必須脂肪酸 P h y s i c i a n s C o m m i t t e e f o r R e s p o n s i b l e M e d i c i n e 5 1 0 0 W i s c o n s i n A v e., n. w., S u i t e 4 0 0 • W a s h i n g t o n, D C 2 0 0 1 6 phone (202) 686-2210 • Fax (202) 686-2216 • [email protected] • www.pcrm.org す。α-リノレン酸(よくみられるオメガ3脂肪酸)は、 多くの野菜、豆類、 ナッツ、種、 フルーツに含まれてい ます。α-リノレン酸のもっともよい摂取源はフラック スシード (亜麻仁)、 フラックスシードオイル(亜麻仁 油)です。オメガ3脂肪酸の摂取量を増やすには、 よ り濃縮されたオメガ3脂肪酸が含まれているキャノ ーラ油(ナタネ油)、大豆、 くるみ、小麦胚芽から摂取 することができます。オメガ3脂肪酸は、ナッツ、種、 大豆製品、豆類、野菜、全粒穀物にも少量ですが含 まれています。 コーン、サフラワー、サンフラワー、綿 実油にも少量ですがオメガ3脂肪酸は含まれていま す。 必須脂肪酸の基本 人 の体に必要ないくつかの脂肪は食品から 作られます。 しかし、 リノレン酸とリノール 酸という2つの必須脂肪酸は体内で合成 することができないため、植物性の食品からとる必 要があります。重要な点は、 これらの必須脂肪は、オ メガ3とオメガ6脂肪酸と呼ばれる脂肪を作り出すと いうことです1。 オメガ3・オメガ6脂肪酸は、体のすべての組織の 正常な機能にとって重要です。不足すると、肝臓や 腎臓の異常、血液の流れが悪くなったり、成長率の 減少、免疫機能の低下、 うつ、皮膚の乾燥や落屑な どの皮膚障害を引き起こします。必須脂肪酸の適切 な摂取は、健康を保つためにとてもよいものです。 ア テローム性動脈硬化症の予防、心臓病や脳卒中の 減少、潰瘍性大腸炎、生理痛、関節痛の減少などが 報告されています2,3,4。 プラントベースの食事には、サプリメントや油を加 える必要は基本的にはありませんが、オメガ3やオメ ガ6脂肪酸の元となる食品を毎日食べるとよいでし ょう。 これらの二つの脂肪を適切なバランスで摂取 することも重要です。オメガ6脂肪酸は、体内でオメ ガ3脂肪酸と競合するので、オメガ6脂肪酸の過剰摂 取は問題となる可能性があります。アメリカの食事 は、加工食品や油を多く含むものが多いため、オメ ガ6脂肪酸が多く、オメガ3脂肪酸の少ない食事とな っています。低脂肪で、加工食品を減らし、脂肪は主 にオメガ3脂肪酸から構成された食事をバランスよく とることが大切です。 オメガ3脂肪酸が豊富に含まれる植物性の食品 • • • • フラックスシード (亜麻仁) くるみ 大豆 緑豆 自然のオイルに含まれるオメガ3脂肪酸5,6 • • • • • • フラックスシード (亜麻仁)........53-62% リンシード (亜麻仁)..........................53% キャノーラ.............................................11% くるみ.....................................................10% 小麦胚芽................................................. 7% 大豆.......................................................... 7% オメガ3脂肪酸のためのフラックスシード (亜麻仁) フラックスシードオイル(亜麻仁油)、 フラックスシ ード (亜麻仁)は、 オメガ3脂肪酸の摂取源としてよい 選択肢です。小さじ1杯のフラックスシードオイル(亜 麻仁油)か、大さじ1杯のフラックスシード (亜麻仁) は一日のα-リノレン酸必要量を満たしてくれるでし ょう。酸化を防ぐため、 フラックスシードオイル(亜麻 仁油)やフラックスシード (亜麻仁)は、冷蔵庫か冷 凍庫で保存してください。サラダやポテトのドレッシ ングとして少量使うのもよいでしょう。 オメガ3脂肪酸 は熱に弱いので、フラックスシードオイルで調理し ないようにしてください。 フラックスシード (亜麻仁) からオメガ3脂肪酸を吸収するには、すりつぶす必 要があります。 フラックスシード (亜麻仁) をスパイス オメガ6脂肪酸 オメガ6脂肪酸は、葉野菜、種、ナッツ、穀物、植物 性の油(コーン、 サフラワー、大豆、綿実油、 ごま、サン フラワー)に含まれています。他にも、 オメガ6脂肪酸 は、 ガンマリノレン酸(GLA)にも含まれており、 ブラッ クカラント・ルリジサ・月見草・麻油などの油にも含ま れています。大部分の食事には十分なオメガ6脂肪 酸が含まれています。 オメガ3脂肪酸 プラントベースの食事をする人にとって、日常的 にオメガ3脂肪酸を含む食品をとることが大切で 1 13093B-NTR • 20130528 Essential Fatty Acids 挽きあるいはコーヒー豆挽きで数秒間挽いてくださ い。毎週1カップずつ挽いておいて、冷凍庫に保存す るのもよいでしょう。スムージーに混ぜたり、朝食シ リアル・サラダ・他の料理にかけたりするのもよいで しょう。 らず、おすすめできません。魚は、多くの場合、水銀 や他の環境有害物質が含まれており、適切な食品と はいえません。魚油は、心臓から関節炎まで様々な 症状に効果がある脂肪酸を含むと考えられてきまし た。 しかし、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸は、非常 に不安定な分子で、分解する傾向にあり、その過程 で危険なフリーラジカルを放出するといわれていま す。安定したオメガ3脂肪酸は、野菜・果物・豆類に含 まれているといわれています7, 8。 果物・野菜・ナッツ・種・豆類が豊富なプラントベ ースの食事をすることは、心血管の健康、子どもの 正常な成長、発育、痛みの改善ということだけではな く、必須脂肪酸を十分にとるための手助けになるで しょう。 妊娠と授乳 妊娠中あるいは授乳中には、食事から十分な必 須脂肪酸を摂取することが非常に重要です。最近の 研究では、胎児の成長、脳の発達、学習、行動にこれ らの必須脂肪酸が必要なため、妊娠中の女性はこれ らの必須脂肪酸をより多く摂らなければならないと 言われています。必須脂肪酸は、出生後の乳児の成 長と正常な発育だけではなく、身体のすべての組織 が正常に機能するためにも重要です。乳児は必須脂 肪酸を母乳から摂取するので、母親が十分なオメガ 3脂肪酸を含む食事をとることが重要です。妊娠中 参考文献 あるいは授乳中の女性は、DHAサプリメントの摂取 1. Groff JL, Gropper SS, Hunt SM. Advanced Nutrition and Human Metabolism. West Publishも適切でしょう (DHAはドコサヘキサエン酸とよばれ ing Company, New York, 1995. 2. Linscheer WG, Vergroesen AJ. Lipids. In: Modern Nutrition in Health and Disease. Shils ME, るオメガ3脂肪酸です)。藻類から作られたDHAサプ Olson JA, Shike M, eds. Lea and Febiger, Philadelphia, 1994. リメント (V pureなどの製品)はオンラインでも購入 3. Barnard N. Foods That Fight Pain. Harmony Books, New York, 1998. 4. Omega-3 fatty acids and depression: new data. Harv Ment Helath Lett. 2003;19(12):7. 可能です。 5. Hunter JE. n-3 Fatty acids from vegetable oils. Am J Clin Nutr. 1990;51:809-814. 必須脂肪酸のための魚? 6. Mantzioris E, James MJ, Gibson RA, Cleland LG. Dietary substitution with an alpha-linolenic acid-rich vegetable oil increases eicosapentaenoic acid concentrations in tissues. Am J Clin Nutr. 1994;59:1304-1309. 魚は、必須脂肪酸のよい摂取源と聞いたことがあ る方もいると思います。 しかし、魚は脂肪・コレステ ロールが多く含まれており、食物繊維も含まれてお 7. Odeleye OE, Watson RR. Health implications of the n-3 fatty acids. Am J Clin Nutr. 1991;53:177-178. 8. Kinsella JE. Reply to O Odeleye and R Watson. Am J Clin Nutr. 1991;53:178. 2 13093B-NTR • 20130528 Essential Fatty Acids
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