アマニ - 日本アマニ協会

アマニ
その健康と栄養に関する小冊子
ダイアン・H・モーリス著
第3版
第 1 版 :アマニ – 健康と栄養と機能性、1994 年
第 2 版 :アマニ – 健康と栄養と機能性、1997 年
著者ダイアン・モーリスは、栄養学の博士であり、講演や著作活動を通じて栄養学の普及
に努めている。 同女史は、カナダのオンタリオ州トロント市にある Mainstream Nutrition
社の取締役社長を務めている。
目
次
−カナダ アマニ協会について
−序文
5
7
第 1 章 アマニとその組成
・アマニの特徴
8
8
・アマニの組成
8
脂肪酸
9
蛋白質
12
グルテン
炭水化物
12
13
食物繊維
13
植物化学物質
14
ビタミンとミネラル
14
・茶褐色と黄色いアマニの比較
第2章 オメガ 3 脂肪酸に関して
・必須脂肪酸
・オメガ 3 系とオメガ6系脂肪酸
・α-リノレン酸の代謝
16
17
17
17
17
β-酸化
17
リン脂質での貯蔵
18
長鎖オメガ3脂肪酸への変換
18
・オメガ 6 脂肪酸の代謝
20
・オメガ3脂肪酸の生物的効果
20
α-リノレン酸
エイコサペンタエン酸(EPA)
20
22
ドコサヘキサエン酸(DHA)
22
第3章 成人および幼児にとってのオメガ3脂肪酸の重要性について
23
・旧石器時代と現代の食事の違い
23
・現代の食事にはオメガ6が溢れている
23
・現代の食習慣におけるオメガ6とオメガ3脂肪酸の比率
23
・推奨されるオメガ6と3の比率
24
・アマニに含まれるオメガ6とオメガ3の脂肪酸
・α-リノレン酸の摂取推奨量
24
24
・我々はα-リノレン酸を充分に摂取しているか?
25
・乳児食のオメガ3脂肪酸について
26
・オメガ3脂肪酸を含む食物について
26
第4章 リグナンについて
28
・性ホルモン: エストロゲンとテストステロン
28
・植物性エストロゲンは植物化学物質である
28
2
・植物中のリグナン
28
・アマニリグナンの代謝
30
・ヒトリグナンの働き
31
・ヒトリグナンの一般的効果について
・アマニと女性のホルモン代謝
31
32
・アマニと男性のホルモン代謝
32
第5章 アマニと心臓血管疾患の予防
33
・CVD とアテローム性動脈硬化症
33
・不整脈
33
・環状血管心疾患(CHD)
33
臨床例
予防試験
34
34
疫学的研究
35
・脳卒中(脳血管破裂)
36
・アマニの心臓保護作用
37
第6章 アマニとガンの予防
38
・ガン増殖の概観
39
・アマニとガンの増殖
39
・アマニと乳ガン
・アマニと大腸ガン
39
41
・アマニと前立腺ガン
41
アマニ粉末と前立腺ガン
41
α-リノレン酸と前立腺ガンリスク
41
食事と前立腺ガンのリスク
44
アマニと前立腺ガンに関する結論
44
健康のための食事戦略
第7章 その他の健康上の効果について
45
46
・血圧
46
・糖尿病
46
・止血
46
・免疫機能
47
・腎臓病
47
・緩下剤
47
・骨粗しょう症
・その他の考察
47
48
更年期
48
菜食主義者の栄養
48
第8章 市場におけるアマニ
49
・消費者向け市場における新しいアマニ
49
・家畜とペットフード業界
50
・アマニを給餌した畜産食品について
50
3
卵
50
牛乳
51
鶏
52
豚肉
魚
52
52
・食材としてのアマニの行政管理について
53
カナダ
53
アメリカ
53
・オメガ 3 脂肪酸の表示(ラベリング)について
第9章 アマニの貯蔵と安定性
・貯蔵
・アマニの成分の安定性について
第 10 章アマニの調理と食に関する消費者向けガイド
・推奨量
53
55
55
55
57
57
全粒のアマニについて
57
成人の推奨量
57
小児と妊娠中あるいは授乳中の女性
57
オメガ3強化卵
58
・アマニ油での調理
・全粒アマニでの調理
58
58
・アマニ粉末での調理
58
第 11 章 アマニの安全性について
・シアン配糖体
59
59
・栄養素拮抗体
60
・脂質酸化物
60
・植物性エストロゲン
・アレルギー
60
61
第 12 章アマニの今後の研究課題
・魚油とアマニ油 – どちらがベター?
・アマニの研究に関するアイデアについて
−参考文献(1から 324 まで、原文のまま収録)
62
62
63
64
4
カナダ アマニ協会について
当協会は、アマニの生産と輸出市場の維持ならびに発展と言う共通の目的を持って活動す
るカナダのアマニ産業全体の中心機関である。協会は、市場の開発、情報の伝達ならびに
アマニに関する研究プログラムなどの活動を行っており、以下はその事業の一端である。
委員会を通じて、アマニの栄養、新しい工業用用途の開発、生産に関する技術開発など
の研究のための資金を毎年調達し、アマニの基礎ならびに応用の研究を司ること。
-
アマニの生産に加えて、新しい製品の開発研究。
-
業界全体としての各種情報の伝達。
特にヒトおよび動物の栄養に関連した技術情報をプロの方ならびに一般の消費者に
協会の URL のサイトを通じて広めること。
Flax Council of Canada
465-167 Lombard Avenue,
Winnipeg, Manitoba, Canada.
R3B 0T6
www.flaxcouncil.ca
上記 URL の
Technical から Nutrition に行くと、以下のアマニの栄養に関する
情報が載っています。
Flaxseed – A Smart Choice
Flaxseed – The Importance of Omega-3 Fatty Acids for Adults and Infants
Flaxseed – Food Sources of Alpha-Linolenic Acid
Flaxseed – A Rich Source of Lignans
Flaxseed – Beneficial Effects of Flaxseed on the Immune System
Flaxseed – High Intakes of Alpha-Linolenic Acid Reduce Risk of Cardiovascular
Diseases
Flaxseed – Metabolism of Omega-3 and Omega-6 Fatty Acids
Flaxseed – Omega-3 Fatty Acids Provide Protection against Arrhythmia
Flaxseed – Reduces Inflammatory Responses ? Implications for Atherosclerosis
5
Flaxseed – Storage and Baking Stability
FAQs (Frequently Asked Questions)
Flax Food Products
6
序文
アマニは機能性食品として、世界の食材に確個たる地位を築きつつあります。
機能性食品とは伝統的な栄養素のほかに健康に寄与する働きを持った食品をさしますが
(1,2)、アマニはその範疇に当てはまり、オメガ3系の必須脂肪酸であるα-リノレン酸や
他の植物性化学物質に富んでいると同時に、食物繊維と蛋白質も多く含んでいます。
アマニを給餌しためん鳥の生んだ栄養強化卵は、北米、南米、欧州およびアジアのスーパ
ーマーケットに並んでいますし、ベーカリー製品に含まれるアマニの人気は着実に上昇し
ています。製パン業界では、穀物入りパンの素材として、あるいは特殊なパンやベーグル、
マフィン用に魅力あるトッピングとしてアマニを採用しています。アマニはまた、温かい
シリアルや冷たいシリアルに、マフィン、パンケーキ、ワッフルなどのドライミックス、
エネルギーバー、グラノーラなどのスナック、粉末状の飲料ミックスに、そしてパスタに
も使われる様になりました。さらに、動物の健康とその維持の為に、各種の家畜や養鶏、
ペットの餌にも入れる様になり、アマニの利用はますます盛んになりつつあります。この
ことは、高品質のアマニを生産しているカナダの農家の人々にとっては喜ばしいことです。
アマニが心臓疾患や脳卒中、ガンなど多くの生活習慣病のリスクを軽減する可能性がある
という知識が増えるにつれて、健康に関心のある消費者からはアマニを含んだ食物に対す
る需要が増えています。この本は、健康食品としてのアマニが果たす役割を解説するもの
です。
7
第1章 アマニとその組成
アマニの組成を理解することは、健康に寄与する食事におけるアマニの価値を認識する上
で大切です。アマニは、フラックス または リンシード( linseed)とも呼ばれますが、そ
の物性上の特徴は他の油糧種子のなたねやひまわりとは異なります。以下に述べるアマニ
の特徴はその健康上の利点を考慮する上での基本となります。
アマニの特徴
アマニ(学名はアマ科の Linum usitatissimum)は、単に食品としてではなく、いろい
ろな目的の為に有用な種子として認められています。アマニは用途の広い、青い花の咲く
種子です。食用や飼料用に供する種子は収穫し、細かいメッシュのスクリーンにかけてク
リーニングし、純度 99.9%の全粒の種子となります。
種子そのものは平らで、先の尖った楕円形です。ごまよりは少し大きく、約 2.5mm x
5.0mm x 1.5mm の大きさです( 3)。 種子はサクサクしていて、噛みごたえのある食感を
持ち、ナッツ類のような良い味がします。
アマニの色は、赤みがかった茶褐色のものから淡い黄色の物など様々です(3)。色は外皮
に含まれる色素によって決まり、多ければ多いほど種子の色が濃くなります。これは、品
種改良の技術によって比較的簡単に操作できます。
茶褐色のアマニで、オメガ3系の脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含む品種は、カナダで
最もよく栽培されているものです。黄色い皮質のアマニには2通りのタイプがあり、ひと
つはアメリカで開発されたオメガと言う品種で、やはりα-リノレン酸を多く含んでいます。
もうひとつは、まったく違ったタイプのアマニで、ソリンと呼ばれα−リノレン酸の含有
量の低い品種です。ソリンは料理用の油として開発されました。茶褐色や黄色いオメガ種は
健康食品の店舗やインターネットなどで購入できますが、ソリンは一般の消費者には直接
販売されていません。カナダでは、ソリンが生産ならびに流通の段階で、茶褐色のものと
容易に区別できるように、黄色い種皮を持つ求められています。
“ flaxseed ” と
“linseed” は英語では同じように使われますが、北米では、アマニ
(flaxseed)は人の食するアマを、そして、リノリュームの床など工業用途に用いられるア
マをアマ種子(linseed ) と区別しております。しかし、ヨーロッパでは、 ”flaxseed” と
はリネンの布を作るために育成された品種を意味します。アマニの中でも、人が食料とす
るための品種とリネンなどの繊維をとるための品種はまったく異なっており(5)、すべて
の品種は伝統的な植物育種の方法を用いて開発されたものであり、遺伝子を組替えた品種
はありません。
アマニの組成
アマニは脂肪、蛋白および繊維を多く含んでいます。ごく普通に流通している茶褐色のア
マニの一般分析では、平均して脂肪が 41%、蛋白が 20%、全食物繊維が 28%、水分が 7.7%、
そして、灰分(サンプルを燃やしたあとのミネラルの豊富な残留物)が 3.4%とされています
(6)。これらの組成は、遺伝的性質や生育環境、種子の加工や分析方法によってある程度
変動します(7)。油分が増えると蛋白が減少するのが普通です(8)。この油分の量は、
8
伝統的な育種方法によって変えられますし、また、生育の地域による影響も大きく、カナ
ダ北部の夜の涼しさが油分の量と質に影響を及ぼします。アマニの組成は表1に記載して
あります。
表 1
一般的なアマニの成分(計量形態別) a
アマニの
重量
計量形態
形態
アマニ
アマニ
粉末
アマニ油
総脂肪
ALA
b
蛋白質
ギー
g
100
全粒
エネル
-
180
11
4
1 カップ
130
8
2.7
1 カップ
100
14
5
-
大さじ 1 杯
小さじ 1 杯
大さじ 1 杯
小さじ 1 杯
大さじ 1 杯
小さじ 1 杯
総炭水
化物
c,d
食物繊維
総量
kcal
450
g
41.0
g
23.0
g
20.0
g
29.0
g
28.0
810
50
18
74.0
4.5
1.6
41.0
2.5
0.9
36.0
2.2
0.8
52.0
3.0
1.2
50.0
3.0
1.1
585
36
12
53.0
3.3
1.1
30.0
1.8
0.6
26.0
1.6
0.5
38.0
2.3
0.8
36.0
2.2
0.8
884
124
44
100.0
14.0
5.0
57.0
8.0
2.8
-
-
-
a カナダ政府穀物規格委員会による近似値(6)。
脂肪は、AOSC の Am 2-93 の分析方法による。 水分は 7.7%。
b ALA =α-リノレン酸、必須オメガ3脂肪酸。
c CHO = 炭水化物
d
炭水化物総量は、アマニ種子 100g 中の砂糖、澱粉(1g 相当)と、繊維量(28g)の総量である。
脂肪酸
アマニは歴史的には脂肪の多いこと、特に独特の脂肪酸の組成比が評価されてきました。
脂肪酸はほとんどいかなる食物にも含まれている有機化合物です。一般的な脂肪酸につい
ては、表2をご覧ください。
9
表 2
食物に含まれる脂肪酸のタイプ
脂肪酸
二重結
飽和状態
科名 a
記号(分子式)
飽和
-
18:0
b
含まれている食物
合の数
ステアリン酸
0
チョコレート
stearic acid
オレイン酸
1
単価不飽和
1
単価不飽和
Omega-7
(ω-7)
palmitoleic acid
リノール酸
Omega-9
(ω-9)
oleic acid
パルミトオレイン酸
殆どの動物油脂、
2
多価不飽和
Omega-6
(ω-6)
linoleic acid
18:1n-9 or
18:1ω-9
オリーブ油、
16:1n-7 or
16:1ω-7
牛脂、ラード
18:2n-6 or
18:2ω-6
ひまわり油、
キャノーラ油
コーン油、
サフラワー油、穀物
を給餌した家畜の肉
αリノレン酸
alpha-linolenic acid
3
多価不飽和
Omega-3
(ω-3)
18:3n-3 or
18:3ω-3
アマニ、アマニ油、
キャノーラ油、胡桃。
少量は牛肉、豚肉、
卵などにも。
a
科名は脂肪酸の土台にあたる炭素の鎖の中で、メチル基の端から数えて最初の 2 重結合の位置を、
オメガのシンボルにあたる(“ω”)あるいは、”n”によって示す。例えば、オレイン酸の最初の
2 重結合は脂肪酸の端のメチル基から数えて 9 番目の炭素のところに存在する。
b
脂肪酸の記号は、次のように読まれる:コロンの左側の数字は脂肪酸の鎖に含まれる炭素の数を、
コロン右側の最初の数字は、炭素の鎖の中の 2 重結合の数を示し、最後の 3 文字は科名を示す。
α-リノレン酸の記号は、18:3n-3 あるいは 18:3 ω-3 であり、その意味は炭素分子を 18 個含み、
2 重結合は 3 個あり、オメガ3の科に属しているということである。
アマニは各種の脂肪酸を含んでいます。(図1をご覧ください。)多価の不飽和脂肪酸、特
に必須脂肪酸であるオメガ3系のα-リノレン酸(ALA あるいは LNA と略される)、およ
び同じく必須脂肪酸のオメガ6系のリノール酸(LA )を多く含んでいます。これら二つの
多価不飽和脂肪酸は人にとって必須であり、体内で合成できないために食物から摂取しな
ければならないものです。
10
図 1
食に含まれる油脂の飽和、不飽和脂肪酸の比較
a
アマニ油
ソリン油
キャノーラ油
ひまわり油
コーン油
オリーブ油
大豆油
ピーナッツ油
ラード
牛脂
パーム油
バターファット
0%
20%
40%
60%
80%
100%
100%に焼きなおした脂肪酸の含量
a. McDonald より採用(9)
b. ソリンの値は Linola TM による
データ出典 : POLS Pilot Plant Corporation (10); for flax,
Daun and DeCleqcq (9); for solin oil, Dean (11).
飽和脂肪酸
単価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸
-- リノール酸 (オメガ6脂肪酸)
-- α-リノレン酸 (オメガ 3 脂肪酸)
図1では、アマニの油に含まれる脂肪酸の組成を他の油脂と比較しています(8,9,10,11 )。
アマニの全脂肪酸のうち 57% がα-リノレン酸であり、北米の食事の中では最大のα-リノ
レン酸の供給源となっています。リノール酸は全脂肪酸量のうちの 16%です。アマニ油は
キャノーラ(なたね)油と同じく、栄養的に好ましくないとされる飽和脂肪酸の含有量が
最も少なくなっています。単価不飽和脂肪酸もあまり多くはありません。
ソリン油ではオメガ3系の必須脂肪酸α-リノレン酸含有量は低くなっています。ソリンは
もともとオーストラリアとカナダの育種家によって開発され、α-リノレン酸含有量を本来
の 50-60% から、5% 以下に変えたものです(11)
。ソリンはひまわりの油に似た脂肪酸の
組成を持っており、マーガリンのような特定の食物への応用に適しています(12)。
11
表3に示すように、α-リノレン酸含有量の高い他の植物油では、その含有量を低下させる
ように改良させたものです。
表 3
伝統的な植物油および改良された植物油のα-リノレン酸含量
脂肪酸総量の中のα-リノレン酸(%)
伝統的な油 a
アマニ油
キャノーラ油
大豆油
改良された油
57.0
11.0
8.0
ソリン油
低リノレン酸キャノーラ油
低リノレン酸大豆油
1.9 b
2.5 c
3.7 d
a POS (10),
b Kibiuk (14),
c Vaisey-Genser et al, (13),
d Warner and Mounts (15).
蛋白質
アミノ酸は蛋白質を作りあげる構成成分と言えましょう。植物蛋白のなかでも、最も栄養
価の高いものは大豆蛋白だと言われていますが、アマニのアミノ酸のパターンは大豆に
似ています。表4にあるように、種皮色の異なった2種類のアマニにおけるアミノ酸の組
成にはほとんど違いがありません。表4の*印は、必須アミノ酸を示し、体内での合成が出
来ないために、食事を通して摂取しなければなりません。
グルテン
アマニには、他の植物油糧種子と同様に、グルテンは含まれておりません (19) 。グルテン
は、小麦、大麦、オート麦やライ麦に含まれる蛋白です。グルーテン性腸疾患と呼ばれる
症状は、グルーテンに含まれる(プロリンとグルタミンのアミノ酸を多く含んだ)グリア
ジンによって引き起こされます。プロラミンという名称は、プロリン+グルタミンの合成
語であり、グルテンのアルコール抽出物を示しています。食餌グルテンが、鋭敏な人の胃
腸の内粘膜を傷つける過程は、いまだよく解明されておりません(20)。しかしながら、幸い
にして、グルテンに敏感なひとでもアマニは召し上がっていただけます。
12
表 4
アマニのアミノ酸組成
アマニ品種 a
アミノ酸
褐色アマニ
黄色いアマニ
(NorLin 種 )
(Omega 種 )
大豆の粉 b
g/ 蛋白 100 g中
アラニン
アルギニン
アスパラギン酸
シスチン
グルタミン酸
グリシン
ヒスチジン*
イソロイシン*
ロイシン*
リジン*
メチオニン*
フェニルアラニン*
プロリン
セリン
トレオニン*
トリプトファン*c
チロシン
バリン*
4.4
9.2
9.3
1.1
19.6
5.8
2.2
4.0
5.8
4.0
1.5
4.6
3.5
4.5
3.6
1.8
2.3
4.6
4.5
9.4
9.7
1.1
19.7
5.8
2.3
4.0
5.9
3.9
1.4
4.7
3.5
4.6
3.7
NR d
2.3
4.7
4.1
7.3
11.7
1.1
18.6
4.0
2.5
4.7
7.7
5.8
1.2
5.1
5.2
4.9
3.6
NR
3.4
5.2
a Oomah and Mazza (17),
b Friedman and Levin (18),
c Bhatty and Cherdkiatgumchai (mixture of NorLin, NorMan and McGregor cultivars) (16),
d NR=Not reported
* ヒトの必須アミノ酸
炭水化物
アマニは炭水化物(砂糖と澱粉)の含量は少なく、100 グラム中に 1グラム程度しか入っ
ていません。したがって、全炭水化物摂取量への懸念はありません。
食物繊維
繊維は植物の細胞壁の構築物質です。食物繊維は消化されない植物性の炭水化物ならびに
植物に含まれる他の物質から成り立ちます。機能性繊維とは、植物から抽出される非消化
性の炭水化物で、人体に効用のあるものを言います。繊維総量とは、食物繊維と機能性繊
13
維の合計です。食物繊維も機能性繊維も、人の小腸では消化吸収されず、そのまま大腸に
送られます(21)。
アマニの繊維総量は、その種子の重量の約 28%になります。アマニの繊維の主な成分は、
細胞壁の主たる構築物質であるセルロースと、水や液体に触れると粘りの出る多糖類の一
種である粘性ガム質と、細胞壁内で高度に分枝した繊維であるリグニンから成り立ってい
ます。リグニンは似た名前の合成物リグナンと関連しています。共に細胞壁の一部であり、
その炭水化物からできています。リグニンは細胞壁の強さに寄与しますし、リグナンは植
物化学物質であり、人の栄養に果たす役割、特にその抗ガン作用が盛んに研究されていま
す。
植物化学物質
フェノール酸
:これは植物の中に豊富に存在する植物化学物質で、抗酸化性、抗ガン
性、抗菌性の活動、効果をもたらすようです(23)。アマニ 1 キロ当たりには、約 8∼10 グ
ラムが含まれています(24)。 これらフェノール酸は、細胞壁の繊維と関連して生ずるの
で、アマニ繊維による健康への寄与に関連しているとみられます(25)。
リグナン
:植物のリグナンはフェノールの化合物です( 25)。これは生物学的に活
性な植物化学物質で、明らかに抗ガンならびに抗酸化機能の可能性を持っています。アマ
ニにはとくに SDG (セコイソラリシレシノール配糖体) と呼ばれるリグナンの含有量が多
く、植物性のSDGは、人や動物の結腸内のバクテリアによって(哺乳類性の)ヒトリグ
ナンに変換されます。
フラボノイド
: フラボノイドは、多くの果物や野菜、ワイン、お茶などの飲み物に含
まれているポリフェノールです。これらの抗酸化剤は、ある種の金属イオンの結合、いく
つかの酵素との相互作用、抗炎症性の働きをします(26)。アマニ 100 グラム中には、
35−70 ミリグラムのフラボノイドが含まれています(23)。
ビタミンとミネラル
表5にあるように、アマニには、微量ですが水溶性と脂溶性のビタミンが含まれています
(27)。ビタミンEは脂溶性で、アマニの中には主としてγトコフェノールとして入ってお
り、抗酸化剤の機能を果たします(28)。γトコフェノールは、フリーラジカルによって、細
胞の蛋白、脂肪、DNA などが酸化して破壊されることを防ぎ、その効果は心臓疾患や脳卒
中などの予防につながるでしょうし、また、尿中にナトリウムを放出させる効果もあり、
それが血圧を下げることにも繋がります(29)。アマニのトコフェノール含有量は、
品種、成熟度、生育地域、生育状況や抽出方法などによって左右されます。その量は、ア
マニ 1 キロ当たり、150 から 800 ミリグラムの範囲です(30)。
表 6 には、アマニに含まれるミネラルが示されています(27)。アマニ粉末大さじ 1 杯には、
34 グラムのマグネシウムがあり、これはバナナ 1 本、2%のミルクのコップ 1 杯分、ある
いは、フライドチキンの胸肉半分に等しい量です。アマニ粉末のカリウムの含量は、大さ
じ当たり 66 ミリグラムで、トーストしたライ麦パン 1 枚分、紅茶のマグ 1 杯分あるいは固
めのゆで卵 1 個分に相当します。 ナトリウムはあまり含まれていません。
14
表5
a
アマニのビタミン含量
mg/ 大さじ 1 杯の
水溶性
mg/100g
アマニ粉末
0.50
0.53
0.23
3.21
0.61
0.57
0.04
0.04
0.02
0.26
0.05
0.05
μ g/100g
μ g/100g
112
6
9.0
0.5
アスコルビン酸/ビタミン C
チアミン/ビタミン B 1
リボフラビン/ビタミン B 2
ナイアシン/ニコチン酸
ピリドキシン/ビタミン B 6
パントテン酸
葉酸
ビオチン
脂溶性
mg/ 油 kg 中
カロテン
mg/ 油大さじ 1 杯中
検出せず
検出せず
7
10
552
0.10
0.14
7.73
ビタミン E b
αトコフェノール
δトコフェノール
γトコフェノール
a 全粒アマニの複合試料 (27),
b トコフェノールの値は 4 品種の平均 (28).
以下の形のビタミン E は、検出されなかった;βトコフェノール、
α、δおよび、γトコトリエノール。
表 6
アマニのミネラル含量
a
mg/ 大さじ 1 杯の
mg/100g
カルシウム
銅
鉄
マグネシウム
マンガン
リン
カリウム
ナトリウム
亜鉛
236
1
5
431
3
622
831
27
4
アマニ粉末
19.0
0.1
0.4
34.0
0.2
50.0
66.0
2.0
0.3
a 全粒アマニの複合試料 (27).
15
茶褐色と黄色いアマニの比較
表 7 にあるように、茶褐色と黄色い(オメガ種の)品種のアマニとも、その栄養価はほぼ
同じです(6)。違いがあってもそれは少なく、殆どが生育状況によるものと思われます。
前述したように、種皮の色は色素によって決まり、通常の育種方法で変えられます。消費
者にとってはその栄養価はほぼ同じことから、価格と見栄えによっての選択となるでしょ
う。
表 7
茶褐色と黄色いアマニの比較
a
構成要素
褐色アマニ
黄色いアマニ
g/100g
蛋白質 (% nitrogen x 6.25)
22.3
29.2
油脂
44.4
43.6
% 脂肪酸総量の%
特定の脂肪酸
8.7
18.0
9.0
23.5
α−リノレン酸
58.2
50.9
リノール酸
14.6
15.8
飽和脂肪酸
単価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸
a
Canadian Grain Commission によって行われた、少量のサンプルによる (6).
水分は、褐色アマニで 7.7% ; 黄色で 7.0%.
16
第2章 オメガ3系脂肪酸に関して
アマニはオメガ3系の必須脂肪酸、α-リノレン酸を多く含んでいます。
この章では、必須脂肪酸、オメガ3系脂肪酸、オメガ6系脂肪酸、ならびにα-リノレン酸
の代謝について解説します。α -リノレン酸の代謝の解説は、後の章に出てくるα-リノレン
酸の健康上の効果を理解する上で役に立つと思われます。
必須脂肪酸
人の栄養にとって2種類の必須脂肪酸(EFA)があります:オメガ3系の脂肪酸であるαリノレン酸とオメガ6系の脂肪酸であるリノール酸です。これらの脂肪酸は人の体内で合
成することができないために、食べ物を通じて摂取しなければなりません。必須脂肪酸は
細胞膜の構成のために必要であり、不飽和であることから、膜の柔軟性をしなやかにさせ
ることができます。また、血小板の凝縮や血管の収縮などを含む多くの生物学的過程に影
響を及ぼす一連の強力な複合物であるエイコサノイドの先駆体にもなっています。必須脂
肪酸は皮膚のバリアーを維持し、コレステロールの代謝にも関連しています(31)。
オメガ3系とオメガ6系脂肪酸
図2はオメガ3とオメガ6の脂肪酸の代謝経路を示します。オメガ3の代謝では、α−リ
ノレン酸は最初の、いわば親の脂肪酸で、必須脂肪酸と呼ばれる所以です。他の全てのオメ
ガ3系脂肪酸は、体内の細胞でα-リノレン酸から合成されるか、あるいは、食物から摂取さ
れます。同様に、リノール酸はオメガ6系の脂肪酸の親にあたり、ほかの全てのオメガ6
脂肪酸はリノール酸から体内の細胞で合成されるか、食物から摂取されます。
哺乳動物は、オメガ3系とオメガ6系の脂肪酸を相互に置換することが出来ません。これ
らは厳然として、2つの別々の異なる群です。更に、これらの代謝には同じ酵素が必要で、
両者の間で競合がおこります。ある系統の脂肪酸が多すぎると他の脂肪酸の代謝に影響を
及ぼし、組織の脂に入る量を減らしたり、その生物的効果を変えたりします(31,32)。
α-リノレン酸の代謝
食餌性のα-リノレン酸は3つの方法で代謝されます:1)エネルギーを生む為にβ酸化され
るか、2)細胞膜のトリアシルグリセロール(トリグルセリド)とリン脂質に蓄えられる
か、3)EPAやDHAのような長鎖オメガ3脂肪酸に変換されるかなどです。
β酸化
これは脂肪酸の中軸をなす炭素の鎖を、より小さな炭素2つの区分に分解して、仕事や遊
びや休養などに人が要するエネルギーを生む為に、順番に代謝させる過程を言います。αリノレン酸の代謝はエネルギーの生成に大いに貢献しています(33,34)。
健康な成人男子4人の例によれば、α-リノレン酸はテストされた多価不飽和脂肪酸のなか
でも最も酸化の度合いが高く、β酸化率全体の中ではラウリン酸(飽和脂肪酸)についで
2番目でした(35)。この様にβ酸化はα-リノレン酸にとって大事な代謝経路です。
17
リン脂質での貯蔵
人の体の細胞にとってのリン脂質は、植物にとってのセルロースやリグニンと同じく、構
成物質です。人の全ての細胞膜は2層のリン脂質を含んでいます。リン脂質は、脂肪酸か
ら出来ており、含まれる脂肪酸のタイプは食事から摂取する脂肪酸と比例しています。即
ち、飽和脂肪酸の摂取が多いと細胞膜のリン脂質も飽和脂肪酸が多くなり、不飽和脂肪酸
の場合はその逆です。リン脂質の脂肪酸構成は細胞膜の柔軟性、膜を通した栄養素の移送
や細胞間の情報の伝達に影響を与えます。
食餌性のα-リノレン酸は吸収され細胞膜リン脂質に組みこまれます。例えば、健康な人達
にアマニ粉末かその油を4週間から 3 ヶ月摂取させたところ、血小板および血中に見出さ
れるリン脂質中のα-リノレン酸の量は 2 倍から 11 倍になりました(36- 41 )。リン脂質の
α-リノレン酸含量を増やすことは生物学的に重要なことで、これについては後にこの章で
触れます。
長鎖オメガ 3 脂肪酸への変換
図 2 のようにα-リノレン酸は、不飽和化と伸長(炭素鎖延長)を交互に繰り返すことによ
って、長鎖オメガ3脂肪酸に変換されます。不飽和化は水素をとりのぞいて二重結合を加
え、伸長は二つの炭素原子を付け加えます。前者は緩やかで、後者は急速です。このよう
に、ステアリドン酸は不飽和化によってゆっくり作られ、ついで他の代謝物質にすばやく
伸びるので、ステアリドン酸の組織濃度は低くなりがちです(31,42)。α-リノレン酸の不
飽和化および伸長から作られる主たる長鎖オメガ3脂肪酸は EPA と DHA です。
図2にある DHA 合成の際の最終段階はまだ確認の必要があります(33)。
α-リノレン酸のEPAへの変換は、人間の場合には制限されていてかつゆっくりしている
と通常は言われています(43)。事実、研究者による報告でもその変換率には大きな差異
があり、高いものでは6%が EPA に変換されると言い( 44)、低いものでは 0.2%(45)と
されています。 この 30 倍にも近い違いは、研究の方法の違いによるものと思われ、人体
におけるα-リノレン酸の長鎖オメガ 3 脂肪酸への変換については更なる研究が必要です。
それに較べ、にわとりではα-リノレン酸は EPA, DHA へとすばやく変換し、それを有効に
使ったのがオメガ 3 強化卵です(46,47)。
α-リノレン酸の長鎖代謝物質への変換は食事によって影響されます。例えば、リノール酸
の高い食事は 40%近くもα-リノレン酸の変換を減少させてしまいますし(32)、妊婦がリ
ノール酸を多く摂取すると臍血漿のEPAとDHAのレベルが下がり、成長する胎児の為
のα-リノレン酸の変換とオメガ3脂肪酸の効果が減少することが示唆されています(48)。
α-リノレン酸の変換を阻害するその他の要因としては、食餌性のコレステロール(49,50)、
飽和脂肪酸、オレイン酸(51,52)、トランス脂肪酸(53,54)、そして、食事中の多価不
飽和脂肪酸の飽和脂肪酸に対する比率(37)などがあります。オメガ 3 脂肪酸の摂りすぎ
もα-リノレン酸の変換を阻害しますが、これはいわば店のマネージャーが在庫の豊富なと
きは注文しないのと同じく、組織のオメガ3のレベルは充分であるとのシグナルを送るた
めでしょう。例えば、1 日当たり 12 グラムのα-リノレン酸の入った食事では、その変換は
減少します(55)。
DHAは逆変換(レトロコンバージョン)と呼ばれる反応によって、EPAに転換される
18
こともできますが、人間に関してはこの反応はマイナーな代謝経路と考えられます( 56 )。
図 2
オメガ3とオメガ6脂肪酸の代謝経路
a
オメガ3脂肪酸
オメガ6脂肪酸
α-リノレン酸 (ALA)
リノール酸 (LA)
18:3n-3
18:2n-6
6不飽和化酵素
ステアリドン酸
γ-リノレン酸 (GLA)
(オクタデカテトラエン酸)
18:3n-6
18:4n-3
ジホモ-γ-リノレン酸 (DGLA)
20:4n-3
5不飽和化酵素
20:3n-6
エイコサペンタエン酸 (EPA)
アラキドン酸 (AA)
20:5n-3
20:4n-6
ドコサペンタエン酸 (DPA)
22:5n-3
22:4n-6
24:5n-3
24:6n-3
ドコサヘキサエン酸 (DHA)
22:5n-6
22:6n-3
a 主たる脂肪酸の名前のみの表示。
ここに示したオメガ 3 の代謝経路は、哺乳類や一部の微生物に起きる。
示されてはいない他の代謝は、バクテリアやその他の微生物に起きる (42).
19
オメガ 6 脂肪酸の代謝
α-リノレン酸の代謝と同じ様に、リノール酸も一連の不飽和化および伸長によって長鎖オ
メガ6脂肪酸に変換されます(図2)。オメガ 6 の経路にある 2 つの脂肪酸は注目に値しま
す。γ-リノレン酸(GLA)はオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸とは別物であり、混同
してはいけません。GLAはジホモ-γリノレン酸(DGLA)に変換されますが、これは
生物活性の比較的弱い、ある種のエイコサノイドの先駆体となります。GLAはオオマツ
ヨイグサ、るりちしゃ(ボラージュ)、黒スグリの油などに含まれています。
アラキドン酸はいろいろと強力なエイコサノイドの先駆体であり、そのうちのいくつかは
血小板の凝固や、血栓症の様に血管内での血の凝固や炎症反応等を促進します。アラキド
ン酸は細胞の働きに影響を与え、その作用も広範囲であるが為に、細胞の膜リン脂質の中
でも最も厳しく調節される脂肪酸です( 57)。オメガ 6 脂肪酸の摂取が多いと、アラキドン
酸とその強力なエイコサノイドも多く生成され、カナダやアメリカで死因の一位にあげら
れる生活習慣病(ガン、脳卒中、糖尿病、心臓疾患など)の原因となる免疫システムの活
動過剰につながるのかもしれません(58 – 62)。
オメガ3脂肪酸の生物的効果
オメガ3脂肪酸は多くの生物的効果を持ち、Ⅱ型糖尿病、腎臓疾患、リューマチ性関節炎、
高血圧、心臓疾患、脳卒中、ある種のガンなどを予防したり、慢性症状を緩和したりする
働きがあります(63)。三つの主なオメガ 3 脂肪酸、α-リノレン酸,EPA,DHAの生
物的効果についてはつぎに述べます。
α-リノレン酸
これには健康に役立つ3つの働きがあります。
1.α-リノレン酸はEPAとDHAの先駆体として機能します。その血塊の形成に与える
影響はEPAやDHAとは異なり( 64、65)、初乳や母乳に存在していることは子供の
成長と発育にも役立っていることを示しています(68)。
2.α-リノレン酸の豊富な食事は、細胞膜のリン脂質のα-リノレン酸,EPAとオメガ3
脂肪酸の含有量を増加させます。例えば、80 人のボランテイアにアマニ粉末とアマニ
油を加えた食事を 4 週間摂取してもらったところ、血清中のα-リノレン酸は 12%、E
PAは 11%、DPA(ドコサペンタエン酸)は 5%増加しました( 69)。膜のリン脂質
におけるオメガ3脂肪酸の含量を増やすことは膜の柔軟性を増し、その動きによい効
果を与えます(70)。
3.α-リノレン酸は炎症を助長する化合物の合成を阻止して炎症を抑えます。炎症は多く
の慢性病の症状であり、これにはアテローム性の動脈硬化症等も含まれ、心臓発作や
脳卒中などを引き起こす根底条件に繋がります。α-リノレン酸にはいくつかの反炎症
機能があります:
20
図 3
エイコサノイドの源と働き
オメガ 3 脂肪酸
α-リノレン酸
オメガ 6 脂肪酸
リノール酸
これらのエイ
コサノイドは
DGLA
比較的に穏や
か。
これらのエイ
コサノイドは
比較的に穏や
か。
これらのエイ
EPA
アラキドン酸
コサノイドは
強力で炎症を
助長する。
α-リノレン酸 は EPA (エイコサペンタエン酸) に変換され、それらは更に生物的効果が穏やかで炎症を
助長しないタイプのエイコサノイドに変換されることが出来る。
ジホモ-γ-リノール酸(DGLA)から派生したエイコサノイドは、 EPA から派生したエイコサノイドに類
似している。アラキドン酸から派生したエイコサノイドの多くは強力で、免疫活動や炎症を調節する。
エイコサノイド; α-リノレン酸はエイコサノイドの二つの経路に影響を与えます。ま
ず、第3図に示すようにα-リノレン酸はEPAの先駆体でありますが、EPAそのも
のもエイコサノイドの先駆体でもあります。エイコサノイドは炎症反応を調整します。
通常の傷に反応して発生し、その機能は損傷した組織を修復するのに必要です。しか
21
し、全てのエイコサノイドが同じではなく、EPAから発生したエイコサノイドは炎
症を助長しません。栄養学者たちが消費者にもっとオメガ3脂肪酸を摂取するように
奨める理由の一つがここにあります。オメガ3脂肪酸に富んだ食事は、オメガ 6 脂肪
酸の多い食事に較べて有益なエイコサノイドが多く生成され、炎症も少なく習慣病の
リスクを軽減してくれます。
ついで、α-リノレン酸は細胞膜のリン脂質に組み込まれ、そこでリノール酸のアラキ
ドン酸への変換を妨害し、それが炎症を助長するエイコサノイドへの変換を阻止しま
す(71– 73)。例えば、α -リノレン酸の多い食事は好中球におけるアラキドン酸の濃度
を有意に減少させます( 72)。アマニ油を 4 週間摂取した健全な男性では、単核細胞に
おけるアラキドン酸からのエイコサノイドの発生が 30%も減少していました(74)。
(好中球および単核細胞は感染と炎症を制御するのに役立つ免疫細胞です。)
サイトカイン; α-リノレン酸はサイトカインの形成を阻止します。サイトカインは怪
我、感染あるいは異物への露出などに反応する為に免疫細胞から放出された蛋白質で
す(75)。バクテリアやウイルス性の感染などから回復する人に疲労感と眠気を起こし
ます(76)。炎症を引き起こす二つのサイトカインは、腫瘍壊死因子-α(TNF-α:tumor
necrosis factor-α)とインターロイキン-1β(IL-1β)です。両者とも、例えば
リューマチ性の関節に介在し、この慢性病の組織病理を助長します。アマニ油を 4 週
間摂取した成人男子では、単核細胞におけるTNF-αとIL-1βのレベルは 27%減
少しました(74)。
血小板活性化因子; この因子 PAF(platelet-activating factor)は、炎症とショッ
クをコントロールし、血小板の凝固を引き起こし、免疫性の細胞を活性化してアラキ
ドン酸の放出を助長するリン脂質ですが、α-リノレン酸はこの因子の形成を阻止する
のかもしれません(77)。ループス腎炎(腎臓の炎症)のモデルとして行ったマウスで
の実験では、アマニを 14 週間餌に加えると、PAFによる血小板の凝固は阻止できま
した。研究者によれば、α-リノレン酸はアマニのリグナンとの相乗効果でPAFの働
きを低下させました(78)。
エイコサペンタエン酸(EPA)
EPAはある種のエイコサノイドの先駆体になりますが、これはアラキドン酸から発
生するエイコサノイドよりは生物的に非活発であるがゆえに、炎症を助長しない種類
のものです( 79)。DHAではなく、EPAが魚油のトリグリセライド低下効果の役目
を果たします(80-82)。
ドコサヘキサエン酸(DHA)
胎児ならびに小児にとって、DHAは網膜の脂肪酸の 50%を構成することから眼の発
達に、また、脳の灰白質における脂肪酸の 25%を構成することから神経系統の発達に欠
かせません( 83)。脳の灰白質と網膜の細胞は人の体のどの組織よりもDHAの濃度が
高くなっています( 84)。DHAは妊娠の後期と生まれて数ヶ月の間に最も必要とされ
ます(85)。これらの段階では、EPAはDHAの先駆体になる以外は特別な役割は無
さそうです。
22
第3章 成人および幼児にとってのオメガ3脂肪酸の重要性について
典型的な北米の食事はオメガ 6 が多すぎ、オメガ 3 が充分でなく健康に良くないのではな
いかと、近年多くの栄養学者が指摘しています。この章では、現代の食習慣の中にオメガ 3
と 6 がどのくらい含まれているか、そして、成人ならびに幼児にとって推奨されるα-リノ
レン酸の摂取量はどのくらいかを検討します。
旧石器時代と現代の食事の違い
旧石器時代および後世の狩猟民族の人類は、現代の典型的な北米の食習慣とはかなり異な
った食事をしていたと判明しています。狩猟民族の食習慣は総脂肪量および飽和脂肪量が
少なく、ほぼ均等なオメガ 6(n-6)とオメガ 3(n-3)の長鎖脂肪酸を含んでおり、n -6 対
n-3 の比率は大体 1:1 でした。旧石器時代の人類はかなりの量のオメガ3脂肪酸を摂取し
ていたと考えられています。これは植物や野生の動物の脂肪から摂取したものであり、こ
れらのものには、穀物を給餌したあるいは放牧飼育された現代の家畜に比べて特にα-リノ
レン酸が多く含まれていました。
過去 100 年に亘る技術の進歩によって、脂肪の摂取のパターンは大きく変わり、特に水素
添加した植物油に多く見られるトランス型脂肪酸、ならびに植物油や穀物を与えた家畜の
脂肪などからのオメガ6の摂取量が多くなりました。旧石器時代に比べて近年の北米の食
習慣では、オメガ3脂肪酸の摂取が少なく、脂肪の総摂取量、飽和脂肪、オメガ6脂肪酸
そして、トランス型脂肪酸の摂取が増大しています。
現代の食事にはオメガ6が溢れている
アメリカでは不飽和脂肪の総摂取量のうち 88%がリノール酸で、10%がオメガ3脂肪酸で
す。同じくアメリカ国民の脂肪酸の摂取は、α-リノレン酸が1日当り 1.3 グラム(エネル
ギーの 0.6%)、そして、DHA が約 0.1 グラム(エネルギーの 0.05% 以下)であります。EPA
にいたっては、摂取量は少なく食物栄養表の中でも☆印がついているだけであり、摂取量
はゼロよりは大きいが1日当り 0.05 グラム以下です(89)。
一方カナダでは、ケベック州および BC 州の一部の統計によると、リノール酸の摂取はやや
少なく、1日当たり 10 グラム、かつα-リノレン酸は少し多くて 1.9 グラムでした(90,
91)。
現代の食習慣におけるオメガ6とオメガ3脂肪酸の比率
前述した如く、旧石器時代の、進化する前の人類に比べると、典型的なアメリカの食事は
オメガ6が高く、オメガ3が低く、その比率は 9:1 であります(86,88)。
西欧全体の食事を調べると、一番比率の高いものは 17:1 でした(92)。
特に、肉類、フレンチフライ、ある種のファストフードやオメガ6の含有量の高い油での
揚げ物などを食する人は、平均よりも比率が高くなります。この食物中のオメガ6の高い
含有率は、オメガ6がα-リノレン酸の DHA と EPA への変換を阻害するという面で問題で
す。
更に、オメガ6脂肪酸の高い食事は、細胞膜リン脂質中のアラキドン酸のレベルを高め、
23
これが時間の経過によって、炎症を助長するエイコサノイドを過度に発生させることにな
ります。これは動脈の硬化やその他の慢性的な病気の原因にもなってしまいます。オメガ
6を少なくし、オメガ3の脂肪酸を多く摂取することは、心臓の疾患や癌などの生活習慣
病のリスクを軽減することにつながるとも考えられます。
推奨されるオメガ6と3の比率
カナダ政府厚生省はオメガ 6 とオメガ 3 の比率として、4:1 から 10:1 を推奨しています。
特に幼児、妊娠中あるいは授乳中の女性にはこの比率が重要としています。FAOとWH
Oの合同委員会では、5:1 から 10:1 を推奨し、オメガ6の摂取比率の高い人にはもっと
緑黄色野菜や、豆類や海産物を多く摂るように勧告しています(94)。
アメリカ薬事機構(USInstitute of Medicine) は、5:1 の比率を推奨しています( 21)。
現在の脂肪酸の摂取量を考えるに( 89)、オメガ6系の脂肪の摂取を減らし、オメガ3系と
それに含まれるα-リノレン酸をもっと摂取する余地が大いにありそうです。
アマニに含まれるオメガ6とオメガ3の脂肪酸
アマニに含まれる脂肪酸のうち、57%はα-リノレン酸であり、オメガ6は約 16%です。こ
のようにアマニにはオメガ6の3倍にあたるオメガ3があり、その比率は 0.3:1 程度です。
ちなみに、コーン油の比率は 58:1 であり、大豆油は 7:1、キャノーラ油は 2:1 です。
したがって、アマニは北米における良きオメガ3の供給源と言えましょう。アマニをその
まま食べる、あるいは、アマニを給餌しためんどりから産まれたオメガ3強化卵をたべる
ことによって、オメガ3の摂取量が増大し、オメガ 6 とオメガ 3 の比率を改善することが
できます(95)。
α-リノレン酸の摂取推奨量
アメリカ薬事機構は 2002 年の 9 月に、必須脂肪酸の推奨摂取量を公表しました。これによ
って人の食事におけるα-リノレン酸の重要性と全オメガ3脂肪酸の健康への貢献度が確認
されました( 21)。これはカナダの連邦政府厚生省と共同でおこなわれ、カナダではそれ以
前の推奨栄養摂取量(NRI)に取って代わるものとなりました。2002 年のレポートでは、
アメリカ薬事機構は平均的な健康な人におけるα-リノレン酸とリノール酸の必要摂取量を
定義しています(表8)。成人は1日当たり男子で 1.6 グラム、女子で 1.1 グラムのα-リノ
レン酸、妊娠中の女性は胎児のために 1.4 グラム、授乳中の女性はこの重要な脂肪酸が充分
に乳のなかにあるようにと 1.3 グラムが推奨されています。この推奨量はα-リノレン酸の
みであって、EPA や DHA には設定されていません。その理由として、厳密に言えば、αリノレン酸だけが本当の意味での“必須脂肪酸”であり、人の体内では合成できないため
に食を通じて摂取しなければならないからです。EPA と DHA はα-リノレン酸から作り出
されるために、必ずしも“必須”とは考えられないのです。よく栄養関連の書物に EPA と
DHA を必須脂肪酸と呼んでいるものを見かけますが、それは人にとって重要な栄養素であ
るという意味です。とくに幼児の成長にとっては、体内でα-リノレン酸から DHA を合成
することはできないので、食事を通じての摂取が重要となります。
24
表 8
幼児、若年の男女、成人、妊娠中ならびに、授乳中の女性のα-リノレン酸所要量 a
年齢
α - リノレン酸の
所要量
グラム/1 日当たり
幼児
1-3
4-8
0.7
0.9
若年の男女
9-13
14-18
19+
1.2
1.6
1.6
女性
9-13
14-18
19+
14-50
14-50
1.0
1.1
1.1
1.4
1.3
妊婦
授乳中の女性
a 出典: アメリカ薬事機構 Institute of Medicine (21).
我々はα-リノレン酸を充分に摂取しているか?
アメリカ薬事機構が発表したα-リノレン酸の摂取量はアメリカの 20 歳以上の男性および
女性の平均値を反映したものです(21)。このレベルで充分なのでしょうか? 答えはノー
です。 1999 年にメリーランド州ベセスダに世界の脂肪酸の専門家が集い、人の健康におけ
るオメガ6と3の役割について討議しました。このグループは、α-リノレン酸、 EPA と
DHA はもっと摂取すべきであり、リノール酸はもっと減らすべきだとの結論をくだしまし
た。アラキドン酸とそのエイコサノイドを抑えるためには、もっと多くのオメガ3が必要
だと提唱しています。このグループの推奨するα-リノレン酸の摂取量は、女性では 2.22 グ
ラムとアメリカ薬事機構の推奨量の約倍近くです( 96)。α-リノレン酸ならびにその他のオ
メガ3脂肪酸の理想的な摂取量にはまだ不明な点がありますが、北米型の食事にとっては、
α-リノレン酸とオメガ3脂肪酸の摂取量を増やし、リノール酸を減らすという食事の改善
が健康に寄与するという証拠は多くあります。(62,86,88,92,97)
25
乳児食のオメガ3脂肪酸について
乳児食の最適な脂肪酸構成についてはいまだ結論が出ていません。1990 年以前は、ほとん
どの乳児食には少しのα-リノレン酸しか入っていませんでした。 現在ではほとんどの乳幼
食は、主として大豆油からとったα-リノレン酸を含んでいます。アメリカ連邦政府の規則
でも、今のところは、α-リノレン酸の最小あるいは最大の含有量は規定されていません。
FDA(アメリカ食品医薬局)も、乳児あるいは小児用の食物に DHA やアラキドン酸を加
えることに異存は無いとのことです。
専門家達は、乳児食は母乳の脂肪酸組成に近づけて、オメガ3脂肪酸を含めるべきであると
しています(99)。 乳児は必須脂肪酸、特にα-リノレン酸を必要としていると考えられま
すが、これはα-リノレン酸が母乳に含まれる主な脂肪酸であり、全体の脂肪酸の 0.6 から
1.6%を占めていることによります(66,67,100)。アメリカ薬事機構も、生まれてから 12
か月の間は、1 日あたり 0.5 グラムのオメガ 3 脂肪酸を推奨しています(21)。またオメガ
6 とオメガ 3 の比率も乳児には重要でしょう。これは乳児体内の細胞における DHA とアラ
キドン酸の量が、これらの脂肪酸の摂取比率によって変わってくるからです(101)。
オメガ3脂肪酸を含む食物について
α-リノレン酸は植物、動物、プランクトン、それからある種の魚に含まれています(68)。
緑色植物の脂肪酸の 80%まではα-リノレン酸ですが、問題は緑色植物の全脂肪含有量が低
くて充分なα-リノレン酸を供給してくれないことです( 33)。それに引き換えアマニは北米
の食事のなかでは、最もα-リノレン酸の豊富な食べ物です( 101)。そのほかにα-リノレン
酸は、しそ、大麻、キャノーラ、小麦胚芽や大豆、バターナッツ、胡桃、オメガ3強化卵、
スベリヒユ などにも含まれています(103-106)。一般的に魚にはα-リノレン酸はあまり
含まれていません。ただし、鮭、さば、鰊など特定の魚は EPA と DHA に富んでいます(102)。
表9には食物に含まれるα-リノレン酸をまとめてあります。
EPA と DHA は油っぽい魚、例えば、さば、さけ、まぐろ、にしん、レークトラウト(淡
水の鱒)やアンチョビ等に含まれています(102)。また魚油のカプセル、海藻類などでは
DHA は豊富ですがその他のオメガ 3 系脂肪酸は殆ど含まれていません(82,107)。また、
細かくした海藻を餌にし黄身の DHA 量を多くした卵や、アマニを餌にして黄身の中に EPA
と DHA などのα-リノレン酸の多い卵などが挙げられます。
26
表 9
食物のα-リノレン酸含有量
a
食物
摂取量
α - リノレン酸
グラム
油脂
シソ油
大さじ 1 杯
アマニ油
大さじ 1 杯
大麻油
大さじ 1 杯
アマニ粉末
大さじ 1 杯
キャノーラ油
大さじ 1 杯
大豆油
大さじ 1 杯
オリーブ油
大さじ 1 杯
8.9 b
8.0 c
2.8 d
1.8
1.3
0.9
0.1
1/2 oz
1/2 oz
1.3
1.2
オメガ 3 強化卵
大1個
通常の卵
大1個
0.34 e
0.02
生の大豆
調理したスベリヒユ
1/2 cup
1/2 cup
0.48
0.2
焼いた、牛 T ボーンステーキ
3 オンス
ポーク、ウィンナー
1 本
焼いた、牛ハンバーグ
3 オンス
焼いた鳥胸肉
胸肉 1/2
0.18
0.12
0.07
0.03
3 oz
3 oz
3 oz
0.23
0.10
0.04
ナッツ類
くるみ(英国産)
乾燥バターナッツ
たまご
植物
肉類
魚介類
エビフライ
調理したさば
調理した鮭
a 明記の無い場合の数値は、米国政府農務省のデータ (103).
b Nettleton (104)
c Flax Council of Canada (6)
d Hemp Oil Canada, Inc. (106)
e オメガ 3 強化卵、5 種類のブランドの平均値 (105).
27
第4章 リグナンについて
リグナンは抗酸化物質ならびに植物性のエストロゲンであり、その抗ガン特性が研究され
ているものです。植物性エストロゲンといわれる理由は、それが植物の化学物質であり、
人や動物の細胞においてエストロゲンのような働きをするからです。この章では、アマニ
のリグナンの代謝に関する一般的な効能について述べたいと思います。ガンに対する効果
については第 6 章で触れます。
性ホルモン: エストロゲンとテストステロン
エストロゲンは女性の性ホルモンです。主たるエストロゲンは、エストロジオールとエス
トロンです。テストステロンは男性の性ホルモンです。エストロゲンもテストステロンも
ステロイドホルモンで、生殖器と一部は副腎において、コレステロールから生成されます。
性ホルモンは男性と女性の両方にありますが、男性はエストロゲンよりもテストステロン
をより多く生成し、一方女性はテストステロンよりもエストロゲンをより多く生成します。
これらのホルモンは成人の性的特徴の発育をつかさどり、ガンのプロセスに影響を及ぼし
ているのかも知れません。たとえばある臨床報告によれば、男性の血中テストステロンの
レベルが上がるに従って前立腺ガンのリスクが増大したとのことです(109)。乳ガンのリ
スクはエストロゲンに関連しています(110)。
植物性エストロゲンは植物化学物質である
人や動物の体内で、エストロゲンのような働きをする、イソフラボン、クメスタン、フラ
ボノイド、ファイトステロール、リグナンなどの化学物質は、多くの植物に含まれています
(22)。特にリグナンは植物の中に広く見出され、植物の生育や捕食者から自己を守る役割
を果たしているように思われます(111)。
植物中のエストロゲン様化学物質に関する研究は新しく、“植物性エストロゲン”という名
称は、広い意味で使用されてきていました。しかし、近年になって、学者の間でもっと厳
格な定義をくだすようになり、化学物質が細胞膜のエストロゲン受容体と結ばれているか
どうか、あるいは人や動物の組織に影響を及ぼすかどうかなどが判断の基準とされました。
(22)。この新しい基準にのっとっても、アマニのリグナンは植物性エストロゲンと定義す
ることができましょう。
植物中のリグナン
アマニは植物性リグナンの宝庫です( 112)。 特に、SDG(セコイソラリシレシノール配糖
体)リグナンは多く、マタイレシノール、ピノレシノール、イソラリシレシノールなどの
リグナンも少し含んでいます(113)。リグナンは主として、繊維分の多い植物に含まれや
すく、穀物では小麦、大麦、燕麦、豆類ではインゲン豆、レンズ豆、大豆などに、そして、
野菜では、にんにく、アスパラガス、ブロッコリや人参等に含まれています( 22,113-115)。
アマニのリグナン含有量はどのくらいでしょうか? 食物中のリグナンの計測方法にもよ
りますが、グラム当たりのアマニの中に、0.82−10.55mg の SDG が含まれています(113)。
カナダ政府農林食品省の2人の研究者によれば、生あるいはアマニ粉末には、0.7 から 1.9%
の SDG が通常には含まれているとのことです。これは生のアマニ大さじ1ぱいに 77∼209
mg 、粉末にしたもので大さじ1ぱい当たりで 56∼152 mg の SDG が含まれていることにな
28
ります。アマニ油にリグナンを加えたものが市場にでておりますが、SDG は 0.1%、一匙
当たりの油には 14 mg が入っておりました。SDG とアマニ油は水と油のようなものであ
り、油の中にどのくらい SDG が入っているかは、SDG の分子がどのくらい良くまざって
いるかによります(116)。SDG は脂に溶けないので容器の底に残ってしまいます。
アマニのリグナンを抽出して精製する商業的な方法は既に開発され、食品会社が純粋な
SDG を製品に加えることは可能です。食物に含まれるセコイソラリシレシノール(セコと
省略するが、その化学的構造は SDG に似ている)を測定した研究があります。表 10 によれ
ば、アマニはかぼちゃの 17 倍、ブラックベリーの 100 倍のセコを含んでいます(114)。
表 10
各種食物のリグナン含有量
a
食物
セコ( Seco) b
μg/g
種子類
アマニ粉末
かぼちゃの種
ひまわりの種
3700.0
213.7
6.1
穀類
ライ麦ミール、全粒
オートミール
0.5
0.1
ふすま類
ライ麦ふすま
オーツふすま
1.3
0.2
豆類
ピーナッツ
大豆
3.3
2.7
野菜
ブロッコリ
にんにく
人参
4.1
3.8
1.9
ベリー類
ブラックベリー
クランベリー
いちご
レッド・カラント
37.1
15.1
12.1
1.6
a Source: Bhathena and Velasquez (114). Adapted with permission by the
American Journal of Clinical Nutrition.© AM J Clin Nutr. American Society
For Clinical Nutrition.
b セコ Seco=Secoisolariciresinol.
29
アマニリグナンの代謝
SDG、マタイレシノール、ピロレシノールなどアマニのリグナンは、人や動物の結腸内の
細菌によって(哺乳類性の)ヒトリグナン、エンテロジオールやエンテロラクトンに変換
されます。これらは哺乳動物の結腸内で生成され、植物には見出せない為に(哺乳類性の)
ヒトリグナンといわれています。 ちなみに、アマニのリグナン、イソラリシレシノールは
哺乳類性に変換されません(113)。この転換を示したのが図4です。エンテリジオールは
エンテロラクトンに転換することもできます(117)。
エンテロジオールとエンテロラクトンは2つの代謝過程を通って、すなわち:1)糞便の
中に直に排泄されるか、2)消化官で吸収された後で腸肝循環として胆汁に分泌し、腸か
ら再吸収されて、最終的には複合した型で尿に排泄されることになります(118)。尿中エン
テロジオールとエンテロラクトンの濃度は、食物中の植物リグナンの濃度に比例していま
す(119,120)。ラットや人による植物リグナンの多量摂取は尿中エンテロジオールとエン
テロラクトンの多量排泄をもたらします。
図4
アマニリグナンの代謝
a, b
アマニリグナン c
ヒトリグナン
SDG
ピノレシノール
腸内の細菌
エンテロジオール
腸内の細菌
エンテロラクトン
マタイレシノール
腸内の細菌
a SDG = secoisolariciresinol diglycoside.
b Source: Adapted from Rickard and Thompson (117).
c アマニのリグナン・イソラリシレシノールは、ヒトリグナンに変換されない(113).
30
ヒトリグナンの働き
このリグナンは人の体内のステロイド・エストロゲンと同じように、細胞膜のエストロゲ
ン受容体と結合することによって働くと考えられます。結合した哺乳類リグナンは、細胞
内の受容体の作用と、究極的には生殖官などの組織の反応に影響を及ぼします。他の植物
性エストロゲンも同じように働きます。
ヒトリグナンは、人の体内にもともと存在する内性のエストロゲンほど強力ではありませ
ん。そしてエストラジオールのような、より強力なエストロゲンが存在するかどうかによ
って、植物性エストロゲンとして、あるいはエストロゲン拮抗体として働きます( 121)。こ
の拮抗体は、内性のエストロゲンと反対の働きをします。閉経前の女性に起こるように、
内性のエストロゲンの血中レベルが通常な時には、リグナンは受容体と結合し、内因性の
エストロゲンの働きを阻止します。言わば拮抗作用です。更年期になると、卵巣からの自
然なエストロゲンの分泌が少なくなり、血中の内性エストロゲンのレベルは低下します。
この場合にはリグナンは弱いエストロゲンのように作用します(117,121)。
ヒトリグナンの一般的効果について
エンテロジオールとエンテロラクトンは、性ホルモンの代謝を阻害することで、ホルモン
に敏感なガン、特に乳房、子宮内膜、前立腺などのガンの予防に効果があるかもしれませ
ん。リグナンは又、血小板を活性化する要因(第2章のPAF)の発生を阻止することで
炎症反応を沈静化するようです(122)。
リグナンの一般的な働きは以下の如くです。
1.SDGは抗酸化剤です。ヒドロキシルラジカルのような(・ OH)ある種のフリーラ
ジカルを取り除きます。我々の体は、エネルギーとして脂肪、蛋白、アルコールやあ
る種の炭水化物を利用(酸化)することによって、フリーラジカルを発生し続けます。
これらは組織を阻害し、アテローム性動脈硬化症やガンやアルツハイマー病など多く
の疾病の病理に関連しています( 124)。アマニの SDG や、哺乳類性のリグナン、エン
テロジオール、エンテロラクトンもまた、抗酸化剤としての働きをもっています(125)。
セコとエンテロジオールの抗酸化作用はビタミンEよりも大きいとされています
(114)。
2.80 人の志願者達が、アマニ粉末とアマニ油を4か月にわたって食事にとりいれた結果、
血清中のエンテロラクトンの濃度が倍増しました( 69)。またアマニ粉末を食べた9人
の健康な若い女性(119)と、23 人の閉経前の女性達( 126)では、血漿リグナンの濃
度が増大したとも報告されています。
3.18 人の健康な若い女性(127)、31 人の健康な閉経前の女性(128)、および6人の健
康な若い男性( 129)の例では、アマニを食べると、尿に排泄される哺乳類性のリグナ
ン(エンテロジオールとエンテロラクトン)が増大しました。実験に参加してくれた
人たちは、6∼7週間にわたって、アマニ粉末を 5 グラムから 13.5 グラム摂取しまし
た。増大量は3倍から 285 倍であったとのことです。エンテロジオール、エンテロラ
クトンおよびリグナンの総量(マタイレシノールは含まれない)の尿への排出は、直
線的な関係にあるので、尿中のリグナンがアマニの摂取量のバイオマーカーとされま
す(128)。
31
4.28 人の閉経後の女性が、1 日当たり 10 グラムのアマニ粉末を7週間摂取したケースで
は、乳ガンを予防するかもしれないエストロンの代謝物質である、2-ハイドロキシエ
ストロゲンの、尿からの排出が大幅に増加しました(130)。なおアマニのリグナンと
ガンの過程については第 6 章を参照してください。
5.リグナンは性ホルモン結合グロブリン(SHBG)のエストロゲン受容体と結合します。
それによってエストロゲンとテストステロンの連結を阻止します( 131)。 SHBG は乳
ガンの細胞に見出されるので、ヒトリグナンの SHBG との結合は、エストロゲンによ
って制御されているガンの過程を阻害するのかもしれません。
6.妊娠した女性とその幼児は、とくにホルモンに敏感です。一方では母親は胎児の成長
のために子宮を準備するのに高いエストロゲンレベルが必要ですが、他方、動物実験
によれば、エストロゲンが多すぎると同腹子の数が減ったり、生まれる子供の体重を
減少させたりします(132)。リグナンや大豆、アルファルファ、クローバーなどに含
まれる植物性エストロゲンは、動物の生殖器官に影響をおよぼします。マウスの実験
では、妊娠中あるいは授乳中にアマニの餌を与えると、生殖器官の重量や、血清中の
性ホルモンのレベルや、性的成熟期の始まりに、そしてメスには発情周期の長さなどに
逆の効果をもたらします。(132,133)。
アマニと女性のホルモン代謝
アマニは女性のホルモンに作用します。正常な月経周期を持つ 18 人の閉経前の女性に、
4ヶ月間、10 グラムのアマニを毎日食してもらうと、月経周期の黄体期が長くなりました
(134)。毎日 25 グラムのアマニを、25 人の閉経後の女性に与えると、膣細胞の成熟を刺
激し、女性の生殖器官にアマニのエストロゲン効果があったことを示唆しています(135)。
また毎日 40 グラムのアマニを4ヶ月食した 25 人の更年期の女性を対象とした調査によれ
ば、アマニは更年期の症状を軽減する意味で、ホルモン代償療法( 0.625 グラムの複合エス
トロゲン)と同じ効果がありました(136)。
アマニと男性のホルモン代謝
この分野のある報告によれば、アマニの摂取は男性のホルモンの代謝には影響を及ぼさな
いようです。若くて健康な 6 人の男性に、13.5 グラムのアマニ粉末を毎日摂取してもらい
ましたが、テストステロンの血漿濃度、遊離型のテストステロン、SHBG に変化はありませ
んでした。もっと長期にアマニを摂取した場合の SHBG への影響も未知数です(129)。
32
第5章 アマニと心臓血管疾患の予防
心臓血管疾患(CVD)とは、環状血管心疾患( CHD)や脳卒中(脳血管破裂)のような血管
と心臓に関する全ての病気のことを意味します。CVD は、カナダとアメリカの死因の一番
に挙げられています(70)。この章ではアマニとその主な栄養素であるα-リノレン酸が、CVD
の予防に良い効果があるとの所見に触れます。
CVDとアテローム性動脈硬化症
心臓血管疾患(CVD)は小児の頃に始まる炎症性の病気であるアテローム性動脈硬化症に
起因しています(61)。この動脈硬化が発達すると、コレステロールや他の血中脂質が血管の
壁に蓄積されます。この過程は、酸化した低密度リポ(LDL) 、 エイコサノイド、サイトカ
イン、その他の血中の要因によって引き起こされます。最終的には、血管の壁に血小板が形
成され、それらが凝固します。この血小板は、やがて大きくなり、心臓や脳に流れる血液
を阻害します。血液の流れは、また、血栓や血栓症によっても阻害されます。血栓は、血
小板の凝結によって引き起こされる突然の凝血形成です。心臓に血栓が出来て血流を阻害
すると、心筋梗塞あるいは心臓発作を起こします。脳の中の血流を血栓が阻害すると、脳
卒中となります。ともに食事中の脂肪酸が絡んでいるようですが、血栓症よりは、アテロ
ーム性動脈硬化に対する影響の方がより大きいようです(137)。
不整脈
心臓に血栓ができると、虚血をおこし、心筋への血流が阻害されます。虚血は不整脈の最
も典型的な引き金です。犬の不整脈を防ぐ為に、純粋なα-リノレン酸を静脈に注入すると、
EPA や DHA の注入と同じように効果がありました(139)。 鼠の心臓細胞の試験管試験では、
不整脈の予防には、α -リノレン酸、EPA、DHA はともに同じような効果があると判明して
います(140)。オメガ3脂肪酸が不整脈を防ぐのは、まず細胞膜リン脂質から放出され、そ
れが膜の物性的状態を非感受性にすることによると考えられます(138)。これらの効果が、
人にも起こるかどうかはいまだ判明していません。健康な男女を対象にしたある研究では、
魚油の EPA、DHA では、心臓の電気生理現象に影響はありませんでした(141) 。しかし、
通常、虚血の誘発による不整脈の結果としてもたらされる突然の心臓死の、臨床的、予防
的、疫学的研究では、α-リノレン酸をより多く摂取するほうが死亡率は低下するとの研究
がいくつかあります。
環状血管心疾患(CHD)
食事の制限によって、CHD のリスクを減らそうとするには、血中のコレステロールを下げ
る為に、飽和あるいはトランス型の脂肪酸をいかに摂らずにおくかにかかってきます。
トランス型脂肪酸は、植物油を安定性のあるものや、固形のものにするために加工したも
のです(142)。これは飽和脂肪酸と同じように働き、血中 LDL コレステロールを上昇させ
ます。飽和ならびにトランス型の脂肪酸の摂取を減らし、多価と単価不飽和脂肪や食物繊
維の摂取を増やすことで、コレステロールの総量と LDL を減らすことが出来ます(143) 。ア
マニに多く含まれているα-リノレン酸の多い食べ物は、突然の心臓死や脳卒中の予防に効
33
果があります。
臨床例
多くの臨床実験によれば、1日に大さじ 2∼6 杯分のアマニ粉末を4週間食べると、コレス
テロールの総量と LDL が大幅に減少したと報告されています。健全な成人男子群 (40,45) 、
ある程度コレステロールの高い男女群(144)、そして、更年期の女性群(145)にアマニを食べ
てもらった実験では、コレステロールの総量が 6∼9%、LDL が 9∼18%減りました。これ
らの実験では、HDL( 高密度リポ蛋白)とトリグリセリドの減少はありませんでした。
アマニ粉末の血中脂質への効果はアマニに含まれる繊維のために混乱しました。 Jenkins
等は、アマニの粘質のガムが、脂質を下げる役目を果たしていると指摘しています(146) 。 彼
等の実験では、29人の高コレステロールの男女に、1日4個ずつ、3週間にわたって小
麦のふすまで作ったマフィンと、一部脱脂したアマニを入れて焼いたマフィンを食べさせ
ました。4個のアマニ入りマフィンには、全体で約 50 グラムの脱脂アマニが入っていまし
た。 通常アマニには約 40%程の脂肪が入っていますが、一部脱脂したものには、10%以下
しか入っていません。アマニ入りを食べた人達のコレステロール総量は 5%、LDL は 8%程
減少しました。この研究は、アマニの粘質ガムが血中脂質を下げる役割を示唆しています
が、毎日食べたマフィンには、3.5 グラムのα-リノレン酸 が含まれていましたので、αリノレン酸の貢献度も無視できません。従って、この研究では粘質のガムとα-リノレン酸
による影響を完全に区別できていなかったようです。
アマニ粉末が血中脂質を下げる一方、アマニ油は、血中のコレステロール総量や、LDL コ
レステロール、トリグリコシドなどには効果がないと発表されています(37-39,147-150)。
HDL コレステロールは、5件の研究では変化がなく(37-39,148,149),他の2つの研究では
9%減少していました(147,150)。
アマニ油の血中コレステロールへの効果だけを見ると、アマニのα-リノレン酸よりも繊維
分含量のほうが、CHD のリスクを減少する為には重要に見えます。しかし、動物や人の血
中コレステロールは、α-リノレン酸によって減少するとすでに報告されています。マウス
では、α -リノレン酸を多く含んだ餌は血清コレステロールを下げ(151) 、不整脈や死亡の件
数を少なくしています(152,153)。人では、アマニ油を含めた植物性の混合油から摂取した
α-リノレン酸は、オレイン酸やリノール酸と同じように、血漿中総コレステロールを 18%、
LDL コレステロールを 22%下げる効果がありました(154)。従って、アマニ粉末も油も共に
CHD のリスクを軽減する働きがあると考えられます。 アマニ粉末の繊維分がα-リノレン
酸と共に働き、血中コレステロールを下げるのでしょう。繊維分を含まないがα-リノレン
酸の高いアマニ油が、心臓血管疾病の予防効果を発揮するのは、血中コレステロールを下
げることよりも他のα-リノレン酸の重要な働きによるものと思われます。たとえば、αリノレン酸は炎症を鎮める働きによってアテローム性動脈硬化症に効果があります。これ
については後にこの章でふれます。
予防試験
リオン心臓研究(Lyon Diet Heart Trial) は、心臓発作にかかった人たちの、CVD による死
亡のリスクを減らす目的でデザインされた予防方法の研究です(65)。この研究の主な発見は、
地中海スタイルのα- リノレン酸の高い食事をとった 302 人は、アメリカ心臓協会(the
34
American Heart Association)の推奨する食事をとった 303 人の男女の対象区と比べて、心
臓発作のリスクが 70%も減ったとしていることにあります。この結果は血中コレステロー
ルの低下が無くて得られたものです。46 ヶ月にわたる追跡調査では、食事中のα-リノレン
酸は2度目の致命的な心臓発作を防ぐのに好ましい回復経過をもたらす、重要な脂肪酸で
あることが判明しました。この研究では、鮭やさばなどの魚に含まれる長鎖オメガ3系脂
肪酸(EPA,DHA)は、α-リノレン酸ほど重要ではありませんでした(155)。
複合危険因子介入試験(MRFIT) は、35∼57 才の男性 12,000 人を対象に6年から8年の間
追跡調査をした研究ですが、α-リノレン酸の摂取量が高ければ高いほど、CVD、 CHD に
よる死亡やすべての要因による死亡率が下がったことを示しています(156)。
疫学的研究
ある社会において、その中のどのくらいの人々がある種の病気にかかっているかを調べ、
その病気の発生にまつわるリスクを識別するのが疫学です。調査は数百から数千の個人に
および、データを調べて、食事や生活習慣や病気のあるなしなどの傾向とその関連に及び
ます。いくつかの疫学の調査によれば、α -リノレン酸の豊かな食事は、CVD のリスクを軽
減することが判明しています(157-159)。例えば、1986 年に 51,000 人の中年ならびに老年
の男性を対象に始められた健康プロ追跡調査( the Health Professionals Follow-up Study )
では、α -リノレン酸の特別な予防効果を見つけました。α -リノレン酸の摂取量が最も高か
った男性達は心臓発作と致命的な心臓病のリスクが最も少なかったようです。またα-リノ
レン酸の効果は、他の食事あるいは食事に関係の無い危険要因と関連がありませんでした。
この研究では、魚のオメガ3系脂肪酸、EPA や DHA の摂取は、心臓発作のリスクに関連
がなく、α -リノレン酸の心臓血管に対する効果は EPA と DHA の効果とは関連が無いこと
を示唆しています(64)。
個体数の大きい他の広範囲な集団研究としては , the Family Heart Study (158) と the
Nurses’ Health Study (159) 等がありますが、1日当り 0.9∼1.8 グラムのα-リノレン酸
を含んだ食事の研究で、α-リノレン酸の摂取量が多くなるにつれて、心臓発作と CHD の
起こるリスクは減少しました。ある1つの研究では、α-リノレン酸は CVD リスクに対し
て効果がありませんでした (160) 。 64∼ 84 才の男性 667 人を対象とした The Zutphen
Elderly Study では、α-リノレン酸の摂取と CVD のリスクの間に殆ど関連性を見出せませ
んでしたが(160)、この場合、α-リノレン酸は主として、マーガリン、肉やパンなど、トラ
ンス型脂肪酸を含んだ食物から取っていました。トランス脂肪酸を含まない食事から摂取
したα-リノレン酸は CVD のリスクと関わりはありませんでした。従って、α-リノレン酸
の摂取量が高いにもかかわらず CVD のリスクが増大したこの研究では、トランス型脂肪酸
が食事に含まれていた等、他の栄養素によるものと思われます(161)。概して広範囲な集団
研究の大半において、α-リノレン酸の高い食事を食べる人達のほうが、より CVD のリス
クが低くなっていると言えましょう(表 11 参照)。 これらの研究を通じて、α-リノレン酸
に心臓を保護する働きがあることは、個体群、観察の長さ、統計的な結果の分析方法など
の違いをもってしても明らかであり、α-リノレン酸が CVD の予防に効果があるとのコン
センサスが出来つつあります(162,163)。
35
表 11
心臓疾患予防と疫学的研究の纏め
a
α - リノレン酸の効用を示す研究
主たる知見
Cardiovascular Health Study (157)
α-リノレン酸の高摂取は致命的な
虚血による心疾患のリスク軽減につ
ながる。
Family Heart Study (158)
男女ともにα-リノレン酸の摂取と
CVD は逆相関関係にある; 心疾患
のリスクは魚油の摂取量とは関係な
いようであった。
Health Professionals Follow-up Study (64)
α-リノレン酸 摂取量は心臓発作の
リスクと反比例する。
Lyon Diet Heart Study (65, 155)
α-リノレン酸の豊富な食事は心臓
発作と心臓病による死亡を 70% 減
少させる。
Multiple Risk Factor Intervention
α-リノレン酸 の摂取は CVD,
Trial (MRFIT) (156)
CHD その他全ての原因による死亡
のリスクと反比例する。
Nurses’ Health Study (159)
α-リノレン酸 の摂取は致命的な虚
血による心疾患のリスクと反比例す
る。
α - リノレン酸に効果が無かった研究
主たる知見
Zutphen Elderly Study (160)
食物の中にトランス型脂肪酸が入っ
ていたために、α -リノレン酸の摂取
も CVD のリスクとあまり関連が見
出せなかった; トランス型脂肪酸の
入っていない食物からのα - リノレ
ン酸の摂取は CVD のリスクと関連
がなかった。b
a 省略 : ALA, α-リノレン酸; CVD, cardiovascular disease 心臓疾患;
CHD, coronary heart disease 冠状動脈衛心疾患.
b この研究におけるα-リノレン酸摂取量と CVD のリスクとの関係は統計的に重要ではない。
脳卒中(脳血管破裂)
複合危険因子介入試験(MRFIT)の研究に参加した人のうち、小グループの男性を別個に
36
脳卒中のリスクについて調べました。96 人の男性のうち、血清リン脂質のα-リノレン酸が
0.06%あがる毎に、脳卒中のリスクは 28% ずつ減少するという関係がみられました(164) 。
喫煙や血圧など脳卒中の危険要因を調整したあとで、α-リノレン酸は脳卒中の独立した危
険予報者になることが判明しました。すなわち、血清リン脂質のα-リノレン酸濃度が高け
れば高いほど、卒中のリスクは少なくなりました。
アマニの心臓保護作用
アマニに含まれるα-リノレン酸とリグナンという二つの要素は、炎症反応、リポ蛋白、血
管などに働きかけ、CVD の予防に効果があるようです。そのメカニズムについて述べまし
ょう。
1.
α-リノレン酸は炎症を助長するエイコサノイドの発生を阻止します。
(エイコサノ
イドについては、第2章を参照ください。)例えば、アマニ油を大さじ2杯と2/3 を毎
日、4 週間にわたって摂取した28人の健全な男性では、免疫細胞のトロンボキサン
B2 の濃度が 30%も減少しました(74) 。トロンボキサン B2 は、アラキドン酸からできる
エイコサノイドであるトロンボキサン A2 の代謝物質です。トロンボキサン A2 は、血
管の収縮薬としては最も効果があり、血小板凝集の促進剤として知られています(61)。
トロンボキサン B2 の濃度が 30%減少したことは重要な臨床発見です。
2.
α-リノレン酸は、いろいろな炎症性のサイトカインの放出を阻止します。前述し
たように、28人の健康な男性に4週間アマニ油を食べてもらったところ、免疫細胞に
おける腫瘍壊死因子α(TNF-α)およびインターロイキン1-β(IL-1β)の濃度がそ
れぞれ 26%と 28%減少しました(74) 。TNF-αと IL-1βは、ともに人体の炎症性ストレ
ス反応に深くかかわっています(165)。
29人の高脂肪血症の男女に、一部脱脂したアマニを摂取させたところ、アポ Bリポ蛋白は、6%減少しました(146)。また、正常な血中脂質レベルの男性8人に、ア
3.
マニを含んだ植物油を摂取させた場合には、19%減少しました(154)。25人の閉経後
の女性は 40 グラムのアマニ粉末を3ヶ月間毎日摂取したところ、血清中のアポ B-リポ
蛋白の濃度は、7.5%減少しました(145)。アポリポ蛋白は LDL の主な蛋白であり、低
密度のリポ蛋白( VLDL)といわれています。リポ蛋白を含むアポ B は、アテローム性
動脈硬化症を引き起こしやすいとされています(166)。
4.
15人の肥満した男女にアマニ油を4週間摂取させたところ、全身の動脈膨張度
が改善されました(150)。全身の動脈膨張度は血管の柔軟性の指針です。この非侵害
的な(元気な組織を冒さない)方法は、循環系システムの健康状態の情報を与えてくれ
ます。これらの肥満した人々のα-リノレン酸の平均摂取量は1日当たり20グラム(大
さじ 2 杯半)であり、日常生活ではなかなか難しい摂取量レベルでしたが、その結果は、
注目に値するものであり、アマニ油による全身の動脈膨張度は運動による効果と等しい
ものでした。
5.
アマニは血漿板活性因子(PAF)の動きを阻止します。 PAF は炎症を引き起こす
反応の主役ですし、また組織の損傷も引き起こします。腎臓の炎症による、狼瘡腎炎の
患者は、PAF のレベルが上昇しています。全身の狼瘡エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)
と診断された 9 人の患者に、4 週間にわたってアマニ粉末を、15 グラム、30 グラム、
45 グラムずつ摂取してもらったところ、PAF はかなり阻止されました(122)。
37
第6章
アマニとガンの予防
ガン死のうち約 1/3 は、栄養と肥満も含む諸々の身体活力要因に関連するかもしれません。
数多くの疫学研究の結果、野菜、フルーツ、全粒穀物、ナッツ類、種子類、そしてある種
の植物油を多く摂取し、カロリー、肉、動物油の摂取を少なくすることがガンのリスクを
低減することが示唆されました(167)。この章ではアマニとその主な栄養成分がガンのプ
ロセスに及ぼす効果について考察します。
図5
ガンの発達過程
マイトジェン(有糸分裂促進物質)
DNA 修復
への露出
の失敗
DNA が破壊
通常の細胞
突然変異のガン細胞
DNA の
された細胞
ダメージの
増大
DNA の修
復に成功
腫瘍の形成
サイトカイン
成長因子
血管形成エイ
コサノイド
転移
Adapted from Clinton (169).
38
ガン増殖の概観
ガンは異常細胞の制御できない成長(増殖)と拡大(転移)を特徴とする一連の疾病であ
ります(167))。ガンは、正常細胞の微小で漸進的な変化を含む複雑な経路に沿って成長し
ます(168)。簡単な図解を図5に示します。正常細胞のDNAは外部の変異原物質:日光、
タバコの煙、工業化学薬品、化学療法の薬品に晒されたときに損傷を受けます。いくつか
の内部要因、例えばホルモン、免疫状況、遺伝的な突然変異などもガンの増殖を促します
(167)。
細胞はDNAの損傷に対していくつもの修復方法を有しており、正常な機能に回復できま
す。しかし、修復プロセスが失敗した時は、細胞の一部は副次的に突然変異を被り、制御
できない分化(増殖)を始めます。多くの要因がこれら変異ガン細胞の成長を促します:
サイトカイン、ホルモン、酸素、エイコサノイド、そして脂肪酸のようなエネルギー源と
栄養源です。状況が整った時に増殖細胞は腫瘍を形成し、いくつかのケースではガンの成
長に必要な酸素と栄養の安定供給を確保するために血管の網状組織をも形成します。この
過程は 血管形成と呼ばれます。転移は、主要細胞が主な腫瘍から離脱し、体の他の組織に
移動した時に生じます。脂肪酸はこれらすべての過程において直接、間接的に関わってい
ます(169,170)。
アマニとガンの増殖
アマニはある種のガンの増殖リスクを減少させるような3つの成分を含んでいます。α-リ
ノレン酸、オメガ3必須脂肪酸、リグナンの SDG(セコイソラリシレシノール ジグルコサ
イド)、そして食物繊維です。α-リノレン酸とリグナンと食物繊維の機能は、次に述べる
ようにある種のガンの増殖を阻害するかもしれません。
・ α-リノレン酸は重要な方法で細胞膜の脂肪酸組成を変えて、好炎症性のエイコサノイ
ドの放出を阻害します。これらは腫瘍細胞の増殖と侵害を制御すると供に細胞死のサイ
クル緩和するなど多くの要因の一つです( 171)。肝臓ガンの細胞をオスのマウスに移植
した研究では、腫瘍への血漿から脂肪酸、特にリノール酸の取り込みを阻害し、リノー
ル酸が腫瘍成長促進物質へ変換するのにα-リノレン酸は EPA と等しく効果がありまし
た(172)。ヒトの研究では、第5章で述べた Lyon Diet Heart Study では、患者にα−
リノレン酸が豊富な地中海特別食を与えると、ガンのリスクは 61%減少しました(173)。
・ リグナン SDG は、植物性エストロゲンや抗酸化作用として働きます。マウスのメラノー
マ(黒い色素でガン様の増殖)の実験系において、SDG は腫瘍の数量、大きさ、そして
転移の頻度と程度を低下させました(174、175)。
・ 食物繊維の豊富な食品は、ガン増殖を阻害する抗酸化剤のような生物活性作用のある物
質の供給源となります。アジア住民が大量に繊維成分を摂取することは、西洋住民と比
較してアジア住民のガンのリスクが低いことに関連しているのでしょう(176)。
アマニと乳ガン
乳ガンはホルモン感受性のガンであり、増殖の初期段階において腫瘍の成長は性ホルモン、
特にエストロゲンの影響を受けます(第 4 章 性ホルモンの記述参照)。 ホルモンに敏感な
ほかのガンには、子宮内膜ガン、前立腺ガンがあります。
アマニ油と粉末は、動物実験において胸部(乳)腫瘍の成長と進行を阻害しました。メス
39
のマウスを使い、乳腫瘍を誘発する化学物質を投与したある研究では、アアニ油を6週間、
一定量をマウスに与えたところ最も顕著な抑制効果を示し、乳腫瘍の数を最小限に抑える
効果がありました。その数は魚油をマウスに与えた時よりも少なくなりました。またオメ
ガ6脂肪酸が多いコーン油、サフラワー油等を投与すると、腫瘍の数は最も多く発生しま
した(177)。同様の研究でマウスにアマニ油を8週間与えたところ、コーン油や魚油を与
えたマウスに比べて腫瘍がより小さく、腫瘍の重量が少なく、肺への転移が少ないという
結果が得られました(178)。
マウスにヒト乳ガン細胞を注入した研究では、食餌にアマニ粉末を加えたところ、通常食
のマウスに比べて乳腫瘍の増殖が遅延する結果となりました。同様に他の臓器やリンパ節
への転移は、アマニ粉末を与えたマウスでは顕著に減少しました。この研究はアマニ粉末
が血管の旺盛な内皮成長因子(VEGF)の濃度を減少させたことの証拠となります。VEGF は
乳組織の血管形成(angiogenesis)を促すようです(179)。
ラットを使った研究において、精製した SDG、SDG の豊富なアマニ粉末、またはα-リノレ
ン酸の豊富なアマニ油を含んだ食事は、乳腫瘍の増殖に作用しました。精製 SDG は乳組織
における新しい腫瘍の増殖に絶大な抑制効果を発揮しましたし、アマニ油と粉末は、すで
に発生している乳腫瘍、腫瘍増殖の後期の段階にある乳腫瘍に作用しました(180-182)。
ラットにアマニ油を7週間与えた時は、すでに発生していた乳腫瘍組織の大きさは 50%以
上も減少しました(181)。
ヒトの予備試験では女性の乳ガンに対するアマニの効果が示されました。トロント大学の
リリアン・トンプソン博士と共同研究者は、新たに乳ガンと診断された 39 人の女性を調査
しました。女性達には無作為に、全粒小麦粉に 25g(およそ大さじ3杯分)のアマニ粉末
入マフィン、あるいは対照として全粒小麦粉だけのマフィンを、5 週間半摂取してもらいま
した。アマニ入マフィンを食べた女性は対照の女性に比べて乳ガン細胞と腫瘍が顕著に減
少していていました(183)。
アマニに含まれるα-リノレン酸とリグナンは、ヒトに発生する乳ガンに作用するようです。
対照事例研究をフランス中部のトゥールで暮らす女性に行いましたが、侵攻性乳ガンと非
転移性乳ガン(事例群)、そして乳ガンでない女性(対照群)との対照、事例研究ではαリノレン酸と乳ガンのリスクとの間には負の関係がありました(184)。言うなれば、α-リ
ノレン酸を脂肪組織に最高レベルで含有していた女性では乳ガンのリスクが最も低く、同
様に DHA やオメガ3脂肪酸を脂肪組織に高レベルで保有する場合にも、乳ガンのリスク低
下に繋がっていました。オメガ6に対するオメガ3比率は乳ガンのリスク低下に相関して
いるようです。すなわち、オメガ3脂肪酸は乳腫瘍の増殖を防御し、オメガ6脂肪酸は促
進させます(185)。他の事例研究では、リグナンを食事からたくさん摂取していた女性は、
乳ガンのリスクが低い傾向にありました。この研究で主なリグナンの供給源はトマト、バ
ナナ、ブロッコリと人参でした(186)。
ヒト研究のタイプ
「対照事例研究」−乳ガン、前立腺ガン状態にあるグループとガン状態でない健常者(対照)グ
ループとの比較。
「コホート研究」−グループの各人(コホート)を、ある一定期間(通常は数年間)追跡調査を
行う。各人に関するあらゆる情報:食事内容、食事パターンなどをガン診断の前に収集する。そ
の後、ガンと診断されたグループとガンにならないままのグループを比較する。
40
アマニと大腸ガン
ヒトリグナンは結腸部分で植物リグナンから生成されるため、アマニの結腸ガンの防止効
果はさもありなんと思えます。事実ラットをガン誘発物質で処理し、5%または 10%のアマ
ニ粉末または脱脂アマニ粉末4週間投与したところ、対照群と比較して異常型凹窩の数量
が顕著に減少し、また結腸における細胞増殖も減少しました。異常型凹窩は結腸ガンリス
クの初期のマーカーと考えられています。また、アマニから生成したヒトリグナンは、試
験管内で育てたヒト結腸ガン細胞の増殖を抑制しました。試験管中のヒト結腸ガン細胞増
殖抑制に関し、エンテロラクトンはエンテロジオール(共にヒトリグナン)よりも2倍以
上効果的でした(189)。
アマニと前立腺ガン
前立腺ガンは乳ガンと同様にホルモン感受性であり、増殖の初期段階では腫瘍の進行は性
ホルモン、テストステロンとその活性代謝産物であるジハイドロテストステロンの影響を
受けます(176)。前立腺ガンの正確な原因はいまだ不明です(190)。しかし、少数の研究
から、ヒトおよび動物の前立腺ガン生化学において、アマニ粉末の有効性が示唆されてお
り、これが前立腺ガンに対するα-リノレン酸の役割についての論争の発端となりました。
アマニ粉末と前立腺ガン
前立腺ガンのマウス実験系において、アマニ粉末の摂取は前立腺ガンのさらに進んだステ
ージへの進行を阻止するようでした。食餌にアマニ粉末を与えられたマウスには、計画的
な細胞死(アポトーシス)の増加とガン細胞増殖の低下が見られました(191)。予備的な
臨床研究では、外科手術を待つ 25 人の男性に 30 グラムのアマニ粉末を約1ヶ月間、低脂
肪食の一部として食べさせました。対照群に比べアマニ粉末を食べた群では、前立腺ガン
細胞の増殖は減少し、ガン細胞のアポトーシス下垂が増えました。この研究はアマニの粉
末が前立腺ガンに生化学的に作用する可能性を示唆しています(192)。ヒトリグナンのエ
ンテロジオールとエンテロラクトン(いずれもアマニリグナンの主成分である SDG から生
成される)は、前立腺ガンへの効果に一部寄与しているようです。ヒトリグナンは試験管
内で成長させた3種のヒト前立腺ガン細胞系の増殖抑制に効果がありました(193)。
α-リノレン酸と前立腺ガンリスク
α-リノレン酸の前立腺ガン進行に対する役割を評価するため、異なるタイプの研究が行わ
れています。試験管研究、動物研究、ヒト臨床研究によるα-リノレン酸と前立腺ガンリス
クとの関係は以下のとおりです。
試験管研究
脂肪酸の腫瘍増殖に対する効果評価法の1つは、精製された脂肪酸の形で試験管内の増殖
細胞に添加することであります。この方法を採用したある研究では、α-リノレン酸と EPA
は供に転移性のヒト前立腺ガン細胞の成長を刺激しました。しかしながら他のタイプのガ
ン細胞-SP2/0Ag14 と呼ばれる骨髄細胞系では、α-リノレン酸と EPA はSP2/0A14 細
胞の増殖は、テストしたすべての濃度で阻害されました(195)。さらにある研究(196)で
は、α-リノレン酸と EPA はある種の細胞膜に結合した酵素の活性を阻害すること、そして、
41
SP2/0 細胞の増殖に関しては他の脂肪酸よりも阻害能力が高かったことが判明しました。
また他のタイプのガン細胞、T27Aと呼ばれるマウスの白血病ガン細胞にα-リノレン酸
と EPA は有効ではありませんでしたが、DHA はこのガン細胞に対する細胞毒性が強く有効で
した(197)。
これらの研究は何を意味するのでしょうか?第1に、試験管研究は、異なる脂肪酸が異な
るタイプの腫瘍にどのように作用するか考察を与えてくれますが、同時に、容易に説明で
きない矛盾も提示されたことです。第2に、試験管研究で使用されたヒト前立腺ガン細胞
系は転移腫瘍から、すなわち疾病進行の後期の段階から得られたものである為、食事を通じ
ての介在を反映していない可能性があります。最後に、細胞培養中の脂肪酸の働きは多く
の要素、例えば細胞培養のために加えられた脂肪酸の量や、成長媒体と細胞タイプに存在
する他の脂肪酸などによっても影響されます。試験管研究の知見は実際に動物やヒト組織
で発生する腫瘍にどれだけ応用できるかどうかはまだ明らかにはなってはいません(168)。
動物研究
実験動物に特殊な食餌を与えて腫瘍の数や大きさを測定する事は、ガン進行における食事
と栄養の影響を評価するもう1つの手法であす。この方法により、動物モデルにおいてαリノレン酸の豊富なアマニ油の哺乳動物ガンに対する防御効果が報告されました(前述の
乳ガン参照)(178)。前立腺ガンのラットの実験型において、牛脂は、前立腺ガンと腸ガン
の両方でガン発生を増大させましたが、α-リノレン酸の豊富な紫蘇油の給餌は牛脂と比較
して前立腺ガンの発生率を低下させました(198)。これらの研究は、食事からα-リノレン
酸を摂取することが、動物におけるホルモン感受性の高い乳がん、前立腺ガンの防御に優
位であることを示しています。
ヒト臨床研究
全てではありませんが、いくつかの研究では、α-リノレン酸が前立腺ガンのリスクを増大
させることに寄与していると主張しています。例えば表12に示した8件の対照事例研究
の中で、6件は食事のα-リノレン酸摂取が前立腺ガンのリスク増大と連動していると報告
し(199-204)、一方2件はα-リノレン酸摂取と前立腺ガンとは無関係であると報告してい
ます(205、206)。あるコホートスタディの報告では、α-リノレン酸は増大する前立腺ガ
ンのリスクと相関し(207)、一方他の報告ではα-リノレン酸摂取は前立腺ガンリスクと負
の相関関係にあると報告しています(208)。
同じ細胞型に含まれる脂肪酸を測定したところ、やはり同じような矛盾が生じました。例
えば、赤血球膜に高レベルのα-リノレン酸をもつ男性では前立腺ガンリスクが増大すると
報告し(202)、他の研究(206)では赤血球膜のα-リノレン酸含量と前立腺ガンリスクと
の間に何の相関もないとも報告しています。興味深いことに、ヒト前立腺腫瘍の脂肪酸含
有量を測定した研究では、腫瘍中のα-リノレン酸と総オメガ3脂肪酸含有量は顕著に低く
なっていました(209)。これらの研究から、血中脂質や血中細胞のα-リノレン酸含有量を
測定することがはたして前立腺組織で発生していることを示すのに十分な指標となり得る
のか疑問であります。最後に、前立腺中のα-リノレン酸レベルと、食事・血液・赤血球中
のα-リノレン酸レベルとの関連性についてはまだ確立されていません(210)。
42
表 12
α-リノレン酸と前立腺ガンに関する研究の要約
研究名
研究の場所
主たる研究方法
α - リノレン酸は前立
腺ガンのリスクの増
大に関連している
か?
ケースコントロール研究
Quebec City,
143 品目の食事
Canada
履歴追跡調査
Montevideo,
64 品目の食事
Uruguay
頻繁な質問
Physicians’ Health
食事に関する質問と血清リン
Study
脂質中の脂肪酸
Godley (206)
North Carolina
赤血球細胞膜の脂肪酸
No
Harvei (201)
Norway
血清リン脂質の脂肪酸
Yes
Newcomer (202)
Washington State
赤血球細胞膜の脂肪酸
Yes
Ramon (203)
Barcelona, Spain
見做し食事量
Yes
Bairati (205)
De Stafani (199)
Gann (200)
No
Yes
Yes
頻繁な質問
Yang (204)
Seoul, Korea
血清中に脂肪酸
Yes
Health Professionals
131 品目の食事
Yes
Follow-up Study
頻繁な質問
The Netherlands
150 品目の食事
No, α - リノレン酸は
Cohort Study
頻繁な質問
前立腺ガンのリスク
コホート研究
Giovannucci (207)
Schuurman (208)
と逆相関関係にあっ
た。
43
食事と前立腺ガンのリスク
食事と前立腺ガンとの関係について、これまでの研究から3つの結論が導かれるでしょう。
第 1 に、前立腺ガンで唯一広く認知されている危険要因は年齢と人種です。高齢の男性は
若い男性よりもリスクが高く、またアフリカ系アメリカ人の男性では、世界中で最も前立
腺ガンの比率が高くなっています。一方、自分の国に住む日本人と中国人の男性は最もリ
スクが低くなっています(211)。
第 2 に、人間のコホート研究や対照事例研究からは、食事によるリスク低減効果は明白に
言明できませんでした。2つの食事要因:カロリーと総脂質の過剰摂取は前立腺ガンの発
生に最も関与しているようでした(171,176,212-214)。また、食事中のオメガ3脂肪酸に
対するオメガ6脂肪酸の摂取比率も重要なようです(215)。The Physicians’Health Study
(200)と the Health Professionals Follow-up Study (207)の両研究によれば、赤身肉
の摂取も同じく前立腺ガンのリスク要因となりました。肉にはごく少量のα-リノレン酸し
か含まれていないにもかかわらず、ある特定の人々の食事において肉はα-リノレン酸の重
要な供給源であり、動物性の脂肪と肉のマーカーとなっています(33)。言い換えれば、こ
れらの研究ではα-リノレン酸は赤身肉とつながっており、赤身肉は前立腺ガンのリスクの
増大に関わっているのでα-リノレン酸も有罪とみなされるのです。野菜からの脂質もαリノレン酸の供給源ですが、このα-リノレン酸は前立腺ガンのリスク増大には関わってい
ません(207)。これらの発見は私達の食事が複雑であること、そして栄養素と発病過程と
の関連性が複雑であることを物語っています。
いずれにしろ、誰もがヒトのガン発生に脂肪酸が関与するとの確証を持つにはあまりにも
多くの矛盾が存在します(216)。そして、これらの矛盾は殆んど脂肪酸に向けられたもの
であり、α-リノレン酸ではありません。例えば表 12 に要約した食事の研究の様に、必須
のオメガ6脂肪酸であるリノール酸は、ある研究では前立腺ガンのリスクを5倍に増大さ
せましたし(206)、一方、2つの研究(200、207)では何の相関もありませんでした。そ
して、他の2つの研究(199、208)では、前立腺ガンと負の相関があったと報告されてい
ます。
第 3 に、現時点ではα-リノレン酸の食事からの摂取量と前立腺ガンリスクとの相関につい
ては何ら結論的な証拠はありません。言い換えれば、もしα-リノレン酸が腫瘍の増殖に関
係そているならば、α-リノレン酸摂取が多くなるにつれて前立腺ガンリスクも徐々に増加
するはずです。表 12 の3つの研究では、α-リノレン酸の摂取レベルに対応して前立腺ガ
ンのリスクがどう関連するかを示していますが、ウルグアイで行われた研究ではα-リノレ
ン酸摂取量レベルとの相関が得られていますが(199)、他2つの研究では知見は簡単では
ありませんでした(203、207)。
アマニと前立腺ガンに関する結論
前立腺ガンは数十年の年月をかけて進行します。前立腺ガンの増殖に何がどのような役割
を果たすのか、すなわち、特別な栄養素(脂肪酸、ビタミン類、ミネラル類)、食物(肉類、
フルーツ)、そして食習慣(高脂肪食)などがどう作用するかには多くの疑問が残ります。
そして、どのようにして食事中の脂質や特殊な脂肪酸が前立腺ガンの成長に影響するのか
についてもさらなる研究が必要です。また、前立腺ガンも乳ガンもホルモン感受性である
にもかかわらず、なぜ脂肪酸が前立腺ガンに対して乳ガンと異なる作用を及ぼすのかの研
44
究も必要です。アマニが前立腺ガンに対する貢献についての証拠はありません。α-リノレ
ン酸が前立腺ガン増殖に潜在的に有害な作用を及ぼすものではないかという疑問について
は、よく設計された動物試験およびヒト試験によって解決される必要があります。そして
その試験は、適切なバイオマーカーと食事からのα-リノレン酸の摂取量を測定すべきです。
その他の重要な疑問としては、
・ 健全な前立腺の通常の代謝におけるα-リノレン酸の役割はなんであるか?
・ 健全な前立腺の組織に含まれるα-リノレン酸のレベルは?
・ α-リノレン酸の生物学的な効果は、乳組織と前立腺組織では異なるのか?
・ α-リノレン酸摂取量を評価する最も確実な方法は何か?
・ 血中脂肪酸類は、前立腺ガン増殖を通じて生じる生物学的な変化と相関するのか?
等が挙げられます。
健康のための食事戦略
研究者はガンの助長や防止にかかわる栄養素について守備一貫した証拠を探求しています。
食事と前立腺ガンに関する守備一貫した研究成果がなければ、男性はどうしたらよいので
しょう?
最も良い食事戦略は、例えばガン、心疾患、脳卒中等全般的慢性病のリスクを極力低下さ
せることです。そしてそのためには、食物繊維を多く、脂肪、特に飽和脂肪酸を少なく摂
取し、そして所定量の新鮮なフルーツ、野菜、全粒穀物とシリアルを毎日食べるこが重要
です。
45
第7章 その他の健康上の効果について
前章までは、アマニの主たる構成要素である SDG リグナン、食物繊維、必須オメガ3脂肪
酸が、心臓疾患、脳卒中ならびに、ガンのリスクの軽減に役立つことを述べてきましたが、
この章ではアマニの持つその他の健康上の効果に関する証拠を考察してみます。
血圧
アマニが血圧に効果があるかどうかについては充分な研究がおこなわれてなく、現時点で
は確信を持って述べることは出来ません。血圧は動脈の壁に対する血液の力、あるいは圧
力であります。 15 人の肥満した成人に、4週間、アマニ油を毎日食してもらったところ、
動脈圧の平均値は対照区に較べてかなり減少しました(150)。399 人の中年男性の実験で
は、脂肪組織内のα-リノレン酸の量は血圧と逆の相関関係にありました(217)。これらの
実験では、アマニ油の摂取による血圧への影響は見出されませんでした(149、218)。も
っと長期間にわたってのアマニの摂取が必要なのかもしれません。
糖尿病
アマニには糖尿病の予防に役立つと考えられる3つの要素、すなわち食物繊維( 219)、リグ
ナン SDG(220 - 222) 、とα-リノレン酸(74、221)が含まれています。実際、若い成人の
場合に血糖値が下がったとの研究結果もあります(40)。6 人の健康な人達に夕食を普通に
食べてもらい、翌朝、アマニ粉末入りパンか白い食パンを炭水化物として 50 グラム含んだ
朝食を試験食として採ってもらいました。その結果によると、標準的な白い食パンの食事
に較べて、アマニパンを食べた人の血糖値は 28%も低くなっていました。 更にこの研究で
は、ブドウ糖にアマニの粘性ガム質を加えたものを食した人達は、ブドウ糖のみの人達と
較べて、血糖値が 27%も下がりました(55)。
ではアマニは糖尿病の患者の血糖値に効果があるのでしょうか。目下、マニトバ大学では
アマニ粉末と油が、タイプⅡの真性糖尿病患者の血糖値とインシュリンのレベルに及ぼす
効果について研究しています(223)。このタイプⅡの真性糖尿病はインリュリンに依存し
ないもので、全糖尿病のうち約 90%を占めています(219)。
止血
止血は出血を制御することで、切り傷や傷口で血が固まる自然な方法か、あるいは深い傷
の時に血流を塞ぐなど人工的な方法があります(224)。いままでに行われた研究では、ア
マニ油や粉末を摂取しても血小板の凝集や(144、225)、出血時間 (148、225)、血液の
凝固(36、225)などの血流遮断要因に効果を及ぼしませんでした。
しかし、ある研究( 225)では、アマニ油をとると魚油を摂取したときのような止血効果が
あり、α -リノレン酸の効果は EPA や DHA の効果と同様であるとの結論をその研究者は出
しています。
46
免疫機能
アマニは免疫、すなわちバクテリアやウイルスなど異物に対して人体を守る働きに効果が
あります。アマニに含まれる 2 つの要素、α-リノレン酸とリグナンは、免疫細胞と免疫機
能を制御するエイコサノイドやサイトカインなどの化合物に影響をおよぼします。例えば
α-リノレン酸は、エイコサノイドとサイトカインの生成に影響し、ある種の抗原に対する
遅発性過敏症反応を抑制します(226)。リグナンは又、血小板活性化因子のような免疫反
応の媒体に影響を及ぼします(78)。α-リノレン酸とリグナンは、次に述べるように(227)、
関節炎や組織的な紅班狼瘡のような自己免疫病の臨床管理に効果があるのかもしれません
(227)。
腎臓病
アマニの粉末は炎症を抑え、組織的な紅班狼瘡患者の腎臓の機能を改善します。紅班狼瘡
は腎不全、関節炎、血栓症や脳卒中など主たる健康障害をもたらす慢性的な炎症性の自己
免疫病です(228)。その原因は判明していませんが、酸化的ストレス、サイトカイン(229)、
血小板活性化因子( 230)、ある種のエイコサノイド( 231 )などがその病理に関連している
ようです。 ラットなどの実験では、アマニ粉末とその油は腎臓の炎症を軽減し、腎機能の
改善につながりました(78、227、232 – 234 )。紅班狼瘡の患者では、アマニ粉末を 15、
30、45 グラムを毎日、
4 週間摂取したところ、腎機能は改善され炎症も抑制されました(122)。
緩下剤
穀物や豆類と同じく、アマニにはその食物繊維が水を吸収し、腸内体積を増加させること
によって便通を良くする効能があります。これは運動量や繊維の摂取量が少なく便秘症状
に成りやすい健康な若い成人ならびに施設で暮らしている老人によって実証されています。
10 人の健康な若い成人を対象としたある実験では、約 50 グラムのアマニ入りマフィンを毎
日食べたところ、週毎の便通が約 30%増加しました( 40)。平均年齢 78 歳の 7 人の実験で
は、同じく 50 グラムのアマニ入りの食事で、便通の 1 日の頻度ならびに、便通の続く日数
が共に増加しました。アマニはマフィンとして、4 週間摂取し続けました(235)。
骨粗しょう症
植物エストロゲンは骨粗しょう症を予防するかもしれません(236)。骨粗しょう症は骨の
質量が低く、骨折の危険の高い病気です(237)。骨粗しょう症に罹った骨は細くて脆く、
歩行や体を折り曲げるなどの日常生活での活動でも骨折につながりかねません(238)。
骨の健康に関するアマニの効果はまだその研究が始まったばかりです。オクラホマ大学の
研究では、アマニは閉経後の女性の場合には抗酸化活性を高めて、骨に良い影響を与える
のかもしれないとしています。それによれば、骨で発生したフリーラジカルが骨を再吸収
除去し、骨のロスを増加させることに気づきました。アマニのリグナンとα-リノレン酸は、
プロスタグランジンの生成を阻止し、再吸収の割合をへらすことによって骨のロスと骨粗
しょう症を予防するのかもしれません( 239)。しかしながら、閉経後の婦人を対象とした 3
ヶ月にわたるある試験では骨の形成と再吸収についてのアマニの効果は見出せませんでし
た(145)。もっと長期にわたる試験が必要かもしれません。
47
その他の考察
更年期
アマニは更年期症状、例えばほてりなどを緩和するとよく巷で言われます。そのことを立証
するある研究があります。 緩やかな更年期症状の女性 25 人を対象に、2 ヶ月間にわたって、
1つのグループにはアマニ粉末を毎日 40 グラムずつ、 他のグループには経口のエストロゲ
ン-黄体ホルモン代替物( 1 日当たり 0.625mgの複合型のエストロゲン)をとってもらいま
した。 2 ヵ月後にそれぞれのグループは相手方の療法と相互に交代し、更に 2 ヶ月継続し
たところ、アマニにはホルモン代替療法と同じように緩やかな更年期症状を緩和する効果
がありました(136)。もっと長期間の研究は、 Pavillon Saint-Francois d’Assise, Centre
Hospitalier Universitaire de Quebec で行われています。
菜食主義者の栄養
先進国に暮らす菜食主義者たちは、ガンや疾患に罹る率も少なく(240)、かつ死亡率もそ
の国の平均よりはかなり低くなっています(241)。健康な理由は一部には、果物、野菜、
全粒パンやシリアル等の多い食事にありましょう。しかし、菜食主義の人達はオメガ3の
脂肪酸を充分に摂取していない恐れもあります。肉、魚、乳製品を一切食べない極端な菜
食主義者は、オメガ 3 の脂肪酸を植物から摂ることになりますが、これはα-リノレン酸の
供給源ではあっても、EPA,DHA の供給源ではありません。彼等の赤血球の細胞、血小板、
血清リン脂質中のオメガ 3 脂肪酸のレベルは低く、かつ健啖家たちに比較してオメガ 6 の
脂肪酸であるリノール酸のレベルが高いのが通常です( 242、243)
。したがって、アマニ油
を食事に加えることによって、組織内のオメガ 3 を増やすことが出来ます(第 3 章)。 例
えば、菜食主義の男性に 28 日間、アマニ油とそれで作ったマーガリンを摂取させると、血
小板のリン脂質中のα-リノレン酸,EPA とオメガ-3 脂肪酸全量が増加しました(244)。
48
第8章 市場におけるアマニ
この章では市場にアマニがどのように出回っているか、カナダや米国でのアマニに対する、
あるいはオメガ 3 脂肪酸の食品の表示に関する規制などに触れます。
消費者向け市場における新しいアマニ
見た目もよく味もよければ、健康に貢献すると考えられる食品は消費者に受け入れられま
す。アマニは美味しくナッツのような味がして、まさにその典型です。全粒あるいはアマ
ニ粉末は、ロールパン、ベーグル、全粒パン、マフィン、シリアル、パスタ、エネルギー
バー等多くの食品に入れられており、更にパンケーキ、マフィン、ワッフル用のドライミ
ックスなどにも含まれています。アマニの全粒、粉末、油などはコンビニ、スーパー、健康
食品店あるいはインターネット上で購入出来ますが、以下のものは新しく開発された商品
です(245.246)。
-
アマニ油の入った大豆飲料で、1 カップ当たり 500 ミリグラムのオメガ 3 脂肪
酸を含んでいるもの(247)。
-
冷凍のデザートでアイスクリーム状製品の乳脂肪の 15%をアマニ油で置き換
えたもの(248)。
-
リグナン含有量の高いアマニ油(第 4 章参照)。
α-リノレン酸の低いソリン油はマーガリンや業務用のフライ油に適していま
す。(第 1 章参照、249)。
-
エネルギーバー、パン、ヨーグルト、アイスクリーム、ソーセージなどに
アマニ粉末を入れたもの(250,251)。
-
脱穀したアマニの核にあたるものをパン、マフィン、クッキー、シリアル、
クラッカー、スナック、栄養バー、サラダドレッシング、スープなどに入れた
-
もの(252)。
“LinumLife(アマニ生活)”と呼ばれ、リグナン含量の高いアマニを、ソフ
トカプセル、打錠、シリアルバーなどに入れたもの。通常のアマニや油よりリ
グナン含量は 100 倍も多いといわれている(253)。
-
アマニ油の入った機能性オイルブレンド。血中脂質の低下(254)と健康な肥
満男性の体重を低下させる可能性があるもの(255)。
オンラインのアマニ情報については、
www.flaxcouncil.ca に行き、ホームページの Flax Products をクリックしてください。
49
家畜とペットフード業界
アマニは色々な動物、例えば犬、猫、鶏、牛、豚、の飼料に加えられ、その健康の維持や病気
の予防に役立っています。例えば、肉牛の研究では、アマニを与えた子牛の飼育場では良
い業績が上がっていると報告されています(256)。ペットフード業界でも、餌にアマニを
与えることの価値が認められています。馬や犬の補助食品やおやつには、アマニの粉末が
含まれ、健康全般と寿命と肌の艶のよさに貢献しています(257)。
アマニを給餌した畜産食品について
食品加工業界はアマニ入り、あるいはオメガ 3 強化の食品を製造することによって、一般
消費者のオメガ3脂肪酸の摂取を増加させることが出来ます。α-リノレン酸の高いアマニ
入り飼料によって、栄養価の高められた畜産品について見てみましょう。
卵
α-リノレン酸の強化を考える上で卵は魅力のある選択でした。これは産卵鶏用の飼料に含
まれる脂肪の量が、卵黄の脂肪量に直接関連しているからでした(258)。それと卵がレス
トラン、カフェテリア、ベーカリー業界等で広く使用されていたことが、オメガ 3 強化卵を
普及させることによって消費者の健康に貢献する機会が与えられたからです(259)。
実験の初期段階では、鶏の餌に 10%アマニを加えると、卵黄のα-リノレン酸含有量は 10
倍に増加しました。 20 %では 20 倍以上でした(260 )。現在ではα-リノレン酸とオメガ 3
脂肪酸の含有量の多い卵の生産は普及しており、表 13 にあるように、普通の卵でオメガ 3
の含有量が 0.04 グラムに対して、平均して約 12 倍の 0.5 グラムが含まれています(103,105)。
カナダ、オンタリオ州のゲルフ大学での研究によれば、健康な男性にオメガ3強化卵を食
してもらったところ、体内リン脂質のオメガ 3 含量は大幅に増加しました( 46)。この実験
では、レグホーン種の若鶏にアマニを、0%、10%、20%配合した餌を12週間与えました。
卵は健康な男性に毎日4個ずつ、2 週間にわたって、3種類を食べてもらいました。血中コ
レステロールの全体のレベルに変化は見られませんでしたが、血小板のリン脂質の脂肪酸
組成は変化し、DHAと全オメガ 3 脂肪酸の量は大幅に増加していました。もっと少ない
α-リノレン酸の強化卵でも価値はあると思われます。研究者 Van Elswyk’s 博士は、5%
の全粒アマニを給餌して、その卵を30人の男女に、週4個ずつ6週間にわたって食べさ
せた実験を行い、α-リノレン酸強化卵によって、血中血小板の凝集が少なくなったことを
確認しています(261,262)。
50
表 13
オメガ3強化卵と通常の卵の栄養成分比較
栄養素
1
通常の卵 2
オメガ3強化卵
3
75 カロリー
蛋白質
6.2 g 3
6.2 g
総脂肪量
4.8 g
3
5.0 g
飽和脂肪
1.5 g
4
1.6 g
単価不飽和脂肪
2.1 g
4
1.9 g
多価不飽和脂肪
1.3 g
4
0.7 g
オメガ6脂肪酸総量
0.8 g
4
0.6 g
オメガ3脂肪酸総量
0.5 g
5,6
エネルギー
コレステロール
1
省略: g=グラム, mg=ミリグラム.
2
栄養成分は米国農務省データベース,
74 カロリー
182 mg
4
痕跡量
7
212 mg
Release 16, available at www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp (103).
3
オメガ3強化卵2ブランドの平均 (105) 。
4
オメガ 3 強化案 3 ブランドの平均 (105) 。
5
オメガ 3 強化卵5ブランドの平均 (105) 。
6
平均すると 1 個のオメガ3強化卵には、約 0.34 グラムのα-リノレン酸と 0.13 グラムのEPA
とその他の脂肪酸が含まれます(105)。(オメガ 3 脂肪酸総量の数字には、主なオメガ3で
あるα-リノレン酸、EPA、DHA に加えてその他のマイナーないくつかのオメガ3脂肪酸も含ま
れます。)
7
通常の卵の大には 0.04 グラムの総オメガ 3 脂肪酸が含まれています (103) 。
牛乳
乳牛の飼料にアマニを加えることによって、牛乳とその製品、チーズ、バターなどのオメガ
3含量を増やすことが出来ます(263)。問題は、牛、羊などの反芻動物の第1胃には微生
物が存在し、これらがα-リノレン酸のような不飽和の脂肪酸を飽和脂肪酸に変換させてし
51
まう水素添加作用が行われることです。しかし、これも微生物の活動からα-リノレン酸を
保護することによって阻止することが出来( 264)、α-リノレン酸のレベルが通常の0.5%
から20%程度に高まった乳脂肪を作れます。更に別の方法として、単に乳牛にアマニを
食べさせるだけでも牛乳中のα-リノレン酸を増加させることも出来ます。ロールしたアマ
ニは生のままの全粒より効率がよく、10%程度の給餌で乳脂肪中のα-リノレン酸のレベル
は、通常のミルクの 0.45%が、1.04%と約倍増いたします(265)。
これはコップ1杯のミルク(250 ミリ程度)で、通常約 40 ミリグラムのα-リノレン酸が
90 ミリグラムに増えることになります。
鶏
α-リノレン酸強化卵の研究は家禽業界においてもアマニ強化飼料を試すことを促しました。
1991 年におこなわれたブロイラーでの実験では、全脂アマニ 10%と 20%を餌に加えて二
つの効果があがりました(266)。ひとつは、枝肉すなわち白身とダークミートの脂肪が減
り、モモ肉の重量が増えたことで、これにより最終製品としての価値があがりました。つ
いで、肉の組織内のオメガ 3 脂肪酸も増加していました。追加テストでは、全脂アマニ 15%
を給餌して、α-リノレン酸の含量は白身よりもダークミートの方が高いことを確認しまし
た(267)。これらのブロイラーの肉 50 グラムを食べると、白身で 240 ミリグラム、より脂
肪の多いダークミートで 560 ミリグラムのα-リノレン酸を摂取できると考えられます。対
象区としての普通の肉では、50 ないし 70 ミリグラム程度です。
豚肉
消費者がオメガ3の脂肪酸をより多く摂取する方法として、豚肉の製品も考えられます。
豚の仕上げ期25日間にわたって、アマニの給餌レベルを 0%から 15%に増やすと、製品
のα-リノレン酸の含量も増加しました。筋肉、肝臓、バックファットなどにおけるEPA
やDHAの濃度の増加は、α-リノレン酸の濃度の増加にくらべると少ないです。基本的に
は、アマニを増やすことによる全オメガ 3 脂肪酸量の変化はα-リノレン酸によって決まり
ます(268-270 )。従って、ベーコンやラードなどにオメガ 3 脂肪酸を増やすには仕上げ期
にアマニを与えることによって可能になります。また、餌にビタミンEを加えることによ
って、脂肪の安定とハムや肉のスライスの色を向上出来ます( 271)。 Prairie Orchard
Farms 社は Just pork Program ™ で実践し、餌にアマニとビタミンEを添加しています
(272)。
魚
海洋ならびに淡水の魚が資源として少なくなるにつれて、水産養殖業が盛んになることは
消費者が魚を求めていることの現れとも言えましょう。養殖にはアマニのような高品質の
蛋白と油が安定して供給されることが必要です(273)。例えば岩魚や虹鱒は魚油や魚粉の
代わりに、低温圧搾したアマニ油を用いた準精製飼料でよく育ちます。と同時に身の中の
α-リノレン酸も増加しました(274)。サスカチワン大学では、脱穀したアマニから蛋白と
油の多い餌をつくり、さけ、岩魚、えび、鯉、うなぎ、鯰に給餌して実験をおこなってい
ます(275)。
52
食材としてのアマニの行政管理について
アマニは広く世界で消費され、各国々は食の供給としてのアマニをそれぞれ管理していま
す。カナダおよびアメリカは、過去数十年にわたってアマニが食に供されてきた観点から
食材として管理しています(276)。
カナダ
カナダではアマニは添加物ではなく食品として管理されています。食の中に入れられるア
マニの量に関する上限は決められていませんが、カナダ政府厚生省の健康管理局では、ガ
イドラインを設けて、製パンの場合には、乾物重量の 8%あるいはそれ以下(乾燥したシリ
アルでは 4%)と推奨しています。同局はさらに、アマニがオメガ 3 の供給源とし好評でま
すます人気を博しており、推奨しているレベルよりも多く使われていることも認識してい
ます。ある食品では 12%も使用されており、このレベルでもなんら健康に対する障害は無
いことも認識しています。またある研究によれば(40)、1 日当たり 50 グラムのアマニと
いう高い含有率のマフィンを 4 週間、男性に食してもらったところ、はっきりした健康へ
の障害は見当たらなかったとのことです。健康管理局の推奨レベルよりも高い比率での食
が安全性に及ぼす影響については、もっと疑う余地のない大掛かりな研究の成果を待つ必
要があるでしょう(277)。
アメリカ
アマニは添加物として認められるか、あるいはGRAS( グラスステータス:一般に安全
と認められること)と考えられて、合法的に食品にその使用が認められています。GRAS
は正式な規制にのっとって規則上で確認されるか、または米国以外の国で安全に永年にわ
たって使用されてきた実績によって非公式に認められるかのどちらかです。現在までのと
ころ、FDA(米国食品医薬局)にアマニの添加物としての申請は提出されておりませんし、
また全粒や粉末にしたアマニの GRAS ステータスの公式な審理も行われておりません。基
本的には、GRAS は食品メーカー達によって宣言されています(278)。 FDA は食の中に
12%までは問題なしとの見解を示しております(279)。また、ソリンについては精製油な
らば、UGG社(現在はアグリコアユナイテッド社)の推奨する使用範囲ならばGRAS
であるとの見解も示しています(280)。
オメガ3脂肪酸の表示(ラベリング)について
食ならびに食品の表示は、カナダでは厚生省(Health Canada) ならびに食品検査局(the
Canadian Food Inspection Agency)で、アメリカでは食品安全検査局(the Food Safety and
Inspection Service)と食品医薬検査局(the Food and Drug Administration)で管理されてい
ます。食品の表示は、成分と、時にはその健康や栄養上の効果に関する情報が含まれます
(246)。両国とも栄養表示は殆どの食品で義務付けられていますが、例外としては新鮮な
果物、野菜、バラで売られるものにはその義務はありません。したがって、アマニの場合
もバラで消費者に販売される時は表示不要ですが、アマニやその油が食品に加えられる時
は成分ならびに栄養価を製品のラベルに表示しなければなりません(278、281、282)。カ
ナダではメーカーはオメガ3脂肪酸の含有量を表示に加えることも出来ます。即ち、アマ
ニが入った食品のα-リノレン酸の含有量( 例えば 1 食当たり 0.5 グラムのα-リノレン酸含
53
有など)を表示出来ます(283)。アメリカのメーカーも栄養価を表示できますが、1食当
たりの栄養価、 例えば 0.8 グラムのオメガ 3 脂肪酸の如く、はっきりした表示が必要であり、
たくさんとか少しのような大まかな言い方は不適格とされています(284)。
アマニ油、全粒および粉末にしたものなどの『有機』に関する表示は、カナダでは国の有
機基準( 285)、アメリカでは農務省の基準( 286)によって表示できます。オメガ 3 に関す
る健康上の効果に関する表示は両国ともに許されていません(282、287)
。しかし、アメリ
カではオメガ 3 脂肪酸の効果は条件付きで、
(例えばα-リノレン酸ではなく、EPAとDH
Aなど特定の効能は)健康補助食品に限って許されています(288)。
54
第9章 アマニの貯蔵と安定性
アマニは一般的には貯蔵および調理中も安定しています。
この章では新鮮さを保つ為にアマニをどのように蓄え、扱うべきかについて述べます。
貯蔵
全粒のアマニ(アマニの種子)は少なくとも 1 年間は室温で貯蔵できます。粉末にした場
合には、室温で 4 ヶ月ほどです(289)。しかし、倉庫内で 20 ヶ月、粉末にしたアマニを外
気温のままで貯蔵しても驚くほど安定していました。これはアマニには酸化を防ぐ強力な
働きがあることを示しています(290)。全粒や粉末にしたアマニを冷蔵庫ないしは冷凍庫
で保管すれば新鮮さを保てます。
カナダ厚生省の健康保護局およびトロント大學の研究者たちは、密封したチューブの中に
アマニを入れ、280 日(約 10 ヶ月)室温のまま保ち酸素を計測しましたが、消費量は少な
く安定していました。全粒および粉末にしたもの供に安定していたと言えます(291)。ま
たマニトバ大学およびカナダ政府穀物規格委員会(the Canadian Grain Commission)
による研究でも、室温で充分安定しているとの結果が出ています(289,290)。さらに通常
のベーカリーに似た貯蔵環境で、プラスチックのライナー入りの紙バッグにアマニ粉末を
128 日保存した後でイーストパンをつくったところ、新鮮なものと貯蔵したもので作ったパ
ンの違いは、熟練したパネリストでも区別がつきませんでした(289)。
アマニ油は、種子を割り、ローラーでフレーク状にした後、水冷のシャフトのついたエク
スペラーで圧搾して搾ります。いわゆるコールドプレスで、最大温度を 35℃以内に抑えま
す(245)。フィルターを通した後、油は不透明なボトルに入れて、冷蔵することなく出荷
されます。開封後は鮮度を保つ為に冷蔵保存が必要です(246)。通常のメーカーは開封後
は 6 ヶ月以内の使用を求めています。
聞いたこと全てを信じないでください!!
アマニを粉末にしたら、15 分から 20 分以内に食べないと酸化するとの話もありますが、これは
間違いです。アマニの粉末は室温で安定し、リグナンが豊富なゆえに数ヶ月は鮮度を保持できま
す。リグナンは強力な抗酸化剤で、アマニの中の多価不飽和脂肪酸を酸化から守る働きをするよ
うです。 SDG とエンテロジオールの抗酸化効果は、ビタミン E よりも強力なようです。(第4
章参照)
アマニの成分の安定性について
α -リノレン酸はパン焼きの温度に耐えられます。全粒やアマニ粉末を、 100 ℃あるいは
360℃で 60 分間熱しても、脂肪酸の組成にも酸化にも影響はありませんでした。
さらにこのような高温の処理でも、新しいα-リノレン酸のトランス型状のものや、望まし
くない脂肪酸の副産物の形成もありませんでした( 292)。アマニ粉末をマフィンに加え、2
時間 178℃で焼いた実験でも、α-リノレン酸の含有量に変化は見られません(40、291)。
55
またアマニ粉末入りのスパゲッテイーを調理してもα - リノレン酸は安定していました
(295)。
カナダ政府農務省の研究者はアマニのリグナンである SDG はパン焼きに対しても安定であ
ると報告しています(294)。パンの外側と中味では熱に対する露出に大きな違いがありま
すが、両者ともに SDG の中身の変化はみられませんでした(295)。
もっと貯蔵と安定性についてお知りになりたいですか?
オンラインで www.flaxcouncil.ca に行き、ホームページの Nutrition(栄養) のタブを
ク リ ッ ク し て く だ さ い 。 そ し て Technical Information を ク リ ッ ク し 、 中 か ら
Flaxseed-Storage and Baking Stability(英文のみ)が PDF でお読みになれます。
56
第10章 アマニの調理と食に関する消費者向けガイド
食品業界のたゆまぬ革新のお陰で市場にはさまざまなアマニの商品が出ています。この章
では家庭でのアマニの調理方法と推奨される摂取量について触れます。
推奨量
ここに推奨するアマニの摂取量は、厳選されたジャーナルに発表された臨床ならびに疫学
的に研究された科学的データに基づいています。人はいったいどの位のアマニを数ヶ月あ
るいは数年の間毎日食べていられるかなどの実践的問題も考慮に入れました。基本的には、
表 8 に示したα-リノレン酸の適切な摂取量を基準にして、以下に述べるアマニの摂取量を
計算しました。リグナンについては、ヒトに関するデータはまだ充分でなく推奨量を測る
までにいたっておりません。
全粒のアマニについて
全粒アマニは、焼成するもの、エネルギーバー、シリアル、サラダなどにいれると、さく
さく感のある歯ざわりになります。しかし、全粒アマニはその強力は種皮ゆえに消化酵素
に抵抗し、消化管をそのまま通過してしまいます。したがってよく噛んで種皮をちぎり、
種子の中の栄養素が消化されるようにしなければなりません。全粒はトッピングやイース
トパンやねり粉に入れるのに適しています。
成人の推奨量
アマニ粉末 : 大さじ一杯の粉末は 1.8 グラムのα-リノレン酸にあたります。1 日当たり
の推奨量は女性で 1.1 グラム、男性で 1.6 グラムです( 21)。したがって成人では毎日大さじ
1 杯の粉末をとれば推奨量は満たされます。この量は充分現実味もあり、臨床実験にも等し
い量です。次に挙げた 11 の臨床実験では、3 週間から 3 ヶ月にわたって、毎日大さじ 2 杯か
ら6杯のアマニ粉末を食べてもらいましたが(40,55,119,126-130、136、144,145)、平均
するとα-リノレン酸の摂取量は1日当たり 5.5 グラムでした。きちんと毎日食するならば、
大さじ 1-2 杯の摂取でこの実験にあらわれた健康の効果を期待でき、かつ推奨量を満たすこ
とが出来ます。
アマニ油
: 大さじ1杯には 8 グラムのα-リノレン酸が入っています。小さじ1杯では
1.3 グラム程度で、成人の推奨量を大体満たします(21)。 臨床実験では 4 週間(225)と
3ヶ月(37,41,296 )にわたって毎日小さじ 1-2 杯を摂取しました。全てで 19 の臨床実験
では平均して毎日 25 グラム、大さじ 1.3 杯を摂って貰いました( 36-39,41,55 、 74 、
148-150,154、218、225、226,296-300)。
小児と妊娠中あるいは授乳中の女性
α-リノレン酸の推奨量を満たすには、小児で 1 日に小さじ 1/4 杯、妊娠や授乳中の女性で
小さじ 1/2 杯が必要です。マフィン、クッキーその他アマニの入った物を時折食することは
構いませんが、アマニ粉末を毎日食べることは、この範疇の方々に対するリグナンの働き
がもっと解明されるまではお控えください。アマニ以外にも多くの食物にリグナンは含ま
57
れています。例えば、アスパラガス、チャイブ、ブラックベリー、クランベリー、紅茶、
緑茶、コーヒー、全粒パン、豆類などです。リグナンがかなり多くの食べ物に広く存在す
ることは、いろいろな食べ物を程よく多種類にわたって食すべしとする昔ながらの格言の
正しさを物語っています。
オメガ 3 強化卵
表 13 に示すように、オメガ 3 強化卵はα-リノレン酸とその他のオメガ3脂肪酸のよき供
給源です。オメガ3強化卵 1 個には、平均して 0.34 グラムのα-リノレン酸と 0.13 グラム
の EPA+DHA が含まれています( 105)
。この卵だけでも各年齢層のα-リノレン酸の必要摂
取量をかなり満たすことが出来ます。 例えば、3 歳以下の小児ではこの卵 1 個で約半分
(49%)、男の子と男性で 1/4(21-28%), 女の子と女性で 1/3(31-34%) を摂取できます。
アマニ油での調理
アマニ油は果物のスムージー、サラダドレッシング、ヴィネグレットなど冷菜野料理に向
いています。炒め物もできますが、その温度は 150℃(300°F) 以下が望ましいです。ほとん
どの揚げ物は 177 から 196℃です。
全粒アマニでの調理
これはロールパン、ベーグル、普通のパン、サラダ、あるいは、焼く前のパン生地の中に
混ぜるなどの調理に適しています。パン工場では、小麦粉と混ぜる前に 10 分から 2 時間位、
アマニ種子を水に浸してから使用します。その際の侵水を小麦粉に加えると、パンのかさ
が大きくなります(246)。
アマニ粉末での調理
アマニは油分が高いので、粉末を使用する場合にはレシピーで指定された脂肪分を少なく
することが出来ます。目安として、3:1 の比率を用い、たとえばアマニ粉末大さじ 3 杯分を
いれると、ショートニング、マーガリン、バター、料理油などの大さじ 1 杯分を減らせま
す。
アマニ粉末は小麦粉と異なった特性を持っており、多く加えすぎると焼成物ではかさがで
ません。パン工場ではそのために生パンにグルテンを余分に加えることもあります。また
水分を多くすることも忘れないでください。大さじ 3 杯のアマニ粉末にたいし、15-20 ミリ
リットルほど(大さじ 1 杯ほど)大目の水分が必要です。なお油脂を使用したものに較べ
て、早めに焦げ目がつきますのでご注意ください。
アマニのレシピーをお捜しですか?
アマニ入りチャーハン、クッキーなどのレシピーはアマニ協会のサイトに載っています。
www.flaxcouncil.ca 協会はレシピー集も発行しています。
58
第 11 章
アマニの安全性について
私達の食べ物中の多くの植物と同じように(303)、アマニには、健康への効果が目下研究
中の栄養素の吸収に影響をあたえる化合物が含まれています。この章では人の栄養におけ
るこれらの化合物の役割と、アマニのアレルギーについて考察します。
シアン配糖体
シアン配糖体は、植物に見られる一連の天然物質であり、酵素や有機酸で分解されたとき
に有毒な化合物のシアンを放出します( 304、305)。シアン化合物を出す植物は数千種類も
存在し( 306)、その中には、キャッサバ(タピオカやマニオックとも呼ばれる)、ライマ豆、
竹の子、ソルガム、アマニ、りんご、桃、梅、さくらんぼ、あんずのような石果類など農
耕上重要な作物もあります。その他の食餌性シアンの出所としては、細胞の成長と赤血球
の健康に必要な必須ビタミンであるビタミン B12 や、ミルク、ビール、青い野菜等に自然に
見出されるチオシアネート(チオシアン塩酸)があります。チオシアネートはシアン配糖
体とグルコシノレートの分解産物であり、キビや、アブラナ科の植物であるきゃべつ、ブロ
ッコリ、カリフラワー、ケール(キャベツ類)、からし、かぶら、大根、ワサビダイコンな
どに見出されます(307、308)。チオシアネートはゴイトロジェン(甲状腺腫誘発物質)で
あり、甲状腺によるヨードの吸収を阻止します(308)。食べ物にゴイトロジェンが多く含
まれていると、甲状腺はできるだけ多くのヨードを取り込もうと肥大し、甲状腺腫がある
いは首にコブができます(309)。アマニを食すると甲状腺腫の症状が起きると言う所見は
ありません。ヨードの摂取が充分な場合は、甲状腺腫は健康上の問題とはなりませんし(303、
310)、北アメリカではごく稀です。 アジアやアフリカでは多いケースですが、その 96%
の場合はヨードの欠乏によるものであり、植物ゴイトロジェンの摂りすぎによるものでは
ありません(309)。米国では食塩にヨードを添加することによって、ヨードの欠乏による
障害は事実上無くなりました( 311 )。カナダでは卓上の塩は 1930 年代からヨードが加えら
れ、ヨードの摂取が不十分な内陸の地方など地域特有の障害は無くなりました(310)。卓
上の食塩へのヨードの添加はカナダでは義務づけられており、アメリカでも認められてい
ます。
さらにアマニを含むパンなどの焼き物を食しても、尿におけるチオシアネートのレベルに
影響はありません。あるカナダでの研究によると、4 週間毎日、アマニ入りマフィンを食し
た健康な女性達の尿のチオシアネートレベルに変化はありませんでした( 55)。この研究の
結果、血清のチオシアネートレベル、すなわち甲状腺腫になる危険性は増大していないこ
とを示唆しています。
シアン配糖体によって健康障害を起こす可能性のある人達は、キャッサバの多い貧弱な食
事をしていて、エネルギーとヨードの摂取量の低い人達と考えられます。それに較べると、
北米の人達は栄養もよく、毎日様々な食物を食べています。そのような健康な人の体は、
植物に見出される潜在的に害のある化合物を除去することができます(312)。
蛋白とヨードを充分に摂取している北米の人達にとっては、一日に大さじ1- 2 杯のアマニ
の適量を食することは健康上の障害にはならないでしょう。いくつかの臨床実験で、50 グ
ラムのアマニ粉末(大さじ 5‐6 杯分)入りのマフィンを、毎日、6 週間にわたって摂取し
59
た人達の検証では、シアン配糖体の痕跡は残らず、調理によってシアン配糖体を代謝して
生産を放出する酵素が破壊されていたことを示唆しています(55)。
栄養素拮抗体
リナチンはアマニに存在していますが、その量は人体に害を及ぼすほどではありません。
ヒヨコでは、リナチンはビタミン B6(ピリドキシン)の作用を阻害します。ビタミン B6
の充分でない餌で飼育した生後 7−10 日の雛では、その成長は貧弱でした(313) 。北アメリ
カではビタミン B6 の欠乏症は稀であり、そして、5 週間にわたって、45 グラムのアマニの
粉末入りマフィンを食した 30 人の成人の研究では、血清ピリドキシンのレベルに変化は見
られませんでした(314)。
フィチン酸は我々が食する多くの植物に含まれています。これはカルシウム、銅、鉄、マ
グネシウム、亜鉛などを結合させ、不溶性の合成物を腸の中に作ります(315)。ラットを使
った実験では、フィチン酸、カルシウム、亜鉛の摂取がアンバランスな場合は、発育が阻害
され、骨の亜鉛のレベルに減少が見られました。(316)。しかし、離乳期のラットに 90 日間
にわたり様々なレベルのアマニを、すなわち、様々なレベルのフィチン酸をあたえても、骨
の亜鉛レベルに影響はありませんでした(292)。最新の研究によれば、少なくともラット
に関しては、フィチン酸は血中グルコースを下げ、大腸がんの発生率を減少させます( 7)。
脂質酸化物
不飽和脂肪酸は、フリーラジカルによる攻撃に敏感です。その攻撃によるいわゆる酸化(酸
性)ストレスは、チオバルビツール酸反応物質(TBARS)など脂質酸化物のレベルの組織
内の増加によって示されます。健全な男性 10 人と( 40)、血中コレステロールの高い 15 人
の成人( 144)の研究では、アマニ粉末を食しても血清と尿の TBARS の計測にもとづく酸
化(酸性)ストレスの過多現象は見られませんでした。 3つ目の研究として、肥満した成人
にアマニ油(1日当り 20 グラムのα-リノレン酸換算)を 4 週間食事に加えて与えたケー
スでは、LDL コレステロールの分子中の TBARS は増加しましたが、全体の酸化率は増え
ませんでした。
この研究の注目に値するところは、その主な発見が、α-リノレン酸の含有量の高い食事が
血管の柔軟性の尺度である動脈膨張度を高めたことにあります。すなわち、LDL 酸化度の
増加にもかかわらず、動脈の状態はより健全になったのです(150)。
アマニによって過度の酸性ストレスが起きると言う症例は無く、アマニに含まれるリグナ
ンや、果物や、野菜に含まれる他の抗酸化物などの豊富な食事は、酸化ストレスの保護に
役立ちます(123、125、317)。
植物性エストロゲン
植物性エストロゲンは免疫システムを強化したり、中枢の神経システムを制御したり、更
年期の症状を和らげたり、また心臓血管疾患、ガン、骨粗しょう症などの病気の予防に役立
つかも知れません( 115、318)。ある種の植物性エストロゲンは、ホルモンのような働きを
持っていますので、その含有度の高い食物を作ることに専門家たちは注意をうながしてい
ます。何世紀にもわたって日本人が食べてきたように、長期の伝統的な食べ物の一部とし
60
て摂取すれば安全なようです( 319)。そのリスクと効用については、今後の研究によって明
らかになるでしょう。
アレルギー
アマニに対するアレルギーはごく稀なようで、医学の文献にもほんの一握りしか報告され
ていません(320−323)。アマニアレルギーの罹患率は判明していません。
他のアレルゲンとの交差反応性に関するデータもありません。
と同時に、
アマニは油糧種子であり、
ピーナッツのような豆類とは異なった分類上の範疇に属します。 アマニに対するアレル
ギーがご心配な方は、医師に相談なさることをお勧めします。
61
第12章 アマニの今後の研究課題
アマニには心臓疾患、脳卒中、癌、糖尿病などの疾病のリスクを軽減するとおもわれる健康
上の効果がありますが、魚油のほうがより効果が高いとの説もよく聞かれます。この章で
は魚油との比較、ならびに今後のアマニの研究課題について触れます。
魚油とアマニ油 – どちらがベター?
いくつかの臨床試験の結果として、α - リノレン酸の生物学的効果は、EPA や DHA などの
長鎖オメガ 3 脂肪酸ほど強力では無いと示唆されています。言い換えれば EPA や DHA の
豊富な魚油の健康上の利点は、α-リノレン酸を多く含んだアマニやアマニ油よりも大きい
ようであると言われていました。しかしがら、ほとんどの臨床試験の設定条件を調べてみ
ますと、かならずしも正当な比較が行われていたとは言えません。例えば表 14 のデータに
しても、ボランテイアはアマニ油を毎日 8 週間摂取しました(74)。4 週間後に魚油のカプ
セルを 9 個づつ毎日追加しました。従って、最初の 4 週間はアマニ油だけを、次の 4 週間は
アマニ油と魚油の両方を摂取しました。アマニ油からのα-リノレン酸の平均摂取量は 1 日
当たり 13.7 グラムです。一方、漁油からの EPA と DHA の摂取量は 1 日当たり 2.7 グラム
です。
表 14
アマニ油と魚油の効果について
炎症促進剤
a
促進剤のタイプ
炎症促進剤の細胞濃度の変化 b
アマニ油
アマニ油 +魚油
( 0-4 週)
( 4-8 週)
トロンボキサン B 2
エイコサノイド
↓30%*
↓58% **
腫瘍壊死因子-α
サイトカイン
↓26%*
↓76% **
インタールーキン-1-β
サイトカイン
↓28%*
↓81%**
a
Caughey et al.から採用 (74).
b
健全な男性が 4 週間アマニ油を摂取、( 0-4 週), ついで、アマニ油プラス魚油のカプセルを
4 週間摂取 ( 4 -8 週)。 炎症促進剤の濃度は免疫細胞にて計測した。
*
**
ベース(0週)とはかなり異なる。
ベース(0週)ならびにアマニ油だけの期間(4 週)とはかなり異なる。
62
この表の結果によれば、魚油はアマニ油に較べて炎症に関する 3 つの測定において、かな
り大きな効果があったことになります。さらにα-リノレン酸の含量は EPA+DHA の含量の
5 倍あったにもかかわらず、EPA と DHA の生物学的働きの方が勝っていたことにもなりま
す。しかしこの研究におけるα-リノレン酸の生物学的働きについては、アマニ油の適度な
量(大さじ11/3 杯)を毎日摂取して測定したものである一方、魚油の実験における EPA
と DHA の摂取量は、毎日 4 週間にわたって、3 オンスの鮭を 2 1/2 食分、水煮のマグロ 12
食分、たら 20 食分を食したに等しい量でした。言い換えれば、アマニ油摂取量の適正レベ
ルに対して、魚油から摂取する EPA と DHA は薬物の投与レベルに等しい量でした。これ
らいくつかの研究では EPA と DHA の大量投与は、魚油の補助食品のみを摂取することに
よって達成できる生物学的かつ臨床的結果です。もっと現実的なレベルでの EPA と DHA
の摂取を較べれば、結果はα-リノレン酸に近いものであったかもしれません。
オメガ 3 脂肪酸の生物学的等価性を評価する為に、実験方法をどのように条件設定するべ
きかの方法論は参考文献 324 に載っています。
アマニの研究に関するアイデアについて
アマニの成分、とくにαリノレン酸とリグナンについては、その生物学的働きを明らかに
する為に更なる研究が必要です。いまのところは以下のような研究が要求されています:
・
α-リノレン酸のユニークな機能、
・
健康なヒトおよび病気の患者において、α-リノレン酸はどれだけ長鎖代謝物質に
変換されるか、
・
EPA および DHA に対するα-リノレン酸の生物学的等価性、
α-リノレン酸摂取の際のバイオマーカー、例えば脂肪組織におけるα-リノレン酸
・
の含量の研究、
・
心臓疾患、アルツハイマー病やその他の酸化ストレスの状態に対するリグナンの
抗酸化剤としての働き、
・
・
α-リノレン酸のようなアマニの成分と市販の凝固阻止剤や利尿薬との相関関係、
アマニのリグナンとタモキシフェンとの相関作用。
63
参考文献
1.
Hasler CM. 1998. Functional foods: Their role in disease prevention and health promotion. Food Tech. 52: 63-70.
2.
Hasler CM. 2002. Functional foods: Benefits, concerns and challenges — _A position paper from the American Council on
Science and Health. J. Nutr. _132: 3772-3781.
3.
Freeman TP. 1995. Structure of flaxseed. In: Flaxseed in Human Nutrition, eds Cunnane SC and Thompson LU, AOCS
Press, Champaign, IL, pp. 11-21.
4.
Carter JF. 1996. Sensory evaluation of flaxseed of different varieties. Proc. Flax Inst. 56: 201-203.
5.
BeMiller JN, Whistler RL, Barkalow DG. 1993. Aloe, chia, flaxseed, okra, psyllium seed, quince seed, and tamarind gums.
In: Industrial Gums, eds Whistler RL and BeMiller JN, 3rd ed, Academic Press, New York, pp. 227-256.
6.
Anonymous. 2001. Nutritional profile of no. 1 Canada Western flaxseed and of yellow flaxseed samples. Canadian Grain
Commission, Winnipeg, MB.
7.
Daun JK, Barthet VJ, Chornick TL, Duguid S. 2003. Structure, composition, and variety development of flaxseed. In:
Flaxseed in Human Nutrition, eds Thompson LU and Cunnane SC, 2nd ed, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 1-40.
8.
Daun JK, DeClercq DR. 1994. Sixty years of Canadian flaxseed quality surveys at the Grain Research Laboratory. Proc.
Flax Inst. 55: 192-200.
9.
McDonald BE. 1994. Canola oil nutritional properties. Canola Council of Canada, Winnipeg, MB.
10.
POS. 1994. Fatty acid analyses. POS Pilot Plant Corporation, Saskatoon, SK.
11.
Dean J. [Personal communication, 2003]. Agricore United. Winnipeg, MB.
12.
Green AG, Dribnenki JCP. 1994. Linola — A new premium polyunsaturated oil. Lipid Tech. 6: 29-33.
13.
Vaisey-Genser M, Malcolmson LJ, Ryland D, et al. 1994. Consumer acceptance of canola oils during
temperature-accelerated storage. Food Quality Preference 5: 237-243.
14.
Kibiuk DJ. 1996. Storage stability and frying performance of solin and sunflower oils. MSc Thesis, University of Manitoba,
Winnipeg, MB.
15.
Warner K, Mounts TL. 1993. Frying stability of soybean and canola oils with modified fatty acid compositions. J. Am. Oil
Chem. Soc. 70: 983-988.
16.
Bhatty RS, Cherdkiatgumchai P. 1990. Compositional analysis of laboratory-_prepared and commercial samples of linseed
meal and of hull isolated from flax. J. Am. Oil Chem. Soc. 67:79-84.
17.
Oomah BD, Mazza G. 1993. Flaxseed proteins — A review. Food Chem. 48: _109-114.
18.
Friedman M, Levin CE. 1989. Composition of jimson weed (Datura stramonium ) seeds. J. Agric. Food Chem. 37:
998-1005.
19.
Aubrecht E, Horacsek M, Gelencser E, Dworschak E. 1998. Investigation of _prolamin content of cereals and different plant
seeds. Acta Alimentaria 27: _119-125.
20.
Connon JJ. 1999. Celiac disease. In: Modern Nutrition in Health and Disease, eds Shils ME, Olson JA, Shike M and Ross
AC, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp. 1163-1168.
21.
Institute of Medicine. 2002. Dietary Reference Intakes for Energy, Carbohydrate, Fiber, Fat, Fatty Acids, Cholesterol,
Protein, and Amino Acids, National Academies Press, Washington, DC, pp. 7-1— 7-69 (dietary fiber), 8-1— 8-97 (fat and
fatty acids).
22.
Murphy PA, Hendrich S. 2002. Phytoestrogens in foods. Adv. Food Nutr. Res. 44: 195-246.
23.
Oomah BD, Mazza G. 1998. Flaxseed products for disease prevention. In: Functional Foods: Biochemical & Processing
Aspects, ed Mazza G, Technomic Publishing, Lancaster, PA, pp. 91-138.
24.
Oomah BD, Kenaschuk EO, Mazza G. 1995. Phenolic acids in flaxseed. J. Agric. Food Chem. 43: 2016-2019.
64
25.
Harris RK, Haggerty WJ. 1993. Assays for potentially anticarcinogenic _phytochemicals in flaxseed. Cereal Foods World 38:
147-151.
26.
Nielsen SE, Freese R, Kleemola P, Mutanen M. 2002. Flavonoids in human urine as biomarkers for intake of fruits and
vegetables. Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 11: 459-466.
27.
Anonymous. 1997. Contractual analy ses. Flax Council of Canada, Winnipeg, MB.
28.
Daun JK, Przybylski R. 2000. Environmental effects on the composition of four Canadian flax cultivars. Proc. Flax Inst. 58:
80-91.
29.
Brigelius-Flohé R, Traber MG. 1999. Vitamin E: Function and metabolism. FASEB J. 13: 1145-1155.
30.
Przybylski R. [Personal communication, 2003]. University of Manitoba. Winnipeg, MB.
31.
Horrobin DF, Manku MS. 1990. Clinical biochemistry of essential fatty acids. In: Omega-6 Essential Fatty Acids, ed
Horrobin DF, Alan R. Liss, New York, pp. 21-53.
32.
Emken EA. 1995. Influence of linoleic acid on conversion of linolenic acid to omega -3 fatty acids in humans. In:
Proceedings from the Scientific Conference on Omega-3 Fatty Acids in Nutrition, Vascular Biology, and Medicine, American
Heart Association, Dallas, TX, pp. 9-18.
33.
Cunnane SC. 2003. Dietary sources and metabolism of ? -linolenic acid. In: Flaxseed in Human Nutrition, eds Thompson LU
and Cunnane SC, 2nd ed, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 63-91.
34.
Cunnane SC, Anderson MJ. 1997. The majority of dietary linoleate in growing rats is ? -oxidized or stored in visceral fat. J.
Nutr. 127: 146-152.
35.
DeLany JP, Windhauser MM, Champagne CM, Bray GA. 2000. Differential _oxidation of individual dietary fatty acids in
humans. Am. J. Clin. Nutr. 72: _905-911.
36.
Allman-Farinelli MA, Hall D, Kingham K, et al. 1999. Comparison of the effects of two low fat diets with different
? -linolenic:linoleic acid ratios on coagulation and fibrinolysis. Atherosclerosis 142: 159-168.
37.
Layne KS, Goh YK, Jumpsen JA, et al. 1996. Normal subjects consuming _physiological levels of 18:3(n-3) and 20:5(n-3)
from flaxseed or fish oils have characteristic differences in plasma lipid and lipoprotein fatty acid levels. J. Nutr. 126:
2130-2140.
38.
Sanders TAB, Roshanai F. 1983. The influence of different types of ? 3 _polyunsaturated fatty acids on blood lipids and
platelet function in healthy _volunteers. Clin. Sci. 64: 91-99.
39.
Mantzioris E, James MJ, Gibson RA, Cleland LG. 1994. Dietary substitution _with an ? -linolenic acid-rich vegetable oil
increases eicosapentaenoic acid _concentrations in tissues. Am. J. Clin. Nutr. 59: 1304-1309.
40.
Cunnane SC, Hamadeh MJ, Liede AC, et al. 1995. Nutritional attributes of _traditional flaxseed in healthy young adults. Am.
J. Clin. Nutr. 61: 62-68.
41.
Goh YK, Jumpsen JA, Ryan EA, Clandinin MT. 1997. Effect of ? 3 fatty acid on plasma lipids, cholesterol and lipoprotein
fatty acid content in NIDDM patients. Diabetologia 40: 45-52.
42.
Qiu X. 2003. Biosynthesis of docosahexaenoic acid (DHA, 22:6 -4,7,10,13,16,19): Two distinct pathways. Prostaglandins
Leuko. Essent. Fatty Acids 68: 181-186.
43.
Gerster H. 1998. Can adults adequately convert ? -linolenic acid (18:3n-3) to eicosapentaenoic acid (20:5n-3) and
docosahexaenoic acid (22:6n-3)? Internat. _J. Vit. Nutr. Res. 68: 159-173.
44.
Emken EA, Adlof RO, Gulley RM. 1994. Dietary linoleic acid influences _desaturation and acylation of deuterium-labeled
linoleic and linolenic acids in young adult males. Biochim. Biophys. Acta 1213: 277-288.
45.
Pawlosky RJ, Hibbeln JR, Novotny JA, Salem Jr N. 2001. Physiological _compartmental analysis of ? -linolenic acid
metabolism in adult humans. J. Lipid Res. 42: 1257-1265.
46.
Ferrier LK, Caston LJ, Leeson S, et al. 1995. ? -Linolenic acid- and docosa-_hexaenoic acid-enriched eggs from hens fed
flaxseed: Influence on blood lipids and platelet phospholipid fatty acids in humans. Am. J. Clin. Nutr. 62: _81-86.
47.
Scheideler SE, Froning GW. 1996. The combined influence of dietary flaxseed variety, level, form, and storage conditions on
egg production and composition among vitamin E-supplemented hens. Poult. Sci. 75: 1221-1226.
65
48.
Al MDM, Badart-Smook A, Houwelingen ACv, et al. 1996. Fat intake of women during normal pregnancy: Relationship
with maternal and neonatal essential fatty acid status. J. Am. Coll. Nutr. 15: 49-55.
49.
Garg ML, Wierzbicki AA, Thomson ABR, Clandinin MT. 1988. Dietary cholesterol and/or n-3 fatty acid modulate
? 9-desaturase activity in rat liver microsomes. Biochim. Biophys. Acta 962: 330-336.
50.
Leikin AI, Brenner RR. 1987. Cholesterol-induced microsomal changes modulate desaturase activities. Biochim. Biophys.
Acta 922: 294-303.
51.
Berger A, Gershwin ME, German JB. 1992. Effects of various dietary fats on _cardiolipin acyl composition during ontogeny
of mice. Lipids 27: 605-612.
52.
Li D, Mann NJ, Sinclair AJ. 1999. Comparison of n-3 polyunsaturated fatty acids from vegetable oils, meat, and fish in
raising platelet eicosapentaenoic acid _levels in humans. Lipids 34: S309.
53.
Ackman RG, Cunnane SC. 1992. Long-chain polyunsaturated fatty acids: Sources, biochemistry, and nutritional/clinical
applications. Adv. Appl. Lipid Res. 1: _161-215.
54.
Houwelingen ACv, Hornstra G. 1994. Trans fatty acids in early human _development. World Rev. Nutr. Diet. 75: 175-178.
55.
Cunnane SC, Ganguli S, Menard C, et al. 1993. High ? -linolenic acid flaxseed (Linum usitatissimum ): Some nutritional
properties in humans. Br. J. Nutr. 69: 443-453.
56.
Brossard N, Croset M, Pachiaudi C, et al. 1996. Retroconversion and metabolism of [13C]22:6n-3 in humans and rats after
intake of a single dose of [13C]22:6n-3- triacylglycerols. Am. J. Clin. Nutr. 64: 577-586.
57.
Seeds MC, Bass DA. 1999. Regulation and metabolism of arachidonic acid. Clin. Rev. Allergy Immunol. 17: 5-26.
58.
Calder PC. 1998. Dietary fatty acids and the immune system. Nutr. Rev. 56: _S70-S83.
59.
Lands WEM. 1993. Eicosanoids and health. Ann. N.Y. Acad. Sci. 676: 46-59.
60.
Henderson Jr WR. 1994. The role of leukotrienes in inflammation. Ann. Intern. Med. 121: 684-697.
61.
Ross R. 1999. Atherosclerosis — An inflammatory disease. N. Engl. J. Med. 340: 115-126.
62.
Simopoulos AP. 1999. Essential fatty acids in health and chronic disease. Am. J. Clin. Nutr. 70: 560S-569S.
63.
Connor WE. 2000. Importance of n-3 fatty acids in health and disease. Am. J. Clin. Nutr. 71: 171S-175S.
64.
Ascherio A, Rimm EB, Giovannucci EL, et al. 1996. Dietary fat and risk of _coronary heart disease in men: Cohort follow up
study in the United States. Br. Med. J. 313: 84-90.
65.
de Lorgeril M, Renaud S, Mamelle N, et al. 1994. Mediterranean alpha-linolenic acid-rich diet in secondary prevention of
coronary heart disease. Lancet 343: 1454-1459.
66.
Ratnayake WMN, Chen Z-Y. 1996. Trans, n-3, and n-6 fatty acids in Canadian human milk. Lipids 31: S279-S282.
67.
Yu G, Duchén K, Björkstén B. 1998. Fatty acid composition in colostrum and mature milk from non-atopic and atopic
mothers during the first 6 months of _lactation. Acta Paediatr. 87: 729-736.
68.
Sinclair AJ, Attar-Bashi NM, Li D. 2002. What is the role of ? -linolenic acid for mammals? Lipids 37: 1113-1123.
69.
Tarpila S, Aro A, Salminen I, et al. 2002. The effect of flaxseed supplementation in processed foods on serum fatty acids and
enterolactone. Eur. J. Clin. Nutr. 56: 157-165.
70.
Nair SSD, Leitch JW, Falconer J, Garg ML. 1997. Prevention of cardiac _arrhythmia by dietary (n-3) polyunsaturated fatty
acids and their mechanism of action. J. Nutr. 127: 383-393.
71.
Garg ML, Thomson ABR, Clandinin MT. 1990. Interactions of saturated, n-6 and n-3 polyunsaturated fatty acids to modulate
arachidonic acid metabolism. J. Lipid Res. 31: 271-277.
72.
Healy DA, Wallace FA, Miles EA, et al. 2000. Effect of low-to-moderate amounts of dietary fish oil on neutrophil lipid
composition and function. Lipids 35: _763-768.
73.
Magrum LJ, Johnston PV. 1983. Modulation of prostaglandin synthesis in rat peritoneal macrophages with ? -3 fatty acids.
Lipids 18: 514-521.
66
74.
Caughey GE, Mantzioris E, Gibson RA, et al. 1996. The effect on human tumor necrosis factor ? and interleukin 1?
production of diets enriched in n-3 fatty acids from vegetable oil or fish oil. Am. J. Clin. Nutr. 63: 116-122.
75.
Abbas AK, Lichtman AH, Pober JS. 1994. Cytokines. In: Cellular and Molecular Immunology, W.B. Saunders Company,
Philadelphia, pp. 240-260.
76.
Krueger JM, Majde JA. 1995. Cytokines and sleep. Int. Arch. Allergy Immunol. 106: 97-100.
77.
Heller A, Koch T , Schmeck J, van Ackern K. 1998. Lipid mediators in _inflammatory disorders. Drugs 55: 487-496.
78.
Hall AV, Parbtani A, Clark WF, et al. 1993. Abrogation of MRL/lpr lupus nephritis by dietary flaxseed. Am. J. Kidney Dis.
22: 326-332.
79.
Kankaanpää P, Süt as Y, Salminen S, et al. 1999. Dietary fatty acids and allergy. Ann. Med. 31: 282-287.
80.
Aarsland A, Lundquist M, Borretsen B, Berge RK. 1990. On the effect of _peroxisomal ? -oxidation and carnitine
palmitoyltransferase activity by _eicosapentaenoic acid in liver and heart from rats. Lipids 25: 546-548.
81.
Rambjør GS, Walen AI, Windsor SL, Harris WS. 1996. Eicosapentaenoic acid is primarily responsible for
hypotriglyceridemic effect of fish oil in humans. Lipids 31: S45-S49.
82.
Emken EA, Adlof RO, Duval SM, Nelson GJ. 1999. Effect of dietary _docosahexaenoic acid on desaturation and uptake in
vivo of isotope-labeled oleic, linoleic, and linolenic acids by male subjects. Lipids 34: 785-791.
83.
Greiner RCS, Winter J, Nathanielsz PW, Brenna JT. 1997. Brain _docosahexaenoate accretion in fetal baboons:
Bioequivalence of dietary _? -linolenic and docosahexaenoic acids. Pediatr. Res. 42: 826-834.
84.
Duque AG. 1997. The role of lipids in fetal brain development. Perinat. Nutr. Rep. Spring: 4-5.
85.
Ghebremeskel K, Min Y, Crawford MA, et al. 2000. Blood fatty acid composition of pregnant and nonpregnant Korean
women: Red cells may act as a reservoir of arachidonic acid and docosahexaenoic acid for utilization by the developing fetus.
Lipids 35: 567-574.
86.
Simopoulos AP. 1999. New products from the agri-food industry: The return of _n-3 fatty acids into the food supply. Lipids
34: S297-S301.
87.
Cordain L, Watkins BA, Florant GL, et al. 2002. Fatty acid analysis of wild _ruminant tissues: Evolutionary implications for
reducing diet-related chronic _disease. Eur. J. Clin. Nutr. 56: 181-191.
88.
Simopoulos AP. 1999. Evolutionary aspects of omega -3 fatty acids in the food supply. Prostaglandins Leuko. Essent. Fatty
Acids 60: 421-429.
89.
U.S. Department of Agricult ure, Agriculture Research Service, Food Surveys Research Group. 1997. Data tables: Intakes of
19 individual fatty acids: Results from 1994-1996 Continuing Survey of Food Intakes by Individuals. Available at
www.barc.usda.gov/bhnrc/foodsurvey/home.htm. Accessed 7 August 2003.
90.
National Institute of Nutrition. 1999. Nutritional significance of n-6 and n-3 essential fatty acids. Available at www.nin.ca.
Accessed 7 August 2003.
91.
Innis SM, Elias SL. 2003. Intakes of essential n-6 and n-3 polyunsaturated fatty acids among pregnant Canadian women. Am.
J. Clin. Nutr. 77: 473-478.
92.
Simopoulos AP. 2001. n-3 Fatty acids and human health: Defining strategies for public policy. Lipids 36: S83-S89.
93.
Health and Welfare Canada. 1990. Nutrition Recommendations. The Report of the Scientific Review Committee. Department
of Supply and Services, Cat. No. H49-42/1990E, Ottawa, ON.
94.
WHO and FAO Joint Consultation. 1995. Fats and oils in human nutrition. Nutr. Rev. 53: 202-205.
95.
Nutrition Advisory Panel. 1995. Executive Summary. Flax Council of Canada, Winnipeg, MB.
96.
Simopoulos AP, Leaf A, Salem Jr N. 1999. Workshop on the Essentiality of and Recommended Dietary Intakes for Omega-6
and Omega-3 Fatty Acids. Available on the Web site of the International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids
(ISSFAL) at www.issfal.org.uk/adequateintakes.htm. Accessed 7 August 2003.
97.
Renaud S, de Lorgeril M, Delaye J, et al. 1995. Cretan Mediterranean diet for prevention of coronary heart disease. Am. J.
Clin. Nutr. 61: 1360S-1367S.
67
98.
Krawczyk T. 2001. Do infants need extra DHA, AA? Inform 12: 1064-1071, _1073-1074.
99.
Carver JD. 2003. Advances in nutritional modifications of infant formulas. Am. J. Clin. Nutr. 77: 1550S-1554S.
100. Carlson SE, Neuringer M. 1999. Polyunsaturated fatty acid status and _neurodevelopment: A summary and critical analysis
of the literature. Lipids 34: 171-178.
101. Jensen CL, Chen H, Fraley JK, et al. 1996. Biochemical effects of dietary linoleic/? -linolenic acid ratio in term infants.
Lipids 31: 107-113.
102. Kris-Etherton PM, Taylor DS, Yu-Poth S, et al. 2000. Polyunsaturated fatty acids in the food chain in the United States. Am.
J. Clin. Nutr. 71: 179S-188S.
103. U.S. Department of Agriculture. National Nutrient Database for Standard Reference, Release 15. Available at
www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp. Accessed 7 August 2003.
104. Nettleton JA. 1991. ? -3 Fatty acids: Comparison of plant and seafood sources in human nutrition. J. Am. Diet. Assoc. 91:
331-337.
105. Flax Council of Canada. 2003. The novel egg: Opportunities for flax in omega -3 egg production. Flax Council of Canada,
Winnipeg, MB.
106. Crew S. [Personal communication, 2003]. Hemp Oil Canada. Ste. Agathe, MB.
107. Calder PC. 1998. Immunoregulatory and anti-inflammatory effects of n-3 _polyunsaturated fatty acids. Braz. J. Med. Biol.
Res. 31: 467-490.
108. Schatzman D. 2001. The omega -3 resurgence. Nutr. Outlook April: 37-42.
109. Gann PH, Hennekens CH, Ma J, et al. 1996. Prospective study of sex hormone levels and risk of prostate cancer. J. Natl.
Cancer Inst. 88: 1118-1126.
110. Wynder EL, Cohen LA, Muscat JE, et al. 1997. Breast cancer: Weighing the _evidence for a promoting role of dietary fat. J.
Natl. Cancer Inst. 89: 766-775.
111. Dinkova-Kostova AT, Gang DR, Davin LB, et al. 1996. (+) -Pinoresinol/_(+) -lariciresinol reductase from Forsythia
intermedia . J. Biol. Chem. 271: _29473-29482.
112. Thompson LU, Rickard SE, Cheung F, et al. 1997. Variability in anticancer lignan levels in flaxseed. Nutr. Cancer 27: 26-30.
113. Thompson LU. 2003. Analysis and bioavailability of lignans. In: Flaxseed in Human Nutrition, eds Thompson LU and
Cunnane SC, 2nd ed, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 92-116.
114. Bhathena SJ, Velasquez MT. 2002. Beneficial role of dietary phytoestrogens in obesity and diabetes. Am. J. Clin. Nutr. 76:
1191-1201.
115. Tham DM, Gardner CD, Haskell WL. 1998. Potential health benefits of dietary phytoestrogens: A review of the clinical,
epidemiological, and mechanistic _evidence. J. Clin. Endocrinol. Metab. 83: 2223-2235.
116. Westcott ND, Muir AD. 2003. Flax lignan update. Saskatchewan Flax Grower _4: 6.
117. Rickard SE, Thompson LU. 1997. Phytoestrogens and lignans: Effects on _reproduction and chronic disease. In:
Antinutrients and Phytochemicals in Foods, ed Shahidi F, Oxford University Press, New York, pp. 273-293.
118. Axelson M, Sjövall J, Gustafsson BE, Setchell KDR. 1982. Origin of lignans in mammals and identification of a precursor
from plants. Nature 298: 659-660.
119. Nesbitt PD, Lam Y, Thompson LU. 1999. Human metabolism of mammalian _lignan precursors in raw and processed
flaxseed. Am. J. Clin. Nutr. 69: 549-555.
120. Kirkman LM, Lampe JW, Campbell DR, et al. 1995. Urinary lignan and isoflavonoid excretion in men and women
consuming vegetable and soy diets. Nutr. Cancer 24: 1-12.
121. Hutchins AM, Slavin JL. 2003. Effects of flaxseed on sex hormone metabolism. _In: Flaxseed in Human Nutrition, eds
Thompson LU and Cunnane SC, 2nd ed, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 126-149.
122. Clark WF, Parbtani A, Huff MW, et al. 1995. Flaxseed: A potential treatment for lupus nephritis. Kidney Int. 48: 475-480.
68
123. Prasad K. 1997. Hydroxyl radical-scavenging property of secoisolariciresinol diglucoside (SDG) isolated from flax-seed.
Mol. Cell. Biochem. 168: 117-123.
124. Praticò D. 2001. In vivo measurement of the redox state. Lipids 36: S45-S47.
125. Kitts DD, Yuan YV, Wijewickreme AN, Thompson LU. 1999. Antioxidant activity of the flaxseed lignan secoisolariciresinol
diglycoside and its mammalian lignan metabolites enterodiol and enterolactone. Mol. Cell. Biochem. 202: 91-100.
126. Morton MS, Wilcox G, Wahlqvist ML, Griffiths K. 1994. Determination of lignans and isoflavonoids in human female
plasma following dietary supplementation. J. Endocrinol. 142: 251-259.
127. Lampe JW, Martini MC, Kurzer MS, et al. 1994. Urinary lignan and isoflavonoid excretion in premenopausal women
consuming flaxseed powder. Am. J. Clin. Nutr. 60: 122-128.
128. Hutchins AM, Martini MC, Olson BA, et al. 2000. Flaxseed influences urinary _lignan excretion in a dose-dependent manner
in postmenopausal women. Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 9: 1113-1118.
129. Shultz TD, Bonorden WR, Seaman WR. 1991. Effect of short -term flaxseed _consumption on lignan and sex hormone
metabolism in men. Nutr. Res. 11: 1089-1100.
130. Haggans CJ, Hutchins AM, Olson BA, et al. 1999. Effect of flaxseed consumption on urinary est rogen metabolites in
postmenopausal women. Nutr. Cancer 33: 188-195.
131. Martin ME, Haourigui M, Pelissero C, et al. 1996. Interactions between _phytoestrogens and human sex steroid binding
protein. Life Sci. 58: 429-436.
132. Tou JCL, Chen J, Thompson LU. 1998. Flaxseed and its lignan precursor, _secoisolariciresinol diglycoside, affect pregnancy
outcome and reproductive development in rats. J. Nutr. 128: 1861-1868.
133. Tou JCL, Chen J, Thompson LU. 1999. Dose, timing, and duration of flaxseed exposure affect reproductive indices and sex
hormone levels in rats. J. Toxicol. Environ. Health 56 (Part A): 555-570.
134. Phipps WR, Martini MC, Lampe JW, et al. 1993. Effect of flax seed ingestion on the menstrual cycle. J. Clin. Endocrinol.
Metab. 77: 1215-1219.
135. Wilcox G, Wahlqvist ML, Burger HG, Medley G. 1990. Oestrogenic effects of plant foods in postmenopausal women. Br.
Med. J. 301: 905-906.
136. Lemay A, Dodin S, Kadri N, et al. 2002. Flaxseed dietary supplement versus _hormone replacement therapy in
hypercholesterolemic menopausal women. Obstet. Gynecol. 100: 495-504.
137. McDonald BE. 1993. Dietary fat –Fine tuning the message. NIN Review No. 20. Supplement to Rapport 8 (1). National
Institute of Nutrition, Ottawa, ON.
138. Kang JX, Leaf A. 1996. Antiarrhythmic effects of polyunsaturated fatty acids: Recent studies. Circulation 94: 1774-1780.
139. Billman GE, Kang JX, Leaf A. 1999. Prevention of sudden cardiac death by dietary pure ? -3 polyunsaturated fatty acids in
dogs. Circulation 99: 2452-2457.
140. Kang JX, Leaf A. 1996. Protective effects of free polyunsaturated fatty acids on arrhythmias induced by
lysophosphatidylcholine or palmitoylcarnitine in _neonatal rat cardiac myocytes. Eur. J. Pharmacol. 297: 97-106.
141. Geelen A, Brouwer IA, Zock PL, et al. 2002. (n-3) Fatty acids do not affect _electrocardiographic characteristics of healthy
men and women. J. Nutr. 132: 3051-3054.
142. Institute of Shortening and Edible Oils. 1999. Food Fats and Oils, 8th ed. Available at www.iseo.org. Accessed 6 August
2003.
143. Institute of Medicine. 2002. Dietary Reference Intakes for Energy, Carbohydrate, Fiber, Fat, Fatty Acids, Cholesterol,
Protein, and Amino Acids, National Academies Press, Washington, DC, pp. 3-1 - 3-28 (macronutrients and chronic disease).
144. Bierenbaum ML, Reichstein R, Watkins TR. 1993. Reducing atherogenic risk in hyperlipemic humans with flax seed
supplementation: A preliminary report. J. Am. Coll. Nutr. 12: 501-504.
145. Lucas EA, Wild RD, Hammond LJ, et al. 2002. Flaxseed improves lipid profile without altering biomarkers of bone
metabolism in postmenopausal women. J. Clin. Endocrinol. Metab. 87: 1527-1532.
69
146. Jenkins DJA, Kendall CWC, Vidgen E, et al. 1999. Health aspects of partially defatted flaxseed, including effects on serum
lipids, oxidative measures, _and ex vivo androgen and progestin activity: A controlled crossover trial. Am. J. Clin. Nutr. 69:
395-402.
147. Abbey M, Clifton P, Kestin M, et al. 1990. Effect of fish oil on lipoproteins, lecithin:cholesterol acyltransferase, and lipid
transfer protein activity in humans. Arteriosclerosis 10: 85-94.
148. Kelley DS, Nelson GJ, Love JE, et al. 1993. Dietary ? -linolenic acid alters tissue fatty acid composition but not blood lipids,
lipoproteins or coagulation status in humans. Lipids 28: 533-537.
149. Kestin M, Clifton P, Belling GB, Nestel PJ. 1990. n-3 Fatty acids of marine _origin lower systolic blood pressure and
triglycerides but raise LDL cholesterol _compared with n-3 and n-6 fatty acids from plants. Am. J. Clin. Nutr. 51:
_1028-1034.
150. Nestel PJ, Pomeroy SE, Sasahara T, et al. 1997. Arterial compliance in obese _subjects is improved with dietary plant n-3
fatty acid from flaxseed oil despite increased LDL oxidizability. Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 17: 1163-1170.
151. Garg ML, Wierzbicki AA, Thomson ABR, Clandinin MT. 1989. Dietary saturated fat level alters the competition between
? -linolenic and linoleic acid. Lipids 24: 334-339.
152. Siebert BD, McLennan PL, Woodhouse JA, Charnock JS. 1993. Cardiac _arrhythmia in rats in response to dietary n-3 fatty
acids from red meat, fish oil and canola oil. Nutr. Res. 13: 1407-1418.
153. McLennan PL, Dallimore JA. 1995. Dietary canola oil modifies myocardial fatty acids and inhibits cardiac arrhythmias in
rats. J. Nutr. 125: 1003-1009.
154. Chan JK, Bruce VM, McDonald BE. 1991. Dietary ? -linolenic acid is as effective as oleic acid and linoleic acid in lowering
blood cholesterol in normolipidemic men. Am. J. Clin. Nutr. 53: 1230-1234.
155. de Lorgeril M, Salen P, Martin J-L, et al. 1999. Mediterranean diet, traditional risk factors, and the rate of cardiovascular
complications after myocardial _infarction: Final report of the Lyon Diet Heart Study. Circulation 99: 779-785.
156. Dolecek TA. 1992. Epidemiological evidence of relationships between dietary polyunsaturated fatty acids and mortality in
the Multiple Risk Factor Intervention Trial. Pro. Soc. Exp. Biol. Med. 200: 177-182.
157. Lemaitre RN, King IB, Mozaffarian D, et al. 2003. n-3 Polyunsaturated fatty acids, fatal ischemic heart disease, and nonfatal
myocardial infarction in olde r adults: The Cardiovascular Health Study. Am. J. Clin. Nutr. 77: 319-325.
158. Djoussé L, Pankow JS, Eckfeldt JH, et al. 2001. Relation between dietary linolenic acid and coronary artery disease in the
National Heart, Lung, and Blood Institute Family Heart Study. Am. J. Clin. Nutr. 74: 612-619.
159. Hu FB, Stampfer MJ, Manson JE, et al. 1999. Dietary intake of ? -linolenic acid and risk of fatal ischemic heart disease
among women. Am. J. Clin. Nutr. 69: 890-897.
160. Oomen CM, Ocké MC, Feskens EJM, et al. 2001. ? -Linolenic acid intake is not beneficially associated with 10-y risk of
coronary artery disease incide nce: The Zutphen Elderly Study. Am. J. Clin. Nutr. 74: 457-463.
161. Djoussé L. 2002. Reply to SC Renaud and D Lanzmann-Petithory (letter). Am. J. Clin. Nutr. 76: 905-906.
162. Renaud SC, Lanzmann-Petithory D. 2002. The beneficial effect of ? -linolenic acid in coronary artery disease is not
questionable (letter). Am. J. Clin. Nutr. 76: _903-904.
163. Vos E, Cunnane SC. 2003. ? -Linolenic acid, linoleic acid, coronary artery disease, and overall mortality (letter). Am. J. Clin.
Nutr. 77: 521-522.
164. Simon JA, Fong J, Bernert Jr JT, Browner WS. 1995. Serum fatty acids and the risk of stroke. Stroke 26: 778-782.
165. Brodsky IG. 1999. Hormone, cytokine, and nutrient interactions. In: Modern Nutrition in Health and Disease, eds Shils ME,
Olson JA, Shike M and Ross AC, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp. 699-724.
166. Semenkovich CF. 1999. Nutrient and genetic regulation of lipoprotein metabolism. In: Modern Nutrition in Health and
Disease, eds Shils ME, Olson JA, Shike M and Ross AC, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp. 1191-1197.
167. American Cancer Society. 2003. Cancer Facts & Figures, 2003. Available at www.cancer.org. Accessed 7 August 2003.
168. Diggle CP. 2002. In vitro studies on the relationship between polyunsaturated fatty acids and cancer: Tumour or tissue
specific effects? Prog. Lipid Res. 41: _240-253.
70
169. Clinton SK. 1997. Dietary lipids and the cancer cascade. In: Dietary Fat and Cancer: Genetic and Molecular Interactions,
Plenum Press, New York, pp. 21-37.
170. Rose DP, Connolly JM, Liu X-H. 1997. Fatty acid regulation of breast cancer cell growth and invasion. In: Dietary Fat and
Cancer: Genetic and Molecular Interactions, Plenum Press, New York, pp. 47-55.
171. Zhou J-R, Blackburn GL. 1997. Bridging animal and human studies: What are the missing segments in dietary fat and
prostate cancer? Am. J. Clin. Nutr. 66: 1572S-1580S.
172. Sauer LA, Dauchy RT, Blask DE. 2000. Mechanism for the antitumor and _anticachectic effects of n-3 fatty acids. Cancer
Res. 60: 5289-5295.
173. de Lorgeril M, Salen P, Martin J-L, et al. 1998. Mediterranean dietary pattern _in a randomized trial: Prolonged survival and
possible reduced cancer rate. Arch. Intern. Med. 158: 1181-1187.
174. Yan L, Yee JA, Li D, et al. 1998. Dietary flaxseed supplementation and _experimental metastasis of melanoma cells in mice.
Cancer Lett. 124: 181-186.
175. Li D, Yee JA, Thompson LU, Yan L. 1999. Dietary supplementation with _secoisolariciresinol diglycoside (SDG) reduces
experimental metastasis of melanoma cells in mice. Cancer Lett. 142: 91-96.
176. Denis L, Morton MS, Griffiths K. 1999. Diet and its preventive role in prostatic disease. Eur. Urol. 35: 377-387.
177. Cameron E, Bland3 J, Marcuson R. 1989. Divergent effects of omega -6 and omega-3 fatty acids on mammary tumor
development in C H/Heston mice _treated with DMBA. Nutr. Res. 9: 383-393.
178. Fritsche KL, Johnston PV. 1990. Effect of dietary ? -linolenic acid on growth, metastasis, fatty acid profile and prostaglandin
production of two murine _mammary adenocarcinomas. J. Nutr. 120: 1601-1609.
179. Dabrosin C, Chen J, Wang L, Thompson LU. 2002. Flaxseed inhibits metastasis and decreases extracellular vascular
endothelial growth factor in human breast cancer xenografts. Cancer Lett. 185: 31-37.
180. Serraino M, Thompson LU. 1991. The effect of flaxseed supplementation on early risk markers for mammary carcinogenesis.
Cancer Lett. 60: 135-142.
181. Thompson LU, Rickard SE, Orcheson LJ, Seidl MM. 1996. Flaxseed and its _lignan and oil components reduce mammary
tumor growth at a late stage of _carcinogenesis. Carcinogenesis 17: 1373-1376.
182. Thompson LU, Seidl MM, Rickard SE, et al. 1996. Antitumorigenic effect of a mammalian lignan precursor from flaxseed.
Nutr. Cancer 26:159-165.
183. Thompson LU, Li T, Chen J, Goss PE. 2000. Biological effects of dietary flaxseed in patients with breast cancer (abstract).
Breast Cancer Res. Treatment 64: 50.
184. Klein V, Chajès V, Germain E, et al. 2000. Low alpha-linolenic acid content of _adipose breast tissue is associated with an
increased risk of breast cancer. Eur. J. Cancer 36: 335-340.
185. Maillard V, Bougnoux P, Ferrari P, et al. 2002. N-3 and n-6 fatty acids in breast adipose tissue and relative risk of breast
cancer in a case-control study in Tours, France. Int. J. Cancer 98: 78-83.
186. McCann SE, Moysich KR, Freudenheim JL, et al. 2002. The risk of breast cancer associated with dietary lignans differs by
CYP17 genotype in women. J. Nutr. 132: 3036-3041.
187. Thompson LU. 1998. Experimental studies on lignans and cancer. Baillière’s Clin. Endocrinol. Metab. 12:691-705.
188. Jenab M, Thompson LU. 1996. The influence of flaxseed and lignans on colon carcinogenesis and ? -glucuronidase activity.
Carcinogenesis 17: 1343-1348.
189. Sung M-K, Lautens M, Thompson LU. 1998. Mammalian lignans inhibit the growth of estrogen-independent human colon
tumor cells. Anticancer Res. 18: 1405-1408.
190. Clinton SK, Giovannucci E. 1998. Diet, nutrition, and prostate cancer. Annu. Rev. Nutr. 18: 413-440.
191. Lin X, Gingrich JR, Bao W, et al. 2002. Effect of flaxseed supplementation on _prostatic carcinoma in transgenic mice.
Urology 60: 919-924.
71
192. Demark-Wahnefried W, Price DT, Polascik TJ, et al. 2001. Pilot study of dietary fat restriction and flaxseed supplementation
in men with prostate cancer before surgery: Exploring the effects on hormonal levels, prostate-specific antigen, and
histopathologic features. Urology 58: 47-52.
193. Lin X, Switzer BR, Demark-Wahnefried W. 2001. Effect of mammalian lignans on the growth of prostate cancer cell lines.
Anticancer Res. 21: 3995-4000.
194. Pandalai PK, Pilat MJ, Yamazaki K, et al. 1996. The effects of omega -3 and omega-6 fatty acids on in vitro prostate cancer
growth. Anticancer Res. 16: _815-820.
195. Kumar GS, Das UN. 1997. Cytotoxic action of alpha-linolenic and _eicosapentaenoic acid on myeloma cells in vitro.
Prostaglandins Leuko. Essent. Fatty Acids 56: 285-293.
196. Das UN, Madhavi N, Kumar GS, et al. 1998. Can tumour cell drug resistance be reversed by essential fatty acids and their
metabolites? Prostaglandins Leuko. Essent. Fatty Acids 58: 39-54.
197. Kafrawy O, Zerouga M, Stillwell W, Jenski LJ. 1998. Docosahexaenoic acid in phosphatidylcholine mediates cytotoxicity
more effectively than other ? -3 and _? -6 fatty acids. Cancer Lett. 132: 23-29.
198. Mori T, Imaida K, Tamano S, et al. 2001. Beef tallow, but not perilla or corn oil, promotion of rat prostate and intestinal
carcinogenesis by 3,2 -dimethyl-4-_aminobiphenyl. Jpn. J. Cancer Res. 92: 1026-1033.
199. De Stéfani E, Deneo-Pellegrini H, Boffetta P, et al. 2000. ? -Linolenic acid and risk of prostate cancer: A case-control study
in Uruguay. Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 9: 335-338.
200. Gann PH, Hennekens CH, Sacks FM, et al. 1994. Prosp ective study of plasma fatty acids and risk of prostate cancer. J. Natl.
Cancer Inst. 86: 281-286.
201. Harvei S, Bjerve KS, Tretli S, et al. 1997. Prediagnostic level of fatty acids in serum phospholipids: ? -3 and ? -6 fatty acids
and the risk of prostate cancer. Int. J. Cancer 71: 545-551.
202. Newcomer LM, King IB, Wicklund KG, Stanford JL. 2001. The association of fatty acids with prostate cancer risk. Prostate
47: 262-268.
203. Ramon JM, Bou R, Romea S, et al. 2000. Dietary fat intake and prostate cancer risk: A case-control study in Spain. Cancer
Causes Control 11: 679-685.
204. Yang YJ, Lee SH, Hong SJ, Chung BC. 1999. Comparison of fatty acid profiles in the serum of patients with prostate cancer
and benign prostatic hyperplasia. Clin. Biochem. 32: 405-409.
205. Bairati I, Meyer F, Fradet Y, Moore L. 1998. Dietary fat and advanced prostate cancer. J. Urol. 159: 1271-1275.
206. Godley PA, Campbell MK, Gallagher P, et al. 1996. Biomarkers of essential fatty acid consumption and risk of prostatic
carcinoma. Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 5: 889-895.
207. Giovannucci E, Rimm EB, Colditz GA, et al. 1993. A prospective study of dietary fat and risk of prostate cancer. J. Natl.
Cancer Inst. 85: 1571-1579.
208. Schuurman AG, van den Brandt PA, Dorant E, et al. 1999. Association of energy and fat intake with prostate carcinoma risk:
Results from the Netherlands Cohort Study. Cancer 86: 1019-1027.
209. Freeman VL, Meydani M, Yong S, et al. 2000. Prostatic levels of fatty acids and the histopathology of localized prostate
cancer. J. Urol. 164: 2168-2172.
210. Attar-Bashi NM, Frauman A, Sinclair AJ. 2003. Alpha-linolenic acid and the risk of prostate cancer: What is the evidence?
Urology (accepted for publication pending revision).
211. Ross RK, Henderson BE. 1994. Do diet and androgens alter prostate cancer risk via a common etiologic pathway (editorial)?
J. Natl. Cancer Inst. 86: 252-254.
212. Fair WR, Fleshner NE, Heston W. 1997. Cancer of the prostate: A nutritional _disease? Urology 50: 840-848.
213. Giles G, Ireland P. 1997. Diet, nutrition and prostate cancer. Int. J. Cancer Supplement 10: 13-17.
214. Kolonel LN, Nomura AMY, Cooney RV. 1999. Dietary fat and prostate cancer: Current status. J. Natl. Cancer Inst. 91:
414-428.
72
215. Ip C. 1997. Review of the effects of trans fatty acids, oleic acid, n-3 _polyunsaturated fatty acids, and conjugated linoleic
acid on mammary _carcinogenesis in animals. Am. J. Clin. Nutr. 66: 1523S-1529S.
216. Dwyer JT. 1997. Human studies on the effects of fatty acids on cancer: Sum mary, gaps, and future research. Am. J. Clin.
Nutr. 66: 1581S-1586S.
217. Berry EM, Hirsch J. 1986. Does dietary linolenic acid influence blood pressure? Am. J. Clin. Nutr. 44: 336-340.
218. Singer P, Berger I, Wirth M, et al. 1986. Slow desaturation and elongation of linoleic and ? -linolenic acids as a rationale of
eicosapentaenoic acid-rich diet to lower blood pressure and serum lipids in normal, hypertensive and hyperlipemic subjects.
Prostaglandins Leuko. Med. 24: 173-193.
219. Anderson JW. 1999. Nutritional management of diabetes mellitus. In: Modern Nutrition in Health and Disease, eds Shils
ME, Olson JA, Shike M and Ross AC, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA, pp. 1365-1394.
220. Prasad K. 2000. Oxidative stress as a mechanism of diabet es in diabetic BB prone rats: Effects of secoisolariciresinol
diglucoside (SDG). Mol. Cell. Biochem. 209: 89-96.
221. Prasad K, Mantha SV, Muir AD, Westcott ND. 2000. Protective effect of _secoisolariciresinol diglucoside against
streptozotocin -induced diabetes and its mechanism. Mol. Cell. Biochem. 206: 141-150.
222. Prasad K. 2001. Secoisolariciresinol diglucoside from flaxseed delays the _development of type 2 diabetes in Zucker rat. J.
Lab. Clin. Med. 138: 32-39.
223. Malcolmson LJ, Taylor CG. 2002. Interim report: Flaxseed components in baked products: Effects on glycemic control in
diabetes. Flax Council of Canada, Winnipeg, MB.
224. Berkow R (ed). 1987. The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 15th edition, Merck Sharp & Dohme Research
Laboratories, Rahway, NY, p. 1145.
225. Freese R, Mutanen M. 1997. ? -Linolenic acid and marine long-chain n-3 fatty acids differ only slightly in their effects on
hemostatic factors in healthy subjects. Am. J. Clin. Nutr. 66: 591-598.
226. Kelley DS, Branch LB, Love JE, et al. 1991. Dietary ? -linolenic acid and _immunocompetence in humans. Am. J. Clin Nutr.
53: 40-46.
227. Ingram AJ, Parbtani A, Clark WF, et al. 1995. Effects of flaxseed and flax oil diets in a rat -5/6 renal ablation model. Am. J.
Kidney Dis. 25: 320-329.
228. Cooper GS, Dooley MA, Treadwell EL, et al. 1998. Hormonal, environmental, and infectious risk factors for developing
systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum. 41: 1714-1724.
229. Mohan IK, Das UN. 1997. Oxidant stress, anti-oxidants and essential fatty acids in systemic lupus erythematosus.
Prostaglandins Leuko. Essent. Fatty Acids 56: 193-198.
230. Tetta C, Bussolino F, Modena V, et al. 1990. Release of platelet -activating factor in systemic lupus erythematosus. Int. Arch.
Allergy Appl. Immunol. 91: 244-256.
231. Hackshaw KV, Voelkel NF, Thomas RB, Westcott JY. 1992. Urine leukotriene E4 levels are elevated in patients with active
systemic lupus erythematosus. J. Rheumatol. 19: 252-258.
232. Ogborn MR, Nitschmann E, Bankovic-Calic N, et al. 1998. The effect of dietary flaxseed supplementation on organic anion
and osmolyte content and excretion in rat polycystic kidney disease. Biochem. Cell Biol. 76: 553-559.
233. Ogborn MR, Nitschmann E, Weiler H, et al. 1999. Flaxseed ameliorates _interstit ial nephritis in rat polycystic kidney
disease. Kidney Int. 55: 417-423.
234. Ogborn MR, Nitschmann E, Bankovic-Calic N, et al. 2002. Dietary flax oil reduces renal injury, oxidized LDL content, and
tissue n-6/n-3 FA ratio in _experimental polycystic kidney disease. Lipids 37: 1059-1065.
235. Hamadeh MJ, Liede AC, Ganguli S, et al. 1992. Nutritional aspects of flaxseed in the human diet. Proc. Flax Inst. 4: 48-53.
236. Kurzer MS, Xu X. 1997. Dietary phytoestrogens. Annu. Rev. Nutr. 17: 353-381.
237. Brown JP, Josse RG, for the Scientific Advisory Council of the Osteoporosis Society of Canada. 2002. 2002 Clinical practice
guidelines for the diagnosis and management of osteoporosis in Canada. CMAJ. 167 (10 suppl): S1 -S34. Available at
www.cmaj.ca/cgi/reprint/167/10_suppl/s1.pdf. Accessed 7 August 2003.
73
238. Pat McCarthy Briggs. [Personal communication, 2003]. Manitoba Milk Producers. Winnipeg, MB.
239. Arjmandi BH. 2001. The role of phytoestrogens in the prevention and treatment of osteoporosis in ovarian hormone
deficiency. J. Am. Coll. Nutr. 20: 398S-402S.
240. Willett WC. 1999. Convergence of philosophy and science: The Third International Congress on Vegetarian Nutrition. Am. J.
Clin. Nutr. 70: _434S-438S.
241. Key TJ, Fraser GE, Thorogood M, et al. 1999. Mortality in vegetarians and _nonvegetarians: Detailed findings from a
collaborative analysis of 5 prospective studies. Am. J. Clin. Nutr. 70: 516S-524S.
242. Ågren JJ, Törmälä M-L, Nenonen MT, Hänninen OO. 1995. Fatty acid _composition of erythrocyte, platelet, and serum
lipids in strict vegans. Lipids 30: 365-369.
243. Sanders TAB, Ellis FR, Dickerson JWT. 1978. Studies of vegans: The fatty acid composition of plasma choline
phosphoglycerides, erythrocytes, adipose tissue, and breast milk, and some indicators of susceptibility to ischemic heart
disease in vegans and omnivore controls. Am. J. Clin. Nutr. 31: 805-813.
244. Li D, Sinclair A, Wilson A, et al. 1999. Effect of dietary ? -linolenic acid on _thrombotic risk factors in vegetarian men. Am.
J. Clin. Nutr. 69: 872-882.
245. Oomah BD. 2003. Processing of flaxseed fiber, oil, protein, and lignan. In: Flaxseed in Human Nutrition, eds Thompson LU
and Cunnane SC, 2nd ed, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 363-386.
246. Morris DH, Vaisey-Genser M. 2003. Availability and labeling of flaxseed food products and supplements. In: Flaxseed in
Human Nutrition, eds Thompson LU and Cunnane SC, 2nd ed, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 404-422.
247. Soyaworld, Inc., Web site at www.sogoodbeverage.com. Accessed 7 August 2003.
248. Hall C, Schwarz J. 2002. Functionality of flaxseed in frozen desserts–Preliminary report. Proc. Flax Inst. 59: 21-24.
249. Dean JR. 1996. Solin: The newest crop. In: Proceedings of the Flax Council of Canada Conference: Flax — The Next
Decade, Winnipeg, MB, pp. 119-138.
250. Balchem Corp. Web site at www.balchem.com. Accessed 7 August 2003.
251. Pszczola DE. 2002. Ingredient suppliers define themselves for tomorrow. Food Tech. 56: 70.
252. Natunola Health Web site at www.natunola.com. Accessed 7 August 2003.
253. Pszczola DE. 2002. Products and technologies. Food Tech. 56: 85.
254. St-Onge M-P, Lamarche B, Mauger J-F, Jones PJH. 2003. Consumption of a _functional oil rich in phytosterols and
medium-chain triglyceride oil improves plasma lipid profiles in men. J. Nutr. 133: 1815-1820.
255. Forbes Medi-Tech Web site at www.forbesmedi.com. Accessed 7 August 2003.
256. Drouillard J. [Personal communication, 2000]. Kansas State University. Manhattan, KS.
257. Enreco Web site at www.enreco.com. Accessed 7 August 2003.
258. Jiang Z, Ahn DU, Sim JS. 1991. Effects of feeding flax and two types of sunflower seeds on fatty acid composition of yolk
lipid classes. Poultry Sci. 70: 2467-2475.
259. Nash DM, Hamilton RMG, Sanford KA, Hulan HW. 1996. The effect of dietary menhaden meal and storage on the omega-3
fatty acids and sensory attributes of egg yolk in laying hens. Can. J. Animal Sci. 76: 377-383.
260. Caston L, Leeson S. 1990. Research note: Dietary flaxseed and egg composition. Poultry Sci. 69: 1617-1620.
261. Van Elswyk ME, Mayo PK, Hatch SD, Kubena KS. 1996. Human plasma lipid modification following consumption of eggs
from hens fed flaxseed or marine oil. Proc. Flax Inst. 56: 40-46.
262. Hatch SD, Mayo PK, Kubena KS, Van Elswyk ME. 1996. Consumption of n-3 fatty acid rich shell eggs enhances plasma
phospholipid n-3 fatty acid content and alters platelet aggregation in humans. Proc. Flax Inst. 56: 47-54.
263. Kennelly JJ. 1993. Using flaxseed to alter milk composition. In: Conference and Annual Meeting, Flax Council of Canada,
Winnipeg, MB.
74
264. McDonald IW, Scott TW. 1977. Foods of ruminant origin with elevated content of polyunsaturated fatty acids. World Rev.
Nutr. Diet. 26: 144-207.
265. Khorasani GR, Kennelly JJ. 1994. Influence of flaxseed on the nutritional quality of milk. Proc. Flax Inst. 55: 127-134.
266. Ajuyah AO, Lee KH, Hardin T, Sim JS. 1991. Changes in yield and in the fatty acid composition of whole carcass and
selected meat portions of broiler chickens fed full-fat oilseeds. Poultry Sci. 70: 2304-2314.
267. Ajuyah AO, Ahn DU, Hardin RT, Sim JS. 1993. Dietary antioxidants and storage affect chemical characteristics of ? -3 fatty
acid enriched broiler chicken meats. _J. Food Sci. 61: 43-46.
268. Matthews KR. 2003. Effects of feeding flaxseed to pigs. In: Flaxseed in Human Nutrition, eds Thompson LU and Cunnane
SC, 2nd ed, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 429-438.
269. Romans JR, Johnson RC, Wulf DM, et al. 1995. Effects of ground flaxseed in swine diets on pig performance and on
physical and sensory characteristics and omega -3 fatty acid content of pork: I. Dietary level of flaxseed. J. Animal Sci. 73:
1982-1986.
270. Romans JR, Wulf DM, Johnson RC, et al. 1995. Effects of ground flaxseed in swine diets on pig performance and on
physical and sensory characteristics and omega -3 fatty acid content of pork: II. Duration of 15% dietary flaxseed. _J. Animal
Sci. 73: 1987-1999.
271. Specht-Overholt SM. 1995. Commercial manufacturing of omega -3 pork _products and the effects of d,l-alpha-tocopherol
acetate in swine diets on lipid and pigment stability and various pork characteristics. Dissertation Abstracts International B,
thesis publ. 1994, 56(2) 587.
272. Prairie Orchard Farms Web site at www.prairieorchardfarms.com. Accessed 7 August 2003.
273. Dick TA, Yang X. 1995. Flaxseed in Arctic charr and rainbow trout nutrition. In: Flaxseed in Human Nutrition, eds Cunnane
SC and Thompson LU, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 295-314.
274. Dick TA. 1996. Principles of feeding flaxseed to coldwater fish eg., Arctic charr and rainbow trout. Proc. Flax Inst. 56:
112-114.
275. Thiessen D. 2002. Flax as a feed ingredient for rainbow trout (Oncorhynchus mykiss): Effects on growth, carcass composition
and microbial populations. Saskatchewan Flax Grower 4: 5.
276. Schultz HW. 1981. Food Law Handbook. AVI Publishing Company, Westport, CT, pp. 1-30.
277. Driscoll E. [Personal communication, 1997]. Health Canada, Health Protection Branch, Bureau of Nutritional Sciences.
Ottawa, ON.
278. Vanderveen JE. 1995. Regulation of flaxseed as a food ingredient in the United States. In: Flaxseed in Human Nutrition, eds
Cunnane SC and Thompson LU, AOCS Press, Champaign, IL, pp. 363-366.
279. Long W. [Personal communication, 1997]. Food and Drug Administration, Center for Food Safety and Applied Nutrition,
Office of Plant and Dairy Foods and Beverages. College Park, MD.
280. Food and Drug Administration. Agency response letter, GRAS Notice No. GRN 000002, dated May 27, 1998. Available at
vm.cfsan.fda.gov/?rdb/_opa-g002.html. Accessed 7 August 2003.
281. Canadian Food Inspection Agency, Guide to Food Labelling and Advertising, Section II. Basic Labelling Requirements,
Section 2.8, List of Ingredients (issued 25/03/96). Available at www.inspection.gc.ca/english/bureau/labeti/guide/_2e.pdf.
Accessed 7 August 2003.
282. Browne MB, the American Dietetic Association. 1993. Label Facts for Healthful Eating, National Food Processors
Association, Washington, DC, pp. 1-54.
283. Health Canada. Regulations Amending the Food and Drug Regulations (Nutrition Labelling, Nutrient Content Claims and
Health Claims). Canada Gazette, Part II, Vol. 137, No. 1, January 1, 2003. Available at
canadagazette.gc.ca/partII/2003/20030101/pdf/g2 -13701.pdf. Accessed 7 August 2003.
284. Food and Drug Administration. 1994. A Food Labeling Guide, Chapter VI–Claims (Question 22). Available at
www.cfsan.fda.gov/~dms/flg-6-2.html. Accessed 7 August 2003.
75
285. Canadian Food Inspection Agency. Guide to Food Labelling and Advertising, Section IV. Claims as to the Composition,
Quality, Quantity and Origin, Section 4.2.9, Organic (Revised 2000). Available at
www.inspection.gc.ca/english/_bureau/labeti/guide/4e.pdf. Accessed 7 August 2003.
286. National Organic Program. The National Standards on Organic Agricultural Production and Handling, Dec. 2000. Available
at www.ams.usda.gov/nop/index.htm. Accessed 7 August 2003.
287. Health Canada. Discussion Paper — U.S. Generic Health Claims in Canada: Background and Implementation Issues in the
Canadian Context, June 1999. Available at
www.hc-sc.gc.ca/food-aliment/ns-sc/ne-en/_health_claims-allegations_sante/us-eu/e_index.html. Accessed 7 August 2003.
288. Food and Drug Administration. Letter responding to a request to reconsider the qualified claim for a dietary supplement
health claim for omega -3 fatty acids and coronary heart disease (Docket No. 91N-0103), letter dated February 8, 2002.
Available at www.cfsan.fda.gov/?dms/ds-ltr28.html. Accessed 7 _August 2003.
289. Malcolmson LJ, Przybylski R, Daun JK. 2000. Storage stability of milled flaxseed. J. Am. Oil Chem. Soc. 77: 235-238.
290. Przybylski R, Daun JK. 2001. Additional data on the storage stability of milled flaxseed. J. Am. Oil Chem. Soc. 78: 105-106.
291. Chen Z-Y, Ratnayake WMN, Cunnane SC. 1994. Oxidative stability of flaxseed lipids during baking. J. Am. Oil Chem. Soc.
71: 629-632.
292. Ratnayake WMN, Behrens WA, Fischer PWF, et al. 1992. Chemical and _nutritional studies of flaxseed (variety Linott) in
rats. J. Nutr. Biochem. 3: _232-240.
293. Manthey FA, Lee RE, Hall III CA. 2002. Processing and cooking effects on lipid content and stability of ? -linolenic acid in
spaghetti containing ground flaxseed. J. Agric. Food Chem. 50: 1668-1671.
294. Muir AD, Westcott ND. 2000. Quantitation of the lignan secoisolariciresinol diglucoside in baked goods containing flax seed
or flax meal. J. Agric. Food Chem. 48: 4048–4052.
295. Muir AD, Westcott ND. 1996. Quantitation of the lignan secoisolariciresinol diglucoside in baked goods containing flax seed
or flax meal. Proc. Flax Inst. 56: 81-85.
296. Clandinin MT, Foxwell A, Goh YK, et al. 1997. Omega -3 fatty acid intake results in a relationship between the fatty acid
composition of LDL cholesterol ester and LDL cholesterol content in humans. Biochim. Biophys. Acta 1346: 247-252.
297. Chan JK, McDonald BE, Gerrard JM, et al. 1993. Effect of dietary ? -linolenic _acid and its ratio to linoleic acid on platelet
and plasma fatty acids and _thrombogenesis. Lipids 28: 811-817.
298. Abbey M, Clifton P, Kestin M, et al. 1990. Effect of fish oil on lipoproteins, lecithin:cholesterol acyltransferase, and lipid
transfer protein activity in humans. Arteriosclerosis 10: 85-94.
299. Li D, Mann NJ, Sinclair AJ. 1999. Comparison of n-3 polyunsaturated fatty acids from vegetable oils, meat, and fish in
raising platelet eicosapentaenoic acid _levels in humans. Lipids 34: S309.
300. Singer P, Wirth M, Berger I. 1990. A possible contribution of decrease in free fatty acids to low serum triglyceride levels
after diets supplemented with n-6 and n-3 polyunsaturated fatty acids. Atherosclerosis 83: 167-175.
301. Hadley M. 1996. Stability of flaxseed oil used in cooking/stir-frying. Proc. Flax Inst. 56: 55-59.
302. Griswold RM. 1962. The Experimental Study of Foods, Houghton Mifflin, New York, pp. 263-264.
303. Institute of Medicine. 2001. Dietary Reference Intakes for Vitamin A, Vitamin K, Arsenic, Boron, Chromium, Copper, Iodine,
Iron, Manganese, Molybdenum, Nickel, Silicon, Vanadium, and Zinc, National Academy Press, Washington, DC, pp.
290-393 (iron), 258-289 (iodine).
304. Shibamoto T, Bjeldanes LF. 1993. Natural toxins in plant foodstuffs. In: Introduction to Food Toxicology, Academic Press,
New York, pp. 67-96.
305. Seigler DS. 1991. Cyanide and cyanogenic glycosides. In: Herbivores: Their Interactions with Secondary Plant Metabolites,
eds Rosenthal GA and Berenbaum MR, Academic Press, New York, pp. 35-77.
306. McMahon JM, White WLB, Sayre RT. 1995. Cyanogenesis in cassava (Manihot esculenta Crantz). J. Exp. Botany 46:
731-741.
76
307. Montgomery RD. 1980. Cyanogens. In: Toxic Constituents of Plant Foodstuffs, ed Liener IE, Academic Press, New York, pp.
143-160.
308. Hathcock JN, Rader JI. 1999. Food additives, contaminants, and natural toxins. In: Modern Nutrition in Health and Disease,
eds Shils ME, Olson JA, Shike M and Ross AC, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp. 1835-1860.
309.
Whitney EN, Rolfes SR. 1999. Understanding Nutrition, West/Wadsworth, Belmont, CA, p. 422.
310. Cameron AT. 1930. Iodine prophylaxis and endemic goiter. Can. J. Public Health 21: 541-548.
311. Centers for Disease Control and Prevention. 2000. Iodine level, United States, 2000. Available at www.cdc.gov. Accessed 7
August 2003.
312. Hathcock JN. 1982. Nutritional toxicology: Definition and scope. In: Nutritional Toxicology, ed Hathcock JN, Academic
Press, New York, pp. 1-15.
313. Klosterman HJ, Lamoureux GL, Parsons JL. 1967. Isolation, characterization, _and synthesis of linatine. A vitamin B6
antagonist from flaxseed _(Linum usitatissimum ). Biochemistry 6: 170-177.
314. Dieken HA. 1992. Use of flaxseed as a source of omega -3 fatty acids in human nutrition. Proc. Flax Inst. 54: 1-4.
315. Jenkins DJA, Wolever TMS and Jenkins AL. 1999. Fiber and other dietary factors affecting nutrient absorption and
metabolism. In: Modern Nutrition in Health and Disease, eds ME Shils, JA Olson, M Shike and AC Ross, Lippincott
Williams & Wilkins, Philadelphia, pp. 679-698.
316. Morris ER and Ellis R. 1980. Effect of dietary phytate/zinc molar ratio on growth and bone zinc response of rats fed
semipurified diets. J. Nutr. 110: 1037-1045.
317. Halvorsen BL, Holte K, Myhrstad MCW, et al. 2002. A systematic screening of total antioxidants in dietary plants. J. Nutr.
132: 461-471.
318. Lin RI-S. 1994. Phytochemicals and antioxidants. In: Functional Foods: Designer Foods, Pharmafoods, Nutraceuticals, ed
Goldberg I, Chapman & Hall, New York, pp. 393-449.
319. Helferich B. 1996. Dietary estrogens: A balance of risks and benefits. Food Tech. 50: 158.
320. Black WC. 1930. Flax hypersensitiveness. JAMA 94: 1064.
321. Grant LR. 1931. A report of six cases of flaxseed sensitization with review of the literature. J. Allergy 3: 469-477.
322. Lezaun A, Fraj J, Colas C, et al. 1998. Anaphylaxis from linseed. Allergy 53: _105-106.
323. Alonso L, Marcos ML, Blanco JG, et al. 1996. Anaphylaxis caused by linseed (flaxseed) intake. J. Allergy Clin. Immunol.
98: 469-470.
324. Morris DH. 2003. Methodologic challenges in designing clinical studies to _measure differences in the bioequivalence of n-3
fatty acids. Mol. Cell. Biochem. 246: 83-90.
77