MANGA CROSS REVIEW Vol.1

MANGA
CROSS
REVIEW
タイトル
チャラ男とロボ子
魔砲少女四号ちゃん
もののがたり
地球の放課後
作者
掲載誌
木内ラムネ
別冊マーガレット
丸川トモヒロ
ヤングエース
オニグンソウ
ミラクルジャンプ
吉富昭仁
チャンピオンRED
たんこぶ
クレロラ
くねす
みと
俺におとせない女子はい
ない! 自信満々の海が初
めてふられてしまった相手
はロボットみたいと噂され
るロコ。ロコは感情を出す
のがちょっと苦手な、ほん
とは優しい女の子。チャラ
男とロボ子の結末は!?
弓道部に所属する大当真
名花は、ひょんなことから
“魔砲”を手に入れ、“魔砲
少女”に変身できるように!!
果たして彼女は人々を守
ることが出来るのか?
『成恵の世界』の劇中劇、
遂にスタート!
付喪神…それは、古びた
器物に心が宿った存在。
付喪神に大切なモノを奪
われ、憎む青年・岐兵馬。
付喪神と共棲し“家族"と
して愛す少女・長月ぼた
ん。千年 の都・京都で、
二人は出逢い、暮らすこと
になるのだが…。
謎の現象“ファントム”に
より、人類が消えた世界
に残された4人の少年少
女。再会を信じ、力を合わ
せて生きていくが…!?
おすすめ人
Vol.1
あらすじ
たんこぶ
クレロラ
くねす
みと
26
24
31
32
個人的に期待している新人の短篇集で、絵も話も
いい意味で子供っぽく洗練されてないところが大
変かわいくツボ。特に硬めの表情を逆手に取った
表題作、チャラ男とロボ子はオチの鮮やかな転換
もあってかなり好き。他にも秋山くんの友達の「本
当の自分でいられた」シーンを筆頭に、あまりにも
ゆるいちびキャラもクソかわいい。ギャグだけだと
りぼん行っても受けそうだが、このサブカル感を
もっと極めて別マで居場所を作って欲しい。
特筆すべきは主人公の「世界に祝福されてなさ」で、
友達もいなけりゃ親にも見放され、魔砲少女になる
動機も不純気味。変身してはやけにノリノリなのも居
心地が悪く、殺傷兵器であるところの戦車にある種
のロマンや憧憬を抱く居心地の悪さに似ている。って
のは穿ち過ぎか。そんな彼女が市井の人を助けお
礼を言われたり、同じ歪みをもった友達に本気で心
配されたりするところは感動的。が、漫画のテンポに
少し違和感がありいまいち乗りきれなかった印象。
とにかく絵で伝える力がすごい。出てくるキャラク
ター一人一人の造形が魅力的で、髪型と身長と目
の形と立ち方でだいたいどういうやつか分かる。す
ごい。戦闘シーン、キメどころもケレン味たっぷりで
かっこいい。すごい。ダサい能力説明はほぼなし、
絵で直感的にそれぞれが何の付喪神が分からせ
ることで語りの効率アップにも貢献している。普段
がかっこいい絵柄の分、SDのギャグシーンも映え
る。1巻目としての引きもバッチリ。続き買います。
冒頭、アスファルトから草が生い茂り、住宅地の自販
機のすぐそばにカカシがある絵面がもう最高に不可
解でキャッチー。素晴らしい。ファントムに襲われた
人の消え方の嫌さとか、ただただ「でかい」というだ
けでちょっと不安にさせたりとか、じわじわとした不穏
感を底の方に流すのがべらぼうにうまく、文化系童
貞の夢みたいな日常(ていうか今からでも遅くないか
らこうなってほしい)を見ている間も常に落ち着かな
い。すごくいい。
短篇集ではあるが、各作品通してのテーマは「お
互いに自然体でいられる相手」。そのままの2人
が他愛もない学生生活を送り、その先に繰り出さ
れる恋のエピソードに殺られる。個人的イチオシ
は「君と白昼夢」、告白直後、ラストのページで赤
面しながら見つめ合っている様に壁ドン(殴る方)
間違いなし!あと、全体的に八重歯ラブだったり、
ほっぺを引っ張るとか、至るところに作者の萌え
ポイントが詰め込まれていて大変結構。
SFラブコメ「成恵の世界」の作者が脳内のSF解釈エ
ンジンをフル活用して魔法を表現した意欲作。これ
が10年前(成恵劇中劇としてなら15年前)に世に出
ていたというのは早すぎた感があるが、まどか、ガ
ルパン、成恵後の今、10年代の漫画として転生した
ことに意味を見出したい。冒頭3話は10年前のネー
ムそのままのせいか勢い任せではあるが、成恵の
世界を綱渡り無計画で完結させた作者ゆえ、今後
の展開にも期待が持てる。
1巻を導入部として、世界観、メインキャラクター、能
力等の紹介をしつつ、ラストで「良縁」と締めること
で作品テーマまで示しきった手腕を高く評価したい。
元が鋭い絵柄だけにデフォルメへの転調が映え、
コマのテンポも上手く進めている印象。この構成力
と、作者の高い画力(ぼたん可愛い)とが高い水準
でバランスがとれているので、2巻以降に全く不安
がない。それと、個人的には擬似家族もの要素も
期待したいところだ。
雑草の茂った4車線道路のど真ん中でピクニックした
り、冠水した道路で泳いだりとか、とても惹かれるビ
ジュアルがGood!誰に咎められることもない世界だ
けに、非常にオープンな空気がある。(オープンすぎ
て作者の趣味が漏れだしているが)また、ただ開け抜
けに楽しいだけでなく、ふと、誰かがいた空気を感じ
て寂しくなる時に現実に引き戻される。でも、SF的に
もまるっと綺麗にハッピーエンドを迎えているのがい
いよね。
主人公とヒロイン、二人の出会いは互いを変え互い
の闇を払うことが出来るのか?というストレートな内
容もさることながら話しのテンポとメリハリの効いた
展開が非常に良い。よくページ単位でクオリティの高
い漫画にヴィンランド・サガを挙げるのだけれど、こ
の作品のページクオリティの高さはヴィンサガと比較
しても何ら遜色がなく、描き込み、ベタ、トーンのバラ
ンスが抜群でどのコマもバシっと決まっている。読後
の満足感ってのはこういう所からも来るんですよ。
まず「地球の放課後」というタイトルの字面、語感、連
想するイメージがいいよなぁ。このタイトルだけで半
分くらいの点数がある。謎の生命体に人間がドンドコ
取り込まれていった終末世界を自由に満喫しながら
も襲い来る敵や時間跳躍という謎が提示される、最
高やん。吉富昭仁の描く小尻とスラッとした脚は色気
はないけど溢れんばかりのフェティシズムがある。既
読だから言えるのだがこの漫画が本格的に面白くな
るのは2巻からなので7点。全巻なら8点以上つける。
この作者、現役女子高生なんじゃねーのか?ど
魔砲少女という一発ネタをしっかりとした設定として 漫画は設定じゃないキャラだ!そんな当たり前のこ
のキャラも最高過ぎてたまりません!(チャラ男と 昇華させている非常に完成度の高い作品でした。何 とを実感させられる作者の前作からの進化っぷりが
ロボ子は除く)目の付け所がいいとか、発想が面 より、この趣味全開の世界観をしっかりと読者へ伝 ハンパない一作となっております。無駄な設定と自
白いとかではなく、ただただ作者の感性が面白い。 えてしまう手腕に感服させられた。戦車を纏う少女と 身の中二病に溺れていた「ヒトガタナ」とは違い、エ
高校生活で描くことなんて恋しかねーよ! という いう旬の作品なのに、未だ人気に火が点いていな ンターテイメントとして描かれている本作は非常に安
ような素晴らしい短編集でした(チャラ男とロボ子 いことに疑問を覚えるほど。個人的な感想としては、 心して楽しめました。その中でも一際光っているの
は除く)。個人的には、「秋山君の友達」が至高。 キャラを全く好きになれないので楽しく読めなかった。 が、趣味全開のキャラの立ち絵でしょう。ホントたま
楽しい高校生活の中で、唯一の非日常であるキ 女の子しか出てこない作品は感情移入が出来ない らん。主要キャラが並んで立ってるだけでいいんだ
よ。そうなんだよ!
スシーンのほのかなエロスにギンギンでした。
のでハマれない。
漫画がエンターテイメントである限り、読者の求めて
いる物を描くことが一つの目標点であると考えていま
す。そして、この作品はその目標点に限りなく近づい
た一作だと思う。美少女たちと地球の放課後を一緒
に過ごすなんて高校生が授業中に妄想する最高の
シチュエーションの一つだ。そんな高校生の妄想に
しっかりとした設定と説得力を持たせてここまで楽し
く描いてくれたことに本当に感謝の一言。読者の夢
を描いてくれた本作に乾杯!
作者は「素直になる」主人公たちが大好きなんだ あの『魔砲少女四号ちゃん』が読めるぜ、ウヒョーと
なと伝わってくる。ヒロインが教室を爆発させたり 思ったが1巻のピークは3話。以降は話しがとっちら
黒板にめり込むのが当たり前の世界観、こういう かってる印象で今ひとつノリきれなかった。正直戦闘
少女漫画は最近読んでなかった。今の別マほど シーンが食い足りない。もっとページ数が欲しかった
恋愛に真面目という印象は受けないが本誌掲載 し、なんなら3話までの内容を1巻に収めてくれてよ
を果たして拮抗している別マの毛色を少し変えて かった。新キャラを出す前にもっとキャラクターの掘
くれるような存在になってほしい。脳天気な話しば り下げをしてもらいたかったな。次巻への引きは良
かりではなく存外ダークな一面もあり、作者の描き かったんでここからの展開には期待大。折しも久方
たいものと意外な一面が見れる良い短編集だった。ぶりの戦車ブームが来ているので基礎点6に加点1。