GM：破産法適用を申請、負債を大幅削減し、コスト構造を改善

2016/4/5
GM：破産法適用を申請、負債を大幅削減し、コスト構造を改善マークラインズ自動車産業ポータル
GM：破産法適用を申請、負債を大幅削減し、コスト構造を改善
新GMは、米国市場規模 1,000万台で利益の出る体質に転換
2009.6.10 No.785
GM：米国連邦破産法のChapter 11/Section 363の適用を裁判所に申請
負債を744億ドルから 260億ドルに大幅削減して、新GMの収益性を強化
新GMは、米国市場規模 1,000万台で利益の出る体質に転換
破産裁判所が、GMの業務継続を承認
Opel/Hummer/Saturn ブランド売却を、暫定合意
要約
GM は2009年 6月 1日、米国連邦破産裁判所に連邦破産法 Chapter 11 と Section 363 の適用を申請した。計
画では、米国市場の主要 4ブランドなど優良資産のみを継承する新GM を設立し、負債を大幅削減し、また生産能
力/従業員/販売店数を削減して、米国市場規模年間 1,000万台で利益の出る体質に転換し、競争力ある企業に再
生する。
負債軽減は、連結借入金と UAW の VEBA (退職者医療援助基金) に関する負債を、2009年 3月末時点の 744
億ドルから新GM では 260億ドルに削減する。
米国政府は、既に融資した約 200億ドルに加え、さらに 301億ドル、総額約 500億ドルを支援する。カナダ政府と
オンタリオ州政府も別途 95億ドルを支援する。米国政府は、新GM の負債を増やさないために、支援額を融資とし
て残すのではなく、その大半を新GM 株式に転換し、新GM の株主構成は、米国政府が 60.8%、カナダ政府とオン
タリオ州が 11.7%、VEBA が 17.5%、無担保債権者グループが 10% となる予定。
GM は破産裁判所に、現GM の資産の新GM への売却承認手続き審査を、7月10日までに完了するよう申請して
おり、GM と米国政府は、60～90日間で破産法手続きを終了できるだろうとしている。
GM：米国連邦破産法の Chapter 11/Section 363 の適用を裁判所に申請
2009年 6月 1日、GM は連邦破産法の Chapter 11 と Section 363 の適用を申請した。計画では、米国政府は、
既に融資した約 200億ドルに加え新たに 301億ドル、総額約 500億ドルを支援、カナダ政府とオンタリオ州が 95億
ドルを支援し、新GM を設立する。
新GM は、(1) GM のベスト 4ブランドのみを引き継ぎ、(2) また一連の構造革新により、GM の歴史上かってなか
った強固なバランスシートとコスト構造を持ち、今後の景気後退に耐え、また重点分野に投資するキャッシュを生み
出す体制になるとしている。
GM は、60～90日間で破産裁判所の承認を得て、新GM を発足させることができるだろうとしている。新GM 発足
時の株主構成は、米国政府 60.8%、カナダ政府とオンタリオ州政府が 11.7%、UAWの VEBA が 17.5%、無担保債
権者が 10%。
GM：破産法 Chapter 11/Section 363 適用の申請と、新GM の構成
破産
法適 GM は、米国政府・カナダ政府と協議のうえ、2009年 6月 1日、連邦破産法 Chapter 11 と Section 363
用をの適用を連邦破産裁判所に申請した (GM の米国外事業は、破産法申請の対象外)。
申請
米国
政府
と
米国政府は、GM は全ての主要利害関係者から (Shared sacrifice のコンセプトのもとで) 十分な譲歩を
カナ得て、競争力ある企業として再生する計画を作成したと認め、5月末までに支援した約 200億ドルに加え、
ダ政新たに 301億ドルを支援すると発表した。カナダ政府とオンタリオ州政府も別途 95億ドルを支援する。
府が
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支援
米国政府と GM は、新GM を設立し、新GM は現GM から主要資産を購入する。新GM は、(1) GM の
ベスト 4ブランド (Chevrolet, Cadillac, Buick, GMC) のみを継承し、(2) バランスシートを大幅に改善し
て、競争力のあるコスト構造のもとで出発するとしている。
新
GM は、手元資金に加え、米国政府とカナダ政府から新たな DIP ファイナンス約 330億ドルを入手し
GM
(DIP は Debtor-in-possession で、Chapter 11 手続き中の資金)、生産・販売活動に充てる。両政府は、
を設新会社に引き継がない資産の処分や Chapter 11 終了のための費用は別途ファイナンスする。
立
新GM の株主構成は、米国政府 60.8%、カナダ政府とオンタリオ州政府 11.7%、UAW の VEBA 17.5%、
無担保債権者グループ 10% の予定。
新GM の取締役は、カナダ政府とオンタリオ州政府が 1名、UAWが 1名を選任し、他は米国政府が選任
する。米国政府は、GM の現在の取締役の半数以上が交代する見込みとしている。
旧
新GM に移管しない Hummer, Saturn などのブランドや不要な生産工場は現GM に残し、売却または清
GM
算手続きを進める。
資料：The White House-Press Office 09.6.1, GM広報資料 09.6.1
(注) 1.米国連邦破産法 Chapter 11 が適用されると、裁判所の保護のもとで、債権者の要求に応える前に、事業ま
たは資本構成を再編できる (Chapter 11 手続き中は、債権者は債権を回収できず、担保権も行使できな
い)。Bankruptcy Code Section 363 が適用されると、裁判所の承認のもと、Chapter 11 を申請した企業は
債権者の権利や意向に拘束されずに資産を売却でき、通常より短期間で破産手続き完了が可能になる。
2.GM は、GM 資産の新GM への売却申請は、米国政府と UAW および無担保債権者の少なくとも 54% (金額
ベース) の支持を得ているので、裁判所から早期に承認されるであろうとしている。
3.GM は、資産売却の承認手続きを、7月10日を期限に進めるよう裁判所に申請している。また 7月10日までに
承認されない場合、米国政府は支援を停止する可能性があるとされる。裁判所は、現GM 資産の新GM への
売却についてのヒアリングを、6月30日に実施することを暫定的に決定した。
4.破産法 Section 363 を 4月30日に申請した Chrysler の場合は、6月 1日に破産裁判所が新 Chrysler へ
の資産売却を承認したが、Inidiana 州の年金基金などが上級裁判所に異議を申し立てた。異議申し立てに
対して、連邦控訴審裁判所 (Federal appeals court）は 6月 5日に Chrysler 資産の売却を承認したが、最
高裁判所 (Supreme court) は 6月 8日、Indiana 州年金基金などの売却の一時差し止め請求を認めた。し
かし、6月 9日、最高裁判所も資産売却を承認、Chrysler 資産の新 Chrysler への売却が正式決定した。
負債を 744億ドルから 260億ドルに大幅削減して、新GM の収益性を強化
米国およびカナダ政府の巨額支援と、UAW の VEBA および無担保債権者の大幅譲歩により、GM は、連結借入
金および VEBA 関連の負債の総額を、2009年 3月末時点の約 744億ドルから、新GM 発足時には約 260億ドルと
1/3 近くに減少させる計画。収益性を高め、将来技術に投資するための十分な Cash を生み出すことが可能になる
としている。
新GM の負債を、744億ドルから 260億ドルに大幅削減 (億ドル)
現GM (2009年 3月31日現在)
新GM の借入金と優先株
米国政府
67
カナダ政府とオンタリオ州政府
13
新VEBA
25 (支払手形)
政府融資を含む連結借入金 (debt)
その他 (主に、欧州を除いた海外)
68
544億ドル
連結借入金 (debt) 合計
約 170
現VEBA への負債約 200億ドル
米国政府
21
カナダ政府・オンタリオ州政府
4
新VEBA
65
優先株合計
90
資料：The White House-Press Office 09.6.1, GM広報資料 09.6.1
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(注) 1.新VEBA に発行する支払い手形は、2017年を最終として 3回分割で支払う。
2.優先株 90億ドルは、年利 9% の配当金を四半期ごとに支払う。優先株は、配当や残余財産分配の優先権を
持つが、通常議決権を持たないため、負債に準じた位置付けになる。
■利害関係者との調整：VEBA と無担保債権者の過半が大幅譲歩
米国政府の支援総額約 500億ドルは、融資残高として残す 67億ドルを除き、全て新GM の普通株式 (60.8%) と
優先株 (21億ドル) に転換する。カナダ政府も、支援額 95億ドルを、融資残高 13億ドルを除いて、普通株式
(11.7%) と優先株 (4億ドル) に転換する。
UAW の VEBA は、GM の積立不足 200億ドルの拠出方法の変更で譲歩した。25億ドルの受取手形の他は、新
GM の普通株式 (17.5%)、優先株 (65億ドル)、新株予約権 (2.5%相当) への転換に同意した。
Chrysler の場合と同様、最後まで合意に達しなかった総額 272億ドルの無担保債権者については、無担保債権
総額 272億ドルを GM の普通株式 10% に転換するとの当初提案が同意を得られなかった。このため、15% の新株
予約権 (Warrants) を付与する条件を追加、その結果少なくとも金額ベースで 54% の同意を得た。米国政府とGM
は、破産裁判所に、これまで同意していない債権者にも同じ条件を適用することを申請する。
米国政府とカナダ政府の支援額と、新GM での持分 (億ドル)
現GM への融資 (債権額)
米国政府
新GM での持分
5月末までの融資額
約 200
普通株式
60.8%
6月以降の新規融資
301
融資残高
67
合計
約 500
優先株
21
普通株式
11.7%
融資残高
13
優先株
4
カナダ政府
支援額
オンタリオ州政府
95
資料：The White House-Press Office 09.6.1, GM広報資料 09.6.1
(注) 1.米国政府は、企業に出資する際の 4つの原則を発表した。(1) 米国政府は、企業の株式を必要な期間のみ
保有し、できる限り早期に処分する。(2) 米国政府が必要と判断した場合には、(GM の例のように) 納税者の
利益を守るためリストラ等を要求することがある。(3) 保有株式の処分が可能になれば、納税者の利益になる
よう商業ベースで処分する。(4) 株主として、取締役の選任等重要な案件には関与するが、日常業務には干
渉しない。
2.米国政府とカナダ・オンタリオ州の支援資金は、融資として残す 80億ドルを除いて、全て、新GM の普通株
式または優先株に転換する (その総額は 500億ドル超)。
3.米国政府は、株式を保有するのではなく、支援総額を融資残高として残すことも可能だが、GM は今までに
支えきれないほどの負債を負い、さらに負債を積み上げることは同じ過ちを犯すことになるので、不本意では
あるが株式を保有する (Reluctant shareholders) としている。
4.米国政府は、新GM 株式を 6～18ヶ月内に上場し、保有株式を売却する方針。
5.その他の主要利害関係者との調整結果は以下。
■VEBA と無担保債権者の、新GM での持分(億ドル)
現GM への融資、債権額
GM への債権
VEBA (UAW)
無担保債権者
(積立不足額)
無担保債権 (社債等)
新GM での持分
200
272
普通株式
17.5%
新株予約権 (Warrants)
2.5%
受取手形
25
優先株
65
普通株式
10%
新株予約権 (Warrants)
15%
(注) 1.UAW に所属する GM 従業員は、5月29日、GM と UAW が2007年に締結した労働協約を改定し、給与など
の待遇や、GM の VEBA への拠出方法を変更することを承認した。GM は、競合メーカーとのコスト上のギャ
ップを埋めることができたとしている。
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2.UAW と GM は、新VEBA (退職者医療支援基金：Voluntary Employee Beneficiary Association) を設立
する。新VEBA は、GM の普通株式 17.5% を保有し、GM 取締役 1名を選任できるが、株主としての議決権
は持たない。
3.無担保債権者の一部を代表する運営委員会は、金額ベースで少なくとも 54% 相当の債権者が、米国政府と
GM が提示した条件に合意したことを確認した。合意は、総額 272億ドルの債権を、新GM の株式 10% と
15% の新株予約権 (Warrants) に転換するとする内容。米国政府と GM は、破産裁判所に、この条件を、現
在同意していない債権者にも適用するよう申請する。
4.米国政府と GM は、当初無担保債権者 (総額 272億ドル) に、債権を GM 株式 10% に転換するとの条件を
提示したが (1,000ドルの債権に対して 225株)、必要な同意が得られなかったため、新株予約権の条項を追
加した。
5.VEBA と無担保債権者グループに与えられる新株予約権は、それぞれ新GM 発足時に発行する株式総数の
2.5% 相当分と 15% 相当分。
6.銀行が保有する担保付債権は、100% 支払われる。
7.破産法適用申請により、既存の GM 株式は価値を失う。
新GM は、米国市場規模 1,000万台で利益の出る体質に転換
新GM は、4月27日に発表した大幅リストラ計画を推進する。米国工場数は、2008年の 47 を、2010年には 34 に
削減し、2011年にはフル稼働体制とする計画。米国市場規模が年間 1,000万台で利益の出る体質に転換するとし
ている。
当初計画では低コスト国での生産を予定していた Chevrolet Cruz, Chevrolet Volt 等の省燃費の小型車を、操
業休止した米国工場を改装して、米国生産する方針も発表した。
米国市場規模 1,000万台で利益の出る体質に転換
強力なリストラを進め、コスト構造を大幅に改善し、米国市場規模 1,000万台で利益が出る (特別経費を除く
リ
EBIT ベース) 体質に転換する。ちなみに、1995～2007年の GM は、米国市場規模 1,500～1,700万台が損
ス益分岐点だった。また09年 1～5月の米国新車販売は年率約 950万台。
ト
新GM は、GM のベストブランド (Chevrolet, Cadillac, Buick, GMC) で構成し、モデル数を08年の 48 か
ラら、2010年に 34 に削減し、絞り込んだブランド/モデルへのマーケティング支援を強化する。
計販売店数を、08年の 6,246店から、2010年には約 3,600店に削減する。
画米国の時間給社員数を、08年の 61,000人から、2010年には 40,000人に削減する。北米のホワイトカラー
社員数も、08年末の 35,100人から、09年末には 27,200人に削減する。
工
場
閉
米国の完成車/プレス/パワートレインの工場数を、08年の 47 から、2010年に 34、2012年には 33 に削減
する。GM は、2011年には米国工場がフル稼働になるとしている。
鎖
と
稼 GM は 6月 1日、2011年までに閉鎖または操業休止する 14 の完成車/プレス/パワートレイン工場と、09年
働末に閉鎖する 3つの部品配送センターを発表した。完成車工場では、Pontiac 工場 (Michigan州) と
率 Wilmington 工場 (Delaware州) を閉鎖し、Orion 工場 (Michigan州) とSpring Hill 工場 (Tennessee州) を
向操業休止する。
上
■環境対応車の開発/生産に注力
環境
対応
車
GM は環境対応車開発と生産に注力し、2010年に Plug-in ハイブリッド Chevrolet Volt を発売、2012
年にハイブリッド車 14 モデルを生産し、2014年までに販売車両の 65% を代替燃料対応可能にする。
資料：GM広報資料 09.6.1
(注) 1.GM の最終リストラ計画は、4月27日に発表した計画をベースとしている。その詳細は、
2009年 6月掲載 MarkLines Report No.773 " Chrysler：連邦破産法 Chapter 11 を申請、
早期再生を企図 http://www.marklines.com/ja/report/rep773_200906#5" を参照方。
http://www.marklines.com/ja/report/rep785_200907
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2.GM の2008年米国総販売台数は 298.1万台。うち、新GM を構成する 4ブランド車の販売は、その 83.1%、
247.6万台。
3.GM は、操業を休止する米国工場を改装して、Chevrolet Cruze や Volt 等の小型車を年間 16万台生産す
ると発表した。09年 9月に操業を休止する Orion 工場、Spring Hill 工場、または09年前半に操業休止した
Janesville 工場 (Wisconsin州) などが候補とされる。
4.GM は、省燃費小型車は中国など低コスト国で生産する予定だったが、UAW が反対し、GM は UAW が労
働協約改定を受け入れることと引き換えに米国生産に変更したとされる。GM は現在、米国販売車の約 67%
を米国生産しているが、小型車を米国生産することで、2013年には 70% を超えるとしている。ちなみに、GM
の米国販売車の米国生産比率が上昇すれば、30年振りとなる。
5.トヨタと合弁の NUMMI (California州) は、売却・廃止の対象となった Pontiac ブランドの Vibe を生産して
いるが、生産車種を GMC ブランド車に変えて、合弁事業を継続する計画とされる。
破産裁判所が、GMの業務継続を承認
GM が連邦破産法を申請した 6月 1日、第 1日目の審査 (First-day motions) で、GM は破産裁判所から業務を
継続する承認を得た。
また米国政府とカナダ政府が支援する約 330億ドルの DIP ファイナンスのうち、150億ドルを使用する承認も得
て、必要経費の支払いが可能になった。
破産裁判所が、GM の業務継続を承認
DIPファ
イナン
ス
6月 1日、破産裁判所は GM に、米国政府とカナダ政府が支援する DIP ファイナンス総額 330億ドル
のうち、150億ドルまでの使用を承認した。
の使用
従業員
従業員は、従来通りの給与福利厚生等を受けられる。(新GM 発足時、従業員は新GM に移籍する予
定)
GM は、Bankruptcy 申請当日またはそれ以後に納入された部品代金については、通常通り支払うこと
サプラ
ができる (GM のサプライヤーは、米国財務省の Supplier Support Program も利用できる)。
イヤー
重要な (Essential) 部品サプライヤーおよび物流業者には、Bankruptcy 申請前に供給された商品ま
たはサービスへの支払いもできる。
GM は、顧客への品質保証の継続、および販売店へのインセンティブ支払いの継続について、破産裁
販売店判所の承認を得た。(注2)
販売金融について、GMAC の卸売りおよび小売金融を継続できる。
資料：The White House-Press Office 09.6.1, GM広報資料 09.6.1, 日経産業新聞 09.6.3
(注) 1.欧州, 中南米, アフリカ, 中近東などの GM の米国外事業は、米国での破産法適用申請に関係なく、従来通
り継続される。
2.米国政府とカナダ政府は、顧客への品質保証に対する GM 支援を継続する。米国政府は、GM への
Warranty Support Progarm に基づき、5月末に基金に 361百万ドルを拠出した。
Opel/Hummer/Saturn ブランド売却を、暫定合意
GM は、新GM が継承する主要 4ブランドを除いた残りのブランドを、売却または清算する方針。既に、欧州部門
の Opel を、Magna International に売却することで合意した。Opel には、ドイツ政府が 15億Euro をつなぎ融資す
る計画。
Magna/Sberbank が Opel に出資、ドイツ政府が Opel に 15億Euro を融資
GM Europe は、6月 1日、カナダの自動車部品メーカーで自動車組立メーカーでもある Magna International
と、ロシアの政府系銀行 Sberbank が、Opel に出資する覚書 (MOU) を締結し、またそれに伴いドイツ政府が
Opel に 15億Euro をつなぎ融資することで合意したと発表した。GM は、最終決定までには数週間かかる見込み
としているが、ドイツ政府は 6月 2日、第 1回目の 3億Euro の融資を実行した。
Opel の新たな出資比率は、Sberbank が 35%、Magna が 20%、Ople 従業員が 10% を所有し、GM も 35% の株
http://www.marklines.com/ja/report/rep785_200907
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GM：破産法適用を申請、負債を大幅削減し、コスト構造を改善マークラインズ自動車産業ポータル
主としてとどまる。Magna と Sberbank は総額 7億Euro 以上を投資する計画 (その一部はドイツ政府が保証する
予定)。
Magna International は、ロシアの政府系銀行でロシアの自動車大手 GAZ のメインバンクでもある Sberbank と
共同で、Opel 株式の過半数を取得し、ロシアでの事業を強化して Opel の業績を回復させる計画とされる。
資料：Magna International広報資料 09.5.22, GM Europe広報資料 09.6.1, 日本経済新聞 09.5.31/09.6.3
(注) 1.米国政府は、(1) 米国政府融資が GM の海外子会社救済に使われることはなく、(2) 幸いにも、海外子会社
は独力で営業を継続できるか、または Opel のように現地政府の支援を得ているとして、オーストラリア政府が
GM Australia (Holden) を支援することも明らかにした。
2.Fiat も Opel 買収の意思を表明していたが、GM とドイツ政府が 3億Euro の負担を求めたこと、Fiat はドイ
ツだけで 18,000人を削減するとの憶測が広がったこと等で、Opel 買収から撤退したとされる。
また GM は、Hummer ブランド売却を中国の Tengzhong グループと、Saturn ブランド売却を米国の大手ディーラ
ーグループ Penske Automotive Group と、暫定合意している (09年 6月発表)。
Hummer ブランド：中国の Tengzhong グループへの売却で暫定合意
GM は 6月 2日、Hummer ブランドを中国四川省の重機メーカー四川騰中重工機械 (Sichuan Tengzhong
Heavy Industrial Machinery Co.,Ltd.) に売却することで暫定合意したと発表した。四川騰中重工は、Hummer
ブランドを買収し、自動車産業に本格進出する構想。
現在の Hummer ブランドの経営陣、販売店網、生産工場を引き継ぎ、米国で 3,000人の雇用を守ることを条件
に詳細を協議中で、2009年の第 3四半期に最終決定する予定としている。
資料：GM広報資料 09.6.2, 日経産業新聞 09.6.4
Penske グループが Saturn を買収
GM と大手ディーラーグループの Penske Automotive Group は、Penske グループが Saturn を買収すること
で暫定合意した。Penske グループが Saturn ブランドの権利を取得し、GM が Saturn Aura/Vue/Outlook を受
託生産する計画。09年の第 3四半期に正式契約する予定。
GM は、この契約が成立すれば、350店の Saturn ブランド販売店と、生産・販売を合わせて 13,000人の雇用が
守られると発表した。
資料：GM広報資料 09.6.5
(注) Penske グループは、08年末時点で 304 の販売店を展開し (うち、米国で 156店)、Daimler の Smart ブランド
車の米国輸入代理店でもある。
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出典：マークラインズ
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