西和賀きのこ観光農園組合【岩手県】

事業期間中の具体的な取組と結果
西和賀きのこ観光農園組合【岩手県】
応募事業名:「雪に克ち、自然エネルギーを活かす」多雪地型ハウスの開発・施工およびきのこ栽培・乾燥加工の事業化
事業分野:農業、環境、技術・ノウハウの販売
連携体団体【事業管理者名】
(構成員)
:
【有限会社薄井組】
(株式会社近藤設備、羽柴興業)
取組の背景
【雪感想状況】
昨年及び今年の冬季においては、各地で大雪による被害が報じられておりますが、県
内でも屈指の豪雪地帯の西和賀地域でも、大雪により倒壊するパイプハウスが多く発生
しております。このような大雪にも耐えられる構造を改良した耐雪型のパイプハウスの
ニーズが求められています。有限会社薄井組では、雪エネルギーを農業分野に活用し、省
エネルギー及び省コストに繋がる雪冷房の活用によるシイタケ栽培の試験を実施してき
ており、昨年夏の猛暑においても100 %雪冷房だけの空調で大きな成果を上げておりま
す。また羽柴興業では地中熱利用の研究に取組んでおり、夏季だけでなく冬季にも自然
エネルギーを活用した設備の開発に取組んでおります。そこで、このような自然エネル
ギーのシステムを導入した栽培ハウス一式の開発を冒頭で述べた大雪にも耐えられる耐
しいたけ
雪構造を強化したパイプハウスを設備関連にノウハウのある近藤設備と連携して組合わ
せ、雪に強く省エネルギーやコスト削減にもつながる多雪地型ハウスを実現し、豪雪地
帯のハンディキャップを克服する事業化につなげたい。
事業の概要
「雪冷房システム」のノウハウを発展させ、雪に克ち、自然エネルギーを活かす多雪地型
・雪乾燥の加工品の取組について
雪乾燥においては、雪乾燥開始時期の8月頃では投入した雪が3日位しか持たないため、
雪室の断熱強化をするため断熱材を補強したり、断熱シートで被ったりして辛うじて5
日持つようにし、結果シイタケの乾燥が十分な状態に乾燥出来るようにした。
・多雪地型ハウスの開発について
多雪地型ハウスの開発については、どの程度に強化すれば大雪に耐えうるパイプハウ
スを作れるか実証出来るかが問題となりましたが、実際に雪のシーズンに試験用にパ
イプ加工したパイプで実証するしかないと言うこととなると思いますので今シーズン
に実証実験をしてみたいと思います。
・地下水利用の実証について
地中熱利用の実証については、地下水の水量が活用する水量分を確保出来るかの調査
が苦労するところだと思いますが、地下水域の調査は地域の先人方の指導等などでコ
スト面を抑えて工夫するしかないと思います。
こ栽培と乾燥加工の高付加価値化を進める。
・雪乾燥の加工品の取組について
乾燥施設用のスーパーハウスを購入し薄井組作業場に設置し、室蘭工大媚山教授の紹介により
利雪協会会長の川本氏の指導の下でスーパーハウスを雪室と乾燥室に区切り雪室からの冷気を
屋根に露天パイプを10m程、張り巡らし乾燥室へ15℃ 20℃位に温度調整を行い食材を乾燥さ
せる施設を完成しシイタケを乾燥実証させ成分検査まで完了することが出来たので当初予定し
ていた成果まで完了出来ました。
・多雪地型ハウスの開発について
当初予定していたパイプ加工機の購入をして、設備関連にノウハウのある近藤設備の紹介によ
り照井氏の指導に下でパイプの曲げ加工をし単体の「モデルハウス」の完成を目指しておりま
したが、資材の手配において計画当初よりパイプ類が大幅に高騰しており資金不足となり、単
体の「モデルハウス」ではなく薄井組より新築予定のパイプハウスのパイプを提供してもらい
パイプ加工を行い「モデルハウス」を完成出来ました。
・地下水利用の実証について
羽柴興業の作業場において今回購入した実証用スーパーハウスを設置し、地下水域までの掘削
作業を行い地下水をファンコイルユニットによる空調設備として冬期でも夏期でも12℃位で利
用出来るよう設備の実証ができた。
・雪乾燥の加工品の取組について
当初予定していた乾燥施設は雪室からの乾燥冷気を乾燥室で電気ヒーターで15℃位ま
で温度調整する予定でしたが、ヒーターを天然ヒーターで温度上昇させる事が出来れ
ばエコ化はもちろんコストダウンにもなるので一石二鳥になると言う事でハウスの屋
根にパイプを10m程張り巡らす天然ヒーターを考案し乾燥室が15℃から20℃位の温度
調整にできる施設を完成させた。
また、シイタケの雪乾燥加工品の分析試験を岩手県医薬品衛生検査センターに依頼
した結果、免疫賦活成作用があると言われているβ‐グルカンが生シイタケの約7倍と
言う結果となり、さらに旨み成分と言われるアミノ酸も高成分の結果が出ましたので
雪乾燥の成果は予想以上に出たと思われます。また他の食材として「イチゴ」と「そ
ば粉」の雪乾燥も実証中ですのでこれからも西和賀町ならではの雪乾燥に取組みたい
と思います。
・多雪地型ハウスの開発について
計画当初は、耐雪構造に強固に開発したいと言う事でパイプの径を全て3.2㎜で考えて
いました。資材等の高騰によりコスト面の見直しをした結果、2.4㎜パイプも使用する
事とし資材費のコストを下げる事で当初予定していた予算に近づける事が出来ました
が、それでもまだ予算不足で薄井組より新築予定のパイプハウスのパイプの提供を受
けパイプハウスを完成させることが出来た。
また、耐雪型の強度試験を今冬のシーズン中に設備関連社の技術者の指導を下の実
証試験したいと思っています。
・地下水利用の実証について
計画当初は、羽柴興業の作業場において7月頃までには地下水域までの掘削作業を終え
て8月の夏場の冷房の実証実験を行いたいと思っておりましたが、ハウスの入荷の遅れ
等で10月までズレ込みました。今回は冬場の暖房の実証実験を行い成果を出したいと
思っております。
今回の実証実験では、地下水をファンコイルユニットによる空調設備として冬期で
も12℃位で利用出来るよう設備し、水菜の栽培に利用する取り組みをしております。
苦労したところ
ハウスの開発・施工による建設分野の受注拡大とともに、このシステムを活用したきの
当初期待した成果(効果)
【パイプハウス加工写真】
イチコ
今後の課題
そば粉
所在地、地図、URL、問い合わせ先
農業フロンティア出展
・雪乾燥の加工品の取組について
雪乾燥の実証については、シイタケの雪乾燥は良い成果が出たと思っておりますが、今
後はタモギダケや他のキノコも取組みたいと思っております。
また、イチゴや野菜など他の西和賀の食材を雪乾燥で加工出来ないか取り組みたいと
思います。
・多雪地型ハウスの開発について
多雪地型ハウスの開発については、
まだまだコストダウンに取り組む余地があると思い
ますので資材と強度のバランスを考えたいと思います。
そして雪冷熱及び地下水利用を併用した、省エネ型パイプハウスを早期に完成させた
いと思います。
・地下水利用の実証について
地下水利用の実証については、雪冷熱とセットで利用出来ればより効果が出る訳です
ので、雪と地下水の併用システムを構築し次のステップにしたいと思っております。
今後の事業展開
・雪乾燥の加工品の取組について
今後の事業展開としては、食材の雪に
よる乾燥の商品化をキノコ以外も取り組
み、
西和賀ならではの商品として差別化
が出来る ブランド商品 を完成させ、
今回出展させていただいた農業フロン
ティアなどのイベントなどに積極的に参
加し西和賀の食材を事業として成り立つ
ものに仕上げたいと思います。
・多雪地型ハウスの開発について
多雪地型ハウスの開発については、雪
冷熱及び地下水利用を併用した、天然
エネルギー活用のエコハウスを全面的に
売りにした事業展開をしてコスト面に於
いても求めやすいものに再構築してシス
テム販売として事業化していきたいと思
います。