あらすじ 世界規模の大戦から数百年後の世界。人類は大きく数を減らしたが、過去の技術により過 度な贅沢を行わなければ十分生き延びる事ができる程度まで復興した。しかし衛星軌道上 の兵器にはまだ稼働しているものがあり、不定期で人間の生活区域を吹き飛ばす。ここ百 年に至りその攻撃は頻繁に起こるようになり、原因解明及び兵器の停止が急務である。た だし海上には汚染された巨大兵器の残骸が散らばっており、移住は困難な上に船舶は移動 が制限される。そこで過去の大戦の末期に製造された、小型・汚染への耐性・高い運動能 力を満たす艦娘の再現が行われる。艦娘には素体となる女性を必要とするが、危機的状況 である事と当時人口比は生存のための産み分けから女性に大きく傾いていたことから、大 量の人間が艦娘へと建造された。人類をすべて艦娘にする事ができれば新天地への移住や 海上都市への脱出も行えるのだが、艦娘は兵器である都合上反乱を抑える枷が必要であっ たようで、提督と呼ばれる従事対象が存在しなくてはならない。この提督は人間である必 要がある。艦娘の再現には成功したもののその技術を解明する事は現在の人類には困難で あり、この枷は手持ちの技術では解除することができなかった。そうして大海に出た艦娘 を待っていたのは、正体不明の戦闘兵器であった。大きさは 1~2m 程度であり艦娘に近い 形状のものも確認され、その高い攻撃性能と予想される勢力圏の広さは数百年もの間荒廃 と平和の中に浸かっていた人類にとっては衝撃的であった。これは深海棲艦と名付けられ る。人類が大急ぎで艦娘専用の武器を再現し、戦闘の技術を成熟させ、やっと深海棲艦に 対する戦力と呼べるものが出来上がるようになった頃には、衛星兵器により人類は全体の 3 割を失っていた。 艦娘の歴史 前期 艦娘製造から個人ないし一個艦隊未満による深海棲艦との戦闘が行われた時代。艦娘は始 め航行能力が重視され、深海棲艦との接触から急ごしらえの武器が与えられた。戦闘を主 軸に置き製造された特型駆逐艦吹雪を皮切りに、次々対深海棲艦用の艦娘が建造される。 中期 深海棲艦との多数対多数の戦闘が最も活発だった時代。艦娘による勝利は人間の勢力圏を 大きく伸ばし、微量ながらも海を渡った交易が可能になった。赤城、長門がこの世代の艦 娘の代表とされる。しかし次々に強化される深海棲艦に対し艦娘側の強化が追い付かなく なり、また深海棲艦の重要拠点は大戦の要塞を利用している場合があるため現在の艦娘で は攻略が難しいという問題が現れる。そして深海棲艦の量産機として完成されたレ級との 遭遇により大規模海戦の時代は幕を閉じる。 後期 単純な性能ではなく、頭を使った方法で勝つ事を想定した実験機及び戦術の時代。多くの 深海棲艦より艦娘の方が頭がいいし反応も早いという事に今更気づいた人類はかつての大 戦の兵器の残骸に隠れて撃ちあう事にした。課題であったレ級などの高性能機は艦娘相当 の反射神経や思考能力があるようで単純にはいかないものの、その長所の殆どは無効にな りただグーパンが強いだけの敵になれば勝ち目も見えてくる。後期に至り人類の勢力圏の 増加は留まっているが、中期では攻略困難とされていた深海棲艦の拠点を少なからず攻略 している。 艦娘 天龍 そもそも強い相手にだだっ広い海上で馬鹿正直に撃ちあうから負けるのであり、そこら辺 に転がっている巨大な残骸におびき寄せて闇討ちすればよいのではという観点から作られ た天龍型 1 番艦。軽巡。白兵戦の実験艦であるため、隠れてさえいれば電探に探知されな いステルス性能、刀の距離まで一瞬で移動する加速機構、何かと便利な煙幕など通常の艦 娘には実装されていない装備を多く持つが、軽巡としては全体的なスペックは低い。通常 の艦娘で対応可能な相手を他に任せ、真正面から倒せない相手を影からめった刺しにして 沈めるという単純ながらも効果的な手法で活躍した。魚雷・砲撃をかいくぐり近接戦闘を 行う事もある程度想定されているため、乱戦が予想される場合も抜擢される。 木曾 天龍から始まった白兵戦型艦娘の後継機である球磨型 5 番艦。雷巡。同球磨型には搭載さ れている艦載機運用能力が完全にオミットされている。そのかわりに高い近接戦闘能力、 実弾・爆風をある程度防ぐマント、高速移動装置、そして雷巡を名乗るにふさわしい高い 雷撃能力を持つ。先に実装された北上・大井に比べ雷撃性能は大幅に弱体化しているが、 木曾に求められているものは敵のど真ん中に切り込み魚雷をばら撒き荒らすという暴れの 性能である。そのため闇討ちより陣形の破壊に優れている。また、圧倒的性能のレ級や海 域の司令クラスの相手に白兵戦のタイマンを挑み無理やり倒す事を可能にするため、艦娘 自体の体術や判断力を強化する処置が右目を中心に行われている。 千歳 ヲ級を受け空母の新型滑走路の製造が必要となったために建造された実験機である千歳型 1 番艦。軽空母。過去の正規空母は弓を模した射出装置を使用していたが明らかに非効率的 であり、流れ弾一発で発艦不能になるのはいくらなんでも無様であるため耐久面での強化 が望まれた。始め銃機サイズの滑走路を開発したが搭載数に問題が生じ、次に単純に数を 増やしたが大幅に速度が減少し当時のスペックのインフレについていけなくなった。散々 迷走した後、最終的に航行能力の補助が行える箱を作ってその中に艦載機と滑走路を入れ るという単純な回答に行き着いた。この構造は大鳳にて装甲空母として完成する。千歳の 利点は残骸や要塞内部の戦闘において空母の能力がほぼ無効になった状態であっても、艦 載機の箱を完全に収納する事で軽巡相当の移動能力を得ることができる点である。正規空 母や航空戦艦が滑走路を盾にした経緯から、千歳の箱も頑丈にできており盾としての性能 も優れている。このため、軽巡や駆逐の近接戦闘に混ざる事も可能。 龍驤 千歳と同時期に飛鷹・隼鷹で実験された新型滑走路・艦載機を正式採用した龍驤型 1 番艦。 軽空母。よくわからない方法で艦載機を運用しているが運用できているなら問題ない。今 の人類にそれを解明する体力も時間もありはしない。最前線に求められる「小型で空中に 静止できて入り組んだ場所を問題なく通過できる」という無理難題をこなした夢の艦載機 を持つ。ただし武装は存在せず、攻撃手段は突撃のみ。更に飛行限界も非常に短く、完全 に残骸内部や白兵戦に特化している。更に巻物状の滑走路は非常に頑丈であるため、近接 武器としても使用可能。緊急展開を利用した凪ぎ払いは視認が難しいほどの高速であり、 致命傷を与えるほどではないが自衛手段としては最上級のものである。 扶桑 スペックで深海棲艦を超える事が諦めきれない人類が作り上げた扶桑型 1 番艦。 航空戦艦。 航行速度と回避性能を犠牲にしているが、空母並の艦載機運用能力と戦艦として十分な砲 撃能力を持つ。射角は非常に広く真後ろ以外の殆どすべてに打てるが、逆に真正面に一斉 射撃できない。航空能力を得るために装備した甲板は最早武器であり、振り回すだけで軽 巡程度なら一撃で沈む。更にこの甲板は盾として求められる最高の性能を持ち、戦艦の砲 撃を受けても艦載機が飛ばせなくなる程度の損害で済む。扶桑の主な用途は小規模な残骸 に深海棲艦をおびき寄せ残骸ごと深海棲艦を爆破するほか、戦闘から脱出する深海棲艦の 追い討ちとしても活躍する。瀕死の相手なら直撃せずとも爆風で死ぬ。奥の手として背面 の装備を完全にパージすることで戦艦の次元にはない高速戦闘が可能になる。無論砲撃能 力が完全に失われる上に燃料の消費に歯止めが利かずすぐに燃料切れを起こすが甲板ブレ ードと合わせた接近戦能力は計り知れない。 古鷹 初期に建造された艦娘であるがしぶとく生き残っているため改修された古鷹型 1 番艦。重 巡。大規模海戦の繰り返しで艦娘を消費し過ぎ、既に前線を退き静かに余生を過ごしてい た艦娘にももう一頑張りしてもらうことになった。当然ながら性能は最新鋭機に大きく劣 るため可能な限り改良し、また入り組んだ場所で隠れながら砲撃する事を想定して装備の 追加を行っている。なるべく体積を増やさず性能の向上が図られたため左右アンバランス な容姿が目立つが、これにより最前線でも問題なく戦闘できる。また、右腕は最後の手段 として射出できる。 ビスマルク ドイツで建造されたビスマルク級 1 番艦。戦艦。所属していた基地が作戦中に衛星兵器の 気まぐれで吹き飛び、ドイツの他の基地では戦艦を整備する能力がなかったため日本まで たらい回しにされてきた。砲撃能力や装甲は長門級を始め他の戦艦に劣るものの、戦艦と しては動きが早く小回りが利き、最前線で求められる残骸内部での戦闘にいち早く適応し た。開けた場所での威嚇射撃、大型機を狙う深海棲艦の性質を利用した囮、そして近接戦 闘までこなせるスペックは非常に価値がある。またレ級と 3 度戦闘し、全て敗北している が生存している。 秋月 対空能力に特化した秋月型 1 番艦。駆逐。大規模海戦時代の末期に建造され、大量の航空 機が空を埋める中で活躍した。しかしレ級の登場以降時代が変わり、要塞や残骸内部での 戦闘が主流になると対空能力の代償として与えられた低い雷撃・砲撃能力が欠点として顕 著になる。弥生などの最前線に適応した駆逐艦が登場するといよいよもってお役目御免と なり、改修するほど劣悪な性能でもないため現在ではある程度危険な仮拠点での警備に留 まっている。このような時代に置いて行かれた艦娘は多く存在している。 弥生 要塞・残骸内部での戦闘を想定した睦月型 3 番艦。駆逐。卯月と同時に建造された。全体 的なスペックとしては既存の駆逐艦に対し大きく勝る点はないが、最大の特徴として壁を 蹴って飛ぶことができる。残骸内部などの障害物が多い場所ではこの機能によるトリッキ ーな動きは非常に強力で、深海棲艦のミチチュア思考ルーチンからは想像もできない攻撃 を可能にする。さらに、通常の艦娘は海上にのみ適応しているため脚部は脆く陸上での歩 行に不向きだが弥生はフル装備で陸上を問題なく歩行できる。速度は一般の人間程度であ るものの壁蹴りと合わせて深海棲艦には不可能な機能であるため得意な戦場においては圧 倒的なアドバンテージを持つ。 まるゆ 離れ離れになり連絡手段すらない人類を繋いだ最初期の艦娘。潜水艦。球体に燃料を積め 込み、人間が生存していると思われる地域へ泳ぎ出した。優れた危険察知能力と奇跡とし か言えない運により各地の生き残りに艦娘の技術提供・交易の情報を配って回った。この 活躍がなければ多くの人類は行動すら起こせずただ吹き飛ばされる日を待つだけだったか もしれない。数年かけて地球を回った後、本格的な戦闘が始まってからは退役している。 深海棲艦の真実を知ってしまったため自ら退いたとも噂されている。 深海棲艦 空母ヲ級 深海棲艦の主力空母。早い段階で確認された軽母ヌ級相手に後出しで正規空母を製造し調 子づいた人類の進歩を再び頓挫させた高性能の空母。滑走路が装甲に守られているため艦 娘の空母と違い中破状態であっても艦載機の運用が可能。更に艦載機そのものが軽母ヌ級 とは別物であるようで夜戦に対応している。その他航行速度・耐久性能ともに艦娘の正規 空母を遥かに凌ぐ。ヲ級との接触以降、単純な力比べで深海棲艦に勝つ事は難しいとして、 相性や陣形を活かした戦闘が課題になった。 戦艦レ級 深海棲艦の高性能量産機。艦娘のどの戦艦よりも高性能な砲撃、雷巡を上回る雷撃、最大 の正規空母ですら制空権を取れない艦載機運用能力、そして圧倒的な航行速度と耐久性能 という、艦娘単体では到底太刀打ちできない高スペック機である。艦娘はレ級の存在する 海域の攻略に成功した事はない。量産機であるがごく一部の海域にしか配置されておらず、 不意打ちでもない限り勝てない現状レ級が確認された海域を避けて通るしかない。人類は 様々な方法でレ級の安定した攻略法を見つけようとしたが、残骸内部であっても真正面か らの撃ち合いでは負け、遠距離からの砲撃もそもそもレ級を上回る射程を持つ艦娘が存在 せず、潜水艦は何と向こうも潜ってきて殴られる。意味がわからない。 装甲空母鬼 ごく少数のみ確認されている深海棲艦の指揮官機。航空、砲撃、雷撃の三つを全て行える 万能機。高性能ではあるものの決して撃破できない性能ではなく、多数で囲えば難なく倒 せる相手だったため大海戦の際には頻繁に撃破された。この頑張れば手が届きそうな性能 が人類に性能至上主義を与えたと言える。砲撃と艦載機による制圧能力は高いものの、巨 体と自衛手段の乏しさ故に白兵戦に非常に弱く、白兵戦が活発化してからはボコボコにさ れたため遭遇回数自体が少なくなった。 離島棲鬼 海域の司令として存在する深海棲艦。強力な主砲と、高性能な専用艦載機を持つ。会話が 可能であると思われるが向こうに意志疎通する気がないので殺すしかない。装備は大型で あるが非常に高速であり旋回も早い。また戦術的な作戦や有利な立ち回りを理解するなど 高い思考能力も確認できる。大量に並ぶレ級ほどの理不尽さはないが完全に相手に有利な 要塞内部で取り巻きの攻撃をかいくぐり離島棲鬼を撃破するのは困難を極める。頻繁に使 われる航路と勢力圏が被っているため何度も攻略作戦が実施されたがいずれも失敗に終わ っている。 用語 地球 大気圏外からの巨大兵器の墜落や永久凍土の溶解により地図は大きく変化している。小規 模な島はほぼ水没し、ユーラシア大陸が五つに分断されるなど海洋面積が増大。各地にク レーターや兵器の残骸が見られる。海洋上にある巨大兵器の残骸には落下の衝撃で地形が 変わり水没したものもある。 残骸 大戦時代に大気圏内外を問わず稼働していたとされる巨大兵器が海上に落下し障害物とな ったもの。多くの場合内部まで水没しており、艦娘であれば侵入可能。当初避けて戦闘が 行われていたが、艦娘側が対応すれば好条件の戦場となるため巨大な残骸ならば複数回戦 場となることもある。大きさは数 m~町一つ覆うほどまで様々。 海洋恐怖症 敗走した艦娘や身近に轟沈を経験した艦娘に見られる精神病。海を視界に入れるだけで吐 き気・眩暈・寒気・痙攣・失神などの症状がおこる。発症した艦娘の多くは引退せざるを えない。戦闘ストレス反応の一種と思われるが、人間から艦娘に建造した際の反動という 説もある。 艦娘 元は空の向こうで戦争していた人類が生み出した兵器。地上・海中・空中・大気圏外どこ でも戦闘が可能で、速度・火力ともに大戦内においても最高水準であり、単体で武装した 基地一つを塵にできたという。人間の女性を改造する事で建造できるが、作りすぎ殺し過 ぎたために種が存続できる最低ラインギリギリまで下がってしまい戦争は終結したらしい。 再現された艦娘は大戦のものとは大きく劣化しており、また未知の技術も多く手探りの状 態で人間を艦娘に建造している。 衛星兵器 数百年経った今もしぶとく稼働している大戦時代の兵器。人間を認識できるようで極稀に 人間の活動拠点を町単位で消し去る。威力は地殻を捲るほどで現在の人類が作れるシェル ターでは意味を成さない。近年になり頻繁に砲撃が行われるようになり、艦娘建造以降暫 く経ってやっと砲撃の予兆を観測できるようになったが確実ではない。解決のために探 索・研究する事が人類生存のための急務である。 鎮守府 艦娘の建造・運用を行う機関。衛星兵器の攻撃による全滅のリスクを減らすため、各地に 点在している。それぞれの鎮守府に提督が一人存在し、それ以外の生物は全て艦娘である という場合もある。人間の変わりができる労働力となる技術は発掘できたが、人間の数を 増やす技術はまだ見つからないらしい。 ドイツ かつてドイツと呼ばれていた地域の総称。頻繁に艦娘の研究がされており、特に潜水艦に 関しては発達している。しかし戦艦・空母といった大型の艦娘に関する研究は遅れており、 そこに危機感を持った提督によりやっと建造したビスマルクもその技術ごと衛星兵器に吹 き飛ばされたためドイツにおける戦艦の建造は難しい。 遠征 再現した技術は地域によって様々であり、無限に油を出せるところがあれば石が鉄に変わ るところもある。そういったところに溢れた資源と艦娘の技術や加工した部品を交換する ために長距離を運送する任務である。鎮守府でも資源を生産できないわけではないが、現 状艦娘の運用には莫大な資源を必要とするため遠征への依存は強い。
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