在蘭邦人相談窓口のあゆみ オランダには在蘭邦人全てを対象とする日本

在蘭邦人相談窓口の
在蘭邦人相談窓口のあゆみ
オランダには在蘭邦人全てを対象とする日本人会はありませんが、大小数々の公
式・非公式の集まりがあり、発足に携わりました日蘭国際婦人交流の「おらんだ
会」(2010 年から休会)や「国際結婚を考える・かもめの会」の様に比較的古く 1983
年度から非営利団体として法人登録をしている会などがあります。更に、2003 年 3
月には、先立つ 1 年半強の JCC 会頭、副会頭、役員により実施された事前(訪問)
調査の結果、新らたな試みとして、日本大使館領事部、JCC 副会頭・役員の皆様の
呼びかけで、在蘭邦人連絡会 (略称:邦人連、旧仮称:JCC 邦人部会全体会議)が諸々の
分野から集められた 10 数人のボランテイア(後に運営委員)を核に発足に向け動き始
めました。日本大使ご夫妻、領事、JCC 会頭、副会頭等の参列・出席を得た数年に
渡る数々の会議を経て、2007 年 11 月、邦人連は残念ながらその役割を終えたとし
て閉会しました。この活動から主に三つの成果、在蘭邦人連絡ネットワーク、在蘭
邦人医療サービス、在蘭邦人生活相談窓口が生れ、解消後もボランテイア有志の決
断と尽力により各活動を展開、その中で、後に名称を変えた「在蘭邦人相談窓口:
Stichting Japanese Helpdesk は、唯一の奉仕団体として残りました。
邦人連の特定課題プロジェクト「生活相談窓口」として、2005 年 7 月の活動検討
会議に始った相談窓口は、在オランダ邦人社会に最も縁の有る三都市へ支援を呼び
かけました。Amsterdam 市から返答があり 2005 年 8 月に初会合、非営利財団
Access (1986 年 Den Haag 発足、Amsterdam 支部 2003 年発足、在留外国人の為の
英語相談窓口)を紹介されました。同年 12 月、2006 年 3 月、6 月の Amsterdam 市、
Access Amsterdam、生活相談窓口の三者検討会議、JCC 元副会頭出席の会合等を経
て、2006 年 10 月相談窓口は第一回相談窓口チーム会議を開き共同活動を承認、名
称を「在蘭邦人相談窓口」と改名。同年 11 月より 6 ヶ月間、Access との試験的共
同活動を実施、その後双方の同意により 2007 年 5 月より 2010 年 3 月まで Access
Amsterdam 事務所(後に AICS 学校へ移転)にて無料電話・メール相談を受け付け
ることになりました。この間 2009 年 9 月には Stichting Japanese Helpdesk「在蘭
邦人相談窓口」としてオランダ商工会議所にて法人登録を済ませました。Access
Amsterdam は 2010 年 3 月、財政困難を理由に惜しくも閉鎖され、その後邦人相談
窓口は 2011 年 4 月より Amsterdam WTC 内の Expatcenter (www.iamsterdam.com/
expatcenter)との共同活動に入り、今年の 7 月で 6 年目を迎えました。
在蘭邦人相談窓口(JH)( http://www.jadesas.or.jp/jhelpdesk/)の無料相談は、電話
(020-2547974) による相談は週二回、火曜日の 10 時から 15 時 30 分迄と木曜日の
10 時から 13 時迄、Expatcenter のワークボックス、コンピューター、電話の提供を
受けて実施。また、メール相談([email protected]) は常時受け付けています。
Expatcenter の移民局、税務署、四都市の業務を JH が代行する事はありませんが、
日本語で支援を必要とする相談者の手助けとなるよう迅速で丁寧な回答や情報の提
供を心がけて来ました。ボランテイアは相談受付け・回答業務の他に、情報収集・検
索、相談・回答の記録、記録情報のアップデート、担当割当と管理、マニュアル・統
計の作成、専門家との連絡、Expatcenter への協力、内外の会議、広報活動などに積
極的に取り組むなど多くの時間を費やし各自が自宅で活動を分担、消化する場合が
多くあります。
最近の相談傾向は、滞在・労働ビザ、コミュニテイ情報(店舗、レストラン、郵
便局、習慣、就職、結婚)、医療関連(医者、歯医者、保険)、生活トラブル(騒音、
賃貸、消費者、学校、家庭、離婚)、雇用者とのトラブル(雇用・労働・解雇問題)、
税金、年金、住居・不動産、弁護士・会計士・翻訳者紹介、塾・語学・学校情報など
の順で、近日は幸いにも成功裏に終了した家族の消息探しが特に印象に残りました。
相談の多い時期は 9 月、4 月の日系企業人事異動期を中心に、夏、秋、冬の順で、
2010 年度の相談者内訳では、女性と男性が半々、メールによる相談 65%、電話相
談 34%、訪問1%等の統計です。アンケート調査の結果から見ますと在留邦人の間
で利用率が高い「ばいばいねっと」http://baibainet.com で情報を得た方々からの相
談が多い様です。交通費負担、手弁当という無料奉仕を厭わないボランテイア精神
にたけたチームメンバーの好意と熱意があってこその奉仕活動です。現在までに支
援を頂いた多くの方々に感謝しつつ、今後も、ボランテイアの人材と資金源の確保
を継続する最重要課題とし、暮し易い社会環境作りの一端を担う事が出来ればと願
い活動を続けています。
2011 年9月 相談窓口ディレクター 藤木きよ
(表紙・編集:関野美智子)
相談窓口ボランティア
相談窓口ボランティア達
ボランティア達の声
私がオランダに来た当初は全てのことを夫に助けてもらっていました。
しかし日本にいればこんなことなら自分でも何とか調べたりできるのに、オランダ
語の情報しか見つからないために歯がゆい思いをしました。やがてオランダでの生
活に慣れてくると、英語での情報や時には日本語での情報を見つけることもできる
ことを知り、もっと早く知っていたら、と思ったものです。
そんな時にこの活動に加えていただき、自分と同じように困っている人に少しでも
お手伝いができ、相談してきた方に喜んでもらえたり安心の声を聞けたり嬉しく思
っています。
また、この活動を通して知り合えた方々との新しい交流は、それまでの私の交友範
囲を大いに広げ、また新しい情報や知識を勉強させてもらっています。(2007
年よりボランティア参加)
C.Y.
私は、主に電話相談を担当しています。9 月でボランティアを初めて1年経ちます。
相談の電話をとる時は未だに緊張します。最初のころは「電話が鳴りませんよう
に・・・」と訳の分からないことを考えたりしていました。今では多少慣れて、待
ち時間に相談内容にありそうなことや、ブログの記事になるようなことを調べたり
しています。最近では、自宅からお気に入りのお茶やお菓子を持ち込んで、一人テ
ィーサロンをするときもあります。
私はオランダ在住歴があまり長くないし、オランダに関する専門的な知識も少なく、
相談に即答できないときは「私は役に立てない」と、結構凹みます。 でも相談者の
方と直接お話して、こわばっていた声が話している間に和らいでいくのが分かる時
は嬉しくなります。ああ、こんな私にもできることはあるのかも・・・みたいな。
今は半分開き直って、「問題解決士」にはなれなくても、まずは「よい聞き手」に
なれるようにしようと思って電話の前に座っています♪
I.M.
オランダに住んでいる日本人が約6500人います。驚いたことに日本からの相
談メールが入ってくるなどという事は思ってもいないことでした。
雇用主との間のトラブル、ビザの問題、あるいは日本の家族からの息子の安否など、
問題は様々ですが、最悪になる一歩手前でのヘルプです。いわばパニック状態に母
国語で相談が出来る所がオランダにあるというのは素晴らしいことです。 解決した
時にお礼のメールを受け取ると本当に嬉しく、また活力になります。
この場所、電話、コンピューターなどを提供していただき、暖かく仲間に入れてく
ださった皆様に心からお礼を言いたいと思います。これからもよろしくお願い致し
ます。
H.M.
邦人相談窓口ではメール相談の他に「電話相談」が可能であるのはとても良いこ
とと思います。名前を出さずに相談したい場合、PCが手元に無い場合、緊急で即
答を必要としている場合、有効だからです。
また別の観点から、過去の例でみるとある相談者は電話で個人的な悩み事をあれこ
れと約1時間にわたって話し続けたということがありました。これは解決方法のア
ドバイスを求めるというより自分の話を聞いてほしいということのようです。
確かに人は誰かに聞いてもらったということで癒されるのかもしれません。
F.N.
相談窓口を開設した当時は、プロのコンサルタントでもないボランティアの活動を
理解してくれ、相談をしてくる人がいるだろうかと半信半疑でした。しかし、素人
だけれども相談者の立場にたち、一生懸命に調べて、手作りの回答を相談者に投げ
ることによって、相談者も私たちの熱意を感じてくださっているのではないかと思
います。それが、無料奉仕のボランティアとして、一番やりがいのあることだと思
っています。相談窓口のメンバー全員がこの資質を備えていることは、言うまでも
ありません。 また、相談事によっては、オランダ語の法文や様々なサイトを読み
こなさなくてはならないので、オランダ語の勉強にもなります。これは役得といっ
ても過言ではないと思います。
B.N.
日常生活上いろいろ厄介な問題や疑問があっても、どうしたらよいのかよく分から
ない、周りの人に聞きにくい、言葉の支障があるなどというとき、ここに相談して
みれば必ず何か解決への糸口、或いは手掛かりが得られる、モヤモヤした問いかけ
にも親切に日本語で受け答えしてくれる、「そんなところってあるかしら」と聞か
れれば私はすぐに「はい、あります。相談窓口へどうぞ!」と答えるでしょう。窓
口に蓄積した情報やノウハウを背景に、インターネットの利をフルに活用し、緊密
で機敏なチームワークで案件がテキパキと処理されます。女性らしい優しい対応も
相まってどこの役所の相談受付、カスタマー・サービスも顔負けのパーフォーマン
スです。こんな言い方をすると手前味噌の宣伝文句と思われそうですが、実は私は
二、三年の間ボランティア・リストに名を連ねながらもお恥ずかしいことにまだ殆
ど実績もないまま傍から相談談窓口の仕組みややり取りの様子を傍から見守るばか
りが多かった者なので、そういう姿がよく見えるのです。こういう草の根のイニシ
アティブが生きているというのは素晴らしいことと思います。
G.S.
在蘭邦人相談
在蘭邦人相談窓口
邦人相談窓口 年表
年月日
2003 年 3 月
在蘭日本商工会議所・JCC 邦人部会全体会議(仮称、後「在
蘭邦人連絡会」に改称、略称:邦人連) の発足へ向け個別会
議・面談などの活動準備開始。初期運営委員 10 数名
2003 年 5 月 9 日
第一回 JCC 邦人部会全体会議、改称:在蘭邦人連絡会
2005 年 7 月 25 日
邦人連・特定課題プロジェクト「生活相談窓口」活動検討
会議、活動実施・代表者決定
Amsterdam 市の紹介により、非営利財団 Access (1986 年
Den Haag 市で発足、英語による相談窓口) との初会合
「生活相談窓口」、Access、Amsterdam 市の三者検討会
談、JCC 元副会頭参加会合など
第一回相談窓口チーム会議、「在蘭邦人相談窓口」へ改名
2005 年 8 月 16 日
2005 年 12 月
2006 年 3 月、6 月
2006 年 10 月 29 日
2006 年 11 月 14 日~
2007 年 5 月 15 日
2007 年 11 月 19 日
2007 年 5 月~
2010 年 3 月
2009 年 9 月 28 日
2011 年 4 月 1 日~
2011 年 12 月 31 日
2011 年 9 月 29 日
2012 年 12 月 17 日
Access Amsterdam(2003 年発足、Herengracht 運河事務
所)との半年間パイロット共同活動実施
「在蘭邦人連絡会」解消会議。閉会決定、出席者:領事、
副会頭、元副会頭、JCC 書記,運営委員 4 名
Access Amsterdam(後に AICS 学校へ移転)事務所にて邦
人対象の無料電話・メイル相談実施
Stichting Japanese Helpdesk「在蘭邦人相談窓口」として
オランダ商工会議所法人登録。登録役員・発起人:4名
WTC Amsterdam 内 Expatcenter (Amsterdam 市管轄)とのパ
イロット共同活動実施
在蘭邦人相談窓口 JH ボランテイア(手作り)ランチ会開催、
参加予定者:Expatcenter 役員・職員, 日本大使館領事, 在蘭
JCC 役員・職員, Amstelveen 市, JH ボランテイア(8 名)
Expatcenter Amsterdam 役員 David van Traa 氏との共同活
動契約更新、SJH 役員・藤木きよ代表、中村悦子書記署名
更新 2013 年 1 月5日