TMI 中国最新法令情報 ―(2015 年 10 月号)

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TMI 中国最新法令情報
―(2015 年 10 月号)―
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皆様には、日頃より弊事務所へのご厚情を賜り誠にありがとうございます。
お客様の中国ビジネスのご参考までに、「TMI 中国最新法令情報」をお届けします。記事
の内容やテーマについてご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく弊事務所へご連絡下
さい。バックナンバーについては、弊事務所のウェブサイトに掲載させていただきますので、
併せてご利用下さい。(http://www.tmi.gr.jp/global/legal_info/china/index.html)
目次
一.中国最新法令
1. 中央法規
(1)市場参入ネガティブリスト制度の実施に関する意見(付属法令
市場参入ネガティブリ
スト制度の展開に関する試験的な改革の業務方案)
(2)建築業企業資質管理の若干問題に関する通知
2. 司法解釈
(1)最高人民法院が公布する人民法院による経済分野における 10 件の典型的な行政案件
二.連載 中国企業法実務/第九弾:刑事法
(第 1 回 中国刑法の特徴)
三.中国法務の現場より
1. 銀聯カードの海外における現金引出制限
2.「専車」の規範化への取り組みにみる中国の法形成のあり方
1
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一.中国最新法令(2015 年 9 月中旬~2015 年 10 月中旬公布分)
1.中央法規
(1) 市場参入ネガティブリスト制度の実施に関する意見(付属法令
リスト制度の展開に関する試験的な改革の業務方案)
国務院
市場参入ネガティブ
1
2015 年 10 月 2 日公布 2015 年 12 月 31 日施行
① 背景
統一した市場参入制度を実施し、ネガティブリストを制定した上、各種の市場主体が
リスト外の分野に法により平等に参入できるようにするため、国務院は、一部の地域で
ネガティブリスト制度を試験的に実施することを決定し、
「市場参入ネガティブリスト制
度の実施に関する意見」(以下「実施意見」という。)及びその付属法令の「市場参入ネ
ガティブリスト制度の展開に関する試験的な改革の業務方案」を公布した。
ネガティブリストは、ポジティブリスト方式と比較すると、より開放的で、透明性及
び公平性がある市場参入管理方法であり、政府機関に対する規範としての効果が期待さ
れる。
② 主な内容
ア
定義
ここでいう「市場参入ネガティブリスト」とは、国務院が中国国内での投資経営を
禁止又は制限する業界、分野及び業務等をリストの形で明確に列挙し、各級の政府が
相応する管理措置を適法に採る制度の手配を指す。市場参入ネガティブリストで挙げ
られていない業界、分野及び業務等については、各種の市場主体が適法かつ平等に参
入することができる 2。
イ
種類及び適用対象
ネガティブリストには、市場参入ネガティブリスト及び外商投資ネガティブリスト
が含まれる。市場参入ネガティブリストは、国内外の投資者に等しく適用される管理
措置であり、各種類の市場主体による市場参入の管理に対する統一の要求である。他
方、外商投資ネガティブリストは、国外投資者による中国における投資経営行為に適
用される外商投資参入に対する特別な管理措置である 3。
また、市場参入ネガティブリストは、参入禁止類及び参入制限類を含み、各種の市
場主体の自由意志に基づく初期投資、拡大投資及び買収投資等の投資経営行為並びに
その他市場参入行為に適用される。参入禁止類事業については、参入が禁止され、行
政機関も審査認可をしてはならない。参入制限類事業については、参入を希望する市
場主体による申請について行政機関が法により認可の可否を決定し、又は市場主体が
政府により定められた参入条件及び参入方法に基づいて参入する。市場参入ネガティ
ブリストに挙げられていない業界、分野及び業務等については、各種の市場主体が法
1
国务院关于实行市场准入负面清单制度的意见(附件 关于开展市场准入负面清单制度改革试点的工作方案)
(国发[2015]55 号)
2
実施意見第 1 条第 1 項
3
実施意見第 2 条第 8 項
2
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により平等に参入することができる。
ウ
適用条件
各種の市場主体が以下の分野に投資経営し、又はその他市場参入を実施する場合、
政府機関は、参入の禁止、市場主体の資質、持分比率、経営範囲、経営業態、商業モ
デル及び空間構造の制限、国土空間の開発保護等の管理措置を採ることができる4。
(a) 国民の生命及び財産、政治、国土、軍事、経済、金融、文化、社会、科学技術、
情報、生態、資源、核並びに新しい分野の安全等の国家安全に関わる業界、分野
及び業務等
(b) 全国の重大な生産力構造、戦略的な資源開発及び重大な公共利益に関わる業界、
分野及び業務等
(c) 法により行政許可を設定することができる市場主体の投資経営行為に関わる業界、
分野及び業務等
(d) 法律、行政法規及び国務院の決定で定めるその他の場合
エ
リストの制定及び実施
2015 年 12 月 1 日から 2017 年 12 月 31 日まで、一部の地域で市場参入ネガティブリ
スト制度を試験的に実施し、2018 年から中国全土で適用する統一されたネガティブリ
スト制度を実施する。国家発展改革委員会及び商務部が先頭に立って市場参入ネガテ
ィブリストの草案及び試験地域を提案し、共産党中央部門及び国務院の認可を経て、
ネガティブリスト制度を試験的に実施する。試験地域の省レベルの人民政府は、市場
参入ネガティブリスト草案に基づき、制度の実施方案を制定し、国務院の認可を経て
実施する 5。
(2) 建築業企業資質管理の若干問題に関する通知 6
住宅都市建設部
2015 年 10 月 9 日公布
同日施行
① 背景
昨年末以降の、建築業企業資質基準(以下「資質基準」という。)及び建築業企業資質
管理規定(以下「管理規定」という。)の改正及び施行、並びに建築業企業資質管理規定
及び資質基準実施意見 7(以下「実施意見」といい、資質基準及び管理規定と併せて「建
築新法令」という。)の改正及び施行に伴い、住宅都市建設部は、今年の 5 月に新バージ
ョンの建築業企業資質証書の発行に関する通知8を公布した。同通知では、建築業企業が
上記新しい規定に従って新バージョンの建築業企業資質証書を取得する旨が定められて
いる。
住宅都市建設部は、市場の資源配置機能を一層発揮させ、政府機関による審査認可権
限をさらに限定し、新バージョンの建築業資質証書の発行を円滑に推進するために、
「建
築業企業資質管理の若干問題に関する通知」(以下「通知」という。)を公布した。
4
5
6
7
8
管理規定第 1 条第 6 項
管理規定第 3 条第 11 項
关于建筑业企业资质管理有关问题的通知(建市[2015]154 号)
建筑业企业资质管理规定和资质标准审查意见(建市[2015]20 号)
关于换发新版建筑业企业资质证书的通知(建办市函[2015]385 号、2015 年 5 月 7 日施行)
3
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② 主な内容
ア
「施工元請負企業の特級資質基準」における国家級工法、特許、国家級科学技術進
歩奨、工事建設の国家又は業界の基準等の要求を廃止し、施工元請負特級資質を申請
する企業に対して、上記基準での審査を行わない。
イ
以下の制限を廃止する。
(a) 資質基準のうち、建築工事施工元請負一級資質を有する企業が、個別契約金額が
3,000 万元以上の建築工事を請け負うことができる旨の制限
(b) 実施意見のうち、特級資質企業は個別契約金額が 6,000 万元以上の工事しか請け
負うことができない旨の制限
(c) 資質基準のうち、特級資質企業は個別契約金額が 3,000 万元以上の建物工事しか
請け負うことができない旨の制限
ウ
実施意見で定められている資質証書の書き換えを単純な証書の差し替えに調整する。
資質認可機関は、企業の資産、主要な担当者、技術設備等の基準を取り消し、旧バー
ジョンの資質証書を持つ企業に対して、新バージョンの資質証書を直接に発行する。
エ
実施意見で定められている「企業が資質内容の昇級又は追加を申請する場合、資質
認可機関は、企業の資産及び主要な担当者が基準を満足するかを審査する」という規
定を廃止し、また、実施意見第 42 条における「企業は最大で 5 種類の専業請負資質証
書の書き換えを申請することができるにとどまり、5 種類を超える場合、資質内容の
追加を申請する必要がある」という規定を廃止する。
2.司法解釈
(1) 最高人民法院が公布する人民法院による経済分野における 10 件の典型的な行政案件9
最高人民法院
2015 年 10 月 22 日公布
① 背景
最高人民法院は、初めて経済分野における 10 件の典型的な行政案件を公布した。これ
らの案件は、食品薬品、医療器械、証券、土地使用権払下げ及び対外貿易等の専門的な
経済分野のみならず、不動産販売契約及び営業許可証の発行等、個人事業者又は消費者
の権益と緊密な関係がある分野にも及んだ。訴えられた行政行為には、権力濫用の行政
独占、食品薬品の行政認可、経営範囲の行政登記、不動産及び証券分野の行政処罰、土
地使用権払下げの行政契約、市場参入及び公平競争と関わる政府調達が含まれる。最高
人民法院は司法審査を通じて、経済市場の監督管理における行政機関の違法行為を是正
した一方で、法に基づいて職責を履行した行政機関の行政行為を是認した。
② 主な内容
ア
行政独占行為
(a) 案件概要
南京発爾士化学工場(以下「南京発爾士社」という。)及び南京立昇廃油脂回収セ
ンター(以下「南京立昇社」という。)を含む 10 社は、2010 年 7 月に南京市発展改
革委員会に対して食用廃油回収事業者の届け出を行った。一方で、南京市江寧区人
民政府(以下「江寧区政府」という。)は、2012 年 11 月の通知により、南京立昇社
9
最高人民法院发布 10 起人民法院经济行政典型案例
4
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を江寧区の唯一の廃棄食用油の回収事業者として指定した。南京発爾士社は、江寧
区政府の指定を不服として、南京立昇社に対する指定の取消し及び損害賠償を求め
て提訴した。
南京市中級人民法院は、江寧区政府が法により行政手続及び入札募集手続を経ず、
直接南京立昇社を食用廃油の回収業者として指定する行為は、行政手続に関する法
律に違反するのみならず、行政権力によって市場競争を制限するため、独占禁止法
にも違反すると判断し、江寧区政府による指定を取り消した。
(b) 案件分析
本件は、典型的な行政独占行為の案件である。行政独占行為とは、行政機関が行
政権力を濫用し、市場参入ハードルを違法に設定し、特定の企業を独占的な事業者
として違法に指定し、他の企業による競争参入を違法に阻害する行為等を指す。中
国の独占禁止法及び不正競争防止法では、かかる行政独占行為が明確に禁止されて
いる。また、改正後の行政訴訟法(2014 年 11 月 1 日改正、2015 年 5 月 1 日施行)
では、行政権力の濫用によって公平競争権を侵害する行為については、行政案件と
して受理できる旨が明確に定められている。
イ
政府調達
(a) 案件概要
上海市崇明県政府調達センターは、第三者の依頼を受け、レントゲン設備の政府
調達プロジェクトについて入札を実施するに際して、当該設備を欧米系の高級ブラ
ンド製品に限定した。当該入札について上海輝慈医療器械有限公司(以下「輝慈社」
という。)が落札したが、裕満社は、輝慈社の設備が国産製品であり、欧米系の高級
ブランド製品という入札条件を満たしていないことを理由に、上海市崇明県政府調
達センターに異議を申し立てた。上海市崇明県政府調達センターは、当該異議を認
め、落札を撤回した。これに対して輝慈社が、崇明県財政局に異議を申し立てたと
ころ、崇明県財政局は、入札対象製品を欧米系の高級ブランド製品に限定すること
は明らかな差別であり、当該政府調達を改めて実施すべきであると判断した。輝慈
社は、崇明県財政局の決定を不服とし、決定の取り消しを求めて人民法院に提訴し
た。
崇明県人民法院及び上海市第二中級人民法院は、崇明県財政局の処理が適法であ
り、入札対象製品を欧米系の高級ブランド製品に限定することは中国の政府調達法
に違反すると判断し、輝慈社の訴えを却下した。
(b) 案件分析
政府調達法第 22 条では、不合理な条件でサプライヤーを差別してはならないと定
められている。また、同法第 10 条では、特段の理由がない限り、中国国内の貨物、
工事及びサービスを優先的に調達すべきであるという原則が明記されている。
本件のように、入札対象製品を欧米系の高級ブランド製品に限定した場合、特段
の理由がない限り、不合理な差別によってサプライヤー間の公平競争の機会を奪う
こととなり、上記法令に違反することになると考えられる。また、上海市の人民法
院が崇明県財政局の決定を認めたことからすれば、政府調達法第 10 条に定められた
原則が実務においても確実に運用されていると理解することができる。
5
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ウ
行政契約
(a) 案件概要
江西省萍郷市に所在する(以下「亜鵬社」という。)と萍郷市国土資源局(以下「国
土局」という。)は、国有土地使用権払下げ契約を締結し、国土局は亜鵬社に対して
工業用地の土地使用権証書を発行した。亜鵬社は、国有土地使用権払下げ契約にお
いて、
「開発用地は商業住宅総合用地であり、冷蔵作業場の現状を維持する」と定め
られていることから、土地用途を工業用地から商業住宅総合用地に変更するよう国
土局に要求した。これに対して国土局は、冷蔵作業場の現状を維持するという文言
は工業用地の用途を変更しないことを意味するとの解釈に基づき、当初は亜鵬社の
要求を認めなかった。その後、江西市企画局により当該土地は商業住宅総合用地で
あるという見解が示されたため、国土局は土地用途を商業住宅総合用地に変更する
ことを認めたが、亜鵬社に対し、用途変更に伴う土地使用権払下げ金の差額の支払
を要求した。亜鵬社は、当該決定を不服とし、国土局を被告として土地用途の変更
及び払下げ金の差額支払要求の取消し等を求めて提訴した。
萍郷市の第一審及び第二審の人民法院はいずれも、当該土地は商業住宅総合用地
であって、国土局は土地用途を変更しなければならず、かかる用途変更について亜
鵬社が払下げ金の差額を支払う必要はないと判断した。
(b) 案件分析
国土局が国家を代表して亜鵬社と契約を締結することは、行政契約行政契約に参
加する企業は、公平かつ平等に取り扱われる必要がある。本件のように、当事者間
で契約条項の解釈に齟齬が発生した場合、行政機関は、相手方当事者に不利な解釈
を一方的にしてはならないことが示された。
(苗暁艶・中国法顧問)
6
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二.連載 中国企業法実務
第九弾:刑事法(第 1 回/全 6 回)
第1回
2015 年 10 月号
中国刑法の特徴
第2回
2015 年 11 月号
刑法総則
第3回
2015 年 12 月号
刑法各論 1
第4回
2016 年 1 月号
刑法各論 2
第5回
2016 年 2 月号
刑事訴訟法
第6回
2016 年 3 月号
治安管理処罰法
第1回
中国刑法の特徴
今月号より、中国企業法実務第九弾として、全 6 回で刑事法の連載をお届けする。
刑事法は、企業法実務において日常的に関わりが生じるものではないが、企業・個人
とも、中国の刑事法の枠組みを理解しておくことは、いざというときに慌てずに済み、
また、企業経営のコンプライアンスの点からも、超えてはいけない線がどこにあるかを
把握することは有益である。さらに、従業員や取引相手方等の不正行為に対して、どの
ような場合に刑事告発が可能なのかを理解しておくことは有意義である。
今月号では、第 1 回として、日本の刑法との違いを意識しながら、中国刑法の特徴を
ご紹介する。
1.沿革
中華人民共和国にて刑法が制定されたのは改革開放が始まった 1979 年(1980 年 1 月 1
日施行)であり、それまでは、単行法令や司法解釈等により犯罪処罰を定めていた。
1979 年刑法(以下「旧刑法」という。)の制定は、最初の統一刑法典として画期的なこ
とであったが、総則 89 条、分則 103 条、全 192 条として条文が少なく、「本法分則が明
文の規定を置いていない犯罪については、本法分則の最も類似する条文を類推適用して、
罪を定め、刑を言い渡すことができる。但し、最高人民法院に申し立ててその審査・許
可を受けなければならない。」とする規定が置かれ、罪刑法定主義が取られていなかった
(旧刑法第 79 条)。また、刑法の任務を「刑罰を以て反革命及びその他の刑事犯罪行為
と闘争すること」と位置付けており(旧刑法第 2 条)、分則においても「反革命罪」に多
くの条文を割いていた(旧刑法第 90 条~第 104 条)。
その後、改革開放の進展と社会経済状況の複雑化に照らして、1997 年の全面改正まで、
合計 23 個の特別立法 10により、実質的改正・増補がなされてきた。
2.現行刑法の体系
1997 年に全面改正された現行刑法は、総則 101 条、分則 350 条、附則 1 条の全 452 条
であり、特に分則(個別に罪を定めた各論)は旧刑法の 3 倍以上の条文数となっている。
10
現行の刑法第 452 条(附則)の別紙 1 及び 2 に、刑法に統合されるものとして列挙されている。
7
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節以上の目次は次のとおりである。総則部分については、日本の刑法と似た項目が並
ぶが、分則部分については、犯罪の種類のみならず、整理の方法も日本の刑法(主とし
て国家法益、社会法益、個人法益の順番で整理)とは異なる。
第一編
総則
第一章
刑法の任務、基本原則と適用範囲
第二章
犯罪
1~12
第一節
犯罪と刑事責任
13~21
第二節
犯罪の予備、未遂と中止
22~24
第三節
共同犯罪
25~29
第四節
単位犯罪
30、31
第三章
刑罰
第一節
刑罰の種類
32~37 の 1
第二節
管制
38~41
第三節
拘役
42~44
第四節
有期懲役、無期懲役
45~47
第五節
死刑
48~51
第六節
罰金
52、53
第七節
政治権利剥奪
54~58
第八節
財産没収
59、60
第四章
刑罰の具体的運用
第一節
量刑
61~64
第二節
累犯
65、66
第三節
自首と立功
67、68
第四節
併合罪
69~71
第五節
執行猶予
72~77
第六節
減刑
78~80
第七節
仮釈放
81~86
第八節
時効
87~89
第五章
その他の規定
第二編
分則
第一章
国家の安全を害する罪
102~113
第二章
公共の安全を害する罪
114~139 の 1
第三章
社会主義市場経済秩序を破壊する罪
90~101
第一節
虚偽劣悪商品生産、販売罪
140~150
第二節
密輸罪
151~157
第三節
会社、企業管理秩序妨害罪
158~169 の1
第四節
金融管理秩序破壊罪
170~191
第五節
金融詐欺罪
192~200
第六節
税収管理危害罪
201~212
8
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第七節
知的財産侵害罪
213~220
第八節
市場秩序を乱す罪
221~231
第四章
公民の人身権利、民主権利を侵す罪
232~262 の 2
第五章
財産を侵す罪
263~276 の 1
第六章
社会管理秩序を害する罪
第一節
公共秩序を乱す罪
277~304
第二節
司法妨害罪
305~317
第三節
国境管理妨害罪
318~323
第四節
文物管理妨害罪
324~329
第五節
公共衛生危害罪
330~337
第六節
環境資源保護破壊罪
338~346
第七節
規制薬物密輸、販売、運輸、製造罪
347~357
第八節
売春組織、強要、勧誘、場所提供、紹介罪
358~362
第九節
わいせつ物制作、販売、散布罪
363~367
第七章
国防利益を害する罪
368~381
第八章
汚職賄賂の罪
382~396
第九章
涜職の罪
397~419
第十章
軍人職責違反の罪
420~451
附則
452
現行刑法は、明文で罪刑法定主義を謳い、類推適用から訣別した(第 3 条)。また、刑
法の適用における法の下の平等を定め(第 4 条)、反革命罪は国家の安全を害する罪に衣
替えし(第二編第一章)、イデオロギー色は薄まっている。
3.刑法の位置づけ
現行刑法は、旧刑法制定後の特別立法を統合し、全ての犯罪を刑法に定めることを目
指している(第 452 条参照)。そのため、中国には、日本のような特別法犯(道路交通法
違反、覚せい剤取締法違反、軽犯罪法違反、廃棄物処理法違反、銃刀法違反、入管法違
反等)というものはなく、全てが刑法犯となる。そのため、刑法に規定がない行為は犯
罪ではないことになり 11、多くの行政法規に刑罰規定が存在し、犯罪の範囲が一目瞭然と
はいえない日本より、罪刑法定主義が進んでいるともいえる。
このため、日本の刑法と比べて次の特徴がある。
①
条文数が多い
日本刑法における罪の条文数は 192 個(追加された枝番や削除された条文を捨象
してカウントした場合)であるのに対し、中国刑法における罪の条文数は 350 個(同
上)もある。
②
改正が多い
11
なお、若干の例外はある。現行刑法制定直後の 1998 年には「外貨虚偽購入、外貨違法海外移転、違法外
貨売買の処罰に関する決定」を全国人民代表大会常務委員会が制定し、同決定第 1 条では、刑法の条文外で
犯罪構成要件と刑罰を定めてしまっている。他方、それ以後の立法では、刑法の条文改正の形を取っている。
9
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社会情勢の変化により、新たな犯罪規定を置く場合、刑法の改正という形を取る
ので、頻繁に刑法改正が必要となる。1997 年から 2015 年までの 18 年の間に 9 回も
の改正がなされている。日本刑法も、近時は改正の頻度はそれなりに高くなってい
るが、改正される条文の数は多くない。それに対し、中国では 2011 年の第 8 次改正
では改正項目が 49 個、2015 年の第 9 次改正では 51 個にも及んでいる。
③
行政法規違反は直ちには犯罪とならない
日本では数多くの行政法規の末尾に罰則が置かれ、懲役や罰金の刑罰が定められ
ているが、中国の行政法規における罰則は、行政罰(過料、行政拘留、違法所得の
没収、営業許可取消等)のみである。行政法規の罰則には、
「犯罪を構成する場合に
は法により刑事責任を追及する」という規定がよく見られるが、これは、当該行政
法規において犯罪構成要件を定めるものではなく、あくまで、刑法の適用により犯
罪が成立する場合には刑事責任が追及されることを定めているに過ぎない。
4.その他の特徴
(1) 犯罪の成立が限定されていること
例えば窃盗罪について、日本刑法では、理論上は少額の単純窃盗でも窃盗罪となり
うるが、中国刑法では、①金額が比較的大きい、②何度も窃盗をする、③侵入盗、④
凶器を携帯して窃盗する、⑤スリを行う場合のみ、犯罪として処罰される(刑法第 264
条)。そして①の「金額が比較的大きい」については、財物の価値が 1,000 元から 3,000
元までの範囲で、省、自治区、直轄市の高級人民法院、人民検察院は具体的な金額基
準を定めて、最高人民法院と最高人民検察院に報告して承認を得ることとされている12。
上海市ではこの金額は 2,000 元と定められている13。この基準に満たない窃盗行為は、
上記②~⑤に当たらなければ、窃盗罪とはならない。ただ、治安管理処罰法にて行政
罰(過料、拘留)の対象とはなる(同法第 49 条)。
(2) 法定刑が段階的に定められていること
同じく窃盗罪を例にとれば、日本刑法では、10 年以下の懲役(1 月以上 10 年以下)
又は 50 万円以下の罰金(1 万円以上 50 万円以下)という広い幅で法定刑が定められて
いる(同法第 235 条)。他方、中国刑法では、次のように段階的に規定されている。
1
2
3
行為態様
法定刑
金額が比較的大(1,000 元~3,000 元以上)、
3 年以下の懲役、拘役、管制、罰
何度も窃盗、侵入盗、凶器携帯、又はスリ
金の併科又は単科
金額が巨額(3 万元~10 万元以上)、又は
3 年以上 10 年以下の懲役、罰金の
情状が悪質
併科
金額が特に巨額(30 万元~50 万元以上)、
10 年以上の有期懲役又は無期懲
又は情状が極めて悪質
役、罰金若しくは財産没収の併科
12
「最高人民法院、最高人民検察院の窃盗刑事事件の適用法律に関する若干の問題の解釈」(法釈〔2013〕
8 号)第 1 条
13
上海市検察院による「本市が処理する一部の刑事事件の基準に関する意見」(滬検法〔2008〕143 号)第
28 条
10
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[応用編]
中国では、上述の通り、刑法に規定がないものは原則として犯罪ではなく、行政法規違
反は、行政罰の対象となるのみである。
例えば、日本では、外国人の犯罪として出入国管理及び難民認定法違反の件数が多く、
不法残留や不法就労等の違反行為についても懲役の刑が科されうる。他方、中国では、こ
れらの行為については、過料や行政拘留(最大 15 日)の対象となるものの、犯罪には該
当しない。出入国管理関係で刑法により犯罪と定められているのは、密出入国や、偽造パ
スポートでの出入国等の悪質な行為に限られる(刑法第 318 条以下)。
15 年ほど前、筆者は東京地方裁判所にて北京語の法廷通訳に従事していたが、不法残
留で起訴された被告人が、「普通に生活しているだけなのに犯罪となるとは思わずショッ
クだった」と泣きながら供述する場面に何度も遭遇した。当時は、情状を良くするための
芝居かと感じたこともあるが、実際に同じ行為が中国では犯罪とはならないことからする
と、今思えば、当時、不法残留を甘く見ている中国人が多かったのは、やむを得ぬ面もあ
ったのではないかといえる(無論、国により何が犯罪になるかは異なるのであり、日本で
は、日本の法律を守らなければならないことは言うまでもないことではあるが。)。
(山根基宏・弁護士)
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三.
中国法務の現場より
1.銀聯カードの海外における現金引出制限
今年の 10 月 1 日~7 日の国慶節休暇も、訪日する中国人観光客による「爆買い」が大き
な話題となった。連休に先立ち、中国国家外貨管理局は、オンライン決済システムを運営
する中国銀聯(ユニオンペイ)に対して、銀聯カードの海外における現金引出額に年間上
限を設けるように命じ、同社は、2015 年 10 月 1 日から 12 月 31 日までで 5 万元(約 95 万
円)、2016 年 1 月 1 日以降 1 年間あたり 10 万元(約 190 万円)の引出額上限を設定するこ
とを発表した。
中国銀聯は、上海市に本部を置き、50 億
枚を超える世界最大の発行総数を誇るカー
ド機構である。中国国内の銀行で口座を開
設すると、
「銀聯マーク」がプリントされた
キャッシュカードが発行され、同社が提供
するデビットカード機能(銀行口座の預金
残高を超えない範囲で買い物や現金引出が
可能であり、利用額が銀行口座から即時に
決済される機能)が利用できる。最近は、
中国人観光客向けに、日本国内の多くの ATM が銀聯カード対応となり、百貨店や量販店
でも「銀聯マーク」を見かけることが多くなった。
中国国家外貨管理局によると、海外引出額の上限設定の目的はマネーロンダリングを防
止することだという。そもそも中国では人民元の海外流出を防ぐために、個人による人民
元の外貨転や現金持ち出しに制限が設けられているが、これまでは銀聯カードを使うこと
によって、1 日あたり 1 万元(約 19 万円)の範囲内であれば、中国国外の ATM で自由に
現金を引き出すことが可能であった。これを毎日繰り返すことによって、1 か月あたり 30
万元(約 570 万円)もの現金を中国国内の口座から中国国外に「送金」することが可能だ
ったわけである。かつて多額の人民元の海外送金のご相談を受けた際にこの裏ワザを検討
したことがあったが、今後はせいぜい年間引出上限額の枠内でしか利用できなくなる。
今回の上限設定が「爆買い」に水を差すのではないか、という一部報道もあるが、1 年
間あたり 10 万元(約 190 万円)も日本で現金を引き出す観光客はまれであろうし、また、
現時点では、上記規制はショッピング時のカード決済には及ばない。さらに、与信の低い
銀聯カードはデビットカード機能しかないが、日本に買い物に行くことのできるような資
産のある中国人の場合、クレジットカード機能付きの銀聯カードを複数保有していること
が多く、クレジットカード機能を利用する場合も上記規制は受けないため、
「爆買い」への
影響はほとんどないと思われる。
(野中信孝・弁護士)
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2.「専車」の規範化への取り組みにみる中国の法形成のあり方
(1) 「専車」とは
中国では、近時「専車」と呼ばれる、インターネットで予約するタクシーではない自
動車の利用が急速に普及している。スマートフォンのアプリを使って、需要と供給のマ
ッチングを効率的に行うことができ、多人数での移動(7 人乗りの車など)、高級車の利
用、タクシーがつかまらない時の移動などに便利である。
これらは、
「ハイヤー」とも「白タク」ともいえるグレーゾーンで発展してきた業界で
ある。
現状では、正規のタクシーが、流しで客を拾う以外に、配車アプリを使って行きたい
方向の客を拾うことは規範化されつつあるが(これも、当初は法規制枠組みの外で普及
が先行したものが、正規の配車システムに組み込まれた経緯がある)、正規のタクシーで
ない車両がこれを行うのが「専車」である。車両リース会社がプロの運転手を使って営
業する場合(ハイヤーに近い)もあれば、個人が自家用車で営業する場合(白タク)も
ある。
(2) 国の立法動向
このような「専車」の存在を一定の範囲で認めるとともに法規制の枠組みに取り込ん
で規範化を図るために、交通運輸部は、10 月 10 日、
「タクシー業界の健全な発展の推進
の改革を深めることに関する指導意見」 14と「オンライン予約タクシー経営サービス管
14
关于深化改革进一步推进出租汽车行业健康发展的指导意见
13
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理暫定弁法」15の意見募集稿を同時に発表した 16。意見募集の期限は 11 月 9 日まで。
指導意見に付された起草背景によれば、2014 年末現在、全国にはタクシーが 137 万台、
従業人員 261.8 万人がいるが(ちなみに、日本では 24 万台、41.3 万人 17)、近時、一部の
都市で、タクシーを拾いにくく、サービスの質が悪い問題があり、特にこの 2 年間にお
いては、モバイルインターネットとの融合により、利便性が向上している反面、伝統的
なタクシー業者との間で不公平な競争が生じており、業界の矛盾が生じているとされる。
そこで、伝統的なタクシー業界における問題点の改善(経営権が高値で取引されたり、
経営者と運転手との利益分配が不合理であったりするなど)を図るとともに、伝統的な
タクシーと、オンライン予約車の差別化を図り、後者は流しで客を拾うことは禁じると
ともに、料金体系も異なるものとするとして、伝統的なタクシー業界からの「専車」に
対する反発を緩和しつつ、「専車」業界を規制の枠組みに取り組むことを目指している。
暫定弁法によれば、
「オンライン予約タクシー経営サービス」とは、インターネット技
術によるサービスプラットフォームを作り、条件を満たした車両と運転手を取り込み、
需給情報を統合して、流し以外のタクシー予約サービスを経営する活動をいう(第 2 条)。
国の交通運輸部が全国的な管理を行い、各地方の交通運輸主管部門が当該行政区域内
の管理を行い、県レベル以上の道路運輸管理機構が具体的な管理を実施する(第 4 条)。
オンライン予約タクシー経営者には、①企業法人の資格を有する、②固定した営業場
所を有する、③インターネットプラットフォームを有し、サーバーを中国国内に置くこ
と、④データベースを所在地の道路運輸管理機構の監督プラットフォームに接続するこ
と、⑤電子決済を利用する場合には、銀行や銀行以外の支払機構と決済事務に関する契
約を結ぶこと等の条件が課されている。外商投資企業による経営も、国家安全審査関係
規定等を満たすことを条件に認めている(第 5 条)。
経営は許認可制とし、認可された経営者には「道路運輸経営許可証」が交付される。
運行車両については、7 人乗り以下の乗用車であることのほか、旅客運送用としての
車両登録が必要とされ(第 12 条)、審査に合格した車両には、
「道路運輸証」が交付され
る。
運転手については、3 年以上の運転歴のあること、重大事故・違反歴がないこととい
った条件が課され(第 14 条)、審査に合格した者には、「道路運輸従業人員従業資格証」
が交付される。
経営者は、乗客に「発票」を提供する必要があり(第 19 条)、また、乗客のために保
険に加入する必要がある(第 24 条)。
本弁法では、条件を満たさない車両・運転手を取り込むこと、そして自家用車の相乗
り等の名義で運営することを禁じている(第 27 条)。その一方で、通勤や旅行の際の相
乗りについて、燃料代や通行料を分担する場合や、無料で協力し合う形(「拼車」とか「順
風車」などと言われる形態)のものには、本弁法適用はないとする(第 49 条)。
(3) 上海の動向
その中で、上海市では、市交通委員会が、国の意見募集稿発表に先立ち、10 月 8 日付
で、業界大手の「滴滴快的」にオンライン予約の経営許可資格証を与えた旨の情報が発
15
16
17
网络预约出租汽车经营服务管理暂行办法
http://www.mot.gov.cn/zfxxgk/bnssj/dlyss/201510/t20151010_1886298.html
http://www.taxi-japan.or.jp/content/?p=article&c=100&a=8
14
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表された 18。それによれば、
「専車」は普通のタクシーとは消費者群が異なり、タクシー
に対する補充性があるとしてその意義を肯定するとともに、保険加入を強制し、運転手
側の収入が一定限度に達した場合には納税義務を課すこと、運営プラットフォームが収
入を監督すること、運転手の登録審査や研修をしっかりと行うこと等の条件を付けてい
る。また、条件を満たす車両であれば、自家用車の使用も排除しないという見解が示さ
れている 19。
また、当該報道によれば、米国発の「UBER」が上海自貿区に「上海霧博信息技術有
限公司」(登録資本 21 億元)を設立した旨を発表したとし、国の弁法施行の暁には直ち
に資格の申請を行う予定であるとしている。
(4) 評価
上海の動向は、自家用車の参画を認めない国の意見募集稿とは異なる内容であるが、
上海では、全国に先駆けて、先進的な施策を試験的に導入することがよく行われている
(本稿でも何度も取り上げた、自由貿易試験区の設置や、国の社会保険法制定前から外
国人に対する社会保険任意加入制度を導入することなど、枚挙に暇がない)。
今回の「専車」についても、上海での試験的運用により、民間企業の専門的管理能力
をうまく生かして、いかに、従来の「白タク」の弊害(安全面のリスクやぼったくりの
リスクなど)を抑えつつ、現に高いニーズのもとに社会的実態が存在するなかで、それ
を規範化して、適切な管理のもとに導いていくことができるかが注目される。
「中国は法治国家か」という命題がある。表面的には国の法制度に地方が従わないと
いうことは法治に対する挑戦のように見えるが、複雑な社会状況下において、迅速かつ
効率的に法制度の改革・新制度の導入を図っていくという観点からは、本件にもみられ
るような、中国式の法形成のあり方は、実に優れていると感じる。
(弁護士・山根基宏)
TMI 中国最新法令情報―2015 年 10 月号―
発
行:TMI 総合法律事務所
監
修:何連明・外国法事務弁護士
編集主幹:山根基宏、中城由貴・弁護士
発 行 日:2015 年 10 月 31 日
18
19
http://www.shanghai.gov.cn/nw2/nw2314/nw2315/nw5827/u21aw1064357.html
http://www.shanghai.gov.cn/nw2/nw2314/nw2315/nw17239/nw17243/u21aw1064358.html
15
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