4月号 - 日本YMCA同盟

No.725 2013
APRIL
The Young Men's Christian Association News
4
URL:http://www.ymcajapan.org/
すべての
いのちは
つながっている
写真家 本橋 成一
写真絵本『うちは精肉店』(写真と文 本橋成一/農文協刊)より
昨年ぼくは、大阪の松原市にある屠場(屠畜場)
鳥インフルエンザ騒動のニワトリを生きたまま袋
に30年通って撮りためたものを一冊の写真集にま
に入れ土の中に埋めてしまう人間たち。まるで、人
とめた。いまの時代、いつの間にかぼくたちが忘れ
形を飼っているようなペット好きな人間たち。いの
てしまっている、いのちをいただいて生きていると
ちをいのちだと思わないで遺伝子の組換えに夢中に
いうことを写したかったからだ。いま、肉も魚もほと
なっている人間たち、そこにはなんの儀式も感じら
んどトレイにのせられて売られている。ぼくが子ど
れないのだ。
もだった敗戦間もない頃は、どこの街にも魚屋が
幸いなことにぼくは、父と母のいのちの終りに立
あって、店頭に並べられた魚はまるで図鑑のよう
ち会うことができた。それは葬式以前に自分自身に
だった。大きな魚は調理しやすいように目の前で下
とっての儀式だったと思っている。娘二人の出産に
ろしてくれたし、街の肉屋の奥にはいつも豚の半身
も立ち会うことができた。そこでぼくが見たものは
が吊るされていた。そして何よりもニワトリを飼って
ドラマチックな物語とかいうことよりも、女性が急に
いる家がたくさんあって、朝早くにはあちこちで刻
雌に変身してしまう驚きの光景だった。子どもの頃、
を告げていた。わが家にもいつも十数羽のニワトリ
家にいた犬や猫、それに学校で飼っていた時にみた
がいて、毎日卵を産んでいた。そして、産みの悪く
豚の出産光景となんら変わりなかったのだ。この時、
なったニワトリは父がつぶして、月に1∼2度の待ち
産まれてきた娘よりもいのちを産み出した母親に感
に待った肉の日となった。生きているニワトリと肉の
動したのだった。
ニワトリが見える時代だった。
ぼくが初めて屠場の中に入れてもらった時、気が
いのちあるもの全てが、他の生きもののいのちを
立ってしばらく写真を撮ることができなかったこと
いただいて自分のいのちをつないでいる。そしてそ
を思い出す。気絶させられた牛が喉にナイフを入れ
の行為は大なり小なり、自らのいのちをかけて捕食
られ、いのちを絶たれ、その瞬間、牛が肉になる。そ
する。これもかれらにとって壮大な「儀式」なのだろ
の壮大な儀式に立ち会えたからだろう。いま、誕生
う。その頂点に立つのはぼくたち人間なのだが、食
も死も、いのちにかかわることはベールに包まれ見
べている相手のいのちのことは忘れている。そして、
えなくなってしまっている。みな大切な儀式を忘れ
もっと問題なのは自分が生きものだということも忘
てしまったのだろう。
れていることだ。
天
の
国
の
た
と
え
話
か
ら
2013年4月1日発行(毎月1日発行)
昭和22年10月27日 第三種郵便物認可
本体価格45円(外税)(送料60円)
発行/公益財団法人 日本YMCA同盟
〒160-0003 東京都新宿区本塩町7 TEL:03-5367-6640 FAX:03-5367-6641
URL:http://www.ymcajapan.org/
発行人/島田 茂 編集人/山根 一毅 印刷/あかつき印刷株式会社
日本キリスト教団
拝島平安伝道所牧師
吉村 謙
1
父は、もうすでに主の御元にいますが、名古
屋、熊本、札幌のYMCAで働き、私の連れ合
いも東京YMCAで働きました。私自身も、キャ
ンプや予備校の他、高校時代にはアメリカの
サンノゼYMCAとの交流によるホームステイを、
大学時代にはフィリピンのワークキャンプに
参加しました。そのすべてが、今の私を形成す
る貴重な体験となりました。振り返ると、そこ
にはいつも敬神愛人の精神が息づいており、
互いに認め合うような関係がありました。
イエスの天の国のたとえ話に、「ぶどう園の
労働者」(マタイ20章)があります。それは次
のようなお話です。
ぶどう園の主人が、夜明けに労働者を1デナ
リオン(日雇いの労働単価)の契約で雇い、ぶ
どう園に送りました。その後、主人は、9時、12
時、3時、そして5時にも、「だれも雇ってくれ
ないのです」と話す労働者を雇い入れます。夕
方になると、5時に雇われた人から順に、報酬
として1デナリオンずつが手渡されました。3時
に雇われた人、12時に雇われた人、9時に雇わ
れた人、そして、夜明けに雇われた人も、受け
取ったのは皆同じ1デナリオンでした。夜明け
から働いた人は、当然不満を漏らしました。そ
れは、誰もが共感できる気持ちでしょう。しか
し主人は、「わたしはこの最後の者にも、あな
たと同じように支払ってやりたいのだ。自分の
ものを自分のしたいようにしては、いけないの
か。それとも、私の気前の良さをねたむのか」
と彼等をたしなめました。
このたとえ話は、すべての人に生きる権利
を保障しようとする主の御心と愛を伝えてい
ます。そこには、人は皆平等であるという理念
の根拠が、聖書の御言葉によって示されてい
ます。元気な者も、体の弱い者も、皆共に生き
ていこうという世界が示されているのです。
私は今、牧師をしながら心の病を負う人び
との傍らで、彼等の障がいがあるがゆえの厳
しい生き方を目の当たりにしながら、グループ
ホームの世話人をしています。主なる神が、一
いと
人ひとりの命を愛おしんでおられることを信じ
て、互いに励まし合って歩んでいきたいと思
います。
No.725/2013 April 4
The Young Men's Christian Association News
2012年版
子ども・若者白書
(内閣府作成)より
図表1
昨日より今日、より良いサービス
を心掛けています
座右の銘は?
「継続は力なり」
学生時代の一番の思い出は?
2年間の集大成でもあった模擬披露宴
職場でもらった嬉しかった言葉は?
「あなた笑顔がいいね」。不安が
いっぱいだった入社当初、お客様か
らいただいた大切な一言
何のために仕事をするのか
(%)70
n=3,000
注)
カッコ内の数値は,
年齢区分
15∼24歳
(n=1,886)
の再掲
60
50
40
仙台国際ホテル レストランサービススタッフ
30
今泉 友里さん
20
10
0
故郷の青森を離れ、仙台YMCA国際ホテル専門学校卒業後に憧れだったホ
私の現在の目標は、お客さまから信頼され、「この人がいるからまたここに
テルウーマンの職業に就いて2年目になります。現在は、仙台国際ホテル フレ
来たい」、そのように思っていただけるホテルウーマンになることです。
ンチレストラン セランにてレストランサービススタッフとして働いています。
昨年10月に長野県で開催された「第50回技能五輪全国大会」※では、レス
この職業を目指したのは、幼いころから家族でよく旅行に出掛けていたこと
トランサービス部門で金メダルを獲得することができました。7月には、ドイ
がきっかけでした。宿泊したホテルで働いていたスタッフの方々の姿がとても
ツで開催される国際大会に日本代表として出場する予定です。一生に一度の大
かっこよく、また、非日常的で素敵なホテルの空間に身を置いて働きたいと
切な機会に感謝をしながら、さらに気を引き締め、腕を磨いて参加したいと
思ったのです。
思っています。
専門学校で過ごした2年間はとても内容が濃く、仲間や先生方にも恵まれ、
※厚生労働省等によって毎年開催される青年技能者の技能レベルの日本一を競う競技大会。23歳以
本当に楽しい日々でした。接客の基礎を一から学び、また、実際に現場に出て
下の若者がさまざまな分野で技術を競う。今泉さんは宮城県代表として14年ぶりに優勝した。
長期実習を行う機会もあったことで、学んだ内容が直接仕事に生かされ、自信
YMCAの4つの価値を
サッカーを通して伝えています
Y
Y学
び
Mの
C場
Aか
熊本YMCA
ウエルネス事業部スタッフ
学生生活の中で得たものを
は?
人とのつながり
学生時代の一番の思い出は?
海外研修で仲間と励まし合
いながらホノルルマラソンを
完走したこと
仕事でやりがいを感じる瞬間
は?
子どもの成長を感じた時に尽
きます
徳永 祥太さん
のら
専自
門分
学の
校道
かへ
ら
歩
む
にもつながっています。
実際に働くようになって感じることは、直接お客さまと接することができる
図表2
キャリア教育・職業教育を受けた経験
楽しさです。お客さまと言葉を交わし、笑顔をいただけることにとてもやりが
上司より 仙台国際ホテル 料飲サービス部 レストラン支配人
メッセージ
笠間 修さんよりメッセージ
いを感じています。他方で、お客さま一人ひとりに楽しい時間を過ごしていた
わからない
(10.3%)
だくためには、知識・技術の向上と日々の努力が必要不可欠です。お客さまと
受けた
ことがある
(25.5%)
彼女に初めて出会ったのは、採用試験の時です。面接官だった私の第一印象はずばり、笑
顔がピカイチ。会話に見え隠れする、言葉のセンスにもひかれました。入社二年目にして「技
現在、熊本YMCAで幼児から中学生にサッカーの指導をしています。サッ
カー指導を始めたのは、2004年に熊本YMCA学院生涯スポーツ科に入学して
すぐのことです。
生涯スポーツ科では、スポーツ心理学や栄養学、運動生理学やサービスマ
直接向き合う仕事なので厳しさはありますが、毎日新しい何かを吸収し、向上
能五輪大会」という伝統ある大会で輝かしい結果を出せたのは、先輩としても大変誇らしく
ナー等、スポーツの専門知識だけでなく、さまざまな実習や一般教養、ボラン
心をもって仕事に取り組み、「昨日より今日はより良いサービス」をいつも心
思います。今後も、技術と人間的な魅力に磨きをかけながら、そのセンスと笑顔で、たくさん
ティア活動を含んで幅広く学ぶことができました。また、学生時代に出合った
掛けています。
のお客さま(ファン)をつくってほしいと思います。
キリスト教も、悩みや困難に立ち向かうときの今の自分の心の支えとなってい
ます。2年生に進級した際は、入学式の在校生代表のあいさつを任され、手足
受けたことはない
(64.2%)
が震えるほど緊張したことを今でも覚えています。現在、日常的に会議や保護
者の方々へのごあいさつ等、大勢の人を前に緊張せずに話せるのは、この経験
n=3,000
図表3
キャリア教育・職業教育を受けた効果
(図表2で受けたことがあると答えた方766名の解答)
(n=766)
はい
いいえ
があったからだと思います。熊本YMCA学院で培ったものの一つひとつは、今
人と触れ合い
日々を大切にできる仕事です
座右の銘は?
「人の喜びは自分の喜び、人の幸せ
は自分の幸せ」
最も誇れる学生時代の思い出は?
2年間一日も休まずに登校したこと
仕事でやりがいを感じる瞬間は?
利用者の方の笑顔を見たとき
何とも言えない
働くことの大切さが分かった
64.6
12.4
23.0
自分の適性がわかった
48.8
23.0
28.2
介護老人保健施設パインドーム 介護福祉士
56.5
23.2
54.7
24.7
20.6
自分の決断の参考になった
50.1
25.7
24.2
自分の考え方が広がった
68.8
14.9
16.3
抱いていたイメージが具体的になった
48.3
26.2
25.1
社会で必要とされるスキル(能力)
・知識が分かった。
58.2
17.0
24.8
現在は、スタジアムに足を運んでJリーグの試合を観戦したり、参考書を読ん
だり、さまざまな研修に参加する等して、サッカー指導者としての知識や技術
を磨いています。
指導者として歩み始めたころから、変わらずに心掛けていることは、「楽し
んで取り組む」ということです。何事も楽しまなければ、その先に上達や成長
ゲーム性の高いものや競い合えるものを取り入れています。また、技術だけで
20.2
就職先を選ぶ参考になった
「サッカーと子どもが好き」という理由から、YMCAで子ども達のサッカー
指導に携わるようになってから、サッカーは私の人生そのものとなりました。
はないと考えています。子ども達のやる気と興味を刺激するために、練習には
松本 光生さん
ビジネスマナー等がわかった
の私の大切な糧になっています。
私は現在、和歌山市内にある介護老人保健施設で働いています。利用者
したことは、自分にとっての大きな財産です。こうした糧や経験を生かし
の方の介護をしながら、実習指導員として実習生の対応や、外国人介護福
て、例えば実習指導員として学生と向き合うとき、また、後輩に助言を求
祉士候補生の指導責任者を任されています。
められたとき、相手の立場になってどのような教え方、導き方をすれば相
幼いころから祖父母が好きで、介護の仕事をしたいと思ったのもその影
手のためになるのか、成長してもらえるのかを個々に考えて接しています。
響があったからです。介護福祉士の資格を取るために、和歌山YMCA国際
一般に、介護の仕事はきついと思われているようですが、人と触れ合い、
福祉専門学校で2年間学びました。学校での勉強や施設実習では、先生方
人間関係や信頼関係を構築しながら、利用者の皆さんと共に日々を大切に
に愚痴をこぼし、反発したこともありましたが、どんな時も熱心に耳を傾
過ごせる仕事に私は誇りと楽しみをもっています。昨年からは、和歌山県
け指導してくださったことは今も忘れられません。 介護福祉士会の事業部の活動として、実習指導者の育成や、質の高い介護
卒業後、現在の職場に就職し、今年で14年目になります。未来の介護福
福祉士を増やす取り組みにも携わっています。今後も、介護の仕事に対す
祉士の養成を含め、
る自分の思いを、後輩や介護福祉士を目指す人達にさまざまな角度から伝
現在多くの業務を
えていきたいと思います。
はなく、YMCAが大切にする4つ価値−仲間を思いやること(Caring)、自分や
他者に誠実でいること(Honesty)、人を大切に思うこと(Respect)、自らの
を通して子ども達に伝えています。将来は、日本サッカー協会公認A級コーチ
のライセンスを取得し、より専門性の高い指導をしながら、サッカーの楽しさ
を伝えていきたいと思っています。
21年法律71号)
第6条の規定に基づき毎年国会に提
出することとされている年次報告書。
※掲載データは、
政府による就労等支援施策の参考に,
若
職場の先輩方の影
響が大きいと感じ
後輩より
メッセージ
て い ま す 。ま た 、
学生時代にYMCA
易なことではありません。松本さんは、
「遠慮せずに、どんどん質問し∼や」という言葉だけでな
20代の男女3,000名を対象に実施されたインター
でユースボラン
く、いつでも質問しやすい雰囲気をつくってくれます。また、常に実習生の目線に立って分かりや
国家試験に備えて勉強に励む外国人介護福祉士候補生と松本さん(左) ティアとして 活 動
その他
ライフスキルラーニング、製菓衛生師
科、製菓・製パン本科、フードサービ
コミュニケーション学科、英米語学科、 ス科、ヒューマンコミュニケーション
英米語専攻科、言語コミュニケーショ 科、保育科、国際高等課程国際学科、
ン科
表現・コミュニケーション学科、建築
科
体育
生涯スポーツ科、スポーツインストラ
クター科、スポーツトレーナー科、ス
ポーツ健康科学専攻科、社会体育科
実習生にとって、たくさんの仕事を抱える実習指導者の方にあれやこれやと質問することは容
すくアドバイスをしてくれるので、松本さんは私達にとって「頼りになる兄貴」的な存在です。
福祉
介護福祉科、こども総合科、福祉ス
ポーツ専攻科、精神保健科、社会福祉
科、老人ケア科、児童福祉教育科、精
神保健福祉学科
語学
和歌山YMCA国際福祉専門学校 介護福祉科2年
者が自分の将来に対してどのような展望を持ち,
どのよ
ビジネス
国際ビジネス科、情報ビジネス科、経
営ビジネス科
作業療法科、理学療法士科、医療事務
科、医療秘書科、看護学科、保健看護
学科、医療事務管理学科、診療情報管
理士専攻科
中嶋 健二さんよりメッセージ
うな未来を望んでいるのか等を把握するため、
10代,
ネット調査による。
3
学生時代の先生や
ホテル
ホテル科、ホテル専攻科、ホテル実務
科、ホテル専修科、ブライダルプラン
ナー科、国際ホテル科、ホスピタリ
ティ科
医療
任されているのも、
※子ども・若者白書は、
子ども・若者育成支援推進法
(平成
全国YMCAにある
さまざまな専門課程と学科
役割を得て、その役割を果たす責任を持つこと(Responsibility)−をサッカー
昨年8月にサッカープログラム指導のため東ティモールを訪れた徳永さんは、帰国後、日本の子ど
も達にサイズの合わなくなったサッカーシューズやユニフォームの寄贈を募り、現地の子ども達
に届ける「東ティモールSmileプロジェクト」を立ち上げた。写真は、YMCA地球市民国際フォト
コンテストで銅賞を受賞した「輝く笑顔」
(徳永さん・右)
※詳しくは、下記URLをご参照ください
全国YMCA専門学校
http://www.ymcajapan.org/program/school.html
2
No.725/2013 April 4
The Young Men's Christian Association News
●今年も全国で開催! YYフォーラム
YYフォーラムとは、YMCAとワイズ
メンズクラブが互いの理解を深め、協
働の絆を強くするために毎年日本各地
で開催されるプログラムです。名称に
ある2つの「Y」はYMCAとワイズメン
ズクラブの頭文字で、これにユースの
「Y」を加えて、YYYフォーラムとして
開催されることもあります。開催地域
ごとに、各YMCAやワイズメンズクラ
今年創立75周年を迎える広島YMCAの未来を共
に考える
ブ、あるいはユースの活動に関連深い
テーマを設け、準備段階から皆で協力し合ってフォーラムをつくり上げていきます。
ここでは、2月16日に広島YMCAを会場に開催された「西中国部YYフォーラム」を
ご紹介します。
西中国部YYフォーラムは、2013年に創立75周年を迎える広島YMCAの今後の歩
みを共に考える、ワークショップ形式のフォーラムとなりました。当日はYMCAや
専門学校のスタッフ、ワイズメンを中心とした約65人が会場に集いました。初めに、
日本YMCA同盟島田茂総主事より「公益財団法人としての日本YMCA同盟が目指
すもの」、続いて広島YMCA上久保昭二総主事より「創立75周年で広島YMCAが
目指すもの」についての発題があり、それらに基づいてグループに分かれてディス
カッションが行われました。どのグループでも活発な意見交換が行われ、議論が盛
り上がったため、終了時刻を延長。最後のグループ発表では、広島YMCAへの期待
や夢、新たに取り組むべき課題について、参加者一人ひとりが、それぞれの立場か
らいくつものアイデアを挙げ、75周年の節目にふさわしいフォーラムとなりました。
YYフォーラムは、YMCAとワイズメンズクラブが行なう活動や互いの関わり、思い
を知るための良い機会です。お近くで開催される際には、ぜひ一度ご参加ください。
(ワイズメンズクラブ西日本区 YMCAサービス・ユース事業主任 下村 明子)
オリーブ平和映画祭
●すべての人と共に歩む
国際協力フェスティバル開催̶ 京都YMCA
2月3日、京都YMCAで国際協力フェスティバルを開催しました。このイベント
は、YMCA国際協力募金の拡充と、国際交流・日本文化理解の促進を目的に、
広く一般の方々や在留外国人、外国人観光者の方々にさまざまな企画を楽しん
でいただこうというものでした。
会場では、キッズ広場、ステージパフォーマンス、物品販売、世界の料理、日
本文化体験コーナー等が設けられ、幅広い世代の来場者でにぎわいました。
ステージパフォーマンスでは、ミャンマーの民族舞踊やフラダンス等、さまざ
まなジャンルのパフォーマンスが3時間にもわたり披露されました。大人気だっ
た世界の料理コーナーでは、近隣のアジア料理店にもご協力をいただき、ベト
ナム・インド・フィリピン・中国等の各国の屋台が並び、全食が完売。他にも、
餅つきや着物の着付け体験、茶席体験、琴の演奏等、日本文化理解につながる
企画を実施しました。
国際協力フェスティバルの収益金はすべてYMCA国際協力募金として、
YMCAの国際協力事業に活用されます。
このフェスティバルは、準備の段階から
華やかなミャン
ワイズメンズクラブの皆さんを中心に マーの民族舞踊
多くの方々がボランティアとして関わっ
てくださったばかりでなく、人と人との
つながりによって支えられたYMCAなら
ではの楽しいイベントを通した新たな
募金活動の場となりました。これからも、
平和で共に生きる社会の実現を願って
YMCAとしてできることを一つひとつ形
にしていきたいと思います。
(京都YMCA 阿部 和博) 各国の屋台が並んだ世界の料理コーナー
全国各地のYMCAを紹介します
11
沖縄YMCA
パレスチナの現状をドキュメンタリー映画で紹介
在日本韓国YMCA
在日本韓国YMCAは、1世紀以上にわたって韓
国と日本の間で「和解と共生」実現のための働き
を続けてきました。創立100周年を迎えた2006年
よりその働きの場所を世界に広げるべく、パレス
チナで活動する東エルサレムYMCAとの交流を
開始し、スタッフや会員の派遣、現地プログラム 会場ではパレスチナの子ども達が描
の支援等、さまざまな交流活動や支援活動を続 いた絵の展示や、現地で生産された
オリーブ製品の販売等も行われる
けています。そうした活動の一つとして、2008年
より毎年5月に「オリーブ平和映画祭」を東京センテニアルYサービスクラブ(ワ
イズメンズクラブ)との共催で開催しています。
ドキュメンタリー映画の上映を通してパレスチナの現状を多くの方々に知って
いただく目的で開催されているこのプログラムは、今年で5回目を迎えます。今回
上映されるのは『壊された5つのカメラ―パレスチナ・ビリンの叫び』(2011年/
パレスチナ・イスラエル・フランス・オランダ)。子どもの成長を記録するために
買ったビデオカメラを使い、自らの住む村で行われる非暴力抵抗運動の様子を撮
るようになったパレスチナ人イマードの目を通してパレスチナの現状を描き出し
たこの作品は、イスラエル人監督との協働により完成し、公開後すでに世界の多
くの映画祭で受賞を続けています。今回は作品の上映だけでなく、ビリン村をは
じめパレスチナの取材を続けている写真家の高橋美香さんによるスライドトーク
も同時に開催します。
ぜひ一人でも多くの方にご来場いただき、パレスチナで今何が起きているのか
を知り、日本に暮らす私達は平和構築のために何ができるのかを考える機会にし
ていただきたいと願っています。本プログラムの収益は東エルサレムYMCAの子
どもプログラム支援等のために用いられます。 (在日本韓国YMCA 田附 和久)
開催日:5月18日(土) 会場:在日本韓国YMCA 時間:①10:30∼ ②16:30∼ *料金等の詳細は、在日本韓国YMCAのウェブサイトで、または電話、メールにより直接お
問い合わせください(電話:03-3233-0611、E-mail: [email protected])。
沖縄YMCAは青少年と共に歩んで50年がたちます。1962年設立当時、
沖縄はアメリカの統治下にあり、沖縄YMCAも日本YMCAの準加盟的な団
体でした。1972年沖縄の日本国復帰を機に、沖縄YMCA設立10周年およ
び復帰記念事業として現在の会館が全国共同募金で建設されました。これ
までの50年間の道のりは決して順風満帆ではありませんでしたが、祈りと
希望を持ってバトンをつなぎ、今日も日々奮闘しています。
現在、毎日のようにマスコミで報道されている沖縄およびその周辺で起
こっている普天間飛行場問題、辺野古問題、オスプレイ配備、尖閣諸島問題
等々。これらの問題は決して沖縄だけの問題ではありません。日本国全体の
問題です。残念なことに、過去にこれほどまでに沖縄と本土との心理的距離
が離れた時代はなかったように思います。例えば尖閣諸島は、沖縄が日本国
に併合される以前の「琉球国」の絵図には「魚釣島」ではなく「釣魚島
(ちょうぎょとう)」と明記され、中琉の航路標識として重要な役割を果た
しただけでなく、周辺の人びとの生活の場として利用されてきました。そこ
には領土問題は存在せず、生活に根差した人と人との交わりがありました。
この中で青少年育成団体のYMCAとしてなすべきこと、できることは何
か。将来の日本を、アジアを担う青年自身が今起こっていることに目を注ぎ、
無力感や失望感にとらわれることなく、偏ったナショナリズムに陥ることな
く、アジアの人びとが共に手を取り合える国際感覚を身に付けてほしいと切
に願います。
沖縄YMCAはスタッフ2人で
キャンプ、学童保育、体操教育、
パソコン教室を行う小さなYMCA
ですが、この沖縄の地で半世紀に
わたって培ったものから発信でき
ることはとても大きいものだと確
信しています。
沖縄への震災避難者・移住者は2千人にのぼる。
(沖縄YMCA理事長 知念 一郎) YMCAでは支援キャンプも継続して実施
4