プリンテッド技術が拓くエレクトロニクの未来 (阪大産研) 菅沼克昭 内 容 背景 期待される市場 材料技術 巨大成長するPE市場 現 在 2000億円 2019年 5兆円 http://www.eco.sanken.osaka-u.ac.jp/pe/ K.Suganuma, Osaka University ナノサイズから数メータまでを可能にする印刷 街頭を飾る印刷ポスター ナノインプリントで形成した 基板上の90nmバンプ (Fe,Mn)3O4 90nm 阪大産研田中教授より Harry Ransom Center所蔵(テキサス大学) K.Suganuma, Osaka University 2 3 高速インクジェット印刷 オンデマンド 高速 非接触→異形への印刷 紀州技研より K.Suganuma, Osaka University 4 高速印刷機 ロールtoロール スクリーン印刷 グラビア印刷 桜井グラフィックスシステムズより K.Suganuma, Osaka University 5 なぜ、今、PEか? 止まらないデジタル機器の価格下落 – 製品サイクルの短期化 → 設備投資リスク回避 薄型・大面積エレクトロニクス製品への強い要求 – テレビ、ソーラー、照明... 真のウェラブルはPEで実現される 超低価格製品への膨大な需要 – たとえば、安価なフレキシブル・ソーラー 環境調和性は必須 – 省資源、有害物質削減、レアメタル不要技術、安価なグリーン・エネ ルギー、低エネルギー生産 欧・アジアで活発な動き K.Suganuma, Osaka University PE市場 10年ごとに一桁以上の市場規 模拡大で、20年後には30兆円市 場へ成長すると期待 ポスター/ 表示 センサー 高周波/静 電気除去 ロジック/メ モリ 照明 発電/蓄電 平面表示 デバイス K.Suganuma, Osaka University プリンテッド・エレクトロニクスは世界が競う焦眉の技術 FP7で20プロジェクトが進行中 OA-E、IMEC、Holst Cetreなどコアとなる組織形成 フィリップス・シーメンスなどからベンチャー誕生 ドイツ政府が巨額の投資 英国5COE拠点形成、Cambridge、Manchester、 Imperial Collegeをコアに進む有機半導体、ソー ラー、照明、IJディスプレイ技術 • 北欧で進むグラビア印刷 • 大量生産・低価格製品が主力 7 • • • • • • サムソン/機械研究所 /Sunchon Nat‘l Univなど で盛り上がる組織 • 集中するIJ技術と台頭す るインク技術 • RFID技術 • 材料・印刷・電気の個々の メーカが開発 • 微細配線・ディスプレイなど 高付加価値製品に集中 • PE研究会始動 • ITRI/軟性電子産業推進連盟を 中心とする組織化 • 力が入るディスプレイ技術 • 大手電子ペーパー企業の買収 • 大学間プロジェクト • iNEMI・HP・モトローラ • 国はソーラー・照明に集中投資 • 立ち上がるディスプレイ・ソーラー・材料 ベンチャー企業 • 個々の大学が特色 • 材料系学会はPEに集中 K.Suganuma, Osaka University 8 PE活動:イギリスと韓国の例 K.Suganuma, Osaka University 9 たとえば、印刷で実現する有機半導体 印刷機#1 前処理 印刷機#2 印刷機#3 印刷機#4 後処理 PETフィルム 巻き取り PETフィルム 送り出し ソース/ドレイン印刷 半導体印刷 絶縁層印刷 ゲート印刷 PET たった4回の印刷で半導体が出来る! K.Suganuma, Osaka University PE技術に必要な5要素と開発項目 ・ 電力伝送 ・ 太陽電池 ・ 電池(1次/2次/キャパシタ) •センサー •マイク(振動) •タッチパネル •キー ・光通信 ・BT/ZigBee ・無線LANネットワーク ・液晶 ・電子ペーパー ・音/振動 等・・・ ・ 回路 ・ TFT ・ LCR等・・・ K.Suganuma, Osaka University 10 フレキシブル基板上のプリンテッド・デバイス開発の重要項目 印刷技術は? 微細化は? スケーラビリティーは? 既存部品との混載 実装:低温接合は? フレキシブル基板上の機 械的性質評価方法は? 基板表面処理は? 信頼性は? 磁性ナノインクは? 分散媒体は? ぬれの制御は? フィルム基板 透明ナノインクは? パターニング技術? 封止・安定性は? Ag・TCO・CNT透明導電膜 磁性ナノインク メモリ ナノインク配線 アンテナ 有機半導体は? 合成方法は? 評価方法は? 制御ドライバ 回路 有機発光・受光デバイス 有機TFT 有機半導体/電極界 面の構造・仕事関数・ 電子トラップ・絶縁層・ 構造安定性・印刷法・ 評価方法は? バッテリ ソーラー バッテリインク? ソーラー? 安定性は? Agインク低温化? 電気特性は? 基板密着強度・安定性は? K.Suganuma, Osaka University 11 12 RFIDタグ 医薬品管理 物流管理タグ 食品トレーサビリティー "PolyIC press picture". K.Suganuma, Osaka University 導体 有機EL照明 有機半導体 基板 グラビア印刷されたOLED照明 (OLLAプロジェクトより) OSRAMのデザイン照明 K.Suganuma, Osaka University 13 14 ソーラーセルの量産ライン スクリーン印刷でグリッド配 線(バスラインとフィンガーラ イン)描画と裏面Al面 – ロバスト性、低コスト、短タク ト、省廃棄物、自動化 高温焼成型Agペースト セレクティブ・エミッターにイ ンクジェット印刷 K.Suganuma, Osaka University 太陽電池基板への電極・配線の低温実装技術 Si系太陽電池 Si太陽電池モジュール 接続 ガラスパネル アモルファスシリコン系 結晶シリコン系 Si インターコネクタ EVA 配線・接続低温化へ 印刷形成太陽電池 CIGS系 透明導電膜 低温配線 有機薄膜・色素増感系 K.Suganuma, Osaka University 16 プリンタブルなバッテリー ZnMnO21次電池 イスラエルPower Paper社 0.5mm厚さ 印刷基板 カレントコレクタ MnO2カソード セパレータ Znアノード カレントコレクタ 印刷基板 K.Suganuma, Osaka University 17 テレビはますます薄く軽くフレキシブルに Sonyの有機半導体テレビ 5ヶ月大気中 で安定 電子移動度 ~0.4cm2/Vs トータル80μm厚さ PXX(peri-Xanthenoxanthene ペリ・キサンテノキサンテン)誘導体 K.Suganuma, Osaka University 電子ブック市場は急成長:ディスプレイは? Que iPad K.Suganuma, Osaka University 18 ヘルスケア・デバイス BDIのDr. Tony Killardは、FP7の一環としてコレステロール測定などの血液検査 をプリンテッド・エレクトロニクスの技術を使用して開発。印刷ディスプレイと印刷 バッテリーで構成されており、遠距離の医師とも連絡が出来るようになっている。 http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0812/1224276640933.html K.Suganuma, Osaka University 20 インクの吐出と着弾 K.Suganuma, Osaka University 21 印刷技術:スループットと詳細性 (m2/秒) 100 オフセット グラビア ロータリー スクリーン フレキソ スループット 1 スクリーン インクジェット 10-2 転写印刷 (オフセット) 10-4 1 静電吐出IJ μCP ナノインプリント 10 100 詳細性 500 (μm) K.Suganuma, Osaka University 22 印刷技術では何が必要か? 印刷精度(ディスプレイであればμmオーダー、平坦性、重ね塗り精度) 大面積でも均一性(インク設計、乾燥) エッジ処理(ぬれ制御、受理層設計) 界面形成(基材とのマッチング・接着) 量産対応のインク相性 ‒ IJ→ヘッド相性、コンタクト型印刷→ローラーとの相性 スループット K.Suganuma, Osaka University 23 基板表面状態の配線形成への影響 問題点 インク滲み 受理層 未処理 500 mm 字部日東化成と共同 500 mm K.Suganuma, Osaka University 24 印刷可能な半導体 移動度 (cm2/V・s) キュア温度 (℃) 有機半導体 0.1~10 100~200 酸化物系 10~数10 200~500 欠点:キュア温度が高い カーボン系 数10から100 100~200 Siナノインク 数10~100 >500? 欠点:キュア温度が高い 化合物半導体(カルコゲナイド等) ~数10 高い? 欠点:毒性が強い K.Suganuma, Osaka University 25 材料:配線は金属ナノインク 導電性高分子/デバイスは 将来に期待 長鎖分子がナノ粒子 と「弱い結合」し ナノ粒子を物理的に 保護する 高抵抗で不安定 未成熟技術 金属ナノインクは必須 安定なインクは焼成温度が高い サイズ効果で低温配線形成可能 各種印刷技術とのマッチング良好 ファインピッチ化が容易 安定に優れ低抵抗で電力配線形成 K.Suganuma, Osaka University ナノインクはキュア低温化を可能にする 熱に弱い基板、箱体..... 有機半導体は熱に保たない! ⇒半導体特性向上には150℃程度キュア、しかし低温化したい 今は、Siでさえ熱に保たない、熱応力は極力小さくしたい そもそも常用温度は室温前後、エネルギーの節約、CO2排出削減 …. 真の環境調和 選択肢 • 化学処理法:化学的作用により分散剤を除去 • 低温熱分解型インク:例えば銀塩 • 第3のエネルギー併用:熱の他のエネルギーで分散剤を除去 • 加圧加工:加圧処理で粒子の組成変形や圧着を誘発 K.Suganuma, Osaka University 26 新たな銀塩技術を使えば100℃-数分の低温化が可能になる! 新物質β-ケトカルボン酸を開発!透明な インクで100℃のキュアを世界初実現 新銀塩 日刊工業’09.2.12 銀塩インク 100℃ 配線 K.Suganuma, Osaka University 27 銀塩技術を使ったスマートマップ 基板: 紙 Agインク: βケトカルボン酸インク 場所表示ランプ: OLED 混雑表示: エレクトロルミネサンス ワイヤレスLAN, リアルタイム場所表示…. Courtesy of Toppan Forms K.Suganuma, Osaka University 28 29 抵抗値 (×103Ω) (f) 常温配線は3分! 20 15 300 nm 20 nm 10 5 0 0 D. Wakuda, M. Hatamura, K. Suganuma Chemical Physics Letters, 441 (2007), 305–308 100 200 時 300 間 (秒) 400 500 K.Suganuma, Osaka University Agナノ粒子インクの室温におけるバルク化 洗滌前 30秒 2時間 K.Suganuma, Osaka University 30 31 低温接続技術も必要 低温接続の選択肢が増え、導電性 接着剤がPE実装の主役 ⇒ 目標:130℃以下で数秒 ナノ粒子を用いた接続は常温接続 を可能にする コスト効果が高いミクロンサイズ粒 子による接続も200℃で可能 Agミクロン粒子を用いた接続は耐熱 性に優れる Cuや他の金属接合の低温化可能性 も....? K.Suganuma, Osaka University 導電性接着剤評価技術のISO標準化が進む Ag-エポキシ系 ICA プロセス Sn Cu 低温プロセス 高温耐熱 フレキシブル 評価方法の標準化 基礎メカニズムの理解 K.Suganuma, Osaka University 32 33 ストレッチャブル:超柔軟な配線技術 優れた伸展性を有する配線 センサー皮膚 阪大&ココロ共同開発 化学日報 H22.9.9日付け 日刊工業 バイエル・マテリアルサイエンスと共同 K.Suganuma, Osaka University 34 樹脂との界面とは何か? 如何にして界面接着を得るか? 半導体特性は電極形成に異存 銀塩インクでは150℃でPET中へAg がマイグレートし良好な界面を形成 Ag layer PET 銀ナノ粒子インクは 200℃でエポキシ中へ Agがマイグレートし良 好な界面を形成 Ag配線層 エポキシ Ag配線 200nm エポキシ K.Suganuma, Osaka University 35 まとめと次のステップへ • プリンテッドエレクトロニクスは実用化の端緒をつかみつ つある • 微細描画製品と大面積・ボリュームゾーンの2ターゲット • 低温プロセスが可能になった • 技術開発の課題: – 製品ターゲットの絞り込みは? – 欧米の技術デファクト化に対抗するためには共通要素技術として 何が必要か? – 追い上げる韓国・台湾に対抗できるか!? 材料・製造プロセスのデファクト化で、いち早くサプラ イチェーンを形成 K.Suganuma, Osaka University 36 PE研究会をスタート 既に104社を超えた! 謝 辞 常温配線技術は、平成17-20年度文科省科研費基盤(A)「独立分散合金ナノ粒 子の合成とナノペースト配線技術の基盤形成」の補助のもとに開発した。 常温配線には、和久田大介氏(現パナソニック)、ナノ粒子・ロッド合成には、酒 金婷博士、畑村真理子氏にご尽力いただいた。 カルボン酸銀塩系紙媒体印刷は、NEDO大学発事業創出実用化研究開発事 業「低温焼成金属ナノ粒子を用いた電子情報媒体の開発」の研究補助下で、 トッパンフォームズ社と共同で実施された。 超ストレッチャブル配線は、M1荒木君、能木助教らにより、バイエルマテリアル サイエンスの協力を得て開発した。 導電性接着剤ISO標準化事業は、NEDOのサポートのもとにJEITAに設けた委 員会メンバー、接着剤評価研、プラスチック工業連盟などの御協力により進め られている。 K.Suganuma, Osaka University
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