初に社会科学の基礎的な概念について
近の青年層では低下してきていると思います。
また、
講義を行い、次にグループ分けを行うのですが、学
自分を客観的に捉え、自己に対しても批判的にのぞ
生の問題意識に合せて取り組む課題・テーマを設定
むということができていないので、地域の具体的課
します。これまで設定したテーマでは、「いじめ」
題や住民の生活課題と主体的に関わろうとする姿勢
が重要なのではないか、と考えています。自律的・
自立的に学習を行うことも十分できておらず、「学
問」をいかに学ぶのか、ということも大事だと思い
ます。
⑵ 「人間のこれから」の授業の取り組み
「人間のこれから」では、概ね第1回∼7回には
教員が講義を行い、第8回以降は「学生発表」にな
ります。学生がグループ単位で20分程度の発表を行
い、グループごとにその発表にもとづく討議を行う
【写真1】学生による発表
3
67
68
講演会及び研究集会の記録
‫↹ڎ‬ⅼ↙
として極めて少ないのですが、参考までに紹介した
ⅺ↎↮↚ᘨ⇁ↆ↫↹↓↓
஛↝௅‫ޛ‬
ුឭↄↇ↗↞
いと思います。
最初に受講の動機・理由を尋ねました。
「カリキュ
• ᮎ 䛾 ᯇ ᒣ 䠖ᐑ ᇛ ┴ ከ ㈡ ᇛ ㏆ 䛟
ラム上、
『テーマ科目』を選択する必要があり、そ
࿘ 䜚䛸 ẚ 䜉 䛶 ᑡ 䛧 ᑠ 㧗 䛟䛺 䛳 䛶 䛔 䜛
ゝ 䛔ఏ 䛘䜙䜜 䛶䛔䜛 䛸䛚䜚
ᮾ ᪥ᮏ ኱㟈 ⅏䛻 䜘䜛 ὠἼ 䛷䜒
ᾉ 䛿 ㉺ 䛥䛺䛛 䛳䛯
の中で興味をもったから」と全員が答えています。
また、
「試験・レポートがなく、楽だと思ったから」
、
と8人中6人が回答しています。学生としては「本
音」でしょう。
次に、
「受講して実際はどうでしたか」
と尋ねると、
【写真2】発表に使用されたスライド
「先生のコメントが参考になった」を全員が選択し
ています。教員とすれば、「参加・参画型」の授業
や「学力」
・
「不登校」等の教育問題、
「生と死」を
のなかで教員が果たすべき役割を十分果たすことが
めぐる問題、
「原発と環境問題」など、多様なもの
できた、と考えています。ついで、「主体的に調べ
があります。最終的には学生が主体となってテーマ
たり学生同士での議論が面白かった」という回答が
設定・グループ分けを行います。
6名と多かったです。これも、教員としては、ねら
グループ分けした後、学生だけでは問題意識を統
いどおりの成果を上げていると思います。同時に、
一したり、内容を掘り下げることができない場合が
「関係する文献・資料を検索したり読み込むことが
多いようです。なるべく資料や文献の検索を学生が
つらかった」
という回答が6名と多かったのですが、
主体的に行うようにしていますが、授業時間の中だ
このことは、自立的・自律的な学習習慣を育成する
けでは対応しきれないので、学生は授業時間以外の
課題があることを示すものと考えます。なお、この
時間帯に学習し、教員も別途時間を割いて学生と打
選択肢を選んだ学生も含め、
受講して
「とても良かっ
ち合わせを行います。そこで、学生は調べたこと、
た」
(6名)
、
「それなりに良かった」
(2名)と回答
発表内容として用意していること等を紹介し、それ
しており、最終的には多くのことを学べたのではな
をふまえて「学生発表」の構成・内容を組み立てる
いかと思います。
ため、さらに「レジュメ」の作成のために教員が指
自由記述では、
「自分たちでテーマを考え、調べ
導助言することで、一定のレベルを担保するように
るのは他の講義ではなかなかないのでやりがいがあ
しています。今回は、受講者が11名で、①東日本大
りました」と記述している学生もいます。また、他
震災と災害復興、②青森県の医療・保健問題、③日
の学生は「ただ聞いているだけの授業ではなく、聞
韓の領土問題、④ディズニーランド、を扱う4つの
いたことを念頭に自分の意見を持ち、ことばで伝え
グループに分かれました。
る、というところまでの授業をもう少し積極的に大
「歴史と現状から見た東日本大震災」というテー
学教育に組み込んでほしいと感じる」とアクティブ
マを取り上げたグループは、ネットを活用して、写
ラーニングの必要性を指摘しています。
真や表などのデータも活用し、パワーポイントを使
用して発表を行いました(写真1、2)
。発表内容
4.結びにかえて
を構成していく上で、物の見方・考え方、着眼点、
方法論、仮説の立論、検証といったことが学習過程
「人間のこれから」という授業に取り組む中で、
「参
の中で位置づけられることが重要だと思います。
加・参画型」のアクティブラーニングが有効であるこ
なお、授業の最後の5分間は、各人が授業を振り
とを確信しています。しかし、大学教育の在り方を考
返る時間とし、所定の用紙に記入するようにしてい
えた場合、
様々な課題があることも事実だと思います。
ます。
端的に言えば、
今日の学生の状況をどのように把握し、
いかにして「学習力」を向上させ、「社会人」として
⑵ 学生へのアンケート結果から
今回、授業の最終日に、学生に対して簡単なアン
の準備を進めながら「科学的な世界観」を構築するの
ケートを行いました。回答は8人なのでサンプル数
か、ということです。
4
講演会及び研究集会の記録
講演会及び研究集会の記録
平成24年度弘前大学非常勤講師研修会
テーマ「21世紀教育科目に関する研修会および意見交換会」
21世紀教育センター高等教育研究開発室 田 中 正 弘
本学では、今年度からの新たな試みとして、21世紀
教育科目を担当した(する予定の)非常勤講師を対象
とした研修会・意見交換会を、3月18日(月)13:30∼
16:00に開催しました。この研修会の目的は、
「21世紀
教育科目の運営体制と成績評価のガイドラインなどに
ついて概説するとともに、21世紀教育の指導に関する
意見交換を実施することで、本学の非常勤講師の課題
の探求に努める」ことでした。
などについても、簡単な説明がなされました。
第1部の二つ目の研修は、藤崎浩幸先生(21世紀教
育センター教務専門委員長)による「成績評価および
不正行為への対応について」の説明でした。成績評価
に関しては、平成18年12月21日に21世紀教育センター
運営委員会で承認されている、21世紀教育科目の『成
績評価の方法と基準』に従って、出席が授業回数の3
分の2に満たないものは不可とする決まりや、試験・
平成24年度弘前大学非常勤講師研修会は2部構成で
レポートの返却に関する努力義務、および標準的な平
計画され、非常勤講師18名、本学教職員8名の計26名
均点の設定についての説明がありました。加えて、
「定
が参加して、活発な意見交換が行われました。この研
期試験実施における不正行為の取り扱いに関わるガイ
修会では、中根明夫先生(理事・教育担当)の開会挨
拶に続いて、第1部の司会は、小岩直人先生(21世紀
教育センター FD・広報専門委員長)が担当していま
す。第1部の研修内容は二つあり、その一つが木村宣
美先生(21世紀教育センター長)による「21世紀教育
科目の運営体制」です。その運営体制の詳細について、
「弘前大学『21世紀教育』実施要項」(平成18年2月17
日改訂)を参照しつつ、説明が行われるとともに、本
学における教養教育改革の流れを時系列的に把握でき
るように、その流れをまとめた報告書の一部が紹介さ
れました。それから、国際教育センターの設置による
英語教育の強化など、次年度に予定されている改革案
5
69
70
講演会及び研究集会の記録
ドライン」の説明が行われました。この説明に対する
育センター高等教育研究開発室長)の司会の下で、ラ
フロアからの質問として、不正行為を行った学生や体
ウンドテーブル「非常勤講師としての経験と教育に関
調不良の学生がいた場合に、試験監督が一人だと、職
する意見交換」が実施されました。非常勤教師が4つ
員に連絡する方法がないので、どのように対処すべき
の班に分かれて、自らの授業で有効な試みと、自らが
か教えてほしいというものがありました。そこで、こ
直面している困難を議論する機会を設けました。そし
の問題への解決策として、各教室に電話を設置すべき
てそれらを班ごとにまとめて、その内容を発表しても
ではないかという有意な意見が出されました。
らいました。四つの班に共通していたこととして、学
非常勤講師研修会の第2部は、田中正弘(21世紀教
生のペアワーク・グループワークを活用することが、
授業での有効な試みとして紹介されたことです。
特に、
グループワークの活用は、学力差があるクラス運営で
は有効だと思うという示唆は、意義深いものがあると
思われます。また、発表の機会を設けるなど、学生に
活動させることも重要であると、多くの班で唱えられ
ました。
興味深いことに、苦労している点でも、学生間の学
力差が共通して挙げられていました。そして、より細
分化された能力別クラスの採用などが提案されまし
た。加えて、グループワークや学生の発表を活発にさ
せるための「雰囲気づくり」が難しい、という意見も
多々ありました。
ただし、
その雰囲気作りのための個々
の工夫やテクニックが披露されるなど、意見交換の意
義を再確認できる機会にもなりました。
今後も、役に立つ非常勤講師研修会を定期的に実施
できるように、努力していきたいと存じます。
6
そ の 他
その他
平成25年度前期
平成25年前期
21世紀教育に関する学生アンケート
・ある程度参考にした(26.6%)
○1年生
・あまり参考にしなかった(3.8%)
・ほとんど参考にしなかった(3.2%)
設問2:入学時のガイダンスの説明で、21世紀教育の
・履修相談を受けなかった(27.7%)
履修の仕方が理解できたか?
(回答数1,100)
・理解できた(20.1%)
・ある程度理解できた(53.2%)
・あまり理解できなかった(23.0%)
・ほとんど理解できなかった(3.7%)
前年度(79%)を下回ったものの、回答者の約72%
が履修相談を受けており、そのうち9割の学生が相談
時に受けた指導を参考にしています。履修相談の利用
率は学部によってかなり差があり、教育学部がもっと
も高く、人文学部がもっとも低くなっています。履修
「理解できた」「ある程度理解できた」を合わせた割
相談の日程や時間帯の影響も考えられますが、履修相
合は、回答者の7割を超えており、昨年度(72%)と
談をより受けやすい対策が必要かと思われます。
ほぼ同等となりました。学部間での理解度の差が大き
設問5:入学時のガイダンスや履修相談等を通じて
く、人文学部・理工学部で理解度が高く、教育学部と
21世紀教育の目標が理解できたか?
医学部医学科が低くなっています。
(回答数1,102)
・理解できた(27.7%)
設問3:「履修マニュアル」の解説はわかりやすかっ
・ある程度理解できた(60.5%)
たか?(回答数1,095)
・わかりやすかった(21.7%)
・あまり理解できなかった(10.0%)
・ある程度わかりやすかった(59.2%)
・ほとんど理解できなかった(1.8%)
・あまりわかりやすくなかった(17.0%)
・わかりにくかった(2.1%)
「理解できた」
「ある程度理解できた」を合わせると
約88%の学生がガイダンスや履修相談を通じて21世紀
昨年度同様、「わかりやすかった」「ある程度わかり
教育の目標をある程度理解できています。「理解でき
やすかった」を合わせた割合は全体の80%を占めてい
なかった」とする回答は年々減少しており、目標の理
ます。一方、医学部医学科、医学部保健学科では、
解度がより高まっていることがわかります。
「あまりわかりやすくなかった」とする回答が20%を
設問6:21世紀教育に対して一番強く期待することは
超えており、ガイダンス等での補足が必要かと思われ
何か?(回答数1,101)
ます。
・大学の生活や学習になじむための準備を学ぶ
こと(16.5%)
設問4:履修相談で受けた指導を履修にあたって参考
・大学で必要な基本的な技能を身に付けること
にしたか?(回答数1,103)
(36.4%)
・参考にした(38.7%)
7
71
72
そ の 他
設問9:TOEIC を受験する場合は、何点ぐらいに目
・専門の基礎となることを学ぶこと(22.2%)
標を設定したいですか?(回答数1,100)
・教養的なことを学ぶこと(25.1%)
・400点以上(12.6%)
・500点以上(28.0%)
・600点以上(33.5%)
・700点以上(18.3%)
・800点以上(7.5%)
選択肢はそれぞれ「導入科目」「技能系科目」
「基礎
教育科目」
「テーマ科目」の目標にそれぞれ対応して
おります。期待する内容は各学部で異なっています
が、全体的に昨年度より「大学で必要な基本的な技能
を身に付けること」を期待する学生が多くなっています。
全体的に600点以上を第一目標にしている学生が多
<英語コミュニケーション実習について>
く、なかでも医学部医学科は700点以上を目標にして
いる学生が多く見られます。前年度と同様に400点以
設問7:TOEIC 試験について興味あるか?
上を目標にしている割合が減少しており、より高い点
(回答数1,102)
数を志向していることがわかります。
・TOEIC 公開試験を受験したい(36.9%)
・学内 TOEIC 試験で受験したい(40.1%)
設問10:履修を希望したが、時間割の関係で受講でき
・TOEIC 試験に興味がない(23.0%)
なかった科目があれば記入しなさい
(回答数277)
人文学部と理工学部で多く、医学部医学科は非常に
少ないようです。受講できなかった科目の上位は、
「心
理学の基礎」
(82名)
、
「哲学の基礎」
(29名)
、
「生物学
の基礎」
(25名)となっています。
全体で約76%もの学生が、TOEIC 試験の受験を希望
しており、一昨年が70%、昨年が72%と、年々 TOEIC
医学部
農学生命
人文学部 教育学部 医学部
医学科 保健学科 理工学部 科学部
試験への関心が高まっています。特に人文学部・医学
計
部医学科で試験への関心がかなり高く、約90%の学生
人 数
93
41
6
33
69
35
277
が受験を考えています。一方、教育学部・医学部保健
科目数
26
22
3
17
20
21
109
学科では、60%台と消極的な傾向が見られます。
設問8:TOEIC 向けの授業を受講したいか?
○2年生
(回答数1,104)
・受講したい(23.3%)
21世紀教育の「基礎教育科目」
「テーマ科目」「技能
・空いている時間であれば受講したい(56.4%)
系科目」 について、その程度を問いました。学部学科
・興味がない(20.3%)
により回答数にばらつきが見られ、一概には比較でき
ませんが、以下のような結果になりました。
設問2:21世紀教育の「基礎教育科目」の達成目標は
「学問のすそ野を広げ、
学ぶための教養を培う」
ことだった。あなたの学習の結果からみて達
成感はどうだったか?(回答数728)
約80%の学生が TOEIC 向けの授業を受講したいと
回答しており、授業の開講を望む声が高いのがわかり
・達成できた(15.9%)
ます。時間割上の工夫があれば、多くの学生が受講す
・ある程度達成できた(71.0%)
ることが期待されます。特に人文学部の学生の希望が
・あまり達成できなかった(11.8%)
高く、教育学部がもっとも低くなっています。
・ほとんど達成できなかった(1.2%)
8
そ の 他
も「基礎教育科目」「テーマ科目」と比べ、達成感の
割合が下がっています。特に農学生命科学部では4人
に1人が「あまり達成できなかった」と回答するなど、
学部間においても差が見られました。
「達成・ある程度達成」できたと回答した学生は全
設問5:履修を希望したが、時間割の関係で受講でき
体の約87%と、昨年度よりも高い割合となり、目標を
なかった科目があれば記入しなさい
概ね達成していることがわかります。また昨年度より
(回答数108)
もさらに学部学科間の相違が縮小しており、どの学部
人文学部、教育学部、農学生命科学部に多く、医学
学科についても達成の割合が高くなっています。
科と保健学科で少ないことから、学部によって大きな
差があります。受講できなかった科目の上位は「最新
設問3:21世紀教育の「テーマ科目」の達成目標
医学の現状」(11名)
」
「生物学の基礎(6名)」「社会
は「幅広く深い教養と総合的な判断力を養う」
と私(6名)
」
「物理学の基礎(5名)
」
「思想・文学の
ことだった。これに対して、あなたの学習の
世界(5名)
」です。
結果からみて達成感はどうだったか?
医学部
農学生命
人文学部 教育学部 医学部
医学科 保健学科 理工学部 科学部
(回答数728)
計
・達成できた(21.2%)
人 数
35
21
3
4
20
25
108
・ある程度達成できた(64.6%)
科目数
32
21
4
5
13
14
89
・あまり達成できなかった(13.2%)
・ほとんど達成できなかった(1.1%)
設問6:21世紀教育科目の成績評価について感じた
ことがあれば、自由に記入しなさい。
(回答数61)
「成績評価の基準が不明」
「成績評価の方法が科目や
教員によって差がある」
「出席を評価してほしい」と
「達成・ある程度達成」できたと回答した学生は約
いう意見が見られました。科目で見ると、
特に「英語」
85%と基礎教育科目とほぼ同様で、概ね達成感を得て
に関する成績評価の差についての意見が多い結果とな
いることがわかります。昨年度は理工学部の学生の達
りました。
成感の割合が低かったものの、今年度に関しては大幅
設問7:21世紀教育の全体を通して、特に感じたこ
に上昇し、履修内容と興味関心が一致した学生が多
と、考えたこと、提案したいことがあれば自
かったことがわかります。
由に記入しなさい。
(回答数79)
設問4:21世紀教育の「技能系科目」の達成目標は
多岐にわたる意見が寄せられましたが、特に「時間
「国際化や自己管理、自己表現に対する能力
割に関すること」
「講義内容に関すること」
「履修制限
の育成」だった。あなたの学習の結果からみ
に関すること」への意見が多く見られました。「時間
て達成感はどうだったか?(回答数724)
割に関すること」では、「テーマ科目の時間割が重な
・達成できた(18.8%)
りすぎている」
「曜日によって偏りが大きい」
「専門と
・ある程度達成できた(55.8%)
重なって受けたい講義が受講できない」といった不満
・あまり達成できなかった(21.8%)
が多く見られました。また「講義内容に関すること」
・ほとんど達成できなかった(3.6%)
では、
「もっと幅広い、興味深い内容を」
「難易度に差
がある」という意見が多いものの、一方で「自分の専
門とは異なる分野を学べて良かった」と前向きな意見
も見られました。
技能系科目の達成感については、どの学部において
9
73
74
『21世紀教育フォーラム』刊行及び投稿規定
1 .本『フォーラム』は、高等教育に関する実践的・学術的研究の成果を公表することを目的に刊行する。
2 .発行は原則として年 1 回、 3 月末とする。
3 .原稿の締切は概ね 1 月上旬とする。
4 .論文の本文は横書きの和文又は英文を原則とする。
5 .各論文の長さは図表等を含めて、400字詰め原稿用紙に換算して50枚以内とする。
6 .原稿の作成に際しては所定の執筆要項(別掲)に従うものとする。
7 .翻訳・書評・提言に関しては編集委員会で決める。
8 .校正は原則として著者が行い、 3 校までとする。
9 .別刷を希望する場合は、投稿の際に必要部数を申し出る。経費は著者負担とする。
10.本『フォーラム』に掲載される内容は、センターのホームページで公開される。
この規定は、平成17年11月から施行する。
この規定は、平成23年 7 月から施行する。
『21世紀教育フォーラム』執筆要項
1 .原稿は、手書きの場合字数が明確になるよう原稿用紙に記載する。また、パソコン等を用いる場合
にはA4 版の用紙に印字する。原稿は 3 部提出する( 3 部のうち 2 部はコピーでかまわない)。
なお、パソコン等による原稿には、使用したハードウエア及びソフトウエアを明記した記録媒体を
添付することが望ましいが,電子ファイルでの提出も可とする。
2 .原稿には論文題名、著者名及び所属が和英両語で記載されていなければならない。
3 .本文の前に要旨(Abstract)及びキーワードを置く。要旨は和文の場合には400字以内、英文の場
合には120語以内とする。キーワードは数語以内とする。
4 .文献の引用は原則として本文中の該当箇所の右肩に片括弧付きの番号で表示し、出典は本文末尾に
一括して記載する。その際、雑誌の場合は著者名、論文等の題名、掲載誌名、巻・号、ページ、発
行年を、また、単行本の場合は著者名、書名、出版社名、ページ、発行年を記載することを原則と
する。
5 .印刷に当たって指定したい事項(字体、下線、図表の挿入箇所など)は原稿内に朱書するなどして
明示する。
6 .図表(写真を含む。白黒のみ)はなるべく少数にとどめ、本文原稿中に挿入することを避け、原則
としてひとつずつA4 版程度の白色台紙に貼り添付する。なお、図表の表題、指定事項等は台紙の
端に記載する。また、図表は直接製版できるような明確なものとし、図中に文字などを写植する必
要がある場合には明確に指示する。
7 .原稿の提出に際しては所定の「投稿申込書」を添付し、編集委員に確認を受ける。
『21世紀教育フォーラム』編集委員会
編集委員長 田 中 正 弘 (21世紀教育センター高等教育研究開発室)
編 集 委 員 戸 塚 学 (教育学部)
保 田 宗 良 (人文学部)
仁 平 政 人 (教育学部)
編 集 後 記
『21世紀教育フォーラム』
(第 9 号)を発刊することが出来ました。本号は、本学の教育改革の主題
となっている「アクティブ・ラーニング」について考察したものが多々含まれることとなりました。
具体的に、林氏(東京農工大学)には、本学での FD 講演(平成25年 6 月26日)を踏まえた論文
「アクティブラーニングの環境整備」を特別に寄稿していただきました。この論文において、マサ
チューセッツ工科大学や東京大学の事例が詳細に説明されており、本学にとって大いに役に立つ情
報が掲載されています。また、保田論文は地域貢献を意図したアクティブ・ラーニングを、加藤他
論文は医学科におけるアクティブ・ラーニングを、バードセール論文は英語教育におけるアクティ
ブ・ラーニングを、小磯論文はキャリア教育におけるアクティブ・ラーニングを、それぞれ考察し
ています。これらの論文を通して、本学における優れた実践例も紹介することが出来ました。
本号が、本学も含めた日本の大学におけるアクティブ・ラーニングの推進に、なにがしかのヒン
トを与えられるものとなったのならば、存外の喜びです。
(田中正弘)
『21世紀教育フォーラム』第 9 号
発 行
編 集
発行年月日
印刷・製本
弘前大学21世紀教育センター
『21世紀教育フォーラム』編集委員会
連絡先(編集委員長)〒036−8560 青森県弘前市文京町 1
21世紀教育センター高等教育研究開発室
田中正弘
電話:0172−39−3920
E-Mail : [email protected]
2014年 3 月31日
やまと印刷株式会社
Vol. 9
2014
Center for 21st Century Education Hirosaki University
SPECIAL ISSUES
1 Learning Spaces for Active Learning in University Kazumasa HAYASHI
ARTICLES
9 Implementation of the Bologna Process and Problems on the New Degree and Credit Systems:
German and Swiss Experiences Masahiro TANAKA, Rie MORI
19 A Study of Active Learning which intend Area Contribution: Seek of Customer Satisfaction
Muneyoshi YASUDA
27 The Effect of Workshop in Introduction to Clinical Medicine for 1st Grade Medical Students. Hiroyuki KATO, Hideya MATSUTANI, Hiroshi OSAWA, Akio NAKANE
35 Promoting Creative Tasks in the Foreign Language Classroom Brian BIRDSELL
43 Ability to be able to Enjoy the Work: Contact with the Active Learning Shigetaka KOISO
53 The Grammar Teaching Conundrum̶A Reflective Essay Edward FORSYTHE
BOOKREVIEW
61 Takashi ABE, Kiyoshi SANADA, Hayao OZAKI, Sarcopenia:
Evidence and Implications for Preventive Strategies(NAP Limited 2013)
(Manabu TOTSUKA)
63 Yui Fujimoto The University after the Classics (NTT Publishing, 2012)
(Masato NIHEI)
CONFERENCE/FACULTY DEVELOPMENT MINUTES
65 Exchange of opinions about the essential basic education in the field of life sciences͒(biology)
−A report of 2013 FD roundtable discussion meeting in the department of agriculturelife sciences−
(The 21st Century Education Centre News, Vol.22, September 2013)Hiroshi OHKAWA
67 Considering Active Learning: From Practising the Class of The Future of Human Beings
(The 21st Century Education Centre News, Vol.22, September 2013)Shoji FUJITA
69 2013 Hirosaki University FD Workshop for Part-time Teachers
−Exchange of Opinions on 21st Century Education−
(The 21st Century Education Centre News, Vol.22, September 2013)Masahiro TANAKA
OTHER TOPICS
71 The Results of the Student Questionnaire on 21st Century Education
(The 21st Century Education Centre News, Vol.22, September 2013)