活性汚泥の沈降特性と汚泥容量指標(SVI) 1 エアレーションタンクでの浄化後,活性汚泥混合液は最終沈殿地において,処理水と汚泥とに分離される (固液分離).固液分離が不完全な場合には,処理水質の悪化を招くことになるため,汚泥の沈降特性は極 めて重要である.汚泥容量指標(Sludge Volume Index : SVI)は,活性汚泥の沈殿特性を表す指標として,一般 に広く用いられているものである.通常, SVI は 100 程度であることが望ましい.バルキング状態にある汚 泥は密度が小さく沈降性が悪い. 1.1 沈 降 速 度 と SVI 1.1.1 分 析 方 法 1) 器 具 メスシリンダー(1ℓ),ストップウォッチ 2) 分析操作 ①汚泥 1ℓをメスシリンダーにとる. ②良くかき混ぜ,実験を開始し,時間の経過に伴う界面高の変化を記録する.汚泥の濃度により沈降速度 は大きく異なるので,適宜読みとり間隔を調整すること(沈降測度が速い場合は短く,遅い場合は長く). 界面高がほとんど変化しなくなった時点をもって実験修了とする(実験開始後 50 60 分くらい). ③横軸に時間,縦軸に界面高をプロットし,沈降曲線を描く. ④沈降曲線の初期の傾きから,界面沈降速度(Vs)を求める. ⑤また,次式により SVI を計算する. 汚 泥 界 面 高 さ cm SV30 (%) × 10, 000 MLSS(mg / ) a a SV 30(v/v%) = × 100 = 1,000 10 SVI = a : 沈降開始 30 分 後の汚泥の占める容積(㎖) 時間(分) ※汚泥界面高さ:シリンダー底面から界面までの高さ 1.1.2 注 意 ①試料は各班 1 検体とする. ②MLSS は,次頁の方法で測定する. 1.1.3 結 果 の ま と め SVI の意味,分析結果およびグラフ化,計算過程,考察,感想を記述する. 1 蒸発皿 活 性 汚 泥 浮 遊 物 質 (MLSS: Mixed Liquor Suspended Solids) 1.2 1.2.1 分 析 方 法 1) 器 具 沈殿管(50 ㎖),メスシリンダー,蒸発皿(100 ㎖),遠心分離器,ウォーターバス,乾燥器 2) 分析操作 ①正確かつ迅速に試料 40 ㎖を測り,これを沈殿管に入れる.試料数は各班 3 検体とする. ②遠心分離器で 3,000rpm , 3 分間遠心分離する. ③上澄み液を静かに捨て,沈殿物に蒸留水を加え,ガラス棒で良くかき混ぜる. ④再度,②と同様に遠心分離する. ⑤沈殿物をできるだけ少量の蒸留水で,別途重量を測っておいた蒸発皿に流し込む. 沈殿管 ⑥ウォーターバス上で蒸発乾固し,蒸発皿外部の水滴をキムワイプでふき取った後,これを乾燥器にいれ る(建設材料実験室の乾燥器を使用する). ⑦105 110℃で 1 時間乾燥する. ⑧乾燥後,蒸発皿をデシケーターに入れ放冷する. ⑨蒸発皿外部のよごれ・付着物等をキムワイプできれいにふき取った後,蒸発皿の重量を測る. 前後の差(a : ㎎)を求め,次式により MLSS を計算する. MLSS(mg / ) = a(mg) × 1,000 V(m) V: 試料量(40 ㎖) ⑩重量測定後,蒸発皿をよく洗浄する. 1.2.2 注意 ①代表者(1)は分析操作⑧を,班を代表して行う.また同様に, デシケーター ②代表者(2)は当日もしくは翌日の都合のいい時間に,分析操作⑨と⑩を行う. ③沈降性の良い汚泥の場合には,試料濃度を均一にするため,サンプリングは迅速に行なう必要がある. ④蒸発皿は直接手で取り扱わない.必ず蒸発皿バサミを使用する. 2 浄化反応試験 2 好気性微生物(活性汚泥)は酸素を利用した好気性代謝において,水中の有機物(下水,汚濁物質)を除 去する.本試験では,有機物指標として水の紫外部吸光度を測定し,時系列変化を観測する. 本テーマは二つの班が共同・協力して行う. 浄化反応 2.1 2.1.1 分 析 方 法 1) 器 具 模擬エアレーションタンク( 5ℓ),ストップウォッチ,ろ過装置,ガラス繊維ろ紙,ビーカー( 500 ㎖), メスシリンダー( 100ml ),コンプレッサー 2) 準 備 洗浄活性汚泥を用意する. ①活性汚泥を沈殿させ,上澄み液を捨てる. ②これに蒸留水を加え,良く撹拌する. ③再度沈殿させ,上澄み液を捨てる. ④適当な汚泥濃度になるように,蒸留水を加え良くかき混ぜる. ⑤十分曝気する.(実験期間中も曝気を続ける) 3) 分析操作 2.1.2 浄化試験 ①洗浄活性汚泥 3ℓを正確に計量し,模擬エアレーションタンクにいれる. ②暴気を開始する. ③別途,ろ過装置を組み立てておく. ④基質(模擬廃水) 100 ㎖を正確に計量し,エアレーションタンクにいれる.基質と汚泥が良く混合され るのを待って( 5 秒くらい),実験を開始する(この時を時間ゼロとする).ただちにサンプル 20 30 ㎖程度(適当でよい)を採取する. ⑤サンプルをろ過装置にかけ,ろ過する(後でまとめて水質測定するので,ふたをしてとっておく).余 ったサンプルはエアレーションタンクに返す. ⑥ろ過装置を水洗浄の後,蒸留水洗浄し,キムワイプで完全に水滴をふき取り,再び組み立てる. ⑦同様な作業を 10 分間隔で, 50 分まで継続する. ⑧40 分のサンプル採取が終了した時点で,ろ過試料の水質測定を開始する. データ一覧 2.1.3 2.2 時間 ABS 水質測定 0 紫外部吸光度測定を参考のこと. 10 20 2.1.4 結果の整理 30 ① データ一覧表を作成せよ. 40 ② 片対数グラフ用紙を用意し,横軸に経過時間(分),縦軸(対数目 50 3 C C/C0 ln(C/C0) 盛)に C/C0 をとり,グラフ化せよ. ただし, C0: 時間ゼロ時の基質濃度(BOD), C: 10 分間隔で採取したサンプルの基質濃度(BOD) ③浄化反応を 1 次反応で表すと,次式のようになる. dc = −k1× c dt ここで, k1: 基質除去速度定数( 1/min ), t: 経過時間( min ) 次式を参考に基質除去速度定数( 1/hr )を求めよ. C = C 0 × exp(−k1× t ) [結果のまとめ] データ一覧表の作成,グラフ化,計算過程,計算結果,考察,感想を記述する. 2.2 紫外部吸光度測定 器 1) 具 吸光度計,吸収セル ※吸光度計のセルは高価なため,特に慎重に操作すること. 分析操作 2) ①ろ過試料をこぼれないようにセルの中に入れる.セルの高さの 7 9 割程度であればよい. ②セルの外側側面に試料がこぼれた場合は,軽くセルの表面をなでるようにキムワイプで完全にふき取る. この時絶対に強くこすってはいけない.また,試料温度が低い場合はセル外側が曇ることがあるので, この場合もやさしくふき取る. ③セルを吸光度計にセットし, 260nm での吸光度を測定する.値を記録する. ④一つの試料の測定が終了したら,セル内の試料を捨て,蒸留水でセルを 2 回洗う. ⑤セル周りの水滴を,キムワイプで完全にふき取る. ⑥次の試料を入れ,以下同様に分析する. ⑦以下の式に従い,吸光度(λ)を BOD に換算せよ. BOD(mg / l) = a + b × λ 2.3 λ:吸光度,係数 a= 2.0 , b= 21 活性汚泥の顕微鏡観察 活性汚泥を検鏡し,フロックの状態,出現する生物等を観察し,スケッチする. 4
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