フランス通信113号

* 弥生 3 月
( LE MOIS DE MARS )
2 月が 28 日で終り、二、三日少な いだけです のに、3 月が早くやっ て来たような 気がし
ます。
「弥生」の 由来は“草 木がいよいよ 生い 茂る月”という 意味とは、物 識りの友人 が教
えてくれました 。3 日は“桃の節句 ”
「雛 祭り 」、
“明かり を点けまし ょボンボリ に、お 花を
上げましょ桃の 花、、、”春を 迎えた綺麗 な行 事です。こちら では 3 月は « MARS »、 ロー マ
神話に出てくる 軍事と農耕の 神様“マル ス” の月なのだそう で、別に“火 星”の意味 もあ
ります。これか らは、外出の 行き帰り、 パリ への郊外電車 RER・B 線の窓 外の景色の 中に、
何か芽を出して ないか、何か 咲いていな いか 、好奇心に満ち て眺め回して は、何か見 つけ
れば、嬉しい季 節です。ソー 駅 (Sceaux)のホ ーム脇の草むら や、電車がブ ール・ラ・ レー
ヌ駅(Bourg-la-Reine)に差し 掛かる辺り の土 手には、緑が増 え、白く、黄 色く、薄桃 色に
プリマベーラが 咲きました。 我がアパー トの 庭で、いつもは やや急ぎ足で 通り抜けて いる
所に、偶々暖か な陽光が当た って気持ち 好く 、よく見ました ら、 ポプラの 木の根元の 草の
中に小さなスミ レ(la violette)が 沢山に咲い ているのに気が 付きました 。色が 増えて来ま
した。大気もさらに 柔らかくなり、小桜のよ うなアマンディ エ (l’amandier)、黄色に華 や
かな連翹(le forsythia)も咲 き始めるこ とで しょう。と云っ ても、未だ凍 るように寒 い朝
(la matinée glaciale)があ ったり、ア ラレ 混じりのにわか 雨 (la giboulée printanière)
があったり、天気 は落ち着き ませんが、3 月 20 日は、こちらも“春分 の日”(le Printemps)、
そして 29 日(日)の午前 2 時からは“ 夏時 間”(l’ heure d’ été)と なって、時 計の 針
を 1 時間進めますから、朝の 7 時はもう 8 時、
“ 春眠不覚曉”な どと洒落てい ると遅刻で す。
日本との時差は 7 時 間、こちら の午前 10 時 は日本の午後 17 時 ですからお間 違えなきよ
う、、、。ところで日本 から着いた 友人が「こん なもの読むかい ?」と 2 日遅れの日本の新聞
をくれました。そ れによると、熱海の梅園の 472 本、59 種もの梅花が満開、ほのかな香 り
が漂ってくるよ うです。そし て静岡・河 津町 では早咲きの“ 河津桜”
(新 種でしょうか 、染
井吉野ではなさ そうです。)が見頃 を迎えた由 。河津川沿 い約 4 ㎞に亘り 800 本の桜並木が
ほぼ満開とあり ますから、こ れからは桜 の“ 花便り”が次第 に北上して、 暫くの 間の 話題
となるのでしょ う。そのペー ジの下の方 の広 告
欄を見ましたら、
「三 春の滝桜」や「隅田 川千 本
桜クルーズ」等 と並んで「目 黒川桜クル ーズ 」
というのが目に 留まりました 。
「えッ、この“ 目
黒川”って、あ の“目黒川” ??桜の花 はと も
かく“クル ーズ”とは??。」自分 が“浦 島太 郎”
になった気がし ました。同じ 欄には「南 極へ の
船旅」もあ れば近郷へ の温泉旅行も あり、
“グ ル
メ・バイキング ・プラン”や 「北海道グ ルメ ・
フェアー」、、、「 食べ放題、、、」、、、一般に 誰も が
旅行好きである のは解ります 。しかし何 と云 っ
ても皆さん“グ ルメ”がお好 きですね。
* 復活祭
( LES PAQUES )
英語のイースタ ー(Easter) の方が知ら れ
ていますが、キリ ストの復活 を祝う大祭 日、
春分の日の後最 初の満月の後 の日曜日で 、
旧くは春の女神 Eostre の祭 日だそうで、今
年は 4 月 5 日の日曜日、とにかく春らし い
華やかな日に当 ります。 パン 屋やお菓子 屋
のウインドー、 スーパーの菓 子売り場に は
チ ョ コ レ ー ト や マ ジ パ ン (la pâte
d’amandes)で作 った卵、ヒヨ コ、鶏、リス 、
兎などの小動物 が綺麗に包ま れ、リボン で
飾られて籠に入 ったり、仲良 く楽しく並 ん
でいます。そして 4 月 1 日はご存知“エ イ
プリル・フール”、フランス では何故か “4
月の魚”(le poisson d ‘ avril)と呼んで 、
魚の形をしたチ ョコレートも 仲間入りで す。
その昔若きルイ 14 世を嫉妬 させ、ヴェルサ イ ユ宮殿を造らせ る原因となっ たヴォー・ル ・
ヴ ィ コ ン ト 城 の 主 、 時 の 財 政 総 監 ニ コ ラ ・ フ ー ケ (Nicolas Fouquet (1615-1680))の 生 誕
400 年を記念して、4 月 4 日から 6 日迄、当城の広大な庭園で は、子供達が草む らや茂みに
隠された卵を探 して遊ぶ、伝 統に基づい た“ イースター・エ ッグ探し” (Chasse à l’ oeuf
pour Pâques)の 行事が行なわ れます 。 www.vaux-le-vicomte.com
*
「デッサン帖」展
( Expo. LES CAHIERS DESSINES )
パリのマルシェ ・サン・ピエ ールをご存 知で す
か。モンマルト ルのサクレク ール大聖堂 の立 つ丘
の麓、洋裁や手 芸の好きな方 なら生地を 探し に一
度は行ったこと のある布地の 市場です。 この 古い
建物の中のスペ ースを利用し て、
「 デッサン帖 」と
いう 2002 年 10 月 に出来た出 版社が催す デッ サン、
イラスト、クロ ッキー、とい った種類の アー ト、
ヴィクトール・ ユーゴからヴ ァロトン、 アレ チン
スキー、トポー ル、スタイン バーグ、コ ピ、 ヴィ
レム、ボスク、 サンペを経て キキ・スミ スに 至る
67 人のアーティストが 描いた“万 国共通の言 葉”
(le langage universel)500 点を展示し て「 デッ
サ ン と 呼 ぶ も の は 何 か 」 (Qu’appelle-t-on le
dessin ?)との質 問に返答し ています 。
8 月 14 日 迄毎日 11 時-18 時、Hall Saint-Pierre
(2, rue Ronsard,75018 Paris, メトロ Anvers, Abbesses 下車)入場料 8 ユーロ
*「未だ 肌寒さ の残る 3 月の或 る水曜 日のこと 」 ( En ce mercredi frisquet de Mars.... )
パリ 1 区の消防署の電話が鳴 りました。 何か 不安そうなその 声は「硬い鱗 の、魚にし て
は一寸大きい何 かが、ポン・ ヌフ (le Pont-Neuf)近くのセー ヌ河を泳いで いるのを見 た」
というもので直 ぐにゴダール 隊長を先頭 に消 防隊が駆けつけ 、辺り一帯を 探しました が何
も見付からず終 い、地下の 下水道の中 を捜索 することになり ました。(Ils décident donc de
fouiller le réseau d’égouts.)どの位 の時 間が過ぎたでし ょうか、下水 道で消防隊 が出
会ったのは、何 と体長 1m位 の鰐(un crocodile)でした。シ ャベルやホウ キ を使って 奮戦
の結果尻尾と口 を押さえ込ん で捕まえ、 まず は植物園 (le Jardin des Plantes)に運び 込ん
で収容しました。検診に当っ た獣医によれ ば 、
「推定年令 2 才のメスで、体長 95cm、
“ナイ
ルの鰐”と呼ば れる種類で (l’espèce des crocodiles du Nil) 地下の下 水道が温度 、湿
気も丁度よく、 餌になる 鼠も 沢山居て、 居心 地が好かったの では、、、それ が春に浮か れて
セーヌ河へ出て、つ い泳いでし まった、、、。」
「 原因は 2 つ、セーヌ沿いの動物 屋か、何処か
のサーカスから 逃げ出したか 、アマチュ アの 飼い主が手に負 えなくなって 捨てたのか 、の
どちらかであろ う、、、まァ 、サン・マルタン 運 河でピラニアが 釣れる時代だ から、、、???」
数 ヶ 月 後 、 ブ ル タ ー ニ ュ 地 方 ヴ ァ ンヌ の 水 族館 に も ら わ れ 、“ エ レ ア ノ ー ル ” (Eléanore)
と名付けられま した。
今から丁度 30 年前、1985 年 3 月のお話です 。今では体長3m 余り、体重 200kgs を超え
るにまで成長、 元気にしてい るとのこと です 。
*2015 年 3 月 8 日(日) Saint Jean de Dieu
18℃
晴 天 、 ニ ー ス : 7/16℃
日の 出 07 時 19・ 日 の 入 18 時 44
晴 天 、ス ト ラ ス ブ ー ル: 0/15℃
晴天
-「 花 玉 春 爛
パ リ : 朝 夕 1℃ ・ 日 中
花 開 富 貴 」(菅 )