海外調査依頼内容 1 回答日:平成 24 年6月 20 日 2 依頼者名:栃木県支部 3 調査依頼事項:フランス国アリエ県ヴィシー市の概要調査 4 調査対象国又は対象地域等:フランス 5 調査の趣旨(調査結果の利用目的・時期を含め具体的に): 那須塩原市において国際交流を図るための検討を行っていく中で、都市の情報を収 集し検討材料としたい。 6 調査内容 【フランス国アリエ県ヴィシー市(Vichy) 】について、以下の事項 ○市の概要(人口、面積、歴史、交通等) ○自然環境(地勢、気候、資源等) ○産業(農業、工業、商業)…個別(事業、品目等ごと)のデータを含む。 ○特産品や温泉等に関する情報 ○日本人の在住者(人口) ○日本との交流等の状況 *留学生、インターンシップ他 ○その他特記事項 ヴィシー市の概要調査について パリ事務所 1 対象地域:ヴィシー市(Vichy) 2 調査結果: ○ 市の概要(人口、面積、歴史、交通等) 人口 25,090 人(2009 年) 面積 5.85 km² 人口密度 4.289 人/km² 歴史 ローマ人によるガリア征服の時代に、ローマ人は湯治としての温泉のために、ヴィシーの 地に街をつくりました。源泉があったために、17 世紀頃から評判が伝わり、多くの者がそ の地を訪れました。19 世紀になり、ナポレオン 3 世(1861 年から 1866 年まで)時代に再 開発が行われ、街の様子は一変しました。新しい大通り、堤防、そして、公園と巨大なカジ ノが造られました。 またヴィシーが歴史上、最も注目されたのは第二次世界大戦の頃です。1940 年 6 月 22 日に署名された停戦条約の後、この区域はドイツには占領されず、フランス国 (État Français) として残り、同年 7 月 1 日にはヴィシーが首都として定められました。温泉地で あるためホテルの収容人数が多く、臨時の官庁及び官舎を置くのに都合が良かったためとさ れています。政府は多くのホテルの所有権を得たのちに、フランス国の国会議員 600 人は ヴィシーでの会議や評議会に参加しました。同年 7 月 9-10 日には、ヴィシーのオペラハウ スで、国会議員は、第三共和制終了のための投票を行いました。その投票により、民主政体 は廃止され、フィリップ・ペタンを首席とするヴィシー政権がこれに替わることになりまし た。この日から 1944 年 8 月 26 日まで 4 年以上の間、ヴィシーはフランスの首都となり「ヴ ィシー政権」と呼ばれました。 交通 ヴィシーは、高速道路では直接アクセスできず、高速道路から 16 キロほど離れています。 現在、8 万人以上の都市圏共同体1では高速道路からここまで離れるのは珍しい例で、2015 年にヴィシーまで高速道路が延伸することになっています。ゆえに、現在、パリから陸路で 1 都市圏共同体:都市地域におけるコミューン間の協力体制を強化するために、設立された広 域行政組織。人口1万 5000 人超のコミューンを有し、総人口が 5 万人超であることを要件とす る。 3 時間 30 分ほどかかります。また、ヴィシーへの TGV(フランスの新幹線に相当)による 直接のアクセスはありません。空路については、クレルモン=フェラン・オーヴェルニュの 国際空港が最寄りとなり、約 45 分でヴィシーから車でアクセス可能です。 ○ 自然環境(地勢、気候、資源等) 地理 ヴィシーの属するオーヴェルニュ州(フランス語:la région Auvergne)は、フランスの 中南部、中央山塊に位置しており、フランスの中央高地に相当する地方です。なおオーヴェ ルニュ州の州都はクレルモン=フェランです。山脈や休火山を持ち、肥沃な土地に湖や牧草 地帯が広がっています。豊富に良質な地下水を産出する事で有名であり、日本でもおなじみ のミネラル・ウォーターであるヴォルヴィックはこの地方(ピュイ・ド・ドーム山麓)で採 水されたものです。また、主要産業は農業で、フランス国内でも比較的開発から遅れた地域 でしたが、近年は金属工業の発達や観光産業の振興がなされています。なお、クレルモン= フェランは、世界有数のタイヤメーカーであるミシュランの本社所在地として知られていま す。 ヴィシーはアリエ川(ロワール川の支流)に位置しています。ヴィシーの流域での平均標 高は 263 メートルです。 アリエ川の源流はフランス南部にある中央山塊に位置しています。 すべてのオーヴェルニュの火山は現在、休火山です。ヴィシーは、年平均 790 ミリメート ルの降雨量で、高地の特徴を持つ大陸性気候です。平均気温は 12 月から 2 月までは 0℃、6 月から 9 月までは 22℃〜25℃です。また、オーヴェルニュ州の他の都市と同様、ヴィシー には豊富で良質な地下水があり、特にこの地域では、温泉水として有名です。 ○ 産業(農業、工業、商業) 経済 ヴィシーは産業施設、特に中小企業が多く立地しています。またヴィシーの経済規模は、 オーヴェルニュ州において二番目に大きい経済の中心地です。主な産業は、次のとおりです。 (1)化粧品(ロレアル研究所:温泉水の利用) (2)プラスチック(化粧品や製薬産業で利用) (3)冶金 (4)電気/電子機器 (5)自動車(部品) (6)食品加工(製菓、鶏肉、牛肉2) なお、サービスについては、以下のような特徴があります。 (1)スパ・フィットネス (2)ローカルビジネス(日曜にもオープンしている店) (3)観光(会議場としての要素も備えている) 2 オーヴェルニュ州において畜産が盛んであり、ヴィシーでは主にその加工を行っている。 ※ ヴィシーには6つの主要な温泉があります。またその源泉は胃腸や消化器官に効果があ り、飲泉として利用されています。 ○ 特産品や温泉等に関する情報 温泉:利用法は温浴法、灌水法、飲用法が用いられています。 ミネラル・ウォーター:ヴィシーのミネラル・ウォーターとして世界的に有名です。 化粧品:温泉を利用して作られることで有名です。 特産品:les pastilles de Vichy は六角形のミントの味のする飴です。 ○ 日本人の在住者(人口) ヴィシー市内には 25 名在住(男性 7 名、女性 18 名) (平成 22 年 10 月 1 日現在) ※参考:アリエ県内には 41 名在住(男性 12 名、女性 29 名)(平成 22 年 10 月 1 日現在) ○ 日本を含む姉妹都市や国際交流等の状況 ヴィシーは、3 つのドイツの都市(ヴィルヘルムスハーフェン、バードテルツ、ライン· ネッカー·クライス)、スコットランドの都市(ダンファームリン)、スペインの都市(ログ ローニョ) 、ルーマニアの都市(クルージナポカ) 、アメリカの都市(サラトガスプリングス) の姉妹都市となっています。それ以外にも公式な姉妹都市とはなっていませんが、関係性を 持っている都市があります。日本との公式関係はありません。 3 参考文献 ○ 参考文献・URL http://www.ville-vichy.fr/ ○ 担当者氏名・役職 所長補佐 西村 高則 調査員 Charles-Henri Houzet ○ 担当者後記 担当者はヴィシーにプライベートの旅行で訪れたことがあります。温泉の街と言っても、 日本のような温泉ではなく、療養と健康のための温泉であり、宴会を伴う温泉旅行のような 日本の感覚とは全く異なる印象を受けました。また、温泉に入る際にも、水着を着ることに なっており、いわば、市民プールのように、男女が同じ温泉に入ることになっています。 (更 衣室も市民プールの様子に近いと思っていただいてよいです。 )
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