インドネシアの褐炭利用技術とその商業化

インドネシアの褐炭利用技術とその商業化
クリーン・コール・デー イン・ジャパン 2011、国際シンポジウム
国際シンポジウム
20周年記念
クリーン・コールの最前線
~持続可能な成長と低炭素社会のためのクリーン・コール・テクノロジー
持続可能な成長と低炭素社会のためのクリ ン コ ル テクノロジ (CCT)~
における講演
講演者: BOB KAMANDANU
講演者
インドネシア石炭鉱業協会 (ICMA)、会長
1
インドネシア石炭鉱業協会
APBI-ICMA
ビジョン
•
•
石炭鉱業のあらゆる事業活動の中に卓越性の基準 (Standard of Excellence) を確立する
石炭産業が新しい水準の生産性、安全性、認知度、そして社会的責任と環境意識を達成できるように先導する
任務
•
•
•
•
•
石炭の生産と利用を推進する
石炭産業の現在と未来に影響を及ぼす課題と機会に取り組む
石炭産業の推進者としての役割を効果的に果たす
会員企業の便宜を図り そのニーズ
会員企業の便宜を図り、そのニ
ズ、要望、そして長期的展望を実現するために貢献する
要望 そして長期的展望を実現するために貢献する
投資と競争に好適な環境の創出を促す
APBI‐ICMAの構成員
•
2011年8月現在の会員企業の総数は94社であり、以下から成り立つ:
在
総
成
石炭採掘企業
:
68社
石炭採掘サービス企業
:
26社
2
講演概要
• インドネシアにおける褐炭技術の利用状況と褐炭改質・転換技術開発
の最新動向
• 2011~2025年インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン (MP3EI)
• インドネシアの石炭鉱業への投資の新しいパラダイム
3
インドネシアにおける褐炭技術の利用状況と
褐炭改質 転換技術開発の最新動向
褐炭改質・転換技術開発の最新動向
4
褐炭利用の現在と未来
発電所
現在
直接利用
茶園や養鶏
場への熱供
給
セメント業界
産業
利用
繊維業界
鉄・スチ ル、
鉄・スチール
溶錬、冶金業
その他の業界
家庭利用
褐炭
ガス化
クリーンコール
技術
間接利用
未来
低品位炭
改質技術
液化
化学原料
交通・運輸
CWM/CWF
改質褐炭 (UBC)、
BCB (Binderless Coal Briquetting)、
石炭改質ブリケット技術など
褐炭改質および転換技術
 改質褐炭 (UBC) 技術
• 実証プラント ― 生産量: 1,000トン/日
生産量 1 000トン/日 (神戸製鋼、JCOAL、PT. Arutmin、および
(神戸製鋼 JCOAL PT A t i および
tekMIRA)、所在地は南カリマンタン州サツイ (竣工)
• 商業プラントの建設が2012年に開始予定
 その他の改質技術
• BCB (Binderless Coal Briquetting) 技術 (オーストラリアのWhite Energy社)
商業プラント (生産量500万トン/年)、およびその他の4つのプラントもまもなく建設予
(
/ )
定 (東カリマンタン州PT. Gunung Bayan社)
• 石炭改質ブリケット技術
商業プラント ― 現在、設計審査中 (PT. Bhakti Energi Persada社)
 将来計画 :
• 石炭改質技術 :
改質褐炭 (UBC) プラント
(UBC) プラント (Pendopo Energi Batubara PT.社、南スマトラ州) が2014年
Batubara PT 社 南スマトラ州) が2014年
に操業開始予定
石炭改質プラント (Delma Mining Corporation, PT.社、東カリマンタン州)
• 石炭転換技術 :
石炭ガス化プラント (Delma Mining Corporation, PT.社、東カリマンタン州)
6
インドネシアにおけるクリ ン コ ル テクノロジ 開発の現状
インドネシアにおけるクリーン・コール・テクノロジー開発の現状
変換技術 :
• ガス化技術
パイロットプラント、2005年 ― 進行中 (鉱物・石炭技術研究開発センター/tekMIRA、国
有電力公社/PLN、その他の機関)
所在地 西ジ
所在地: 西ジャワ州バンドンおよびパリマナン
州バ ド およびパリ ナ
• 液化技術 (褐炭液化技術)
• ラボスケール、ベンチスケール、1990~1993年
ラボスケール ベンチスケール 1990~1993年 (tekMIRA)、所在地: バンドン
(tekMIRA) 所在地: バンドン
• パイロットプラントスケールまで拡張可能な調査と研究、1994~2001年 (tekMIRA、科
学技術評価応用庁/BPPT、石油ガス研究所/LEMIGAS、および日本のNEDO)、所在地: バンドンおよびジャカルタ
• 2005~2009年に、インドネシアでSASOL社の技術を応用する可能性に関する会議と
ディスカッションが行われた
• コールベッド・メタン技術
継続中 (石油ガス研究所/LEMIGAS)、所在地: ジャカルタ
• 石炭‐水混合燃料 (CWF: Coal Water Fuel)/ 石炭‐水混合物 (CWM: Coal Water Mixture)
ラボスケールとベンチスケールで継続中 (tekMIRA)、所在地: 西ジャワ州バンドン
7
2011~2025年インドネシア経済開発
加速・拡大マスタープラン (MP3EI)
8
2011~2025年インドネシア経済開発
加速・拡大マスタープラン (MP3EI)
6つの優先的な経済回廊 (EC): 一次産品の基地 / 主な地域区分
Banda Aceh
BIMP--EAGA
BIMP
Medan
1
IMT--GT
IMT
4
3
6
Manado
Sofifi
Pekanbaru
Tj. Pinang
Padang
Pontianak
Samarinda
P l
Palu
Manokwari
G
Gorontalo
t l
Jayapura
Jambi
5
Mamuju
Palangkaraya
Palembang
Sorong
Kendari
Pkl. Pinang
Bengkulu
p g
Lampung
2
Jakarta
Ambon
Banjarmasin
Wamena
M k
Makassar
Semarang
Surabaya
Serang
Mataram
Jogjakarta
Merauke
Denpasar
p
Kupang
大規模な経済センター
1
経済センター
スマトラ経済回廊
2 ジャワ経済回廊
3
提案されているKEKの位置
カリマンタン経済回廊
4
5
スラウェシ-北マルク経済回廊
FTZとして提案されているKEKの位置
バリ-ヌサトゥンガラ経済回廊
6 パプア-マルク諸島経済回廊
出典: Kementerian Koordinator Bidang Perekonomian dan Kementerian PPN/BAPPENAS
注記: KEK: Koridor Ekonomi Khusus/特別経済回廊、FTZ: 自由貿易地域、EC: 経済回廊
9
(続き)
インドネシアの経済開発のテーマの要約
Banda Aceh
スマトラ経済回廊
BIMP--EAGA
BIMP
カリマンタン経済回廊
Medan
農作物生産加工センター
IMT--GT
IMT
スラウェシ‐北マルク経済回廊
& 国家エネルギー供給基地
Manado
鉱物資源生産加工センター
&
国家エネルギー供給基地
Samarinda
Pekanbaru
Tj. Pinang
Pontianak
Palu
P l
Padang
Sofifi
農業・園芸・水産製品
生産加工センター
Manokwari
Gorontalo
G
l
Jayapura
Jambi
Mamuju
Palangkaraya
Palembang
Sorong豊富な自然資源の
Kendari
Pkl Pinang
Pkl.
加工と優秀な人材
A b
Ambon
Banjarmasin
Bengkulu
Lampung
Jakarta
2
Makassar
Semarang
Wamena
パプア-マルク諸島経済回廊
Surabaya
Serang
工業およびサービス業
の促進拠点
ジャワ経済回廊
経済 廊
Jogjakarta
Mataram
Merauke
Denpasar
観光の玄関口 & &
国家食料供給基地
Kupang
バリ‐ヌサトゥンガラ経済回廊
スマトラおよびカリマンタン: 現在の課題と将来の機会
スマトラ:







資源量: 525億トン、埋蔵量: 112.3億トン、主として島の内陸部に賦存
石炭生産量は、インドネシア全土の石炭生産量の約10%と推定されている
1,000件の事業許可が発行されたが、そのうち操業しているのは約30社のみ
不十分なインフラ
採掘されている石炭は、主として中品位と高品位の石炭である
低品位の石炭資源は放棄されている
地方部の道路は損傷が激しい (南スマトラ州およびジャンビ州)
機会





石炭採掘への投資
インフラ開発 (輸送網、鉄道、貯炭設備、湾港)
坑口発電所の開発
石炭技術 (石炭改質および転換)
石炭ブレンド設備
11
スマトラおよびカリマンタン: 現在の課題と将来の機会
カリマンタン:
 資源量: 519.2億トン、埋蔵量: 99億トン、半分以上が島の内陸部に賦存
 石炭生産量は、インドネシア全土の石炭生産量の約90%と推定されている
 石炭採掘の鉱業事業許可 (IUP) は合計3,000件を超えるが、実際に操業しているIUP取得企
業は約
業は約200社のみ
社のみ
 不十分なインフラ
 採掘されている石炭は、主として中品位と高品位の石炭であり、低品位の石炭資源はまだ
未開発である
 炭鉱周辺地域に環境問題や社会問題が生じている
機会
 石炭採掘への共同出資
石炭採掘 の共同出資
 未操業のIUPの買い取りや整理統合
 インフラ開発 (輸送網、鉄道、貯炭設備、湾港)
 坑口発電所の開発
 石炭加工プラント (石炭改質および転換)
 銅およびニッケル精錬プラント
 アルミナ処理プラント
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褐炭/低品位炭 (LRC) の採掘および利用に対するインセンティブ
(LRC) の採掘および利用に対するインセンティブ
法的支援
大統領命令75/1996は、LRCの採掘に対してロイヤルティ (鉱山使用料) の減免という形で
インセンティブが与えられる、と規定している。
政府規制 (政令) No. 1/2007 jo. No. 62/2008は、LRCの採掘および利用
(政令) No 1/2007 jo No 62/2008は LRCの採掘および利用 (石炭改質、液化、
(石炭改質 液化
石炭‐水混合燃料 [CWF] などの国内利用目的による石炭ガス化) に対して、政府は財務的
または非財務的な形態によるインセンティブを与える、と規定している。以下に例を示す。
• 純所得については、6年間、資本投資総額の30%まで、または年5%の税控除が受けられ
る
• 無形資産の償却や減価償却を最高10年まで前倒しできる
• 二重課税協定に従って、海外の納税者には配当に対して10%の所得税か、またはそれ
二重課税協定に従って 海外の納税者には配当に対して10%の所得税か またはそれ
より低い関税が課される
• 一定の条件の下で、5~10年間の損失補償が受けられる
13
新鉱業法 (2009年法律第4号) の中で
石炭改質および転換はどのように規定されているか?
1.
付加価値は、鉱物および石炭の採掘に関する法律第4号 (2009年) に
盛り込まれた問題点の1つである。
盛り込まれた問題点の1つである
2.
第102条は、鉱業事業許可 (IUP) および特別鉱業事業許可 (IUPK) の保
有者に対して 鉱物と石炭の採掘 加工 精錬 および利用に際して
有者に対して、鉱物と石炭の採掘、加工・精錬、および利用に際して、
鉱物資源や石炭の付加価値を高めることを義務付けている。
3
3.
第103条のパラグラフ (1) と (2) は、鉱業事業許可
は 鉱業事業許可 (IUP) および特別鉱
業事業許可 (IUPK) の保有者に対して、採掘の成果物を国内で加工お
よび精錬することを義務付けており、またそのような加工および精錬を
他の および
他のIUPおよびIUPK保有者に実行させることも認められる、と規定して
保有者に実行させる とも認められる、と規定して
いる。
4.
このような規定から、付加価値を高めることが現在および将来の石炭
鉱業でいかに重要であるかを読み取ることができる。つまり、付加価値
化に伴ういかなる利益も海外に流出させずに国内企業の元に留め、そ
れをインドネシア国内で産業の発展に役立てることが重要なのである。
14
インドネシアの石炭鉱業への投資の新しいパラダイム
(Delma Mining社の事例)
15
Delma Miningが新しいマスタープランを採用
g
現状:
Delma Mining社は、石炭鉱業事業契約 (CCoW) の第3世代事業者である (1997年)。
代表的な製品: 褐炭 (GAR 3,000 kcal/kg)、TM >50%であるがTS 0.2%。
現在は市場需要が極少または皆無である。
極め 辺鄙な人 過疎地 (住民数4,000人)
極めて辺鄙な人口過疎地
住民数
人 に位置しており、東カリマンタン州ブルンガン県
に位置し おり 東カリ
タ 州ブ
ガ 県
(the regency of Bulungan 、人口12万人) に属している。
• 石炭火力発電所は存在せず、ディーゼル発電所しかない。
•
•
•
•
しかし...
1. 採掘権を得た鉱区は外海からわずか11 kmしか離れていない。
2. 石炭消費者にもインドネシアの鉱業製品の消費者にも近接している。
3. インドネシア経済開発加速
インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン
拡大マスタ プラン (MP3EI: Master Plan untuk Percepatan &
Perluasan Pembangunan Ekonomi Indonesia) は、すべての規制を再検討して、さまざまな
ボトルネックを解消し、経済発展の地方分散化を推進する見込みである。
16
所在地の概要
• 採掘権を得た鉱区は、主要地方都市であるタンジュン・セラー (Tanjung Selor) とタンジュン・レ
デブ ((Tanjung
デ
j g Redeb) の間に位置する。
) 間 位置する。
• この地域では、PT. Berau Coal社 (南部) とPT. Mandiri Intiperkasa社 (北部) の大規模な炭鉱が
操業している。この2社の採掘権もCCoWであり、それぞれ、年間1,500万トンおよび年間400万
トンを生産している。
を 産
。
• 近隣のもう1つの石炭採掘権保有者は、同程度の品位の石炭を生産しているPT. Pesona
Khatulistiwa Nusantara社であり、やはり最近操業を開始している。
17
インドネシアの石炭鉱業への投資の新しいパラダイム
石炭ガス化
石炭
化
発電所
ニッケル精錬
ケル精錬
石炭配合設備
工業団地
1. 発電所 ― エネルギーと電気に対する産業需要を満たす (銅、ニッケル、ボーキサイト/アル
ミナの精錬プラント)
2 石炭ガス化プラント ― 化学工業や肥料産業
2.
化学工業や肥料産業への燃料供給、地域内の都市ガスの供給
の燃料供給、地域内の都市ガスの供給
3. 石炭配合設備プロバイダー
4. 石炭改質/乾燥プラント ― 坑口発電所に火力を供給する
18
Delma Miningの今後の見通し:
1.
2.
3.
4.
石炭生産企業として、市場シェアの拡大を目指す
シンプルな乾燥技術によって、石炭改質事業を実施する
坑
坑口石炭火力発電所を建設して、電力生産者となる
炭火
電所を建
電 生産者 なる
以下のような設備から成り立つ新しい工業団地にエネルギーを供給する
a. ニッケル精錬プラント
b 石炭ガス化
b.
肥料産業に燃料を供給する
c. 石炭改質プラント
d. 発電所
e. 安価かつ効率的な電力供給を継続的に必要とするその他多数の産業
投資総額は10億ドル (USD) を上回る
19
ご清聴ありがとうございました
Eメール: [email protected]
Menara Kuningan
g Building,
g 1st Floor Suite A
Jl. H. R. Rasuna Said Blok X-7 Kav.5
Jakarta 12940 - INDONESIA
電話/ファックス: 021-30015935, 30015936, 30015674
ウェブサイト: www.apbi-icma.com
www apbi icma com
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