世界のディスプレイデバイス市場の調査を実施

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富士経済 GROUP
第09075号
PRESS RELEASE
株式会社 富士キメラ総研
2009年8月31日
〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町
2-5 F・Kビル
TEL.03-3664-5839 FAX.03-3661-1414
URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
URL:http://www.fcr.co.jp/
広報部 03-3664-5697
世界のディスプレイデバイス市場の調査を実施
LCD市場は2008年、2009年と2年連続縮小、回復は2010年以降
2014年予測
3Dディスプレイ市場は1,969億円(2008年の131倍)
電子ペーパー市場は1,081億円(2008年の7倍)
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中
一志 03-3664-5839)は、年間10兆円の市場規模を有するディスプレイ関連の世界市場を調査分析した。その結
果を報告書「2009 液晶関連市場の現状と将来展望 (上・下)
」にまとめた。
上巻では、大型化やワイド化、高精細化などの各アプリケーションのトレンド、パネルメーカー別の用途別出荷
量、納入関係を把握するとともに主要パネルメーカーの事業戦略を調査分析し、下巻では、関連部材市場を広範に
網羅し、3Dディスプレイなどの次世代ディスプレイで使用される部材動向や「グリーン化(省電力化)
」の動向
を調査分析した。
<注目市場>
品
目
3Dディスプレイ
電子ペーパー
静電容量式タッチパネル
3Dディスプレイ
2008年
15億円
154億円
436億円
2009年見込
33億円
254億円
511億円
2014年予測
1,969億円
1,081億円
782億円
2008年比
131 倍
701.9%
179.4%
3D専用のディスプレイのみを対象とし、
通常のディスプレイを流用できる眼鏡を使用したアクティブ方式は含
めていない。
2009年は、3D元年と呼ばれ急激に3Dディスプレイ化の流れが強まっている。その背景として、3D映画
が増えてきたことが挙げられる。2004年∼2007年の間に7作品であった3D映画は、2008年には6作
品となり、2009年には10作品以上が上映される見込みである。FPDでは、倍速表示や Full HD化などが
急速に進み、次の技術革新のテーマとして省電力化と並んで「3D」が挙がっている。2009年内に3D対応
Blu-ray の規格化が決まる見通しで、また、2009年6月に決定した HDMI1.4 の規格では3D表示に対応するな
ど、続々と規格が決まり参入しやすい土壌が出来上がってきている。
2008年は、PCモニタ向けと公共表示・産業用途が市場を牽引している。Hyundai から初の3D対応TVで
ある「E465S」が北米と日本で販売されたもののコンテンツが未整備であることから実績は少ない。2009年は、
日立製作所が3D携帯電話「Wooo H001」を出荷しており、2010年以降も年に2∼3機種新製品が登場すると
見込まれる。2009年には、3Dカメラが登場し、それを表示するための3Dデジタルフォトフレームが期待さ
れる。まだ統一規格が無いために、当面は3Dカメラとのセット販売に留まると想定される。PCモニタは、今後
もヘビーユーザー向けに期待が持てるアプリケーションであるが、PCモニタ市場の7∼8%程度(1,000万
台前後)
の限定的な需要に留まるとみられる。
2010年からパッシブ方式の液晶TVも登場する見込みであるが、
2014年までは3Dの映像放送は非常に限定的とみられ、
ハイエンドホームシアター需要に留まると予想される。
電子ペーパー
電子ペーパーとは印刷物の利点である読みやすさと書き換え自由な電子ディスプレイの長所を組み合わせた表
示媒体である。表示方式としては「電気泳動式」
「粉体移動式」
「コレステリック液晶式」などがある。
2008年は、
数量ベースで前年比70%減の282万枚、
金額ベースで前年比21%増の154億円となった。
数量の減少は、
2007年に採用された携帯電話メインディスプレイ向けが2008年に大きく減少したためであ
る。金額の増加は、製品単価の高い電子書籍/電子辞書向けが増加したためである。SONY USA や Amazon.com の販
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売が順調なことから、
2009年以降は欧米を中心に電子書籍/電子辞書市場が年率60%で高成長していくと予
測される。今後、期待されるのが棚札/値札である。すでに実証実験は終わり実用化されており、欧州で導入が進
んでいるほか国内でも導入が始まった。今後製品単価が下がると予想され、これに伴い市場は拡大して行くと予測
される。
静電容量式タッチパネル
静電容量式とは画面などにタッチした際の電気容量の変化を検知することによってデバイスを作動させる方式
であり、基本的には人間の指にしか反応しない。静電容量式のタッチパネルは表面型と投影型がある。近年大幅に
数量を伸ばしている投影型は、
ITOなどの透明電極技術による多数の電極パターンをガラスやプラスチックなど
の基板上に作り、
指が触れるとその付近の複数の電極パターンによる電流量の比率を計測することで指の位置を精
密に判別できる。電極パターンが多いので、多点検出が可能である。
2007年に Apple が、
「iPod Touch」
、
「iPhone」で投影型静電容量式タッチパネルを採用し、既存の抵抗膜式
タッチパネルにない操作性を実現し、大ヒット商品になった。以降、同方式のタッチパネルを採用した携帯電話の
発売により市場は大幅に拡大した。従来から静電容量式が採用されている券売機や銀行ATM等の大型市場は、買
換え需要中心の市場になっているため、あまり変化のない市場となっている。
2008年は、数量ベースで前年の4倍となる4,490万枚、金額ベースで同2.5倍の436億円と大幅に増
加した。2009年に入り、静電容量式タッチパネルを搭載した携帯電話の発売が相次いでいる。Samsung EL.、
LG EL.、スマートフォン専業のHTCに加え、市場は小さいものの日本国内においてもシャープ、富士通、NEC、
カシオ日立モバイルコミュニケーションズ、東芝などが発売している。抵抗膜方式に比べ打点寿命が長いことや、
2点押しが可能なこと、より端末を薄型化できる点から、今後も携帯電話を中心に成長していくと予想される。
<調査結果の概要>
2008年第4四半期から始まった生産調整は2009年2月下旬より回復基調に入っている。
主力デバイスで
あるTFTのライン稼働率(G6以上)は6月時点で韓国メーカーが80∼90%、台湾大手が70∼80%まで
上昇しており、9月までは高稼働を維持するとの見方が多い。中国の家電普及政策(家電下郷)
、セットメーカー、
流通業者におけるリストック、北米需要の底打ちの兆しなどが要因として挙げられるが、実需の回復は2010年
以降となる可能性が高く、2009年後半の生産調整が懸念されている。需要の先行きが不透明な中、世の中の趨
勢は「低価格商品の提供」になりつつある。各種ディスプレイデバイスの価格競争も厳しさを増しており、企業間
の提携や事業規模縮小などの動きが活発化している。また、低価格商品のラインアップを強化する一方で差別化も
進んでいる。省電力化やタッチパネルインタフェースの採用、3Dディスプレイの開発が活発になっている。
●ディスプレイ市場合計
2008年
2009年見込
2014年予測
2008年比
11兆0,734億円
8兆2,466億円
11兆3,446億円
102.4%
LCD、Color PDP、無機ELディスプレイ、OLED(有機ELディスプレイ)
、VFD(蛍光表示管)
、FE
D/SED、CDT(PC用CRT)
、CPT(TV用CRT)
、DLP(Digital Light Processing)、LCOS(反
射型液晶素子)
(投射型)
、LCOS(直視型)
、電子ペーパーが対象。
2008年の主要ディスプレイデバイスの市場は、数量で横ばいの約37億7千万枚、金額では前年比9.9%
減の11兆734億円に低下した。近年は年率二桁成長を続けてきたが、デバイス単価の下落と不況による需要減
少により状況は一変している。とくにLCDの減少幅が大きく、2008年は約1兆円減少した。
品 目
LCD
PDP
OLED
LCD
2008年
9兆7,980億円
6,879億円
620億円
2009年見込
7兆1,956億円
6,032億円
688億円
2014年予測
10兆1,172億円
6,863億円
2,471億円
2008年比
103.3%
99.8%
398.5%
TFT、STN、TNを含めた2008年のLCD総市場は、金額ベースで2008年比9.2%減の9.8兆円
となった。2008年第3四半期から顕在化したTFTの在庫調整は不況による在庫圧縮と重なり、劇的な単価下
落が進行した。在庫はTV、モニタ向けのパネルは2008年末で解消、ノートパソコン向けは2009年3月頃
本件に関するお問合せ:広報部 (Tel.03-3664-5697 Fax.03-3664-5842またはmail address:[email protected])
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に解消されている。2009年1月からは大型TFTの価格は上昇基調で推移している。また、モニタ需要は低迷
しているが、
TV、
ノートパソコン需要が好調で、
大型TFTの枚数ベースでは前年比プラスとなる見込みである。
しかし、1月時点の価格水準が低すぎることから、市場は金額ベースで前年比26.6%減の約7.2兆円まで縮小
すると見込まれる。2010年は価格の安定により、8兆円台まで回復すると予測される。
PDP
2008年は金額ベースで前年比7.2%減の6,879億円、
数量ベースで同21.3%増の1,480万枚が見
込まれる。パネル価格が2007年より続落しているが、42インチ以上で Full HD化が進んだため平均単価の
下落は2007年よりも緩和され、一桁のマイナスにとどまった。2008年に限っては32インチが健闘したた
め、PDP市場全体に占める30インチクラスの割合が増加した。FullHD化は40インチ以上で進んでいる。
日立製作所とパイオニアがモジュール生産より撤退したことで、
2009年4月以降は量産メーカーが3社に減
った。残った3社についても、新規設備投資を中止あるいは一部先送りの方針を打出すなど、ネガティブな要素が
クローズアップされた。市場は2008年後半からの不況により、2009年は金額ベースで前年比12.3%減
の6,032億円、数量ベースで同1.4%減の1,460万枚が見込まれる。
OLED(有機ELディスプレイ)
2008年は前年比6.9%増の620億円となった。2008年後半からの世界的な不況の影響もあり、セッ
ト機器の動きが鈍化し、OLEDパネルの出荷も低調に推移している。2009年に入っても稼働率は上がってい
ない。携帯電話、携帯オーディオ向けで小型AM(アクティブマトリクス)OLED市場はSMDを中心に動きが
出てきたが、全体としては拡大の兆しは見えていない。量産当初から日本メーカーを中心に展開されてきたが、近
年は韓国、台湾メーカーが台頭し、特に小型パネルでシェアを拡大している。AMOLEDの16インチ以上の市
場は未だ立ち上がっていないが、
2010年から2011年にかけてソニーが21インチ程度のTVを投入する可
能性が高いと予測される。PMフルカラーは2009年以降も携帯電話サブディスプレイ、携帯オーディオ向けの
需要に牽引されると予測される。
<調査対象>
1.ディスプレイデバイス(18品目)
2.アプリケーション(23品目)
3.LCD関連部材(28品目)
4.PDP関連部材(9品目)
5.有機EL関連部材(8品目)
6.その他ディスプレイ関連部材(7品目)
7.次世代ディスプレイ関連部材(4品目)
8.パネルメーカー事業戦略事例分析
LCDメーカー(7社)
PDPメーカー(3社)
OLEDメーカー(5社)
電子ペーパー(3社)
次世代ディスプレイ(2社)
<調査期間>
2009年4月∼7月
<調査方法>
富士キメラ総研専門調査員による調査対象・関連企業に対してのヒアリング取材及び富士キメラ総研社内
データベースの活用による調査・分析
以上
資料タイトル:
「2009 液晶関連市場の現状と将来展望 (上・下)
」
体
裁 :上巻:A4判 351頁
下巻:A4判 399頁
価
格 :各巻95,000円(税込み99,750円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03-3664-5815 FAX:03-3661-5134
発 行 所 :株式会社 富士キメラ総研
〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
TEL03-3664-5839(代) FAX 03-3661-1414 e-mail:[email protected]
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