私立大学における男女共同参画に係る環境整備と促進

社団法人日本私立大学連盟
平成23
平成23年度男女共同参画推進
23年度男女共同参画推進に
年度男女共同参画推進に関するシンポジウム
「私立大学における
私立大学における男女共同参画
における男女共同参画に
男女共同参画に係る環境整備と
環境整備と促進」
促進」
開
催
報
告
日
時
:
平成23
平成23年
23年12月
12月12日
12日(月)13時
13時~17時
17時30分
30分
場
所
:
アルカディア市
アルカディア市ヶ谷
私学会館
3階「富士」
富士」
社団法人日本私立大学連盟
男女共同参画推進に
男女共同参画推進に関するプロジェクト
Ⅰ.開会あいさつ・シンポジウム趣旨説明
大 島 範 子
男女共同参画推進に関するプロジェクト
男女共同参画推進に関するプロジェクト委員長・東邦大学理学部長
プロジェクト委員長・東邦大学理学部長
昨年度、平成22年度から本格的な活動を開始した男女共同参画に関するプロジェクトでは、まずは
男女共同参画に関する加盟大学の実情や課題等を掘り起こすべく、アンケート調査を実施した。アン
ケート調査の結果からは、各大学が男女共同参画にどのような意識で取り組んでいるか、取り組みに
関する中長期的な施策を持っているかについて、大学間でかなり大きな違いがあることが明らかとな
り、学長をはじめとする大学上層部のリーダーシップが不足している大学や中長期的視点で男女共同
参画が施策として定められていない大学も垣間見られたのが正直なところである。
その結果を受け、平成22年12月に第1回目のシンポジウムを開催し、「多くの教職員が働く職場と
しての大学」、「次世代育成教育の場としての大学」という二つの視点から、男女共同参画推進に取
り組んでいかなければならないことが明らかになった。また、大学は非常に公共性の高い教育研究機
関であり、地域社会とも密接な連携をとりながら、存続し続けていることから、地域社会の持続的発
展のためにも、私立大学において男女共同参画を推進することは、極めて重要な社会的課題ではない
かと考えている。
Ⅱ.基調講演「科学技術・学術分野における男女共同参画の推進」
岡
島
敦
子
内閣府男女共同参画局長
内閣府男女共同参画局長
はじめに
わが国の「高等教育の在学率(高等教育機関の在学者数〔全年齢〕/中等教育に続く5歳上までの
人口)」は諸外国に比して低水準にある。また、男女別では、進学率は「男性<女性」だが、在学率
は「男性>女性」である。OECD加盟国の中で、日本は「科学的リテラシー」が上から2番目であ
るが、学位取得者に占める女性の比率(工学・製造・建築分野)は最下位である。その理由は、ほと
んどの年齢層で男性に比べて女性の相対的貧困率が高く、その差は高齢期になるとさらに拡がる。ま
た、世帯の年収が高いほど大学を卒業している者も、高等教育機関を卒業している者も多い。
少子高齢化した日本では、2011年現在、「65歳以上の高齢者1人」を「生産年齢人口(15~64歳)
2.73人」で支えているが、2055年には「生産年齢人口1.26人」で支える時代になることが予想されて
いる。男性だけが働き、女性は家庭の中にいる、女性はパートで働く働き方で、これからの日本社会
を支えられるのかが大きな課題になっており、労働者人口の減少、マーケットの縮小、日本の社会保
障の持続性等々が問題となって、同じ国の中で格差が生じるという大きな問題の発生が予想される。
1.男女共同参画基本計画の概要
平成22年12月に男女共同参画社会を進めていくために、今後5年間を念頭に置き、具体的な施策を
まとめた第三次男女共同参画基本計画を閣議決定した。主な特徴としては、経済社会情勢の変化に対
応した重点分野の新設、様々な成果目標の設定、2020年に指導的地位に女性が占める割合を少なくと
も30%程度とする目標に向けた取組の推進、女性の活躍による経済社会の活性化を強調していること
などを挙げることができる。
2.科学技術・学術分野における男女共同参画
日本が国際競争力を維持・強化していくためには、多様な視点や発想を取り入れていかなければな
らない。ダイバーシティの第一歩は女性ではないかと考えており、大学は次世代の人材を育成する場
であることから、男女共同参画の視点が見えることが大事である。
日本は、研究者に占める女性割合が国際比較で見ると極めて低く、大学教員に占める分野別女性割
合も理工系学部では決めて低く、それも職位が上がるにつれて女性の割合が低くなっている。
その理由は、平成20年度の男女共同参画学協会連絡会の調査結果では、「家庭と仕事の両立が困
難」、「育児期間後の復帰が困難」等が高いほか、「ロールモデルが少ない」というものもあり、現
在働いている女性研究者が楽しく仕事をしている姿を見せるとともに、どのような生きがいを感じて
いるのかを発信していくことが大切だと感じる。
1
3.ポジティブ・アクション推進方策
女性参画を進める仕組みの一つとして、ポジティブ・アクションを進めたい。ポジティブ・アクシ
ョンには女性の数や割合を割り当てるクオータ制、能力が同じであれば女性を優先するという方式、
目標数値とその達成期限を掲げるゴール・アンド・タイムテーブル方式、また女性が参画できる基盤
整備を推進する方式もあり、例えば仕事と生活の調和、就業の勤務時間内の終了、有給休暇の取得、
短時間勤務制といった取組がある。
国立大学では、女性を数多く採用した部局には、学長が予算を優先的に配分するという取り組みを
している大学もある。
ポジティブ・アクションを推進するツールとして、内閣府では大学、研究機関等のポジティブ・ア
クションの計画の登録制度を創設したので、是非、ご活用いただきたい。
大切なのはトップの意識であり、トップの意識を進めるために検討したポジティブ・アクションの
内容を実行に移すことである。
Ⅲ.パネルディスカッション
Ⅲ.パネルディスカッション
(コーディネーター
高
橋
裕
子
男女共同参画推進に関するプロジェクト委員・津田塾大学学長特別補佐)
1.事例報告「男女共同参画社会推進のシステム化に向けた
リーダーシップと中長期戦略(男女共同参画人事)の構築」
事例報告の柱とキーワード等は以下の通り。
(1)男女共同参画社会の基礎構造-男女比1対1を目指した学長声明等に基づく教職員人事政策-
阿久戸 光 晴
聖学院理事長・大学長
①参考となるべき「アフリカン・アメリカンの法の下の平等を実質化するまで」の流れ
ⅰ.平等権の形式的枠組み設定
ⅱ.公民権運動による平等権の実質的獲得
ⅲ.公権力の抑制と人権保護としての権力の効用
ⅳ.アファーマティブ・アクションの導入
ⅴ.アファーマティブ・アクションが不要となる時の展望(オバマ大統領登場の意義)
②男女同権の歴史的潮流
ⅰ.意外に新しい潮流
ⅱ.日本国憲法(1946年公布)、とくに第24条起草へのベアテ・シロタ・ゴードン氏の貢献
ⅲ.世界人権宣言(1948年)の歴史的意義
ⅳ.世界女性会議・北京宣言(1995年)その他
③男女平等の防衛的側面と建設的側面の法的保障
ⅰ.男女雇用機会均等法(1985年制定・1997年改正)における改正第11条の意識(事業主によるセクシュ
アル・ハラスメント防止義務)
ⅱ.男女共同参画社会基本法(1999年)制定の意義(アファーマティブ・アクションの意義)
ⅲ.諸外国の状況展望
④男女共同参画社会の基礎構造の構築
ⅰ.女性の社会進出が少子化の原因であるとの虚説
ⅱ.働く女性支援(産休・育休・認定こども園創設宣言)
ⅲ.アファーマティブ・アクションとしての聖学院大学における学長宣言
聖学院大学学長就任時に、教授数、教職員数において男女比1対1を目指そう、女性が働きづ
らく不愉快な視線にさらされている現実を見据えようと宣言した。現在の男女比は、教授35対
14、准教授19対12、助教・専任講師6対5、特任講師7対6、事務管理職は局長1対0、部長5
2
対0、課長15対3、係長12対13、一般職員16対24、全体49対40となっている。セクハラ防止対策
として、早い段階からセクハラ防止委員会を組織し、同委員会はセクシュアル・ハラスメント・
防止ガイドラインを細かに設けた。認定こども園を通して、働く女性教職員らが継続して働き続
けることができる体制も整えるべく努力中である。人事採用政策については、アファーマティ
ブ・アクションの方向を強調している。
結.今後の展望
これからは創という傷に寄り添うことで絆ができる“絆創膏”という社会再建のあり方が必要で
あり、国民半数の潜在力を生かし切れていないのであれば、これほど残念なことはない。男女共同
参画によって、文化の質の変容があり得、いずれアファーマティブ・アクションが不要になろう。
その時、弱肉強食的あり方から、人間の共同存在力向上の時代が到来するであろう。肉体的強さで
威張る時代であれば、人間は万物の長ではあり得なかった。最も弱い人間であるにもかかわらず、
知恵と自分の弱さの自覚において新たな力を発揮できる。この事実は全女性への励ましとなろう。
(2)教育・研究活動を通じての男女共同参画の実現
魚 住 明 代
城西国際大学教授・ジェンダー・女性学研究所所長
①はじめに~城西国際大学の沿革
②城西国際大学の取り組み
ⅰ.男女共同参画推進の現状(教員数と女性の比率、教員の職位と女性の比率、役職教員の数と女性の
比率、職員数と女性の比率、役職職員の数と女性の比率)
ⅱ.女性学教育への取り組み(学部教育〔女性学卒論演習〕、大学院〔修士:女性学専攻、博士:比較文化
専攻-比較ジェンダー論〕)
ⅲ.寄附講座(女性人材育成)
ⅳ.副専攻(女性学)
ⅴ.卒論・修論要旨集「JIU女性学」、院生編集による女性学誌「かりんかりん」
理事長の強いリーダーシップによる、女性学教育への取り組みの成果が女性の活躍を促す学内の
雰囲気となって現れている。創立時より卒論演習の女性学を開設し、1996年には日本で初めての女
性学修士課程を設置、1998年には比較文化専攻の中に比較ジェンダー論コースを設置した。本学に
在籍する全学生が、卒業までに女性学関連科目を必ず履修できるようにしており、薬学部以外の学
部には、各学部に女性学を教えることのできる教員を配置している。
③ジェンダー・女性学研究所の活動
ⅰ.研究成果の発表(研究会会誌「RIM」を年2回発行)
ⅱ.教育活動(読書会・ウィメンズカフェ)
ⅲ.人材育成(女性リーダー育成奨励制度、アジア・太平洋女性学研究奨励賞)
ⅳ.国際会議(日中女性学会議、日韓女性学会議、世界女性学長会議 他)
ⅴ.地域との連携(男女共同参画推進連携会議、公開女性学連続講座、男女共同参画講演 他)
ジェンダー・女性学研究所(1999年設置)は、1970年代にアメリカで始まった女性学の研究成果
を取り入れつつ、近年ではアジア諸国と共同で女性学・ジェンダー研究を進めている。女性学の研
究者育成とともに、女性や家族、介護をはじめとする社会問題や福祉問題の政策決定に貢献できる
スペシャリストの養成を目標としている。
ウィメンズカフェは、講師を招聘し、お茶を飲みながらジェンダー研究問題について話し合う公
開講座である。女性リーダー育成奨励制度は、研究所が学内の学生や大学院生を対象に公募をす
る。理事長の寄附により創設された奨学金制度であり、受賞者は海外プログラムに最長1年間参加
することができる。
④今後の取り組みにおける課題
ⅰ.学部(専門領域)間の格差是正
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ⅱ.教員/職員研修プログラム
ⅲ.ワークライフバランス/特に男性職員に配慮する
ⅳ.地域/企業との連携
ⅴ.新しい段階へ・・・・・・
女性人材を育成していくには制度化が大切である。特に男性職員の働き方を考える必要がある。
父親の育児休業取得等について未着手であるので、ワーク・ライフ・バランスの支援を進めるとと
もに、姉妹大学の城西大学とも連携して人材育成をはかりたい。
2.事例報告「男女共同参画社会の構築を担う次世代育成」
事例報告の柱とキーワード等は以下の通り。
(1)男女共同参画社会を支えるプロフェッショナリズムの涵養と女子教育
川 上 順 子
東京女子医科大学学生部長・女性医師再教育センター
①女性医師としてリーダーシップを発揮できる人材の育成(学生時代の教育、卒後女性医師への支援
①女性医師としてリーダーシップを発揮できる人材の育成(学生時代の教育、卒後女性医師への支援)
(学生時代の教育、卒後女性医師への支援)
ⅰ.若手医師や医学生への指導方針
ⅱ.キャリアを考え自立を促す学生教育
学生に女性医師の働き方とライフスタイルを提示し、自ら考え行動するための教育システムの構
築が必要である。男女共同参画を基盤とした教育を通じて、男女の区別なく人間として力を発揮で
きる人材の育成が求められている。
ⅲ.卒後教育と女性医師支援
②唯一の女子医科大学として(全国医科大学で唯一学部長、大学病院長が女性医師)
・東京女子医科大学の女性医師割合
③男女共同参画推進局
活動主体は女性医師の支援であるが、一番の問題は勤務医の職務環境であり、その改善・整備が
進めば女性も男性と同じように働くことができるのではないかと考えている。
ⅰ.女性医師・研究者支援センター
・保育支援事業(院内保育、病児保育、学童保育、子育て支援情報提供、ファミリーサポート運
営)
とくに学童保育については、対象となる女性医師が中堅層となって様々なポジションを担う
ことが期待される時期であることから、ぜひとも推進していきたいと考えている。
・勤務体制検討事業(勤務体制、勤務環境の検討と整備)
臨床系教員正規雇用短時間勤務制度を設けており、1年更新の3年までとしている。原則男
女を問わず制度の利用が可能で、同制度に対する認識は深まってきており、年々拡大してい
るが、3年で通常勤務へ戻れるか否かが課題となってきている。
・キャリア形成支援事業(女性医師・研究者の育成支援)
「セーフティネットからキャリア支援へ」ということで、医師を続けるという視点のみなら
ず、大学スタッフとして活躍できる人材の育成へと重点が移ってきている。具体的には、准
講師以上の女性医師が、専門医や学位取得のために短時間勤務とする制度を2012年度から実
施する。また、女性医師研究者支援として、研究のために給与、研究費を1年間支援する事
業を展開しており、同事業による支援期間中の論文発表、学会発表の数が大きく増加すると
いう効果が表れている。
ⅱ.女性医師再教育センター(復職を望む女性医師の支援)
・女性医師再教育(復職プロジェクト)
・教育・学習支援プログラム(e-learning)
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センターコンセプトとして、1)東京女子医科大学卒業生意外にも門戸を開放し、すべての
離職女性医師をサポート、2)就職と切り離した研修だけのサポート、3)再研修はオーダ
ーメイドの研修プログラムの設定、を掲げている。2011年7月現在で、相談件数145名、研修
修了58名、研修中10名、相談・待機中43名となっており、アンケート調査によると、休職の
減少、常勤の増加という成果が出ている。
④医学における男女共同参画
医師は、男女なく活躍できる職種であり、女性医師、男性医師はそれぞれの特性を活かした活躍
ができる多様性のある職種である。女性医師にとって、結婚、出産、子育てといったライフイベン
トすべてがキャリアに影響を与えることから、医療界における勤務環境の苛酷さが、女性医師が対
等に働くことを困難にしており、勤務環境の改善・整備が男女共同参画を実現するうえでの大きな
課題である。
(2)「学生の主体性を尊重した男女共同参画社会の構築~東日本大震災を踏まえて~」
菅 原 悦 子
岩手大学副学長(男女共同参画・附属学校担当)・
岩手大学副学長(男女共同参画・附属学校担当)・男女共同参画推進室長
(男女共同参画・附属学校担当)・男女共同参画推進室長
①岩手大学が取り組む男女共同参画
ⅰ.基本的視点(法人として、研究機関として、教育機関として)
ⅱ.これまでの流れ(2008~2010年)
・学長就任記者会見で男女共同参画推進の明言(2008年6月)
・男女共同参画推進室設置(2008年10月)
・女性の附属動物病院長誕生(2009年4月)
・岩手大学男女共同参画推進宣言[学長宣言](2009年7月)
・女性の教育学部長誕生(2009年8月)
・女性の副学長(男女共同参画担当)誕生(2010年4月)
・文部科学省科学技術振興調整費女性研究者支援モデル育成事業「共生の時代を拓く、いわて女
性研究者支援」採択(2010年5月)
ⅲ.「共生の時代を拓く、いわて女性研究者支援」
・推進体制
男女共同参画推進室は学長直属の部署であり、学長の下に男女共同参画推進委員会がある。
推進室には企画会議があり、副学部長、評議員クラスの方に参画いただき、各学部と連携を
とりながら事業を進めることとしている。ワーク・ライフ・バランス部会、教育・学生部
会、研究者支援部会、地域部会の四つの部会を設置している。さらに、推進室の外に位置す
る教職員サポーター、学生サポーター、地域サポーター、岩手県男女共同参画センター・も
りおか女性センター等との協力連携に取り組み、ネットワーク構築を進めている。
・取り組みの三本柱
・裾野拡大・育成(小中学校教員向け指導者研修、産学官民連携によるキャリアパス構築、男女
共同参画関連授業の充実 他)
・両立支援(女性研究者定着・採用促進を目的とした自主財源による両住まい手当創設 他)
地方大学では、女性研究者の定着が困難であることから、単身赴任手当に相当する手当てを
創設し、岩手大学への応募に向けてアピールしている。
・意識改革(次世代育成支援休暇新設 他)
②岩手大学が取り組む震災復興支援
ⅰ.本学への東日本大震災の影響(被災状況、安否の確認、学事日程の変更、学生支援)
「コミュニティーサポート実習」の1項目として、復興支援ボランティア活動を単位認定(卒
業要件単位に含まない)している。
ⅱ.復興に関する主な活動状況(ボランティア活動、物資支援活動、調査研究活動)
ⅲ.岩手大学救援・復興支援活動MAP
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ⅳ.岩手大学震災復興支援プロジェクト~「岩手の復興と再生に」オール岩大のパワーを
・生活復興支援(ボランティア活動の推進、被災者の心のケア、被災動物の診療、地域文化財の
保護、地域コミュニティの再建)
・産業復興支援(「SANRIKU(三陸)海洋産業復興研究教育拠点形成創成事業」の推進、三陸も
のづくり産業復興支援事業、農林畜産業復興支援)
・地域防災拠点形成(地域防災教育研究拠点形成)
③岩手大学男女共同参画推進室の震災復興への取り組み
ⅰ.震災直後
・被災地ボランティアへ行く学生に対する情報提供
・専任スタッフ2名が復興対策本部ボランティア班班員に
ⅱ.震災後1~2か月
・ワークショップ「災害時に男女共同参画の視点をいかすには」開催(4月25日)
・乳幼児を持つ被災した母親・妊婦を対象としたプログラム支援(4月28日~5月1日)
専任スタッフ、推進室が学生ボランティアを呼び掛け、母親・妊婦が被災地から一時的に離
れ、助産師会、岩手県や医師会等の協力を得て心のケアを受けリラックスしている際に、学
生が子どもたちと遊ぶという活動を展開した。
ⅲ.震災後3~4か月
・「震災ボランティア学生の経験を男女共同参画の視点から聴く」開催(6月27日)
・「岩手県の復興にダイバーシティ(人の多様性)視点を徹底するための3つの提言」
本学学長が委員長を務める岩手県東日本大震災津波復興委員会では、当初、女性の委員が一
人もおらず、のちに2名が委員に入ったものの、計画に女性の視点を入れにくい状況にあった
ことから、本学の男女共同参画推進室が中心となって、岩手県主催の岩手県東日本大震災津
波復興計画・基本計画(案)に対する女性との意見交換会において、政策を提言した。
ⅳ.震災後5~6か月
・岩手大学男女共同参画宣言2周年シンポジウム「人の多様性を尊重した岩手の復興を考える」
開催(8月27日)
④学生たちの男女共同参画推進活
④学生たちの男女共同参画推進活動
ⅰ.岩手大学次世代育成サポーター
・次世代育成サポーター養成講座プログラム
講座を含む45時間のボランティアとレポート提出を経て、全学共通の「コミュニティーサポ
ート実習」として単位を認定している(1単位、卒業要件単位に含まない)。
・学内での活動①(学内保育スペース「ぱるんひろば」、夏季学童保育(教職員対象)「ぱるん
kids’ サマースクール」)
・学内での活動②(地域の学童保育へのプログラム「夏休みわくわく体験ツアーin岩手大学」
等)
・地域での次世代育成支援活動(被災地の仮設住宅内に開設した「釜石・平田ママハウス」が
「HORE for Mother café@釜石」に参加した際の学生ボランティア派遣)
・ステップアップ講座と地域との連携
ⅱ.男女共同参画推進学生委員会
準備委員会を経て5月に結成後、7月に「女子力」をテーマとする4回の学習会、10月に国
立女性教育会館で開催された「男女共同参画のための研究と実践の交流推進フォーラム
(NWECフォーラム)」に参加する学生を学内公募して派遣、11月にもりおか女性センターのイ
ベントに参加するなど、震災復興に向けて何ができるかを検討中である。
まとめに代えて
東日本大震災を踏まえ、男女共同参画社会実現に向けて大学の男女共同参画推進室が果たすべき役
割は大きく、また、その役割はキャンパスを超える。男女共同参画の重要性は、緊急時こそ高まり、
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復興に長期的にかかわることが必要である。
学生に対しては、男女共同参画社会の一翼を担う学生として、震災復興支援に取り組むとともに、
震災復興支援を通して、男女共同参画の視点を有する学生となってほしいと考えており、これらの活
動を通じて、学生の主体性を尊重した男女共同参画社会の構築が実現することを願っている。
3.全体討議
事例報告の柱であった1)男女共同参画社会推進のシステム化に向けたリーダーシップと中長期戦
略(男女共同参画人事)の構築、2)男女共同参画社会の構築を担う次世代育成について、様々な視
点からの討議が展開された。
「1)」に関連しては、リーダーシップの発揮を補完するためにも必要な構成員意識の向上的覚
醒、認識の深化に資する数値目標の効用、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた男性の働き方の
見直しの必要性等について、「2)」に関連しては、学生や若手教職員へのロールモデルの提示の重
要性や学内においてロールモデルとなる側の心得、学外関連機関との連携による様々なロールモデル
の提示の効用、さらには学生の男女共同参画への意識の高揚を通じた教職員への浸透等について、事
例報告者を中心に活発な討議が展開された。
また、全体と通じて、私立大学における男女共同参画推進の加速化のためのきめ細かな公的支援の
必要性と、その実現を促す私立大学による取り組みのさらなる活性化と日本社会の政策決定に影響を
与え得る政策提言の必要性、男女共同参画推進にかかる個々の大学の取り組みの私立大学間及び国公
私立大学間における情報共有と問題解決に向けた連携・協力の必要性が確認された。
Ⅳ.閉会あいさつ
眞 田 雅 子
男女共同参画推進に関するプロジェクト
男女共同参画推進に関するプロジェクト担当理事・東京女子大学学長
プロジェクト担当理事・東京女子大学学長
本 日 の 討 議 を 通 じ 、 男 女 共 同 参 画 社 会 の 実 現 は G N H ( 国 民 総 幸 福 量 : Gross National
Happiness)の向上に必ずや資するものであり、私立大学であるがゆえに有する様々な問題を私立大
学同士が分かち合い、力をあわせて問題解決に向けた課題に取り組んでいくことは、男女という性差
を超え、人間としての“Happiness”に向かっていくことであるということを感じるとともに、教育
機関である大学が、そうした姿を示すことのできる教育を展開していくことの重要性を改めて感じる
ことができた。
今後も“Happiness”に向かっての皆さまのご協力をお願い申し上げるとともに、感謝申し上げ、
閉会のあいさつとさせていただきたい。
男女共同参画推進に関するプロジェクト
担当理事
委 員 長
委
員
眞
大
橘
落
久
石
平
大
高
齋
田
島
木
合
保
川
岡
澤
橋
藤
雅
範
俊
豊
淑
子
子
詔
子
子
淳
克 己
真木子
裕 子
美 穂
東京女子大学
東 邦 大 学
同
志
社
日 本 大 学
日本女子大学
立 教 学 院
東 海 大 学
東京女子医科大学
津 田 塾 大 学
早 稲 田 大 学
学長
理学部長
経済学部特別客員教授
医学部教授
理学部教授
キャリアセンター部長・経営学部教授
工学部長
医学部長・小児科学主任教授、男女共同参画推進局副局長
学長特別補佐、英文学科教授
男女共同参画担当理事・人間科学学術院教授
※本書及びシンポジウム当日の配付資料は、私立大学連盟Webサイト加盟大学専用ページ(http://www.shidairen.or.jp/)に掲載しております。
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