建設機械の技術を地雷除去に活かす ∼対人地雷除去機の開発

建設機械の技術を地雷除去に活かす
〜対人地雷除去機の開発
対人地雷の被害は、世界中で年間推定 2 万人。紛争によって埋められた対人地雷は、カンボ
ジアで 600 万発、アフガニスタンで 1000 万発と言われています。
対人地雷の除去は、今まで手作業によって行われてきました。これは非常に効率が悪く、ま
た大変危険を伴うものです。
そこでコマツは、2003 年、経済産業省と独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機
構(NEDO)の公募に応じ、ブルドーザーをベースにした対人地雷除去機の開発に着手しました。
アフガニスタン(2004 年開始)およびカンボジア
(2006 年開始)での機能性・安全性検証
により、手作業の 50 倍もの処理能力(一時間あたり500m2)が実証されました。
また同機には、災害復旧地域などで実用化している建設機械のリモート・コントロール技術
を導入し、作業者の安全性も確保しています。
車両の開発と並び不可欠なのは、現地オペレーターの技術指導です。コマツは 2004 年、
アフガニスタンで活動する地雷除去 NGO の方々を日本へ招き、初めて技術指導を行いまし
た。引き続き、2007 年 5 月にも指導を行いました。今後も対人地雷の除去活動を多方面か
らサポートしていきます。
シャハ・ワリ・アユビさん
エグゼクティブ・オペレーション・マネジャー
マイン・ディテクション・アンド・ドック・
センター(MDC)
、アフガニスタン
ブルドーザーをベースにした対人地雷除去機
「アフガニスタンには、
国土の約 700km2 に不発弾や地雷が埋まって
いるといわれています。
そこには現在、
約 420 万人の人々が暮らして
おり、
地雷による被害者数は報告されているだけでも毎月約 60 人に及
びます。
学校や病院などのインフラ整備をする上でも、
地雷は大きな問
題となっています。
私たちは、
国連アフガニスタン地雷対策計画
(MAPA)
の傘下で、
1989 年から地雷除去活動を行っている NGO
で、
約 2000 名のスタッフが、
各現場の状況に応じてチーム活動をしています。
30 名のスタッフと 4 頭の犬で構成
される地雷探知犬チーム
(10 チーム)
、
21 名のスタッフで構成される地雷除去チーム
(24 チーム)
、
コマツ製 D85EX
対人地雷除去機などを用いた地雷除去機械チーム
(6 チーム)
、
4 名のスタッフと 3 頭の犬で構成される地雷探知支
援チーム
(46 チーム)
、
12 名の専門家で構成される爆弾処理チーム
(2 チーム)
などがあります。
私たちの組織は、
アフガニスタンの地雷埋設密度が特に高い地域において、
約 170km2 の範囲の地雷を除去して
きました。
金属探知機や地雷探知犬による従来の方法と比較し、
コマツ製対人地雷除去機は、
非常に効果的で極めて
安全です。
この機械は、
最初にカブール北部のパルヴァーン州で除去作業を開始する予定で、
私たちは 2013 年ま
でに地雷密集地域のすべての地雷を除去したいと考えています。
最後に日本政府、
日本の皆さんそしてコマツの皆さんには多大なご支援をいただき、
心より感謝いたします。」
モハンマド・イブラヒムさん
地雷除去機オペレーター兼メカニック
「私は、10 年間 MDC で働いてきましたが、このコマツ製対人地雷
除去機に非常に感銘を受けました。機械の操作がとても安全なので、
この機械がアフガニスタンの地雷除去活動に配置されれば地雷除去の
生産性が飛躍的にあがることが容易に想像できます。
これまで多くの地雷除去機械を見てきましたが、これまで見たことがない前面の力強いローラーとリモートコ
ントロール(遠隔操作)システムに特に強い印象を持ちました。リモートコントロールシステムは、優れた操作性
を備えており、機械の反応が非常に良く驚いています。アフガニスタンに戻ったら、他のスタッフにも機械の操
作をトレーニングしていきます。」
モハンマド・アミンさん
地雷除去機オペレーター兼メカニック
「1998 年にMDCに参加して以来、工場のメカニックとして長年ブ
ルドーザー、トラクター、ホイールローダーなど大型機械の修理に従事
してきました。このブルドーザーベースの対人地雷除去機に関しては、
とりわけ地面を 30 センチの深さで掘ることが出来る爪のついたローラーに感銘を受けました。地雷が低木地帯
において地面から 30 センチの深さに埋められている場合は、地雷探知犬は役に立ちません。しかしこの対人地雷
除去機を使えば、今後地雷が取り残されることはなくなると確信しました。私はこの機械に大変期待しています。
」
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Annual Report 2007