KEIO/KYOTO GLOBAL COE DISCUSSIO

KEIO UNIVERSITY
KEIO/KYOTO MARKET QUALITY RESEARCH PROJECT
(Global Center of Excellence Project)
KEIO/KYOTO GLOBAL COE DISCUSSION PAPER SERIES
DP2008-022
政府消費、公共投資、政府雇用の違いに着目した
財政政策の効果
江口 允崇*
平賀一希**
概要
本稿では、政府支出の項目別の効果に着目し、政府消費、公共投資、及び政府雇用のそれぞれ
が、生産量・消費・投資などのマクロ経済変数に与える影響の違いについて分析する。そのため
に、政府支出の項目を政府消費・公共投資・政府雇用の3 つに分けた動学的一般均衡モデルによ
るカリブレーション分析を行うとともに、そこで得られたインパルスレスポンスを、1969 年か
ら2008 年までの日本のデータを使ったVARモデルのインパルスレスポンスと比較した。カリブレ
ーション分析の結果とVAR 分析の結果は概ね整合的であり、
次のような結果が得られた。
第一に、
公共投資は、消費と投資に対してプラスの効果を持つ。ただし、投資に対しては一時的な減少が
生じた後、生産力の増大を通じて投資の増加が生じる。第二に、政府消費は、消費に対してはマ
イナス効果を持つ一方で、投資に対してはプラスの効果を持つ。第三に、政府雇用は、消費と投
資に対してともにマイナスの効果を持つ。これより、政府支出の増大による景気対策、または政
府支出の削減による財政再建は、その内容によってまるで違う効果が表れてしまう可能性が示さ
れた。
日本の「市場の質」の改善を考える上でも、政府雇用が労働市場に与える影響や、公共事業が
民間企業の生産活動に与える影響を分析することは極めて重要であると思われる。
*江口 允崇 慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程
**平賀一希
慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程、経済学部助教(研究)
KEIO/KYOTO MARKET QUALITY RESEARCH PROJECT
(Global Center of Excellence Program)
Graduate School of Economics and Graduate School of Business and Commerce,
Keio University
2-15-45 Mita, Minato-ku, Tokyo 108-8345 Japan
Kyoto Institute of Economics,
Kyoto University
Yoshida-honmachi, Sakyo-ku, Kyoto 606-8501 Japan
政府消費、公共投資、政府雇用の違いに着目した
財政政策の効果∗
江口 允崇†
平賀 一希‡
概要
本稿では、政府支出の項目別の効果に着目し、政府消費、公共投資、及び政府雇用のそれぞれが、生産量・
消費・投資などのマクロ経済変数に与える影響の違いについて分析する。そのために、政府支出の項目を政
府消費・公共投資・政府雇用の 3 つに分けた動学的一般均衡モデルによるカリブレーション分析を行うと
ともに、そこで得られたインパルスレスポンスを、1969 年から 2008 年までの日本のデータを使った VAR
モデルのインパルスレスポンスと比較した。カリブレーション分析の結果と VAR 分析の結果は概ね整合的
であり、次のような結果が得られた。第一に、公共投資は、消費と投資に対してプラスの効果を持つ。ただ
し、投資に対しては一時的な減少が生じた後、生産力の増大を通じて投資の増加が生じる。第二に、政府消
費は、消費に対してはマイナス効果を持つ一方で、投資に対してはプラスの効果を持つ。第三に、政府雇用
は、消費と投資に対してともにマイナスの効果を持つ。これより、政府支出の増大による景気対策、または
政府支出の削減による財政再建は、その内容によってまるで違う効果が表れてしまう可能性が示された。
日本の「市場の質」の改善を考える上でも、政府雇用が労働市場に与える影響や、公共事業が民間企業の
生産活動に与える影響を分析することは極めて重要であると思われる。
1 はじめに
現在の日本は、サブプライム問題に端を発する景気後退と、800 兆円に上る財政赤字という 2 つの問題に悩
まされており、景気対策と財政再建のせめぎ合いの中で、どのような財政運営を行っていくかが問われてい
る。しかし、財政支出の増大による景気対策を行うにせよ、財政支出の削減による財政再建を行っていくにせ
よ、まずは財政支出の増大や削減が、生産量や消費、投資といったマクロ経済変数に対してどのような影響を
もたらすのかを分析しなくては話が始まらない。
財政支出が経済にどのような影響を与えるかに関しては、経済学の歴史においても古くから議論があり、
大きく分けて 2 つの立場がある。1 つは IS-LM モデルに代表されるケインジアン的な立場で、この場合は政
府支出の増大は総需要を拡大し、所得の増大をもたらし、消費を増加させる。その一方で、政府支出の増大
が金利の上昇を招くため、投資のクラウディングアウトをもたらす。これに対し、リアルビジネスサイクル
(RBC)モデルに代表される新古典派的な見解によれば、政府支出の増大は負の資産効果をもたらし、消費が
減少する一方で、労働が増大し所得が増加する。また、投資に対しては、政府支出の増大が一時的な場合は投
∗
本稿の作成に当たって、櫻川昌哉教授(慶應義塾大学)
、土居丈朗准教授(慶應義塾大学)
、浅子和美教授(一橋大学)
、塩路悦朗教
授(一橋大学)、後閑洋一准教授(立命館大学)、蔵研也准教授(岐阜聖徳学園)より有益なコメントを頂いた。また、中東雅樹准
教授(新潟大学)からは、日本財政学会第 65 回大会(京都大学)において、討論者として詳細なコメントを頂いた。記して感謝の
意を表する次第である。なお、本稿における誤りは全て筆者に帰するものである。
† 慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程 3 年 Email:[email protected]
‡ 慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程 1 年 経済学部助教 (研究) Email:[email protected]
1
資の減少をもたらすが、政府支出の持続性が十分に高い場合には、むしろ投資を増やしうることが知られてい
る*1 。また、さらにこの両者の折衷的なモデルとして、近年発展の目覚しいニューケインジアンモデルがあり、
Gali, Lopez-Salido and Valles(2007) などによれば、政府支出の増大に対して消費が増大するか減少するかは、
rule-of-thumb な家計の割合と、価格の粘着性に依存するとしている。
このように、財政政策が所得や消費、投資に対してどのような影響を与えるかは、考えるモデルやパラメー
ターの値によって異なり、実際のところは実証分析を行っていくしかない。
日本の財政政策の需要創出効果を分析した最近の研究には、内閣府 (1998)、Ramaswamy and Rendu(2000)、
鴨井・橘木 (2001)、Bayoumi(2001)、Kuttner and Posen(2001)、井掘・中里・川出 (2002)、田中・北野 (2002)、
中澤・大西・原田 (2002)、堀・伊藤 (2002)、 加藤 (2003)、北浦・南雲・松木 (2005) などがある。これらの研
究では、いずれも公共投資や政府支出が、一定程度の需要拡大効果をもたらしていることを示している。
また、財政支出の削減が逆に景気をもたらすという「非ケインズ効果」を検証した研究には、中里 (2002)、
伊藤・渡辺 (2004)、竹田・小巻・矢嶋 (2005)、亀田 (2008) などがあるが、これらは日本において非ケインズ
効果が存在したかどうかについて意見が分かれている。
しかし、これらの先行研究においては、どれも財政支出の中身については詳しく言及していなかった。
Finn(1998) によって示されたように、政府消費・公共投資・政府雇用はそれぞれ違う影響を生産量・消費・
投資に対して与える。従って、財政支出の各項目は分けて考えないと、全ての効果が混在してしまい、財政政
策の効果に対して統一的な見解が得られなくなってしまう。また、現在の日本のように財政状況が非常に逼迫
しており、財政の自由度が低下している状況では、こうした支出内容にまで踏み込んだ議論を行う必要がある
と思われる。支出別の効果が明らかになれば、財政政策や財政再建を行う際に、どの項目から増やすべきか、
もしくは減らすべきかといった優先順位の指標を得ることもでき、今後の財政運営の意思決定を行っていく上
で有用なものとなるだろう。
そこで、本稿では、Finn(1998) のモデルに基づき、政府消費、公共投資、及び政府雇用のショックが、消
費や投資にどのような影響を与えるのか、カリブレーション分析を行うことにする。その上で、その結果を
1969 年から 2008 年までの日本のデータを用いた VAR 分析の結果と比較し、モデルの日本経済に対する現実
的妥当性について検証する。
本稿の構成は次の通りである。まず、第 2 節で近年の日本の財政状況と、政府消費、公共投資、及び公務員
の人件費がどのように動いてきたかを概観する。次に、第 3 節で理論的なモデルを提示する。続く第 4 節で
は、3 節で示されたモデルを用いてカリブレーションを行い、政府消費、公共投資、政府雇用のショックに対
する生産量や消費、投資などのマクロ変数のインパルスレスポンスを導出する。そして、第 5 節では、1969 年
から 2008 年までのデータを用いて VAR(多変量自己回帰)分析を行い、同じくインパルスレスポンスを計算
し、カリブレーション分析の結果と比較する。最後に第 6 節で結論と今後の課題について述べる。
2 日本の財政状況
本稿では、政府消費、公共投資、政府雇用がマクロ経済に与えた影響について分析するが、その前にまずこ
れらの支出が近年どのように変化してきたかを簡単に概観し、若干の国際比較を行うことにしたい。
*1
これは、政府支出の増大が恒常的なほど、負の資産効果が大きくなり、その分労働供給が増えて投資の増大をもたらすからである。
Baxter and King(1993) などを参照。
2
2.1 政府債務残高
現在の日本の政府債務残高は、国と地方合わせて 778 兆円 (2007 年度末) に上る水準であり、先進国中最悪
の水準にある (図 1 参照)。特に、1990 年代に大幅な財政拡大政策が行われて以降、債務残高の増加が急激に増
加した。近年においては、2005 年以降景気回復による増収や、
「骨太の方針 2006」による 2011 年度までにプ
ライマリーバランス黒字化という方針のもと、財政再建が進められ債務残高の伸びは緩やかになりつつある。
−図 1 を挿入−
2.2 公共投資
公共投資は平成 7 年以降額が減り続け、平成 18 年度にはほぼ半減しているが、国際比較を行うと未だに高
い水準にある (図 2、図 3 参照)。1990 年代においては公共投資が抑制された時期もあったが、全体を通じて
バブル経済の崩壊や円高等による経済情勢の悪化に対応した経済対策、1995 年の阪神淡路大震災の発生に伴
う復興対策等のため、積極的な投資が行われた。2000 年代に入ると、小泉構造改革により大幅な削減が行わ
れた。
−図 2 を挿入−
−図 3 を挿入−
2.3 公務員の人件費
公務員の人件費は、若干増加しているものの、ほぼ横ばいである (図 4 参照)。ただし、国際比較を行うと日
本の人件費は低い水準にあるとも言える ( 図 5 参照)。
−図 4 を挿入−
−図 5 を挿入−
2.4 政府消費
ここでの政府消費とは、政府最終消費支出から人件費を除いたものであり、その半分以上が現物社会給付で
ある。少子高齢化に伴う医療サービスの増大などに伴い、特に、2000 年に介護保険制度が導入されて以降、政
府消費は一貫して増加傾向にある (図6参照)。一方、国際比較を行うと、日本の政府消費の水準は他の先進国
と比べて低い水準にある (図7参照)。
−図 6 を挿入−
−図 7 を挿入−
3
3 モデル
前節では、政府消費、公共投資、及び公務員の人件費がどのように変動してきたかを概観した。本節では、
これらの支出項目の変化が、生産量や消費、投資といったマクロ変数にどのような影響を与えるのかを分析す
るために、Finn(1998) に倣った動学的一般均衡モデルを提示する。モデルの前提は次の通りである。まず、閉
鎖経済を仮定し、経済には無限期間生きる家計、企業、及び政府が存在する。また、全ての市場は完全競争で
あるとする。家計は消費と労働から効用を得て、資本を企業に貸し出すか国債を保有することによって貯蓄を
行う。一方、企業は家計から資本を借り入れ、労働を投入することによって生産を行い、それぞれの対価を家
計に支払う。政府は政府消費・公共投資・政府雇用によって経済に介入することができ、一括税が利用可能で
あるとする。
Finn(1998) と異なる点は、効用関数が消費と労働に関して Separable な関数型を用いている点と、消費税や
所得税は存在せず、一括税のみが存在すると仮定していることであるが、このことが結果に大きな違いをもた
らすことはない。さらに、本稿ではあくまで政府支出の用途別の効果を浮き彫りにするために、価格の粘着性
や流動性制約家計の存在は考えないものとし、用途別の違いだけでどれだけ現実のデータの動きを説明できる
かに焦点を当てることにする。
3.1 企業の行動
企業は市場価格を所与として、次の各期の利潤を最大化するように最適な労働と資本の投入量を選択する。
πt = yt − wt ntp − rt ktp
(1)
また、生産関数は次のようなコブ=ダグラス型を仮定する。
yt = At ntp1−α ktpα ktgν
0 < α < 1, ν > 0
(2)
ここで、π は利潤、y は生産量、w は賃金率、n p は民間労働、r は資本のレンタル料、k p は民間資本、A は技
術水準、kg は政府資本、α と ν は生産パラメーターである。本稿では、財政政策のショックに関する分析に
着目するため、全ての期において A = 1 とする。
企業の利潤最大化の条件より、
wt = (1 − α )ntp−α ktpα ktgν
(3)
rt = α ntp1−α ktpα −1 ktgν
(4)
が得られる。政府資本はプライベートリターンを生まないとすると、利潤は労働と資本の所有者に完全分配さ
れる。
さらに、民間資本と政府資本は同じ資本減耗率であり、次の蓄積過程に従うものとする。
p
kt+1
= (1 − δ )ktp + itp
(5)
= (1 − δ )ktg + itg
(6)
g
kt+1
i p は民間投資、ig は公共投資、δ は資本減耗率である。
4
3.2 家計の行動
家計は次の生涯効用関数を最大化させるように行動する。
(
∞
E0 ∑ β t
log(ctp + θ ctg ) −
t=0
nt1+λ
1+λ
)
(7)
c p は民間消費、cg は政府消費、n は総労働量、β は主観割引因子であり、λ は労働供給の代替弾力性の逆数で
ある。また、θ は政府消費に対する選好ウェイトである。ここで、総労働量は民間労働と政府労働の和であり、
nt = ntp + ntg
が成立している。ng は政府労働である。
また、毎期の予算制約は次のように与えられる。
p
ctp + kt+1
+ bt+1 = yt + wt ntg + (1 − δ )ktp + (1 + rb )bt − τt
(8)
b は国債、rb は国債利子率、τ は一括税である。
家計の 1 階の最適化条件より、次が成り立つ。
[
ctp + θ ctg
]
1
p
g
(c + θ ct+1 )
= Et
p
β (1 + rt+1
) t+1
wt
ntλ = p
ct + θ ctg
(9)
(10)
ここで、r p は民間資本の実質収益率であり、
(
rtp ≡ α
と定義している。また、金利平価条件より、
ntp
ktp
)1−α
ktgν − δ
rtp = rtb
(11)
(12)
が成立する。
3.3 政府の行動
政府雇用において支払われる賃金は、民間における賃金率と等しいとすると、政府の予算制約は、次のよう
に与えられる。
bt+1 = (1 + rtb )bt + cg + ig + wt ntg − τt
(13)
ここでは一括税が利用可能であるため、リカードの等価定理が成立し、国債発行と課税は無差別となる。
従って、毎期毎期全ての政府支出を税によって賄うとしても結論は変わらないため、ここでは国債をモデルか
ら除外し、任意の時点について
cg + ig + wt ntg = τt
(14)
が成立するものとする。また、cg と ig と ng は、次の確率過程に従うものとする。
g
cg
c̃t+1
= ρ c̃tg + εt+1
(15)
ig
= ω ĩtg + εt+1
ng
= η ñtg + εt+1
(16)
g
ĩt+1
g
ñt+1
5
(17)
x̃ は、各変数 x の対数値における定常状態からの乖離を表している。また、ρ 、ω 、η はそれぞれ持続性のパラ
メーターであり、0 から 1 の間の値をとる。ε xg はそれぞれホワイトノイズの確率変数である。
以上がモデルのセットアップである。
4 カリブレーション分析
4.1 パラメーターの設定
Campbell(1994) にならい、前節で示されたモデルの方程式体系を定常状態の近傍で対数線形近似し、政府
消費、公共投資、政府雇用のショックが、生産量や消費、投資にどのような影響を与えるかを分析する。
それをするにあたり、各パラメーターの値を以下のように設定する。
資本分配率
α
0.362
政府資本の生産性
ν
0.12
資本減耗率
δ
0.0215
割引因子
β
0.996
労働供給の代替弾力性の逆数 λ
1.5
政府消費の代替度
θ
0.65
政府消費の持続性
ρ
0.99
公共投資の持続性
ω
0.96
政府雇用の持続性
η
表1 パラメーターの設定値
0.99
資本分配率と資本減耗率については Hayashi and Prescott(2002) より、政府資本の生産性については吉野・中
島 (1999) で推定された値の 1955 年∼93 年の加重平均値を用いた。割引因子に関しては、4 半期における利子
率が 0.004(0.4 %)となる値を設定した。労働供給の代替弾力性に関しては設定が難しいが、一般的なカリブ
レーションのベンチマークケースとしてよく用いられる値を用いた。政府消費の代替度については、Hamori
and Asako(1997) などを参考にし、0.65 とした。政府消費、公共投資、政府雇用の持続性については、1969 年
∼2008 年までの SNA のデータを用いて各変数の対数階差の AR(1) モデルを OLS で推定し、その係数の値を
用いた。
また、定常状態における変数の値を次のように設定する。
政府消費の GDP 比
公共投資の GDP 比
cg∗
y∗
ig∗
y∗
w∗ ng∗
y∗
公務員人件費の GDP 比
表2 定常状態値
0.11
0.04
0.06
これらの値は、直近の日本の現状の値を国民経済計算(内閣府)より算出した。
4.2 インパルスレスポンス
以上の設定により、政府消費、公共投資、政府雇用に 1 単位のショックを与えた場合の消費と投資(民間資
本の増減)に対するインパルスレスポンスを求めた。各ショックに関する結果を順番に述べていく。なお、モ
6
デルにおける 1 期は、1 四半期に対応している。
4.2.1 政府消費のショック
政府消費が 1 %増大したときの各変数のインパルスレスポンスが、図 8 に示されている。政府消費が増大す
ると、負の資産効果が生じて、消費は減少する一方で、労働供給が増大するため生産量は増える。また、投資
に関しては、政府消費が利用可能な資源を食いつぶすために投資が減少する効果と、消費が減少し労働供給が
増えるために投資が増大する効果のどちらが大きいかによって最終的な増減が決まる。政府消費の持続可能性
が高く、政府消費の代替パラメーターである θ がより小さい場合、負の資産効果が大きくなり、投資のクラウ
ドインが起こる。本稿のパラメーターの設定では、負の資産効果が大きいため、投資のクラウドインが起こっ
ている。
−図 8 を挿入−
4.2.2 公共投資のショック
公共投資が 1 %増大したときのインパルスレスポンスが、図 9 である。公共投資の増大は、政府が資源を使
うために民間の資源が減少することによる負の資産効果と、政府資本の増大による生産量の増加を通じた正の
資産効果を同時にもたらす。従って、公共投資による経済の反応は、まず政府消費の場合と同じく持続性のパ
ラメーターと、政府資本の生産性である ν に依存する。ν が大きければ、正の資産効果により、消費が増え
る。また、労働に関しては正の資産効果によって労働が減少する効果と、政府資本の増大を通じて賃金が上が
るために労働量が増える効果の両方がある。労働量が増える効果のほうが大きいのであれば、生産は増加す
る。投資に関しては、様々な要因が複合的に重なることによって最終的な増減が決まる。まず第一に、政府支
出の増大によって利用可能な資源が食いつぶされることにより投資が減少する効果がある。第二に、生産量と
消費の増分のどちらが大きいかによる効果がある。生産量の増分のほうが消費の増分よりも大きければ投資は
増大し、逆に消費の増分のほうが生産量の増分よりも大きいのであれば投資は減少する。第三に、政府資本が
増大することにより、投資が促進される効果である。本稿のパラメーターの設定では、正の資産効果が大きい
ため、まず消費が増大している。また、投資に関しては、一時的にクラウディングアウトが生じた後、政府資
本の増大を通じてクラウドインに転じている。
−図 9 を挿入−
4.2.3 政府雇用のショック
政府雇用の 1 %ショックに対するインパルスレスポンスは、図 10 に示されている。政府雇用の増大は、ま
ず他の支出と同じく政府が資源を使うことによる負の資産効果をもたらす。そのため、まず消費が減少する。
また、政府雇用によって労働が使われるため、民間労働がクラウドアウトされ、生産量が減少する。消費が減
少する一方で生産量も減少するため、投資も減少することになる*2 。
*2
Alesina et al.(2002) では、政府雇用が民間労働の賃金率を増大させることによって企業の利潤が減少し、投資がクラウディングア
ウトされるという効果に着目し、OECD 諸国のパネルデータを用いてトービンの q 型の投資関数を推定している。推定の結果、政
府支出の中で特に人件費の支出が投資に大きなマイナス効果を与えているとしている。また、内閣府 (2005) でも同様の手法によっ
て日本のデータを用いた分析を行った結果、政府支出が投資にマイナスの影響を与えたことが示唆されたとしている。
7
−図 10 を挿入−
5 VAR による分析
5.1 変数とデータ
前節において得られたインパルスレスポンスは、あくまで実際の経済構造がモデルの通りであったならば得
られるであろう反応を示したものであって、現実の経済の構造がモデルの通りになっているとは限らない。そ
のため、前節で得られたインパルスレスポンスが、どれだけ現実のデータの動きと整合的であるかを検証し、
モデルの現実的妥当性について確かめる必要がある。そこで、本節では、1969 年の第 1 四半期から 2008 年の
第 1 四半期のデータを用いて VAR(多変量自己回帰)分析を行い、現実のデータがどのようなインパルスレ
スポンスを示しているのかを見ることにする。使用する変数は、実質民間消費支出、実質民間固定資本形成、
実質政府消費、実質公的固定資本形成、及び公務労働者数の 5 変数である。実質民間消費支出、実質民間固定
資本形成、及び実質公的固定資本形成に関しては、内閣府経済社会総合研究所が公表している国民経済計算の
季節調整値を用いる。また、公務員労働者数は、総務省統計局が公表している日本統計月報の月次データの四
半期平均を求め、X12-ARIMA により季節調整を行った値を用いる。さらに、SNA の政府最終消費支出には
公務員の人件費が含まれているため、公務員の人件費を除いた分の系列を作成することにする。まず、公務員
の人件費に関しては四半期のデータが存在しないため、日本統計月報より全産業の平均賃金率に公務員の雇用
者数をかけたものを算出し、四半期平均を求めた上で GDP デフレーターによって実質化し、さらに季節調整
を施して公務員人件費の系列を作成した。そして、その後で SNA の政府最終消費支出のデータから公務員人
件費を引いて実質政府消費の系列を作った。
なお、SNA は 68SNA から 93SNA への移行と、93SNA の平成 7 年基準から平成 12 年基準への改定により、
3 つの系列が存在するが、本稿ではそれぞれの系列が重複する期間の伸び率を調整してデータの接合を行った。
5.2 推定方法
VAR で用いる各変数について ADF テスト(augmented Dickey-Fuller test)による単位根検定を行ったとこ
ろ、全ての変数が I(1) であることが示された。しかし、同時に Johansen の共和分検定を行った結果、共和分
ベクトルが存在しないという帰無仮説を棄却できなかった。このような場合は、単純に階差をとって定常化し
ただけでは、VAR モデルに定式化の誤りが生じてしまう可能性がある*3 。よって、レベル変数を用いた VAR
モデルの推定量は単位根があってもなくても一致推定量であるという性質を利用し、本稿では階差定常を行わ
ずにレベル変数で推定した。
また、ラグの次数に関しては、Friedman and Kuttner(1992) などに倣い、先見的に少なくとも 1 年程度のラ
グを含みたいので、自由度の問題も考慮して本稿では 4 期のラグを選択することにした。
5.3 推定結果
政府消費・公共投資・政府雇用のショックに対する消費と投資のインパルスレスポンスは次の通りである。
*3
Hamilton(1994) の 651-653 を参照。
8
−図 11 を挿入−
まず、政府消費のショックに対して、消費はわずかに負の反応を示し、投資は正の反応を示している。ただ
し、どちらも非常に影響が小さい。
公共投資のショックに対しては、消費は正の反応を示している。また、投資は 4 期後(1 年後)までは減少
しているものの、1 年後からは正の反応を示すようになっている。
政府雇用のショックは、一時的に消費の増大があるものの、6 期後以降は消費が減少をもたらしている。ま
た、投資に対しては比較的大きなクラウディングアウト効果を与えている。
20 期後(5 年後)までの累積インパルス応答関数は次の通りである。
−図 12 を挿入−
20 期後までの累積インパルス応答関数を見ると、政府消費は消費にマイナス効果を持つ一方で、投資にはプ
ラス効果を持っている。また、公共投資は消費と投資にともにプラスの影響を持つ一方で、政府雇用は消費、
投資ともにマイナスの影響を持つ。
これらの結果は、前節で得られたカリブレーション分析の結果と非常に整合的である。従って、前節で示さ
れたモデルはある程度の現実的妥当性を持つと言えるだろう。ただし、公共投資の消費に対する影響を除いて
は、統計的に有意ではない。
6 結論
本稿では、Finn(1998) に基づき、財政政策の手法を政府消費・公共投資・政府雇用の 3 つに分けた上で、カ
リブレーション分析を行い、その結果を 1969 年から 2008 年までの日本のデータを用いた VAR による結果と
比較した。この結果、カリブレーション分析より導かれたインパルスレスポンスと、VAR 分析によって導か
れたインパルスレスポンスの形状は整合的であり、その特徴は次のようにまとめられる。第一に、公共投資
は、消費と投資に対してプラスの効果を持つ。ただし、投資に対しては一時的な減少が生じた後、増加に転じ
る。第二に、政府消費は、消費に対してはややマイナス効果を持つ一方で、投資に対してはプラスの効果を持
つ。第三に、政府雇用は、消費と投資に対してともにマイナスの効果を持つ。これより、政府支出の増大によ
る景気対策は、その内容によってまるで違う効果が表れてしまうことが示された。従って、今後の財政運営に
おいても、財政出動を行うにせよ、財政再建を行うにせよ、支出の額そのものではなく、その内容こそが重要
であるといえよう。
最後に、残された課題と今後の展開について述べたい。
まず第一に、本稿では、モデルの設定に関して、政府労働が生産にも経済厚生にも何も寄与しないという
前提を置いている。現実には、教育や公務労働は生産や厚生にある程度寄与していることが考えられ、こ
うした政府雇用者の生産活動といったものをモデルに組み込んでいくことが必要であろう。Ardagna(2001)、
Pappa(2004)、Cavallo(2005)、Ardagna(2007) などで政府労働を生産関数に入れる試みがなされているが、こ
のような研究を進めていく上では政府労働者の生産性をどう計測するかが重要になるものと思われる。
第二に、本稿ではあくまで財政支出の用途別の違いにのみ着目したため、全ての市場は完全競争であり、あら
ゆる friction は存在しないものとしたが、資本の調整コストや消費の慣習、価格の粘着性、及び rule-of-thumb
な家計の導入などによって、どれだけ説明力が上がるかを検証していく必要がある。
第三に、本稿のカリブレーション分析で使用したパラメーターの多くは先行研究で示されたものを用いてい
9
るが、その値の現在の日本経済における妥当性については疑問が残る。特に、社会資本の生産性については直
近のデータを含めて改めて推定を行う必要があると思われる。VAR における分析も、自由度の問題からでき
るだけ長くデータをとったため、直近の反応については明らかにしていない。もし、1969 年から 2008 年まで
の間に大きな構造変化などがあれば、その前後を境にして財政政策のショックに対する反応は異なる可能性が
ある。よって、90 年代以降、または 2000 年以降などに時代を絞った形でより近年の反応について明らかにす
る必要があるだろう。これらに関しては、最近世界的に広まりつつあるベイズ推計を用いて再度モデルのパラ
メーターを推定することなどが有効な手段と思われる。
これらについては、今後の課題としたい。
参考文献
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IMF staff papers 47, 259-277.
11
図1
粗政府債務残高の推移
90000
80000
70000
100億円
60000
50000
40000
30000
20000
10000
20
07
20
05
20
03
20
01
19
99
19
97
19
95
19
93
19
91
19
89
19
87
19
85
0
出典:財務省「金融経済統計月報」
図2.公共投資の推移
45000
40000
35000
10億円
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
出典:内閣府「SNA」(68SNA と 93SNA(2000 年基準)を用いデータ接合済)
12
図3.公共投資対 GDP 比の推移
9
8
カナダ
フランス
ドイツ
イタリア
日本
アメリカ
イギリス
7
%
6
5
4
3
2
1
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
0
OECD National Accounts、93SNA(日本のデータ)より作成
図4.公務員人件費の推移
40000.0
38000.0
36000.0
34000.0
10億円
32000.0
30000.0
28000.0
26000.0
24000.0
22000.0
20000.0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
93SNA より作成
13
図 5.公務員人件費対 GDP 比の推移
16
14
カナダ
フランス
ドイツ
イタリア
日本
アメリカ
イギリス
12
%
10
8
6
4
2
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
0
OECD National Accounts、93SNA(日本のデータ)より作成
図 6.人件費を除く政府消費の推移
65000.0
60000.0
10億円
55000.0
50000.0
45000.0
40000.0
35000.0
30000.0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
93SNA より作成
14
図 7.人件費を除く政府消費対 GDP 比の推移
25
20
カナダ
フランス
ドイツ
イタリア
日本
アメリカ
イギリス
%
15
10
5
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
20
04
20
05
20
06
0
OECD National Accounts、93SNA(日本のデータ)より作成
15
図8
1%の政府消費のショックが各変数に与える影響
y
0.2
0.1
0
cp
0
-0.5
10
20
30
40
np
0.1
-1
2
kp
0.4
0.2
10
20
-3
r
x 10
30
0
40
10
20
30
40
30
40
w
0
-0.02
0.05
1
-0.04
0
10
20
30
40
cg
1.5
0
10
20
30
40
30
40
-0.06
10
20
tax
1
1
0.5
0.5
0
10
20
30
y:生産量 cp:民間消費
cg:政府消費
40
0
10
kp:民間資本
20
np:民間労働量
tax:税金
16
r:利子率
w:賃金率
図9
1%の公共投資のショックが各変数に与える影響
y
1.5
cp
1
1
0.5
5
0.5
0
0
0
10
20
30
40
kg
8
-0.5
0.06
4
0.04
2
0.02
10
20
30
40
w
0.8
0
30
-5
40
10
20
30
40
30
40
30
40
r
0.015
0.01
0.005
10
20
30
40
ig
1.5
0.6
20
np
0.08
6
0
10
kp
10
0
10
tax
1.5
1
1
0.5
0.5
20
0.4
0.2
0
10
20
30
40
0
10
y:生産量 cp:民間消費
kp:民間資本
w:賃金率
tax:税金
ig:公共投資
20
30
40
kg:政府資本
17
0
10
20
np:民間労働量
r:利子率
図 10 1%の政府雇用のショックが各変数に与える影響
y
0
cp
0
-0.2
kp
0
-1
-5
-2
-10
-0.4
-0.6
-0.8
10
20
30
40
np
0
-3
10
20
30
40
r
0.01
-15
0.005
0.2
-0.2
0
0
-0.3
-0.005
-0.2
10
20
30
40
ng
1.5
-0.01
2
0.5
1
10
20
30
y:生産量 cp:民間消費
w:賃金率
ng:政府雇用
40
0
20
30
40
30
40
-0.4
30
40
10
20
30
40
tax
3
1
0
10
20
w
0.4
-0.1
-0.4
10
10
kp:民間資本
20
kg:政府資本
tax:税金
18
np:民間労働量
r:利子率
図 11
VAR のインパルスレスポンス
Response to Cholesky One S.D. Innovations ± 2 S.E.
Response of CP to CG
Response of CP to IG
.012
.012
.008
.008
.004
.004
.000
.000
-.004
-.004
-.008
-.008
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
Response of CP to NG
6
8
10
12
14
16
18
20
16
18
20
16
18
20
Response of IP to CG
.012
.03
.02
.008
.01
.004
.00
.000
-.01
-.004
-.02
-.008
-.03
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
4
Response of IP to IG
6
8
10
12
14
Response of IP to NG
.03
.03
.02
.02
.01
.01
.00
.00
-.01
-.01
-.02
-.02
-.03
-.03
2
4
6
8
CP:民間消費
10
12
14
16
IP:民間投資
18
20
2
CG:政府消費
19
4
6
8
10
IG:公共投資
12
14
NG:政府雇用
図 12 VAR の累積インパルス応答関数
Accumulated Response to Cholesky One S.D. Innovations ± 2 S.E.
Accumulated Response of CP to CG
Accumulated Response of CP to IG
.16
.16
.12
.12
.08
.08
.04
.04
.00
.00
-.04
-.04
-.08
-.08
-.12
-.12
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
Accumulated Response of CP to NG
4
6
8
10
12
14
16
18
20
Accumulated Response of IP to CG
.16
.3
.12
.2
.1
.08
.0
.04
-.1
.00
-.2
-.04
-.3
-.08
-.4
-.12
-.5
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
2
Accumulated Response of IP to IG
4
6
8
10
12
14
16
18
20
Accumulated Response of IP to NG
.3
.3
.2
.2
.1
.1
.0
.0
-.1
-.1
-.2
-.2
-.3
-.3
-.4
-.4
-.5
-.5
2
4
6
8
CP:民間消費
10
12
14
16
IP:民間投資
18
20
2
CG:政府消費
20
4
6
8
10
IG:公共投資
12
14
16
18
NG:政府雇用
20