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No.722 2012
DECEMBER
The Young Men's Christian Association News
12
URL:http://www.ymcajapan.org/
「YMCAの赤三角」∼発達障がい者のSpirit、Mind、Bodyの調和と成長∼
日本知的障害者水泳連盟 専務理事
及川 栄子
1978年5月、東京YMCA中央体育館で本間立夫館
ネスクラスは、34年の長期間にわた
長のもと知的障がい等を持つ小学生を対象に運動能
り着実に成果を上げてきました。中
力の向上と社会性の発達を目指して、さまざまなス
でも伊籐敦重さん(39歳)と石井潤
ポーツ活動・野外活動を積極的に取り入れた「どんぐ
子さん(35歳)は小学生からの継続
り体操教室」がスタートしました。当時は知的障がい
メンバーであり、現在も週2∼3回成
等のある人に対して社会的なアプローチはなく、
人のメンバーと一緒にトレーニングに励んでいます。
2005年にようやく「発達障害者支援法」が施行され、
伊藤さんと石井さんは、1992年9月のマドリード
発達障がいの課題が広く知られるようになりました。
パラリンピック・水泳競技の知的障害者クラスに出場
東京YMCAのフィットネスクラス(障がい児支援プ
した経験を持ちます。伊藤さんのお母様は、「33年間
ログラム)では、スポーツを楽しみ、学習効果を定着
のYMCAとのかかわりの中で得た財産は、“体験アメ
させるために、父母、特に父親がプログラムに参加す
リカサマーキャンプ”での国際的な経験、着実に備
る等、家族の役割を重視してきました。家族で楽しく
わった体力と忍耐力、そして日々YMCAの方々が温か
スポーツを行うことは、家族の一体感を高め子どもに
く受け入れてくださることで人に対する信頼関係を自
対する教育的機能が活性化されます。プログラムの過
分のものにできたことです」と話されています。
程で、親がスポーツの指導方法や内容について理解を
近年は、特に水泳とスキーにおいて国際大会、ジャ
深める一方、ボランティアリーダーはメンバーが抱え
パンパラリンピック水泳競技大会、障害者スポーツ全
る課題を見極めながら良き理解者として指導に関われ
国大会、東京都大会等、多くのメンバーが選手として
るため、ボランティアリーダーの育成の場ともなって
活躍しています。また、毎週の東陽町運河沿いのジョ
います。その結果、家族間の交流が促進され、当初は
ギングと年6回の皇居ジョギングの成果として、第1回
消極的だった父親も、父親同士の交流の会である「お
東京YMCAチャリティーランから毎年参加し、2005
やじの会」に参加する等、スタッフ・リーダーと保護
年にはホノルル国際マラソン、2009年からは継続し
者の共感的関係が一層深まってきました。
て東京国際マラソン・市民マラソンにチャレンジし、
現在は、メンバーの運動能力が向上し水泳やバス
メンバー全員が完走しています。そして、これらの活
ケットボールをはじめとする多くの球技、そしてジョ
動はすべて、多くのボランティアのご協力とご支援が
ギング等、クラスで行う種目も増えています。野外プ
あって実施されています。
ログラムでは、サマーキヤンプ(長野県、白馬山)、ス
発達障がいのある人が、健常な人と同じように学校
キーキャンプ(新潟県 丸山石打スキー場)等で毎年
生活や仕事をしながら、目標に向かって日頃のトレー
楽しくチャレンジしています。また、1995年と1996
ニングに懸命に励んでいることをぜひ知ってほしいと
年の7月には、アメリカ西部のユタ州を中心に自然と
思います。メンバーと家族にとってフィットネスクラ
文化に触れる野外活動「体験アメリカサマーキャン
スは「生きる力」となり、さらには「継続は力なり」で
プ」を三菱商事株式会社の後援で実施しました。
あることをご理解いただき、一層のご指導、ご支援を
小学生、中学生、高校生、と多様なプログラムを体
お願いいたします。
験したメンバーの多くは、社会人になってもYMCAの
(東京YMCAウエルネスセンター、
メンバーとして継続しており、東京YMCAのフィット
社会体育・保育専門学校 講師)
ク世
リ界
スで
マ最
ス初
の
2012年12月1日発行(毎月1日発行)
昭和22年10月27日 第三種郵便物認可
本体価格45円(外税)(送料60円)
発行/公益財団法人 日本YMCA同盟
*日本YMCA同盟は2012年4月1日付けで、公益財団
法人に移行しました。
〒160-0003 東京都新宿区本塩町7 TEL:03-5367-6640 FAX:03-5367-6641
発行人/島田 茂 編集人/山根 一毅 印刷/あかつき印刷株式会社
日本キリスト教団
安行教会牧師
田中 かおる
1
クリスマス間近のある日、私は車を運転し そもそも、Christmasという言葉は、Christ
ながらいつものようにお気に入りのラジオ番 (キリスト)+ mas(ミサ=mass)という言葉
組を聞いていました。その日のテーマは「私の からなり、「キリスト礼拝」という意味です。
クリスマスの思い出」。ラジオ・パーソナリ 今から2012年前、ベツレヘムの町の家畜小屋
ティが、あるリスナーからの投稿を読みながら、 で生まれた一人の乳飲み子に会うことができ
思わず噴き出していました。それは、こういう た羊飼い達は、この乳飲み子を「キリスト」と
思い出話でした。…その人の小さいころは、世 して礼拝しました。そして、喜びに満たされて
の中では、クリスマスにはケーキを買って、家 賛美しながら、自分達の生活の場へと帰って
で家族そろって食べる、ということがブームに いきました。これが、世界で最初のChristmas
なりかけていたそうです。それなのに、その人 (キリスト礼拝)です。この乳飲み子であるイ
くだ
の家ではケーキを買ってもらえなかったという エスは、人に仕えるためにこの世に降ってき
のです。「うちも他の人の家のように、ケーキ、 た神の独り子だと、聖書は証言します。家畜
買って!」とお母さんにせがむと、「クリスマ 小屋の飼い葉桶に寝かされているそのお姿が
スは耶蘇教(=キリスト教のこと)のお祭り。 それを物語っています。事実、この乳飲み子
うちは仏教徒だから、そんなものは祝わな は、やがて成人して神の国の福音を説き、最
い!」と、突き放されたそうです。思わず、 後は十字架に架かるほどに「人に仕えて」く
「お母さんのケチ!」と叫んだとか……。
ださり、そして復活なさいました。このお方を、
皆さんは、このエピソードを聞いて、どう思 神の独り子・キリストと礼 拝することが
いますか? 私は、このお母さん、仏教徒とし Christmasなのです。世界で最初のクリスマス
て筋が通っていて素晴らしい!と思いました。 は、静かなお祝いでした。しかし人びとは、闇
クリスマスは、キリスト教の宗教行事、とはっ の中に希望を見いだし喜びに満たされて賛美
きり認識している点も、なかなかの人だと思 せずにはいられなかったのでした。
いました。
No.722/2012 December 12
The Young Men's Christian Association News
すべての人が希望を持って歩める社会へ
「自分の身体の自由になる部分をすべて使ってゴールする姿に心を打たれました」 熊本YMCA
熊本YMCA学院 専門学校では、人の痛みを感じ、互いに分かち合
を楽しむことができる
今夏イギリスで開催されたロンドンパラリンピックには、史上最多の164の国と地域から約4,280人の選手が参加し、目標を持ってチャレンジする選手達の姿
うことのできる社会人の育成を願って、学生達に積極的なボランティ
ようにサポートさせて
に多くの注目と声援が集まりました。大会スローガンは、「一つになろう(Live as one)」。YMCAは、すべての人が楽しみながら自分の能力を伸ばし、やる
ア活動への参加を促しています。さまざまな価値観や違いへの理解、
いただきました。
気と勇気、自信を育むためのプログラムを展開しながら、互いに支え合い「一つとなる」社会の実現を目指しています。今号では、難病と闘う子ども達とその家
コミュニケーション能力の向上、課題解決へ向けた思考力の養成等、
2人は今回の体験か
族、前向きに活動する障がい児・者の方々と共にあるYMCAの活動をご紹介します。
学生自らが主体的に学び考え、学生に不足している体験学習や、人と
ら、それぞれにさまざ
の出会いの場としてもボランティア活動への参加は有効です。
まなことを感じ取り、
このような考えと願いのもと10月13日∼15日に岐阜県で開催され
次のようなコメントを
た「第12回全国障害者スポーツ大会」(ぎふ清流大会)に、生涯ス
残しています。
ポーツ科より榎本福美さんと野田卓見さんの2人を運営ボランティア
「全盲の方の全力疾
ま
国・性別を超えた交流の輪が力にー聴覚障がい青少年国際キャンプ
この夏、聴覚障がいを持つアジアの青少年を対象とした「聴覚障がい青少年国際キャンプ」(HH
うに」「筆談が気軽に頼めるように」と、平
キャンプ)を香港・マカオで開催しました。HHキャンプは、1975年に大阪YMCAが障がい児・者支
等な社会の実現や障がい者の権利を積極的
援活動や国際協力活動のためのクリスマス献金プロジェクトの一環として、香港中華YMCAの協力を
に訴える参加者の姿が見受けられました。
得て開始し、今年で34回目を迎えます。国際青少年団体であるYMCAの特徴を活かし、難聴の青少年
被災地の東北から参加したある高校生は、
大阪YMCA
ひ
として派遣しました。2人は大会に先駆けて実施された、熊本の選手
走や、手足に麻痺のあ
団の事前強化練習にも参加し、選手団との交流や選手団の心身への
る方がバランスを崩
理解も深めることができました。大会当日は、備品の設置、準備運動
し、何度も転んでは立ち上がる姿、自分の体の自由になる部分をすべ
同士の国を越えた交流を促し、国際化時代を生きる青少年としての活躍を願って実施しています。
「私だけじゃない。他にも耳が聞こえない人
やスタートの補助等を行い、選手の方々が競技に集中して、スポーツ
て使ってゴールする姿に幾度となく心を打たれました。私達の想像を
このキャンプでは、参加者を国・性別に関係なく、約10人1グループに編成し活動します。はじめは
はたくさんいるんだ。みんな頑張っている
絶する努力をされた結果だからこそ、見ている人に多くの感動を与え
各国の手話の違いに戸惑う参加者も、キャンプを楽しみながら、日を追うごとに、自国の手話や国際手
から私も頑張らなければならない!!気持ち
られたのだと感じました」(榎本さん)。「ウォーミングアップの姿を
話を使って積極的にコミュニケーションを図るようになります。キャンプの中では、障がい者を取り巻
が通じた時のうれしさは忘れられません」
見て、迫力とスピード感に驚きを覚え、パフォーマンスを間近で見
く環境課題や21世紀の世界と地球の
と感想を述べてくれました。また保護者か
て、ここまでの過程のすごさを実感しました。これまでの自分がとて
あるべき姿等についての意見交換も行
らは、「今までできなかったこと、無理だと 自分達を取り巻く社会の課題についてグループで話し合う
も小さく見え、自分自身の人生においても大きな糧となりました」
います。聴覚障がいを持つ人びとは、
感じていたことも勇気を持てば何とかなる。自分に足りないもの、これからの自分の課題も見つかっ
(野田さん)。
他の障がい者と比べて周りの人からす
たようです」との感想が寄せられました。
2人には今回の体験をクラスでも報告してもらい、多くの学生が学
ぐに認識されず、サポートが遅れる、
HHキャンプは、アジアの国々にその輪を広げ、現在では各国から毎回100人以上の難聴の青少年
びと感動を共有することとなりました。学生達の学びや気付きが、彼
理解を得にくい等の理由により社会生
が集い、交流を図っています。このような参加者の交流は、障がいの有無にかかわらず、国の違い、習
等の人生を豊かにし、社会を豊かにすることへと通じていくことを
活の不自由さを感じる方々も多くいま
慣の違いを越えて、青少年が一つとなり未来に向かって大きく羽ばたこうとする力となっています。
願っています。
す。今回のキャンプでは、難聴の人び
現在大阪YMCAでは、過去の参加者を中心にチームを作り、HHリーダー会を設立、来年にはリーダー
とを取り巻く社会の課題を“Make
会が中心となり、HH国内キャンプを開催する予定です。こうした新しい動きに触れ、YMCAが大切に
some
noise”というテーマで考え、
している「みんなのものがひとつとなるために」ということが着実に実現されつつあることを感じて
「手話通訳が権利として認められるよ
います。 (大阪YMCA 池田 聡美)
運営ボランティアとして参加した榎本さん(写真
右)と野田さん(左)
(熊本YMCA 神保 勝己)
同大会は、厚生労働省や(財)日本障害者スポーツ協会等の共催により、平成13
年より全国各地で毎年開催されている。今年は、全国から3,369人の選手が参加
日本・香港・マカオ・台湾・韓国・シンガポール・フィリピン・マレー
シア・ミャンマーより約130人のユースが集い、交流を深めた
PEOPLE
継続は力なりで、コミュニティの活力に
五味 逸太郎さん(東京YMCA「フィットくらぶ」在籍)
難病と向き合う子どもとその家族に、笑顔になれる時間を
京都YMCAでは、小児病棟訪問プログラム「ウィズ・キッズ・スマイル」を行っています。この活動
族を迎えます。
東京YMCA・東陽町ウエル
フランスで開催された知的障害者スキー世界大会では回転
は、京都府立医科大学附属病院の小児病棟を月に1回訪問して、難病と向き合う子ども達に遊びの時
先の見えない治療に気持ちのやり場がなく、子
間を提供するプログラムで、今年で10年目を迎えます。高度な医療を施す京都府立医科大学附属病院
どもばかりでなく親までもが看護師にその気持ち
の小児病棟には、白血病や神経芽腫等の小児がんや心臓疾患等の重い病気を持つ子ども達が多く入院
をぶつけることも以前は多々あったのだと、病院の
しており、その入院期間は長期にわたります。つらい闘病生活の中に、少しでも楽しく笑顔になれる時
看護師長さんは言います。「YMCAのリーダーの
ネスセンターの「フィットネ
(スラローム)で金メダルを獲得しました。
スクラス」(障がい児親子対
今夏のロンドンパラリンピックにおける選手達の活躍は、
象)は今年で34年目を迎え、「フィットくらぶ」(障がい者18
人びとに夢や感動を与えてくれるだけでなく、誰もが平等に機
歳以上対象)は10年目を迎えます。これらのクラスでは近年、
会を得て、自分の可能性にチャレンジしながら、生き生きと輝
水泳・ジョギング・マラソン・スキーに力を入れ取り組んでお
ける社会づくりの大切さを気づかせてくれました。五味さんの
間を持ってほしいと、歌やゲーム、人形劇やクラフト等を子ども達と一緒に楽しみながら活動を続け
皆さんが来られるようになってから子ども達の笑
り、特に水泳とスキーにおいては、競技スポーツとして国内外
活躍も、同じクラスの仲間や保護者の方々、支援しているボラ
てきました。
顔がずっと増えました。子ども達が笑顔になると、
の大会に出場し、活躍するメンバーが出現しています。その一
ンティアリーダーの学生達の大きな励みとなり、希望となって
プログラムは、病棟内の疾患別の3つのプレイルームで行っています。幼児より乳児の参加者が多
それを見て安心したお母さん達の笑顔も増え、確
人が、現在「フィットくらぶ」に在籍している五味逸太郎さん
います。
いことや、参加者の年齢に幅があることが
実に病棟のQOL(Quality of Life/精神面を含め
(24歳)です。五味さんは、小学2年生のころから「フィットネ
豊 か なコミュニ
ティ、豊かな社会づく
当日になって分かることもあるので、臨機
た生活全体の豊かさ)が上がっています」とおっしゃっていただきました。
スクラス」に通い始め、さまざまなスポーツを経験し、努力と
継続の日々の中でめきめきと運動能力を高めていきました。
りの活力ともなってい
応変にプログラムの内容を変更できるよう
変わっていくのは、子どもや親ばかりではありません。この活動に関わったリーダー達も子ども達と
五味さんが最も力を入れ取り組んでいるスポーツがスキー
る五味さんの頑張り
毎回準備をしています。また、常に一定の
接し、命と向き合う経験を通して少しずつ変わっていきます。誰かの支えになりたい、と中には医療や
です。中学3年生の時、日本知的障害者スキー協会から推薦さ
を、これからも応援し
室温で保たれている病棟内で、季節の変化
教育の道を志すようになった学生もいます。
れ、ジャパンパラリンピックスキー競技大会に出場。初めて経
続けていきたいと思っ
を感じてもらえるように、プログラムに季
2013年度春からは入院をしている子どものきょうだいを支援するプログラムを展開しようと準備
ています。
節感を取り入れる工夫もしています。毎年
を進めています。重い病気で入院している子どもの親はその子の病状に向き合うことだけに必死にな
7月には夏祭りを実施、京都・祇園祭の南
り、その子のきょうだいは取り残され、心に大きな傷を抱えることもあると聞きます。すべての人が希
観音山保存会の方々にもご協力いただき、
望を持って「今」を生きることができることを願い、これからも活動を続けていきます。
験した大きな舞台で競技者としての壁を知るも、その後地道
にトレーニングを重ね、スペシャルオリンピックス冬季世界大
(東京YMCA 新井 静)
会や知的障害者スキー世界大会(INAS-FID冬季世界大会)
等、毎年数々の大会に出場し、活躍しています。2011年2月に
3
京都YMCA
プレイルームでの1コマ。その日の体調と相談し、子ども達は自由
に参加できる
お囃子の演奏や縁日で、子ども達とその家
夏祭りの1コマ。リーダーは、総合司会や出店で夏祭りを
盛り上げる。リーダー扮する「怪しい占い師のコー
ナー」も子ども達の人気
(京都YMCA 久保田 展史)
2
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The Young Men's Christian Association News
●「ベトナム・フォスタープロジェクト」が10年目
―富山YMCA
ベトナムの障がい孤児施設に子どもの養育費をおくる、富山YMCAの「ベトナ
ム・フォスタープロジェクト」が今年、活動目標としていた10年目を迎えました。
このプロジェクトは、2003年3月に「富山YMCAベトナム・スタディツアー」で、
ホーチミン市郊外のクチ地区にある障がい児養護施設に立ち寄ったことから始ま
りました。この養護施設は、1999年に韓国カトリック教会の基金によって、ベト
ナム戦争の枯葉剤作戦によって障がいを持つことになった子ども達を擁護するこ
とを運営理念として設立されました。現在は、約60人の入所児童を20人ほどの職
員が世話し、年々海外からの団体の訪問・支援も増えていますが、設立当時は入
所児童の養育費や世話をする職員の費用を賄えないことから、100人規模の入所
施設に10数人の児童しかおらず、約50人が入所待ちの状態でした。
2003年の帰国後すぐに、川渕映子常議員、島田茂前総主事を中心に実行委員
会が立ち上げられ、センターに入所または通所希望の障がい児の養育費を支援す
るため、毎年10人の子ども達を1人に付き月3,000円、10年間支援する制度、通称
「ラ・バンベ(友だち)」としてスタートしました。開始以来、多くの協力者から
支援を得て、毎年スタディツアーの折に支援金を直接手渡しています。富山
YMCAのフリースクールの生徒やユース
ボランティアリーダーも、ピースキャン
プの一環としてこの養護施設を訪問して
おり、このプロジェクトを通じて、YMCA
に連なるたくさんの人びとが世界の平和
や子ども達について考える貴重な機会を
得ています。このプロジェクトは今年度
で終了しますが、今後も「ラ・バンベ」と
して寄り添い、支援を続けていきたいと
思います。
障がい児養護施設で子ども達とふれ合うユース
(富山YMCA 土肥 和美) リーダー
●YMCAワールド・チャレンジを開催!
日本での参加者数 計3,342人(18の都市YMCAと学
生YMCA全39拠点※) ※YMCA会館、保育園、幼稚園、
学童、指定管理施設(児童館、体育館等)
10月13日、世界中のYMCAで500万人
の動員を目標とし、バスケットボールの
シュートのギネス世界記録を目指す世
界YMCA同盟発信のイベント、「YMCA
ワールド・チャレンジ」が開催されまし
た。開催の目的は、地域の多くの人に
YMCAがユース・エンパワーメントを目
指す団体であり、バスケットボールを発
明した団体であることを周知するもの
でした。また、今年のオリンピック・パ 埼玉YMCAワールドチャレンジの風景。185人が
ラリンピックがロンドンで開催されたこ シュート!
とと、ロンドンがYMCA発祥の地であることも、開催のきっかけとなりました。当
日、日本YMCA同盟の国際事業担当者が訪問した、近隣の埼玉、横浜、東京の3
つのYMCAのワールド・チャレンジの様子をお伝えします。
埼玉YMCA さいたまスーパーアリーナ横で開催された埼玉県内のNGO・NPO
が集う「国際フェア2012」に出展し、英会話・野外活動等の紹介の他、バスケッ
トゴールを設置して挑戦しました。YMCAをご存じない方々にも、特別支援活動
(学習障がい児・者プログラム)の高校生メンバーが学生ボランティアと共に
ワールド・チャレンジについて説明したところ、大勢の子ども達が参加をしてく
れました。
横浜YMCA 地域センターや保育園等、全8拠点でワールド・チャレンジが行わ
れました。横浜中央YMCAでは、通常プログラムに来た子ども達や保護者の方々
が1階ロビーに設けられたゴールにシュート! 保護者に抱えられた小さなお子さん
や、子どもを抱っこしたまま見事にゴールを決めたお母さんの姿等もあり、普段
YMCAに集う方々がイベントを楽しんでいる様子が印象的でした。
東京YMCA 東陽町センター1階アトリウムにて、ワールド・チャレンジが行わ
れました。シュート500本という当初の目標を超える774本が放たれ、314人の
方々の参加を得ました。社会体育・保育専門学校の学生、同校を志望する高校生、
バスケットボールの上手なユースの姿、さらにはスタッフの元気なMCもあり、会
場は大盛況でした。
次号ではYMCAワールド・チャレンジの世界規模での動きをご紹介します。
(http://www.facebook.com/japanYMCAworldchallenge)
(日本YMCA同盟 永岡 美咲)
●豪雨災害支援あそぼうキャンプ―熊本YMCA
9月15日∼17日、九州北部豪雨災害で被
災した阿蘇市・熊本市の子ども達30人と、
東日本大震災で熊本県に避難している子
ども達10人を対象に、心のケアを目的とし
た2泊3日の「あそぼうキャンプ」を実施し
ました。
このキャンプでは、自らもYMCAのキャ
ンプ経験者であり、トラウマ治療の専門
医でもある仁木啓介氏をアドバイザーに
迎え、キャンプのアクティビティを通した
心のケアに力が注がれました。子ども達
の「阿蘇」に対するイメージを、“被災し
た阿蘇”から“楽しいキャンプをした阿 キャンプ名「あそぼうキャンプ」には、次代を担う子ども
蘇”へと変化させたい、つらい経験を、 達が未来を望めるようにとの願いが込められている
「楽しい・嬉しい・力強く乗り越えることができた」という経験で心のアルバムに上書
きしたい、そのような願いを持って「あそぼうキャンプ」を企画しました。
キャンプの中では、大雨に恐怖した子ども達を水源に連れて行き、自然の恵みの素晴
らしさ、湧き水のおいしさを自ら感じてもらい、崖が崩れる音や濁流の音に恐怖した子
ども達には、自然の音に耳を傾け、さまざまな音色とその美しさに気付いてもらう機会
を持ちました。自然散策の途中で見付けたブルーベリーをちぎって食べ、栗拾いをして、
ホースセラピーを受け、クラフト作りやピザ作りを行い、皆でゲームを楽しみ、いつの
間にか皆と溶け合い、助け合う優しさに気付き、伸び伸び生き生きとして、無邪気に笑
い合う子ども達の姿がありました。「台風なんて怖くない、だって懐中電灯持ってるも
ん!」と声をそろえ、元気に歌い踊る場面もあり、大人達の胸を熱くしました。
東日本大震災から避難してきた保護者の方々にもボランティアとして支援いただい
たこのキャンプでは、「被災地のリレー(被災経験を持つ人びとが、新たに被災を経験
している人びとに対して救援活動を展開すること)」を実施することもできました。
キャンプを通じて大きく変化した子ども達が、豪雨災害の恐怖を吹き飛ばした体験をい
つまでも忘れないでいてくれること、そして、キャンプの中で生まれた子ども達の絆と
希望が未来につながっていくことを願っています。最後に、国内外の災害募金およびワ
イズメンズクラブの皆さんのご支援に心より感謝申し上げます。
(熊本YMCA 久保 誠治)
●分かち合おう!「出会い、思い、願い」
YMCA地球市民国際フォトコンテスト2012審査結果
私達日本のYMCAは、アジア各国を中心として災害、紛争、貧困等、困難な状況の中に
ある人びと・子ども達に、仲間として寄り添い、一人ひとりの「いのち」と出会い、触れ合
うことを大切にしています。また、青少年が活動を通して豊かに成長することを願い、国
際協力・交流活動を続けてきました。このコンテストは、これらの活動の参加者自身が撮
影した写真を通して、その時の思いや願いを多くの方と分かち合いたいとの思いをもって
開催しています。
9回目となる今回は147の作品が寄せられ、日本を含むアジアやアメリカ等でのスタディ
ツアーやワークキャンプ、被災地支援、交流等の場面がさまざまな目線で捉えられていま
した。審査は写真の技術に加え、YMCAの活動やメッセージを伝える作品を大切に、撮影
地や場面等を考慮しながら行われました。
審査の結果、YMCA賞には岡山YMCAの白鳥雅人さんの作品が選ばれ、この他金賞・
銀賞各2作品、銅賞7作品、協賛企業賞12作品、審査員特別賞1作品、海外特別賞2作品が
選ばれました。審査員からは「力作ぞろいで例年以上に困難な審査となりました。現地で
活動をしている様子を捉えた作品を通して、同じ地球に暮らす人びとや子ども達の存在を
身近に感じることが出来ました。笑顔だけではなく、さまざまな表情、その時の思いやそ
の場の空気感が映し出されている作品等バリエーション豊かで、レベルの高さを感じまし
た。次回も期待しています」とのコメントをいただきました。今後はパネル展やホーム
ページなど、国際事業関連の広報等に作品を活用します。ウェブに入賞作品を掲載してい
ます。ご覧ください。(http://www.ymcajapan.org/photo/index.html)
審査:菰渕光彦氏(元TV-CMプロデュー
サー、ワイズメンズクラブメンバー)、粂
川真木彦氏(写真家)、高橋美香氏(写
真家)他
協賛企業・団体:あかつき印刷株式会社、
アーバンツーリスト株式会社、株式会社
トライ、社会福祉法人東京コロニー・コロ
ニー印刷、ワイズメンズクラブ国際協会
東西日本区
(日本YMCA同盟 市来 小百合)
YMCA賞「だるまさんが・・・ドキドキ」
(インドネシアジョグジャカルタワークキャンプ)
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