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CAD/CAM によるクラウンの適合性
Compatibility of the crowns using CAD/CAM
ひがし りょう た
はまぐち まさる
東 亮 太 濱口 大
あかまつ さくら
赤松 桜
さかうえ もえ か
坂上 萌花
In recent years, with the advancement of medical technology in the dental industry, all ceramic restorations
have attracted attention in dental CAD/CAM system. Recently CAD/CAM system has come into the
limelight other than the all ceramic restorations, because the national health insurance of CAD/CAM crows
using hybrid resin has been applied.
Past scanning methods have included the things using line light or stripe light. In this experiment, we
examined the compatibility of zirconia crowns and hybrid crowns using CAD/CAM system which used Blue
light emitting diode and non-contact capital 3D scanning system together.
支台歯をスキャニングシステムを用いて上顎右側第
A. 目的
一大臼歯と指定してスキャンし,セメントスペースの
厚みは 50μm および 20μm に設定してクラウンをデ
近年、歯科業界の医療技術の高度化に伴い、歯科用
ザインした.加工には歯科用ミリングマシンを用い,
CAD/CAM システムによるオールセラミック修復が注目
ジルコニアクラウンとハイブリッドレジンクラウンを
されてきた。
製作し,支台歯との適合性を測定した.実験に使用し
本実験ではブルーLED と非接触光学 3D スキャニング
た機器および材料を表に示す.
方式を併用した CAD/CAM システムを用いてジルコニア
クラウンとハイブリッドレジンクラウンの適合性につ
いて検討した。
B. 材料及び実験方法
スキャニング
システム
歯科用
ミリングマシン
試料
ジルコニア C N ジルコンパール
D -S can
D W X -50
クラウン
(カム・ネッツ)
(カム・ネッツ)
(R oland) ハイブリッド H C ブロック
レジンクラウン
(松風)
スキャニング
システム
支台歯の形状は上顎右側第一大臼歯を仮定して,高
さ 6mm,直径 10mm,ショルダー幅 1.5mm,テーパ
ー6°で,回転防止のためスライス面を付与して製作
し,スライス面を頬側とした.その後,シリコーン印
象し超硬質石膏(フジロック:ジーシー)を注入し硬化し
たものを支台歯として用いた.
(図 1)
歯科用
試料
ミリングマシン
A adva M ill LD -Ⅰ ジルコニア A adva Zr ディスク
A adva
(ジーシー) クラウン
(ジーシー)
(ジーシー)A adva M ill LW -Ⅰ ハイブリッド セラスマート
(ジーシー)レジンクラウン
(ジーシー)
測定部は近心ショルダー部(以下 A 点),近心軸面部
(以下 B 点),
咬合面(以下 C 点),
遠心軸面部(以下 D 点),
遠心ショルダー部(以下 E 点),とした.
支台歯にフィットチェッカーアドバンス:ジーシー
(以下フィットチェッカー)を A~E 点に少量付着させ,
適合させた.メーカーの指示に従い,3 分間硬化させ,
支台歯からクラウンを取り外した.クラウンの内面に
フィットチェッカーが付着していることを確認し,ク
図 1 支台歯の形状
ラウンの内面にブルーシリコーン:ジーシーを注入し,
2 分の硬化後,取り外した.フィットチェッカーが表
面に付着したブルーシリコーン製支台の中心を通過す
るよう近遠心的に半分に縦断し(図 3)
,デジタルスコ
ープ(Scopeman MSX-500Di MORITEX)を使用して
断面の A~E 点のフィットチェッカーの厚みを計測し
た.
図 3 フィットチェッカー付着後近遠心的に縦断
されたブルーシリコーン支台断面
C. 結果及び考察
D-Scan を用いたジルコニアクラウンと支台歯の A
点~E 点におけるフィットチェッカーの厚みはセメン
トスペースを 50μm に設定した場合それぞれ 167,
120,185,110,172μm であり,20μm に設定した
場合 133,48,130,48,137μm であった。ハイブ
リッドレジンクラウンと支台歯の A 点~E 点における
フィットチェッカーの厚みはセメントスペースを 50
μm に設定した場合それぞれ 192,102,183,118,
187μm であり、
20μm に設定した場合 127,
57,
134,
54,123μm であった。
Aadva を用いたジルコニアクラウンと支台歯の A
点~E 点におけるフィットチェッカーの厚みはセメン
トスペースを 50μm に設定した場合それぞれ 94,39,
128,
36,
107μm であり,
20μm に設定した場合 545,
37,527,39,510μm であった。ハイブリッドレジ
ンクラウンと支台歯の A 点~E 点におけるフィットチ
ェッカーの厚みはセメントスペースを 50μm に設定
D. 結論
した場合それぞれ 75,44,115,48,82μm であり、
20μm に設定した場合 283,35,298,42,295μm
であった。
今回使用したシステムではセメントスペースを 20
マージン部のスペースを 0mm に設定し,セメント
μm に設定することで適合性が向上したが近心およ
スペースまでの距離(transition area)を 1.0mm に設定
び遠心軸面部面でのクラウンと支台歯との間隙を考慮
したためジルコニアクラウン,ハイブリッドレジンク
するとこれ以上セメントスペースを小さく設定すると
ラウン共にマージン部のフィットチェッカーの厚みは
ショルダー部でのクラウンの浮き上がりが考えられる.
ほとんど確認されなかった.