行 政 視 察 報 告 書 平成27年11月18日

行 政 視 察 報 告 書
平成27年11月18日(水)から11月20日(金)までの3日間にわたり実施した
行政視察の概要を次のとおり報告する。
平成27年11月25日
伊東市議会議長
宮
﨑
雅
薫
様
伊東市議会議員
(常任観光建設委員会)
委 員 長 佐
山
正
副委員長
鳥
居
康
子
委
員 青
木
敬
博
委
員 榎
本
元
彦
委
員 四
宮
和
彦
委
員 横
沢
勇
記
1
視察都市等
2
視察事項
11月18日(水)
富山県富山市
19日(木)
石川県金沢市
20日(金)
富山県高岡市
常任観光建設委員会所管事項
⑴
富山県富山市
「競輪事業について」
⑵
石川県金沢市
「観光タクシー及び観光スポットの誘客の取り組みについて」
「外国人誘客推進事業について」
⑶
3
富山県高岡市
視察の概要
「新産業創造プラットフォームについて」
常任観光建設委員会所管事項について、視察した都市及び事業の概要は
以下に記載のとおりである。
- 1 -
⑴ 富山県富山市
①
市
制
施
②
人
③
世
④
区
⑤
産 業 別 人 口(平成22年国勢調査)
帯
域
面
行
平成17年4月1日(7市町村による新設合併)
口
418,957人(平成27年9月末日現在・住民基本台帳)
数
172,052世帯
積
1,241.77km2
第1次産業
5,212人
第2次産業
61,396人
(30.3%)
第3次産業
136,238人
(67.1%)
分類不能の産業
計
(
2.6%)
5,944人
208,790人
(
100%)
※割合は、分母から分類不能の産業を除いて計算
⑥
平成27年度一般会計予算
総
168,153,778千円
〃
特別会計予算(16会計)
〃
企業会計予算(
138,411,171千円
4会計)
額
45,583,922千円
352,148,871千円
【市の概要】
富山市は、日本海側のほぼ中央に位置し、水深1,000mの「海の幸の宝庫」富山湾
から標高3,000m級の北アルプス立山連峰までの標高差4,000mの多様な地勢と
雄大な自然を誇り、また、古くから「くすりのまち」として全国にその名が知られるよう
に薬業を初めとする、さまざまな産業と高度な都市機能、そして、多様な文化と歴史をあ
わせ持つ日本海側有数の中核都市として発展を続けている。
富山市では、今後も一定の人口を維持していくためには、都市の総合力を高めることが
何より大切であると考え、これまでも20年後、30年後を念頭に置きながら、公共交通
を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりを初め、将来にわたって持続可能な都市
を構築するためのさまざまな施策に取り組んでいる。
こうした取り組みによって、国においても地方都市再生の一つの方向としてコンパクト
シティ政策が掲げられるようになり、また、国際的にも、OECDの『コンパクトシティ
政策報告書』に世界の先進五都市の一つとして取り上げられたほか、米国ロックフェラー
財団からは「100のレジリエント・シティ」に選定されるなど、持続可能な都市経営や
コンパクトなまちづくりが国内外から評価されたことに伴い、近年、諸外国で開催される
国際会議などへの招聘や、海外からの視察が増加しており、このような取り組みに対する
注目度が高まってきている。
こうした中、平成27年3月14日の北陸新幹線開業に合わせて、北陸新幹線富山駅高
架下に市内電車の富山駅停留場を設置するなど、交通結節点としての機能強化を図りなが
ら、
二次交通の充実に努めてきた。これにより交通結節点である富山駅の機能が強化され、
- 2 -
利用者の乗りかえ時間が短縮されるなど、利便性が一段と向上した。
【歴史】
平野部は、豊かな農耕地帯として、また北陸路などの交通の要衝として古くから栄え、
たびたび戦乱の地になっている。
戦国時代、佐々成政が富山城に入城し、治水事業を手がけ、農業はますます盛んになっ
た。江戸時代になると富山藩十万石が置かれ、薬業や和紙などの産業が奨励され、飛騨街
道や北前船航路などの交通・物流網の整備や越中売薬の独特の商法も相まって「くすりの
とやま」として全国に知られるようになった。
明治以降、県庁所在地として、また北陸初の水力発電所が建設されるなど、豊かな電力
を基盤とした工業のまちとして順調な発展を遂げたが、昭和20年8月の空襲により市街
地は壊滅的な被害を受けた。
戦後、都市基盤の整備や産業経済の進展により、日本海側有数の都市として発展してき
た。
平成8年には旧富山市が中核市に指定され、平成17年4月には、富山市、大沢野町、
大山町、八尾町、婦中町、山田村、細入村の7市町村が合併し、新しい「富山市」が誕生
した。
○
競輪事業について
富山競輪について、富山市商工労働部公営競技事務所主幹
久郷元幸氏からご教示い
ただいた。
ア
競輪施設概要について
名称
富山競輪場(ドリームスタジアムとやま)
所在地
富山市岩瀬池田町8番地2
設置許可(開設)
昭和26年4月5日
第1回競輪開催日
昭和26年4月6日
敷地面積
117,897㎡
(富山市30,628㎡、株式会社桝田酒造店87,269㎡)
施行者
富山市(担当部署
施設所有者
株式会社桝田酒造店(選手宿舎等一部は富山市)
競技実施
公益財団法人JKA
選手会
富山支部
包括委託業者
日本写真判定株式会社
収容人員
9,113人
特別観覧席
545席(メイン特別観覧席238席、第1特別観覧席215席、
支部長
富山市商工労働部公営競技事務所)
中日本地区本部
宮越
大
第2特別観覧席92席)
駐車場
2,189台(1号~6号駐車場)
- 3 -
第4競技実施チーム
バンク概要
周長333.3m、みなし直線43.0m、センター部路面傾斜
33度41分24秒
路面
アスファルト(ウォークトップ有)
全面改修
建物概要
・メインスタンド
夜間照明無
平成12年12月から平成13年3月
平成10年建築
1階:第1、第2投票所、入場券売場、総合案内所、開催事務室、走路
審判・誘導員控室
2階:メイン特別観覧席、警備監視室、防犯控室
3階:開催本部、審判室、公営競技事務所、会議室、中央監視室
4階:テレビ撮影室、実況放送室、写真撮影室
・第1コーナースタンド
昭和50年建築
1階:第3投票所
2階:第4投票所(休止中)
・バックスタンド
昭和53年建築
1階:選手控室、医務室、ローラー練習場
・第1特別観覧席
平成6年建築
1階:ラウンジ、機械室
2階:特別観覧席・第6投票所
・第2特別観覧席
平成7年建築
1階:機械室
2、3階:特別観覧席・第7投票所
・競輪(ふれあい)会館
平成4年建築
1階:ふれあい会館受付、前売投票所、第5投票所
2階:第5投票所
3階:ふれあい会館多目的ホール
・中央集計センター
平成8年建築
1階:中央集計センター
2階:記者席、来賓室
・選手宿舎
(平成12年建築)
定員124人
1階:宿直室、浴室
2階:食堂、選手控室、宿泊室
3~5階:宿泊室
・選手管理センター
平成13年建築
1階:検車場、売店
2階:選手控室、事務室、会議室
・その他の施設
- 4 -
食堂6カ所、マルチビジョン、公開スタジオ、初心者ガイダンス、救護
室、手荷物預り所、キッズスペース、無料休憩所、トイレなど
入場料
一般入場料50円、場外開催日無料、レディースデー(第2・4土曜日)無
料(メイン特別観覧席1,000円、第1、2特別観覧席800円、場外開
催日500円)
※
選手宿舎、競輪(ふれあい)会館3階(多目的ホール)、5号・6号駐車場は富
山市が所有
【富山競輪の沿革】
昭和26年4月
第1回競輪開催(全国で58番目)
平成
7年4月
第1回ふるさとダービーGⅡ富山開催
平成
8年7月
第2回ふるさとダービーGⅡ富山開催
平成13年8月
第3回ふるさとダービーGⅡ富山開催
平成18年8月
第4回ふるさとダービーGⅡ富山開催
平成22年4月
日本写真判定株式会社を受託者として包括業務委託を実施
平成24年1月
従事員の身分を包括委託事業者に移管(防犯隊員を除く)
平成27年4月
日本写真判定株式会社を受託者として包括業務委託を実施(2期目)
従事員の身分を包括委託事業者に移管(防犯隊員)
平成28年9月
イ
第32回共同通信社杯GⅡ富山開催予定
北陸新幹線開業及び在来線第3セクター化の効果・影響について
記念競輪開催時(8月13日~16日)に帰りの新幹線切符を見せてもらう方法に
より、新幹線を利用して来場された先着50名に粗品(商品券3,000円分)を進
呈する北陸新幹線開業キャンペーンを実施、4日間の実績は48名。
その他の統計データがないため、どれだけの効果があったかは不明。今年度の入場
者数は前年度よりも少しふえているが、北陸新幹線開業が直接影響したとは思えない
と公営競技事務所では分析している。
ウ
今後の課題
・車券売上高の減少
車券売上高は減少傾向にある。ピークは平成7年度で、本場だけで374億円の
車券売上高があった。
・入場者数の減少
本場の入場者数のピークは524,312人。平成26年度の1日当たりの入場
者数は平成15年度の半分ぐらいになっているが、平成27年度は対平成26年度
で1日当たり90人程度増加している。
- 5 -
対策として、包括委託業者による場内イベントの充実やメディア広告を強化す
ることにより、新規ファンの獲得を図っていく。具体的にはCMソングを作成し
てテレビでPR。
また、来年度は共同通信社杯があるため、関東・長野方面のファンが北陸新幹
線を利用して来場するようにPRを行い、ファンが定着するように目指す。
・施設の老朽化
伊東市と同じく借り上げ施行者のため、施設会社に老朽化した施設の整備につ
いて要望を継続していく。
・開催日数の増
地元自治会との合意により、本場・場外合わせて年間265日と開催日数が決
まっているため、競輪開催日数の増についてのお願いをしていく。
エ
若者及びファミリー層のファン拡大のための対策について
【若者向けのイベント】
・レディースデー(第2・4土曜日)は女性専用席を無料(第2特別観覧席)
利用者数(女性会員を除く)
平成26年度44人(平成25年度30人、46.7%増)
・女性会員年会費1,000円で女性専用席を1年間使用
会員数:平成26年度55人(平成25年度57人、3.5%減)
年度更新あり
・富山33キャッシュバックキャンペーン
来場して5,000円以上車券購入した方を対象に、1日1人だけ3万3,3
33円を抽選で渡す。
・ドリスタポイントクラブ(平成27年度から)
会員数394人
スマートフォンまたはパソコンで会員登録して車券を購入すると、ポイントが
もらえ、たまったポイントで景品がもらえる。
【ファミリー向けイベント】
・記念競輪開催時イベント
キャラクターショー、スタンプラリー、職業体験コーナー、ゲームコーナー、
ふあふあプール、補助輪卒業教室、フードコーナー、お笑い芸人ライブ
記念競輪入場者数(4日間)
15,359人(前年度15,045人、2.1%増)
1日平均3,840人(前年度3,761人)
・ファン感謝デー(11月8日FⅠ開催)イベント
芋煮会、フリーマーケット(雨天で中止)、ドリスタ遊園地
- 6 -
ファン感謝デー入場者数
3,601人(前年度4,011人、10.2%減)
【事業効果】
女性会員は増減にほとんど変動がなく、ファンが固定化していると思われるが、場
内イベントには常連の競輪ファン以外に多くの若者や子供連れのファミリーが入場し
ていた。平成27年度の1日平均入場者数が1,648人であることから比較すると、
各イベントには一定の効果があると考えられる。ファン感謝デーは雨天のためフリー
マーケットが開催できず、入場者数が前年度を下回ったが、フリーマーケットが開催
できれば、もう少し入場者数がふえたと考えられるとのことであった。
【今後の展望・課題】
イベント開催時に来場された若者やファミリーに再来場していただくこと、来場さ
れたことのない初めての方に、どのようにすれば競輪場に来場していただけるのか、
競輪場のイメージアップ等について包括委託業者とともに検討していきたいとのこと
であった。
オ
その他
・包括業務委託について
プロポーザル方式により2社から日本写真判定株式会社が選定され、平成22年4
月から委託実施、2期目もプロポーザルにより日本写真判定株式会社が選定され2期
目(平成27年4月から)を委託中。
包括委託実施前後の従事員数(4月1日現在、市職員を除く)
※
平成21年度
204人
平成22年度(委託初年度)
175人
平成27年度
134人
平成24年1月に従事員(防犯隊員を除く)の身分を包括委託事業者に移管
(富山市臨時職員から委託事業者へ)、富山市職員は正規職員6人、嘱託職員2
人のみとなる。
平成27年4月に従事員(防犯隊員10人)の身分を包括委託事業者に移管。
・競輪(ふれあい)会館3階の多目的ホール(富山市所有)は体育館になっており、
無料で市民に開放している。
・本場開催以外の日は、競輪場を無料で地元のサイクルクラブなどに貸している。
・競輪バス教室の開催(初心者向けイベント)
市内の各地区(小学校区)20~30人単位で小型観光バス1台を借り上げて来場
し、車券の買い方など競輪の楽しみ方について知ってもらう。今年度5回開催、バ
スの借り上げ料に補助をしている。
- 7 -
⑵ 石川県金沢市
①
市
制
施
②
人
③
世
④
区
⑤
産 業 別 人 口(平成22年国勢調査)
帯
域
面
行
明治22年4月1日
口
454,058人(平成27年10月1日現在)
数
201,656世帯
積
468.64km2
第1次産業
3,150人
(
1.4%)
第2次産業
46,508人
(20.3%)
第3次産業
179,734人
(78.3%)
計
229,392人
(100%)
※分 類 不 能 は第3次産業に含む
⑥
平成27年度一般会計予算
総
166,680,000千円
〃
特別会計予算(11会計)
99,245,443千円
〃
企業会計予算(
64,653,566千円
8会計)
額
330,579,009千円
【市の概要】
金沢市は本州のほぼ中心に位置し、明治22年(1889年)の市制施行以来、近隣町
村とのたび重なる編入・合併によって市域を拡大し、平成8年(1996年)には中核市に
移行した。
気候は、日本海側気候で、「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるくらい雨の多い地域
で、春や夏は好天の日が多い反面、冬は曇りや雨の日が多く、積雪もある。雪化粧した兼
六園や長町武家屋敷跡などの風情は、金沢ならではのものである。
また、高い湿度は伝統工芸である漆塗りや金箔製造に適している。
市内には山も海もあり、自然にはとても恵まれ、清らかな犀川や浅野川の他、わき水も
多く、水が豊かなまちであり、「用水のまち」としても有名である。
一方で県庁所在地として交通網や商工業も発展しており、北陸有数の都市として高い利
便性も持ち合わせている。
金沢のまちの起こりは、蓮如の北陸地方の布教により一向宗徒の勢力が強まり、農民を
中心とした信者が加賀の守護富樫政親を高尾城に滅ぼした後、真宗本願寺の末寺を「金沢
御堂」として建立し、加賀一向宗の中心とし、以来、寺の周りに、後町、南町などの町が
つくられたのが始まりと言われている。
天正8年佐久間盛政により金沢御堂は攻め滅ぼされ、盛政はここに「金沢城」を築いた。
天正11年盛政が賎ヶ岳で敗死した後、七尾小丸山城にいた前田利家が金沢城に入城した
のがこの年の6月14日と言われている。以来、加賀、能登、越中を合わせた加賀百万石
の城下町として繁栄を続けることとなった。
- 8 -
明治4年の廃藩後、金沢町となり、同22年4月1日市制が施行され、県庁所在地とし
て行政、文化、経済の中心として発展を続け、大正13年以来10数次にわたる隣接町村
の合併により市街地規模の拡張を図り、今日に至っている。
【文化】
金沢は加賀藩前田家の城下町として栄え、加賀友禅や金沢箔、九谷焼などの伝統工芸や、
能楽や加賀万歳などの伝統芸能が受け継がれてきた。加賀藩主前田家の歴代藩主による工
芸振興が大きく影響しており、京都や江戸から名工を招聘し、これに加賀伝来の素材や技
術が相まって、武家文化の豪華さと繊細さをあわせ持つ独自のデザインが確立された。
金沢市の伝統工芸は、官民一体となった取り組みによって文化と産業が連環してまちに
活力を与えており、平成21年6月に世界で初めて、クラフトの分野でユネスコより創造
都市として登録された。
また、五代藩主前田綱紀の時代には、日本中から有名な学者や貴重な書物を集め学問を
奨励したことにより、
「加賀は天下の書府」であると褒めたたえられた。
戦災や大きな災害を免れたため、藩政時代からの美しい町並みが現在でも多く残ってお
り、金沢市の貴重な財産となっている。その藩政期以来の建造物や町並みに加え、茶の湯・
能・庭園などに人々の営みが今も息づいており、平成21年1月に「歴史都市」として第
1号認定を受けた。また、「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」が平成22年2月に
国の重要文化的景観に選定された。
○
観光タクシー及び観光スポットの誘客の取り組みについて
観光ガイドタクシーとは、金沢の観光施設、文化・歴史等に関する十分な知識を有し、
より高いホスピタリティを提供できる認定ドライバーがガイド兼運転手として案内する事
業、観光知識とおもてなしにすぐれた認定乗務員が旅行客を案内するサービスである。
認定乗務員となるには数々のステップがあり、まずは所属するタクシー会社の代表が接
客や人柄などを基準に判断し、各エリアに置く運営協議会に推薦する。協議会では、観光
地の知識や市町の歴史・文化、方言など幅広い分野から出題する試験を実施。80点以上
で合格となり、その後、おもてなしに関する講習を受けて認定される。安全・安心には細
心の注意を払い、過去2年間で無事故・無違反であることが認定を受ける条件の一つであ
る。認定後も2年ごとに更新があり、運転記録証明書の提出と運営協議会での研修を義務
づけている。
認定乗務員が運転するタクシーにはそれを示すステッカーが張ってある。
また、他のタクシーとの差別化やサービス向上のため、乗務員が「金沢検定」を受験・合
格していることをアピールポイントにしているところもある。
- 9 -
【現地視察の行程】
金沢駅もてなしドーム→にし茶屋街(車窓)→妙立寺(忍者寺)→主計町茶屋街(車窓)
→
ひがし茶屋街→
兼六園→
長町武家屋敷(車窓)→金沢市役所
金沢第一交通株式会社教育部教育担当リーダーで、「いしかわ観光特使」でもある森本
哲夫氏の運転、案内で金沢市内を視察した。
金沢市内3つの茶屋街は、それぞれ芸風が異なることや所属する芸妓の年齢層など、詳
細な情報をちりばめながらの案内であった。
また、移動時間には、今回は訪れなかった3つの寺院群についてや金沢には銅像、噴水、
避雷針の3つの日本最古があるなど、折に触れて金沢のまち全体についてご教示いただい
た。
最初の視察場所である妙立寺は、別名忍者寺とも言われるが、忍者の寺として建立した
のではなく、幕府からの公儀隠密や外敵を欺くためにさまざまな仕掛けが散在しているこ
とや複雑な構造をしていることからそう呼ばれるようになった。
建物が老朽化し危険な部分があることや建物構造が複雑であることから、一度に大人数
での見学ができず、30分毎に一定数だけを受け入れ、建物内でさらに複数のグループに
分けられ、各グループに1人係員がつき、その説明を聞きながら建物内部を見学した。
大変人気のある寺で、外国人受けしそうではあったが、外国人はあまり見かけなかった。
ひがし茶屋街及び兼六園については、専属ガイドも常駐しているが、ガイドタクシーを
利用しているので森本氏に案内していただいた。
兼六園内は外国人客、特に欧米系の観光客が多く、通訳案内のもとグループで園内を見
学していたのが印象的であり、後述する金沢市の外国人誘客推進の取り組みにつながる視
察となった。
【所感】
森本氏の案内は、歴史的な部分を含め1つ1つ丁寧に説明してくださる一方で、見どこ
ろや人気スポットを押さえ、限られた時間の中で非常に効率良く充実した視察ができたと
思われる。各スポットの専属ガイドでも案内や解説は受けられるが、単に金沢のまちを歩
いただけではわからない部分や気づかないことを、一緒に回って案内してくれる運転手だ
からこそ、周辺情報などを含めた一貫した案内ができると感じ、本市のタクシー業やガイ
ド養成に力を入れていく必要性を実感した。
○「外国人誘客推進事業について」
外国人誘客推進事業について、金沢市経済局営業戦略部観光交流課観光交流係長
成貞氏からご教示いただいた。
- 10 -
浅野
ア
北陸新幹線開業の効果
金沢市はもともと位置関係では、東京、大阪、京都、名古屋などの大都市から約30
0Km 圏内ではあったが、北陸新幹線開業により東京から金沢まで2時間半でつながった
ことにより、位置関係と時間関係が一致するようになった。今後、東京・名古屋・大阪
の3大都市から2時間半以内であることをPRしていく。
また、北陸新幹線開業効果で、金沢市内における宿泊費が高騰しているとマスコミで
報道されている。しかし、実際は一部のホテルだけが高騰しているのであり、多くの宿
泊施設では上限設定があるので、金沢市内全体が高騰しているというのは誤解である。
今後は、宿泊施設なども広域で考え、「オール北陸」で考えていく必要があると感じて
いるとのことであった。
イ
金沢のまちの特徴
【現存する町並み】
・金沢市のまちは第2次世界大戦での空襲や災害に遭っていないので、藩政期の町並み
が現在も残っている。(現在の街路を寛文年間の絵図に重ねると約180Kmが一
致。
)
・まちづくりの基本は「保存の開発の調和」。
まちづくりは、まちづくり関連条例(28条例)により行われ、保存地域と開発地域
の調和をとっている。
【歴史都市】
歴史的な建造物や町並みと、歴史伝統が反映された人々の暮らしや文化を今も色濃く
残して、それらを積極的にまちづくりに生かしている都市として、平成21年1月19
日に岐阜県高山市、滋賀県彦根市、山口県萩市、三重県亀山市とともに第1号認定都市
となった。
【創造都市】
独自の文化を持ち、それらを産業と結びつけ新しい価値を創造する、創造的な文化活
動と革新的な産業活動の連環により、まちを元気にしている都市として、クラフト分野
で創造都市に認定された。また、平成27年5月にはユネスコ創造都市ネットワーク世
界会議を金沢市で開催した。
【工芸都市】
3代藩主前田利常が御細工所を開き、名工を指導者として招聘したことから、今も多
くの職人工房があり、現存する主な伝統工芸は22種類。
【金沢駅もてなしドーム】
世界で最も美しい駅14駅、世界で最も素晴らしい駅ベスト10選出
【金沢21世紀美術館】
外国人がクールと評した日本の観光スポット20で8位
- 11 -
【金沢海みらい図書館】
世界で最も美しい公共図書館ベスト25、世界の素晴らしい公共図書館ベスト4に選
出され、金沢21世紀美術館と同様、建物自体も建築的に評価されている。
【ミシュランによる評価】
3つ星:兼六園、
2つ星:金沢21世紀美術館、金沢市
これらまちの特徴を生かし、以下のとおり分析し、海外誘客へ取り組んでいる。
ウ
海外誘客の現状
まず、全国の訪日外国人客の推移をみると、円高の影響やアジア圏の旺盛な海外旅行
への意欲で伸び、2014年は過去最高の数字となっている。どのように地方へ足を運
んでもらうかが重要になると考えている。
一方、兼六園の外国人入園者数をみると、全国の訪日外国人客の推移と同じような推
移をしているが、2003年には2万7,000人だった入園者数が、2014年には
22万9,000人と11年間で10倍近く伸びている。
実際、金沢市内でも外国人がふえた実感があり、外国人を見かけない日はないぐらい
になっているとのことであった。
全国での国別訪日外国人客数は、台湾、韓国、中国の順で多いが、兼六園では台湾が
突出して多く、次に香港、アメリカの順となっている。なお、台湾は、台南市でダムを
つくった金沢市出身の八田技師との交流があるためとのことであったが、韓国、中国は
全国ほど多くはない。さらに、これらの数字を比較すると、欧米豪については、全国に
比べ、兼六園の方が多い。
また、日本政府観光局(JNTO)の訪日外国人旅行者の満足度調査の結果で、外国
人旅行客が来日前にあまり期待していなかったが、来日して満足したことに、四季の体
感(花見、紅葉、雪など)、日本の歴史・伝統文化体験がある。この項目は、まさに金沢
市の強み、得意分野であり、金沢市の歴史的・文化的なまちづくりを見てもらいたいと
いうニーズと一致するため、欧米豪をメインターゲットと考えている。
このような外国人旅行客の傾向があるため、金沢市では海外誘客について、欧米豪向
けとアジア向けの2つの市場別方針、取り組みを行っている。
特に、欧米豪のうちフランスはヨーロッパのトレンドリーダーとして、最重要視して
おり、パリ在住の方に誘客コーディネーターとしてPRしてもらったり、現地の市場調
査などをして情報を得ている。
また、スペイン・イタリアは非常に伸びているため、今後の重要地域と考えている。
一方、アジア圏からの外国人旅行客の関心は、どちらかというと食事や買い物である
ため、欧米豪向けとは異なる取り組みをしている。
- 12 -
欧米豪向け市場方針
アジア向け市場方針
・金沢市の伝えたい魅力と観光客の需要が合
致する重要市場
・日本から近距離
・訪日客の8割を占める重要市場
・個人旅行が中心
・食事や買い物等に興味・関心
・長期滞在
各地を周遊するので、金沢市に立ち寄っ
てもらえる可能性あり
・歴史・文化体験に興味・関心
誘客の取り組み
誘客の取り組み
【フランス】
【台湾】
・パリ在住の誘客コーディネーターの活用に
よるPR
・八田技師(金沢市出身)の交流を核とし
た誘客戦略
・現地市場調査及び金沢の認知度向上
・台南から台湾全土へのプロモーション
・広域連携(白川郷など)による旅行会社
招請
【中国】
・名古屋・高山・セントレアとの共同PR
・ル・モンド・ア・パリ旅行展への出展PR
【イギリス・ドイツ・オランダ】
・小松-セントレアの昇龍道ルートを活用
【韓国】
・県との連携によるPR
・小松-ソウル便を利用した誘客
・誘客コーディネーターによるPR活動
・個人旅行客をターゲットにしたPR戦略
(平成27年~)
【アメリカ・オーストラリア】
を実施
【東南アジア】
・広域連携(白川郷など)による旅行会社
招請
・今後の重要な誘客地域
・県や松本・高山・白川と連携した共同
PR
・白馬地域のスキーリゾート客の誘致
【イタリア・スペイン】
・今後の重要な誘客地域
・北陸新幹線を利用したルート提案とPR
名古屋から能登半島へ抜ける昇龍道ルートはアジア向けとして重要と考えている。
また、ミシュラン3つ星(金沢・兼六園、世界遺産白川郷、世界遺産五箇山、飛騨高山)
がそろっている北陸飛騨ルートなど、3大都市圏から全て2時間半の圏内となったことで
新たなルート開拓や、海外誘客の広域連携も行っている。
広域連携においては、北陸新幹線開業でつながったことにより、長野市と共同観光キャ
ンペーンを行うなどの連携を行っている。
- 13 -
エ
その他
【情報発信の取り組み】
・スマートフォンサイト(外国語)
金沢市観光協会
公式スマートフォンサイト
提供している言語
P
C版:8カ国語(日本語、英語、仏語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、
スペイン語、タイ語)
スマホ版:5カ国語(日本語、英語、仏語、中国語(簡体字・繁体字))
※
残り3カ国語についても現在作成中。
・観光客向けタブレット端末の設置(上記の観光協会のサイトが見られる)
東山ひがし茶屋街・・・観光駐車場に屋外型のタッチパネル式
長町、にし茶屋街・・・休憩館にタブレット端末
この他、まちかど観光案内所にも提供している。
・Wi-Fi整備
KANAZAWA
FREE
Wi-Fiを展開中
→
現地視察の際、接続して確認した。
【ホテル・旅館の改修に対する支援】
・金沢の宿ICT活用誘客促進補助制度(平成26年度終了)
・外国人向け和風旅館改修費補助制度
外国人宿泊客の利便性を高めるための設備整備等に支援
補助対象経費の1/2(上限200万円)を補助
※平成27年補助対象経費を改正
・共同浴場における浴室設備を追加
・PC関連は外国人旅行者受入環境整備事業費へ移行
・内装工事、屋外看板、洗濯機設置費は補助対象外へ
補助実績(平成19年度~平成26年度)
39件
40,530千円を補助
・金沢市外国人旅行者受入環境整備事業費補助金制度
北陸新幹線金沢開業により増加している外国人旅行者が安心して市内観光を楽
しめるように、民間事業者による外国人旅行者の受け入れのための整備事業に対し
支援。
・補助対象事業者
- 14 -
宿泊事業者、観光事業者、飲食店、商業施設
等
・補助金額
補助対象経費の2/3(上限:400千円)を補助
(県1/3、市1/3、事業者1/3)
・補助対象項目
下表のとおり。●は整備必須項目、○は選択可能項目。
補助対象項目
宿泊事業者
観光事業者
飲食店
商業施設
外国語表記
●
●
●
●
無線LAN
●
●
○
○
クレジットカード
●
○
●
●
外国語食事メニュー
●※1
○
●
―
外国人旅行者コミュ
○
○
●
●
外国語ホームページ
●
○
○
○
外国語パンフレット
○
○
○
○
免税店登録
○
○
―
●
外国語音声ガイド
○
○
―
―
トイレ洋式化
○
○
○
○
パスポートリーダー
○
―
―
○
外国語TV 放送
○
―
―
―
ニケーションシート
※1 食事を提供しない施設、又は日替わりメニューのみの食事を提供する施設は除く。
【所感】
外国語対応のホームページ、県を越えた広域連携、各種統計などの数字から金沢市
の発信したい魅力を最大限に生かせる分野やターゲットを分析し、特にフランスを最
重要視した戦略など、同じ観光地としてインバウンドを考えていく上で大変参考にな
る内容であった。
- 15 -
⑶ 富山県高岡市
①
市制施行
平成17年11月1日(旧高岡市
②
人口
③
世帯数
④
区域面積
⑤
産業別人口(平成22年国勢調査)
175,019人(平成27年9月末現在)
66,944世帯
209.42㎢
第1次産業
1,941人
第2次産業
28,727人
(33.0%)
第3次産業
53,820人
(61.9%)
分類不能
計
⑥
明治22年4月1日)
2,497人
86,985人
平成27年度一般会計予算
(
(
2.2%)
2.9%)
(100%)
66,555,094千円
〃
特別会計予算(
6会計)
39,853,661千円
〃
企業会計予算(
5会計)
29,006,811千円
総
額
135,415,566千円
【市の概要】
高岡市は、本州のほぼ中央で日本海に面する富山県の北西部に位置し、平成17年11
月1日に旧高岡市、旧福岡町が合併し誕生した。市内の西側は山間地域で西山丘陵や二上
山が連なり、北東側は富山湾、東側は庄川・小矢部川によって形成された良質な地下水を
有する扇状地が広がるなど、深緑と清らかな水に包まれたとても自然豊かな地域である。
日本の渚百選に選ばれた雨晴海岸からは、海越しに3,000メートル級の立山連峰の大
パノラマを見ることができる。
南北の交通軸には東海北陸自動車道と能越自動車道が整備され、東西の新しい交通軸に
は平成27年3月に北陸新幹線が開業し、また、伏木富山港の総合的拠点港の選定などを
機に、飛越能地域の玄関口、環日本海沿岸地域における交流拠点都市として、新たな飛躍
を目指している。
豊富な歴史・文化資産やものづくりの伝統に支えられた歴史都市・高岡の強みをさらに
磨き、生かしながら、まちの魅力、存在感を高め、
「元気なふるさと高岡」の創造を進めて
いる。
産業では、高岡銅器や高岡漆器は、高岡を代表とする伝統産業であり、藩政期以来の長
い歴史の中で受け継がれてきた
「ものづくりのわざと心」が今もなお脈々と息づいており、
先人がつくり上げ洗練させてきた「ものづくりの技」を継承しつつ、アルミ、化学・薬品、
紙・パルプなどの近代工業が根づいている。また、旧福岡町では菅笠作りが有名で、生産
量は全国の9割以上を占め、全国一の高品質な菅笠を出荷している。
現在では、デザイン性の高い新しいクラフト商品が次々と発表され、注目を集めている。
- 16 -
【歴史】
二上山麓から西山丘陵にかけて、桜谷古墳や江道横穴古墳など多くの古墳があり、県内
でも早い時期から地方政権が成立していたとされている。
古くは天平の時代から伏木の地に越中国府が置かれ、この地方の政治経済の中心地とし
て栄えた。天平18年(746年)には、万葉集の代表的歌人である大伴家持が越中の国
守として赴任し、在任5年の間に風光明媚な雨晴海岸や二上山などをめでて詠んだ220
首余りの秀歌を万葉集に残している。
高岡は、慶長14年(1609年)、加賀藩二代藩主・前田利長によって高岡城の城下
町として開かれた。「高岡」の地名は、利長が「詩経」の一節「鳳凰鳴けり彼の高き岡に」
から引用し、この地の繁栄を願って名づけたと伝えられている。
○
新産業創造プラットフォームについて
高岡市新産業創造プラットフォームについて、高岡市産業振興部産業企画課
主任
秋元宏氏及び同主任(新産業創出支援担当)増川一之氏からご教示いただいた。
ア
事業概要
高岡市産業企画課が総合窓口となり、「研究開発」から「販路拡大」の各段階における
企業ニーズに、産業支援機関、研究機関、大学、金融機関等と連携を図りながら、ワンス
トップで対応し、市内企業を総合的に支援、企業が抱える多様なニーズの解決を図る事業。
【業務に係る職員体制】
主幹1人
-
主任2人
-兼務主事1人
【新産業創造プラットフォーム支援メニュー】
企業訪問等によるニーズ、シーズ把握
支援メニューの提示
支援機関等の紹介
個別支援
フォローアップ
- 17 -
新産業創造プラットフォーム活動の基本
・企業訪問により、課題・ニーズの把握と対応
・他の支援機関や国、県の施策を情報収集
・産学の先端的技術や動向を情報収集
・連携機関5機関の情報交換会の開催
(高岡商工会議所、高岡市商工会、高岡信用金庫、中小企業基盤整備機構北陸本部、
高岡市)
・連携機関との調整会議(中小企業基盤整備機構、日本貿易振興機構富山、富山銀行
等)
・創業者支援ネットワーク会議の開催(平成27年度新規事業。高岡市、高岡商工会
議所、高岡市商工会、市内金融機関等)
・メールマガジンによる情報提供(200社程度のメーリングリスト、市・国・県の
施作情報を提供)
・個別相談について、高岡商工会議所や国の認定支援機関である金融機関と企業訪問
・富山県の航空機、医薬工、次世代自動車、ナノテク関連のネットワークに参加
チーム編成による重点的支援
支援機関の動きに積極的参加
県のネットワークを通じた個別プロジェクトの創出支援
・事業の共同実施
・企業ニーズに合わせた事業の企画(セミナー、販路開拓等)
・支援制度の抜けている部分をつなぐための仕組みづくり
イ
プラットフォームの主な取り組み
~新分野開拓チャレンジ事業を柱として~
【新技術・新製品開発支援】
・新技術・新製品開発等支援補助金
平成26年度5社採択(申請5社)
平成23~26年で合計33件
高岡市内の中小企業者が新分野進出、新事業展開を図るために行う新技術・新製品開
発に対し、経費の一部を助成するもの。補助対象経費の1/2以内、上限50万円。
(例)
㈱能作:すず(100%)による入れ歯洗浄容器の開発
(すずの滅菌作用を活用)
- 18 -
これらの支援を支えるものは、日ごろからの企業訪問や、市役所に事業者が来庁・電
話での相談。
企業訪問数
延べ418社
相談対応件数
延べ719社
市役所が企業訪問しやすい理由に、市に支援メニューがあるということが挙げられ
るとのこと。
・農商工等連携への補助
平成23~25年で1件
平成26年度からは、農商工連携を含めた地域資源活用事業を対象に拡充を図り、地
域資源活用事業支援補助金として補助を実施。(平成26年6件)
市内の中小企業者または中小企業者と連携する農林漁業者が地域資源を活用して実
施する、新商品、新サービスの開発、または開発と合わせた市場調査、販路開拓等の事
業に対し、経費の一部を助成。補助対象経費の1/2以内、上限50万円。
【販路開拓支援】
・高岡市見本市等出展支援補助金
平成26年度13社採択(申請13社)
※平成24年度より海外枠(海外見本市への出展)を新設
平成27年度に補助対象費用を拡充した戦略的販路開拓事業支援補助金制度を新設。
・戦略的販路開拓事業支援補助金
市内の中小企業者等が、新分野進出・新事業展開を図るため、自社開発した製品、技
術等の新規販路を戦略的に開拓するために実施する、見本市等への出展、市場調査、コ
ーディネーター等の活用等に対し、経費の一部を助成。
補助対象経費の1/2以内、国内は上限30万円、海外は上限50万円。
・市内中小企業の海外市場開拓の動きは、平成22年度以降大きく伸びている。
・海外出展の増加に連動し、実務能力向上を支援するため、日本貿易振興機構(JET
RO)富山と連携・協力し、貿易実務講座や相談会を開催し、補助金と両輪をなして
いる。
(事例)A社:ドイツの展示会に出展し、新規顧客の可能性として20件超の商談あり。
B社:上海の展示会に出展し、5件の契約など中国市場における新規顧客を開拓。
【海外販路開拓支援】
・JETRO富山との連携
メゾン・エ・オブジェ(仏)に市内3社1組合が出展するとともに、市長がパリでト
ップセールス活動を行ったことでJETROとのつながりが生まれ、平成24年6月に
JETRO富山と海外販路開拓に係る業務連携覚書を締結。(全国で初めてJETRO
- 19 -
が市町村と覚書締結。)
以降、継続して海外バイヤーを招聘しての商談会を実施している。
平成24年7月
海外バイヤー招へい商談会 in 高岡
バイヤー
4カ国(アメリカ、フランス、ドイツ、ベルギー)より6名招聘
参加
25社(高岡市内企業14社)
商談
64件(うち成約3件、代理店契約1件)
平成25年
バイヤー2カ国(中国、台湾)
商談20件(うち商談継続6件、代理店交渉中2件)
平成26年
バイヤー2カ国(シンガポール、香港)
商談20件(うち成約2件、商談継続3件、代理店交渉中1件)
インバウンドにも
平成27年度以降は
資する
海外メディア招聘
+
を実施予定
海外バイヤー招聘
【成長産業分野参入支援】
・高岡市成長産業人材育成事業
平成26年度3社採択
今後成長が期待されるさまざまな産業分野への進出を目的に、基盤技術の高度化を
目指して人材育成に取り組む市内中小企業者に対し支援。公的機関、民間事業者等が
実施する技術開発、人材育成に関する研修費について補助。
今年度は次世代自動車産業、航空機産業、環境ビジネス分野への参入を目指す企業
からの応募があった。
・国や県の動き、取り組みとの連携
富山県の航空機、医薬工、次世代自動車関連のネットワークに参加、得た情報を企
業に還元。
特に、医薬機器分野においては、産官学金が連携し、県西部のものづくり技術を生
かした医療機器産業の創出を目指す組織として、平成23年5月に発足した富山県西
部地区医療機器産業育成協議会の取り組みを県のネットワークにつなげるなどの連携
を実施(協議会は平成25年8月に発展的解散)
関係機関を通じ、国のライフケア産業振興事業とも連携を図っている。
最近は富山大学と連携し、新分野の技術や企業の研究開発のヒントになるような内
容の講演などを開催している。
- 20 -
【チャレンジ新商品認定事業】
高岡市内の中小企業者等が、新分野開拓、販路拡大を目指して開発した新商品を「高
岡市チャレンジ新商品」として認定し、市の機関等で使途が見込まれる場合には随意契
約で購入し、市内企業の商品を地元で活用することで、販路開拓を支援するとともに、
商品のPRを積極的に行っている。
【対象となる商品】
・高岡市新分野開拓チャレンジ補助金(新技術・新製品開発等支援補助金・見本市等出
展事業補助金(平成27年度から戦略的販路開拓事業支援補助金)・農商工等連携事
業支援補助金(平成26年度から地域資源活用事業支援補助金))の採択を受け商品
化された商品
・富山県トライアル発注商品の認定を受けている商品
※申請時において、商品化後概ね3年以内の商品が対象。
【認定までの流れ】
・認定申請書を提出
認定申請書を高岡市に提出
・審査・認定
高岡市において審査し、認定
(新規性と商品がもたらす効果、生産体制の確認等について審査)
・随意契約で発注
認定商品は、認定から5年間、市の機関において、随意契約で高岡市が優
先的に購入できるようになる。
市が購入したものは、公共施設や各課でのイベント、視察やPR時のサンプル品とし
てなどの使用がされる。
産業企画課には、通常はもっとサンプルが用意されているが、同日に開催されている
イベントのサンプルとして持ち出し中であるとのことで、今回は2つのサンプル商品を
実際にお見せいただいた。(写真参照)
写真中、右側は、すずを何回も金づちでたたく技術により生まれた、折り紙のように
折ったり曲げたりでき、食器等さまざまな用途に使用できる㈲シマタニ昇龍工房の「す
ずがみ」。実際に触ってみると、思ったより軽く、また容易に折れ曲がる。
写真中、左側は、㈱ナガエの「SOLANO(ソラノ)」という商品で、使用しないと
きは自立し、ゆらゆら揺れて涼を感じさせてくれるうちわである。
- 21 -
SOLANO
ウ
すずがみ
今後の課題
本事業は今まで少しずつ見直しを行いながら実施してきたが、企業の戦略部分まで立
ち入れないところがあったため、戦略的販路開拓事業では、申請の段階で企業の戦略が
見えるものを採択していく形をとっている。
また、新たに創設した事業に関して事業者からどのような反応があるのか、それをフ
ィードバックして、事業者の声を聞きながらこまめに制度を見直して実施していくこと
が今後の課題であるとのことであった。
【所感】
販路を海外に開拓するなど、産業の国際化を目の当たりにした。
また、本市は観光地、高岡市は「ものづくりのまち」という違いはあるが、商工会議
所等ではなく、市役所職員が直接企業を訪問して支援に取り組んでいることが印象的で
あった。市職員みずから積極的に出向いて支援するスタイルは、本市の産業支援の参考
になるものであった。
以
- 22 -
上