分野別人権教育・啓発・研修資料 女 性 の 人 権 ~男女共同参画社会の実現に向けて~ 大分県生活環境部人権・同和対策課 大分県教育庁人権・同和教育課 は じ め に 人はだれでも、人として尊重され、それぞれにふさわしい環境の下で人間ら しく生きる権利を持っています。これは男性であろうと女性であろうとすべて の人に与えられた権利です。 しかしながら、人類の歴史の中で長い間、女性は男性より劣る存在としてみ られていました。フランス革命の成果である「人及び市民の権利宣言」は、世 界初の人権宣言と位置づけられていますが、この宣言は「人=男性」の権利の 保障にすぎませんでした。わが国において、男女平等の足がかりができたのは、 女性参政権の実現(1945(昭和20)年)、両性平等の原則を明記した日 本国憲法(1947(昭和22)年)の第2次世界大戦後のことなのです。 男女平等の問題は、長い間「婦人の問題」あるいは「女性の問題」とされて、 あたかも「人権の問題」とは別に「女性の問題」があるかのような取扱いがさ れてきました。 近年、国際社会では、「女性の権利は、人権である」との認識が生まれ、女 性の権利は、国際社会の重要関心事項である人権問題であり、国際的保障が求 められている課題であることが明らかにされました。 この冊子は、このような国際的な潮流・国連の動きを理解し、男女が共同で 築いていく社会の実現に取り組んでいただくための資料として編集しました。 人権が尊重される社会づくりを目指して、職場や地域などあらゆる人権教育 ・人権啓発の場においてご活用いただければ幸いです。 目 1 女性の人権とは 次 …………………………………………………………p 1 2 国際的な取組 ……………………………………………………………p (1)国連憲章から女性差別撤廃宣言まで ……………………………p (2)女性差別撤廃条約の意義 …………………………………………p (3)ウィーン宣言 ………………………………………………………p (4)北京宣言及び行動要領 ……………………………………………p 3 3 3 5 5 3 国・県での取組 …………………………………………………………p 1)国の取組 ………………………………………………………………p (1)日本国憲法、男女平等の理念 ……………………………………p (2)女性差別撤廃条約の批准 …………………………………………p ① 国籍法の改正 ………………………………………………… p ② 高校の家庭科共修の実現 …………………………………… p ③ 男女雇用機会均等法の制定 ………………………………… p (3)男女共同参画社会基本法の制定 …………………………………p 2) 県内の取組 …………………………………………………………p 7 7 7 7 7 7 7 9 9 4 5 男女共同参画 ……………………………………………………………p11 女性をめぐる人権問題 …………………………………………………p13 (1)性別役割分担 ………………………………………………………p13 (2)セクシュアル・ハラスメント ……………………………………p14 (3)ドメスティック・バイオレンス …………………………………p15 女性の人権関係年表 ………………………………………………………p16 1 女性の人権とは 男女が生物学的に違いがあることは当たり前ですが、性差を必要以上に合理 化し、あるいは性差を超えて、様々な分野にわたって女性は、男性に比べて不 利益な取扱いを受けてきました。 男女平等が人権の課題として認知されたのは、20世紀も後半の第2次世界 大戦後のことであり、また、「女性の権利は、人権である」ことが確認された のは、1993(平成10)年6月、ウィーンで開催された世界人権会議での ことでした。女性の人権は人権の歴史からすると比較的新しいテーマなのです。 18世紀後半の近代市民革命は、人は法の前に平等であることを認め、すべ ての人間に基本的人権を保障することになりました。しかしながら、実際に人 権が保障されたのは、男性だけで、女性は排除されていました。 女性の政治活動は禁止され、家父長的な家族制度が支配している中で、女性 は無権利状態におかれていました。 男女平等思想が芽生え、女性に対する参政権の保障は、ようやく19世紀後半 に始まり、妻の無能力制度の撤廃や公的な職業につく自由などを求める運動が 強まってきました。しかしながら、女性の本来的な任務は家庭の領域にあると され、女性の社会進出はかたくなに阻まれていたのです。 工業化の進展にともなう産業社会が到来し、男性には賃金労働が、女性には 家事労働が割り当てられて、性による分業形態が形成されていきます。その結 果、一方は経済価値を生む生産労働として高く評価され、他方は出産・育児・ 家事といった私的な無償労働として低く評価され、それがひいては人間そのも のの優劣に結びつけられていきました。 これまで、男女の特性は異なるものとして「男は仕事、女は家事・育児」と いう性別役割分担観が支配的であったため、男女は生まれたときから異なった しつけや教育を受け、生き方の選択さえも制約されてきました。 こうした役割分担の在り方を問い直し、女性に対して男性と同じ取扱を保障 することが求められています。 このように女性の権利の課題とは、性別役割に根ざした様々な差別を徹底し て解消していくことであり、それはまさしく人権問題です。 -1- 資 料 「2008(平成20)年度実施・人権に関する県民意識調査」から 県では、人権に関する県民意識調査を実施しています。調査の中で女性に関する特徴的な 事項を以下に掲載しました。(表中の今回は、平成20年実施の県民意識調査を、前回は平成15 年実施の県民意識調査を、また、全国男女は平成19年国が実施した調査を表します。) (1)女性の人権で問題となる事項 女性の 女性の人権で 人権で問題となる 問題となる項目(複数回答、不明 となる項目(複数回答、不明を 項目(複数回答、不明を除く) 今回 % 50 40 30 20 10 0 前回 全国男女 44.1 42.0 43.6 40.7 41.7 夫 や の 恋 暴 人 力 か ら セ ク シ ャ ル ハ 売 春 ・ 買 春 ラ ス メ ン ト 不 必 の 要 広 な 告 裸 体 ポ ル ビ ノ デ 雑 オ 誌 ・ 風 俗 営 業 未女 亡性 人の 称 み な の ど 呼 の 13.3 10.411.9 5.5 6.44.5 2.52.20.4 そ の 他 」 職 場差 な別 ど待 で遇 の 12.3 11.611.3 「 固 定 的 担 役 割 分 37.5 37.4 33.133.136.733.2 32.9 26.8 27.2 24.7 24.926.5 18.7 14.3 19.0 17.217.2 17.3 30.6 わ か ら な い 特 に な い 前回調査と比べると「職場におけるセクシュアル・ハラスメント」、「売春・買春」、「水着 姿、裸体や媚びたポーズの広告」が少なくなっています。 全国調査に比べ、「固定的役割分担」、「ポルノ雑誌・ビデオ」をあげる人が多いのが特徴です。 (2)夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである 夫は外で働き、妻は家庭を守るべき(不明を除く) 今回 9.1% 26.0 % 31.6% 21.5% 11.9% 賛成 前回 10.5% 22.4% 32.0% 23.0% 12.1% どちらかと言えば賛成 どちらかと言えば反対 反対 わからない 全国男女 13.8% 0% 31.0% 20% 28.7% 40% 60% 23.4% 80% 3.2% 100% 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」であるという考え方には「賛成」・「どちら かと言えば賛成」をあわせて40.7%、「反対」「どちらかと言えば反対」をあわせると4 7.5 てい %になり反対の方が多くなっています。前回と比較すると反対の考え方がやや増え ます。全国調査と比べると反対の方がやや少なくなっています。 -2- 2 国際的な取組 (1)国連憲章から女性差別撤廃宣言まで 第2次世界大戦の反省の中から1945(昭和20)年6月に署名され、 10月に発効した国連憲章は人権の歴史にとって大きな転機をもたらしま した。 「基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権」に関す る信念を確認し、「人種、性、言語又は宗教による差別をなくしすべての 者のために人権及び基本的自由を尊重するよう助長、奨励することについ て、国際協力を達成する」ことを国際連合の目標に掲げ、本格的に人権の 国際的保障を推進することにしました。同時に「男女の同権」と「性によ る差別のない」人権保障の原則を明言し、男女平等と女性の権利保障への 決意を示しました。 1948(昭和23)年、世界人権宣言が採択され、すべての人間の自 由と平等、権利と自由の享有における差別のない待遇の保障が原則とされ たほか、女性に関連するものとして、成年男女の婚姻の自由や婚姻につい ての平等の権利、母親及び児童の特別の保護及び援助を受ける権利が明示 されました。 1966(昭和41)年に、国際人権規約が国連第21回総会で採択さ れ、人権規約が掲げる多くの権利が、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、 意見、国または社会的出身、財産等のいかなる差別なく行使されることが 約束され、これらすべての権利の享有について「男女に同等の権利を確保 すること」が保障されました。 さらに、1967年の第22回国連総会で、より体系的で総合的な「女 性差別撤廃宣言」が採択されました。 (2)女性差別撤廃条約の意義 国連の「婦人地位委員会」は、1972(昭和47)年に、女性差別撤 廃のための新たな包括的条約の制定を決議し、1979(昭和54)年1 2月に、第34回国連総会で「女性に対するあらゆる形態の差別撤廃に関 する条約」が採択されました。この条約によって、男女平等のとらえ方に ついて質的な転換が図られました。 特徴的なものは、次のとおりです。 ① 「事実上の平等を実現するための特別措置をとることは、この条約の 定義する差別と解してはならい」として、ポジティブ・アクションなど の女性に対する積極的優遇措置を許容する立場を明らかにしたこと ② 性によって異なる価値基準こそが男女差別の原因であり、それにとも なう役割分担を解消することが男女平等を達成するものとしたこと ③ 母性保護のための特別措置は差別にならないとしたこと ④ あらゆる分野への女性の平等な参加を明瞭な形で保障したこと -3- 資 料 ◇ポジティブ・アクション(積極的差別是正措置) 女性や人種的マイノリティなどの社会的弱者に対する、社会的・構造的な格差や差 別を撤廃するための措置。一定の範囲で特別な機会を提供することなどにより、実質 的な機会均等の実現を目的とする暫定的な特別措置のことで、積極的差別是正措置と いわれています。 欧州では「ポジティブ・アクション」を、米豪では「アファーマティブ・アクショ ン」を用いることが多いのですが、1995(平成7)年の北京会議の「行動綱領」では、 「ポジティブ・アクション」が用いられています。 「男女共同参画社会基本法」第2条にも、このポジティブ・アクションが明記されて います。具体的には、男女共同参画を推進していくための条例により、審議会などの 委員の男女数について、同数、あるいは10分の4、均等・均衡など性に偏らないこと を保障しています。 外国では、女性の政治参画推進のために政党が比例代表制の名簿に一定の女性候補 を入れたり、3分の1は一方の性の席と決めたリザーブ・シートであるクオーター制 (割当制)をとり、女性の政治参画を推進している国もあります。 ◇女性差別撤廃条約 女性差別撤廃条約は、1979(昭和54)年12月18日に、国際連合第34回総会で採択さ れ、1981(昭和56)年に発効しました。この条約は、あらゆる分野において性別の優 位や性的役割に由来するステレオタイプを撤廃し、事実上の男女平等を達成しようと するもので、前文及び6部30条からできています。 この条約の特徴として次の6項目があげられます。 ① 撤廃すべき女性に対する「差別」の中に、「排除」や「制限」ばかりでなく、「区 分」も含めており、ジェンダーによる慣習・慣行を含んでいます。(1条) ② 撤廃すべき対象は、国家による差別ばかりでなく、個人、団体・企業による、いわ ゆる私人間の差別も含んでいます。(2条) ③ 例外として、不平等が存在する場合には、それを是正するための暫定的な特別措 置「ポジティブ・アクション」をとることができます。(4条) ④ 条約は国家が女性差別をしないことだけでなく、個人や団体・企業による女子差 別がなくなるように、すべての適当な措置をとることが義務づけられています。 (2条) ⑤ 履行確保のために、政府報告制度を定めています。(18条) ⑥ さらに、条約中の権利を侵害された個人(または個人の集団)が国内の行政司法 的救済を尽くした後、国連の女性差別撤廃委員会に対して権利侵害について直接通 報できる制度を導入する女性差別撤廃条約選択議定書が1999(平成11)年に採択さ れました。 ただし、日本は、まだ選択議定書を批准していません。 -4- (3)ウィーン宣言 1993(平成5)年に、テヘランでの第1回会議以来、25年ぶりに ウィーンで世界人権会議が開催されました。この会議で、 「女性の権利は、 人権である」ことが確認され、公的・私的生活における女性に対する暴力、 セクシュアル・ハラスメント、女性の搾取売買、性的奴隷、強制妊娠など の女性の人権侵害が大きなテーマとなりました。 6月23日に、「ウィーン宣言及び行動計画」が採択され、女性の人権 の普遍性と女性の参加、あらゆる性差別の根絶に対して実効的な対応を必 要とすることを明らかにしました。 「ウィーン宣言」が女性に対する暴力の撤廃を重視したことを受けて、 1993(平成5)年12月には、「女性に対する暴力撤廃宣言」を採択 しました。同宣言は、女性差別撤廃条約上の義務として女性に対する暴力 撤廃義務が含まれていることを明らかにしています。 (4)北京宣言及び行動要領 1995(平成7)年に、北京で開催された第4回「世界女性会議」に おいて、「女性の権利は人権である」、「女性のエンパワーメント及び意思 決定の過程への参加と権力へのアクセスを含む、社会のあらゆる分野への 平等を基礎にした完全な参加は、平等、開発及び平和の達成に対する基本 である」という認識を基礎とした決意が『北京宣言』として表明され、そ の取組の優先分野を取り決めた『北京行動要領』が採択されました。 この要領は、女性のエンパワーメントとジェンダー平等の強化、リプロ ダクティブ・ヘルス/ライツの確保などをめざしています。 さらに、2010(平成22)年3月、第4回「世界女性会議」15周 年を記念して、第54回「女性の地位委員会(「北京+15」)が開催され、 北京宣言と北京行動綱領の実施と女性に対するあらゆる差別を撤廃するた めの条約にある義務を果たすこと、ジェンダー平等と女性のエンパワーメ ントを達成するために相互に強化することを認識する宣言が採択されまし た。 -5- 資 料 ◇エンパワーメント 【定義】 女性のエンパワーメントは、ジェンダーのもとに意思決定過程から排除され、力を奪 われ、無力化(disempowerment)されてきた女性たちが、ジェンダー問題に気づき、そ の批判的意識を行動に転換するために、力の基礎、すなわち意思決定過程への参加の機 会を獲得することで、自ら力をつける(self-empowerment)道を開くこと、と定義できる。 【説明】 エンパワーメントという概念は、野島佐由実によると、社会的に弱く、また脆弱性を 有するものが、人間としての存在を確立し、持てる力を発揮できるように、社会や環境 を変えていくという考え方として、1960年代から広く使われ始めたと言われている。発 展途上国の開発、医療、介護、教育、ジェンダーおよび企業経営などの様々な分野で用 いられており、近年ますます広範な領域で重要な概念になってきている。 このような中で、「女性のエンパワーメント」という考え方は、ジェンダー問題(ge nder- issues)、すなわち社会的・文化的につくられた性差、それに基づく性差別(se xism)の問題を前提としている。1960年代後半からの女性運動の展開における、「意識 覚醒(consciousness-raising)」という初期のフェミニストの理論や活動の中心とな る考え方にその萌芽を見ることができる。1980年代の途上国の開発における女性の問題 に焦点づけた「開発と女性」、「ジェンダーと開発」の分野で議論が深められ、1995年 の第4回世界女性会議(北京会議)でキーワードとして用いられたことにより広く一般 に普及した。 この「女性のエンパワーメント」という考え方が深められ、一般化していく過程で、 「女性のエンパワーメント」とは、女性に慈善的に与えられる何かではなく、自分たち 自身で全てをなさなければならないプロセスとして理解されるようになった。 また、力(power)という用語の再定義について多くの議論が交わされた。「誰かの うえに行使される権力」ではなく、「何かを行うことができるようにする力」として用 いられるようになり、「外部から力を与えられる」ことから「自ら力を引き出す」こと へと力の再定義がなされた。また、ジェンダー問題に気づき、意識が変わった女性たち の批判的意識を行動に転換するために、生活に影響を与える全ての領域における「意思 決定過程への参加」が焦点の一つとなった。そして、その結果として、家庭内外での自 分自身の生活をコントロールする力関係を変えることが、女性のエンパワーメントの基 本的ゴールとして確認された。 (「女性のエンパワーメントの概念」・葛原生子 『生涯学習研究e事典』日本生涯教育学会) ◇リプロダクティブ・ヘルス/ライツ 性と生殖に関する健康・権利で、女性が全生涯にわたって身体的・精神的・社会的に 完全に良好な状態であるために、いつ、何人の子どもを産むか産まないのかを選ぶ自由、 安全で満足いく性生活、妊娠・出産、安全な出産調節など女性の自己決定権を尊重する 考え方です。 1994(平成6)年、エジプトのカイロで開催された国連の国際人口開発会議にお いて、国際的に承認されました。 -6- 3 国・県の取組 1)国の取組 (1)日本国憲法、男女平等の理念 日本国憲法で定められた「個人の尊重」や「法の下の平等」を踏まえ、 わが国では男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきました。 しかし、現実には男女の固定的な役割分担等を背景とした女性への差 別的取扱が依然として残っていることから、社会生活の様々な場面にお いて女性が不利益を受けています。 (2)女性差別撤廃条約の批准 1985(昭和60)年、あらゆる場面において、「固定化した男女の 役割分担」を変革し、「事実上の平等」を達成しようとする「女性差別撤 廃条約」を批准するにあたって国内法を整備しました。このことにより、 一定の分野で女性の社会進出が進みましたが、差別撤廃への抵抗はいま だ根強いものがあります。 批准にあたって、整備した主な国内法等は以下のとおりです。 ① 国籍法の改正 日本の国籍法では、従来、父系優先血統主義をとっており、国際結婚で 子どもが日本国籍を取得できるのは、父親が日本人の場合だけでした。こ れは、男女平等を規定した条約に違反するため、国籍法を改正し、父母両 系血統主義としました。 ② 高校の家庭科共修の実現 女性のみの必修であった家庭科は、教育における平等を定める条約に違 反するため、学習指導要領を改定し、家庭科は男女ともに選択必修科目と しました。 ③ 男女雇用機会均等法の制定 雇用における男女の平等を規定した条約の趣旨に沿って、1985(昭 和60)年、募集・採用、配置・昇進について女性を男性と均等に取り扱 う努力義務等を定めた「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の 確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律(男女雇用機会均等法)」が、 勤労婦人福祉法の全面改正法として制定されました。 -7- 資 料 ◇男女雇用機会均等法 男女雇用機会均等法は、1985(昭和60)年に、職場での男女平等を確保し、女性が 差別を受けずに家庭と仕事が両立できるように作られた法律です。 この法律によって、募集・採用・配置・昇進について女性を男性と均等に取り扱う 努力義務や教育訓練、福利厚生、定年・退職及び解雇について女性であることを理由 とした差別禁止などが規定され、職場における男女差別はかなり改善されました。 しかしながら、まだ不十分であったことから、1997(平成9)年に、全面改正されま した。主な改正点としては、女性に対する差別の努力義務規定の禁止規定化、ポジテ ィブ・アクション、セクシュアル・ハラスメントに係る規定の創設、母性健康管理措 置の義務規定化が盛り込まれました。 さらに、附帯決議等で指摘された課題を踏まえ、2006(平成18)年に、再改正され ました。 新しい改正点としては、表面上には見えない慣行や基準が、実際には一方の性に不 利益となる「間接差別」の禁止、妊娠や出産等を理由とする不利益取扱いの禁止、女 性だけでなく、男性へのセクハラ防止対策の企業の義務化、男女雇用機会均等法の実 効性を確保する調停、企業名公表制度の範囲の拡大、過料の創設などが挙げられます。 これまでの女性のみに焦点をあてた内容ではなく、広い意味での性差別と捉えている のが特徴的です。 ◇男女雇用均等法に対する附帯決議 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整 備に関する法律案に対する附帯決議(抜粋) 衆議院労働委員会 平成9年5月16日 政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。 1 男女双方に対する差別を禁止するいわゆる「性差別禁止法」の実現を目指すこと。 また、いわゆる「間接差別」については、何が差別的取扱いであるかについて引き 続き検討すること。 7 法の実効性を高めるために、「助言・指導・勧告」について明確な基準を定める とともに、調停制度については、法の趣旨が活かされるよう積極的な活用を図ること。 8 ポジティブ・アクションの促進のための対策やセクシュアル・ハラスメント規定 の実効確保に向けた行政指導を強化すること。 ※なお、平成9年6月10日に、参議院労働委員会が同趣旨の附帯決議をしています。 間接差別の禁止(男女均等雇用法第7条) 厚生労働省令で定める措置では、三つの措置について合理的理由がない場合、 間接差別として禁止しています。 ・募集にあたって身長・体重・体力を要件とすること ・総合職の募集採用にあたって転居転勤を要件とすること ・昇進にあたって、転勤経験を要件とすること -8- (3)男女共同参画社会基本法の制定 わが国は、世界女性会議の最終文書に沿って、国内行動計画を策定して きました。1975(昭和50)年の世界行動計画に対して1977(昭 和52)年には国内行動計画を、1985(昭和60)年のナイロビ将来 戦略に沿って1987(昭和62)年に「2000年に向けての新国内行 動計画」を、さらに、1995(平成7)年の北京行動要領を受けて19 96(平成8)年「男女共同参画2000年プラン」を発表しました。 このプランには、職場・家庭・地域における男女共同参画の実現、女性 の人権が推進・擁護される社会の形成などの基本的方向性と女性に対する あらゆる暴力の撤廃など11の重点項目が掲げられています。 このプランを法的に基礎づける「男女共同参画基本法」が、1999(平 成11)年6月に施行されるとともに2000(平成12)年には「男女 共同参画基本計画」が策定され、男女共同参画社会の形成が促進されてい ます。 2) 県内の取組 県は、1980(昭和55)年、女性の地位と福祉の向上を目標に掲げた 「婦人の明日をひらく-県内行動計画」を策定し、女性のライフステージ 毎に課題を体系づけ、人材育成や情報提供、意識啓発に努めました。 1991(平成3)年には、 「男女平等と個人の尊厳」を基本理念として、 「男女共同参加型社会の実現」を目標とする「おおいた女性プラン21」 を策定し、人材育成、啓発、根強い性別役割分担意識の解消や、女性の 多様な生き方を支える社会的条件整備の推進を目指す施策を展開しました。 2001(平成13)年、 「男女平等と人権の尊重」を基本理念とし、 「男 女共同参画社会の実現」を総合目標とした「おおいた男女共同参画プラ ン」を策定し、性別役割分担意識の解消や女性に対する暴力根絶のため の意識啓発とともに、政策・方針決定への女性の参画を促進など、男女 共同参画実現のための環境整備に取り組みました。2002(平成14) 年、大分県男女共同参画推進条例を公布・施行しました。 2005(平成17)年に、配偶者からの暴力を防止し、被害者保護を 総合的・計画的に推進する「大分県DV対策基本計画」を策定しました。 2006(平成18)年、人口減少や少子・高齢化の進行、産業構造や 就業環境の変化、県民意識の変化など社会経済情勢が大きく変化する状 況を踏まえ、 「おおいた男女共同参画プラン(改訂版)」を策定しました。 2009(平成21)年、「大分県DV対策基本計画」策定後の取組状 況と配偶者暴力防止法の一部改正を踏まえ、 「大分県DV対策基本計画(改 定版)」を策定しました。 -9- 資 料 ◇男女参画社会基本法 (平成11年6月23日公布・施行) 「男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野におけ る活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文 化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成する」(第2条) ものです。 ◇ 基本法では、男女共同参画社会を実現するための基本理念を掲げています。 また、行政(国・地方公共団体)と国民が果たすべき役割(責務・基本的施策)を定 めています。 男女の人権の尊重 男女の個人としての尊厳を 重んじ、男女の差別をなく し、男性も女性もひとりの 国際的強調 人間として能力を発揮でき 男女共同参画づくりのた る機会を確保する必要があ め、国際社会と共に歩む ります。 、 社会における制度又は 慣行についての配慮 ことも大切です。他の国 固定的な役割分担意識にとら 々や国際機関と相互に協 われず、男女が様々な活動が 力して取り組む必要があ ります。 基本理念 できるように社会の制度や慣 男女共同参画社会を 実現するための 行の在り方を考える必要があ ります。 5本の柱 家庭生活における活動と 他の活動の両立 男女が対等な家族の構成員とし 政策等の立案及び決定への 共同参画 て、互いに協力し、社会の支援 男女が、社会の対等なパートナーと も受け、家族としての役割を果 して、あらゆる分野において方針の しながら、仕事や学習、地域活 決定に参画できる機会を確保する必 動等ができるようにする必要が 要があります。 あります。 男性も女性も、意欲に応じて、あらゆる分野で活躍できる社会 職場に活気 家庭生活の充実 地域力の向上 ひとりひとりの豊かな人生 仕事、家庭、地域社会など多様な活動を自らの希望に沿った形で展開でき、 男女がともに夢や希望を実現 (内閣府男女共同参画局:男女共同参画のイメージ図より) - 10 - 4 男女共同参画 「男女共同参画」は英語で公式に"gender equality"と表記されています。 女性も男性も性別にとらわれることなく、個性と能力を最大限発揮できる 社会を「男女共同参画社会」といい、「男らしさ」「女らしさ」についてのイ メージ・意識・考え方―これが「ジェンダー」です―というものにとらわれ ずに、私たち一人ひとりが「平等」に扱われるべきだ、という考え方です。 憲法に男女平等がうたわれ、さまざまな分野で男女の平等が進んできまし た。しかし、以前の男女の平等の取組は、「女性施策」などと呼ばれ、女性 の地位向上に向けての取組が中心で、指導的立場についている女性は少なく、 また、DVなどの女性に対する暴力の問題など多くの課題が残されています。 「ジェンダー」と「男女共同参画」は、今後の新しい社会を展望するキー ワードです。男女共同参画は、男性に偏った現在の社会に女性が対等に参画 し、女性が男性並みになっていくことではなく、男性の働き方も含め、近代 の男性中心社会を問い直し、男性を含めた社会全体の意識や仕組みを変え、 誰もがその人らしく生きられる人権の尊重を基礎においた社会を、女性だけ でなく、男性との協働作業によって推進していくということです。 ◇バックラッシュ バックラッシュ(BackLash)とは、歴史の揺り戻しと訳されています。 最近では、1985(昭和60)年6月に日本が批准した「女性差別撤廃条約」を 受け、1999(平成11)年6月男女共同参画基本法が公布・施行して以降、男女 共同参画が推進されるにあたり、ジェンダーフリーに対する批判として「男は仕事、 女は家庭」、「男は強く、女は慎ましく」などといった伝統的とされる男女の図式を 強化、あるいは固守する可能性のある思想・運動が登場しました。また、それと同時 期、「女性は法的な平等を勝ち取ったので、フェミニズム運動はもはや必要ない」と して、男女同権運動を過去のものにしようとする考え方も広がりました。これは「ポ スト・フェミニズムとも呼ばれていますが、バックラッシュに含めています。 バックラッシュは、「完全なる平等を女性が達成したことによって起こるのではな く、フェミニズムが勝つかもしれないという危惧から発生している」といわれていま す。1975(昭和50)年以降の国連の世界的女性運動の広がりのなかで、フェミ ニズムが権力装置にも影響を及ぼし、制度の領域に入り権威と権力を持つようになっ た必然的結果がバックラッシュ現象です。 ジェンダー平等の女性運動は、人権の概念を広めました。そして多数決の原理では なくマイノリティーとされてきた女性たちやセクシュアル・マイノリティーの人権の 確立に向けた取組も始まっています。揺り戻されることなく人権概念であるジェンダ ーの視点で、人権の確立を進めることが必要です。 - 11 - ◇ジェンター・エンパワーメント指数 国連開発計画(UNDP)が、ジェンダーの不平等に焦点をあて導入した手法で、 「人 間開発報告書1995~ジェンダーと人間開発」公表以降の報告書に用いられています。 女性が積極的に経済活動や政治活動に参加し、意思決定に参画しているかを測るもので す。男女の国会議員比率、男女の専門職・技術職比率と管理職比率、男女の推定勤労所 得の3つを用いて算出されます。わが国のGEM(gender empowerment measure)の順 位は、109ヵ国中 57位です(「人間開発報告書2009」)。 これに対してHDI(人間開発指数 human development index)は、平均寿命、教育 水準、成人識字率、1人当たり国民所得などを用いて算出し、基本的な人間の能力の伸 びを測るものです。わが国は182ヵ国中10位です。 GDI(ジェンダー開発指数 gender-related development index)は、HDIに男 女間格差を加味したもので155ヵ国中14位と高いレベルにあります。 わが国のGEMは、HDI、GDIの上位国中、著しく低い順位になっています。 ◇ HDI、GDI、GEMの上位20ヵ国ランキング HDI 指数 GDI GEM 順位 (人間開発指数) (ジェンダー開発指数) 1 ノルウェー オーストラリア スウェーデン 2 オーストラリア ノルウェー ノルウェー 3 アイスランド アイスランド フィンランド 4 カナダ カナダ デンマーク 5 アイルランド スウェーデン オランダ 6 オランダ フランス ベルギー 7 スウェーデン オランダ オーストラリア 8 フランス フィンランド アイスランド 9 スイス スペイン ドイツ 10 日本 アイルランド ニュージーランド 11 ルクセンブルク ベルギー スペイン 12 フィンランド デンマーク カナダ 13 アメリカ スイス スイス 14 オーストリア 日本 トリニダード・トバゴ 15 スペイン イタリア イギリス 16 デンマーク ルクセンブルク シンガポール 17 ベルギー イギリス フランス 18 イタリア ニュージーランド アメリカ 19 リヒテンシュタイン アメリカ ポルトガル 20 ニュージーランド ドイツ オーストリア 57 (ジェンダー・エンパワーメント指数) 日本 (182ヵ国測定) (155ヵ国測定) 「人間開発報告書2009: (109ヵ国測定) 障壁を乗り越えて―人の移動と開発」から - 12 - 5 女性をめぐる人権問題 (1)性別役割分担 人間は生まれついての生物学的性別(セックス)があり、一方、社会通 念や慣習の中には、社会によって作り上げられた男らしら、女らしさとい った『男性像』、『女性像』があり、このような男性、女性の別を「社会的 性別(ジェンダー)」といいます。「社会的性別」、それ自体には良い、悪 いの価値を含むものではないといわれています。 しかしながら、男性、女性という性別を理由として、「男は仕事・女は 家庭」、「男性は主要な業務・女性は補助的業務」等役割を固定的に分け、 男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当である にもかかわらず、男性、女性の役割を決めていることがあります。 性による分業にとらわれて、男性は稼ぎ手として、妻子を養うために心 ならずも自分の希望を抑え、気に染まない仕事に従事しなければならなか ったり、また、多くの女性が妻として母としての役割を果たすため、生涯 をかけたい仕事を放棄しなければならなかったのです。 性による分業を根拠として男女を取り扱うことは、人びとに真の自由を 保障していないと言わざるを得ません。 女性差別撤廃条約は、性によって異なる価値基準こそが男女差別の原因 であり、それにともなう役割分業を解消することが完全な男女平等を達成 するものとし、性別役割を前提にした差別的観念・慣行・行動様式を修正 することを求めています。 ◎ジェンダー・バイアス(Gender Bias) 社会的・文化的性差別あるいは性的偏見と訳されています。男女の役割につい て固定的な観念を持つこと、社会の女性に対する評価や扱いが差別的であること や社会的・経済的実態に関する“女性神話”を指すといわれています。 例えば、男性は外で働き妻子を食べさせるのが当たり前、女性は家事をこなし 子どもを育てるのが役目、女性は社会性に乏しく理性的でない、女性は生産性の ない仕事に従事しているから低賃金でも当然、などさまざまな点でジェンダー・ バイアスが指摘されています。 離婚事件などで、夫と妻の役割を固定的に考えて結論づける、あるいは、女性 を被害者とする性犯罪やセクハラ事件において、女性は必死で抵抗するもの、と いう観念にとらわれたり、審理には不要の被害女性のプライバシーを暴きかけた りすることなどは司法の場でのジェンダー・バイアスの問題といわれています。 ジェンダー・バイアス除去の取組は、さまざまな場面で考えなければならない 大きな課題です。 - 13 - (2)セクシュアル・ハラスメント セクシュアル・ハラスメントとは、日本語で「性的嫌がらせ」という意 味で用いられている言葉で、略して「セクハラ」と言われています。 一般的には、「相手の意に反する性的な言動で、それに対する対応によっ て、仕事を遂行する上で、一定の不利益を与えたり、就業環境を悪化させ ること」を指すとされています。 セクハラには、その内容により「対価型」と「環境型」に分けることが できます。 「対価型」とは、上司が仕事上の処遇や昇進とひきかえに女性社員に関係 をせまるなど、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対 する対応により、その労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けるもの です。 また、「環境型」とは、女性の身体を触る、猥談をする、性的な噂を流す などのように、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動によ り就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じ るなど、その労働者が就業する上で看過できない程度に支障が生じること です。 どれも、個人の尊厳を損なう重大な人権侵害をともなうものであり、許さ れるものではありません。ひとりの人間として尊重する気持ちで接すること が求められています。 ◇こんなことはセクハラです。(セクシュアル・ハラスメントの一例) セクシュアル・ハラスメントの一例 ・スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にする。 ・聞くに耐えない卑猥な冗談を交わす。 ・性的な経験や性生活について質問する。 ・性的な噂を立てたり、性的なからかいの対象とする。 ・「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」、「女性は職場の花であり さえすればいい」などと発言する。 ・「男の子、女の子」、「ボク、お嬢さん」、など人格を認めないような呼び方をする。 ・ヌードポスター等を職場に貼ること。 ・雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること。 ・食事やデートにしつこく誘うこと。 ・身体に不必要に接触すること。 ・女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要すること。 ・性的な関係を強要すること。 ・カラオケでのデュエットを強要すること。 ・酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要すること。 (「人事院規則10-10セクシュアル・ハラスメントの防止等の通知」より) - 14 - (3)ドメスティック・バイオレンス ドメスティック・バイオレンス(Domestic Violence)とは、パートナー など親密な関係にある者の間で起こる暴力のことで女性に対する暴力、あ るいは、夫・恋人からの暴力と訳されいます。略してDVと言われていま す。DVは結婚などで生活を共有し、制度上や社会的慣習でもカップルと みなされている関係の中で起こる暴力といわれています。しかし、暴力関 係は結婚をしているカップルだけに起こる問題ではありません。配偶者関 係にないカップルの間に起こる男女間の支配と暴力もあり、これはデート DVといわれています。 DVは、二人の関係で身体的、経済的、社会的に優位な立場にある者が パートナーに対して、その権力をふりかざし暴力をふるうことであり、パ ワー・アンド・コントロールの関係と言い換えることができます。 優位に立つ者は彼らのもつ体力・経済力・社会的影響の強さなどの「パ ワー」を用いて、弱い立場の者を「コントロール」するのです。社会的、 経済的な力の差は、長く続いた男性優位の社会構造に根ざしており、DV の背景には、ジェンダーが存在しています。 DVは個人の問題ではなく社会問題であり、人権の課題です。 殴る、けるなどの身体的暴力だけでなく心理的暴力、社会的暴力、経済 的暴力、性的暴力などさまざまな形態があり、これらの暴力が重なりあっ ている場合が多く、被害者にとってはさらに耐え難いものになっています。 また、そのほか女性に対する暴力の問題として、「ストーカー行為」、子 どもに対する性的虐待、少女買春、強制的売春、インターネットなど新た なメディアにおけるポルノグラフィーの性の商品化など多くの課題があり ます。 DVの一例 (内閣府「配偶者からの暴力被害支援情報」より) 〈身体的なもの〉 ■平手で打つ ■足でける ■げんこつでなぐる ■首をしめる ■身体で傷つける可能性のあるものでなぐる ■刃物などの凶器を身体につきつける ■腕をねじる ■引きずりまわす ■髪を引っ張る ■物をなげつける 〈精神的なもの〉 ■大声でどなる ■「誰のおかげで生活できるんだ」「かい性なし」などという ■つきあいを制限したり、電話や手紙を細かくチェックする ■何を言っても無視して口をきかない ■命令するような口調でものをいう ■大切にしているものをこわしたり、捨てたりする ■外で働くなといったり、仕事を辞めさせたりする って脅す ■生活費を渡さない ■人前でばかにする ■子どもに危害を加えるとい ■なぐるそぶりや、ものをなげつけるふりをして脅かす 〈性的なもの〉 ■いやがっているのに性行為を強要する ■中絶を強要する ■観たくもないポルノビデオ、雑誌をみせる - 15 - ■避妊に協力しない 女性の人権関係年表 国 連 の 動 き 日 1945(昭和20) ・国際連合発足・国連憲章 本 の 動 き ・女性参政権実現 1946(昭和21) ・女性の地位委員会設立 1947(昭和22) ・日本国憲法・労働基準法・教育基 本法成立 1948(昭和23) ・世界人権宣言 ・優生保護法成立 1952(昭和27) ・女性の参政権に関する条約 1956(昭和31) ・売春防止法成立 1957(昭和32) ・既婚女性の国籍関する条約 1962(昭和37) ・婚姻の合意、最低年齢及び登録に 関する条約 1966(昭和41) ・国際人権規約(自由権及び社会権 規約) 1967(昭和42) ・女性差別撤廃宣言 1975(昭和50) ・国際女性年 ・第1回世界女性会議(メキシコシティ) 女性の地位向上を目指すための「世 界行動計画」採択 1977(昭和52) ・国内行動計画策定 1979(昭和54) ・女性差別撤廃条約採択 ・国際人権規約批准 1980(昭和55) ・第2回世界女性会議(コペンハーゲン) 1985(昭和60) ・第3回世界女性会議(ナイロビ) ナイロビ将来戦略採択 ・女性差別撤廃条約批准 ・男女雇用機会均等法制定 1987(昭和62) ・新国内行動計画策定 1991(平成 3) ・育児休業法成立、新行動計画改定 1993(平成 5) ・世界人権会議(ウィーン) ・世界人権会議(ウィーン) ・パートタイム労働法制定 ・ウィーン宣言・行動計画 ・女性に対する暴力撤廃宣言 ・男女共同参画審議会設置 1994(平成 6) ・世界人権会議(カイロ) ・カイロ行動計画 1995(平成 7) ・第4回世界女性会議(北京) ・第4回世界女性会議(北京) ・北京宣言・行動要領採択 ・育児・介護休業法成立 ・ILO家族的責任156号条約批准 1996(平成 8) 1997(平成 9) ・女性差別撤廃条約選択議定書採択 ・男女雇用機会均等法改正(99年全面施行) 1999(平成11) ・男女共同参画基本法施行 2000(平成12) ・国連特別総会「女性2000年会議」 ・男女共同参画基本計画策定 ・ストーカー規制法施行 2001(平成13) ・DV防止法施行 2004(平成16) ・改正DV防止法施行 2008(平成20) ・改正DV防止法施行 - 16 -
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