愛川町行政手続等における情報通信の 技術の利用に関する条例の解説

愛川町行政手続等における情報通信の
技術の利用に関する条例の解説
愛川町行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例の解説
第1条(目的)関係
(目的)
第1条
この条例は、町の機関に係る申請、届出その他の手続等に関し、電子情報処理
組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができる
ようにするための共通する事項を定めることにより、町民の利便性の向上を図るとと
もに、行政運営の簡素化及び効率化に資することを目的とする。
【条例の目的】
本条は、「愛川町行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例」の制定目的を明ら
かにしたものです。
本条例は、条例等に基づく手続をオンライン等により行えるようにするための共通事項を定め
るもので、町民皆さんの利便性の向上と行政運営の簡素化、効率化を目的とします。
【オンライン化法との関係】
本町が関係する行政手続等で法令(法律及び法律に基づく命令)により書面が必要とされるも
のについては、行政手続等における情報通信技術の利用に関する法律(以下「オンライン化法」
という。)により、既にオンライン化が可能になっており、この条例は、オンライン化法が適用
されない条例等に基づく手続等についてオンライン化を可能にするものです。
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第2条(定義)関係
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところ
による。
(1)
条例等
本町の条例、規則(地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号。以下「法」と
いう。)第138条の4第2項に規定する規程その他の町長以外の町の機関の定め
る規則又は規程を含む。以下同じ。)及び地方公営企業法(昭和 27 年法律第 292 号)
第10条に規定する企業管理規程並びに事務処理の特例に関する条例(平成 11 年神
奈川県条例第 41 号)及び神奈川県教育委員会の事務処理の特例に関する条例(平成
11 年神奈川県条例第 46 号)による町が処理することとされた事務について規定す
る神奈川県の条例及び神奈川県の執行機関の規則をいう。
(2)
町の機関
法第2編第7章に基づいて設置される本町の執行機関、水道事業所、
消防本部(消防署を含む。)、議会若しくはこれらに置かれる機関をいう。
(3)
書面等
書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等
人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をい
う。
(4)
署名等
署名、記名、自署、連署、押印その他氏名又は名称を書面等に記載する
ことをいう。
(5)
電磁的記録
電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することが
できない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供される
ものをいう。
(6)
申請等
申請、届出その他の条例等の規定に基づき町の機関に対して行われる通
知をいう。
(7)
処分通知等
処分(行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。)の
通知その他の条例等の規定に基づき町の機関が行う通知(不特定の者に対して行う
ものを除く。)をいう。
(8)
縦覧等
条例等の規定に基づき町の機関が書面等又は電磁的記録に記録されてい
る事項を縦覧又は閲覧に供することをいう。
(9)
作成等
条例等の規定に基づき町の機関が書面等又は電磁的記録を作成し、又は
保存することをいう。
(10) 手続等
申請等、処分通知等、縦覧等又は作成等をいう。
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【用語の定義】
本条は、この条例に使われている用語のうち、誤解を招く恐れのある用語について共通の認識
を持つ必要があるため、その定義をすることにより、それぞれの意味を明らかにするものです。
なお、規定にあたっては、オンライン化法第2条、行政手続条例第2条を参考にしています。
【対象機関】
オンライン化法は、同法が適用される「行政機関等」の中に地方公共団体又はその機関を含め
ており、手続等のオンライン化はすべての機関が対象とされています。
本町におけるオンライン化のための法的な条件整備にあたっても、同法に準じて、町のすべて
の機関を対象とすることが適当です(第2条第2号)。
【電磁的記録】
ハードディスク、フロッピーディスク、MO、CD-ROM(CD-R、CD-RW)、磁気
テープ、録音テープなどの媒体に記録され、その内容の確認に再生用の機器を用いる必要がある
記録です(第2条第5号)。
【対象手続等】
オンライン化法との整合性を図るため、この条例の対象となる手続等は法に準じて規定する
ものです。具体的には「申請等」
「処分通知等」
「縦覧等」「作成等」の4つの類型を設け、これを
併せて「手続等」とします。この「手続等」は、行政手続法や行政手続条例にいう申請、届出、
処分、行政指導に限らず、ほとんどすべての行政手続を含むものです(第2条第6号から第10
号まで)。
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第3条(電子情報処理組織による申請等)関係
(電子情報処理組織による申請等)
第3条
町の機関は、申請等のうち当該申請等に関する他の条例等の規定により書面等
で行うこととしているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、規則等(規
則及び企業管理規程をいう。以下同じ。)で定めるところにより、電子情報処理組織
(町の機関の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と申請等をす
る者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)
を使用して行わせることができる。
2
前項の規定により行われた申請等については、当該申請等を書面等で行うものとし
て規定した申請等に関する条例等の規定に規定する書面等で行われたものとみなし
て、当該申請等に関する条例等の規定を適用する。
3
第1項の規定により行われた申請等は、同項の町の機関の使用に係る電子計算機に
備えられたファイルへの記録がされた時に当該町の機関に到達したものとみなす。
4
第1項の場合において、町の機関は、当該申請等に関する他の条例等の規定により
署名等をすることとしているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、氏名
又は名称を明らかにする措置であって規則等で定めるものをもって当該署名等に代え
させることができる。
【オンライン化、電子化可能規定-共通-】
本条から第6条までは、個別条例の規定により書面で行うこととされている手続等について、
オンライン化及び電子化を可能にすることを定めるものです。
条例等において「書面」を意味する用語(書類、文書、原本、○○書、○○証、○○状等)は
「有体物である紙」を意味するものと解されており、この用語を用いた申請その他の手続等につ
いては、解釈上オンラインあるいは電子化による手続が認められていません。そこで、これらの
規定にかかわらず、オンラインや電子化によることを可能とする特例規定を設け、既存の条例等
を改正することなく、オンライン又は電子化による手続を可能にするものです(第3条から第6
条まで)。
【申請等のオンライン化】
本条は、申請等についてのオンライン化を可能にする規定です。
申請書に添付する書類についても、この規定により電子化し、オンラインで送信できることに
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なります。
オンライン申請等に用いる電子情報処理組織としては、基本的には町の機関のコンピュータと
申請等をする方のパソコンがインターネットで接続されているものを想定しています。
また、このオンライン化可能規定は、町の機関がオンラインで申請等を受け付けることができ
ることを定めるもので、ただちに町の機関が全ての手続についてオンライン申請への対応を義務
づけられるものではありません。オンライン申請の実現にあたっては、対象となる手続の選定を
行い、システム整備等を行うなど準備が整った手続から順次オンライン化を図っていくものです。
この規定に基づき、規則で定める事項については、オンライン化する手続、使用する電子情報
処理組織の内容・申請等の方法(入力すべき事項、入出力装置の技術的基準(または基準の制定
方法)等)を想定しています(第3条第1項)。
【書面みなし規定】
オンライン化を可能にした手続について、オンラインで行われた場合も書面で行われた場合と
同様のものとみなし、書面で行うことを前提にした既存の規定をオンライン手続にも適用します
(第3条第2項)。
【到達時期規定】
オンラインで申請等が行われた場合の到達時期について、疑義を避けるため、電子計算機に備
えられたファイルに記録された時に到達したものとみなすこととします(第3条第3項)。
【署名等代替可能規定について】
書面で行う場合に、署名・押印を要することが義務付けられている場合に、オンラインで行う
際の氏名又は名称を明らかにする措置を規定し、その措置をもって書面の場合の署名・押印に代
えることができるものとします。
具体的な措置の内容は規則で定めることになりますが、電子署名(電子署名に係る地方公共団
体の認証業務に関する法律第2条第1項、電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項)の
付与、又は ID 及びパスワードの利用を想定しています(第3条第4項)。
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第4条(電子情報処理組織による処分通知等)関係
(電子情報処理組織による処分通知等)
第4条
町の機関は、処分通知等のうち当該処分通知等に関する他の条例等の規定によ
り書面等で行うこととしているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、規
則等で定めるところにより、電子情報処理組織(町の機関の使用に係る電子計算機と
処分通知等を受ける者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報
処理組織をいう。)を使用して行うことができる。
2
前項の規定により行われた処分通知等については、当該処分通知等を書面等で行う
ものとして規定した処分通知等に関する条例等の規定に規定する書面等で行われたも
のとみなして、当該処分通知等に関する条例等の規定を適用する。
3
第1項の規定により行われた処分通知等は、同項の処分通知等を受ける者の使用に
係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該処分通知等を受ける
者に到達したものとみなす。
4
第1項の場合において、町の機関は、当該処分通知等に関する他の条例等の規定に
より署名等をすることとしているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、
氏名又は名称を明らかにする措置であって規則等で定めるものをもって当該署名等に
代えることができる。
【処分通知等のオンライン化】
本条は、処分通知等のオンライン化等を定めるものです。
オンラインによる処分通知等について、通知先の方の同意を要するものとはしていませんが、
オンライン環境にない場合には処分通知が到達せず、処分自体が効力を生じませんので、通知先
の方の保護に欠けることにはならないものと考えています。ただし、重要な処分通知等で、通知
先の方の同意を得る必要があると判断する場合は、規則において承諾又は同意を要件として定め
ることになります。
処分通知等をオンラインで行うか否かについては町の機関に裁量権を認めており、通知先の方
からオンラインによる処分通知等を請求することを認めたものではありません(第4条第1項)。
【町の機関の署名等に代わるもの】
規定の趣旨は第3条第4項と同様です。この規定は、条例等の規定により町の機関が署名等を
することが義務付けられている場合に適用されます(第4条第4項)。
※その他の事項は、第3条の解説を参照してください。
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第5条(電磁的記録による縦覧等)関係
(電磁的記録による縦覧等)
第5条
町の機関は、縦覧等のうち当該縦覧等に関する他の条例等の規定により書面等
で行うこととしているもの(申請等に基づくものを除く。)については、当該条例等
の規定にかかわらず、規則等で定めるところにより、書面等の縦覧等に代えて当該書
面等に係る電磁的記録に記録されている事項又は当該事項を記載した書類の縦覧等を
行うことができる。
2
前項の規定により行われた縦覧等については、当該縦覧等を書面等で行うものとし
て規定した縦覧等に関する条例等の規定に規定する書面等で行われたものとみなし
て、当該縦覧等に関する条例等の規定を適用する。
【縦覧等の電子化】
本条は、縦覧等の電子化を定めるものです。
申請等や処分通知等ではオンラインによる手続について「書面等の手続に代えて」とは規定し
ないで、書面による手続もオンラインによる手続もどちらもできることとしていますが、縦覧等
については電磁的記録で縦覧等を行えば書面による縦覧等を併せて行う必要は乏しいものと考
えられますので、併用する必要がないことを明らかにするため、「書面等の縦覧等に代えて」と
規定しています。
書面等に係る電磁的記録に記録されている事項の縦覧を行う場合として、インターネット上に
掲載し不特定多数の方に縦覧等を行う方法が想定されますが、オンライン環境にない場合には利
用できません。具体的な方法は規則で定めることになりますが、行政機関等の事務所に設置する
電子計算機を使用して縦覧等に供する方法又は電磁的記録に記録されている事項をプリントア
ウトして当該書類を縦覧に供する方法から、当該縦覧等の内容・実情に応じて、適切に行えるも
のを選択します。
なお、申請等に基づく縦覧等については、オンライン化法と同様、この規定によらず、第3条
(申請等のオンライン化)及び第4条(処分通知等のオンライン化)を適用することになります。
※ 書面みなし規定は第3条の解説を参照してください。
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第6条(電磁的記録による作成等)関係
(電磁的記録による作成等)
第6条
町の機関は、作成等のうち当該作成等に関する他の条例等の規定により書面等
で行うこととしているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、規則等で定
めるところにより、書面等の作成等に代えて当該書面等に係る電磁的記録の作成等を
行うことができる。
2
前項の規定により行われた作成等については、当該作成等を書面等で行うものとし
て規定した作成等に関する条例等の規定に規定する書面等で行われたものとみなし
て、当該作成等に関する条例等の規定を適用する。
3
第1項の場合において、町の機関は、当該作成等に関する他の条例等の規定により
署名等をすることとしているものについては、当該条例等の規定にかかわらず、氏名
又は名称を明らかにする措置であって規則等で定めるものをもって当該署名等に代え
ることができる。
【作成等の電子化】
本条は、作成等の電子化を定めるものです。
帳簿や台帳等の書面の作成が条例で規定されている場合について、帳簿、台帳等の書面に代え
て電磁的記録の作成等を行うことができるとするものです。縦覧等と同様、作成等についても書
面の作成を併用する必要はないと認められるため、「書面等の作成等に代えて」と規定していま
す(第6条の第1項)。
※ 書面みなし規定及び署名等代替可能規定については、第3条の解説を参照してください。
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第7条(手続等に係る情報システムの整備等)関係
(手続等に係る情報システムの整備等)
第7条
町は、町の機関に係る手続等における情報通信の技術の利用の推進を図るため、
情報システムの整備その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2
町は、前項の措置を講ずるに当たっては、情報通信の技術の利用における安全性及
び信頼性を確保するよう努めるものとする。
3
町は、町の機関に係る手続等における情報通信の技術の利用の推進に当たっては、
当該手続等の簡素化又は合理化を図るよう努めるものとする。
【情報システムの整備】
本条は、オンライン化、電子化を推進するに当たり町が講ずべき措置について定めるものです。
町は、町の機関が行う手続等のオンライン化の推進に当たり、通信における盗聴や改ざんを防
止するための措置を講じるなどのセキュリティを確保するとともに必要な整備に努め、手続その
ものの簡素化・合理化を図ることとしています。
第8条(手続等に係る電子情報処理組織の使用に関する状況の公表)関係
(手続等に係る電子情報処理組織の使用に関する状況の公表)
第8条
町長は、町の機関が電子情報処理組織を使用して行わせ又は行うことができる
申請等及び処分通知等その他この条例の規定による情報通信の技術の利用に関する状
況について、インターネットの利用その他の方法により、毎年度、公表するものとす
る。
【オンライン化推進状況の公表規定】
本条は、オンライン化された手続等の利用状況を公表することを定めるものです。
町民皆さんに分かりやすいよう、町の機関が行う手続等でオンライン化されるものについて一
覧性をもって公表することを規定するものです。
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第9条(委任)関係
(委任)
第9条
この条例の施行に関し必要な事項は、規則等で定める。
【規則の規定事項】
本条例は、手続のオンライン化を定めていますが、条例に規定することがなじまない事項や詳
細な手続等は規定していませんので、条例の施行に関し必要な事項は別に規則などを作成するこ
とを定めるものです。
規則で定める事項は概ね次のとおりです。
○申請等
オンライン化対象手続
使用する電子処理組織の内容・申請等の方法
電子署名の要否、電子署名の内容・レベル
○処分通知等
オンライン化対象手続
使用する電子処理組織の内容・処分通知等の方法
電子署名の内容・レベル
○縦覧等
電磁的記録による縦覧等の対象手続
使用する電子処理組織の内容・縦覧等の方法
○作成等
電磁的記録による作成等の対象手続
使用する電子処理組織の内容・作成等の方法
電子署名の内容・レベル
※電子署名に関しては、これを要しない場合など規定が不要となる場合があります。
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