高臨場感3次元映像技術(1) 情報量の変化 テレイマージョン 講義内容

情報量の変化
ネットワーク社会を支える情報技術入門Ⅲ
・キロ 103 1980年代 テキスト情報
原稿用紙=400X2=800バイト
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・メガ 10 1990年代 画像情報
画像=1000X1000X3=3Mバイト
画像
イト
・ギガ 109 2000年代 動画情報
動画=DVD 4.7Gバイト
・テラ 1012 2010年代 時空間情報
3次元ビデオ、VR
高臨場感3次元映像技術(1)
~没入型映像提示技術~
没入型映像提示技術
小木哲朗
慶應義塾大学
システムデザイン・マネジメント研究科
空間情報の伝送、共有
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講義内容
テレイマージョン
- 没入型・臨場感映像通信
・没入型映像の歴史
・種々の没入型映像提示技術について
・没入型映像提示技術の今後
資料 http://lab.sdm.keio.ac.jp/ogi/tsukuba/IT3-2011.01.24.pdf
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バロック天井装飾画
ラスコー洞窟の壁画
・17世紀ローマで発達したバロック様式の天井画
…. 神の賛歌を表現
z 南フランス・ラスコー(Lascaux)
1万8千年前の壁画、暗闇に浮かぶ色彩画
- 人類最古の芸術、想像力の獲得
- 知識伝承の場(仮想空間)として利用(ファイファーの学説)
ガレリア・ファルネーゼ
天井装飾画
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システィーナ礼拝堂
天井画
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パノラマ(Panorama)18~19世紀
屏風図(江戸時代)
保元平治の乱合戦屏風図
Robert Barker:エディンバラのパノラマ (1787)
江戸図屏風
レクタースクェアの円形ホール
- 2層の円形ホール
- 2つの作品展示
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パノラマのコンテンツ
パノラマのイルージョン
・展覧台までの暗闇の通路
・展覧台と絵の間の距離によりキャンバスを意識させない
・人工物による前景
・屋根と天幕により光源を隠す
・寺院の塔など現実の世界を模した展覧台
….等
・風景の描画:都市の描画、観光宣伝、植民地政策との結びつき
・戦争のテーマ:政策的なプロパガンダとしての利用
ロンドンのパノラマ
ワーテルローの戦いのパノラマ
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パノラマ産業
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ムービング・パノラマ
・画家の作品からチームの作業へ
・企業家、資本家、建築家、
作業チーム等の資本主義的組織
・1850年代、株式会社の設立
(ベルギ パノラマ社等)
(ベルギーパノラマ社等)
z Mareorama(1900年)
- 客船型の観覧台
- ピッチング、ローリングの動き
ピッチング ローリングの動き
・標準規格の制定
(高さ15m、円周220m等)
・複数都市での巡回展示、国際的な配給網の整備
・短期間での作品製作、仮設の円形展示場の使用
- 15m×750mの2対のロール式の絵
- マルセイユから横浜までの航路風景
- 送風機による潮の香り
- 照明による太陽の動き
・19世紀後半には万国博覧会で多数のパノラマ館が登場
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映画の歴史
映画館の大型化
- スクリーンサイズの大型化
シネスコサイズ(1:2.35)、ビスタサイズ(1:1.85)
- 1891年 エジソン キネトスコープの発明
のぞきからくり方式
- 1895年 リュミエール兄弟 シネマトグラフの発明
スクリーン投影式の映写機の製作
世界初の商業映画「リュミエール工場の出口」
- 1897年 パリに最初の常設映画館
- 1911年 ハリウッド撮影所の開設
ヴァージンシネマ海老名
22.6m×9.5m(シネスコサイズ)
キネトスコープ
シネマトグラフ
新宿ミラノ座
20.2m×8.85m(ビスタサイズ)
「リュミエール工場の出口」
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3D映画
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IMAX(Image Maximum)
zIMAX社開発の大型映像投影システム
1970年大阪万博で披露
IMAXフィルム(35mmフィルムの約10倍のサイズ)
巨大スクリーン(高さ16m×幅22m:通常映画館の約10倍)
Jim the Penman (1915)
最初の3D商業映画
アナグリフ方式
13日の金曜日Part3 (1982)
第二次ブーム
偏光方式
ブワナの悪魔 (1952)
第一次ブーム
偏光方式
アバター
デジタル3D
(2009)
トイストーリー(1995)
フルCG作品
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IMAX 映画
IMAXの発展
zIMAX 3D
立体視映像
偏光方式、時分割方式
zIMAX Dome
ドーム状の全天周映像
z IMAX DMR技術
- 35mm映画をIMAXフォーマットへ
- IMAXとワーナーブラザースの提携
- ドキュメンタリー映画からハリウッド映画へ
-「Avatar」等ではIMAX 3D
1973年 OMNIMAX開発
1981年 ポートアイランド博
Harry Potter and the
Prisoner of Azkaban
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The Polar Express
Avatar
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愛・地球博:「地球の部屋」
ドーム映像
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- 長久手日本館(2005年)
1939年 ニューヨーク世界博 Vitarama 最初のドームシアター
1970年 日本万国博 みどり館、ペプシ館等のドーム映像
1973年 OMNIMAXの開発
1981年 ポートアイランド博 ポートラマ、OMNIMAX
1985年 筑波科学博 スーパードーム21、OMNIMAX-3D
Vitarama
ポートラマ
大阪万博 ペプシ館
12台のプロジェクタで全天周デジタル映像
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プラネタリウム
高解像度ドーム映像
- 1923年 ツァイス社(ドイツ)による発明
- 1937年 大阪市立電気科学館に日本初のプラネタリウム設置
- 1960年代 国産メーカーのプラネタリウムの設置
五藤光学研究所、ミノルタ等
- 1990年代 デジタル・プラネタリウムへ
デジタル プラネタリウムへ
- 2009年 日本科学未来館 4K立体映像
ツァイス社
ZeissⅠ
光学式プラネタリウム
INFINIUM
デジタルプラネタリウム
Super-MEDIAGLOBE
z日本科学未来館「ドームシアターガイア」 (2007)
4K立体視プラネタリウム
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プラネタリウム・ドーム映像
Virtual Reality
プラネテス
(2005)
- HMDからIPT(immersive projection technology)へ
広視野角、立体映像、インタラクション
ウルトラマン
ティガ
(2005)
宇宙未知への大紀行
(2003)
Explorers of Mauna
Kea(2004)
VPL
Eyephone
University of Illinois
CAVE (1993)
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CAVE の映像体験
CAVE型ディスプレイ
仮想都市のウォークスルー
CABIN (1997, 東京大学)
分子シミュレーションの可視化
K-Cave (2008, 慶應大学)
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Wall型ディスプレイ
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CDF
- 4096x2160の4K立体視プロジェクタ
Heyewall
Fraunhofer IGD
プロジェクタ48台
Power Wall
Fakespace
プロジェクタ2台 or 3台
(2008, 慶應大学)
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曲面型ディスプレイ
タイルドディスプレイ
- ソリッドレイ アーチスクリーン
- 複数枚の液晶モニタで高解像度ディスプレイを構成
University of Illinois
慶應大学
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球面型ディスプレイ
オーロラビジョン
- 松下電工汐留シオサイト:CyberDome
- LEDディスプレイ(三菱電機)
香港シャティン競馬場
70.4m×8m
直径8.5m
18台のプロジェクタ
東京ドーム
30m×7.4m
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パブリック・メディア
街頭ビジョン
- インタラクティブ映像
新宿アルタビジョン
(1980年、ハイビジョン2001年)
- みらいチューブ(みなとみらい駅)
カメラセンサで人に反応
- 丸の内カフェ
携帯電話でリクエスト
渋谷Q-Front Q’S EYE
(2000年)
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まとめ
・パノラマからIMAX、ドーム映像、IPT等にみる没入型映像
投影技術の歴史について概観した
・絵画からフィルム映像
絵画からフィルム映像、デジタル映像への映像源の変化
デジタル映像への映像源の変化
と、それに伴う映像提示技術の変化について説明した
・シアターからスタジアム、街頭ビジョン、パブリックメディア
等の没入型映像の利用の拡大について述べた
資料 http://lab.sdm.keio.ac.jp/ogi/tsukuba/IT3-2011.01.24.pdf
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